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JP5307559B2 - 放射線障害の制御の為にペプチドを使用する方法 - Google Patents

放射線障害の制御の為にペプチドを使用する方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、高エネルギー電磁波(X線、ガンマ線)又は粒子(アルファー粒子、ベータ粒子、ニュートロン)への被曝により引き起こされる急性放射線障害に対する薬剤開発の分野に関する。今日までに、電離照射への不測の被曝後の放射線障害を改善するための有効な薬剤はない。
背景
放射線障害は、放射線への被曝により引き起こされる組織への損傷である。本明細書において、放射線は、高エネルギー電磁波(X線、ガンマ線)又は粒子(アルファ粒子、ベータ粒子、ニュートロン)により生じる電離放射線をいう。そのような放射線は、放射性物質(放射性同位体)、例えばウラン、ラドン及びプルトニウムなどにより放射される。そのような放射線は、人口の源、例えばX線及び放射線治療機器によっても作られる。放射線量は、いくつかの異なる単位で測定されるが、すべてが与えられたエネルギーの量に関する。該単位は、レントゲン(R)、グレイ(Gy)及びシーベルト(Sv)を含む。シーベルト及びグレイは、シーベルトが放射線の種々のタイプの生物学的効果を考慮する以外は、同様である。放射線被曝の2つの主なタイプは、照射及び汚染である。多くの放射線事故は、ヒトを両方にさらす。
照射は、体の外側から体を直接に通り抜ける放射波への被曝である。照射は、ヒトをすぐに病気にすることができる(急性放射線症)。加えて、照射は、特に高い線量において、ヒトの遺伝物質(DNA)を損傷し、慢性(遅発性)疾患、例えば癌及び出生異常などを引き起こす。しかしながら、照射は、ヒト又はその組織を放射性にしない。汚染は、典型的にはダスト又は液体の形態での、放射性物質との接触及び放射性物質の保有である。放射性物質は、皮膚上にとどまることもあり(そこでそれは落ちることができ又はこする落とされることができる)、他の人々及び物体を汚染する。該物質は、肺、消化管又は皮膚の破れを通じて体により吸収もされうる。該吸収された物質は、体内の種々の部位、例えば骨髄などへ輸送され、そこでそれは放射線を放出し続ける。この内部移行された放射線は、内出血のような急性放射線症を引き起こすだけでなく、癌などのような慢性疾患を生じうる。
人々は、低水準の自然の放射線(背景放射線)に絶えずさらされている。放射線は宇宙空間から来るが(宇宙放射線)、その多くは地球の大気により遮断される。宇宙放射線への被曝は、高い放射性の元素、特にラドンガス(多くの岩石及び鉱物中にも存在する)のところで生活し又は従事する人々にとってより強力である。これらの元素は、最後には、食品及び建築材料を含むさまざまな物質中に至る。加えて、人々は、核兵器実験に起因する環境放射線並びに種々の医療的試験及び処置からの放射線を含む、人工の源からの放射線にさらされる。平均的なヒトは、自然放射線及び人工の源から、1年当たり合計で約3〜4mSv(1mSv=1/1000Sv)を受ける。放射性物質及びX線源とともに働く人々は、より高い水準の放射線への被曝のリスクにある。癌についての放射線処置を受けている人々は、非常に高い水準の放射線を受けうる。核兵器は、莫大な量の放射線を放出する。これらの兵器は、1945年以来人々に対して用いられていない。しかしながら、多くの国が今、核兵器を所有し、且ついくつかのテロリストグループも、それらを入手することも試みており、これらの兵器がもう一度用いられうる可能性が生じた。
放射線の損傷効果は、被曝の量(線量)及び期間を含む、いくつかの因子に依存する。全身への1回の急な放射線量は致命的でありうるが、数週間又は数ヶ月にわたり与えられた同じ合計の線量は、はるかにより少ない効果を有する。或る線量について、遺伝子の損傷は急な被曝によってよりありうる。放射線の効果は、体のどのくらいが被曝されたかにも依存する。例えば、6Gy超は、放射線が全身にわたり分布されたときに、一般に死を引き起こすが、癌についての放射線治療におけるように、小さな領域に集中されたときは、3又は4回のこの量が、全体として対象について重大な害無く与えられうる。放射線の分布も重要であり、なぜなら体の或る部分は放射線に、より感受性であるからである。細胞が速く増殖している器官及び組織、例えば腸及び骨髄などは、細胞がよりゆっくりと増殖する組織、例えば筋肉及び腱などよりも、放射線によってより容易に害される。精子及び卵細胞の遺伝物質は放射線によって損傷されうる。それ故に、癌についての放射線治療の間、高い線量が主として癌へと届けられうるように放射線から体のより脆弱な部分を防護するためのあらゆる試みがなされる。放射線被曝は2種類の障害を生じる:急性(即時の)及び慢性(遅発性)。急性放射線障害は、血管内皮の損傷を通じた炎症を誘発し、漏出血管をもたらす。血管応答及び細胞性応答が続く。電離放射線は免疫を弱め且つ腸上皮を損傷し、これら両方ともが腸からの微生物の転移を促進する。
癌についての放射線治療は主に、放射線を受ける体の一部において症状を生じる。例えば、直腸癌についての放射線治療において、小腸に対する放射線の効果の故に、腹部痙攣及び下痢が一般的である。
放射線損傷に対して正常な組織を防護できる非毒性放射線防護剤についての研究が、第二次世界大戦後すぐに始まった。広範囲に及ぶ放射線生物学的研究が、放射線被曝の前に与えられたときに、放射線障害に対して動物(主としてげっ歯類)を防護した多くの剤を生み出した[Prasad KN. Handbook of radiobiology. 2nd edn. Boca Raton, FL:CRC Press, 1995]。これらの研究から、フリーラジカルを除去し及び/又は低酸素症を引き起こす剤が、放射線防護的な価値がありうることが明らかとなった。残念ながら、放射線防護的な用量でのこれらの化合物の多くは、ヒトにとって毒性であることがわかった。冷戦の展開の間に経験した核対決及びリスクの減少により及びその後、放射線防護剤の研究における関心は顕著に減少した。X線に基づく診断装置の急な成長及び病気の早期診断における放射線学的手順の増加した使用の故に、現世代及び将来世代における遺伝子に関連した病気のリスクを増加しうる、増加した頻度の体細胞変異及び遺伝性変異についての関心が生じてきている。それ故に、あり得る放射線損傷に対して、たとえその損傷がどんなに小さいものでありうるとしても、正常な組織が防護されるべきことが必須となった。
一般に、放射線防護剤は、電離放射線への被曝の前に投与されて、放射線により誘起される致死性を含むその損傷効果を減少する化合物として定義される[H.B. Stone et al., Models for evaluating agents intended for the prophylaxis, mitigation and treatment of radiation injuries. Report of an NCI Workshop, December 3-4, 2003, Radiat Res 162: 711-728.]。それらは、放射性物質のテロリズム、軍事シナリオ、臨床腫瘍学、宇宙旅行、放射線部分の浄化における適用を有する[R.H. Johnson, Dealing with the terror of nuclear terrorism, Health Phys 87: S3-7., F.A.J. Mettler, G.L.Voelz, Major radiation exposure-what to expect and how to respond, N Engl J Med346: 1554-1561, 2001] C.K. Nair, D.K. Parida, T.Nomura, Radioprotectors in radiotherapy, J Radiat Res (Tokyo) 42:21-37, J.K. Waselenko, T.J. MacVittie, W.F. Blakely, N. Pesik, A.L. Wiley, W.E. Dickerson, H.Tsu, D.L. Confer, C.N. Coleman, T. Seed, P.Lowry, J.O. Armitage,N. Dainiak, Medical management of the acute radiation syndrome: Recommendations of the Strategic National Stockpile Radiation Working Group, Ann Intern Med 140: 1037-1051.]。最近、米国科学技術政策局及び国土安全保障会議は、新規の放射線防護剤の開発を研究の最も優先すべきものとした。アミノチオールのような合成の放射線防護剤は最も高い防護的係数を産出したが、概してそれらは自然に発生する防護物よりも毒性である。一般に、最良の放射線防護剤は、最高の行動毒性を結果するとも報告されている。
軍事の放射線シナリオにおいて、放射線により誘発された健康結果の有効な緩和及び性能を劣化する効果が、医療処置施設での負傷者負荷を減少することができ、放射線被曝事件後のより有効な指揮を維持することができ、急性組織障害に起因する減少した性能の減少したリスクにより、放射線場環境において指揮官が作戦を指揮することを許すことができ、且つ汚染された環境において働くことが貸された隊員に対する負の心理学的影響を減少することができる。理想的な放射線防護剤は、特に潜在的な外部放射線の危険を有する領域への迅速な進入が要求されるときに、非毒性だろうし、性能を劣化しないだろうし、且つ単回投与後に有効だろう。
