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JP5440601B2 - 移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法 - Google Patents

移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法 Download PDF

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JP5440601B2 JP2011506851A JP2011506851A JP5440601B2 JP 5440601 B2 JP5440601 B2 JP 5440601B2 JP 2011506851 A JP2011506851 A JP 2011506851A JP 2011506851 A JP2011506851 A JP 2011506851A JP 5440601 B2 JP5440601 B2 JP 5440601B2
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Description

本発明は、移動局が他の移動局との間で無線通信を行う移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法に関する。
今日の車社会は、交通事故、交通渋滞等の多くの深刻な問題を抱えている。これらの問題を解決するためにITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)が提案され、VICS(Vehicle Information Communications System)やETC(Electronic Toll Collection System)等の具体的なシステムが実用化されている。
さらに、近年、ITSの中で、安全、安心の車社会に向けて車同士が無線通信を行う車車間通信システムが注目されている。この車車間通信システムでは、基地局が携帯電話等の移動端末を集中管理する移動無線通信システムと異なり、各車両間がそれぞれ一定のルールに従って通信を行う自律分散制御システムが用いられる。すなわちアドホック通信が行われる。一般に、自律分散制御システムの中では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式が知られており、上記車車間通信システムにおいても、CSMA/CA方式が提案されている。
CSMA/CA方式は、搬送波周波数等を含む通信経路が一定時間以上継続して使用されていないことを、受信電力レベルを用いて確認した(キャリアセンスした)後、確認した通信経路を用いて車両がデータを送信する。キャリアセンスの段階で、通信経路が使用されていることを確認した場合、すなわち受信電力レベルがキャリアセンスレベルを上回る場合、その通信経路の使用が終了するまで待機する。その後、使用の終了を確認した後、例えば、ランダムな待ち時間を空けて送信を開始する。ランダムな待ち時間を空けて送信を開始するのは、通信経路の使用の終了直後に送信を試みると、他の車両の送信と衝突する可能性が高いからである。
上記方式では、通信しようとする車両の台数がある一定値以下である場合、受信スループットは上昇し、良好な車車間通信が実現できるが、車両の台数が一定値を越えると以下のような隠れ端末問題が生じる。
ここで、隠れ端末問題とは、互いに通信範囲外のため、キャリアセンス対象外の位置にいる2台の車両が、同じ通信経路を使って同時刻にデータを送信し、上記2台の送信車両と通信可能な位置にいる受信車両が、2台の車両からのデータを受信するとき、2台の送信車両からのデータが衝突する問題をいう。この隠れ端末問題の解決策としてRTS/CTS(Request to Send/Clear to Send)方式を用いることも考えられるが、RTS/CTS方式は送信するデータが大きい場合に有効であるが、車車間通信のような比較的送信するデータが小さい場合効率が悪い。
特開2004−062381号公報には、交差点において車車間通信を円滑に行う車車間通信装置が記載されている。この車車間通信装置は、自車両の現在位置情報を取得する一方、位置と道路と通信チャネルとの対応を有する地図情報を用いて、自車両の現在位置から無線信号の送信に使用する通信チャネルを選択する。具体的には、通信チャネルは交差点に繋がる道路に対して割り当てることにより、交差点において車車間通信を円滑に行うことができる、とされている(当該公報の[0015]参照)。
