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JP5321172B2 - 外耳道装着具及び生体信号測定装置 - Google Patents

外耳道装着具及び生体信号測定装置 Download PDF

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JP5321172B2 JP2009064761A JP2009064761A JP5321172B2 JP 5321172 B2 JP5321172 B2 JP 5321172B2 JP 2009064761 A JP2009064761 A JP 2009064761A JP 2009064761 A JP2009064761 A JP 2009064761A JP 5321172 B2 JP5321172 B2 JP 5321172B2
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Description

本発明は外耳道装着具及び生体信号測定装置に関し、生体内において生じ伝わる波動を電気信号として取得する技術分野などにおいて好適なものである。
従来、外耳道に挿入されるスプリング状の電極を用いて脳波等を取り出す外耳道電極ユニットが提案されている(例えば特許文献1)。
特開2008−67911公報
ところでかかるスプリング状の電極は、外耳道に挿入されるものであるため、該外耳道の内径よりも小さい範囲に位置するよう設計される。したがって、スプリング状の電極を外耳道に挿入した場合、スプリング状の電極と外耳道の内面との間には隙間が形成され、該隙間が、生体内に伝わる波動を電気信号として取り出す際の感度を極端に悪くする要因となってしまう。
一方、スプリング状の電極の外径が外耳道の内径に近似するほど、該電極が外耳道の内面にあたった状態で挿入され、外耳道の外傷や痛みを伴う確率が高くなる。また外耳道は個人差を有しているものであるため、装着者は自身にあったスプリング状の電極を有する外耳道電極ユニットを選択しなければならない。これらは、使い勝手が悪い要因となってしまう。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、測定精度を向上し得る使い勝手のよい外耳道装着具及び生体信号測定装置を提案しようとするものである。
課題を解決するために本発明は、外耳道装着具において、外耳道に挿入可能な管と、外耳道の内面と所定の隙間が形成される程度に管の外周面に沿って配される、柔軟性をもつ電極と、電極を、管の外周面から離れる方向に変形させて外耳道の内面に押え付けさせる押付手段と、外耳道の内面に押さえ付けられる電極の押し戻しを抑制する抑制手段とを設け、抑制手段により、電極の押し戻しに対する抑制の程度を段階ごとに切り換えるようにした
また本発明は、耳介の付け根に引っ掛けられる柔軟な鉤状部が形成される耳かけ具と、鉤状部の先端部分に設けられ、外耳道に装着される外耳道装具と、鉤状部の末端部分に設けられ、耳朶に装着される耳朶装具とが含まれる生体信号測定装置において、外耳道装具、外耳道に挿入可能な管と、外耳道の内面と所定の隙間が形成される程度に管の外周面に沿って配される、柔軟性をもつ電極と、電極を、管の外周面から離れる方向に変形させて外耳道の内面に押え付けさせる押付手段と、外耳道の内面に押さえ付けられる電極の押し戻しを抑制する抑制手段とを設け抑制手段により、電極の押し戻しに対する抑制の程度を段階ごとに切り換え、耳朶装具、耳朶に取り付け可能な基準電極を設け、耳かけ具、電極と、基準電極との電位差を生体信号として増幅するアンプを設けるようにした
本発明によれば、外耳道装着具外耳道に挿入可能な管と、外耳道の内面と所定の隙間が形成される程度に管の外周面に沿って配される、柔軟性をもつ電極と、電極を、管の外周面から離れる方向に変形させて外耳道の内面に押え付けさせる押付手段と、外耳道の内面に押さえ付けられる電極の押し戻しを抑制する抑制手段とを設け、抑制手段により、電極の押し戻しに対する抑制の程度を段階ごとに切り換えるようにしたことにより、外耳道の内面に毛が存在する場合、装着者が活動する場合、あるいは個人差にかかわらず、該外耳道の内面に対して電極を、その押さえ付け量を調整して所定の力が加わる状態で痛みなどを伴わせることなく密着させることができると共に、装着者に伝わる波動を、空気層を介することなく直に生体信号として取得することが可能となり、この結果、外耳道に電極を挿入するだけの場合に比べて感度を格段に向上させることができ、さらに挿入時には外耳道の内面に対する電極の接触を低減することができ、挿入後に所定の力が加わる状態で当接されたときには外耳道での電極の回転や奥への移動を防止することができ、かくして装着者にとって快適な装着感を提供し使い勝手を向上することができる。
