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JP5455481B2 - 光電変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板同士を接合材を介して接合した光電変換装置に関する。
光電変換装置としての太陽電池には、バルク型結晶系のシリコン太陽電池、非晶質のシリコン薄膜を用いてなる薄膜型アモルファスシリコン系太陽電池等の様々な形態がある。また、シリコン原料の削減を目的とし、このようなシリコンを利用しない次世代太陽電池として、有機材料を用いた色素増感型太陽電池が提案されている。
太陽電池は、主に屋外で使用されることになるが、その場合には、その表面温度が80℃を越える高温に曝されることになる。また、長期間風雨にさらされることにもなる。このような使用条件下では、熱による反応性の低い部材で太陽電池を構成することと、外部から水分や酸素のような、部材と反応し特性を劣化させる物質から太陽電池内部を守るため、太陽電池内部を気密に封止することが必要であった。そこで一対の基板を接合材で接合し、その基板間に光電変換素子を封止する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2001−185244号公報
光電変換素子をガラス基板で封止する場合、ガラス基板中央部で応力を受けると、ガラス基板が変形することにより応力が発生する。
光電変換装置の大型化に伴い、光電変換素子を封止する領域、すなわち、ガラス基板同士を接合する接合材で取り囲まれた領域が大きくなり、ガラス基板の変形もより大きくなる。
光電変換装置は、例えば空からの落下物などによって、外部からの応力を繰り返し受けることになり、ガラス基板が破壊されやすいという問題がある。
このようなガラス基板の外部からの応力は、ガラス基板自身を破壊するだけでなく、光電変換装置内部の光電変換素子の破壊、光電変換素子の半田剥がれ等の不具合を発生させ、その結果、光電変換装置の信頼性を低下させてしまう問題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、基板同士の接合後の接合構造体の強度を高めることにより、破壊に対する耐性の高い接合構造体を提供することである。
本発明の光電変換装置に係る一実施形態は、対向する一対の基板と、前記一対の基板間に設けられた光電変換素子と、前記一対の基板上に設けられ、前記光電変換素子に圧着して前記光電変換素子を保持する樹脂と、前記一対の基板同士を接合する接合材と、を含み、前記樹脂と前記接合材とは離間しており、前記一対の基板の対向面に直交するとともに前記接合材の前記光電変換素子側の側面およびその反対側の側面を横切る前記基板および前記接合材の断面において、前記接合材の中央部が薄くなっているとともに前記基板が前記接合材に追従して湾曲していることを特徴とする。
このような構成により、基板の接合材との接合部位においては、基板が接合材の形状に合わせて接合材側へ凸となるように変形する。そして、この変形によって基板の光電変換素子に対応する部位においては、光電変換素子側より外側へ向けた応力が生じることになる。その結果、外部から光電変換素子へ向かって加わる応力に対する耐性が増し、光電変換装置の作動の信頼性を高めることができる。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記接合材がガラスである。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記光電変換素子が結晶シリコンを含む。
本発明の光電変換装置において好ましくは、前記接合材は前記基板の端部に位置することを特徴とする。
このような構成により、光電変換素子に対応する基板の中央部において、光電変換素子側より外側へ向けた応力を良好に生じさせることができ、外部から光電変換素子へ向かって加わる応力に対する耐性をより高めることができる。
本発明によれば、基板同士の接合後の接合構造体の強度を高めることができ、破壊に対する耐性の高い接合構造体を提供することができる。
