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JP5440563B2 - 衝撃吸収式ステアリングシャフト - Google Patents

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JP5440563B2 JP2011154391A JP2011154391A JP5440563B2 JP 5440563 B2 JP5440563 B2 JP 5440563B2 JP 2011154391 A JP2011154391 A JP 2011154391A JP 2011154391 A JP2011154391 A JP 2011154391A JP 5440563 B2 JP5440563 B2 JP 5440563B2
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Description

この発明は、自動車のステアリング装置を構成する衝撃吸収式ステアリングシャフトの改良に関する。具体的には、このステアリングシャフトを製造する際に、インナシャフトの先端縁とアウタシャフトの内周面との間にかじりが発生するのを防止して、前記ステアリングシャフトの製造コストの増大を抑えつつ、衝撃吸収性能を安定させられる構造を実現するものである。尚、本発明の対象となるステアリングシャフトには、ステアリングコラムの内側に支持されるものだけでなく、ステアリングコラムの前側に配置される中間シャフトも含む。
操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与する為のステアリング装置として、例えば図3に示す様な構造が、広く知られている。このステアリング装置は、車体1に支持された円筒状のステアリングコラム2の内径側にステアリングシャフト3を、回転可能に支持している。そして、このステアリングコラム2の後端開口よりも後方に突出した、前記ステアリングシャフト3の後端部分に、ステアリングホイール4を固定している。このステアリングホイール4を回転させると、この回転が、前記ステアリングシャフト3、自在継手5a、中間シャフト6、自在継手5bを介して、ステアリングギヤユニット7の入力軸8に伝達される。この入力軸8が回転すると、このステアリングギヤユニット7の両側に配置された1対のタイロッド9、9が押し引きされて左右1対の操舵輪に、前記ステアリングホイール4の操作量に応じた舵角を付与する。尚、図3に示した構造の場合、このステアリングホイール4の前後位置の調節を可能にすべく、前記ステアリングコラム2及び前記ステアリングシャフト3として、伸縮式のものを使用している。上述の様なステアリング装置に、電気モータ10を補助動力源として組み込んだ電動式パワーステアリング装置も、近年普及している。
前記ステアリングコラム2及び前記ステアリングシャフト3は、衝突事故の際に、衝撃エネルギを吸収しつつ、ステアリングホイール4を前方に変位させる構造としている。即ち、衝突事故の際には、自動車が他の自動車等にぶつかる一次衝突に続いて、運転者の身体がステアリングホイール4に衝突する二次衝突が発生する。この二次衝突の際に、運転者の身体に加わる衝撃を緩和して、運転者の保護を図る為に、前記ステアリングホイール4を支持したステアリングシャフト3を車体1に対して、二次衝突に伴う前方への衝撃荷重により前方に変位可能に支持する必要がある。この為に、前記ステアリングコラム2は、二次衝突の衝撃荷重により、アウタコラム11がこのステアリングコラム2の全長を、前記ステアリングシャフト3は、アウタシャフト12がこのステアリングシャフト3の全長を、それぞれ縮めながら前方に変位する事で、前記ステアリングホイール4に衝突した運転者の身体に大きな衝撃が加わる事を防止する。
上述の様な伸縮式のステアリングコラムを構成するアウタコラム及びインナコラム、並びに、ステアリングシャフトを構成するアウタシャフト及びインナシャフトの前後位置は、図示の構造とは逆であっても良い。上述の様な伸縮式のステアリングシャフトを製造する為の技術として、例えば特許文献1〜2に記載の技術がある。
図4〜7は、このうちの特許文献1に記載されている、衝撃吸収式のステアリングシャフト及びその製造方法の従来例を示している。ステアリングシャフト3aは、アウタシャフト12aとインナシャフト13とを軸方向に相対変位可能に係合させ、二次衝突時に、軸方向に加わる衝撃荷重により全長が縮まる様に構成している。
前記アウタシャフト12aは、全体を円管状とし、一端部(図4〜5の左端部)に絞り加工を施す事で、この一端部に小径部14を形成している。この小径部14の内周面には、雌セレーション15を形成している。又、前記インナシャフト13も、全体を円管状とし、一端部(図4〜5の右端部)を押し拡げる事で、この一端部に大径部16を形成している。この大径部16の外周面には、前記雌セレーション15と係合する雄セレーション17を形成している。
