(第1の実施形態)
図1〜図11を参照して、本発明の差込接続器をサーバ機器等が収納される情報ラックに取り付けられる情報ラック用コンセントとして具体化した第1実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、情報ラックJRと差込接続器1との関係及び差込接続器1の電力供給構造について説明する。なお図3及び図11では、差込接続器1のケーブル1Cを省略して示している。また図2ではプラグ2を省略して示している。
図1に示すように、情報ラックJRは、その外枠を構成する枠体部J1により箱状に形成されている。この情報ラックJRには、その前方が開口するとともにサーバ機器(不図示)が収納される空間である収納部JSが設けられている。そして情報ラックJRには、収納部JSを上側収納部JS1及び下側収納部JS2の上下方向に2分割する仕切部材J2が設けられている。
枠体部J1は、情報ラックJRの外側となる外側枠体部J11と、この外側枠体部J11より所定間隔を介して内側に設けられ、収納部JSを構成する内側枠体部J12とから構成されている。これら外側枠体部J11と内側枠体部J12との間には、上下方向に延びるとともに略平板形状に形成されたコンセント取付部J13が設けられている。
本実施形態の差込接続器1は、コンセント取付部J13の上下方向の下方に取り付けられている。具体的には、差込接続器1の上下方向の両側に設けられた上側ねじ挿通孔1D及び下側ねじ挿通孔1EにねじSC1をそれぞれ挿入した状態にて、ねじSC1をコンセント取付部J13に固定することにより、情報ラックJRに差込接続器1は取り付けられている。
差込接続器1は、商用電源となる交流電源ACから分電盤BRを介して直流電力が供給されている。具体的には、分電盤BRには、AC/DCコンバータBR1が設けられており、交流電源ACの交流電力を直流電力に変換している。また分電盤BRと差込接続器1とは、ケーブル1Cにて互いに接続されている。これにより、直流電力はケーブル1Cを介して差込接続器1内に設けられた電力供給部材1B(図3(b)参照)に供給されるようになる。そして、サーバ機器に設けられたプラグ(不図示)が差込接続器1に接続されることにより、サーバ機器に直流電力が供給されるようになる。なお、ケーブル1Cは、2本の電極側電線と1本の接地側電線とから構成されている。
次に、図2及び図3を参照して、差込接続器1の構成について説明する。
図2(a)に示すように、差込接続器1は、その外枠を構成するとともに略直方体状に形成された器体1Aと、この器体1A内に収納された電力供給部材1B(図3(b)参照)と、電力供給部材1Bに直流電力を供給するケーブル1Cとにより構成されている。以降では、差込接続器1に対するプラグ2の挿入方向を「前後方向」とし、この前後方向の平面視において、器体1Aの長手方向を「上下方向」とし、器体1Aの短手方向を「左右方向」とする。また、前後方向において、差込接続器1に対するプラグ2側を「前方」とし、差込接続器1側を「後方」とする。また、上下方向と左右方向とは互いに直交している。
器体1Aには、樹脂材料を用いて射出成形することにより成形されるとともに前後方向の前方が開口した略箱状のボディ10と、樹脂材料を用いて射出成形することにより成形されるとともに前後方向の後方が開口した略箱状のカバー20とが設けられている。そしてボディ10及びカバー20によって形成される内部空間には、プラグ2に接続されるとともにプラグ2に直流電力を供給する電力供給部材1Bが収納されている。
カバー20は、上下方向に沿って配列された6個の差込接続部22が設けられる第1カバー20Aと、ケーブル1Cが接続されるケーブル接続部11(図3(b)参照)を前後方向の前方から覆う第2カバー20Bとから構成されている。上記差込接続部22には、直流電源用のプラグ2が着脱可能に接続されるようになる。
図2(b)に示すように、差込接続部22には、この差込接続部22の前後方向の前方の面である前面22aより前後方向の後方に凹む周壁挿入溝23が設けられている。この周壁挿入溝23は、前後方向の前方から見た平面視において略四角形状の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の両側の隅を切り取った形状として形成されている。より詳細には、周壁挿入溝23の上記切り取った形状には、傾斜部23aが設けられている。この周壁挿入溝23によって囲まれた部位には、上記前面22aと前後方向において面一となる前面24aを有する表面部24が設けられている。この表面部24の外周縁は、周壁挿入溝23の形状と同様に前後方向の前方から見た平面視において略四角形状の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の両側の隅を切り取った形状として形成されている。また表面部24には、3つのピン挿入孔25が設けられている。これらピン挿入孔25は、前後方向の平面視において円形の貫通孔として設けられている。
ピン挿入孔25は、2つの電源挿入孔25Aと1つの接地挿入孔25Bとから構成されている。電源挿入孔25Aは、表面部24の外周縁のうちの左右方向に沿った一辺であるとともにこの表面部24の上下方向の上方の辺を基準辺24bとして、この基準辺24bに沿って配列されている。接地挿入孔25Bは、電源挿入孔25Aよりも基準辺24bに上下方向に対向する上記外周縁の一辺24cに近づくように偏った位置に設けられている。即ち接地挿入孔25Bは電源挿入孔25Aよりも上下方向の下方に設けられている。
より具体的には、電源挿入孔25Aは、表面部24の一辺24cよりも基準辺24bに近づくように偏った位置に設けられている。即ち電源挿入孔25Aは、表面部24の中心位置C1(即ち、表面部24の対角線(一点鎖線)の交点)に対して上下方向の上方にそれぞれ設けられている。そして電源挿入孔25Aは、上記中心位置C1に対して左右方向に沿った両側にそれぞれ配列されている。特に、電源挿入孔25Aの上下方向における一辺24c側の端部である上下方向の下端部25aは、上記中心位置C1を含む左右方向に沿った直線L1(二点鎖線)よりも基準辺24b側、即ち直線L1よりも上下方向の上方にそれぞれ配置されている。
接地挿入孔25Bは、中心位置C1に対して上下方向の下方に設けられている。また接地挿入孔25Bは、2つの電源挿入孔25Aの左右方向の中央位置に設けられている。即ち接地挿入孔25Bは、中心位置C1と左右方向に同位置に設けられている。特に、接地挿入孔25Bの上下方向における基準辺24b側の端部である上端部25bは、上記直線L1よりも一辺24c側、即ち直線L1よりも上下方向の下方に配置されている。