本発明に係る光電変換装置の第1の実施の形態を示す断面図である。 参考としての光電変換装置の第2の実施の形態を示す断面図である。 参考としての光電変換装置の第の実施の形態を示す断面図である。
以下に、本発明の接続構造としての光電変換装置に係る実施の形態について模式的に示した図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の光電変換装置にかかる第1の実施形態を示した断面図である。光電変換装置Xは、一主面同士が対向するように配置された一対の基板(以下、第1の基板1、第2の基板2とする)に、それぞれ第1の樹脂3と、第2の樹脂4とが形成されている。さらに、第1の樹脂3と第2の樹脂4は、光電変換素子5に圧着されている。光電変換素子5からは第1の電極6と第2の電極7とが、電荷取り出しのために接続され、それぞれ第3の電極8、第4の電極9によって光電変換装置X外部に電荷を取り出す。
そして、本発明の実施の形態に係る光電変換装置Xでは、光電変換素子5を取り囲むように設けられた接合材10で光電変換装置Xの内部が封止されており、一対の基板1,2の対向面に直交するとともに接合材10の光電変換素子側の側面およびその反対側の側面を横切る接合材の断面において、接合材の中央部が薄くなっている。すなわち、光電変換素子5を取り囲むように接合材10は枠状に形成されており、その枠状の接合材10の内周側および外周側の部位の厚みに比べて、中央部が薄く形成されている。そのため、接合材10による気密封止を確保しながら、接合材10の形状により基板1に応力を加え、第1の基板1の接合材10との接合部分を対向する第2の基板2側に凸となるように変形させている。このようにすることで、第1の基板1の光電変換素子5に対応する部位、すなわち、第1の基板1の接合材10より内側の部位が、光電変換装置Xの外側(光電変換素子5とは反対側)に凸となるように変形し、光電変換装置Xの外部からの応力に強い形状とすることができる。
以下に、上述した本発明の実施の形態に係る光電変換装置を構成する部材の詳細を示す。
<第1および第2の基板>
第1の基板1は、一主面上で第1の樹脂3、および該第1の樹脂3上に配置された光電変換素子5を支持し、接合材10と後述する第2の基板2とで、光電変換装置Xを封止するものである。また、第1の基板1は光が入射される側に設けられる場合、透光性を有している必要がある。
この第1の基板1の材質としては、例えば、可視光に対して透光性を有する青板ガラス、白板ガラス、無アルカリガラス等のガラス材料が挙げられる。
第2の基板2は、一主面上で第2の樹脂4、および第2の樹脂4上に配置された光電変換素子5を支持し、接合材10と第1の基板2とで、光電変換装置Xを封止するものである。また、第2の基板2は光が入射される側に設けられる場合、透光性を有している必要がある。
この第2の基板2の材質としては、例えば、可視光に対して透光性を有する青板ガラス、白板ガラス、無アルカリガラス等のガラス材料が挙げられる。
<第1および第2の樹脂>
第1の樹脂3は、光電変換素子5を保持し、衝撃等による破損から保護すると同時に、第1の基板1から光を入射させる場合は、透明性を有する樹脂を用いる。あるいは、第2の基板2から光を入射させる場合は、透明性を有していても、光を反射、散乱させる色に着色されていても良い。また、後述する第1の電極6と光電変換素子5、あるいは、第1の電極6と後述する第3の電極8との密着を補う機能を付与することもできる。同様に、後述する第2の電極7と光電変換素子5、あるいは、第2の電極7と後述する第4の電極9との密着を補う機能を付与することもできる。
第2の樹脂4は、光電変換素子5を保持し、衝撃等による破損から保護すると同時に、第2の基板2から光を入射させる場合は、透明性を有する樹脂を用いる。あるいは、第1の基板1から光を入射させる場合は、透明性を有していても、光を反射、散乱させる色に着色されていても良い。また、後述する第1の電極6と光電変換素子5、あるいは、第1の電極6と後述する第3の電極8との密着を補う機能を付与することもできる。同様に、後述する第2の電極7と光電変換素子5、あるいは、第2の電極7と後述する第4の電極9との密着を補う機能を付与することもできる。