この様なアウタシャフト12aとインナシャフト13とを組み合わせて、図4に示す様なステアリングシャフト3aを製造する場合には、先ず、図5に示す様に、前記雌セレーション15と前記雄セレーション17とを、前記小径部14の先端部(図5の左端部)と前記大径部16の先端部(図5の右端部)とで互いに係合させる。
そして、前記両セレーション15、17同士を互いに係合させた状態のまま、前記小径部14の先端部の外周面を径方向内方に押圧する。即ち、この小径部14の先端部及び前記大径部16の先端部の周囲に1対の押圧片18、18を配置し、これら両押圧片18、18を互いに近づけ合う事で、前記小径部14の先端部の外周面を強く押圧する。これら両押圧片18、18の内側面でこの小径部14の先端部の外周面と当接する部分には、この外周面に当接する部分の断面形状が円弧状である、凹部19、19を形成している。
図6に示す様に、これら両凹部19、19を前記小径部14の先端部の外周面に軽く当接させた状態で、前記両押圧片18、18の端面同士の間に、厚さがtの隙間20、20が形成される。この状態から、これら両押圧片18、18を、図示しない押圧装置により、互いに近づく方向に強く押圧する。そして、図7に示す様に、前記両隙間20、20の厚さが0となるまで、前記両押圧片18、18同士を互いに近づけ、前記小径部14の先端部の断面形状を、図7に示す様な楕円形に塑性変形させる。同時に、この小径部14の先端部に挿入された大径部16の先端部も、前記両セレーション15、17を介して押圧し、この大径部16の先端部の断面形状も、図7に示す様な楕円形に塑性変形させる。
この様にして、前記小径部14の先端部及び前記大径部16の先端部を径方向内方に押圧し、これら両先端部の断面形状を楕円形に塑性変形させたならば、次いで、前記アウタシャフト12aと前記インナシャフト13とを互いに近づく方向に軸方向に相対変位させる。即ち、前記両押圧片18、18から前記アウタシャフト12aと前記インナシャフト13とを取り出した後、このアウタシャフト12aを図5の左方に、このインナシャフト13を同じく右方に、相手部材に対して相対変位させる。そして、図4に示す様に、前記小径部14の先端部を前記大径部16の基端部に圧入嵌合すると共に、この大径部16の先端部をこの小径部14の基端部に圧入嵌合させる。前記両押圧片18、18により塑性変形させられていない、この小径部14の中間部と前記大径部16の中間部とは互いに緩く係合させる。
尚、上述の様な衝撃吸収式ステアリングシャフトを構成するインナシャフト13は、アウタシャフト12aよりも外径が小さいので、強度を確保する為、S35C等硬度の高い炭素鋼により形成する事が多い。或いは、STKM12B等の炭素鋼鋼管により形成する事もできるが、この場合は強度を確保する為、径方向の厚さを厚くする。
以上の説明は、後端部分にステアリングホイール4(図3参照)を固定するステアリングシャフト3に就いて行ったが、ステアリング装置の前側部分に配置される中間シャフト6も同様にして、軸方向に収縮可能に構成する場合がある。この様な収縮式の中間シャフト6は、自動車が他の自動車等にぶつかる一次衝突の際に、この一次衝突に伴う衝撃荷重よりその全長を縮める事で、前記ステアリングホイール4が運転者側に突き上げられるのを防止し、運転者の保護を図る。前記中間シャフト6は、運転者の操作によって前記ステアリングホイール4から前記ステアリングシャフト3に付与されるトルクに加え、補助動力源である電動モータ10の出力トルクを伝達する。この為、上述の様な衝撃吸収式ステアリングシャフトを、前記中間シャフト6に適用する場合、前記アウタシャフト12aとインナシャフト13との係合部の保持力(嵌合強度)を大きくし、耐久性を高くする必要がある。この結果、前記大径部16の先端部外周縁と、前記小径部14の内周面との当接圧が大きくなり、上述の様な衝撃吸収式ステアリングシャフトの製造方法を実施する場合に於いて、前記アウタシャフト12aとインナシャフト13とを互いに近づく方向に軸方向に相対変位させる際に、前記大径部16の先端部外周縁でかじりが発生し易い。即ち、この相対変位の際、断面形状が楕円形であるこの大径部16の先端部外周縁の長径部分と、断面形状が円形である前記小径部14の内周面とが強く擦れ合って、この先端部外周縁がこの小径部14の内周面に食い込む(かじる)。この様にして発生したかじりを放置すると、衝突事故の際のエネルギ吸収性能が不安定になる可能性がある。そこでこのエネルギ吸収性能を安定させる為に、かじりにより生じた余肉部分(むしれ部分)を切削等により除去する手間が必要になる。又、かじりの程度によっては、完成後の衝撃吸収式ステアリングシャフトを、不良品として廃棄しなければならなくなり、加工の手間の増大や歩留りの悪化により、製造コストが上昇する為、改良が望まれる。特に、前記中間シャフト6の場合、前述した様に、保持力確保の為に嵌合部の当接圧を高くする為、改良する必要性が大きい。