生体信号測定装置(1)の構成を概略的に示す図である。 生体信号測定装置(2)の構成を概略的に示す図である。 外耳道装着具の構成を概略的に示す図である。 摺動管の移動に伴うフレキシブル電極の変形を概略的に示す図である。 耳朶装着具の構成を概略的に示す図である。 生体信号測定装置の装着手順を示すフローチャートである。 外耳道装着具の挿入の説明に供する概略図である。 外耳道の内面に対するフレキシブル電極の当接の説明に供する概略図である。 生体信号測定装置の装着状態を概略的に示す図である。 信号処理部の構成を示すブロック図である。 他の実施の形態による外耳道装着具の構成(1)を概略的に示す図である。 摺動管の移動に伴うばね電極の変形を概略的に示す図である。 他の実施の形態による外耳道装着具の構成(2)を概略的に示す図である。 他の実施の形態による外耳道装着具の構成(3)を概略的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下に示す順序とする。
<1.実施の形態>
[1−1.生体信号測定装置の構成]
[1−2.外耳道装着具の構成]
[1−3.耳朶装着具の構成]
[1−4.生体信号測定装置の装着手順]
[1−5.耳かけ本体内の信号処理部の構成]
[1−6.効果等]
<2.他の実施の形態>
<1.実施の形態>
[1−1.生体信号測定装置の構成]
図1及び図2において、生体信号測定装置1の構成を示す。この生体信号測定装置1は、外耳道に装着される器具(以下、これを外耳道装着具とも呼ぶ)2と、耳朶に装着される器具(以下、これを耳朶装着具とも呼ぶ)3と、耳(耳介)の付け根に引っ掛け可能な本体(以下、これを耳かけ本体とも呼ぶ)4とによって構成される。
耳かけ本体4は、例えばポリウレタン樹脂等でなる柔軟性をもつ部材を用いて、全体として鉤状に形成される。この耳かけ本体4は、耳(耳介)の付け根に引っ掛けられた場合、先端部分が外耳道の開口近傍に位置し、末端部分が耳朶近傍に位置するよう設計される。
耳かけ本体4の先端部分には貫通孔4Hが設けられ、該貫通孔4Hが設けられる部分の裏面4Bには外耳道装着具2が取り付けられる(図2参照)。一方、耳かけ本体4の末端部分の表面4Fには耳朶装着具3が取り付けられる(図1参照)。
耳かけ本体4の内部には、信号処理部が搭載された基板が設けられ、該信号処理部には外耳道装着具2及び耳朶装着具3が接続される。
[1−2.外耳道装着具の構成]
図3において、外耳道装着具2の構成を示す。この外耳道装着具2は、管状のベース部材(以下、これをベース管とも呼ぶ)11を有する。このベース管11の長さは、外耳道の開口から神経が密集し始める位置(鼓膜から開口側へ2[cm]程度の位置)の直前までの距離以下とされる。
ベース管11は、該ベース管11の長方向にスライド可能な管状の部材(以下、これを摺動管とも呼ぶ)12挿入される。この摺動管12の外径は、この実施の形態では外耳道の開口よりも大きいものとされる。なお、外耳道の開口よりも大きいものであることが必須の要件とされることはない。
ベース管11の一方の端部には、摺動管12が抜けることを抑える管状の部材(以下、これを管状蓋とも呼ぶ)13が嵌められる。この管状蓋13は、接着剤等の固定部材によって、耳かけ本体4の裏面4Bに対して、管状蓋13の中心と、耳かけ本体4の貫通孔4Hの中心とが一致する状態で固定される。なお、管状蓋13(即ちベース管11)と貫通孔4Hの断面の大きさ乃至形状は異なっていてもよいが、同一の大きさ乃至形状であるほうがより好ましい。
ベース管11の外周面には、該ベース管11に対する摺動管12の移動範囲を規制する管状の部材(以下、これを移動範囲規制部とも呼ぶ)14が設けられ、ベース管11の他方の端部にはフランジ15が設けられる。このフランジ15の外径は、移動範囲規制部14の外径よりも大きく、外耳道の内径よりも小さくされる。
このフランジ15のうち摺動管12と対向される面15Aには、移動範囲規制部14の外径に対応する位置よりも外側において、該面の外周に沿って所定間隔ごとに溝16n(nは2以上の整数)が形成される。一方、摺動管12のうちフランジ15と対向される面12Aには、フランジ15に形成される溝16nに対応付けられる位置に溝17nが形成される。
これら溝16n,17nには、柔軟性をもつ板状の電極(以下、これをフレキシブル電極とも呼ぶ)18nの端部がそれぞれ嵌められる。このフレキシブル電極18nの長さは、管状蓋13に当接される摺動管12の面12Aと、フランジ15の面15Aとの距離に相当する程度とされる。