<光電変換素子>
光電変換素子5は、例えば表面処理を行い、pn接合を形成し、フィンガー電極、バスバー電極や裏面電極を形成し、太陽光で起電力を発生できるよう作製した多結晶太陽電池素子などが挙げられる。
他には、好ましくは単結晶シリコン太陽電池素子や、電極を裏面に集めたバックコンタクトセルが挙げられる。バックコンタクトセルを用いる場合、図示しないが、第1の電極6と第2の電極7は、光電変換素子5の同じ主面に接続する。
なお、光電変換素子5は、光を電気に変換するものであってもよく、電気を光に変換するものであってもよい。光電変換素子5としては、太陽電池素子等の光起電力素子、発光素子、フォトダイオード等が挙げられる。
<第1、第2、第3および第4の電極>
第1の電極6は、光電変換素子5から一方の電荷を引き出す電極であり、第3の電極8に接続して光電変換装置Xの外部に電荷を供給する。
同様に、第2の電極7は、光電変換素子5から他方の電荷を引き出す電極であり、第4の電極9に接続して光電変換装置Xの外部に電荷を供給する。
また、図示しないが、光電変換装置X内部で、光電変換素子5を複数セル接続し、直列接続することもできる。このようにすることで、複数セルの電荷を電圧高く取り出すことができるようになり、ジュール損失が小さくなることで光電変換装置Xの変換効率が向上する。
第3の電極8は接合材10と第2の基板2の間に存在する電極で、第1の電極6と接続し、光電変換素子5の一方の電荷を光電変換装置Xの外部に取り出す。ここで、第3の電極8はアルミニウム、チタン、モリブデン等の金属、スズドープ酸化インジウム膜、フッ素ドープ酸化スズ膜など、第3の電極8上で接合材10を加熱により封止するだけの耐熱性が必要となる。第3の電極8の形状は、後述する第4の電極9と接しなければどのような形状でも良い。第3の電極8は、接合材10と第2の基板2との間に位置する部位において、接合材10と第2の基板2との接触を確保するため、一部第2の基板が露出するように非形成部を有していても良い。
また、第3の電極8は、前述の耐熱性に問題なければ第1の電極6と同じ材料であっても良い。この場合、第1の電極3と第3の電極8を分ける必要なく、一つの部材で光電変換素子5と接続し、光電変換装置Xの外部に電荷を取り出すこともできる。
第4の電極9は接合材10と第2の基板2の間に存在する電極で、第2の電極7と接続し、光電変換素子5の他方の電荷を光電変換装置Xの外部に取り出す。ここで、第4の電極9はアルミニウム、チタン、モリブデン等の金属、スズドープ酸化インジウム膜、フッ素ドープ酸化スズ膜など、第4の電極9上で接合材10を加熱により封止するだけの耐熱性が必要となる。第4の電極9の形状は、第3の電極8と接しなければどのような形状でも良い。第4の電極9は、接合材10と第2の基板2との間に位置する部位において、接合材10と第2の基板2との接触を確保するため、一部第2の基板が露出するように非形成部を有していも良い。
また、第4の電極9は、前述の耐熱性に問題なければ第2の電極7と同じ材料であっても良い。この場合、第2の電極7と第4の電極9を分ける必要なく、一つの部材で光電変換素子5と接続し、光電変換装置Xの外部に電荷を取り出すこともできる。
<接合材>
接合材10は、第1の基板1と、第2の基板2と、第3の電極8と、第4の電極9とで光電変換装置Xを封止する部材である。
接合材10は、無機材料、有機材料、有機無機複合材料等が用いられる。封止性を高めるという観点からは、ガラス等の無機材料から成るのが好ましい。