さらに、特開2006−254215号公報には、車両同士がすれ違い困難な道路の通り抜けを支援する車車間通信装置が記載されている。この車車間通信装置は、道路毎にそれぞれ異なった送信用の拡散コードを割り当て、この拡散コードを用いて他車両に対して情報の送信を行う。
しかし、これらの装置は、通信チャネルや拡散コードを道路毎に割り当てるため、同一の道路上で生じる隠れ端末問題を解決することはできない。
特開2004−062381号公報 特開2006−254215号公報
そこで、本発明の1つの側面は、車車間通信装置、車車間通信システムおよび車車間通信方法等をそれぞれ含む移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法において、上記隠れ端末問題を解決することを目的とする。
第1の態様は、移動局が他の移動局との間で無線通信を行う移動局通信装置である。すなわち、移動局通信装置は、
(A)前記移動局の現在位置を検出する移動局位置検出部と、
(B)前記移動局の通路に沿った異なる位置に設けられた複数の割当エリアのそれぞれに対して、互いに異なる送信リソースを割り当てた送信リソース対応情報を記憶し、前記送信リソース対応情報を用いて、検出した前記現在位置の割当てエリアに応じて送信リソースを設定する送信リソース設定部と、
(C)特定の車両が、無線通信を行う車両である前記移動局の現在位置を中心とした所定の領域内に位置することを表す緊急情報と緊急時の送信リソース対応情報を取得する情報取得部と、
(D)設定された前記送信リソースを用いてデータを送信する送信部と、を有し、前記移動局間の通信ができなくなる送受信間距離が予め設定され、前記送信リソース対応情報は、第1の領域に含まれる複数の割当てエリアと、該第1の領域と前記送受信間距離の2倍よりも離れている第2の領域に含まれる複数の割当てエリアに対応して、同じ送信リソースを記憶し、
前記送信リソース設定部は、前記情報取得部が前記緊急情報を取得したとき、前記送信リソース対応情報を、緊急時の送信リソース対応情報に切り替える。
また、上記目的は、複数の移動局のそれぞれが上記移動局通信装置を備え、移動局間で無線通信を行う移動局間通信システムにより達成することができる。
第2の態様は、移動局が他の移動局との間で無線通信を行う移動局間通信方法である。すなわち、移動局間通信方法は、
)前記移動局の現在位置を検出するステップと、
)前記移動局の通路に沿った異なる位置に設けられた複数の割当エリアのそれぞれに対して、互いに異なる送信リソースを割り当てた送信リソース対応情報を用いて、検出した前記現在位置の割当てエリアに応じて送信リソースを設定するステップと、
特定の車両が、無線通信を行う車両である前記移動局の現在位置を中心とした所定の領域内に位置することを表す緊急情報と緊急時の送信リソース対応情報を取得するステップと、
(H)設定された前記送信リソースを用いてデータを送信するステップと、を有し、前記移動局間の通信ができなくなる送受信間距離が予め設定され、前記送信リソース対応情報は、第1の領域に含まれる複数の割当てエリアと、該第1の領域と前記送受信間距離の2倍よりも離れている第2の領域に含まれる複数の割当てエリアに対応して、同じ送信リソースを記憶し、
前記送信リソースを設定するステップでは、前記送信リソース対応情報を取得するステップで前記緊急情報を取得したとき、前記送信リソース対応情報を、緊急時の送信リソース対応情報に切り替える。
上述の移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法は、隠れ端末問題を解決することができる。
移動局間通信システムの一実施形態の車車間通信システムの概要を説明する図である。 図1に示す車車間通信システムに用いる、各車両に搭載される車車間通信装置の概略の構成を示す図である。 図2に示す車車間通信装置の送信リソース設定部の構成を説明する図である。 図2に示す車車間通信装置が、送信リソース対応情報を取得する方法を説明する図である。 (a),(b)は、図1に示す車車間通信システムで用いる割当エリアを説明する図である。 図2に示す車車間通信装置で用いる送信リソースを説明する図である。 図1に示す車車間通信システムの適用例を説明する図である。 図1に示す車車間通信システムを用いてシミュレーションを行うときに用いる道路モデルの図である。 図1に示す車車間通信システムを用いてシミュレーションを行うときのスロット数と送信周期との関係を説明する図である。 図1に示す車車間通信システムを用いてシミュレーションを行うときの割当エリアの配置を説明する図である。 図1に示す車車間通信システムを用いてシミュレーションを行うときに用いる電波の損失特性を説明する図である。 図1に示す車車間通信システムを用いてシミュレーションを行うときに用いる評価方法を説明する図である。 図12に示す評価方法により得られた評価結果の一例を示す図である。