NATO Human Factors and Medicine Panel Research Task Group 099“Radiation Bioeffects and Countermeasures”会合(2005年6月21〜23日に、アメリカ合衆国メリーランド州ベセスダにおいて行われた)で提出され、そしてAFRRI CD 05−2において発行された文書(Landauer et al., NATO RTG−099 2005)において、ゲニスタインが、マウスにおけるガンマ放射線誘起の死亡の防止を与えるとして進められ、最高の用量(200mg/kg;これは照射前24時間にマウスに投与されたときの最高の生存率を結果した)で1.16の「線量減少係数」(DRF)を有した。全身照射(WBI)の前1時間に与えられたとき、放射線防護は観察されなかった。第51回Radiation Research Society(2004年4月)で提出されたコードネームON−01210の薬剤の放射線防護活性を記載する他の研究は、(放射線被曝について現在研究中である他の薬剤のように)この特定の薬剤ON−01210は、それが放射線被曝の前に与えられる場合だけ、防護的であることを示す。この特定の薬剤は、抗酸化剤として働くスルフヒドリル成分(4−カルボキシスチルル−4−クロロベンジルスルホン)を有し、放射線が細胞を損傷するときに生み出されるフリーラジカルを除去する。
また、米国国防総省の議会年次報告(2005年3月;http://medchembio.amedd.army.mil/docs/CBDP_Report_To_Congress.pdf)中に述べられているとおり、現在、軍事作戦環境下における使用に適当な、市販で入手可能な非毒性の医薬的剤又は診断能力は無い。アミノチオール化合物であるアミフォスチンは、化学療法又は放射線治療を受けている患者における使用についてFDAにより承認されているが、その性能劣化する毒性副作用は、戦闘を準備する部隊におけるその使用を妨げ、そしてその静脈内の投与経路は、医療の専門家が利用可能であるべきことを要求する。他の薬理学的剤、例えば骨髄障害を処置する為の造血性サイトカインなどは、個々の医師によるケースバイケースの根拠に基づき認可外で使用されうるが、そのような使用についての規制的な制限は、軍事作戦の間の多数の負傷者を処置することにとって、それを実用的でなくする。抗生物質は、放射線の障害の感染的続発症を処置する為に一般に用いられるが、それらは内因性及び外因性の全身性感染を効果的に処置する為に適切に選ばれなければならないが、有益な腸内嫌気性バクテリアにわずかに影響する。現在限定されている医療的対策の選択肢の問題を扱うことにおいて、新規化合物5−アンドロステンジオール(5−AED;Whitnall et al., Experimental Biology and Medicine 226:625-627(2001))が、軍放射線生物学研究所(AFRRI)で研究されている。やはり、該化合物は、マウスモデルにおける照射チャレンジに先立ち投与されたときに、放射線防護剤として良い効果を示した。生存率における改善は、マウスのガンマ線照射の24時間前から2時間後の間のsc注入によりAEDが投与されたときに観察された。1.3の線量減少係数が、WBIに先立つ投与についてのプロビット生存曲線から計算された。クレブシエラ ピューモニアの致死量の用量による続く摂取を有して又は無しで、オス及びメスの両方のマウスにおいて、防護は観察された。多くの他のステロイド(デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、5−アンドロステン−3B,7B,17B−トリオール(AET)、アンドロステンジオン、又はエストラジオール)によっては、防護は観察されなかった。しかしながら、非ヒト霊長類(NHP)モデルにおける、過去の年の間の、IND適用についての調製においての広範な研究は、5−AEDが、マウスモデルにおいて放射線防護剤として投与されたときよりもはるかに有効でないが、照射に続きすぐに連続した用量で治療的に投与されたときにNHPモデルにおいてよい効果を生じたことを実証した。
急性放射線症。急性放射線症は一般に、全身が放射線に被曝した人々において起こる。急性放射線症はいくつかの段階を通じて進行し、初期症状(前駆症状)に始まり無症状期間(潜伏段階)が続く。ヒトが受けた放射線の量に依存して、種々の症候群(症状の型)が続く。放射線の量が多ければ多いほど、症状はより重くなり且つ初期症状から実際の症候群への進行がより早くなる。症状及び時間的経過は、放射線被曝の所定の量についてヒトからヒトへと一致する。医師は、症状の時期及び性質からヒトの放射線被曝を予測することができる。医師は、冒された主器官系に基づき、急性放射線症候群を3つの群に分けるが、これらの群の間には重なり合いがある。
造血に関する症候群は、血球製造(造血)の主要部位である、骨髄、脾臓及びリンパ節に対する放射線の影響により引き起こされる。食欲の喪失(食欲不振)、嗜眠、悪心及び嘔吐が、2Gy以上の放射線への被曝後2〜12時間で始まる。これらの症状は、被曝後24〜36時間以内に消散し、そしてヒトは一週間以上体調が良い。この無症状期間の間、骨髄、脾臓及びリンパ節中の、血液を製造する細胞が衰弱し始め且つ交換されず、白血球の重度の不足、続いて血小板及び次に赤血球の不足をもたらす。白血球の不足は重度の感染症をもたらしうる。血小板の不足は、制御されない出血を引き起こしうる。赤血球の不足(貧血)は、疲労、脱力感、蒼白及び身体活動の間の呼吸困難を引き起こす。4〜5週間後、もしヒトが生き抜くならば、血球がもう一度製造されることが始まるが、数ヶ月間ヒトは脱力及び疲労を感じる。
胃腸の症候群は、消化管の内側を成す細胞に対する放射線の影響に起因する。重度の悪心、吐気及び下痢が、4Gy以上の放射線への被曝後2〜12時間で始まる。該症状は、重度の脱水症をもたらしうるが、それらは2日後に消散する。次の4〜5日の間、ヒトは体調が良いが、防護障壁として普通は働く、消化管の内側を成す細胞が死にそして脱落される。この期間の後、しばしば出血性の、重度の下痢が再発し、もう一度脱水症を結果する。消化管からのバクテリアが体を侵し、重度の感染症を生じる。この多量の放射線を受けた人々は、造血に関する症候群にもかかることがあり、これは出血と感染を結果し且つ彼らの死の危険を増加する。
脳血管性(脳)症候群は、放射線の全線量が20〜30Gyを超えるときに起こる。ヒトは速やかに、混乱、悪心、嘔吐、出血性下痢及びショックになる。数時間以内に、血圧が低下し、発作及び昏睡を伴う。脳血管性症候群は常に致死性と考えられている。
放射線の慢性的影響。放射線の慢性的影響は、分裂する細胞における遺伝物質への損傷から生じる。これらの変化は、細胞成長の異常、例えば癌などを生じうる。重度に照射された動物において、生殖細胞への損傷は、欠陥のある子孫(出生異常)をもたらすと示された。しかしながら、日本における核爆発の生存者の子孫において、照射から生じる奇形はほとんど観察されなかった。もしかしたら、或る(未知)水準より低い放射線被曝は、出生異常を引き起こす為に十分に遺伝物質を変化しないのかもしれない。
照射障害は、放射線治療を受けた後又は事故で放射線に被曝した後にヒトが病気になったときに疑われる。状態を診断するために利用可能な特定の試験はないが、感染、低い血球数計測又は臓器機能不全を検出するために任意の試験が用いられうる。放射線被曝の重症度を決定するために、医師は、血液中のリンパ球(白血球のタイプ)の数を計測する。被曝後48時間でのリンパ球総数が低ければ低いほど、放射線被曝はより悪い。
照射ではない放射能汚染は、放射線を検出する装置であるガイガーカウンターによりヒトの体を調査することにより決定されうる。鼻、咽喉及び何らかの創傷からのスワブも、放射能について検査される。
放射線障害の予後は、線量、線量率(被曝がどのくらい早く起こったか)及び体にわたる分布に依存し、並びにヒトの健康の基礎状態に依存する。一般に、WBIの6Gy超を受けた人々の大抵は、胃腸の症候群で死ぬ。医師は、ヒトが受けた放射線の正確な量を知ることはできそうにないので、彼らは通常はヒトの症状により予後を判断する。脳血管性症候群は、数時間から数日以内で死亡する。胃腸に関する症候群は一般に、3〜10日以内で死亡するが、いくらかの人々は数週間生き抜く。彼らの放射線の全量に依存して、適切な医療的ケアを受ける多く人々は造血に関する症候群を生き抜く;生き抜かない人々は典型的に8〜50日後に死ぬ。
照射は、通用している応急処置は有さないが、医師は種々の症候群の進展についてヒトを綿密に監視し、そして症状が生じたときにそれらを処置する。また、及び残念ながら、核又は放射線の攻撃から生じうる急性及び長期のさまざまな毒性に対抗するために存在する医療的製品はほとんどない。汚染は、放射性物質が体により吸収されるのを防ぐために、放射性物質の迅速な除去を要求する。放射性物質により汚染された皮膚は、大量のせっけん及び水により又は、利用可能なときはこの目的の為に設計された溶液により、すぐにスクラブ洗浄されるべきである。小さな刺し傷は、たとえスクラブ洗浄が痛みを生じうるとしても、全ての放射性粒子を除去するために、勢いよく洗浄されるべきである。汚染された髪は、切り取られるが、剃られない−剃ることが皮膚をすりむくことがありそして汚染が体に入ることを許す。スクラブ洗浄は、ガイガーカウンターが放射能が消えたことを示すまで続く。もしヒトが最近放射性物質を飲んだならば、嘔吐が誘起される。いくつかの放射性物質は、飲まれた物質の吸収を防ぐことができる特異的な抗毒剤を有する。そのような抗毒剤の多くは、例えば大きな反応炉事故又は核爆発からの重大な放射能汚染に被曝した人々だけに与えられる。ヨウ化カリウムは、甲状腺が放射性ヨウ素を吸収することを防ぎ、そして甲状腺がんのリスクを低める。他の薬剤、例えばジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びペニシラミンなどは、或る放射性元素が吸収された後に、該放射性元素を除去するために、静脈内に与えられうる。
汚染が疑われないときは、悪心及び嘔吐は、嘔吐を防ぐ為の薬剤(制吐剤)を摂取することにより減じられうる;そのような薬剤は、放射線治療を受けている人々に慣用的に与えられる。脱水症は、静脈内に与えられる輸液により処置される。
胃腸又は造血の症候群を有する人々は、彼らが感染性微生物に接触しないように隔離される。輸血及び、血球製造を刺激する成長因子(例えばエリトロポエチン及びコロニー刺激性因子など)の注入が、出血を減少する為及び血球数を増加する為に与えられる。もし骨髄が重度に損傷されているならば、これらの成長因子は効果が無く、そしてときどき骨髄移植が実施されるが、その成功率は低い。