接合材10がガラスから成る場合、接合材10は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、三酸化二ホウ素(B)、五酸化バナジウム(V2O5)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化テルル(TeO)、三酸化アルミウム(Al2O3),二酸化シリコン(SiO)、酸化鉛(PbO)、酸化錫(SnO)、五酸化リン(P)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ルビジウム(Rb2O)、酸化ロジウム(RhO)、三酸化鉄(Fe)、酸化銅(CuO)、二酸化チタニウム(TiO)、三酸化タングステン(WO)、三酸化ビスマス(Bi)、三酸化アンチモン(Sb)、ホウ酸鉛ガラス(lead−borate glass)、リン酸錫ガラス(tin−phosphate glass)、及びホウ素シリケート(borosilicate)よりなる群から選択された1種の物質、または、これらの組み合わせからなるガラスであることが望ましい。これにより接合材10の軟化点を、青板ガラス、白板ガラス、無アルカリガラス等のガラス材料から成る第1の基板1および第2の基板2の軟化点より低くすることができ、光電変換装置Xを封止する際に第1の基板1、第2の基板2に熱応力を生じるのを抑制することができる。
接合材10は、一対の基板1,2の対向面に直交するとともに接合材10の光電変換素子5側の側面およびその反対側の側面を横切る接合材の断面において、光電変換装置Xの中央側の部位10a(光電変換素子5側)、光電変換装置Xの外側の部位10cと比べ、中央部10bが薄く形成されている。このようにすることで、第1の基板1、第2の基板2の少なくともいずれか一方に応力を加えることができる。このとき、応力の加わる方向が、第1の基板1の接合材10との接合部、もしくは第2の基板2の接合材10との接合部が接合材10側へ引っ張り応力を受ける方向となる。その結果、第1の基板1または第2の基板2の光電変換素子5に対応する部位(接合材10より内側の部位)を、光電変換素子5とは反対側に押し出すような応力が生じる。よって、光電変換装置Xに外部から応力が加わった場合、これに対抗する方向へ応力を加えられていることとなり、外部からの応力による第1の基板1もしくは第2の基板2の変形を抑制するこができる。
このような中央部10bが薄い接合材10は、例えば、第1の基板1と第2の基板2とを接合する際、接合材10を、その中央部10bが側面側(光電変換素子5側およびその反対側)の部位10a,10cよりも高温となるように熔融させた後、接合材10を冷却し、接合材10の中央部10bを側面側の部位10a,10cよりも大きく収縮させることによって、接合材10の中央部10bを薄くさせることができる。つまり、接合材10がより高温となっている状態から冷却した場合の方が、収縮率が大きくなるため、冷却後の接合材10は高温となっていた部位が薄くなる。
接合材10の中央部10bを高温とする方法は、例えば、レーザーを接合材10の中央部10bに照射することにより、側面側の部位10a,10cと中央部10bとに温度差を生じさせることができる。
また、中央部10bが薄い接合材10は、接合材10を熔融させて第1の基板1と第2の基板2とを接合する際、接合材10の中央部10bに気泡を発生させるか、または、中央部10bの気泡を大きくした後、接合材10を冷却し、上記の気泡を収縮させて接合材10の中央部10bを薄くさせることができる。つまり、気泡を構成する気体は冷却時の収縮率が大きいため、接合材10の熔融時において中央部10bの気泡の占有体積を側面側の部位10a,10cよりも大きくしておけば、接合材10を冷却した際、気泡で占有されていた部位が大きく収縮することとなる。
このように接合材10の中央部10bに気泡を発生させるか、または、中央部10bの気泡を大きくするための方法としては、接合材10中に気体や水分を含ませておき、第1の基板1と第2の基板2とを接合材10を介して接合する際、接合材10の中央部10bをレーザー照射等で局所的に加熱することにより、含ませておいた気体や水分を気泡として成長させることができる。また、接合材10中に加熱によりガスを生じる物質を含ませておいてもよい。
接合材10は、スクリーン印刷法またはディスペンス法によって、第1の基板1または第2の基板2上に形成されることが好ましい。スクリーン印刷法やディスペンス法で接合材10を塗布する際、空気が接合材10中に混入されやすくなる。その結果、接合材、混入した空気を膨張させることによって、気泡10を良好かつ容易に生じさせることができる。
