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JP5308177B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、動力伝達装置に関するもので、特に2つの入力要素から動力の入力が可能で、いずれか一方の入力要素から動力が入力された場合に出力を行うようにした動力伝達装置に関するものである。
この種の動力伝達装置としては、特許文献1に記載のものがある。この特許文献1は、超音波モータによる自動焦点調節と、手動操作による手動焦点調節とが可能なカメラのレンズ鏡筒に関するものである。すなわち、このレンズ鏡筒では、超音波モータによって回転する駆動部材と、手動操作によって回転する操作部材との間に中間ギヤ部材が介在され、この中間ギヤ部材をプラネタリギヤ、駆動部材をリングギヤ、操作部材をサンギヤとして遊星歯車機構が構成されている。中間ギヤ部材のキャリヤは、動力伝達対象であるレンズ駆動筒に接続されている。
上記のように構成されたレンズ鏡筒では、超音波モータが駆動した場合、あるいは操作部材を回転操作した場合、いずれにおいても中間ギヤ部材を公転させ、キャリヤを介してレンズ駆動筒を回転させることにより焦点調節を行うことが可能になる。
特開平10−115760号公報
ところで、超音波モータが駆動した場合、並びに操作部材を回転操作した場合に、いずれも中間ギヤ部材を公転させるには、それぞれ他方の部材の回転を阻止する必要がある。このため、特許文献1に記載のものでは、操作部材に係合可能な係合部材を非回転部材に配設し、係合部材を操作部材に係合させた状態で超音波モータを駆動させることにより、駆動部材の回転によって中間ギヤ部材を公転させるようにしている。
これに対して操作部材を回転操作する場合には、無通電状態の超音波モータにおいてステータとロータとの間に生じる摩擦力を利用し、駆動部材の回転を阻止するようにしている。こうした特許文献1に記載のものにあっても、中間ギヤ部材のキャリヤに加えられる負荷が小さい状況下であれば、操作部材の回転操作によってキャリヤを回転させることができるかもしれない。しかしながら、特許文献1に記載のものでは、適用するモータが超音波式のものに限られるという問題がある。しかも、キャリヤに加えられる負荷が増大した場合には、中間ギヤ部材が公転せずに自転するとともに、駆動部材が回転することになり、レンズ駆動筒を回転させることが困難になる恐れがある。
こうした問題は、駆動部材の回転を阻止する手段を設けることで解決することが可能である。しかしながら、駆動部材の回転を阻止する手段を別途設けるようにした場合には、モータのトルクを大幅にロスするほか、製造コストの増大や小型化を図ることが困難になるのは否めない。
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストの増大や小型化を阻害することなく、より確実に動力を伝達することのできる動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る動力伝達装置は、自身の軸心回りに回転可能に配設した第1ギヤ部材と、前記第1ギヤ部材に歯合し、自身の軸心回りに回転可能、かつ前記第1ギヤ部材の軸心回りに公転可能に支持させた中間ギヤ部材と、前記第1ギヤ部材の軸心回りに回転可能に配設し、ギヤ部を介して前記中間ギヤ部材に歯合する第2ギヤ部材と、前記第1ギヤ部材の軸心回りに回転可能に配設するとともに、前記第2ギヤ部材のギヤ部とは異なる歯数のギヤ部を介して前記中間ギヤ部材に歯合する第3ギヤ部材と、自身の軸心回りに回転可能に配設した入力ギヤ部材と、前記入力ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材の間に介在し、前記入力ギヤ部材が回転した場合に前記第2ギヤ部材を回転させる一方、前記第2ギヤ部材が回転した場合には前記入力ギヤ部材への動力伝達が不可となるクラッチ機構とを備え、前記第1ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材をそれぞれ個別の入力要素として構成し、前記第1ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材が択一的に回転した場合に前記第3ギヤ部材をそれぞれ従動させることを特徴とする。