傾斜部23aは、直線L1より上下方向の下方にのみ設けられている。これにより、傾斜部が直線L1より上下方向の上方から下方に向けて設けられる構成と比較して、傾斜部23aと電源挿入孔25Aとの距離を大きくすることができる。
表面部24の上下方向の上方では、表面部24の左右方向の幅H1(図2(b)参照)が上下方向において略同等に形成されている。したがって、2つの電源挿入孔25Aを中心位置C1よりも上下方向の上方に設けたとしても、差込接続部22が大型化することが抑制されるため、図21(b)に示す差込接続部200が大型化する問題が抑制される。
また図22(a)に示すように、差込接続部300の表面部302には、上下方向の下方に1つの接地挿入孔304が設けられている。この接地挿入孔304は、2つの電源挿入孔303の左右方向の中央位置に設けられるとともに上下方向が長手となる長方形にて形成されている。
本実施形態の接地挿入孔25Bの面積と同一の面積を有する接地挿入孔304を形成する場合には、接地挿入孔304の上下方向の上端部が中心位置CR4より上方まで形成するようになる。したがって、左右方向において電源挿入孔303及び接地挿入孔304が重なってしまう。その結果、接地挿入孔304と各電源挿入孔303との最短距離である左右方向の距離DR6が小さくなってしまう。即ち、プラグの電源側ピンと接地側ピン(ともに不図示)とが互いに近接して配置されるようになる。
そこで、図22(b)に示すように、周壁挿入溝301の外径DR3,DR4を大きく形成することにより、表面部302を大きく形成する構成が考えられる。これにより図22(a)の差込接続部300の構成と比較して上記距離DR6を大きくすることができる。
しかしながら、上述のように図22(b)の差込接続部300の構成では、差込接続部300が大型化してしまう。
その点において、本実施形態では、電源挿入孔25Aが円形に設けられるため、電源挿入孔303と比較して、上下方向の幅を狭くすることができる。したがって、差込接続部22を大型化することなく、電源挿入孔25Aを表面部24の中心位置C1よりも上下方向の上方に位置することができるようになる。
また、接地挿入孔25Bも円形に設けられるため、接地挿入孔304と比較して、上下方向の幅を狭くすることができる。したがって、差込接続部22を大型化することなく、接地挿入孔25Bを表面部24の中心位置C1よりも上下方向の下方に位置することができる。また、上述のような電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bの位置関係により、接地挿入孔304と電源挿入孔303との距離DR6(図22(a)参照)と比較して、電源挿入孔25Aと接地挿入孔25Bとの最短距離を大きくすることができる。これにより、差込接続部300に対応するプラグと比較して、プラグ2の電源側ピン51Aと接地側ピン51B(ともに図4参照)との最短距離を大きくすることができる。
図3(a)に示すように、差込接続部22は、上下方向において電源挿入孔25Aが上方となり、接地挿入孔25Bが下方となるように設けられている。そして各電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bは、全ての差込接続部22に亘り互いに左右方向の位置が等しくなるように形成されている。
また器体1Aの上下方向の下端部には、ケーブル1C(図1参照)を挿通するとともに、器体1Aを上下方向に貫通したケーブル挿通孔1Fが設けられている。
図3(b)に示すように、電力供給部材1Bは、ケーブル1Cと接続するケーブル接続部11と、ケーブル接続部11に接続する刃受接続部12と、刃受接続部12に接続された刃受部材13とから構成されている。
ケーブル接続部11には、ケーブル1Cと接続する第1接続部11aと、この第1接続部11aと刃受接続部12とを互いに接続する3本のケーブルによって構成された第2接続部11bとが設けられている。第1接続部11aは、2つの電極接続部11a1とこれら電極接続部11a1の間に設けられた接地接続部11a2とにより構成されている。
刃受接続部12は、左右方向に離間して配置されるとともにそれぞれが上下方向に沿って延びる平板状の3個の銅板により構成されている。各刃受接続部12の上下方向の下端部は、第2接続部11bと接続している。
刃受部材13は、差込接続部22の電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bのそれぞれの位置に対応して配置されるとともに、各刃受接続部12にそれぞれ接続されている。具体的には、各刃受部材13は、各刃受接続部12に対して上下方向に所定間隔を介して6個接続されている。
次に、図4及び図5を参照して、プラグ2の構成について説明する。
図4に示すように、プラグ2は、ケーブル部2Aと、このケーブル部2Aと接続するプラグ本体部2Bとにより構成されている。プラグ本体部2Bは、樹脂材料を射出成形により形成されたケース50と、このケース50に収納されるとともにケーブル部2Aからの電力を受ける接続部材(不図示)と、この接続部材に接続されるプラグピン51から構成されている。
ケース50は、前後方向の前方から後方に向かい順に第1ケース52、第2ケース53及び周壁54から構成されている。
第1ケース52は、ケーブル部2Aの一部及び接続部材をそれぞれ収納している。この第1ケース52の前後方向の前方の端面からケーブル部2Aが前後方向の前方に向かい延びるようになる。
第2ケース53は、第1ケース52とねじSC2により固定されるとともにプラグピン51の前後方向の前方の部位を収納している。
周壁54は、第2ケース53の前後方向の後方の端面から前後方向の後方に向かい延びている。そして第2ケース53及び周壁54は、単一部材として構成されている。この周壁54は、プラグピン51を外側より覆うように形成されている。具体的には、周壁54は、前後方向の後方からの平面視において、略四角形状の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の両側を切り取った形状として形成されている。より詳細には、周壁54の上記切り取った形状として傾斜部54aが設けられている。第2ケース53の左右方向の両側の側面には、差込接続部22と係合するロック部55が設けられている。
ロック部55は、前後方向の前方から後方に向かい順に押圧部55a、連結部55b及び係合部55cから構成されている。このロック部55は、周壁54に連結されている。言い換えれば、周壁54及びロック部55は、単一部材として構成されている。