以下、本発明の移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法について詳細に説明する。図1は、本発明の移動局間通信システムの一実施形態の車車間通信システム10の概要を説明する図である。以降では、移動局の一例として、他の車両との間で無線通信を行う通信装置を搭載した車両を用いて説明する。なお、移動局は他の車両と無線通信する車両に限定されず、通路を移動する種々の通信装置に適用することができる。
(車車間通信システムの概要)
車車間通信システム10は、道路に沿った異なる位置に複数の割当エリアを設け、この割当エリアのそれぞれに異なる送信リソースを割り当て、車両が割当エリアに位置するとき、車両に搭載された車車間通信装置は、割り当てられた送信リソースを用いて送信を行う。ここで、道路(通路)は、交差点間に挟まれた道路も含む。すなわち、交差点間に挟まれた道路に沿って複数の割当エリアが設けられている場合も含む。図1に示すように、直線の道路上の位置Aの割当エリアに位置する車両aが送信リソースRaを用いて送信を行い、位置Bの割当エリアに位置する車両bが送信リソースRbを用いて送信を行い、車両cがそれぞれの送信データを受信する。このとき、車両a,bが用いる送信リソースが異なるので、車両cにおいて送信データの衝突が起こることなく2つの送信データを受信することができる。すなわち、隠れ衝突問題は生じない。図中、dは、受信位置と位置A、Bとの間で通信が要求される送受信間距離であり、車の衝突防止等のために定められた通信距離を表す。この送受信間距離dで離間する車両a,bと車両cは、互いに通信が可能である。勿論、送受信間距離dより短い距離でも、互いに通信が可能である。送受信間距離dは、例えば80m等である。
一方、送信リソースは有限であるため、車車間通信システム10では、送信リソースは繰り返し用いられる。具体的には、所定の領域内では送信リソースが異なるように割り当てられ、この領域の外側では、上記領域内の割当エリアに割り当てた送信リソースと同じ送信リソースが割り当てられる。このとき、図1に示すように、同じ送信リソースRaを用いる位置A,Dの割当エリア間の離間距離が2d+αとなるように割当エリアが設けられる。すなわち、位置Aの割当エリアと同じ送信リソースRaが割り当てられた位置Dの割当エリアと位置Aの割当エリアとの間の離間距離が送受信距離dの2倍より長く、2d+αとなるように割当エリアが設定される。ここで、αは、離間距離がdのとき通信が可能であるが、離間距離がd+αのとき通信できないことを表す距離である。これによって、車両cの受信位置からみると、離間距離がd+αだけ離れた位置Dからの送信データは十分減衰するので、位置Aからの送信データと衝突しない。したがって、位置A,Dでは同じ送信リソースRaを用いても問題がない。なお、送信リソースは有限であるので、同じ送信リソースを用いる割当エリア間の離間距離を無限に広くすることはできず、送信リソースの大きさに応じて上限は定まる。
ここで、距離αは多値変調や符号化率に応じて変化する。例えば、QPSKの場合、受信可能なSINR(Signal Input Noise Ratio)のレベルは16QAMに比べて低いので、αは小さくすることができる。また、ターボ符号やLDPC(Low-Density Parity-Check)コードやSTTC(Space Time
Trellis Code)やSTBC(Space Time Block Code)等の受信方式を用いる場合αは小さくすることができる。したがって、αの値を予め設定した場合、このαに応じて、多値変調の方式や符号化率等を適宜設定することで、離間距離がdのとき通信可能で、離間距離がd+αのとき通信できないような車車間通信システム10を構築することができる。
なお、送信リソースを割り当てる割当エリアは、都市における高速道路等を考慮して、路上の高さを含めた3次元のエリアであってもよく、地方道路のように、道路上の2次元のエリアであってもよい。また、割当エリアは、GPS(Global Positioning System)等のように、所定位置を基準とする位置(緯度、経度)と高さ(標高)の少なくとも一方に基づいて定められてもよいし、あるいは、地方道路のような平面的な道路を考慮して、ナビゲーション地図データに基づいて定められてもよい。