また、本発明に係る動力伝達装置は、上述した動力伝達装置において、前記入力ギヤ部材に負荷を付与する負荷付与手段をさらに備え、前記クラッチ機構は、前記入力ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材の間に介在し、互いに当接する一対の摩擦当接面を介して回転力を伝達する摩擦動力伝達部と、前記一対の摩擦当接面を互いに圧接させ、前記入力ギヤ部材が回転した場合に前記一対の摩擦当接面を接続することによって前記第2ギヤ部材を回転させる一方、前記第2ギヤ部材が回転した場合には前記負荷付与手段からの負荷により前記一対の摩擦当接面を相対回転させる押圧部材とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る動力伝達装置は、上述した動力伝達装置において、前記負荷付与手段は、前記入力ギヤ部材に歯合した第4ギヤ部材と、前記第4ギヤ部材を軸方向に押圧してその回転を制限する回転制限部材とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る動力伝達装置は、上述した動力伝達装置において、前記摩擦動力伝達部は、前記入力ギヤ部材に歯合し、一方の端面が第1摩擦当接面を構成する第1クラッチギヤ部材と、前記第2ギヤ部材に歯合し、一方の端面が前記第1摩擦当接面に対向した第2摩擦当接面を構成する第2クラッチギヤ部材とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る動力伝達装置は、上述した動力伝達装置において、前記負荷付与手段は、前記入力ギヤ部材に歯合した第4ギヤ部材と、前記第4ギヤ部材を軸方向に押圧してその回転を制限する回転制限部材とを備え、かつ前記クラッチ機構は、前記入力ギヤ部材に歯合し、一方の端面が第1摩擦当接面を構成する第1クラッチギヤ部材と、前記第2ギヤ部材に歯合し、一方の端面が前記第1摩擦当接面に対向した第2摩擦当接面を構成する第2クラッチギヤ部材と、前記第1クラッチギヤ部材の第1摩擦当接面と前記第2クラッチギヤ部材の第2摩擦当接面とを互いに圧接させ、前記入力ギヤ部材が回転した場合にこれら第1摩擦当接面及び第2摩擦当接面を接続することによって前記第2ギヤ部材を回転させる一方、前記第2ギヤ部材が回転した場合には前記負荷付与手段からの負荷により前記第1摩擦当接面及び前記第2摩擦当接面を相対回転させる押圧部材とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、第1ギヤ部材、中間ギヤ部材、第2ギヤ部材及び第3ギヤ部材によって、いわゆる不思議歯車機構を構成している。不思議歯車機構は、一般的な遊星歯車機構に比べて効率が悪いため、第1ギヤ部材の回転を阻止する手段を別途設けなくとも、第2ギヤ部材を回転させた場合に第1ギヤ部材の回転をより確実に阻止することができる。従って、製造コストの増大や小型化を阻害することなく動力を確実に伝達することが可能となる。しかも、入力ギヤ部材と第2ギヤ部材との間にクラッチ機構を介在させているため、第1ギヤ部材を回転させた際に入力ギヤ部材が回転する事態を招来することがない。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る動力伝達装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の実施の形態である動力伝達装置を示したものである。ここで例示する動力伝達装置は、いわゆるオートフォーカス機能を備えたレンズ鏡筒においてモータによる自動焦点調節と、手動操作による手動焦点調節とを可能とするもので、本体筐体10を備えている。本体筐体10は、ベースプレート11とカバー部材12とを備え、これらの間に収容空間13を画成するものである。
この本体筐体10には、ベースプレート11の外表面にモータ20が取り付けてある。モータ20は、本体ケース21の一端面に突出部22及び駆動軸23を備えたもので、駆動軸23を本体筐体10の収容空間13に配置し、かつ突出部22をベースプレート11に形成した嵌合孔11aに嵌合させた状態で、取付ネジ24により本体ケース21を介してベースプレート11に保持させてある。本体筐体10の収容空間13には、サンギヤ部材(第1ギヤ部材)31、ドライブプーリー32、第1リングギヤ部材(第2ギヤ部材)33、第2リングギヤ部材(第3ギヤ部材)34及びプラネタリギヤ部材(中間ギヤ部材)35が配設してある。