胃腸に関する症候群を有する人々は、抗吐剤、静脈内に与えられる輸液、及び鎮静剤を必要とする。ある人々は無刺激食を食べることもできる。抗生物質、例えばネオマイシンなどは、体に侵入しうる腸内のバクテリアを殺すために与えられる。抗生物質並びに抗菌剤及び抗ウィルス剤は、必要なときに静脈内に与えられる。脳血管性症候群についての処置は、痛み、不安及び呼吸困難をやわらげることにより安楽を与えることに向けられる。薬剤は、発作を制御するために与えられる。
放射線の慢性的な影響を有する人々又は放射線治療により引き起こされた疾患を有する人々は、それらの症状に向けられた処置を受ける。痛み又は潰瘍は、外科的に除去され若しくは修復されることができ、及び、高い圧力の(高圧)酸素治療の使用により治癒することが促進されることができる。放射線により誘発された白血病は化学療法により処置される。血球は、輸血により置き換えられる。不妊症を戻すことができる処置はないが、異常な卵巣及び睾丸の機能の結果としての低水準の性ホルモンが、補充ホルモンにより処置されうる。研究者らは現在、サイトカイン、成長因子及び種々の他の治療を用いた、放射線により誘発された正常組織障害を防ぎ又は減少するための方法を探索している。アミフォスチン又はピロカルピン−HClは、放射線治療により処置される頭頸部癌を有する人々におけるドライマウス(口内乾燥症)の重症度を減少すると示されている。
細胞に対する放射線の急性及び遅発の影響の臨床的及び実験的研究は、放射線治療の我々の知識を広げそして、放射線処置計画の最適化及び放射線送達のより正確なモードをもたらした。しかしながら、正常組織及び癌の組織は両方とも放射線被曝への同様の応答を有するので、放射線治療処置の間又は完了後に、正常組織に放射線により誘発された障害が存在しうる。NSAID及びプロスタグランジンの両方についての研究は実際に、放射線防護のいくつかの証拠を示した。両方とも細胞の生存を増加する能力を有するが、完全に異なる機構による。細胞動態の研究は、細胞周期の有糸分裂期(M)及び後期G2期において一般に、早期S期及びG1/G0期における細胞と比較して、放射線に最も感受性であることを明らかにする。さらに、放射線は、細胞周期において分裂遅延をもたらす。従って、細胞周期のM期及びG2期における細胞の比率を限定し又は速い細胞増殖を増加する化学的剤が、照射の間の正常組織への放射線防護剤としてのそれらの潜在的な使用について原理的には使用されうる。NSAIDは、細胞周期の停止を引き起こし、休止状態(G0/G1)に向けて細胞をシフトすることにより抗癌効果を発揮することが示されている。同じ作用機構が、正常組織の放射線防護においても観察された。NSAIDへの曝露後のアラキドン酸濃度の増加は、アポトーシスインデューサーセラミドの産生ももたらす。NSAIDは、細胞におけるスーパーオキシドジスムターゼの水準も高める。NSAIDによる熱ショックタンパク質の活性化は、サイトカイン発現の変化により細胞の生存を増加する。抗血管新生機構によってありうる細胞の増殖の抑制に関するNSAIDの役割も提案されている。いくつかのインビボでの研究は、NSAIDが放射線障害から正常な組織を防護しうることを提案する証拠を提供した。プロスタグランジンは細胞周期を調節しないが、それらは細胞の成長及び分化に対してさまざまな影響を有する。PGE2は血管新生を仲介し、細胞の生存及び成長に必須の酸素及び栄養の供給を増加する。従って、十分に高い血漿濃度でのPGE2は、TNF−a及びIL−1βのような炎症促進性サイトカインを抑制することにより細胞の生存を高めうる。従って、PGE2は、炎症のメディエータよりもむしろモジュレーターとして作用する。前向き研究(prospective study)は、放射線により誘発される副作用の予防において、照射の前に、PGE1アナログであるミソプロストールの潜在的な使用を提示した。NSAID及びプロスタグランジンの薬理学の現在の理解は、予防手段的に用いられたときに、正常組織に対する放射線の不都合な効果を最小化するためのいくつかの可能性を示す。
細胞周期進行を一時的に抑制すること及び増殖できるそれら細胞を不妊化することに加えて、細胞内の情報伝達の内因性メディエーター(放射線への組織応答の体液性の成分)により影響されるホメオスタシスを、照射は阻害する。メディエーター水準の変化は、正常性への回復を助けることにより(例えばH型細胞系列に特異的な成長因子の上昇を通じて)又は損傷を悪化させることにより、放射線の影響を調節しうる。後者の機序は、照射後のエイコサノイド水準の変化についての報告及び抗炎症性薬剤による放射線障害の経験的処置の結果についての報告により記載される。放射線の前駆の影響、急性の影響及び後発性の影響は、エイコサノイド(プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トロンボキサン及びロイコトリエン)の過剰な産生を伴う。炎症反応のこれら内因性メディエーターは、放射線被曝後に観察される血管拡張、血管収縮、増加した微小血管透過性、血栓症及び走化性に関与しうる。グルココルチコイドは、主としてホスホリパーゼA2に干渉することによりエイコサノイド合成を抑制する一方で、非ステロイド性抗炎症性薬剤は、シクロオキシゲナーゼを抑制することによりプロスタグランジン/トロンボキサン合成を妨げる。経験的見地に基づき、照射後に投与されたとき、両グループに属する薬剤は、ヒト及び動物における放射線の、前駆の、急性の及び後発性のさまざまな影響を弱める傾向にある。
本引用によりその全体の内容が取り込まれる、Herronへの米国特許第5,380,668号明細書(1995年1月10日)は、とりわけ、hCGの抗原性結合性能力を有する種々の化合物を開示する。そこに開示されたオリゴペプチドは、概して診断的方法における使用について開示される。Galloらへの種々の特許及び特許出願(例えば、米国特許第5,677,275号明細書(国際公開第96/04008号パンフレットに対応する)、米国特許第5,877,148号明細書(これも国際公開第96/04008号パンフレットに対応する)、国際公開第97/49721号パンフレット、米国特許第6,319,504号明細書(国際公開第97/49373号パンフレットに対応する)、米国特許出願公開第2003/0049273号明細書(これも国際公開第97/49373号パンフレットに対応する)、米国特許第5,968,513号明細書(国際公開第97/49418号パンフレットに対応する)、米国特許第5,997,871号明細書(国際公開第97/49432号パンフレットに対応する)、米国特許第6,620,416号明細書、米国特許第6,596,688号明細書、国際公開第01/11048号パンフレット、国際公開第01/10907号パンフレット及び米国特許第6,583,109号明細書)は、種々のオリゴペプチド及びそれらの使用方法に関係し、とりわけ、「HIV感染を抑制すること」、「HIV感染を処置又は予防すること」、「癌を処置又は予防すること」、「体細胞量の損失により特徴付けられる状態を処置又は予防すること」、「病理学的な血管新生に関係する状態を処置又は予防すること」、「造血欠陥を処置又は予防すること」、「エクスビボでの遺伝子治療」、「インビトロで血液細胞を展開すること」及び/又は「対象に血液細胞を与えること」におけるそれらの使用方法に関係する。本引用によりその全ての内容が取り込まれるPCT国際国際公開第03/029292号パンフレット(2003年4月10日に発行された)、PCT国際公開第01/72831号パンフレット(2001年10月4日に発行された)、米国特許出願公開第2002/0064501号明細書(2002年5月30日に発行された)、第2003/0119720号明細書(2003年6月26日に発行された)、第2003/0113733号明細書(2003年6月19日に発行された)、及び第2003/0166556号明細書(2003年9月4日に発行された)、米国特許出願第11/249,541号明細書(2005年10月13日に提出された)、国際出願第PCT/EP2005/003707号明細書(2005年4月8日に提出された)、米国特許出願第10/821,256号明細書(2004年4月8日に提出された)、米国特許出願第10/262,522号明細書(2002年9月30日提出された)、国際出願第PCT/NL01/00259号明細書(国際公開第01/72831号パンフレット)(2001年3月3日に提出された)、米国特許第6,844,315号明細書及び米国特許第6,921,751号明細書に記載されるとおり、ここにおいて記載されるオリゴペプチドのいくつかを含有する組成物は、例えば敗血症及び他の病気の状況及び状態の処置において有用な免疫調節活性を有する。
本発明は重要な生理学的プロセスを調節する体の生得的な様式に関係し、そして、PCT国際公開第99/59617号パンフレット及び第01/72831号パンフレット並びにPCT国際出願PCT/NL02/00639号明細書において報告された洞察に基づく(その全ての全体の内容が、本引用により本明細書に取り込まれる)。これらの出願は、妊娠中の女性に存在し且つ胎盤性ゴナドトロピン、例えばhCGなどのタンパク質分解的分解に由来する小さい遺伝子調節ペプチドを記載する。これらの分解産物は、しばしばわずかに約2〜6アミノ酸長であり、そして、サイトカインのような炎症性メディエーターをコードする遺伝子の発現を調節することにより発揮される卓越した免疫学的活性を有するとが示された。驚くべきことに、hCGの分解は、妊娠中の女性の免疫学的ホメオスタシスの維持を助けるペプチドのカスケードを提供することが発見された。これらのペプチドは、母親を免疫学的に健全な状態にすることを確保するために免疫系の平衡を保つ一方で、彼女の胎児が妊娠の間に時期尚早に拒絶されないが、代わりにその出産の時まで安全に運ばれる。
さらに、本発明は米国特許出願第10/821,240号明細書に関係し、それは、さらに小さい遺伝子調節ペプチドを選抜し且つ同定する方法及び、例えば参照ペプチドに由来するペプチドによる、そのような選抜からの結果物を用いる方法を提供する。例えば、分析されるべきペプチドは、C反応性タンパク質(CRP)(例えばヒトCRP)に由来し、そのようなペプチドは、下記を包含する。
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発明の開示