図1では、直線上に位置する車両を例示したが、これらの車両が、後述する図10に示すような2次元的に張り巡らされた道路上に位置する場合でも、車車間通信システム10は適用できる。例えば、交差点等における車両衝突を回避するために、車両間で送受信が要求される送受信間距離dが定められている場合を考える。このとき、互いに異なる送信リソースが割り当てられた複数の割当エリアは、第1の領域内に設けられ、この第1の領域の外側には、第1の領域内で用いる送信リソースと同じ送信リソースが割り当てられた割当エリアを備える第2の領域が設けられる。このとき、第1の領域の割当エリアと第2の領域の同じ送信リソースを用いる割当エリアとの間の離間距離はいずれも、送受信間距離dの2倍より少なくとも長く、2d+αになるように、割当エリアが配置される。なお、送信リソースは有限であるので、同じ送信リソースを用いる割当エリア間の離間距離を無限に広くすることはできず、送信リソースの大きさに応じて上限は定まる。
(車車間通信装置の構成)
図2は、車車間通信システム10に用いる、各車両搭載用の車車間通信装置12の概略の構成を示す図である。
車車間通信装置12は、無線受信部14と、送信データ格納部16と、自車両位置検出部18と、送信リソース設定部20と、無線送信部22と、情報取得部24とを有する。
無線受信部14は、他の車両から送信リソースを用いて送信されたデータを受信する。受信データは、送信データ格納部16に供給される。
送信データ格納部16は、無線受信部14から供給された受信データに対して所定の処理を施すとともに、処理結果に応じて送信データを生成し、一時的に送信データを格納する部分である。
自車両位置検出部18は、自車両の現在位置を検出する。自車両位置検出部18は、例えば、GPSを利用して現在位置を検出する構成でもよいし、GPSとともに、車速パルスで走行速度を計測することにより、またジャイロを用いて走行方向を検出することにより、正確な現在位置を検出するように構成してもよい。検出された現在位置の情報は、送信リソース設定部20に供給される。
送信リソース設定部20は、割当エリアのそれぞれに異なる送信リソースを割り当てた送信リソース対応情報を記憶し、この送信リソース対応情報を用いて、自車両位置検出部18から供給された現在位置の情報に応じて送信リソースを設定する。送信リソースは、時間分割多重、周波数分割多重、および符号分割多重の少なくとも1つの方式を用いて定められる。図3は、送信リソース設定部20の構成を説明する図である。送信リソース設定部20は、時間多重リソース部26と、周波数多重リソース部28と、符号多重リソース部30と、データベース32と、処理部34と、を有する。
時間多重リソース部26は、時間分割多重方式の通信制御情報を記憶し、処理部34からの要求に応じた通信制御情報を提供する。
周波数多重リソース部28は、周波数多重分割方式の通信制御情報を記憶し、処理部34からの要求に応じた通信制御情報を提供する。
符号多重リソース部30は、符号多重分割方式の通信制御情報を記憶し、処理部34からの要求に応じた通信制御情報を提供する。
データベース32は、割当エリアのそれぞれに異なる送信リソースの情報を割り当てた送信リソース対応情報を記憶し、処理部34からの問い合わせに対して、送信リソースを取り出して提供する。
処理部34は、自車両位置検出部18から供給された現在位置の情報をデータベース32に提供して送信リソースを問合せ、この問合せに対する返答としてデータベース32から現在位置に応じた送信リソースの情報の提供を受ける。さらに、処理部34は、送信リソースの情報を用いて、送信リソースに関する通信制御情報を時間多重リソース部26、周波数多重リソース部28、および符号多重リソース部30の中から少なくとも1つ選択して通信制御情報の提供を受ける。送信リソースが、時間多重リソース、周波数多重リソース、および符号多重リソースのうち2つ以上を用いて組み合わせを行う場合、処理部34において、提供を受けた2つの通信制御情報が1つの通信制御情報に纏められる。これにより、送信リソースが設定される。
提供を受けた通信制御情報あるいは1つに纏められた通信制御情報は、無線送信部22に提供される。
無線送信部22は、設定された送信リソースを用いてデータを送信する。無線送信部22は、具体的には、送信データ格納部16に格納された送信データを呼び出して、この送信データから、送信リソース設定部20で定められた通信制御情報を用いた搬送波信号を生成し、図示されないアンテナから無線送信を行う。
情報取得部24は、送信リソース対応情報を外部装置からダウンロードして取得する。例えば、図4に示すように、FM無線等を用いてVICS基地局から送信されるVICS情報に送信リソース対応情報が含まれることにより、送信リソース対応情報は情報取得部24で取得される。