図5(a)に示すように、プラグピン51は、第2ケース53に設けられた差込接続器1の差込接続部22(図2参照)と前後方向に対向する対向面50aの左右方向の一辺に沿って配列される2つの電源側ピン51Aと、電源側ピン51Aより上下方向の下方に設けられる1つの接地側ピン51Bとにより構成されている。電源側ピン51Aは、周壁54の前後方向の後方の端部よりも若干前後方向の前方まで延びるように設けられている。接地側ピン51Bは、周壁54の同端部よりも若干前後方向の後方まで延びるように設けられている。
電源側ピン51Aは、周壁54の中心位置C2(即ち、周壁54の対角線(一点鎖線)の交点)に対して上下方向の上方にそれぞれ設けられている。そして電源側ピン51Aは、上記中心位置C2に対して左右方向に沿った両側にそれぞれ配列されている。特に、電源側ピン51Aの上下方向の下端部51aは、上記中心位置C2を含む左右方向に沿った直線L2(二点鎖線)よりも上下方向の上方にそれぞれ配置されている。
接地側ピン51Bは、上記中心位置C2に対して上下方向の下方に設けられている。そして接地側ピン51Bは、2つの電源側ピン51Aの左右方向の中央位置(即ち、中心位置C2と左右方向において同位置)に設けられている。特に、接地側ピン51Bの上下方向の上端部51bは、上記直線L2よりも上下方向の下方に配置されている。
図5(b)に示すように、第1ケース52における左右方向の両側面の前後方向の後方の端部には、前後方向の前方に向かい凹む凹部52aが設けられている。第2ケース53における左右方向の両側面の前後方向の前方の端部には、これら凹部52aにそれぞれ嵌合する突起部53aが設けられている。ロック部55は、この突起部53aと上下方向の同位置に設けられている。
第2ケース53の両側面には、それぞれ押圧部55a及び連結部55bを収納する切欠部53bが設けられている。この切欠部53bの上下方向の幅は、押圧部55a及び連結部55bのそれぞれの上下方向の幅よりも大きくなるように形成されている。
周壁54の両側面には、係合部55cを収納する切欠部54bが設けられている。そして周壁54の両側面における前後方向の後方の端部のそれぞれには、係合部55cと連結するロック連結部54cが設けられている。
また、連結部55bの上下方向の幅は、押圧部55aの上下方向の幅よりも大きくなるように形成されている。そして、係合部55cの上下方向の幅は、連結部55bの上下方向の幅よりも大きくなるように形成されている。
図5(c)に示すように、押圧部55aは、第2ケース53の両側面から突出するように設けられている。具体的には、押圧部55aは、前後方向の前方に向かうにつれて左右方向の外側、即ち第2ケース53の両側面から離れていく側に傾斜する傾斜形状として設けられている。
係合部55cは、前後方向の後方から前方に向かい順に第1傾斜部55c1、第2傾斜部55c2及び第3傾斜部55c3から構成されている。
第1傾斜部55c1は、ロック連結部54cに連結されている。そして第1傾斜部55c1は、前後方向の前方に向かい左右方向の外側、即ち周壁54の両側面からそれぞれ離れる側に傾斜している。
第2傾斜部55c2は、第1傾斜部55c1の前後方向の前方の端部に連結されている。そして第2傾斜部55c2は、前後方向の前方に向かい左右方向の外側に傾斜している。この第2傾斜部55c2の傾斜角度α2は、第1傾斜部55c1の傾斜角度α1とは互いに異なっている。具体的には、傾斜角度α2が傾斜角度α1よりも大きくなるように形成されている。
第3傾斜部55c3は、第2傾斜部55c2の前後方向の前方の端部及び連結部55b(図5(b)参照)の両方に接続されている。そして第3傾斜部55c3は、前後方向の前方に向かい左右方向の外側に傾斜している。この第3傾斜部55c3の傾斜角度α3は、傾斜角度α1と同等となるように形成されている。
図5(d)に示すように、係合部55cの幅は、第2傾斜部55c2から第1傾斜部55c1に向かい、即ち前後方向の前方から後方に向かい狭くなるように形成されている。
プラグ2には、プラグピン51を保持するピン保持部56が設けられている。このピン保持部56には、プラグピン51を左右方向から挟む左右方向の両側において、前後方向の後方に凹む凹部56aが設けられている。この凹部56aには、連結部55bに設けられた突部55b1が収納されるようになる。具体的には、突部55b1は、凹部56aを構成する左右方向の外方の壁部に接触している。これにより、ロック部55が左右方向の外方へ過度に変形することが抑制されるようになる。
次に、図6〜図8を参照して、差込接続器1にプラグ2を挿入するときの構成、及び差込接続器1からプラグ2を抜き去るときの構成について説明する。
図6(a)に示すように、差込接続器1にプラグ2が挿入されるとき、差込接続部22の周壁挿入溝23にはプラグ本体部2Bの周壁54が挿入され、ピン挿入孔25にはプラグピン51が挿入される。
ところで、図20に示すように、従来のIEC規格に準拠した差込接続部110では、周壁挿入溝111及び周壁102が円環形状に形成されるため、プラグ100の周壁102が周方向の360度に亘り、周壁挿入溝111に挿入されてしまう。
その点において、本実施形態では、周壁挿入溝23及び周壁54の両方が前後方向の前方から見た平面視において略四角形状の四隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の両側を切り取った形状であるため、周壁54が周壁挿入溝23に対して挿入される方向は、1方向に限定されるようになる。したがって、差込接続器1に対してプラグ2の挿入方向が限定されることにより、作業者が差込接続器1にプラグ2を挿入する方向を容易に決定することができる。その結果、作業者がプラグ2を差込接続器1に容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができる。
図6(b)に示すように、プラグ2のプラグ本体部2Bの左右方向の幅は、差込接続器1の器体1Aの左右方向の幅と略同等である。詳細には、プラグ2のロック部55の押圧部55aが器体1Aよりも左右方向の外側に若干突出するようになる。
また、プラグ2のロック部55は、左右方向にそれぞれ設けられるため、このロック部が上下方向に設けられた構成と比較して、上下方向に隣り合うプラグ2を上下方向に互いに近接することができ、差込接続器1の上下方向の大型化が抑制されるようになる。
詳細には、ロック部が上下方向に設けられた構成では、プラグの上下方向にロック部が突出して設けられるため、上下方向に隣り合うプラグ間に2つのロック部を収納するスペースが必要であった。その上、ロック部を作業者が指で操作するためのスペースがさらに必要であるため、上下方向に隣り合うプラグ間のスペースを大きく確保する必要があった。そのため、上記構成では、差込接続器が上下方向に大型化してしまう問題がった。