特許第3168841号公報 特許第3716590号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、アウタシャフトとインナシャフトとを、二次衝突時に加わる衝撃荷重に伴い、これら両シャフト同士が軸方向に相対変位可能に結合して成る衝撃吸収式ステアリングシャフトに於いて、このステアリングシャフトを製造する際に、前記インナシャフトの先端部外周縁と前記アウタシャフトの内周面との間にかじりが発生するのを防止し、加工の手間の増大や不良品の発生を抑えつつ、エネルギ吸収性能の安定した衝撃吸収式ステアリングシャフトを得られる様にして、製造コストの上昇を抑える事ができる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトは、アウタシャフトインナシャフトとを備える。このうちのアウタシャフトは、管状で、少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の内周面に雌セレーションを形成している。又、前記インナシャフトは、少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の外周面に、前記雌セレーションと係合する雄セレーションを形成している。そして、前記アウタシャフトと前記インナシャフトとを、中心軸に直交する仮想平面に関する断面形状が楕円形である前記アウタシャフトの先端部に前記インナシャフトの中間部を、同じく断面形状が楕円形であるこのインナシャフトの先端部を前記アウタシャフトの中間部に、それぞれ、二次衝突時に加わる衝撃に伴い、前記両シャフト同士が軸方向に相対変位可能な嵌合強度で内嵌固定する事により、前記アウタシャフトと前記インナシャフトとを結合して成る。
特に、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトに於いては、前記インナシャフトを中実の円杆状とし、このインナシャフトのうちの少なくとも先端部に、このインナシャフトの先端面に開口し、内周面が奥部に向かう程直径が小さくなる方向に傾斜しているテーパ形状である凹孔を形成している。そして、前記インナシャフトのうちの少なくとも先端部を円筒状部としており、前記凹孔の軸方向寸法を、この円筒状部の径方向に関する肉厚よりも大きくすると共に、前記インナシャフトの先端部のうち、先端寄り部分の径方向に関する剛性を、同じく中間部寄り部分の同方向に関する剛性よりも低くしている。
上述の様な本発明を実施する場合に、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記アウタシャフトの一端部に少なくとも内径が小さい小径部を設け、前記インナシャフトの一端部に少なくとも外径が大きい大径部を設ける。そして、この大径部の先端部のうち、先端縁寄り部分の径方向に関する剛性を、同じく中間部寄り部分の同方向に関する剛性よりも低くする
上述の様に構成する本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトによれば、このステアリングシャフトを製造する際に、アウタシャフトの先端縁とインナシャフトの内周面との間にかじりが発生するのを防止し、加工の手間の増大や不良品の発生を抑えつつ、優れた衝撃エネルギ吸収性能を発揮できる衝撃吸収式ステアリングシャフトを組み立てて、前記ステアリングシャフトの製造コストの上昇を抑える事ができる。この理由は、前記インナシャフトの先端部のうち、先端縁寄り部分の径方向に関する剛性を、同じく中間寄り部分の同方向に関する剛性よりも低くしている為、前記衝撃吸収式ステアリングシャフトを製造する際に、前記インナシャフトの先端縁と前記アウタシャフトの内周面との間でかじりが発生するのを防止できるからである。即ち、前記インナシャフトの先端縁部分の剛性は低く、この先端縁部分と前記アウタシャフトの内周面との当接圧は小さい。この為、前記両シャフト同士を互いに近づく方向に軸方向に相対変位させる際に、前記インナシャフトの先端縁部分と前記アウタシャフトの内周面との間に作用する摩擦を小さく抑える事ができて、この先端縁部分がこの内周面に食い込む事を防止でき、前記かじりの発生を防止できる
本発明の実施の形態の1例を示す、ステアリングシャフトの断面図。 同じく、図5と同様の図。 従来から知られているステアリング装置の1例を、一部を切断した状態で示す側面図。 本発明の対象となる衝撃吸収式ステアリングシャフトの、従来構造の1例を示す断面図。 従来構造の製造時に、インナシャフトの先端部とアウタシャフトの先端部とを係合させた状態を示す断面図。 図5のX−X断面図。 1対の押圧片により、前記両先端部を径方向内方に塑性変形した状態で示す、図6と同様の図。
