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JP5326326B2 - モータ、電気機器 - Google Patents

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JP5326326B2 JP2008095628A JP2008095628A JP5326326B2 JP 5326326 B2 JP5326326 B2 JP 5326326B2 JP 2008095628 A JP2008095628 A JP 2008095628A JP 2008095628 A JP2008095628 A JP 2008095628A JP 5326326 B2 JP5326326 B2 JP 5326326B2
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Description

本発明は、ステータに対向する面に複数の永久磁石が配置されるロータを有するモータに関する。
従来、特に空調用ファンモータなどの家電製品に用いられるモータとして、ステータに対向する面に永久磁石が貼り付けられる内側ロータ型のモータが用いられることが一般的であった。しかし、近年では機器の高出力化の需要に伴い、ステータに対向する面に永久磁石が貼り付けられる外側ロータ型のモータが用いられるようになってきている。
ここで、外側ロータ型のモータは、内側ロータ型のモータと比較して、ステータに対向する永久磁石の面積を大きくすることができる。このため、同一の体積のモータであれば、ステータに対向する永久磁石の断面積が大きい外側ロータ型のモータの方が、磁束量を増加させることができるため大トルクを得ることができ、高出力化に寄与するのである。
一方で、外側ロータ型のモータは、磁束量が増加するために、ステータとロータとの間のエアギャップ部分の磁気変動が大きくなる。これにより、誘起電圧の歪率が増加し、トルク脈動が増大することになる。
そこで、特許文献1に記載の発明は、トルク脈動を低減するために、ステータに対向する永久磁石の外周断面形状を複数の曲線の組み合わせにより構成している。
特開2002−84695号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、ステータに対向する永久磁石の外周断面形状が複数の曲線の組み合わせであるため、特にフェライト磁石などのように焼結後に研磨して最終形状を形成するような磁石の場合に、永久磁石の加工精度を向上させることができない、という問題が生じていた。
すなわち永久磁石が高精度に加工されなければ、永久磁石をロータフレームに貼り付ける際の位置決め精度が悪化し、隣接する永久磁石と永久磁石との間隔とロータとステータとのエアギャップが不均一になるため、モータの振動騒音が増加する、という問題が生じていた。
このため、本発明は、以上のような問題を解決するものであり、永久磁石の加工精度を向上でき、振動騒音を低減できるモータを提供することを目的とする。
本発明は、ステータの外側に僅かなエアギャップを介して対向する面に複数の永久磁石が配置されるロータを有し、各々の前記永久磁石の回転軸に対する垂直方向の断面が、磁石中心線を中心として左右対称であって、磁石中心線を中心とする曲線と、前記曲線を挟み込むように前記曲線に接続する磁石中心線に垂直な2本の直線と、を含む形状であり、さらに、前記磁石中心線に垂直な2本の直線に接続する磁石中心線に略平行な2本の直線と、をさらに含む形状であり、
さらに、前記永久磁石の着磁方向が、前記磁石中心線に略平行方向であることを特徴とするモータである
本発明によれば、各々の永久磁石の回転軸に対する垂直方向の断面が、磁石中心線を中心とする曲線と、曲線を挟み込むように曲線に接続する磁石中心線に垂直な2本の直線と、を含む形状であることから、永久磁石の加工精度を向上でき、モータの振動騒音を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るモータ1の断面を示す図である。