また、情報取得部24は、特定の車両、例えば、救急車やパトカーや消防車等の緊急車両が、自車両の現在位置を中心とした所定の範囲内に位置するような緊急時、緊急車両が近隣に位置する緊急情報をVICS情報として取得する。このとき、情報取得部24は、緊急時の送信リソース対応情報を取得する。情報取得部24は、このとき取得した緊急時の送信リソース対応情報を、データベース32に提供して記憶させるとともに、送信リソース設定部20に対して、緊急情報を取得したことを知らせ、送信リソース対応情報を、緊急時の送信リソース対応情報に切り替えるよう通知する。これにより、送信リソース設定部20は、緊急車両等の特定の車両の通信を妨害しないように、緊急時の送信リソースを設定する。勿論、情報取得部24が緊急解除の情報を取得した時、緊急時の送信リソース対応情報から以前の送信リソース対応情報に移行する。
車車間通信装置12は、以上のように構成される。
(無線通信方法の説明)
図5(a),(b)は、無線通信で用いる割当エリアを説明する図である。図5(a)では、道路に沿って割当エリアMA(#n−1),MA(#n),MA(#n+1)が設けられている。図中の割当エリアMAは、一定の距離を開けて配置されているが、隣の割当エリアと接触するように配置されてもよい。この割当エリアMAは、交通法規で定められるサイズの車両が収まることのできる大きさであり、車両の最大長さの1〜10倍の長さであり、車両の最大幅を少なくとも有し、1車線の道路幅を超えない幅である。したがって、道路が2車線ある場合は、車線ごとに割当エリアMAが設けられる。
まず、車車間通信装置12の自車両位置検出部18は、自車両の現在位置を検出する。次に、送信リソース設定部20は、データベース32に記憶されている送信リソース対応情報を用いて、検出した現在位置に基づいて、どの割当エリアにいるかを検出し、検出結果に応じた送信リソースを設定する。
次に、無線送信部22は、設定された送信リソースを用いて、送信データ格納部16に格納され送信データを呼び出して送信する。
図5(b)には、送信リソースが時間多重分割によって定められる一例を示している。割当エリアMA(#n−1),MA(#n),MA(#n+1)に応じて、送信スロットの割り当てが異なり、例えば割当エリアMA(#n)に自車両が位置するとき、送信スロット(#n)を定めて無線送信を行う。この場合、送信スロットの割り当て番号が通信制御情報として定められる。したがって、割当エリアMA(#n+1)に位置する他の車両は、送信スロット(#n+1)が割り当てられるので、割当エリアMA(#n)と割当エリアMA(#n+1)における送信データが受信車両において衝突することはない。例えば、送信周期を100m秒とし、送信データ量を100バイトとし、周波数の使用帯域幅を8MMzとしたとき、所定の多値変調方式では、送信スロットの総数Nは1000となり、十分な送信スロットを確保することができる。すなわち、図6に示すように、各割当エリアの位置x,x,x,・・・に応じて、送信する時刻をt,t,t・・・のように割り当てることにより、互いにデータが干渉しないようにすることができる。この場合、各車両の車車間通信装置は、GPS等による共通の時刻で送信が管理される。
周波数多重分割および符号多重分割も同様に行うことができる。
以上のように、車車間通信システム10では、道路に沿った異なる位置に複数の割当エリアが設けられている。車車間通信装置12は、この割当エリアのそれぞれに異なる送信リソースを割り当てた送信リソース対応情報を記憶し、この送信リソース対応情報を用いて、検出した現在位置に応じて送信リソースを設定する。さらに、車車間通信装置12は、設定された送信リソースを用いて送信データを送信する。したがって、従来解決できなかった隠れ端末問題を解決することができる。
さらに、電波の減衰により干渉が生じない程度に離れている割当エリアに、共通した送信リソースを割り当てることができるので、有限の送信リソースを有効に活用することができる。
(実施例)
車車間通信システム10の効果について、以下のシミュレーションを用いて確認した。
まず、図7に示すように、交差点における車両の衝突を回避するために車両間で通信が要求される送受信間距離dを80mとした。一方、図1に示すαを40mと設定した。すなわち、同じ送信リソースを用いる割当エリアの離間距離2d+αを200mとした。したがって、車車間通信システム10は、離間距離d=80mでは送受信が可能であるが、離間距離d+α=120mでは送受信ができないシステムである。
一方、道路モデルについては、図8に示すように、一辺が50mの碁盤の目のように整然と区画された道路を2次元に展開したモデルを設定した。各割当エリアに割り当てる送信リソースは時間多重分割を用いた。具体的には、送信周期を100m秒とし、送信データ量を100バイトとし、周波数の使用帯域幅を8MMzとした。このとき、総スロット数Cは以下の式で表される。