[実施の形態の1例
図1〜2は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例を含めて、本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトの特徴は、インナシャフト13aの先端縁と、アウタシャフト12aの内周面との間でかじりが発生するのを防止し、加工の手間の増大や不良品の発生を抑えつつ、優れた衝撃エネルギ吸収性能を発揮できる衝撃吸収式ステアリングシャフトを組み立てて、製造コストの上昇を抑える事ができる構造を実現する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図4〜7に示した構造及びその製造方法を含め、従来から知られている衝撃吸収式ステアリングシャフト及びその製造方法と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の構造の場合、ステアリングシャフト3bを構成する、前記インナシャフト13aの後端部(図1〜2の右側)に、前端部(図1〜2の左側)よりも外径の大きい大径部16aを設けている。この様な大径部16aは、前記インナシャフト13aの前端部外周面に切削加工を施す事により形成する。或いは、前記インナシャフト13aを前記アウタシャフト12aの内径側に挿通可能であれば、前記大径部16aを設けず、前記インナシャフト13aの外径を軸方向全長に亙って同じとする事もできる。但し、この場合は、前記ステアリングシャフト3bの収縮荷重が過大になるのを防止すべく、前記インナシャフト13aの外周面に軸方向全長に亙って雄セレーション17を形成する。
又、前記アウタシャフト12aの前端部(図1〜2の左側)に、後端部(図1〜2の右側)よりも内径の小さい小径部14を設けている。この様な小径部14は、前述した従来構造の場合と同様に円管状である前記アウタシャフト12aの前端部に絞り加工を施す事により、若しくは後端部内周面に切削加工を施す事により形成する。或いは、前記インナシャフト13aを前記アウタシャフト12aの内径側に挿通可能であれば、前記小径部14を設けず、このアウタシャフト12aの内径を軸方向全長に亙って同じとする事もできる。但し、この場合は、前記ステアリングシャフト3bの収縮荷重が過大になるのを防止すべく、前記アウタシャフト12aの内周面に軸方向全長に亙って前記雄セレーション17と係合する、雌セレーション15を形成する。
図1〜2に示した本例の構造の場合、前記インナシャフト13aの前端部外周面に切削加工を施す事により後端部に大径部16aを、前記アウタシャフト12aの前端部に絞り加工を施す事により小径部14を、それぞれ設けている。
更に、前記大径部16aの先端部(図1〜2の右端部)に凹孔21を設けている。そして、この凹孔21の内周面をテーパ形状とし、この大径部16aの先端縁(図1〜2の右側)に向かう程、この大径部16aの先端部の径方向の厚さが薄くなる円筒状部24としている。尚、図1〜2の記載から明らかな通り、前記凹孔21の軸方向寸法L 21 を、この円筒状部24の径方向に関する肉厚T 24 よりも十分に大きく(L 21 ≫T 24 )している。従って、この円筒状部24の径方向に関する剛性は、前記凹孔21を設けない場合に比べて大幅に低くなっている。
上述の様に構成する本例の衝撃吸収式ステアリングシャフトを製造する為に、先ず、図2に示す様に、前記大径部16aの先端部を前記小径部14の先端部に係合させる。そして、この小径部14の先端部の外周面を1対の押圧片18、18により径方向内方に押圧し、前述した従来構造の1例を示す図7の場合と同様に、前記ステアリングシャフト3bの中心軸に直交する仮想平面に関する断面形状が楕円形となる様に、前記小径部14の先端部と前記大径部16aの先端部とを径方向に塑性変形させる。この時、前記両押圧片18、18を押圧する押圧力を調整しても良い。即ち、これら両押圧片18、18の端面同士の間の隙間20、20(図6参照)の厚さを、前記両先端部を塑性変形させた状態で正の値とし(隙間20、20を残し)、これら両先端部の変形量を調整する事もできる。又、前記両押圧片18、18の内側面で前記小径部14の先端部の外周面と当接する部分の形状は、前述した図6〜7に示す様な断面が円弧状の凹部19、19に限らず、前記小径部14の先端部の外周面の径方向反対位置を、互いに近付く方向に押圧できれば、平面や断面形状がV字形の面等とする事もできる。更に、断面円弧状とする場合でも、前記小径部14の先端部外周面の曲率半径との大小関係は、何れでも良い。何れにしても、前記先端部同士の係合部を塑性変形させたならば、次いで、前記アウタシャフト12aと前記インナシャフト13aとを軸方向に相対変位させて、前記小径部14の先端部を前記大径部16aの基端部に、この大径部16aの先端部にこの小径部14の基端部を、それぞれ圧入嵌合させる。又、これら小径部14の中間部と大径部16aの中間部とは、互いに緩く嵌合させる。