本発明は高エネルギー電磁波(X線/フォトン及び/又は自然ガンマ線)及び/又は他の高エネルギー電離粒子(α粒子、β粒子、ニュートロン、プロトン、パイ中間子)への被曝により引き起こされる急性放射線障害に対する薬剤の開発の分野に関する。現在までに、電離照射への不測の被曝後、又は治療的放射線又は放射性模倣的剤の間の健康な組織への損傷後に、放射線障害を改善する為の有効な薬剤は無く、また、該出来事の前に(例えば第一応答者へ)投与されたときにそのような障害を防ぎ又は最小化する為の有効な予防的薬剤もない。
本発明者らは驚くべきことに、比較的小さい非毒性ペプチドが、放射線損傷に対する薬剤として有効であり得ることを観察した。重要なことに、本発明の抗放射線ペプチドは、予防的剤として有用なだけでなく、放射線への被曝後数時間に投与されたときに防護することもできる。これは、例えば核テロリズムのテロに対処するときに、軍事の放射線シナリオにおける使用にとってそれらを非常に適当なものとする。従って、本発明は、放射線障害の予防又は処置の必要がある対象の放射線障害を予防又は処置する方法であって、30アミノ酸より小さいペプチド又はその機能的類似体を該対象に投与することを含む上記方法を提供する。好ましくは、該ペプチド又はその機能的類似体は、照射後に、すなわち放射線源への該対象の被曝に続いて、該対象に投与される。さらに、本発明は、放射線障害を患う対象又は患っていると考えられる対象の処置の為の医薬組成物の製造の為の、30アミノ酸より小さいペプチド又はその機能的類似体を使用する方法を提供する。特に、本発明は、少なくとも1.10の急性全身照射に対する線量減少係数(DRF)を有する抗放射線ペプチドを提供し、該DRFは、非処理の対照群において30日で50%の死亡率(LD50/30)を結果する全身照射(WBI)の線量に対して、WBIのどの線量がWBI後すぐに又はWBI後72時間までに、WBI後該ペプチドにより処置された実験的げっ歯類(例えばマウス)の試験群において30日で50%死亡率(LD50/30)を結果するかを試験することにより決定可能であり、ここで該DRFは、媒体により処置された動物のLD50/30放射線量により、該ペプチドにより処置された動物のLD50/30放射線量を割り算することにより計算される。
本発明は、放射線障害を患う又は患っていると考えられる対象を処置するための方法を提供し、該方法は30アミノ酸より小さい抗放射線ペプチドを含む医薬組成物を該対象に与えることを含む。現在の放射線防護剤は非ペプチドの性質であり又はサイトカインのような大きなタンパク質を含む。本発明は、30アミノ酸より小さいペプチド、例えば
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などは、放射線障害に対する防護及び放射線障害の処置にとって有用であることを開示する。まず最初に、ペプチド薬剤は、放射線への被曝が起こった後にそれが投与されたときに、放射線の損傷効果を減少することができることが示される。例えば、該抗放射線ペプチドは、最大で29、最大で28、最大で27、最大で26、最大で25、最大で24、最大で23、最大で22、最大で21、最大で20、最大で19、最大で18、最大で17、最大で16又は最大で15のアミノ酸からなる。
しかしながら、該ペプチドは、15アミノ酸より小さいことが好ましい。例えば、該抗放射線ペプチドは好ましくは、最大で14、最大で13、最大で12、最大で11、最大で10、最大で9又は最大で8のアミノ酸からなる。有用なペプチドのいくつかの例は、
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である。しかしながら、例えば本明細書において提供されるとおり自己注入器により、自己投薬のためにペプチドが用いられるとき、安全性の観点から、該ペプチドは7アミノ酸より小さいことが好ましい。そのようなペプチドは一般に、MHC受容体と結合しないであろうし、その結果、投与されたペプチドに対する免疫応答により開始される自己免疫の進展のリスクを減少する。
(ヒトのプロテオームに由来するペプチドと、特にはウィルス又はバクテリアの、病原体プロテオームに由来するペプチド(Burroughs et al., Immunogenetics, 2004, 56:311-320)とを比較したとき)、7アミノ酸(aa)のペプチドサイズでは、自己又は非自己の間で3%だけの重なり合いが発見されることが決定されたので、7aaより小さいサイズはまた特に好ましい。6aaのペプチドに関しては、ヒト自己における病原体非自己とのその重なり合いは、30%であると決定され、5aaのペプチドに関しては90%であり、そして、4aa長(及びより小さい)ペプチドに関しては、ヒトのプロテオームに存在するペプチドと病原体のプロテオームに存在するペプチドとの間の100%の重なり合いが決定された。これらのデータに基づき、自己−非自己の違いが存在しないとき、不都合な免疫反応、例えばアナフィラキシーショックなどのリスクが大いに減少され、これは医療的に訓練されていない人が何らかの薬剤を彼ら自身又は他に投与するときに明確な利点であることが今ここで認められる。
アナフィラキシーショックのような不都合な反応を防ぐことの観点から、該ペプチドは2〜6アミノ酸からなること、より好ましくは3〜5アミノ酸からなること、最も好ましくは3又は4アミノ酸からなることが従って好ましい。活性の観点から、活性はペプチドサイズが増加することによってより広範になるとの一般的な洞察に基づき、もし、完全なタンパク質分解により長く耐えることができて、それにより3aaの代謝断片がなお活性を有するならば、該ペプチドは4アミノ酸から成ることが本明細書において好ましい。上記及び下記で記載された組成物は好ましくは、急性放射線障害の処置の為に用いられる。
放射線障害に対して防護する為のペプチドの使用方法は、文献において提案されている。日本国特許出願の特開平09−157291号公報及び特開平09−157292号公報は、活性化した酸素に対するインビトロでの抑制効果、活性化酸素フリーラジカルの除去作用及び抗酸化活性を有する特定の6アミノ酸長及び9アミノ酸長ペプチド配列を記載する。該ペプチドは、放射線損傷を含む、活性酸素形成に関連すると知られる種々のタイプの現象の不都合な効果を抑制する為に、インビボで有用であると推測されている。インビボでの放射線実験は実施されなかった。
特開平09−176187号公報は、活性酸素除去活性を有する、ヒスチジン含有性6アミノ酸長ペプチド類似体を教える。照射の前20分での、体重のkg当たり660mgでのペプチドの腹膜投与が、マウスの生存率を、対照群における10%から処理された群における70%へと増加した。インビボでの照射後の実験は実施されなかった。
国際公開第2006/032269号パンフレットは、3kDa超の分子量を有する成分が除去された、血液細胞の破砕物を記載する。該破砕物は、対象における細胞性免疫応答を改善するのに適当であると報告される。多種の免疫学的疾患及び病理学的状態のたくさんのうちで、該破砕物は、患者の全身状態を最適化するために、化学療法的剤及び/又は放射線を使用する処置において予防的な様式で患者に投与されうることが提案されている。該研究は、放射線実験をなにも含まないことが注目される。さらに、該破砕物はとりわけタンパク質の混合物を含有するようであるが、活性成分の同定はまったく明らかでなく、且つそれらは非タンパク質性の性質をよく有しうる。いずれにしても、はっきりしたペプチドはそこでは単離されておらず又は同定されていない。
欧州特許出願公開第0572688号明細書は、14アミノ酸残基を含む特定のペプチドを開示し、これは20mg/kg体重で、全身放射線に対してマウスにおける防護を授けるとわかった。該効果は、該化合物が放射線前1時間に適用されたときにだけ観察された。しかしながら、照射への被曝後1時間にペプチドが投与されたときには、対照データと比較しての違いは観察されなかった。
これらの先行文献の開示は、本発明と大いに異なる;本明細書において開示されたとおり該抗放射線ペプチドは、もし全身照射後数時間に投与されたとしても、防護を与えることができる。
亜致死性の放射線量を受けた対象は、本明細書において同定された小さなペプチドのいくつかの抗炎症性特性から利益をすでに受けるであろうが、驚くべきことに、多くの利益は、該小さなペプチド、とりわけ、1mg/kg体重超、好ましくは5mg/kg体重超、より好ましくは10mg/kg体重超の用量での3アミノ酸長及び3アミノ酸長のペプチドの抗胃腸症候群活性から来るであろう。小さなペプチド(すなわち3〜4aaのペプチド)の低い免疫原性性質を考慮すると、小さなペプチドによる100mg/kgまでの投与が、そして処置が必要な対象の状態を考慮して処置の必要が緊急であると決定されるいくつかの場合は、200mg/kgまで、500mg/kgまで又は1g/kgさえ可能であろう。結果として、該対象の腸管の内側の損傷(いわゆる胃腸の症候群)を含む放射線障害を有する対象の処置が今可能とされた;該ペプチドは、上皮の内側がゆっくりと回復することを許す。
高い放射線量下でのペプチドのより良い活性に関して、本発明の医薬組成物中の含有の為に又は本発明に従う自己注入器中の含有の為に、少なくとも1.10の急性ガンマ照射に対する線量減少係数(DRF)を有するペプチドを選ぶことが好ましく、該DRFは、どの放射線量が、全身照射(WBI)後72時間において、WBI後該ペプチドにより処置されたマウスの試験群において30日で50%の死亡率(LD50/30)を結果するかを試験すること、及び、どの放射線量が、全身照射(WBI)後72時間において、WBI後該ペプチドの媒体によってだけ処置されたマウスの対照群において30日で50%の死亡率(LD50/30)を結果するかを試験すること、ここで該DRFは、該ペプチドにより処置された動物のLD50/30を、該媒体により処置された動物のLD50/30により割り算することによって計算される、により決定可能である。
特には該放射線障害が照射障害であるときに、少なくとも1.20、より好ましくは少なくとも1.25の線量減少係数(DRF)を有するペプチドを用いることがさらにより好ましい。本明細書において同定されるようなペプチドは、抗放射線ペプチドとも呼ばれる。本発明は、放射線が放射性物質(放射性同位体)、例えばウラン、ラドン、及びプルトニウムなどにより放射されるか又は人工の源、例えばX線及び放射線治療機器などにより作られるかどうかに関わりなく、照射障害の処置の為の方法及び医薬組成物を提供する。