したがってフレキシブル電極18nは、摺動管12が管状蓋13に当接される状態では、外耳道の内径よりも小さい外径となるフランジ15よりも内側において、ベース管11に対して平行に真っ直ぐな状態で配置されることとなる。
これに対して摺動管12がフランジ15側に移動されて管状蓋13から離れる場合、図4に示すように、管状蓋13との距離が大きくなるほど、フレキシブル電極18nはベース管11(又は移動範囲規制部14)の外周面に対して離れる方向に膨らむ。したがってフレキシブル電極18nは、外耳道の内径よりも小さい外径となるフランジ15よりも外側にはみでるよう配置されることになる。
この実施の形態の場合、ベース管11の外周面には、該ベース管11の長方向へ所定間隔ごとに、摺動管12の移動を規制するための凹状の溝(以下、これを移動規制用溝とも呼ぶ)19が形成される。また摺動管12の内周面には、移動規制用溝19に嵌まる凸状の爪(以下、これを嵌合爪とも呼ぶ)20が形成される。
したがってこの外耳道装着具2は、移動規制用溝19及び嵌合爪20によって、フレキシブル電極18nに対する膨らみの程度を段階ごとに保持することができるようになされている。
ところで、この外耳道装着具2におけるベース管11、移動範囲規制部14及びフランジ15は、1つの管部材からその一端から他端にわたって順に厚みが異なるよう成形される。したがって、別々の部材を組み立てる場合に比して部品点数が削減され、堅牢化が実現できる。
[1−3.耳朶装着具の構成]
図5において、耳朶装着具3の概略的な構成を示す。この耳朶装着具3は、耳朶を挟んで留めるクリップ21を有する。このクリップ21は、一方のアーム21Aと、他方のアーム21Bとを挟み軸21Cを介して連結される。
一方のアーム21Aのうち、耳朶に当接される部分(以下、これを耳朶当接部とも呼ぶ)と、他方のアーム21Bの耳朶当接部には、スポンジやゴム等の緩衝部材21Dがそれぞれ取り付けられる。
また一方のアーム21Aのうち耳朶当接部に対して逆側となる部分は、耳かけ本体4における末端部分の表面4Fに固定される。他方のアーム21Bのうち耳朶当接部に対して逆側となる部分には、基準とされる電極(以下、これをアース電極とも呼ぶ)22が連結される。このアース電極22は、耳朶と同程度の表面積のコイン形状でなり、クリップ21を持つ部分としても用いられる。
[1−4.生体信号測定装置の装着手順]
図6において、生体信号測定装置1の装着手順の一例を示す。まず、第1ステップSP1では、耳かけ本体4が耳(耳介)の付け根に引っ掛けられる。
この耳かけ本体4はポリウレタン樹脂等でなる柔軟性をもつ部材を用いて形成されているため、装着者に対して違和感を与えることなく容易に引っ掛けさせることができるようになされている。
第2ステップSP2では、図7に示すように、摺動管12が管状蓋13に当接される状態において外耳道装着具2が外耳道に挿入される。
摺動管12が管状蓋13に当接される状態では、フレキシブル電極18nが、外耳道の内径よりも小さい外径となるフランジ15よりも内側に位置し、また耳介の付け根に引っ掛けられた耳かけ本体4の先端部分は外耳道の開口近傍に位置する。このためこの生体信号測定装置1は、外耳道に対して、フランジ15が形成される先端側から外耳道装着具2を直感的かつ速やかに挿入することができるようになされている。
また摺動管12の外径は外耳道の開口よりも大きくされているため、この生体信号測定装置1は、外耳道における神経が密集する位置にまで外耳道装着具2の先端が到達してしまうことを未然に回避することができるようになされている。
第3ステップSP3では、摺動管12がフランジ15側に移動され、図8に示すように、外耳道の内面に対してフレキシブル電極18nが押え付けられる位置において、嵌合爪20が移動規制用溝19に嵌められる。
フレキシブル電極18nは、摺動管12と管状蓋13との距離が大きくなるほど、フランジ15よりも外側に大きく膨らむ構造である(図4)。このためこの外耳道装着具2は、外耳道形状の個人差にかかわらず、外耳道の内面に対してフレキシブル電極18nを当接させることができるようになされている。
また、移動規制用溝19及び嵌合爪20によって、フレキシブル電極18nに対する膨らみの程度が段階ごとに保持される(図4)。このためこの外耳道装着具2は、外耳道の内面に対するフレキシブル電極18nの接触圧を調整することができ、この結果、該接触圧を、装着者に痛みを感じさせることがない程度の装着感とすることができるようになされている。
第4ステップSP4では、耳朶装着具3におけるクリップ21が耳朶に挟んで留められる。耳介の付け根に引っ掛けられた耳かけ本体4の末端部分は耳朶近傍に位置する。このためこの生体信号測定装置1は、耳朶に対して、耳朶装着具3を直感的かつ速やかに挟んで留めることができるようになされている。なお、アース電極22は、耳朶程度の大きさのコイン形状であるため、装着者に対して耳朶に挟むときには持ちやすくさせることができるようになされている。