サンギヤ部材31は、外周部に外周ギヤ部31aを有した平歯車であり、モータ20の駆動軸23に互いの軸心を合致させた状態で固着してある。
ドライブプーリー32は、モータ20の駆動軸23において突出部22とサンギヤ部材31との間に固着したもので、ベルト巻回部32aと回転支持部32bとを有している。ベルト巻回部32aは、太径の円板状を成し、外周面にV溝を有した部分であり、駆動軸23において突出部22に近接した部位に設けてある。回転支持部32bは、ベルト巻回部32aよりも細径の円柱状を成す部分であり、駆動軸23においてサンギヤ部材31に近接する部位に設けてある。
第1リングギヤ部材33は、有底の円筒状を成し、その内周面及び外周面にそれぞれ内周ギヤ部33a及び外周ギヤ部33bを有したものである。この第1リングギヤ部材33は、底壁に設けた摺動穴33cにドライブプーリー32の回転支持部32bを摺動可能に嵌合させることにより、駆動軸23及びドライブプーリー32に対して駆動軸23の軸心回りに回転することが可能である。
第2リングギヤ部材34は、有底の円筒状を成し、その内周面に内周ギヤ部34aを有するとともに、底壁の外表面において自身の軸心上となる部位に出力ギヤ部34bを有したものである。第1リングギヤ部材33と比較した場合、第2リングギヤ部材34は、その外径が僅かに小さく、かつその内径がほぼ同等となるように構成してある一方、内周ギヤ部34aの歯数が第1リングギヤ部材33の内周ギヤ部33aとは互いに異なるように構成してある。この第2リングギヤ部材34は、その開口を第1リングギヤ部材33の開口に対向させ、かつ出力ギヤ部34bをカバー部材12のギヤ挿通孔12aから外部に露出させた状態でカバー部材12に配設してあり、駆動軸23の軸心回りに回転することが可能である。図には明示していないが、本実施の形態では、この第2リングギヤ部材34の出力ギヤ部34bを、レンズ鏡筒においてレンズ駆動筒の内周面に設けた内周ギヤ部に歯合させるようにしている。
プラネタリギヤ部材35は、外周部に外周ギヤ部35aを有し、かつ軸35bが一体の平歯車であり、サンギヤ部材31の周囲に3つ配設してある。これらのプラネタリギヤ部材35は、それぞれの軸心が駆動軸23の軸心と平行になり、かつ互いに等間隔となる態様で軸35bを介してキャリヤ36に支持させてある。個々のプラネタリギヤ部材35は、外周ギヤ部35aを介してサンギヤ部材31の外周ギヤ部31a、第1リングギヤ部材33の内周ギヤ部33a及び第2リングギヤ部材34の内周ギヤ部34aに歯合しており、それぞれがキャリヤ36に対して自身の軸心回りに回転可能、かつキャリヤ36が駆動軸23の軸心回りに回転することでサンギヤ部材31を中心に公転することが可能である。
一方、上記動力伝達装置は、本体筐体10の収容空間13に入力ギヤ部材40、負荷付与手段50、クラッチ機構60を備えている。
入力ギヤ部材40は、外周部に外周ギヤ部40aを有した平歯車であり、ベースプレート11に設けた入力軸部材11bに回転可能に支承させてある。この入力ギヤ部材40は、カバー部材12に設けた切欠部12bを介してその外周ギヤ部40aの一部が本体筐体10の外部に露出した状態にあり、本体筐体10の外部に配設したギヤ(図示せず)に歯合することが可能である。図には明示していないが、本実施の形態では、この入力ギヤ部材40の外周ギヤ部40aを、レンズ鏡筒においてマニュアルフォーカスリングの内周面に設けた内周ギヤ部に歯合させるようにしている。
負荷付与手段50は、入力ギヤ部材40に負荷を与えてその回転を制限するためのものである。本実施の形態では、ブレーキシャフト51の軸部51aにブレーキギヤ部材(第4ギヤ部材)52及びブレーキバネ(回転制限部材)53を配設することによって負荷付与手段50を構成している。ブレーキシャフト51は、一端部にフランジ51bを有するとともに、他端部にスナップリング54及びワッシャ部材55を装着した軸部材である。ブレーキギヤ部材52は、一端部にフランジ52aを有するとともに、他端部の外周部に外周ギヤ部52bを有した平歯車である。このブレーキギヤ部材52は、ブレーキシャフト51の軸部51aにおいてフランジ51bとスナップリング54との間に回転可能、かつ軸方向に沿って移動可能に配設してある。ブレーキバネ53は、圧縮した状態でブレーキシャフト51のフランジ51bとブレーキギヤ部材52のフランジ52aとの間に介在し、弾性復元力によりブレーキギヤ部材52の端面をワッシャ部材55に押圧させるコイルスプリングである。