上述の様に構成する本発明の衝撃吸収式ステアリングシャフトによれば、前記ステアリングシャフト3bを製造する際に、前記インナシャフト13aの大径部16aの先端縁と前記アウタシャフト12aの小径部14の内周面との間にかじりが発生するのを防止し、前記ステアリングシャフト3bの製造コストの上昇を抑えつつ、優れた衝撃エネルギ吸収性能を発揮できる衝撃吸収式ステアリングシャフトを実現できる。この理由は、前記大径部16aの先端部に設けた凹孔21の内周面をテーパ形状とし、この大径部16aの先端縁に向かう程この大径部16aの先端部の径方向の厚さを薄くしている(剛性を低くしている)からである。この様な構成を採用している為、前記ステアリングシャフト3bを製造する際に、前記アウタシャフト12aと前記インナシャフト13aとを互いに近づく方向に軸方向に相対変位させても、前記大径部16aの先端縁と前記小径部14の内周面とが強く擦れ合う事がない。即ち、この大径部16aの先端縁部分の径方向に関する剛性は、この部分の厚さが薄い分だけ低くなっており、この先端縁部分と前記小径部14の内周面との当接圧は小さい。この為、前記両シャフト12a、13a同士を相対変位させる際に、前記大径部16aの先端縁部分と前記小径部14の内周面との間に作用する摩擦を小さく抑える事ができて、この先端縁部分がこの内周面に食い込む事を防止でき、この内周面にかじりによる余肉部(むしれ)が発生するのを防止できる
1 車体
2 ステアリングコラム
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングホイール
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ステアリングギヤユニット
8 入力軸
9 タイロッド
10 電動モータ
11 アウタコラム
12、12a アウタシャフト
13、13a〜13e インナシャフト
14 小径部
15 雌セレーション
16、16a〜16e 大径部
17 雄セレーション
18、18a 押圧片
19 凹部
20 隙間
21 凹孔
24 円筒状部

Claims (2)

  1. 少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の内周面に雌セレーションを形成した管状のアウタシャフトと、少なくとも先端縁から中間部に掛けての部分の外周面にこの雌セレーションと係合する雄セレーションを形成したインナシャフトとを、中心軸に直交する仮想平面に関する断面形状が楕円形である前記アウタシャフトの先端部に前記インナシャフトの中間部を、同じく断面形状が楕円形であるこのインナシャフトの先端部を前記アウタシャフトの中間部に、それぞれ、二次衝突時に加わる衝撃に伴い、前記両シャフト同士が軸方向に相対変位可能な嵌合強度で内嵌固定する事により、前記アウタシャフトと前記インナシャフトとを結合して成る衝撃吸収式ステアリングシャフトに於いて、このインナシャフトを中実の円杆状とし、このインナシャフトのうちの少なくとも先端部に、このインナシャフトの先端面に開口し、内周面が奥部に向かう程直径が小さくなる方向に傾斜しているテーパ形状である凹孔を形成して、前記インナシャフトのうちの少なくとも先端部を円筒状部としており、この凹孔の軸方向寸法を、この円筒状部の径方向に関する肉厚の最大値よりも大きくすると共に、前記インナシャフトの先端部のうち、先端寄り部分の径方向に関する剛性を、同じく中間部寄り部分の同方向に関する剛性よりも低くしている事を特徴とする衝撃吸収式ステアリングシャフト。
  2. 前記アウタシャフトの一端部に少なくとも内径が小さい小径部を設け、この小径部の内周面に雌セレーションを形成しており、前記インナシャフトの一端部に少なくとも外径が大きい大径部を設け、この大径部の外周面に前記雌セレーションと係合する雄セレーションを形成し、この大径部の先端部のうち、先端寄り部分の径方向に関する剛性を、同じく中間部寄り部分に関する剛性よりも低くしており、中心軸に直交する仮想平面に関する断面形状が楕円形である前記小径部の先端部に前記大径部の基端部を、同じく断面形状が楕円形であるこの大径部の先端部をこの小径部の基端部に、それぞれ、二次衝突時に加わる衝撃に伴い、前記両シャフト同士が軸方向に相対変位可能な嵌合強度で内嵌固定する事により、前記アウタシャフトと前記インナシャフトとを結合している、請求項1に記載の衝撃吸収式ステアリングシャフト。
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