C = (周波数利用効率)×(使用帯域幅)×(送信周期)
/(1車両当たりの送信データ量)
周波数利用効率は、多値変調方式や符合化率等の方式によって定まる値である。
図9は、多値変調方式の種類及び符号化率が異なる方式A,Bにおける送信周期とスロット数との関係を表すグラフである。方式Aの多値変調方式は64QAMであり、符合化率は5/6である。方式Bの多値変調方式はQPSKであり、符合化率は1/2である。以降では、方式B(QPSK−1/2)を採用し、送信周期が100m秒のときの総スロット数Cを1000とした。
送信スロットを割り当てる割当エリアMAは、図10に示すように、50mの道路に沿って配置した。割当エリアMAのサイズは、長さ4.55m、幅4.55mの正方形とし、図10の左側部分に示すように、4つの道路に割当エリアMA(1)〜MA(40)を設け、これを右側部分に示すように、拡張して割当エリアMA(1)〜MA(640)を設けた。これらの割当エリアMA(1)〜MA(640)のそれぞれに、図5(b)に示すような送信スロット#1〜640(N=1000)を割り当てた。
一方、送受信距離に対する電波の減衰による損失を考慮するために、図11に示すような公知のModified Hata model urbanを用いた。
シミュレーションには、以下のパラメータを用いた。
送信電力 20dBm
送信データ量 100バイト
送信周期 100m秒
道路モデル 図10
伝播モデル 図11
通信距離d 80m
距離α 40m
アンテナ構成 1×2(SIMO)
変調方式 変調方式B
キャリア周波数 700MHz
帯域幅 8MHz
NF(雑音指数) 8dB
所要SINR 3dB
このとき、受信車両から送受信間距離d=80m離間した車両から送信された送信データは、正しく受信することができ、受信車両から離間距離d+α=120m離間した車両からの送信データは受信することができなかった。
このようなモデルにおいて受信できた総スループットをシミュレーションにより算出した。具体的には、図12に示すような幅200m×200mのエリアの周りに、同じ送信リソースを割り当てた繰り返しエリアを8つ設けた600m×600mの道路モデルを用いた。この道路モデルの中心位置に受信車両を設け、この道路モデル内の車両台数を様々に変化させたとき、受信車両が送信車両からの送信データを受信できた総スループット(Mbps)を、シミュレーションにより算出した。このとき、道路モデル内の車両は等間隔に配置された。
このシミュレーションにおいて受信できた車両台数Dは、算出された総スループット(Mbps)から以下の式を用いて算出することができる。
D =(総スループット)×(送信周期)/(1車両当たりの送信データ量)
図13は、図12に示す道路モデル内の車両台数に対する総スループットの変化を示すシミュレーション結果を示す図である。
図中、CSMA/CA方式は、キャリアセンスレベルを−93dBm(SINR=3dB)として、図12で示す道路モデルを用いて評価した結果である。
CSMA/CA方式では、道路モデル内の車両台数が150台以降、総スループットが飽和していることがわかる。一方、本システムの車車間通信システム10では、道路モデル内の車両台数が増加しても総スループットは上昇することがわかる。受信できた車両台数Dを算出すると、道路モデル内の車両台数300台に対して受信できた車両台数Dは、車車間通信システム10では300台(=2.4×10×0.1/800)であるのに対し、CSMA/CA方式では62台(=0.5×10×0.1/800)である。これより、車車間通信システム10において受信できた車両台数Dは、CSMA/CA方式対比5倍程度向上することがわかった。したがって、車車間通信システム10は、隠れ端末問題を解決することができる。
以上、本発明の移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法について詳細に説明したが、本発明の移動局通信装置、移動局間通信システムおよび移動局間通信方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 車車間通信システム
12 車車間通信装置
14 無線受信部
16 送信データ格納部
18 自車両位置検出部
20 送信リソース設定部
22 無線送信部
24 情報取得部
26 時間多重リソース部
28 周波数多重リソース部
30 符号多重リソース部
32 データベース
34 処理部

Claims (8)

  1. 移動局が他の移動局との間で無線通信を行う移動局通信装置であって、
    前記移動局の現在位置を検出する移動局位置検出部と、