本発明に係るモータ1は、回転軸2と、回転軸2を中心に配置されるステータ10と、ステータ10の外側に僅かなエアギャップを介して配置されるロータ20とを備える。
ステータ10は、略環状のヨーク11と、ヨーク11の外周部に突出する複数のティース12と、ティース12に巻回されるコイル(図示しない)とを備える。
また、ロータ20は、回転軸2に固定されてステータ10に対し回転自在に配置されるロータフレーム21と、ロータフレーム21の表面にステータ10と対向するように配置される複数の永久磁石22とを備える。
図2は、永久磁石22の回転軸2に対する垂直方向の断面を拡大して示す図である。
この永久磁石22の回転軸2に対する垂直方向の断面は、磁石中心線Aを中心として左右対称であって、磁石中心線Aを中心とする曲線22aと、曲線22aを挟み込むように曲線22aに接続し、磁石中心線Aに垂直な2本の直線22bと、を含む形状である。すなわち、直線22bは、磁石中心線Aと垂直な直線B上に配置される。この永久磁石22は、このような断面形状を有することから、トルク脈動を低減しながら、加工精度を向上させることができる。特に、この永久磁石22がフェライト磁石のように、焼結後に研磨して最終形状を形成するような磁石の場合には、直線22bが加工基準としての役割を果たし、特に加工精度を向上させることができる。
また、永久磁石22の回転軸2に対する垂直方向の断面は、磁石中心線Aに垂直な2本の直線22bに接続する磁石中心線Aに略平行な2本の直線22cを含む形状であることが好ましい。このような断面形状を有すると、直線22bまたは直線22c、もしくは、直線22bおよび直線22cが加工基準点とすることができる。そうすると、直線22bと直線22cとが略直交関係にあることから、さらに加工精度を向上させることができる。また、直線22bと直線22cとが略直交関係にあることから、永久磁石22をロータフレーム21に組み合わせる際に、簡易に位置決めを行うことができ、位置決め精度を向上させることができる。
また、本発明の永久磁石22は、有効に誘起電圧を得ることができる点でも有益である。これについて、本発明の永久磁石22と比較例1の永久磁石122とを比較して、説明する。
図3は本発明の永久磁石22の断面を着磁方向とともに示す図であり、図4は比較例1としての永久磁石122の断面を着磁方向とともに示す図である。また、図5は、本発明の永久磁石22を備えるモータと比較例1の永久磁石122を備えるモータとの誘起電圧を比較して示す図である。
比較例1の永久磁石122は、断面形状が直線22bと略直交関係にある直線22cを有する本発明の永久磁石22に対し、断面形状が直線122bと直行関係にない直線122cを有する点で、本発明の永久磁石22と相違する。
ここでは、本発明の永久磁石22と比較例1の永久磁石122とは、ともにフェライト焼結磁石のような異方性磁石であるものとして、以下の比較を行うものとする。これは、本発明および比較例1に用いる永久磁石は、フェライト焼結磁石のような、異方性磁石であることが好ましいためである。つまり、異方性磁石を用いることにより、同一の方向に配向されているので、着磁機の性能に左右されることがなく、一様に着磁することができるためである。またフェライト磁石を用いることにより、安価でありながら、高度な磁気特性を有するので、一般に家庭用電気機器のモータ等に使用することができるためである。
図3および図4を参照して、本発明の永久磁石22と比較例1の永久磁石122とを比較すると、比較例1の永久磁石122が本発明の永久磁石22よりも図4におけるX部分だけ大きい。したがって、比較例1の永久磁石122はX部分に着磁される磁束分だけ、本発明の永久磁石22よりも大きな磁力を有することになる。
しかしながら、異方性磁石の場合には、断面においては着磁方向が同一方向となる。したがって、比較例1の永久磁石122のX部分に着磁される磁束は、ティースに鎖交しないため、モータ全体としての高出力化への寄与は小さい。そして、図5からも分かるように、本発明の永久磁石22を備えるモータと比較例1の永久磁石122を備えるモータとの誘起電圧はほぼ同一となっている。