またクリップ21におけるアーム21A及び21Bの耳朶当接部には緩衝部材21Dが取り付けられているため、この耳朶装着具3は、装着者に痛みを感じさせることがない程度の装着感とすることができるようになされている。
以上の装着手順を経ることで、図9に示すように、生体信号測定装置1が耳に装着される。ただし、上述の装着の順序はあくまで例であり、該順序に限定されるものではない。
外耳道装着具2はその内部が空洞状態とされ(図3(A)等)、該空洞は耳かけ本体4の貫通孔4Hと連絡されているため、この生体信号測定装置1は、装着者の耳に装着された状態であっても耳を塞ぐことを回避し、聴力が損なわれることを防止する。したがってこの生体信号測定装置1は、快適性を損なわずに生体情報を測定することができるようになされている。
[1−5.耳かけ本体内の信号処理部の構成]
図10において、耳かけ本体4内の信号処理部30の構成を示す。この信号処理部30は、アンプ31、フィルタ32、A/D変換部33、解析部34及びメモリ35を含む構成とされる。メモリ35には、耳かけ本体4に内蔵されるものに限らず、USBメモリ、SDカードメモリ又はCFカードメモリのようにリムーバブルメモリが適用可能である。
信号処理部30は、これら各部31〜35に対して、例えば耳かけ本体4の表面に設けられる操作部から測定開始命令を受けた場合には電池等の電源電圧を供給し、該操作部から測定停止命令を受けた場合には電源電圧の供給を遮断するようになされている。
アンプ31は、外耳道装着具2におけるフレキシブル電極18nと、耳朶装着具3におけるアース電極22との電位差を生体信号として増幅し、当該増幅した生体信号をフィルタ32に与える。
フレキシブル電極18nは、外耳道の内面に対して所定の力が加わる状態で当接される(図8)。このためアンプ31は、装着者に伝わる波動を電位差として直接的にセンシングでき、この結果、外耳道にフレキシブル電極18nを挿入するだけの場合に比べて感度を格段に向上することができるようになされている。
また、外耳道の内面に位置するフレキシブル電極18nに対して、アース電極22は外耳道の外側である耳朶に位置するため、これら双方の電極を外耳道に位置させる場合等に比べて電極間の距離が大きく確保されている状態にある。このためアンプ31は、装着者の頭部における波動を広範囲に電位差としてセンシングすることができ、この結果、目的とすべき生体信号を正確に取得することができるようになされている。
フィルタ32には、測定対象とすべき周波数帯域が設定される。フィルタ32は、設定される周波数帯域以外の信号成分を除去し、当該除去した生体信号をA/D変換部33に与える。
この実施の形態では、測定対象とすべき周波数帯域は脳波に対応する周波数帯域とされ、該脳波に対応する周波数帯域以外の信号成分が除去された生体信号(以下、これを脳波信号とも呼ぶ)がA/D変換部33に与えられる。
ちなみに脳波に対応する周波数帯域には、デルタ波(1〜3[Hz])、シータ波(4〜7[Hz])、アルファ波(8〜13[Hz])、ベータ波(14〜30[Hz])、ガンマ波(31〜64[Hz])、オメガ波(65〜128[Hz])、ロー波(129〜512[Hz])、シグマ波(513〜1024[Hz])があるが、これら一部又は全部が測定対象とすべき周波数帯域として、所定の操作部で変更可能に設定される。
A/D変換部33は、脳波信号をディジタルデータ(以下、これを脳波データとも呼ぶ)に変換し、該脳波データを解析部34に与える。
解析部34は、CPU、ROM及びCPUのワークメモリであるRAMを含む構成とされる。このROMには、解析処理を実行させるプログラムや、外耳道の内面に対してフレキシブル電極18nが非接触であるとすべきレベル(以下、これを非接触レベル閾値とも呼ぶ)を示すデータなどが記憶される。
解析部34は、測定開始命令を受けた場合、ROMに格納されるプログラムをRAMに展開し、該プログラムにしたがって各種処理を実行するようになされている。すなわち解析部34は、測定開始時点から所定の期間(以下、これをキャリブレーション期間とも呼ぶ)にA/D変換部33から与えられる脳波データのレベルの平均と、非接触レベル閾値とを比較する。
このレベル平均が非接触レベル閾値を下回る場合、解析部34は、外耳道の内面に対してフレキシブル電極18nが非接触の状態であるとして、外耳道装着具2を再装着すべきことを、該外耳道装着具2に取り付けられたスピーカ(図示せず)を介して通知する。