本発明は、放射線障害を患う又は患っていると考えられる対象の処置の為の医薬組成物の製造の為に、30アミノ酸より小さいペプチドを使用する方法も提供する。上記のとおり、該ペプチドが15アミノ酸より小さいことが好ましく、そして、自己投薬の為又は素人による投与の為に、該ペプチドが7アミノ酸より小さいことがさらにより好ましい。放射線障害の処置の為の医薬組成物の製造における使用の為のいくつかの有用な3アミノ酸長ペプチドが、本明細書において、VVC、LAG及びAQGとして同定される。
同様に、放射線障害の処置の為のいくつかの有用な4アミノ酸長ペプチドは、
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他のペプチド、特に3又は4アミノ酸長ペプチドは、例えば本明細書で与えられるとおりの植物成長評価を用いることにより、増殖評価における抗細胞周期活性について試験することにより発見されうる。放射線障害を患う又は患っていると考えられる対象の処置の為の医薬組成物の製造の為にペプチドを使用する方法であって、該ペプチドが2〜6アミノ酸から成る上記方法が、本明細書において特に提供される。また、アナフィラキシーショックのような不都合な反応を防ぐことの観点から、2〜6アミノ酸から成り、より好ましくは3〜5アミノ酸から成り、最も好ましくは3又は4アミノ酸から成るペプチドにより、該医薬組成物は作成されることが従って好ましい。もし活性の観点からだけであるならば、活性はペプチドのサイズが増すことによってより広範であるという一般的な洞察に基づき、もし3aaの代謝断片がなお活性を有するところのより長く(投与後の)完全なタンパク質分解に耐えるならば、本明細書において、該ペプチドが4アミノ酸から成ることが好ましい。
さらに、放射線障害についての処置の必要がある対象は今、単なる皮下の又は筋肉内の注入を通じて処置されることができることが特に有用であり、それにより自己注入器による自己処置又は訓練されていない人又は医療の専門家でない人による処置を許し、それにより何千もの人々が処置される必要がありうる緊急のシナリオにおいて救助の組織を非常に楽にする。もし静脈内又は同様に危険な腹腔内の注入だけが有用であるとわかったならば、自己注入器のような簡単な投与ツールがここに用意される状況と今比較したとき、処置の必要がある対象は、助けることがより困難になるだろう。
特に、本発明は、放射線障害の処置の為の医薬組成物の製造の為に30アミノ酸より小さいペプチドを使用する方法であって、該医薬組成物が自己注入器中に含まれる上記方法も提供する。自己注入器は、特定の(典型的には命を救う)薬剤の単回用量を届けることが意図された医療装置であり、時々、医療専門家でない人又は素人による自己注入又は注入の為の予め充填された注射器としても記載される。本明細書で用いられるとき、語「自己注入器」は、例えばHusekらにおいて記載されるとおり(J. of Chromatography B:Biomedical Sciences & Applications, Elsevier, Amsterda, Vol. 767, no.1, (2002)pg. 169-174)、クロマトグラフィー装置などの分析システムにおける生物学的(例えばペプチド)試料の自動化された適用のための注入器をいわない。
意図的に、自己注入器は用いることが容易であり且つ患者による自己投与又は素人による患者への投与を対象とする。注入の部位は典型的には大腿部又は臀部内であり、該処置は該ペプチドによる皮下又は筋肉内の注入を含む。自己注入器は医薬の所望の用量を自動的に且つ確実に届けるように設計されうるので、それらは医薬の早く、簡便な且つ正確な送達を容易にする。特に、自己注入器は、治療的物質を自己投与しなければならない対象による使用又は、例えば緊急の状況において、比較的短い時間にわたり複数の対象に注入しなければならない医療従事者による使用にとってよく適合される。さらに、注入操作の前、間及び後さえで針が視界から隠されるように、針の注入機構を組み込む自己注入器が設計されてよく、それにより対象の組織への目に見える針が進入する行為に伴う何らかの不安を減少し又は取り除く。それらの精密な仕様は広く変化するが、針の自己注入器は一般に、本体又はハウジング、針の注射器又は同様の装置、及び、対象の組織中へ針を挿入し且つ該挿入された針を通じて液体の医薬の所望の用量を届ける為の1以上の動力機構を含む。当技術分野の針の自己注入器の状態で含まれる該動力機構は一般に、動力機構に動力を与えることができるエネルギーの源を含む。このエネルギー源は例えば、機械的(すなわちバネ荷重)、空気圧式、電気機械的又は化学的であってよく、米国特許第6,149,626号明細書、第6,099,504号明細書、第5,957,897号明細書、第5,695,472号明細書、第5,665,071号明細書、第5,567,160号明細書、第5,527,287号明細書、第5,354,286号明細書、第5,300,030号明細書、第5,102,393号明細書、第5,092,843号明細書、第4,894,054号明細書、第4,678,461号明細書及び第3,797,489号明細書において記載されたとおりであり、そのような特許文献のそれぞれの内容は引用により本明細書に組み込まれる。国際公開第01/17593号パンフレット、第98/00188号パンフレット、第95/29720号パンフレット、第95/31235号パンフレット及び第94/13342号パンフレットも、種々の動力機構を含むさまざまな注入器を記載する。多くの自己注入器は(任意的にバネ荷重の)注射器である。本発明の自己注入器、特にペプチドと直接接触するそれらの本体又はハウジングは好ましくは、ペプチドについての最小の親和性を有する材料により作成される。これは、自己注入器へのペプチドの望ましくない付着又は粘着を最小限へと減少することができる。非常に適当な材料はポリプロピレンであり、特には本質的に純粋なポリプロピレンである。
自己注入器は、最初は、針に基づく薬剤の自己投与に伴うためらいを克服するために設計された。そのような自己注入器の例は、Epipen(商標)又は最近導入されたTwinject(商標)であり、しばしばアナフィラキシーのリスクのある人々に処方される。自己注入器の他の例は、多発性硬化症を処置する為に用いられるインターフェロンβのためのRebiject(商標)である。自己注入器はしばしば化学兵器からヒトを防護するために軍隊において用いられる。米軍では、自己注入器は、全ての生物学的又は化学的兵器応答キットの一部である。それは、兵士が生物学的又は化学的兵器に直面しうる出来事において全ての兵士に支給される。該針は、一度それを作動させると自動的にヒトに注入し、着用しうる何らかの布(複数の層でさえ)を貫通する。本明細書における自己注入器は、上記で記載された注入装置(通常はそれは、皮膚進入及び/又は薬剤の注入が自動的に起こるバネ駆動である)を含むだけでなく、予め充填された注射器、又は自己注入器カートリッジ及び同様物も含む。
本発明は、放射線が放射性物質(放射性同位体)、例えばウラン、ラドン及びプルトニウムなどにより放射されたか又は人工の源、例えばX線及び放射線治療機器などにより作られたかにかかわりなく、放射線(照射)障害の処置のために有用なそのような自己注入器を提供する。本発明は、30アミノ酸より小さいペプチド(本明細書において抗放射線ペプチドとも呼ばれる)及び適当な賦形剤から成る医薬組成物を含む自己注入器も提供する。適当な賦形剤は当技術分野で知られており、例えばHandbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations(Sarfaraz K Niaziにより編集された;ISBN:0849317460、そして、引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
適当な賦形剤は例えば、緩衝液として水、プロピレングリコール、エチルアルコール、安息香酸ナトリウム及び安息香酸、保存剤としてベンジルアルコールから構成され;又は、注入のために、マンニトール、ヒト血清アルブミン、酢酸ナトリウム、酢酸、水酸化ナトリウム及び水から構成される。自己注入器による非経口の投与のための他の例となる組成物は、例えば適当な非毒性の、非経口で許容される希釈剤又は溶媒、例えばマンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液、又は、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含む他の適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤、及び、オレイン酸を含む脂肪酸を含みうる注入可能な溶液又は懸濁物を含む。
1つの実施態様において、対象が放射線に被曝した後に投与されたときに、該対象における放射線の不都合な効果を減少することができる抗放射線ペプチド(又はその機能的類似体)を、自己注入器は活性成分として含む。好ましくは、該ペプチドは、もし照射後少なくとも30分に、より好ましくは少なくとも1時間に、最も好ましくは少なくとも数時間又は数日(例えば3日)さえに投与されるならば、放射線損傷に対する少なくとも部分的な防護を授けることができる。自己注入器のこのタイプは、「緊急の自己注入器」としてもいわれ、予期できない緊急の状況におけるその適用性を反映する。
1つの実施態様において、本発明は、作動時に自動的にその全部の5mL含有量を届ける注射器様装置内に詰められた滅菌溶液を含有する自己注入器を提供する。mL毎に、賦形剤、例えば、緩衝液としてプロピレングリコール、エチルアルコール、安息香酸ナトリウム及び安息香酸、及び保存剤としてベンジルアルコールを含む賦形剤と複合された、100mg、好ましくは200mgの抗放射線ペプチドを含む。好ましい実施態様において、放射線障害の処置のための自己注入器は、15アミノ酸より小さい、より好ましくは7アミノ酸より小さい抗放射線ペプチドを運ぶ。