以上から、永久磁石22を異方性磁石とする場合には、断面形状を直線22bと直線22cとを直交させて比較例1の永久磁石122のX部分に相当する磁石体積を減少させたとしても、同等の誘起電圧を得ることができることがわかる。つまり、本発明の永久磁石22であれば、磁石体積を低減することができ、コスト面でも有益である。
また、本発明の永久磁石22は、ロータフレーム21への極間部の磁束23を低減する点でも有益である。これについて、本発明の永久磁石22と比較例1の永久磁石122とを比較して説明する。
図6は本発明の永久磁石22の断面をロータフレーム21とともに示す図であり、図7は比較例1の永久磁石122の断面をロータフレーム121とともに示す図である。また、図8は、本発明の永久磁石22のロータフレーム21の極間部の磁束密度と比較例1の永久磁石122のロータフレーム121の極間部の磁束密度とを比較して示す図である。
図6および図7を参照して、本発明の永久磁石22のロータフレーム21への極間部の磁束23は、比較例1の永久磁石122のロータフレーム121への極間部の磁束123と比較すると、比較例1の永久磁石122はその端部同士が密接に配置されているため、より極間部の磁束123の量が大きくなる。そして、図8からも分かるように、本発明の永久磁石22によるロータフレーム21への極間部の磁束23の密度は、比較例1の永久磁石122によるロータフレーム121への極間部の磁束123の密度よりも小さくなる。
以上から、断面形状を直線22bと直線22cとを直交させて比較例1の永久磁石122のX部分に相当する磁石体積を減少させることにより、極間部の磁束を減少させることができ、磁石を有効に利用することができることがわかる。
また、図9は、本発明の永久磁石22を設置したロータフレーム21の磁気集中部に生じる鉄損と比較例1の永久磁石122を設置したロータフレーム121の磁気集中部に生じる鉄損とを、比較して示す図である。
この図9から、本発明の永久磁石22を設置したロータフレーム21の磁気集中部に生じる鉄損は、比較例1の永久磁石122を設置したロータフレーム121の磁気集中部に生じる鉄損よりも小さいことがわかる。これは、ロータフレーム21への極間部の磁束23を低減することができるために、ロータフレーム21に生じる磁気飽和を低減することができるためであると考えられる。したがって、本発明の永久磁石22の備えたモータは、ロータフレーム21に生じる鉄損を低減することができ、磁石を有効に利用することができると言える。
次に、本発明の永久磁石22を備えるモータのトルクリプルに与える影響について、比較例1および比較例2を用いて説明する。
図10は、比較例2としての永久磁石222の断面を着磁方向とともに示す図である。また、図11は、本発明の永久磁石22を備えるモータ、比較例1の永久磁石122を備えるモータ、および、比較例2の永久磁石を備えるモータについて、電気角とコギングトルクとの関係を示す図である。なお、図11において、本発明の永久磁石22を備えるモータを実線、比較例1の永久磁石122を備えるモータを一点鎖線、比較例2の永久磁石を備えるモータを二点鎖線で示している。
ここで、比較例2の永久磁石222は、図10に示すように、曲線222aと磁石端部直線222cを有し、回転軸に対する垂直方向のステータに対向する断面が円弧形状で形成される磁石である。
図11からわかるように、本発明の永久磁石22を備えるモータは、比較例1の永久磁石122を備えるモータ、および、比較例2の永久磁石を備えるモータと比較して、コギングトルクが低減している。したがって、このコギングトルクにより生じるトルク脈動も、比較例1の永久磁石122を備えるモータ、および、比較例2の永久磁石を備えるモータよりも低減している。
図12は、以上の結果をまとめた図であり、本発明の永久磁石22を備えるモータ、比較例1の永久磁石122を備えるモータ、および、比較例2の永久磁石を備えるモータについて、誘起電圧、コギングトルク、および、極間部のロータフレームの磁束密度をそれぞれ比較して示す図である。
この図12からわかるように、誘起電圧については、本発明の永久磁石22を備えるモータと比較例1の永久磁石122を備えるモータとが、比較例2の永久磁石を備えるモータとほぼ同等の値となっている。つまり、本発明の永久磁石22を備えるモータは、磁石体積を減少させながら、磁石を有効に利用することにより、比較例1の永久磁石122を備えるモータと同等の誘起電圧を得ることができる。