この負荷付与手段50は、ブレーキシャフト51の軸心が入力軸部材11bの軸心と平行となり、かつブレーキギヤ部材52の外周ギヤ部52bを入力ギヤ部材40の外周ギヤ部40aに歯合させた状態で、ブレーキシャフト51を介してベースプレート11とカバー部材12との間に配設してある。
クラッチ機構60は、入力ギヤ部材40と第1リングギヤ部材33との間に介在し、両者40,33の間の動力伝達を断続させるものである。本実施の形態では、クラッチシャフト61の軸部61aに第1クラッチギヤ部材62、第2クラッチギヤ部材63及びクラッチバネ(押圧部材)64を配設することによってクラッチ機構60を構成している。クラッチシャフト61は、一端部にフランジ61bを有するとともに、他端部にスナップリング65及びワッシャ部材66を装着した軸部材である。第1クラッチギヤ部材62及び第2クラッチギヤ部材63は、それぞれ外周部に外周ギヤ部62a,63aを有した平歯車であり、それぞれの一端面に摩擦当接面62b,63bが構成してある。これら第1クラッチギヤ部材62及び第2クラッチギヤ部材63は、互いに摩擦当接面62b,63bを対向させ、第1クラッチギヤ部材62をワッシャ部材66に対向させた状態で、クラッチシャフト61の軸部61aにおいてフランジ61bとスナップリング65との間に回転可能、かつ軸方向に沿って移動可能に配設してある。クラッチバネ64は、圧縮した状態でクラッチシャフト61のフランジ61bと第2クラッチギヤ部材63の端面との間に介在し、弾性復元力により第2クラッチギヤ部材63を介して第1クラッチギヤ部材62の端面をワッシャ部材66に押圧させるコイルスプリングである。
このクラッチ機構60は、クラッチシャフト61の軸心が入力軸部材11bの軸心と平行となり、かつ第1クラッチギヤ部材62の外周ギヤ部62aを入力ギヤ部材40の外周ギヤ部40aに歯合させるとともに、第2クラッチギヤ部材63の外周ギヤ部63aを第1リングギヤ部材33の外周ギヤ部33bに歯合させた状態で、クラッチシャフト61を介してベースプレート11とカバー部材12との間に配設してある。
ここで、クラッチ機構60のクラッチバネ64は、その押圧力によって第1クラッチギヤ部材62の第1摩擦当接面62bと第2クラッチギヤ部材63の第2摩擦当接面63bとを圧接させ、両者62b,63bの間に発生する摩擦力を決定するものである。また、負荷付与手段50のブレーキバネ53は、その押圧力によってブレーキギヤ部材52をワッシャ部材55に押圧し、ブレーキギヤ部材52に歯合する入力ギヤ部材40の回転に負荷を与えるものである。本実施の形態では、以下の条件を満たすように、クラッチバネ64の押圧力及びブレーキバネ53の押圧力を設定するようにしている。
(1)入力ギヤ部材40が回転し、これに伴って第1クラッチギヤ部材62が回転した場合には、第1摩擦当接面62b及び第2摩擦当接面63bの間の摩擦力によって両者を連動させ、第2クラッチギヤ部材63を介して第1リングギヤ部材33を回転させる。
(2)第1リングギヤ部材33が回転し、これに伴って第2クラッチギヤ部材63が回転した場合には、第1摩擦当接面62bと第2摩擦当接面63bとの間に滑りを生じさせ、ブレーキバネ53によって負荷が与えられた入力ギヤ部材40及びこれに歯合する第1クラッチギヤ部材62の回転を阻止した状態に維持する。
尚、図中の符号70は、ロータリエンコーダである。この実施の形態では、ドライブプーリー32のベルト巻回部32aとの間に巻回したタイミングベルト71によって駆動軸23に連動して回転する円板72と、円板72に形成したスリット72aを光学的に検出するフォトインタラプタ73とを備えてロータリエンコーダ70を構成している。