一方、レベル平均が非接触レベル閾値以上となる場合、解析部34は、外耳道の内面に対してフレキシブル電極18nが接触された状態であるとして、A/D変換部33から与えられる脳波データをメモリ35に記憶する。
また解析部34は、レベル平均が非接触レベル閾値以上となる場合、A/D変換部33から与えられる脳波データに基づいて、ノンレム睡眠又はレム睡眠のステージを判定し、その判定結果を脳波データに関連付けるようになされている。
なお、ステージの判定は、例えば、単位時間当たりのデルタ波、シータ波又はアルファ波などの出現率や、所定の出現率が持続する期間などを要素として判定される。
[1−6.効果等]
以上の構成において、この外耳道装着具2は、ベース管11の外周面を、長方向に対して平行にスライドする摺動管12によって、該摺動管12とベース管11の一端との間に配されるフレキシブル電極18nを膨らませて外耳道の内面に押し付ける。
この外耳道装着具2は、外耳道の内面に対して所定の力が加わる状態でフレキシブル電極18nを当接させるため(図8参照)、該内面に毛が存在する場合や、装着者が活動する場合でも、その内面にフレキシブル電極18nを密着させることができる。
したがってこの外耳道装着具2は、装着者に伝わる波動を、空気層を介することなく直に生体信号として取得することが可能となり、この結果、外耳道にフレキシブル電極18nを挿入するだけの場合に比べて感度を格段に向上することができる。これに加えてこの外耳道装着具2は、外耳道でのフレキシブル電極18nの回転や奥への移動を防止することができ、この結果、装着者にとって快適な装着感を提供することができる。
なお、かかるフレキシブル電極18nは、外耳道の内面とある一定の隙間をもって挿入されるものであるため、挿入時には外耳道の内面に対する接触を低減することができる。一方、挿入後に所定の力が加わる状態で当接されたときには外耳道での電極の回転や奥への移動を防止することができる。
またこの外耳道装着具2は、摺動管12のスライド量によって、外耳道の内面に対するフレキシブル電極18nの押さえ付け量を調整することができるため(図4参照)、装着者の個人差にかかわらずフレキシブル電極18nを押し付けることができる。これに加えて、痛みなどを伴わせることなくフレキシブル電極18nを押し付けることが可能となり、装着者にとって快適な装着感を提供することができる。
またこの外耳道装着具2は、スピーカを有し、該スピーカから、外耳道の内面に対して電極が非接触又はその可能性がある場合にはメッセージが通知される。したがってこの外耳道装着具2は、生体信号に対する感度が低減している状態での測定を未然に防止することができ、この結果、測定精度を向上することができる。
なお、この外耳道装着具2は、耳かけ本体4に設けられているため(図1又は図2参照)、外耳道に対して挿入又は取り外すときなどに落とすといったことを防止することができ、またフレキシブル電極18nに接続される配線を耳かけ本体4内部に納めることができる。したがってこの外耳道装着具2は、外耳道に対して挿入又は取り外すときなどに外耳道装着具2自体を紛失する、あるいは、コードに絡まるといったことを回避することができ、使い勝手を向上することができる。
<2.他の実施の形態>
上述の実施の形態では、ベース管11の外周面を、該ベース管11の長方向に対して平行にスライドする摺動管12が、フレキシブル電極18nを、ベース管11の外周面から離れる方向に変形させて外耳道の内面に押え付けさせた。
しかしながら、電極を、管の外周面から離れる方向に変形させて外耳道の内面に押え付けさせる手段はこの実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態を適用することができる。
例えば、図3との対応部分に同一符号を付した図11において、他の実施の形態による外耳道装着具の構成を示す。この外耳道装着具ではベース管11の外周面に対してねじ溝40が形成される。このねじ溝40に対応するねじ溝41を内周面にもつ摺動管42が、ベース管11の外周面をねじ溝40に沿って螺旋状にスライドする。この摺動管42の外径はフランジ15の外径と同程度とされる。
またベース管11には、柔軟性をもち、移動範囲規制部14の外周面に沿って所定ピッチで螺旋状に巻回される電極(以下、これをばね電極とも呼ぶ)43が通される。このばね電極43外径は外耳道の内径よりも小さくされ、該ばね電極43の一端は摺動管42の外周面に形成される凸部44に引っ掛けられ、他端はフランジ15の外周面に形成される凸部45に引っ掛けられる。