その点において、本実施形態では、ロック部55が左右方向に設けられるため、上下方向に隣り合うプラグ2間にロック部55及び作業者の指を入れるスペースを省略することができる。その結果、差込接続器1は上述の問題を抑制することができる。
プラグ2を差込接続器1に挿入する際には、図7(a)に示すプラグ2及び差込接続器1が互いに離れた状態から、図7(b)に示すように、プラグ2のロック部55を差込接続器1の周壁挿入溝23に係合し、図7(c)に示すように、差込接続器1にプラグ2が接続される。その詳細について、以下に説明する。
図7(a)に示すように、差込接続部22の周壁挿入溝23には、周壁保持部26が設けられている。具体的には、周壁挿入溝23は、差込接続部22の外側の壁部である外側壁部23cと内側の壁部であるとともに表面部24に連結される内側壁部23dとによって形成された凹形状の空間によって構成されている。周壁保持部26は、外側壁部23cにプラグ2の係合部55cが係合する段形状として設けられている。そして内側壁部23dの前後方向の後方の端部には、外側壁部23cに向かい突出するとともにプラグ2の周壁54が当接する当接部23d1が設けられている。
図7(b)に示すように、差込接続器1にプラグ2が挿入される途中の状態において、プラグ2の電源側ピン51Aは、電源挿入孔25Aに挿入されるようになる。また図示していないが、接地側ピン51Bも同様に接地挿入孔25Bに挿入されるようになる。
また周壁54の一部は周壁挿入溝23に挿入されている。そして係合部55cは、第3傾斜部55c3が周壁挿入溝23に挿入されるとともに、第2傾斜部55c2が外側壁部23cに接触している。これにより、係合部55cは左右方向の内側に弾性変形するようになる。
図7(c)に示すように、差込接続器1にプラグ2への挿入が完了した状態において、プラグ2の電源側ピン51Aは、差込接続器1の刃受部材13によって挟まれて保持されるようになる。これにより、差込接続器1とプラグ2とが電気的に導通するようになる。図示していないが、接地側ピン51Bも同様な構成によって、差込接続器1と電気的に導通している。
また係合部55cは、第2傾斜部55c2が周壁保持部26と係合することにより、その復元力によって左右方向の外側に変形する。これにより、第2傾斜部55c2の前後方向の前方の面55c4は、周壁保持部26の対向面26aと前後方向に対向するようになる。これにより、プラグ2が前後方向の前方に移動するときには、上記面55c4と対向面26aとが互いに当接することにより、その移動が規制されるようになる。
また周壁54の前後方向の後方の端面は、内側壁部23dの当接部23d1と当接するようになる。これにより、プラグ2が当接部23d1より前後方向の後方に移動することが規制されるようになる。以上により、プラグ2は差込接続器1に対して前後方向の移動が規制されるようになる。
プラグ2を差込接続器1から抜き去る際には、プラグ2が差込接続器1に挿入された状態(図8(a))から、プラグ2のロック部55を把持することによってロック部55と周壁挿入溝23との係合を解除し(図8(b))、プラグ2を前後方向の後方に移動させて(図8(c))、プラグ2を差込接続器1から抜き去る(図8(d))。その詳細について、以下に説明する。
プラグ2を差込接続器1から抜き去る際には、図8(a)に示すように、まず作業者は、プラグ2の押圧部55aを把持する。そして図8(b)に示すように、作業者は押圧部55aを左右方向の内側に押圧する。これにより、押圧部55a及び連結部55bの弾性変形に伴い、係合部55cが左右方向の内側に弾性変形するようになる。この状態において、係合部55cの第2傾斜部55c2の面55c4は、周壁挿入溝23の対向面よりも左右方向の内側に位置するようになる。即ち上記面55c4と対向面とは前後方向において重ならなくなる。次いで図8(c)に示すように、図8(b)の状態において作業者はプラグ2を前後方向の前方に引く。これにより係合部55cは周壁保持部26から抜き去られるようになる。そして図8(d)に示すように、作業者がさらにプラグ2を前後方向の前方に引くことにより、周壁54及びプラグピン51が周壁挿入溝23及びピン挿入孔25から抜き去られるようになる。
次に、図9を参照して、差込接続器1にプラグ2を逆差しする場合について説明する。
図9に示すように、差込接続器1に対してプラグ2を逆差ししようとする場合には、プラグ2の電源側ピン51Aが表面部24の中心位置C1よりも上下方向の下方に位置するようになり、接地側ピン51Bが中心位置C1よりも上下方向の上方に位置するようになる。したがって、表面部24の前面24aに電源側ピン51A及び接地側ピン51Bがそれぞれ当接することとなり、差込接続器1に対してプラグ2が挿入できないようになっている。
またこの状態において、電源挿入孔25Aと電源側ピン51Aとが上下方向において互いに離間し、接地挿入孔25Bと接地側ピン51Bとが上下方向において互いに離間するようになる。したがって、プラグピン51がピン挿入孔25に挿入されることを確実に抑制するようになる。
次に、図10を参照して、供給電圧に応じた差込接続部22の形状について説明する。
差込接続器1に接続されて動作する電気機器としては、供給電圧が6V、12V、24V、48Vの複数種類のものが存在している。そこで、本実施形態では、前後方向の前方から見た平面視において、周壁挿入溝23及び表面部24がそれぞれ略四角形状に形成されたものを基準とする。そして供給電圧に応じて上記略四角形状の四隅のうちの少なくとも一箇所を切り取った形状に形成することにより、差込接続部22が供給電圧に応じて識別可能となっている。具体的には、供給電圧が24Vの場合を基準として、6V、12V、48Vの周壁挿入溝23の四隅には傾斜部23aが設けられている。そして表面部24の四隅のうちの傾斜部23aと対応する箇所も傾斜部23aに沿って傾斜した形状に形成されている。
また、プラグ2の周壁54の形状も上述の周壁挿入溝23の形状に応じて傾斜部が形成されている。これにより、プラグ2が供給電圧に応じて識別可能となっている。以上により、プラグ2の周壁54の形状と差込接続部22の周壁挿入溝23の形状とが適合しない限り、プラグ2は差込接続器1に挿入することができなくなる。これにより、供給電圧が互いに異なる差込接続部22及びプラグ2を接続することが抑制されるようになる。