長さにおいて3〜4aaのペプチド、好ましくは少なくとも1.10の急性ガンマ照射に対する線量減少係数(DRF)を有するペプチドを運ぶ、急性放射線障害の処置の為の自己注入器が好ましく、該DRFは、どの放射線量が、全身照射(WBI)後72時間において、WBI後該ペプチドにより処置されたマウスの試験群において30日で50%の死亡率(LD50/30)を結果するかを試験すること、及び、どの放射線量が、全身照射(WBI)後72時間において、WBI後該ペプチドの媒体によってだけ処置されたマウスの対照群において30日で50%の死亡率(LD50/30)を結果するかを試験することにより決定可能であり、ここで該DRFは、対照動物のLD50/30によりペプチド処理された動物のLD50/30を割り算することにより計算される。
少なくとも1.20、より好ましくは少なくとも1.25の線量減少係数(DRF)を有するペプチドを運ぶ自己注入器がさらにより好ましい。自己注入器中の含有の為に適当なペプチドは、本明細書において決定されるとおり、植物において抗細胞周期活性を有するそれらでもある。本発明の自己注入器における使用のために非常に適当なペプチドは、
Figure 0005307559
本発明は、放射線障害を患う又は患っていると考えられる対象を処置する為の医薬組成物であって、VVC, LAG, AQG, LQGV, QVVC, MTRV, AQGV, LAGV, LQAV, PGCP, VGQL, RVLQ, EMFQ, AVAL, FVLS, NMWD, LCFL, FSYA, FWVD, AFTV, LGTL, QLLG, YAIT, APSL, ITTL, QALG, GVLC, NLIN, SPIE, LNTI, LHNL, CPVQ, EVVR, MTEV, EALE, EPPE, LGTL, VGGI, RLPG, LQGA, LCFL, TLAVE, VEGNL, LNEAL, VLPALP, MGGTWA, LTCDDP, VLPAPLQ, VCNYRDV, CPRGVNP, QPLAPLVG、及びDINGFLPALからなる群から選ばれるペプチドを含む上記医薬組成物を提供する。本発明は、放射線障害を患う又は患っていると考えられる対象の処置の為の医薬組成物であって、該医薬組成物が、抗放射線ペプチドの薬理学的に有効な量、又はその機能的類似体の薬理学的に有効な量、又は医薬的に許容される希釈剤と一緒の本明細書において同定される医薬組成物の薬理学的に有効な量を含む上記医薬組成物を提供する。本発明はこれとともに、放射線障害の処置又は予防が必要な対象又は潜在的に必要である対象における、放射線障害を処置又は予防する方法を提供し、該方法は、放射線障害を処置又は予防する為の手段及び医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、該手段は本明細書において同定されるとおりの抗放射線ペプチド又は医薬組成物を含み、特に該放射線障害は照射障害を含む。
1つの実施態様において、本発明は、
Figure 0005307559
から得られる又は由来するオリゴペプチドを含む組成物を対象に投与することを含む、放射線障害の処置が必要な該対象における放射線障害を処置する方法を提供する。オリゴペプチドは、
Figure 0005307559
及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選ばれることが好ましい。他の実施態様において、該オリゴペプチドは、
Figure 0005307559
から成る群から選ばれることが好ましい。そのようなオリゴペプチドは特に、該放射線障害が照射障害を含むときに有用である。本発明は、
Figure 0005307559
から得られる又は由来するオリゴペプチドを含む、放射線障害の処置の為の医薬組成物も提供し、そのようなオリゴペプチドは、
Figure 0005307559
並びに任意のそれらの組み合わせの群から選ばれ、そして、放射線障害の処置の為の医薬組成物の製造の為にそのような(オリゴ)ペプチド(群)を使用する方法も提供する。
前に、我々は、ヒト絨耗膜のゴナドトロピンホルモンのβ鎖に由来する6アミノ酸長オリゴペプチド(VLPALP)による、マウスの敗血性ショックの抑制を報告した。また、我々は、hCGのβ鎖のループ2(残基41〜57)に由来するいくつかの他の短い(三量体ペプチドから上の)ペプチド、及び単独アミノ酸のアラニン置換により得られる該ペプチドのいくつかの改変物が、同様の抗炎症性活性を有することを示した。さらに、我々は、電離照射への不測の被曝後の急性炎症性状態の処置の為の治療的化合物に向けられた連続する開発の為に、これらのいくつかを選抜するための理論的根拠を提供する。
ヒト絨耗膜ゴナドトロピン(hCG)は、妊娠において必要とされるヘテロ二量体胎盤性糖タンパク質ホルモンである。ヒトの妊娠尿において及び市販のhCG調製物において、分解産物も含め、それはさまざまな形態で現れる。いくつかの研究者らは、免疫系に対するヘテロ二量体hCG及びその変異体の効果を、妊娠期間中の胎児性移植物の拒絶を防ぐことにおける推定上のそれらの役割の故に研究した。いくつかの報告は、完全なホルモンによる免疫系の調節を提案したが、分解産物のそのような効果は報告されていない。前に、我々は(Khan et al., Hum. Immunol. 2002 Jan; 63(1):1-7)、ヒト絨毛膜のゴナドトロピンホルモンのβ鎖に由来する6アミノ酸長オリゴペプチド(VLPALP)によるマウスの敗血性ショックの抑制を報告した。高い用量のリポポリサッカライド(LPS)注入の後のこのヘキサペプチドによる単回の処置は、マウスの敗血性ショックを抑制した。Benner及びKhanは(Scand. J. Immunol. 2005 Jul; 62 Suppl 1:62-6)、hCGのβサブユニットのループ2の配列
Figure 0005307559
(残基41〜57)のニッキングに由来する、インビボでの遊離したペプチド断片のあり得る免疫学的活性を研究した。ここで、βサブユニットのループ2から取られた3〜7アミノ酸長ペプチドのいくつか−及びいくつかに由来するアラニン置換ペプチド−が、マウスにおける敗血性ショック症候群の抑制により測定されるとおり有意な抗炎症性活性を示したこと並びに、放射線障害、特には胃腸の症候群を含む放射線障害の処置の為に及び放射線障害、特には胃腸症候群を含む放射線障害の処置のための医薬組成物の製造の為に有用であると考えられるそれを超えることが報告される。
本発明は、抗細胞周期活性を有する医薬組成物も提供する。細胞周期は順序付けられた一連の現象であり、結果的に細胞の成長及び2つの娘細胞への分割となる。細胞周期の段階は、G1−S−G2−Mである。G1期は「GAP1」をあらわす。S期は「Sinthesis」を表す。これはDNA複製が起こるときの段階である。G2期は、「GAP2」を表す。M期は「mitosis」を表し、核(染色体分離)及び細胞質(細胞質分離)の分割が起こるときである。本明細書において用いられるときに語「抗細胞周期活性」は、ペプチドが細胞周期動態を変化することができることを指すとして意味される。例えば、それは、細胞分裂の頻度を変化すること、すなわち増加すること又は減少することを含む。1つの実施態様において、それは抗増殖的活性をいう。
PGCPを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、VGQLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、RVLQを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、EMFQを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、AVALを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、FVLSを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、NMWDを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LCFLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、FSYAを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、FWVDを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、AFTVを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LGTLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、QLLGを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、YAITを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、APSLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、ITTLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、QALGを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、GVLCを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、NLINを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、SPIEを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LNTIを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LHNLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、CPVQを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