またこのばね電極43の巻回方向は、螺旋状にスライドする摺動管42のスライド方向(ねじ溝40の巻回方向)と正反対とされる。したがって、摺動管42がフランジ15側に移動されて管状蓋13から離れる場合、図12に示すように、管状蓋13との距離が大きくなるほど、ばね電極43はベース管11(又は移動範囲規制部14)の外周面に対して離れる方向に膨らむことになる。
このようにこの外耳道装着具では、ベース管11の外周面を螺旋状にスライドする摺動管42が、当該スライド方向とは逆側に巻回されるばね電極43を広がるように膨らませて外耳道の内面に押え付けさせるようになされている。外耳道装着具2に比べて、外耳道の内面に対する単位長さあたりの接触面積が大きくなるため、生体情報のセンシング感度の観点ではこの外耳道装着具のほうが有利となる。
また別例として、外耳道装着具2におけるフレキシブル電極18nと、溝16n,17nに代えて、ばね電極43と、凸部4,4を適用した構成が適用されてもよい。また外耳道装着具2におけるフレキシブル電極18nに代えて、管状でなるフレキシブル電極を適用した構成が適用されてもよい。
また別例として、図3との対応部分に同一符号を付した図13において、他の実施の形態による外耳道装着具の構成を示す。この外耳道装着具ではベース管11の両端に対して外耳道の内径よりも小さい外径のフランジ15X,15Yが設けられ、そのフランジ15X,15Y間にフレキシブル電極18nが固定される。
このフレキシブル電極18nと、ベース管11の外周面との間にはチューブ50が設けられ、該チューブ50には、気体を投入する気体投入部が連結される。この空気投入部は例えば耳かけ本体4に設けられる。
したがって、空気投入部からチューブ50に気体が投入される場合、該気体の投入によって膨らむチューブ50に応じて、フレキシブル電極18nは、ベース管11の外周面に対して離れる方向にたわむことになる。
このようにこの外耳道装着具では、ベース管11の外周面及びフレキシブル電極18n間に設けられるチューブ50と、該チューブ50に気体を投入する気体投入部とが、フレキシブル電極18nを弓なりに曲げて外耳道の内面に押え付けさせるようになされている。
なお、この外耳道装着具におけるフレキシブル電極18nは、管状でなるフレキシブル電極としてもよく、またばね電極43としてもよい。
また別例として、図14(A)に示すように、スポンジ材でなり、外耳道の内径よりも大きい内径のベース管60と、該ベース管の外周面に対して所定間隔で接着されたフレキシブル電極18nとでなる外耳道装着具が適用されてもよい。
この外耳道装着具は、ベース管60を外耳道の内径よりも小さく潰された状態で(図14(B))、外耳道に挿入される。フレキシブル電極18nは、ベース管60が元の状態に復帰しようとする力によって外耳道の内面方向に広がるように移動する(図14(C),(D))。
このようにこの外耳道装着具では、スポンジ材でなるベース管60自体における元の状態に復帰しようとする力が、フレキシブル電極18nを、ベース管60の外周面から離れる方向に変位させて外耳道の内面に押え付けさせるようになされている。この外耳道装着具は、ベース管60を潰して挿入する操作だけでよく、また外耳道装着具2に比べて部品点数が少ないことから、使い勝手の観点及び構成の簡易化の観点では有利となる。
なお、電極を、管の外周面から離れる方向に変形させて外耳道の内面に押え付けさせる手段はこれら例示以外にも、当該趣旨を逸脱しない程度に採用することができる。
上述の実施の形態では、ベース管11の外周面に対して、ベース管11の長方向へ所定間隔で設けられる移動規制用溝19と、摺動管12の内周面に対して設けられる嵌合爪20とが、外耳道の内面に押さえ付けられるフレキシブル電極18nの押し戻しを抑制した。
しかしながら、外耳道の内面に押さえ付けられる電極の押し戻しを抑制する手段はこの実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態を適用することができる。
例えば、図11に示した外耳道装着具では、外耳道の内面にばね電極43を押え付けたときにはその応力が、該ばね電極43及び摺動管4を介して管状蓋13の方向に発生する。この方向に対して、ベース管11の外周面に螺旋状に形成されるねじ溝40と、摺動管4の内周面に対して、ねじ溝40に対応させて形成されるねじ溝41との方向が交差状態にあるため、当該位置で摺動管4は静止される。
このようにこの外耳道装着具では、ベース管11の外周面に螺旋状に形成されるねじ溝40と、摺動管4の内周面に対して、ねじ溝40に対応させて形成されるねじ溝41とが、ばね電極43の押し戻しを抑制するようになされている。ただし、ねじ溝40,41以外に加えて、摺動管4の位置を解除可能な状態で固定する機構が設けられてもよい。