接合材10をレーザーで加熱する場合、接合材10は、例えば、顔料等の光吸収剤を含むガラス、もしくは積層したガラスの一部の層に顔料等の光吸収材を含ませたものとすればよい。接合材10をレーザーで加熱して第1の基板1と第2の基板2とを接合する場合、光電変換装置Xの他部材に与える熱量を極力抑制しながら、接合材10を十分に軟化させることができるため好ましい。また、レーザー加熱できるガラスであれば、接合材10は、顔料を含んでいなくとも良い。また、第3の電極8、第4の電極9をレーザー加熱時の熱から保護するため、レーザー光を吸収する顔料、染料を第1の基板1側に配置し、第3の電極8、第4の電極9側には顔料、染料を極力少なくした多段構造とすると良い。
また、接合材10は、第1の基板1および第2の基板2の少なくとも一方の端部に位置することが好ましい。このような構成により、光電変換素子5に対応する基板の中央部において、光電変換素子5側より外側へ向けた応力を良好に生じさせることができ、外部から光電変換素子5へ向かって加わる応力に対する耐性をより高めることができる。
図2は、参考としての光電変換装置にかかる第の実施形態を示した断面図である。第2の実施形態の光電変換装置X’において、第1の実施形態と同じ構成のものには、同じ符号を付している。第2の実施形態の光電変換装置X’は、光電変換素子として、第2の基板2の表面に形成された半導体層を含む薄膜光電変換体12を用いている点で第1の実施形態の光電変換装置Xと異なっている。
このような薄膜光電変換体12を用いた光電変換装置X’においても、中央部10bが薄い接合材10を用いることにより、光電変換装置X’の外部からの応力に対する耐性を高めることができる。
<薄膜光電変換体>
薄膜光電変換体12は、例えばアモルファスシリコン光電変換体、アモルファスシリコン/微結晶シリコンタンデム光電変換体、CdTe光電変換体、CIGS光電変換体、有機薄膜光電変換体であり、薄膜光電変換体内部で、少なくとも一つのpn接合、もしくはpin接合を形成し、太陽光で起電力を発生できるよう作製される。
図2に図示した薄膜光電変換体12は、第5の電極20上に薄膜形成方法等で形成されており、その上に第6の電極21を有している。薄膜光電変換体12の第5の電極20は、隣接する薄膜光電変換体12の第6の電極21と接続され、第2の基板2の主面上で複数の薄膜光電変換体12が直列接続を形成している。このようにすることで、複数セルの電荷を電圧高く取り出すことができるようになり、ジュール損失が小さくなることで光電変換装置Xの変換効率が向上する。
<第5の電極および第6の電極>
第1の電極6は、薄膜光電変換体12から一方の電荷を引き出す電極であり、第3の電極8に接続して光電変換装置Xの外部に電荷を供給する。
第5の電極20は、第2の基板2上に形成されており、レーザースクライブ等を施して複数個に分断され、それぞれの主面上に薄膜光電変換体12を有する。第5の電極20は、薄膜光電変換体12から一方の電荷を引き出して一方の電荷を光電変換装置X’の外部に取り出す機能と、隣接する光電変換体12の第6の電極21と接続して一方の電荷と他方の電荷を結合させる機能と、第6の電極21で引き出した他方の電荷を薄膜光電変換装置X’の外部に取り出す機能とに分けられる。
第5の電極20は、アルミニウム、チタン、モリブデン等の金属、スズドープ酸化インジウム膜、フッ素ドープ酸化スズ膜、アンチモンドープ酸化スズ膜等の1種類、もしくはこれらの積層体から選ばれる。第5の電極20は、一方の電荷を光電変換装置X’の外部に取り出すことができるように第2の基板2と接合材10との間に形成されているため、第5の電極20上で接合材10を加熱により封止するだけの耐熱性を有する。第5の電極20は、接合材10と第2の基板2との接触を確保するため、一部に第2の基板2を露出させる非形成部を有していても良い。