、EVVRを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、MTEVを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、EALEを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、EPPEを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LGTLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、VGGIを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、RLPGを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LQGAを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LCFLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、TLAVEを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、VEGNLを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LNEALを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、MGGTWAを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、LTCDDPを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、VCNYRDVを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、CPRGVNPを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物、及びDINGFLPALを含む抗細胞周期活性を有する医薬組成物が与えられる。
図面の説明
図1 AQGV(ペプチドEA−230)により処理されたマウスの全身照射
「WBI」は、全身照射を表す。インビボでの放射線損傷防護が、麻酔されたC57Bl/6マウスに対してのWBI(6.5〜9.8Gy、Philips MG 30、81cGy/分で)後に評価され、そして生存率の差異がKaplan−Meirer分析により測定された。マウスの全ての群が、WBIの後3時間に、ペプチド又は媒体(対照動物)による第1の注入を得た。プラセボ注入を得た群は、このモデルにおいて予想されたとおり80%の死亡率を経験した。この種において、8.6グレイ(=8.6Gy)の放射線量が、約80%の死亡率を引き起こすと知られており、そしてそれはLD80(80%の致死線量)と呼ばれる。死亡は約10日で始まり、これは動物又はヒトへのWBIにおいて起こることについて典型的である:約10日までに、腸の内側は放射線から損傷され且つ漏れやすいので、バクテリアが循環へと入りそして胃腸の症候群を引き起こし、並びに骨髄は損傷されるので、感染と戦う十分な白血球がなく(「骨髄症候群」)、そして結果として死亡が起こる。記号として「x」を有する群は、第1の注入IV、及びその第1の注入後3時間に皮下に(SC)第2の注入を得た。これらの動物の100%が生き残った。グラフが示さないことは、それらがなんらの病気の兆候もまったく示さなかったことである。傍観者には、それらが完全に正常なマウスのように見えるだろう。三角記号を有する群は、SC経路を通じてペプチドのその第1の注入を得た。次に、それは48時間毎に(第1の投与に加えて)全部で3回投与で(これは第3日、5日及び7日に、を意味する)追加のSC注入を得た。これらの動物のただ1つだけが死亡したことに注目されたい。四角記号を有する群は、(第1の投与に加えて)全部で6の投与が注入されるまで48時間SC注入が連続したことを除き、三角記号を有する群と手順において同一であった。すなわち、第13日まで投与が継続された。処置のこの延長は、完全な防護と関係したことを注目されたい(この群では何も死亡しなかった)。この群の動物は、病気の兆候を示さなかった。このデータから我々が結論付けられることは、第1日におけるペプチドの2回の投与(第1のものはIVである)を動物が得たとき、WBIの非常に致死性の線量に対して完全な防護があったことである。より低い水準の処置(SCだけ)を動物が得たとき、もし該処置が第2週まで延長されたならば、この場合もやはり完全な防護があった。
図2 ペプチドAQGVによる放射線防護実験の第2の設定
任意の特定の一群へ与えられた1回の被曝による全身照射(WBI)の線量を段階的に上げること及び、続く夫々の一群について、被曝線量は次第により高くなる。ペプチドEA−230(AQGV)の単回用量が皮下に投与されたが、WBI後3日(72時間)まで処置は遅らされた。該試験は、線量減少係数(「DRF」)と呼ばれ、処置された群のLD50と対照群のLD50との間の比として定義される。LD50は、試験された動物の50%が死亡する線量をいう。許容されるDRF値は、1.20である。本試験を通過するために、WBI後第30日に、候補薬剤は、対照動物についてのLD50線量よりも、少なくとも20%高い放射線量(1.20の係数だけ増加)でLD50を有さねばならない。もし例えば、対照動物についてのLD50が8.2Gyであるならば、次に、候補薬剤についてのLD50は少なくとも20%高くある必要があるだろうし、この場合8.2×1.20=10.4Gyの線量を意味するだろう。
図3 シロイヌナズナ細胞周期分析におけるオリゴペプチドの効果の実験。化合物NAK4(LQGV)及びNAK9(VVC)は、試験されたマーカーに対する明白な効果を示す。細胞周期マーカー(pCDG)について、根において両方の時点について明白な効果が観察された。移行領域(transition zone)及び子葉において、時間依存的様式及び/又は線量依存的様式で、効果が観察された。オーキシン応答性マーカー(DR5::GUS)の場合、細胞周期マーカーによるときと同じことが観察された。NAK26(DINGFLPAL)は、一貫せず且つ時間依存的でない効果を示した。時間内に根においてだけ効果が観察された。移行領域及び子葉では効果は観察されなかった。
図4.活発な細胞分裂が起こるときの、CD3により誘起されるマウス単球の急な成長の間の増殖に対するオリゴペプチドの効果に関する、代表的オリゴペプチドについての試験。マウス(n=5)が、腹腔内にPBS、Nak4(LQGV)、Nak47(LAGV)、Nak46(AQGV)(Ansynth BV、オランダ、により提供される)、又はNak46(AQGV、Diosynth BV、オランダ、により提供される)により処理された。マウスは、1時間、0.5mg/kg又は5mg/kgのペプチドにより処理され、その後脾臓が単離され、そして脾臓細胞懸濁物が作成された。脾臓細胞懸濁物は、群当たりでプールされ、そしてPBS又は抗CD3抗体の存在下でインビトロで(3回で)培養され、そして培養後0、12、24及び48時間に増殖が試験された。
発明の詳細な説明
本明細書において用いられるときに、「精製された、合成の又は単離された」ペプチドは、自然の源又はバイオテクノロジー的供給源から精製されたものであり、或いはより好ましくは本明細書に記載されたとおりに合成されたものである。
本明細書において用いられるときに、「組成物」は、オリゴペプチドを含有する又はオリゴペプチドから成る化学的化合物をいう。該オリゴペプチドは好ましくは、該組成物内の含有の前に単離される。該オリゴペプチドは好ましくは2〜6のアミノ酸、最も好ましくは3〜4のアミノ酸から成る。
例えば、好ましい化合物は、1の実施態様において:NT A Q G V CTであり、ここでN末端のNTは、H−、CH−、アシル基又は一般的な保護基の群から選ばれ;そしてC末端でのCTは、小さい(例えば1〜5アミノ酸)ペプチド、−OH、OR、−NH、−NHR、−NR又は−N(CH1−6NRの群から選ばれ、ここでR及びRが、存在するときは、H、アルキル、アリール、アルキル、アラルキルから独立的に選ばれ、且つR及びRは互いに環状に結合されうる。
本明細書において用いられるときに「アルキル」は好ましくは、1〜6の炭素原子を有する飽和した分枝状又は分枝状でない炭化水素であり、例えばメチル、エチル及びイソプロピルである。
本明細書において用いられるときに「アリール」は、芳香族炭化水素基であり、好ましくは6〜10の炭素原子を有し、例えばフェニル又はナフチルなどである。
本明細書において用いられるときに「アルキル又はアラルキル」は、(脂肪族及び芳香族部分の両方を有する)アレーン基であり、好ましくは7〜13の炭素原子を有し、例えばベンジル、エチルベンジル、n−プロピルベンジル及びイソブチルベンジルなどである。
本明細書において用いられるときに「オリゴペプチド」は、ペプチド結合により一緒に結合された2〜12のアミノ酸を有するペプチドである。オリゴペプチドとの同等物は、オリゴペプチドにおいて用いられる特定のアミノ酸と同じ又は同等の側鎖を有する化合物、及び該ペプチドと同じ順序で逐次に配列されるが、非ペプチド結合、例えばケトアイソスター、ヒドロキシアイソスター、ジケトアイソスター又はケト−ジフルオロメチレンアイソスターのようなアイソスター的連結により一緒に結合された化合物である。
「組成物」は、例えばオリゴペプチドの許容される塩又はラベル化オリゴペプチドを含む。本明細書において用いられるときに、「許容される塩」はオリゴペプチド又は同等の化合物の所望の活性を維持する塩をいうが、好ましくはオリゴペプチドを用いる系のオリゴペプチド又は他の成分の活性に有害に影響しない。そのような塩の例は、無機酸により形成される酸付加塩であり、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸及びその同様物である。塩は、有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、及び同様物などにより形成されもしうる。塩は、多価金属カチオン、例えば亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル及び同様物により形成されてもよく、又は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン若しくはエチレンジアミン、若しくはそれらの組み合わせから形成される有機酸により形成されてもよい(例えばタンニン酸亜鉛塩)。