また別例として、図13に示す外耳道装着具では、チューブ50と、該チューブ50に気体を投入する空気投入部と連結部分にバルブ(図示せず)を設け、該バルブが、チューブ50内が投入すべき気体量となったときに連結部分を閉めるようにする。このようにこの外耳道装着具では、バルブがフレキシブル電極18nの押し戻しを抑制するようになされている。
また別例として、図14に示す外耳道装着具では、スポンジ材でなるベース管60自体における元の状態に復帰しようとする力が、フレキシブル電極18nの押し戻しを抑制するようになされている。
なお、外耳道の内面に押さえ付けられる電極の押し戻しを抑制する手段はこれら例示以外にも、当該趣旨を逸脱しない程度に採用することができる。
上述の実施の形態では、クリップ21に対してアース電極22が取り付けられたが、該クリップ21自体が基準電極とされてもよい。またアース電極22は、クリップ21に対して取り外し可能に構成してもよい。
上述の実施の形態では、摺動管12又は42の形状が管状とされたが、耳甲介腔部に嵌めることができる形状としてもよい。このようにすれば、耳甲介腔部に嵌められる摺動管12又は42が、外耳道の内面に押え付けられる電極のずれや回転を回避でき、該外耳道の内面に対して電極をより安定かつ強固に押え付けることができる。
上述の実施の形態では、耳かけ本体4が全体として鉤状とされたが、当該鉤状部分を有しているものであればよい。
上述の実施の形態では、測定対象が脳波とされたが筋電位としてもよく、また脳波と筋電位とを切換できるようにしてもよい。なお、筋電位を測定対象とする場合、フィルタ部32に対して、筋電位に対応する周波数帯域を設定し、該フィルタ部32がその周波数帯域以外の信号成分を除去する。また、解析部34は、外耳道の内面に対してフレキシブル電極18nが非接触であるとすべき筋電位データの限界レベルを示すデータ(非接触レベル閾値)と、A/D変換部33からキャリブレーション期間に与えられる筋電位データのレベルの平均とを比較する。
このようにすれば、上述の実施の形態と同様にして、筋電位を測定対象とすることができる。なお、周波数帯域の設定は、例えば耳かけ本体4の表面に設けられる操作部から行う構成とすることができ、また非接触レベル閾値の設定は、周波数帯域の設定内容に応じて自動的に切り換える構成とすることもできる。
上述の実施の形態では、生体信号測定装置1の装着対象が片耳とされたが両耳とされてもよい。この場合、一方の耳を装着対象とする生体信号測定装置1における信号処理部30では、解析部34及びメモリ35が省かれる。この信号処理部30におけるA/D変換部33での変換結果は、他方の耳を装着対象とする生体信号測定装置1における信号処理部30の解析部34に与えられる。
なお、一方の耳を装着対象とする生体信号測定装置1における信号処理部30のフィルタ32と、他方の耳を装着対象とする生体信号測定装置1における信号処理部30のフィルタ32とに対して測定対象として設定すべき周波数帯域は同一であってもよく、相違していてもよい。
周波数帯域を同一とする場合、解析部34は、一方のA/D変換部33から与えられる脳波データ(又は筋電位データ)と、他方のA/D変換部33から与えられる脳波データ(又は筋電位データ)との論理和を演算する構成とすることができる。この場合、各脳波データ(又は筋電位データ)の加算によって、メモリ35に記憶すべき脳波データ(又は筋電位データ)のS/N比が改善される。
一方、周波数帯域を相違させる場合、解析部34は、一方のA/D変換部33から与えられる脳波データをメモリ35に記憶するとともに、他方のA/D変換部33から与えられる筋電位データを脳波データに関連付けてメモリ35に記憶する。また例えば、筋電位データに基づいて、覚醒状態や顔の表情を判定し、その判定結果を脳波データに関連付けることもできる。この関連付けは、睡眠障害や疾患を特定する指標として用いることができる。
なお、測定対象は、脳波又は筋電位のほかに、体温や脈拍を加えることもできる。この場合、外耳道装着具に対して、例えば光学方式の体温センサや脈拍センサを設け、当該センサから与えられる信号は、A/D変換部33を介して解析部34に与える。解析部34は、体温データ又は脈拍データを脳波データに関連付けてメモリ35に記憶する。かかる関連付けは、睡眠障害や疾患を特定する指標として用いることができる。
上述の実施の形態では、電極が外耳道の内面に直に押え付けられが、該電極に対して、水、油又はグリセリン等のように、波動を効率よく伝達するための接触媒質が付されてもよい。なお、接触媒質を電極に流す機構が設けられる構成としてもよい。例えば、耳かけ本体4内に接触媒質を貯める容器が設けられ、該容器に設けられるバルブに対して、接触媒質を電極に流す針状の管部材が連結され、該管部材の先端が電極の一端部分に配置される構成をとることができる。