第6の電極21は、薄膜光電変換体12上に形成され、薄膜光電変換体12から他方の電荷を引き出す機能を有する。第6の電極21は、アルミニウム、チタン、モリブデン等の金属、スズドープ酸化インジウム膜、フッ素ドープ酸化スズ膜、アンチモンドープ酸化スズ膜等の1種類、もしくはこれらの積層体から選ばれる。さらに、第6の電極21上には、銀などの金属からなるフィンガー電極を、印刷法、ディスペンシングなどによって形成し、焼成することで抵抗をさらに低下させ、変換効率を向上させることもできる。
図3は、参考としての光電変換装置にかかる第の実施形態を示した断面図である。第3の実施形態の光電変換装置X’’において、第1および第2の実施形態と同じ構成のものには、同じ符号を付している。第3の実施形態の光電変換装置X’’は、光電変換素子として、電荷輸送層14および多孔質光吸収層13を含む光電変換体16(色素増感型光電変換体)を用いている点で第1および第2の実施形態の光電変換装置X、X’と異なっている。
光電変換装置X''は、一対の電極22、多孔質光吸収層13、電荷輸送層14、触媒層15、スペーサー17が形成されている。多孔質光吸収層13の一方側に、一方の電極22が一方の電荷を取り出すために接続されている。また、多孔質光吸収層13の他方側に電荷輸送層14および他方の電極22が他方の電極を取り出すために接続されている。
このような電荷輸送層14および多孔質光吸収層13を含む光電変換体16を用いた光電変換装置X’’においても、中央部10bが薄い接合材10を用いることにより、光電変換装置X''の外部からの応力に対する耐性を高めることができる。
<一対の電極>
一対の電極22は、後述する多孔質光吸収層13で発生した電荷を取りだす機能を有し、第1の基板1の一主面および第2の基板2の一主面に設けられている。この電極22は、光が入射される側にある場合、可視光に対して透光性を有する必要がある。
電極22の材質としては、例えば、ITO(錫ドープインジウム酸化物:酸化インジウム錫)層、FTO(フッ素ドープ錫酸化物)層、または酸化錫層で形成される。また、電極22の厚みは、製造の簡易さ、および適度なシート抵抗とするという観点から、0.3〜2μm程度がよい。このような電極22は、例えば、CVD法、スパッタリング法、スプレー法等によって層状に形成される。
<触媒層>
触媒層15は、電荷輸送層14との接触面にPt、Pd、Ru、Os、Rh、Ir等や、カーボン、PEDOT:TsO(ポリエチレンジオキシチオフェン−トルエンスルフォネート)等から構成される。このようにすることで、電荷輸送層14から電極22への電荷移動を効率良く行うことができる。
<電荷輸送層>
電荷輸送層14は、触媒層15から受けとった電荷を、後述する多孔質光吸収層13中の色素に渡す機能を有している。この電荷輸送層14は、例えば、液状(電解液)、ゲル状、固体(ポリマー状)を用いることができ、注入後に固体になるようなものであってもよい。
電荷輸送層14は、電解液の場合、例えば、ヨウ素/ヨウ化物塩、臭素/臭化物塩、コバルト錯体、フェロシアン化カリウム等が挙げられる。なお、「ヨウ素/ヨウ化物塩」という表記は、電解質の化学反応によってヨウ素とヨウ化物塩の含有率が変化するものであることを意味する。また、電荷輸送層14は、注入時に液状またはゲル状であり、注入後に固体となるものの場合、ゲル電解質、ポリマー電解質等の固体電解質、ポリチオフェン・ポリピロール、ポリフェニレンビニレン等の導電性ポリマー、またはフラーレン誘導体、ペンタセン誘導体、ペリレン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の有機分子電子輸送剤等が挙げられる。また、電荷輸送層14、即ち、第1の基板1の一主面と第2の基板の一主面との間の距離は、1〜500μm程度がよい。
<スペーサー>
スペーサー17は、第1の基板1と第2の基板2との間に電荷輸送層14を閉じ込め、隣り合う多孔質光吸収層13間での電荷再結合によるエネルギー損失を抑制するべく、電荷輸送層15の周囲に配される。このスペーサー17は、例えば、ガラスフリットのようなガラス材料、ポリエチレン、変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、またはアクリレート樹脂等の樹脂材料が挙げられる。また、スペーサー17を樹脂材料で構成する場合は、電荷輸送層14と接触する部位に、上述した有機材料を配し、該有機材料の外周部をさらにガラス材料で覆うような構成であれば、より気密性および機械的強度を高めることができる。