また、コギングトルクについて、本発明の永久磁石22を備えるモータは、比較例1の永久磁石122を備えるモータおよび比較例2の永久磁石を備えるモータよりも低減している。
また、極間部のロータフレームの磁束密度については、本発明の永久磁石22を備えるモータは、比較例1の永久磁石122を備えるモータおよび比較例2の永久磁石を備えるモータよりも低減している。これは、比較例1の永久磁石122のX部に相当する部分を切り取ることにより、切り取り部分に対応するロータフレームの磁束線がなくなり、極間部のロータフレームへの磁束の集中が緩和しているためであると考えられる。
なお、比較例1の永久磁石122を備えたモータが、本発明の永久磁石22を備えたモータと同等の誘起電圧特性およびトルク特性とし、磁極間部のロータフレームの磁束密度を同等程度に低減するためには、ロータフレーム厚を約1.16倍にしなければならない。つまり、本発明の永久磁石22を備えることにより、モータを小型化することができるとともに、ロータフレームの材料使用量を低減することができる。
本発明に係るモータは、永久磁石の加工精度を向上でき、特に空調用ファンモータや電機洗濯機などの電気機器に用いられるモータ等として有用である。
本発明に係るモータ1の断面を示す図 永久磁石22の回転軸2に対する垂直方向の断面を拡大して示す図 本発明の永久磁石22の断面を着磁方向とともに示す図 比較例1としての永久磁石122の断面を着磁方向とともに示す図 本発明の永久磁石22を備えるモータと比較例1の永久磁石122を備えるモータとの誘起電圧を比較して示す図 本発明の永久磁石22の断面をロータフレーム21および磁束23とともに示す図 比較例1の永久磁石122の断面をロータフレーム121および磁束123とともに示す図 本発明の永久磁石22のロータフレーム21の極間部の磁束密度と比較例1の永久磁石122のロータフレーム121の極間部の磁束密度とを比較して示す図 本発明の永久磁石22を設置したロータフレーム21の磁気集中部に生じる鉄損と比較例1の永久磁石122を設置したロータフレーム121の磁気集中部に生じる鉄損とを、比較して示す図 比較例2としての永久磁石222の断面を着磁方向とともに示す図 本発明の永久磁石22を備えるモータ、比較例1の永久磁石122を備えるモータ、および、比較例2の永久磁石を備えるモータについて、電気角とコギングトルクとの関係を示す図 本発明の永久磁石22を備えるモータ、比較例1の永久磁石122を備えるモータ、および、比較例2の永久磁石を備えるモータについて、誘起電圧、コギングトルク、極間部のロータフレームの磁束密度をそれぞれ比較して示す図
1 モータ
2 回転軸
10 ステータ
11 ヨーク
12 ティース
20 ロータ
21 ロータフレーム
22 永久磁石
23 極間部の磁束
121 ロータフレーム
122 永久磁石
123 極間部の磁束

Claims (4)

  1. ステータの外側に僅かなエアギャップを介して対向する面に複数の永久磁石が配置されるロータを有するモータにおいて、
    各々の前記永久磁石の回転軸に対する垂直方向の断面が、
    磁石中心線を中心として左右対称であ
    磁石中心線を中心とする曲線と、
    前記曲線を挟み込むように前記曲線に接続する磁石中心線に垂直な2本の直線と、を含む形状であり、
    さらに、前記磁石中心線に垂直な2本の直線に接続する磁石中心線に略平行な2本の直線と、をさらに含む形状であり、
    さらに、前記永久磁石の着磁方向が、前記磁石中心線に略平行方向であることを特徴とするモータ。
  2. 各々の前記永久磁石は、異方性磁石である請求項1に記載のモータ。
  3. 各々の前記永久磁石は、フェライト磁石である請求項に記載のモータ。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のモータを用いた電気機器。
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