本発明は、医用産業やゲーム産業などにおいて利用可能性を有する。
1……生体信号測定装置、2……外耳道装着具、3……耳朶装着具、4……耳かけ本体、11,60……ベース管、12,42……摺動管、13……管状蓋、14……移動範囲規制部、15……フランジ、16n,17n……溝、18n……フレキシブル電極、19……移動規制用溝、20……嵌合爪、21……クリップ、22……アース電極、30……信号処理部、31……アンプ、32……フィルタ、33……A/D変換部、34……解析部、35……メモリ、40,41……ねじ溝、43……ばね電極、44,45……凸部、50……チューブ。

Claims (9)

  1. 外耳道に挿入可能な管と、
    上記外耳道の内面と所定の隙間が形成される程度に上記管の外周面に沿って配される、柔軟性をもつ電極と、
    上記電極を、上記管の上記外周面から離れる方向に変形させて上記外耳道の上記内面に押え付けさせる押付手段と、
    上記外耳道の上記内面に押さえ付けられる上記電極の押し戻しを抑制する抑制手段と
    を有し、
    上記抑制手段は、
    上記電極の押し戻しに対する抑制の程度を段階ごとに切り換える
    耳道装着具。
  2. 上記電極は、一端が上記管の一方の端部に固定され、
    上記押付手段は、
    上記電極の他端が固定され、上記管の上記外周面を、該管の長方向にスライドする管状部材でなり、
    上記抑制手段は、
    上記管状部材の位置を、解除可能な状態で固定する機構でなる
    請求項に記載の外耳道装着具。
  3. 上記電極は、上記管の上記外周面に沿って螺旋状に巻かれ、一端が上記管の一方の端部に固定され、
    上記押付手段は、
    上記電極の他端が固定され、上記管の上記外周面を、上記電極が巻かれる方向とは逆方向へ螺旋状にスライドする管状部材でなり、
    上記抑制手段は、
    上記管の上記外周面に対して螺旋状に形成される溝と、上記管状部材の内周面に対して上記溝に対応させて形成される溝とでなる
    請求項に記載の外耳道装着具。
  4. 上記管は、スポンジ材を用いて上記外耳道の内径よりも大きい径に形成され、
    上記電極は、上記管の上記外周面に所定間隔で接着される板状の電極でなり、
    上記押付手段及び上記抑制手段は、潰された上記管が元の状態に復帰しようとする力である
    請求項に記載の外耳道装着具。
  5. 上記管状部材は、耳甲介腔に嵌まる形状とされる
    請求項又は請求項に記載の外耳道装着具。
  6. 外耳道装着具は、
    耳介の付け根にかけられる鉤状部の先端部分に設けられ、
    上記鉤状部には、上記電極と、該鉤状部の末端部分に対して、耳朶に取り付け可能に設けられる基準電極との電位差を増幅するアンプが設けられる
    請求項に記載の外耳道装着具。
  7. 耳介の付け根に引っ掛けられる柔軟な鉤状部が形成される耳かけ具と、
    上記鉤状部の先端部分に設けられ、外耳道に装着される外耳道装具と、
    上記鉤状部の末端部分に設けられ、耳朶に装着される耳朶装具と
    が含まれる生体信号測定装置であって、
    上記外耳道装具は、
    上記外耳道に挿入可能な管と、
    上記外耳道の内面と所定の隙間が形成される程度に上記管の外周面に沿って配される、柔軟性をもつ電極と、
    上記電極を、上記管の上記外周面から離れる方向に変形させて上記外耳道の上記内面に押え付けさせる押付手段と、
    上記外耳道の上記内面に押さえ付けられる上記電極の押し戻しを抑制する抑制手段と
    を有し、
    上記抑制手段は、
    上記電極の押し戻しに対する抑制の程度を段階ごとに切り換え、
    上記耳朶装具は、
    上記耳朶に取り付け可能な基準電極
    を有し、
    上記耳かけ具は、
    上記電極と、上記基準電極との電位差を生体信号として増幅するアンプ
    を有する生体信号測定装置。
  8. 上記外耳道装具は、
    スピーカ
    をさらに有し、
    上記耳かけ具は、
    上記アンプにより増幅される上記生体信号のうち、所定期間における生体信号の平均レベルが、上記外耳道の上記内面に対して上記電極が非接触であるとすべきレベルを下回る場合、上記スピーカを介してメッセージを通知する通知手段
    をさらに有する
    請求項に記載の生体信号測定装置。
  9. 上記耳かけ具は、
    上記平均レベルが上記レベル以上となる生体信号が記憶されるメモリ
    をさらに有する
    請求項に記載の生体信号測定装置。
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