上記のように構成した動力伝達装置では、モータ20を駆動するとサンギヤ部材31が一方方向に回転する。このとき、第1リングギヤ部材33は、これに歯合する第2クラッチギヤ部材63がクラッチバネ64によって第1クラッチギヤ部材62に圧接された状態にある。しかも、第1クラッチギヤ部材62は、負荷付与手段50によって回転が制限された状態の入力ギヤ部材40に歯合するものである。これらの結果、サンギヤ部材31が回転した場合には、第1クラッチギヤ部材62が回転することはなく、プラネタリギヤ部材35が自転しながら公転し、これらプラネタリギヤ部材35の公転によって第2リングギヤ部材34が回転することになり、出力ギヤ部34bの回転によってレンズ駆動筒が回転する。
ここで、モータ20の駆動によって回転したレンズ駆動筒がストロークエンドに達すると、第2リングギヤ部材34が回転できない状態となるため、以降、サンギヤ部材31が回転した場合、プラネタリギヤ部材35の自転及び公転によって第1リングギヤ部材33が回転することになる。しかしながら、第1リングギヤ部材33の回転は、上述したクラッチバネ64の押圧力及びブレーキバネ53の押圧力の設定により、第1クラッチギヤ部材62に伝達されることがない。従って、モータ20を駆動している際に入力ギヤ部材40が回転することはなく、これに歯合するマニュアルフォーカスリングが回転するという事態を招来する恐れもない。
一方、モータ20を駆動せずにマニュアルフォーカスリングを回転操作すると、入力ギヤ部材40を介して第1クラッチギヤ部材62が回転する。第1クラッチギヤ部材62が回転すると、上述したクラッチバネ64の押圧力及びブレーキバネ53の押圧力の設定により、第1摩擦当接面62b及び第2摩擦当接面63bの間が摩擦力によって接続された状態となる。これにより、入力ギヤ部材40の回転によって第1クラッチギヤ部材62及び第2クラッチギヤ部材63が回転し、第2クラッチギヤ部材63に歯合した第1リングギヤ部材33が回転することになる。
ここで、無通電状態にあるモータ20においては、ステータとロータとの間に作用する磁気力や摩擦力によってロータの回転が制限された状態、つまり駆動軸23に固着したサンギヤ部材31の回転が制限された状態にある。加えて、上記動力伝達装置によれば、サンギヤ部材31、プラネタリギヤ部材35、第1リングギヤ部材33及び第2リングギヤ部材34によって、いわゆる不思議歯車機構を構成している。不思議歯車機構は、一般的な遊星歯車機構に比べて効率が悪いため、別途サンギヤ部材31の回転を阻止する手段を設けずとも、第1リングギヤ部材33が回転した場合にサンギヤ部材31の回転を確実に阻止することができるようになる。これにより、レンズ駆動筒に加えられる負荷が大きい場合であっても、第1リングギヤ部材33の回転によってサンギヤ部材31が回転することはなくプラネタリギヤ部材35が自転しながら公転し、これらプラネタリギヤ部材35の公転によって第2リングギヤ部材34が回転することになり、出力ギヤ部34bの回転によってレンズ駆動筒が確実に回転することになる。
さらに、上記動力伝達装置では、上述の不思議歯車機構を構成するようにしているため、その他の歯車列を適用することなく大きな減速比を得ることが可能であり、適用するレンズ鏡筒の大型化及び重量増大といった事態を抑えることができるようになる。
尚、上述した実施の形態では、レンズ鏡筒においてモータ20による自動焦点調節と、手動操作による手動焦点調節とを可能とする動力伝達装置を例示しているが、必ずしもこれに限らず、2つの入力要素から動力の入力が可能で、いずれか一方の入力要素から動力が入力された場合に出力を行うようにしたものであれば、その他の用途にも適用することが可能である。
また、上述した実施の形態では、入力ギヤ部材40に負荷を付与する負荷付与手段50として、ブレーキギヤ部材52を介したものを例示しているが、直接入力ギヤ部材40に負荷を付与するように構成しても良い。
本発明の実施の形態である動力伝達装置の外観を概念的に示す斜視図である。 図1に示した動力伝達装置の分解斜視図である。 図1に示した動力伝達装置の動力伝達系を概念的に示す平面図である。 図1に示した動力伝達装置の動力伝達系を概念的に示す断面側面図である。
20 モータ
23 駆動軸
31 サンギヤ部材
33 第1リングギヤ部材
34 第2リングギヤ部材
34b 出力ギヤ部
35 プラネタリギヤ部材
40 入力ギヤ部材
50 負荷付与手段