ところで、図18に示すように、供給電圧に応じた差込接続部として、IEC規格に準拠した差込接続部400では、供給電圧に応じて4つの切欠溝404〜407が設けられている。具体的には、差込接続部400には、前後方向の平面視において円環形状の周壁挿入溝401が設けられている。この周壁挿入溝401に囲まれた表面部402には、プラグのプラグピン(不図示)が挿入されるピン挿入孔403が設けられている。この表面部402の外周縁における上下方向の下方には、周壁挿入溝401と一体となるとともに周壁挿入溝401から内側に凹む態様にて上述の切欠溝404〜407が設けられている。また表面部402の外周縁における上下方向の上方には、プラグの逆差しを抑制するための切欠溝408が設けられている。
ここで、切欠溝404〜407は、それぞれ供給電圧が6V、12V、24V、48Vに対応し、切欠溝408を基準位置(0°)として右回りに120°、150°、210°、240°の位置にそれぞれ設けられるようになる。また、プラグには、切欠溝404〜407にそれぞれ対応した識別リブが設けられている。この識別リブが切欠溝404〜407にそれぞれ挿入されることにより、供給電圧に適合したプラグが差込接続部400に挿入されるようになる。
しかしながら、このような切欠溝404及び切欠溝407を設けた場合、切欠溝404及び切欠溝407とピン挿入孔403との位置が互いに近接して配置されるようになる。これにより、表面部402の強度が低下してしまう問題があった。その上、識別リブが周壁の内側に設けられるため、作業者がプラグの前後方向の前方において外部から識別リブの位置を視認することが困難であった。そのため、作業者はプラグを前後方向の後方から識別リブの位置を確認し、差込接続部400の切欠溝404〜407のうちの適合位置にプラグの位置を合わせた後に、差込接続部400にプラグを挿入しなければならなかった。そのため、差込接続部400にプラグを挿入する作業が複雑化してしまっていた。
その点において、本実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の四隅のうちの上下方向の下方に設けられるため、上述の差込接続部400の構成と比較して、傾斜部23aとピン挿入孔25との距離が大きくなる。したがって、上述の差込接続部400の構成と比較して、表面部24の強度の低下を抑制することができるようになる。
その上、プラグ2の周壁54の形状自体が供給電圧に応じて変更しているため、プラグ2の前後方向の前方において外部からプラグ2と差込接続部22との合致する位置を目視にて確認することができる。したがって、差込接続部22にプラグ2を容易に挿入することができる。
図11に示すように、差込接続器1の差込接続部22の配置のバリエーションとしては、上記供給電圧に応じた差込接続部22を組み合わせにより構成されている。これにより差込接続器1は様々な供給電圧の電気機器への対応が可能となる。なお、上記差込接続部22の組み合わせは、図11に示すものに限定されず、様々な組み合わせが可能である。
本実施形態の差込接続器1によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、差込接続部22の周壁挿入溝23が略四角形状である構成である。したがって、図20(b)及び図21に示す周壁挿入溝111,201が円環形状である場合と比較して、プラグ2の周壁54が挿入する方向が限定されるようになる。これにより、作業者がプラグ2を差込接続部22に挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手がよくなる。その結果、作業者が差込接続器1にプラグ2を容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができるようになる。
そして、電源挿入孔25Aが表面部24の外周縁のうちの上下方向の一辺の中心位置C1よりも上下方向の上方に設けられ、接地挿入孔25Bが中心位置C1よりも上下方向の下方に設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23や周壁54に別途逆差しのための構造を形成することなく、差込接続器1にプラグ2の逆差しを抑制することができるようになる。したがって、差込接続器に別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、差込接続器1の大型化を抑制することができるようになる。
また、電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bがともに円形に設けられるため、図22に示す電源挿入孔303及び接地挿入孔304がそれぞれ長方形に設けられた場合と比較して、接地挿入孔25Bと各電源挿入孔25Aとの最短距離を大きくすることができるようになる。したがって、電源挿入孔303及び接地挿入孔304がそれぞれ長方形に設けられた場合と比較して、差込接続部22を大型化することなく、絶縁耐力を向上させることができるようになる。
その上、差込接続部22に接地挿入孔25Bが設けられるため、差込接続器1は、接地側ピン51Bを有していないプラグに加え、接地側ピン51Bを有するプラグ2にも対応することができるようになる。
(2)本実施形態によれば、接地挿入孔25Bは電源挿入孔25Aよりも上下方向の下方に位置するように設けられる構成である。したがって、電源挿入孔と接地挿入孔とが上下方向において略同位置である構成と比較して、同一面積の表面部24において電源挿入孔25Aと接地挿入孔25Bとの最短距離を大きくすることができるようになる。したがって、差込接続器1の大型化を抑制しつつ、電源挿入孔25Aと接地挿入孔25Bとの絶縁距離を大きくすることと表面部24の強度の低下を抑制することの両方を図ることができるようになる。
(3)本実施形態によれば、電源挿入孔25Aの下端部25aが中心位置C1よりも上下方向の上方に位置する構成である。したがって、差込接続器1にプラグ2を逆差しした場合にも、電源側ピン51Aが電源挿入孔25Aに挿入されることを抑制することができるようになる。その結果、より確実に上述の逆差しを抑制することができるようになる。また、接地挿入孔25Bとの最短距離を大きくすることができるようになる。
その上、接地挿入孔25Bが左右方向において中心位置C1と略同位置であるとともに接地挿入孔25Bの上端部25bが中心位置C1よりも上下方向の下方に位置する構成である。したがって、接地挿入孔が左右方向において中心位置C1より左方側もしくは右方側に位置する構成と比較して、電源挿入孔25Aとの最短距離を大きくすることができるようになる。また接地挿入孔の上端部25bが上下方向において中心位置C1よりも上方に位置する構成と比較して、電源挿入孔25Aとの最短距離を大きくすることができるようになる。