<多孔質光吸収層>
多孔質光吸収層13は、色素を孔内に担持する機能を有する多孔質体と、多孔質体に吸着した色素とで構成されている。多孔質光吸収層13は、多孔質体の表面積が大きく、色素をより多く担持(吸着)させることができるため、効率良く光を吸収して光電変換効率向上に寄与する。
このような多孔質体の材料としては、例えば、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、インジウム(In)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、バナジウム(V)、タングステン(W)等の金属の少なくとも1種の金属酸化物半導体がよく、また窒素(N)、炭素(C)、弗素(F)、硫黄(S)、塩素(Cl)、リン(P)等の非金属元素の1種以上を含有していてもよい。特に、酸化チタンは、バンドギャップが可視光以下の太陽光を吸収することのない3.7eVであり、好ましい。また、多孔質体は、電子エネルギー準位においてその伝導帯が色素の伝導帯よりも低いn型半導体がよい。
また、多孔質光吸収層13は、多孔質体であるため、内部に微細な空孔(孔径が好ましくは10〜40nm程度のもの)を多数有している。また、多孔質光吸収層13の厚みは、光電変換作用を最適化するという観点から、1〜50μmがよく、より好適には10〜30μmがよい。また、多孔質光吸収層13と電極22との間に、n型酸化物半導体の極薄(厚み200nm程度)の緻密層を挿入するとよく、電極22から電荷輸送層14への逆電流を抑制する効果がある。
色素は、例えば、ルテニウム−トリス、ルテニウム−ビス、オスミウム−トリス、オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、多核錯体、またはルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体、またはフタロシアニンやポルフィリン、多環芳香族化合物、ローダミンB等のキサンテン系のものを用いること色素が好ましい。
多孔質光吸収層13に色素を吸着させるためには、色素に少なくとも1個以上のカルボキシル基、スルホニル基、ヒドロキサム酸基、アルコキシ基、アリール基、ホスホリル基等を置換基として有することが有効である。ここで、置換基は色素自体を多孔質光吸収層13の多孔質体に強固に化学吸着させることができ、励起状態の増感色素から多孔質体へ容易に電荷移動できるものであればよい。
多孔質光吸収層13に色素を吸着させる方法としては、例えば、第1の基板1上に形成された多孔質光吸収層13を、色素を溶解した溶液に浸漬する方法が挙げられる。多孔質光吸収層13に色素を吸着させる際、色素を溶解させる溶液の溶媒としては、例えば、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル等の窒素化合物等を1種または2種以上混合したものが挙げられる。溶液中の色素の濃度は5×10-5〜2×10-3mol/l(l(リットル):1000cm3)程度が好ましい。
<注入孔および封孔部材>
なお、図3では図示しないが、第1の基板1もしくは第2の基板2に、注入孔を形成することで、多孔質光吸収層13への色素吸着と、電荷輸送層14の注入を、接合材10形成後に行うこともできる。
この場合、注入孔は、電荷輸送層14を第1および第2の基板の間に注入できる大きさであれば、形状等は特に限定されるものではなく、例えば、横断面形状が円形状、楕円形、または四角形等の多角形等であってもよい。注入孔の大きさとしては、例えば、横断面形状が円形状であれば、直径が0.1〜3mm程度がよい。また、注入孔は1つとは限らず、複数個あってもよい。さらに、注入孔は第1の基板1のみに設けてもよく、また、第1および第2の基板それぞれに設けてもよい。なお、注入孔は、電荷輸送層14を注入するだけでなく、電荷輸送層14の排出、色素溶液の注入および排出等にも使用可能である。