    前記移動局の通路に沿った異なる位置に設けられた複数の割当エリアのそれぞれに対して、互いに異なる送信リソースを割り当てた送信リソース対応情報を記憶し、前記送信リソース対応情報を用いて、検出した前記現在位置の割当てエリアに応じて送信リソースを設定する送信リソース設定部と、
    特定の車両が、無線通信を行う車両である前記移動局の現在位置を中心とした所定の領域内に位置することを表す緊急情報と緊急時の送信リソース対応情報を取得する情報取得部と、
    設定された前記送信リソースを用いてデータを送信する送信部と、
    を有し、
    前記移動局間の通信ができなくなる送受信間距離が予め設定され、前記送信リソース対応情報は、第1の領域に含まれる複数の割当てエリアと、該第1の領域と前記送受信間距離の2倍よりも離れている第2の領域に含まれる複数の割当てエリアに対応して、同じ送信リソースを記憶し、
    前記送信リソース設定部は、前記情報取得部が前記緊急情報を取得したとき、前記送信リソース対応情報を、緊急時の送信リソース対応情報に切り替えることを特徴とする移動局通信装置。
  2. 前記割当エリアは、通路上の高さを含めた3次元のエリアである、請求項1に記載の移動局通信装置。
  3. 前記割当エリアは、通路上の2次元のエリアである、請求項1に記載の移動局通信装置。
  4. 前記割当エリアは、所定の位置を基準とする位置および高さの少なくとも1つの情報に基づいて定められている、請求項2または3に記載の移動局通信装置。
  5. 前記移動局は、無線通信を行う車両であり、
    前記割当エリアは、ナビゲーション地図データに基づいて定められている、請求項2または3に記載の移動局通信装置。
  6. 前記情報取得部は、前記送信リソース対応情報を、無線通信によるダウンロードにて取得する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の移動局通信装置。
  7. 移動局間で無線通信を行う移動局間通信システムであって、
    前記移動局のそれぞれは、
    自移動局の現在位置を検出する移動局位置検出部と、
    前記自移動局の通路に沿った異なる位置に設けられた複数の割当エリアのそれぞれに対して、互いに異なる送信リソースを割り当てた送信リソース対応情報を記憶し、前記送信リソース対応情報を用いて、検出した前記現在位置の割当てエリアに応じて送信リソースを設定する送信リソース設定部と、
    特定の車両が、無線通信を行う車両である前記移動局の現在位置を中心とした所定の領域内に位置することを表す緊急情報と緊急時の送信リソース対応情報を取得する情報取得部と、
    設定された前記送信リソースを用いてデータを送信する送信部と、
    他の移動局から送信されたデータを受信する受信部と
    を有し、
    前記移動局間の通信ができなくなる送受信間距離が予め設定され、前記送信リソース対応情報は、第1の領域に含まれる複数の割当てエリアと、該第1の領域と前記送受信間距離の2倍よりも離れている第2の領域に含まれる複数の割当てエリアに対応して、同じ送信リソースを記憶し、
    前記送信リソース設定部は、前記情報取得部が前記緊急情報を取得したとき、前記送信リソース対応情報を、緊急時の送信リソース対応情報に切り替える、ことを特徴とする移動局間通信システム。
  8. 移動局が他の移動局との間で無線通信を行う移動局間通信方法であって、
    前記移動局の現在位置を検出するステップと、
    前記移動局の通路に沿った異なる位置に設けられた複数の割当エリアのそれぞれに対して、互いに異なる送信リソースを割り当てた送信リソース対応情報を用いて、検出した前記現在位置の割当てエリアに応じて送信リソースを設定するステップと、
    特定の車両が、無線通信を行う車両である前記移動局の現在位置を中心とした所定の領域内に位置することを表す緊急情報と緊急時の送信リソース対応情報を取得するステップと、
    設定された前記送信リソースを用いてデータを送信するステップと、
    を有し、
    前記移動局間の通信ができなくなる送受信間距離が予め設定され、前記送信リソース対応情報は、第1の領域に含まれる複数の割当てエリアと、該第1の領域と前記送受信間距離の2倍よりも離れている第2の領域に含まれる複数の割当てエリアに対応して、同じ送信リソースを記憶し、
    前記送信リソースを設定するステップでは、前記送信リソース対応情報を取得するステップで前記緊急情報を取得したとき、前記送信リソース対応情報を、緊急時の送信リソース対応情報に切り替える、ことを特徴とする移動局間通信方法。
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