(4)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の四隅に傾斜部23aが設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23の形状に応じて周壁54の形状も傾斜部が設けられるようになる。これにより、供給電圧に応じて周壁54の形状及び周壁挿入溝23の形状が異なるため、供給電圧が互いに異なる差込接続器1とプラグ2との差し間違いを抑制することができるようになる。
また、作業者が周壁54の形状を視認することにより差込接続器1に対するプラグ2の挿入方向が分かるため、作業者がプラグ2を差込接続器1に容易に逆差しを抑制しつつ差し込むことができる。
(5)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の上下方向の下方(表面部24の一辺24c側)に傾斜部23aが設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23の上下方向の上方(即ち表面部24の基準辺24b側)に傾斜部が設けられる構成と比較して、傾斜部23aとピン挿入孔25との距離を大きくとることができるため、表面部24の強度を向上させることができるようになる。その結果、プラグ2の挿抜に伴う表面部24の破損を抑制することができるようになる。
(6)本実施形態によれば、表面部24は、周壁挿入溝23の傾斜部23aに対応した箇所にこの傾斜部23aに沿って傾斜した形状が形成される構成である。したがって、周壁挿入溝23の幅が狭く形成されることを抑制することができるようになる。
ここで、表面部における周壁挿入溝23の傾斜部23aに対応した箇所に傾斜した形状がない場合には、周壁挿入溝23の外周縁の形状のみが傾斜形状となるため、表面部の外周縁と周壁挿入溝23の外周縁との幅が周壁挿入溝23の傾斜部23a以外の部位と比較して狭くなってしまう。その点において、本実施形態では、表面部24の上記の傾斜形状は傾斜部23aに対応して設けられるため、上述の周壁挿入溝23の幅が狭くなる問題を解決することができるようになる。
(7)本実施形態によれば、周壁挿入溝23の傾斜部23aは、表面部24の傾斜形状に沿って傾斜した形状として設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝23及び表面部24の四隅を斜めに切り取るのみといった単純な形状であるため、供給電圧が互いに異なる差込接続器1とプラグ2との差し間違いを抑制する構造を簡単な構成にて達成することができるようになる。したがって、差込接続器1を容易に製造することができるようになる。
(8)本実施形態によれば、差込接続部22の前面22aと表面部24の前面24aとが面一となる構成である。また、プラグ2の電源側ピン51Aは周壁54よりも若干前後方向の後方まで延び、接地側ピン51Bは周壁54よりも若干前後方向の前方まで延びる構成である。これらの構成によれば、差込接続部22にプラグ2を逆差ししたときに、周壁54が周壁挿入溝23に大きく挿入される前に表面部24にプラグピン51が当接するようになる。したがって、作業者が差込接続部22にプラグ2を逆差ししたことをより明確に認識することができるとともに、差込接続部22にプラグ2を逆差ししたときに、プラグ2が差込接続部22に取り付けられた状態が維持できないようになっている。これにより、プラグ2が差込接続部22に逆差しされた状態が維持されることを抑制することができるようになる。
(9)本実施形態によれば、差込接続部22の周壁挿入溝23には、プラグ2の係合部55cと係合する周壁保持部26が設けられている。したがって、プラグ2の周壁54が周壁挿入溝23に対して保持されるため、プラグ2を差込接続器1に挿入した状態を維持することができる。その結果、ケーブル部2Aが引っ張られる等の不用意にプラグ2が差込接続器1から抜けてしまうことを抑制することができる。
(10)本実施形態によれば、周壁保持部26は、2つ電源挿入孔25Aを左右方向に挟んだ両側にそれぞれ設けられている。したがって、係合部が電源挿入孔25Aの片側のみに設けられる構成と比較して、周壁54が周壁挿入溝23に対して安定的に保持することができる。その結果、プラグ2を差込接続器1に挿入した状態を安定的に維持することができるようになる。
(11)本実施形態によれば、プラグ2の係合部55cの第2傾斜部55c2が前後方向の前方に向かい左右方向の外側に傾斜する形状である。したがって、プラグ2を差込接続部22に挿入する場合において第2傾斜部55c2が周壁挿入溝23の外側壁部23cに接触する際には、第2傾斜部55c2の外側壁部23cの接触の反力によって第2傾斜部55c2は左右方向の内側に徐々に弾性変形することとなる。その結果、作業者がロック部55を把持しなくても、係合部55cと周壁保持部26との係合を行うことができ、使い勝手が良くなる。
(12)本実施形態によれば、ロック部55と周壁54とが単一部材として構成されている。したがって、ロック部55と周壁54とを各別に設けた場合と比較して、プラグ2を構成する部品点数を削減することができるようになる。
(13)本実施形態によれば、差込接続部22が上下方向に配列され、電源挿入孔25Aが左右方向に配列されるとともに、周壁保持部26が左右方向にそれぞれ設けられる構成である。したがって、プラグ2のロック部55が左右方向に配列されるため、上下方向に隣り合う差込接続部22にプラグ2をそれぞれ挿入した場合において、各プラグ2のロック部55が互いに近接することを抑制することができる。したがって、差込接続器1の上下方向の大型化を抑制することができる。その上、上下方向に隣り合うプラグ2間に作業者が指を入れなくてよいため、差込接続器1にプラグ2を複数挿入する場合において、その使い勝手が良くなる。
(14)本実施形態によれば、差込接続部22が上下方向に配列され、各電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bが各差込接続部22において左右方向に同位置にそれぞれ設けられる構成である。したがって、各電源挿入孔25A及び接地挿入孔25Bに対応する刃受部材13がそれぞれ左右方向に同位置に設けられるため、これら刃受部材13を接続する刃受接続部12の形状を上下方向に延びる平板状のみにて形成することができるようになる。即ち刃受接続部12の形状の単純化を図ることができるようになる。その結果、差込接続器1の左右方向の大型化が抑制されるようになる。
(第2の実施形態)