また、第1の基板1、もしくは第2の基板2に注入孔を形成した場合、封孔部材で電荷輸送層14が外部に漏れるのを防ぎ、また外部から酸素や水分が光電変換装置X''に浸入するのを防ぐ。この封孔部材は、注入孔を塞ぐように、第1の基板1、もしくは第2の基板2の他主面と接着される。
封孔部材は、電荷輸送層14に対する耐食性が高い樹脂材料を含んでいる。このような樹脂材料としては、例えば、フィルム形状のポリエチレン、変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、およびフッ素樹脂あるいは液体状のブチル樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂材料は、機械的強度を高めるという観点から、必要に応じてフィラー等を含有させてもよい。
また、封孔部材の接着には、レーザ吸収成分とガラス成分を含むガラスフリットを用いることが好ましい。このレーザ吸収成分は、レーザ光を選択的に吸収し、そのエネルギーを熱に変換することでガラスフリットを効率よく熔融し、焼結させる役割を担う。このレーザ吸収成分は、ガラスフリットを成すマトリックスの一部として熔融されていることが好ましいが、マトリックス中に偏析していてもよい。また、ガラスフリットの熱膨張係数は、第2の基板2の熱膨張係数と近くなるようにすれば、クラック等の不具合の発生を低減することができる。ガラスフリットを成すガラス成分としては、例えば、SiO−Bi−MO系、B−Bi−MO系、SiO−CaO−Na(K)O−MO系、P−MgO−MO系(Mは一種以上の金属元素で、Xは整数である。)などが挙げられる。また、レーザ吸収成分としては、例えば、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、または炭素の単体または酸化物、もしくはこれら2種以上の化合物が挙げられる。
本発明に係る接続構造およびその製造方法は、上述した本発明の光電変換装置およびその製造方法を含むものであるが、これに限定されない。光電変換装置に限らず、他の分野においても適用可能である。例えば、電子部品を収納するパッケージにおいて、電子部品の収納用容器と蓋体とを接合材を介して接合するような接合構造においても適用可能である。
X、X’、X'':光電変換装置(接続構造)
1:第1の基板
2:第2の基板
3:第1の樹脂
4:第2の樹脂
5:光電変換素子
6:第1の電極
7:第2の電極
8:第3の電極
9:第4の電極
10:接合材
10a:接合材の光電変換素子側部
10b:接合材中央部
10c:接合材外側部
12:薄膜光電変換体(光電変換素子)
13:多孔質光吸収層
14:電荷輸送層
15:触媒層
16:光電変換素子
20:第5の電極
21:第6の電極
22:電極

Claims (4)

  1. 対向する一対のガラスから成る基板と、
    前記一対の基板間に設けられた光電変換素子と、
    前記一対の基板上に設けられ、前記光電変換素子に圧着して前記光電変換素子を保持する樹脂と、
    前記一対の基板同士を接合する接合材と、を含み、
    前記樹脂と前記接合材とは離間しており、
    前記一対の基板の対向面に直交するとともに前記接合材の前記光電変換素子側の側面およびその反対側の側面を横切る前記基板および前記接合材の断面において、前記接合材の中央部が薄くなっているとともに前記基板が前記接合材に追従して湾曲していることを特徴とする光電変換装置。
  2. 前記接合材がガラスである請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記光電変換素子が結晶シリコンを含む請求項1または2に記載の光電変換装置。
  4. 前記接合材は前記基板の端部に位置することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の光電変換装置。
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