52 ブレーキギヤ部材
53 ブレーキバネ
60 クラッチ機構
62 第1クラッチギヤ部材
62b 第1摩擦当接面
63 第2クラッチギヤ部材
63b 第2摩擦当接面
64 クラッチバネ

Claims (5)

  1. 自身の軸心回りに回転可能に配設した第1ギヤ部材と、
    前記第1ギヤ部材に歯合し、自身の軸心回りに回転可能、かつ前記第1ギヤ部材の軸心回りに公転可能に支持させた中間ギヤ部材と、
    前記第1ギヤ部材の軸心回りに回転可能に配設し、ギヤ部を介して前記中間ギヤ部材に歯合する第2ギヤ部材と、
    前記第1ギヤ部材の軸心回りに回転可能に配設するとともに、前記第2ギヤ部材のギヤ部とは異なる歯数のギヤ部を介して前記中間ギヤ部材に歯合する第3ギヤ部材と、
    自身の軸心回りに回転可能に配設した入力ギヤ部材と、
    前記入力ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材の間に介在し、前記入力ギヤ部材が回転した場合に前記第2ギヤ部材を回転させる一方、前記第2ギヤ部材が回転した場合には前記入力ギヤ部材への動力伝達が不可となるクラッチ機構と
    を備え、前記第1ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材をそれぞれ個別の入力要素として構成し、前記第1ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材が択一的に回転した場合に前記第3ギヤ部材をそれぞれ従動させることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記入力ギヤ部材に負荷を付与する負荷付与手段をさらに備え、
    前記クラッチ機構は、
    前記入力ギヤ部材及び前記第2ギヤ部材の間に介在し、互いに当接する一対の摩擦当接面を介して回転力を伝達する摩擦動力伝達部と、
    前記一対の摩擦当接面を互いに圧接させ、前記入力ギヤ部材が回転した場合に前記一対の摩擦当接面を接続することによって前記第2ギヤ部材を回転させる一方、前記第2ギヤ部材が回転した場合には前記負荷付与手段からの負荷により前記一対の摩擦当接面を相対回転させる押圧部材と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
  3. 前記負荷付与手段は、
    前記入力ギヤ部材に歯合した第4ギヤ部材と、
    前記第4ギヤ部材を軸方向に押圧してその回転を制限する回転制限部材と
    を備えたことを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
  4. 前記摩擦動力伝達部は、
    前記入力ギヤ部材に歯合し、一方の端面が第1摩擦当接面を構成する第1クラッチギヤ部材と、
    前記第2ギヤ部材に歯合し、一方の端面が前記第1摩擦当接面に対向した第2摩擦当接面を構成する第2クラッチギヤ部材と
    を備えたことを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
  5. 前記負荷付与手段は、
    前記入力ギヤ部材に歯合した第4ギヤ部材と、
    前記第4ギヤ部材を軸方向に押圧してその回転を制限する回転制限部材と
    を備え、かつ前記クラッチ機構は、
    前記入力ギヤ部材に歯合し、一方の端面が第1摩擦当接面を構成する第1クラッチギヤ部材と、
    前記第2ギヤ部材に歯合し、一方の端面が前記第1摩擦当接面に対向した第2摩擦当接面を構成する第2クラッチギヤ部材と、
    前記第1クラッチギヤ部材の第1摩擦当接面と前記第2クラッチギヤ部材の第2摩擦当接面とを互いに圧接させ、前記入力ギヤ部材が回転した場合にこれら第1摩擦当接面及び第2摩擦当接面を接続することによって前記第2ギヤ部材を回転させる一方、前記第2ギヤ部材が回転した場合には前記負荷付与手段からの負荷により前記第1摩擦当接面及び前記第2摩擦当接面を相対回転させる押圧部材と
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
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