図12〜図15を参照して、本発明の差込接続器を造営物の壁部に埋め込まれる直流コンセントに接続されるテーブルタップとして具体化した第2の実施形態について説明する。なお、図15については、ケーブル及びプラグを省略して示している。
図12を参照して、家屋Hに設けられた直流配電システム70の全体について説明する。
図12に示すように、家屋Hには、直流電力を出力する直流電力供給部71と、直流電力により駆動される負荷としての電気機器72とが設けられている。この電気機器72には、直流電力供給部71の出力端子に接続された直流供給線路Wdcを通して直流電力が供給されるようになる。
また、直流電力供給部71と電気機器72との間には、直流供給線路Wdcに流れる電流を監視するとともに、異常を検知したときに直流供給線路Wdc上で直流電力供給部71から電気機器72への直流電力の供給を制限または遮断する直流ブレーカ73が設けられている。
直流電力供給部71は、基本的には、商用電源等の家屋Hの外部から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成している。具体的には、交流電源ACの交流電力は、分電盤74に設けられた主幹ブレーカ75を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ76に入力され、直流電力に変換される。そしてAC/DCコンバータ76から出力される直流電力は、協調制御部77を通して各直流ブレーカ73に接続されている。そして各直流ブレーカ73には、直流供給線路Wdcを介して直流コンセント80が接続されている。
直流電力供給部71には、交流電源ACの停電期間等の交流電源ACから電力が供給されない期間に対応する二次電池78a、及び直流電力を生成する太陽電池78bや燃料電池78cが設けられている。これら二次電池78a、太陽電池78b及び燃料電池78cは、交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ76を備える主電源79に対して、分散電源78となる。
協調制御部77は、主電源79からの直流電力と、分散電源78からの直流電力との電力の配分を制御している。この協調制御部77には、DC/DCコンバータ77aが設けられている。このDC/DCコンバータ77aにより、主電源からの直流電力及び分散電源78からの直流電力の直流電圧を必要な電圧に変換している。以上により、主電源79及び分散電源78の直流電力を必要に応じて分配した上で、直流コンセント80を介して電気機器72に直流電力が供給されるようになる。
ここで、直流コンセント80には、テーブルタップ(以下、「タップ3」)のプラグ3Cが接続されている。この差込接続器1の差込接続部22に電気機器72のプラグ72aが接続されることにより、直流電力供給部71の直流電力が電気機器72に供給されるようになる。
次に、図13を参照して、タップ3の構成について説明する。本実施形態のタップ3は、第1の実施形態の差込接続器1と比較して、差込接続部22の数及び形状、並びにケーブル3Bにプラグ3Cが設けられた点にて異なる。以下、タップ3と差込接続器1との相違点を中心に説明する。また第1の実施形態と同一部位には同一符号を付し、その説明を省略する。
図13に示すように、タップ3は、器体3Aと、器体3Aに収納される電力供給部材(不図示)と、電力供給部材に接続されるとともに器体3Aより外部に延設されるケーブル3Bと、ケーブル3Bの電力供給部材とは反対側の端部に設けられたプラグ3Cとから構成されている。器体3Aには、上下方向に離間して配列される4個の差込接続部22が設けられている。また電力供給部材及びプラグ3Cは、第1の実施形態の電力供給部材1B及びプラグ2と概ね同じ構成である。
次に、図14を参照して、電力供給元である電源回路(不図示)の種類の違いに応じた差込接続部22の形状について説明する。この電源回路は、直流電力供給部71と直流コンセント80との間に設けられ、例えば分電盤74内に設けられている。
このような電源回路は、少なくとも超低電圧回路(ELV:Extra−Low Voltage)と安全超低電圧回路(SELV:Safty Extra−Low Voltage)との2種類がある。これらELV及びSELVについては、IEC規格におけるIEC60950−1及びIEC60335−1にそれぞれ規定されている。
電気機器72(図12参照)は、これらELV及びSELVに応じて内部の絶縁構造が異なっている。即ち、ELVに応じた電気機器72では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用することにより、この絶縁構造が厳重なものとなっている。一方、SELVに応じた電気機器72では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用されない場合があり、ELVに応じた電気機器72より絶縁構造が簡略化されている。
ところで、SELV用のタップ3にELVに応じた電気機器72を接続した場合には、この電気機器72の絶縁構造が厳重であるため問題が発生することはない。一方で、ELV用のタップ3にSELVに応じた電気機器72を接続した場合には、この電気機器72の絶縁構造が簡略化されているため、危険電圧が供給されたときに電気機器72が故障してしまう場合がある。そのため、タップ3及びプラグ72aには、ELV用及びSELV用と識別する必要がある。特に、ELV用のタップ3にSELV用に応じた電気機器72を誤って接続してしまうことを抑制する必要がある。
そこで、図14に示すように、SELV用の差込接続部22には、周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺且つ且つ左右方向の左方の部位に延長溝部23bが設けられている。この延長溝部23bは、周壁挿入溝23と一体に設けられるとともに、上記一辺から上下方向の上方に延びるように設けられている。一方、ELV用の差込接続部22には、上記延長溝部23bを省略した構造となっている(図13参照)。以上により、SELV用の差込接続部22とELV用の差込接続部22とが識別可能となっている。
またこれにより、ELV用のプラグ72aは、SELV用の差込接続部22に挿入可能であるが、SELV用のプラグ72aは、ELV用の差込接続部22に挿入することができなくなる。これにより、ELV用のタップ3にSELV用に応じた電気機器72を誤って接続してしまうことを抑制することができるようになる。
また、上記電源回路の種類に応じた差込接続部として、図19(a)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23とは別に設けられる構成(第1構成)が考えられる。また、図19(b)に示すように、延長溝部23bが周壁挿入溝23より外部、即ち表面部24より外部に設けられる構成(第2構成)が考えられる。
しかしながら、第1構成では、延長溝部23bとピン挿入孔25との距離が近接してしまうことにより、表面部24の強度が低下してしまう問題がある。一方、第2構成では、上述の表面部24の強度低下の問題は解決するが、延長溝部23bが設けられる分だけ差込接続部22が大型化してしまう問題がある。
その点において、本実施形態では、周壁挿入溝23の上下方向の下方において、延長溝部23bが周壁挿入溝23と一体に設けられるため、ピン挿入孔25と延長溝部23bとの距離を第1構成と比較して大きくすることができるようになる。また、延長溝部23bが周壁挿入溝23よりも上下方向の上方に延びるため、即ち表面部24に延長溝部23bが設けられるため、差込接続部22の大型化を抑制することができるようになる。以上により、本実施形態によれば、上述の第1構成の問題及び第2構成の問題の両方を解決することができるようになる。
図15に示すように、タップ3の差込接続部22は、供給電圧に応じた差込接続部22の組み合わせやSELV用やELV用の差込接続部22の組み合わせにより構成することができる。なお、上記差込接続部22の組み合わせは、図15に示すものに限定されず、様々な組み合わせが可能である。
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(14)に加えて、以下の効果を奏することができる。
(15)本実施形態によれば、延長溝部23bが周壁挿入溝23から延長して設けられる構成である。したがって、延長溝部23bと周壁挿入溝23とを別個として設けた場合と比較して、差込接続部22の大型化や表面部24の強度低下を抑制することができるようになる。
(16)本実施形態によれば、延長溝部23bが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺に設けられる構成である。したがって、ピン挿入孔25と周壁挿入溝23との間に延長溝部を設ける構造と比較して、表面部24の強度を向上させることができるようになる。その結果、プラグ72aの挿抜に伴う表面部24の破損を抑制することができるようになる。
(その他の実施形態)
本実施形態の差込接続器1及びタップ3は、上記各実施形態に限定されることなく、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施する場合にも適用することもできる。
上記各実施形態では、周壁挿入溝23の傾斜部23aにより、差込接続器1及びタップ3の供給電圧を識別する構成であったが、差込接続器1及びタップ3の供給電圧を識別する構成はこれに限定されることはない。周壁挿入溝23の形状が変化して、適合する供給電圧のみのプラグ2及びプラグ72aの周壁54が挿入可能な形状であればよい。したがって、例えば、図16(a)に示すように、周壁挿入溝23の四隅のうちのいずれかを切り取り、段形状の凹部23eを設けることもできる。また、図16(b)に示すように、周壁挿入溝23の一部を切り取った上で、外側に突出させる突部23fを設けることもできる。なお、プラグ2及びプラグ72aの周壁54は、前後方向の後方から見た平面視において周壁挿入溝23と同様の形状に形成される。
上記各実施形態では、傾斜部23aが周壁挿入溝23の上下方向の下方の一辺に設けられたが、傾斜部23aは周壁挿入溝23の上下方向の上方の一辺に設けることもできる。
上記各実施形態では、ピン挿入孔25の下端部25aが表面部24の中心位置C1よりも上下方向の上方に配置されていたが、同下端部25aの位置はこれに限定されることはない。差込接続器1及びタップ3にプラグ2及びプラグ72aをそれぞれ逆差ししたときに、プラグピン51がピン挿入孔25に挿入されなければよい。したがって、下端部25aは同中心位置C1と略同位置とすることもできる。
上記各実施形態では、周壁挿入溝23及び表面部24は長方形状に形成されたが、周壁挿入溝23及び表面部24は正方形状として設けることもできる。
上記各実施形態では、差込接続部22の接地挿入孔25Bが表面部24の中心位置C1と左右方向に同位置、且つ電源挿入孔25Aより上下方向の下方に位置するように設けられたが、接地挿入孔25Bの位置はこれに限定されることはない。例えば、接地挿入孔25Bは、左右方向において中心位置C1よりも左方側または右方側に位置するように設けることもできる。また例えば接地挿入孔25Bは、上下方向において電源挿入孔25Aと略同位置に設けることもできる。
上記第2の実施形態では、差込接続部22のピン挿入孔25は、電源挿入孔25Aと接地挿入孔25Bとから構成されていたが、ピン挿入孔25の構成はこれに限定されることはない。例えば、図17に示すように、ピン挿入孔25として電源挿入孔25Aのみの構成、即ち接地挿入孔25Bが省略された構成とすることもできる。
上記第2の実施形態では、延長溝部23bが周壁挿入溝23の4隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の左方の部位に設けられる構成であったが、延長溝部23bの位置はこれに限定されることはない。例えば、延長溝部23bは周壁挿入溝23の4隅のうちの上下方向の下方且つ左右方向の左方の部位に設けることもできる。
また、延長溝部23bの位置は、周壁挿入溝23の上下方向の下方に一辺に限定されることなく、周壁挿入溝23を構成する4辺のうちのいずれかに設けることもできる。
また、延長溝部23bは表面部24側に設けられる構成であったが、延長溝部23bの位置はこれに限定されることはない。例えば、差込接続部22の前面22a側に設けることもできる。
上記第2の実施形態では、延長溝部23bは周壁挿入溝23の上下方向の下方且つ左右方方向の左方に設けられたが、延長溝部23bの位置はこれに限定されることはない。例えば、図17に示すピン挿入孔25のうちの接地挿入孔25Bが省略されたような構成である場合には、周壁挿入溝23の上下方向の下方且つ左右方向の中央に延長溝部23bを設けることもできる。この構成によれば、延長溝部23bはどの供給電圧に対しても周壁挿入溝23の上下方向の下方且つ左右方向の中央に設けることができる。
上記各実施形態では、ロック部55が係合する周壁保持部26を周壁挿入溝23の左右方向の両側にそれぞれ設けたが、周壁保持部26が設けられる位置はこれに限定されることはない。例えば、周壁挿入溝23の上下方向の両側にそれぞれ設けることもできる。これにより第1の実施形態の効果(9)と同様の効果を奏することができる。