そのような医薬組成物は、対象に非経口で又は経口で投与されうる。そのような医薬組成物は、本質的にオリゴペプチド及びPBSから成りうる。該オリゴペプチドは合成的な起源であることが好ましい。適当な処置は例えば、約0.1〜約35mg/kg(対象の体重)の量で患者へ静脈内に、該医薬組成物における該オリゴペプチドを投与することを伴う。該医薬組成物が、1〜3の異なるオリゴペプチドから本質的に成ることも有用であり得る。
このように開発された化学的実体は、インビボで全身的に、局所的に又は局在的に投与され及び導入されうる。該ペプチド又はその修飾物は、該実体それ自体として投与されることができ、又は、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸及びリン酸など)との反応により;又は有機酸(例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸及びフマル酸など)との反応により;又は無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなど)との反応により;又は有機塩基(例えばモノ−、ジ−、トリアルキル及びアリールアミン及び置換されたエタノールアミンなど)との反応により形成される医薬的に許容される酸付加塩又は塩基付加塩として投与されることができる。選ばれたペプチド及びいずれの誘導された実体が、糖、脂質、他のポリペプチド、核酸及びPNAへと複合されてもよく;そして複合体としてin-situで機能してよく又は標的の組織若しくは器官へと到達した後に局所的に放出されてもよい。
種々のアミノ酸に関する「置換」は一般に、通常存在するだろう水素を、芳香族環上のアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、又は低級アルキルなどの基と置換することに関係する。置換は、芳香族部分を結合するアルキル鎖上で、ペプチド骨格へ、例えば水素を置換する低級アルキル基により、なされうる。さらなる追加の置換が、アミノ酸のα位で、アルキル基を用いても、なされうる。
好ましい置換は、ハロゲンとしてフッ素又は塩素を使用する方法及びアルコキシ基としてメトキシを使用する方法に関する。アルキル及び低級アルキルに関して、より少ない(1〜3)炭素原子を有するアルキル基が一般的には好まれる。
一般式に従う該化合物は、そのような化合物についての慣用の様式で調製されうる。そのために、適当にNα保護された(及びもし反応性の側鎖が存在するならば側鎖が保護された)アミノ酸類似体又はペプチドが活性化されそして、溶液中又は固体支持体上で、適当にカルボキシル保護されたアミノ酸又はペプチド誘導体へと結合される。α−アミノ官能基の保護は一般に、ウレタン官能基、例えば酸に不安定なターシャリー−ブチルオキシカルボニル基(「Boc」)、ベンジルオキシカルボニル(「Z」)基、及び置換された類似体など、又は塩基に不安定な9−フルオレニル−メチルオキシカルボニル(「Fmoc」)基などにより起こる。該Z基は、接触水素化(catalytic hydrogenation)により除去もされうる。他の適当な保護する基は、Nps、Bmv、Bpoc、Aloc、MSCなどを含む。アミノ保護基の良い概説は、The peptides, Analysis, Synthesis, Biology, Vol. 3, E. Gross and J. Meienhofer, eds. (Academic Press, New York, 1981)において与えられる。カルボキシル基の保護は、エステル形成により起こり、例えばメチル又はエチルのような塩基に不安定なエステル、ターシャリーブチルエステル又は置換されたベンジルエステルのような酸に不安定なエステルなど、又は水素添加分解的に起こりうる。リジン及びグルタミン酸又はアスパラギン酸の側鎖のような側鎖官能基の保護は、前述された基を用いて行われうる。チオール基の保護、及び常に必要とはされないがグアニジノ基、アルコール基及びイミダゾール基の保護は、The Peptides, Analysis, Synthesis, Biology, id.又はPure and Applied Chemistry, 59(3), 331-344(1987)において記載された試薬のような種々の試薬を用いて行われうる。適当に保護されたアミノ酸又はペプチドのカルボキシル基の活性化は、アジド、混合無水物、活性エステル、又はカルボジイミド法により行われてよく、特には1−N−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3,−ベンゾトリアジン、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドのような触媒的且つラセミ化抑制性の化合物の添加により行われうる。リンに基づく酸の無水物も用いられうる。例えば、The Peptides, Analysis, Synthesis, Biology, supra及びPure and Applied Chemistry, 59(3), 331-344(1987)を参照されたい。
メリフィールドの固相法により該化合物を調製することも可能である。種々の固体支持体及び種々の戦略が知られており、例えばThe Peptides, Analysis, Synthesis, Biology, Vol. 2におけるBarany及びMerrifield、E.Gross and J.Meienhofer, eds.(Acad. Press, New York, 1980);Kneib-Cordonier and Mullen, Int. J. Peptide Protein Res., 30, 705-739(1987);及びFields and Noble, Int. J. Peptide Protein Res., 35, 161-214(1990)を参照されたい。ペプチド結合がアイソスターにより置き換えられる化合物の合成は一般に、以前に記載された保護基及び活性化手順を用いて実施されうる。該修飾されたアイソスターを合成するための手順は、例えば−−CH−−NH−−アイソスターについて及び−−CO−−CH−−アイソスターについての文献において記載される。
保護基の除去及び、固相ペプチド合成の場合は固体支持体からの開裂は、種々の様式で行われてよく、それらの保護基の性質及び固体支持体へのリンカーのタイプに依存する。通常は、脱保護は、酸性条件下且つ捕捉剤の存在下において行われる。例えば、The Peptides Analysis, Synthesis, Biology, Supre.のシリーズの第3、5及び9巻を参照されたい。
他の可能性は、そのような化合物の合成における酵素の適用である;概説については、例えばThe Peptides, Analysis, Synthesis, Biology, Vol.9, S. Udenfriend and J. Meienhofer, eds.(Acad. Press, New York, 1987)のH.D. Jakubkeを参照されたい。
経済的な観点から望ましくないかもしれないが、本発明に従うオリゴペプチドは、組み換えDNA方法に従い作成されることもできるだろう。そのような方法は、宿主として適当な微生物中において問題となっているオリゴペプチドの1以上をコードする組み換えポリヌクレオチド配列を発現することによる、その所望のオリゴペプチドの調製に関係する。一般に、該方法は、クローニング手段(例えばプラスミド、ファージDNA、又は宿主細胞中で複製することができる他のDNA配列)中へ特定のオリゴペプチド又はオリゴペプチド群をコードするDNA配列を導入すること、該クローニング手段を適当な真核又は原核の宿主細胞へ導入すること、及びこのように形質転換された該宿主細胞を培養することを含む。真核の宿主細胞が用いられるときは、該化合物は糖タンパク質部分を含みうる。
本明細書において用いられるとき、ペプチドの「機能的類似体」は、アミノ酸配列又は他の配列モノマー群を含み、これは該配列の機能的特性が本質的に種類において同じであるが量においては必ずしも同じでなくてよいように変化されている。
ペプチド又はその機能的類似体の機能は、インビボ及び/又はインビトロでの試験を用いて決定されうる。インビトロでの試験が好ましい。1の実施態様において、機能的ペプチド類似体は、参照ペプチド又は対照ペプチド、例えばもっぱらL−アミノ酸からなるペプチド類似体などを用いた比較試験に付される。適当な試験は、細胞周期動態に影響する候補ペプチドの能力を測定することを含む。例えば、細胞周期進行に対する効果が、植物モデル系、例えば本明細書以下で例示されるシロイヌナズナ系を用いて、又は培養された(哺乳類の)細胞を用いて測定されうる。さらなる局面において、それは、例えば(一時的な)G2−M細胞周期停止を誘発することによる、アポトーシスを抑制する候補ペプチドの能力を測定することを含む。
類似体は、多くの様式で、例えば「保存的なアミノ酸の置換」を通じて、用意されうる。また、出発点として取られる元のペプチドに機能的に又は構造的に似ているが、例えば非自然的に発生するアミノ酸又はポリアミドから構成されるペプチド模倣的化合物が設計されうる。「保存的なアミノ酸の置換」により、1のアミノ酸残基が、一般的に同様の特性(サイズ、疎水性)を有する他の残基と置換されて、全体の機能が重度に影響されることはないようである。しかしながら、特定の機能を改善することが、しばしば非常により望ましい。類似体は、アミノ酸配列の少なくとも1の所望の特性を体系的に改善することにより用意されることもできる。例えばこれは、Ala−スキャン及び/又は置換ネットマッピング(replacement net mapping)方法によりなされうる。これらの方法により、元のアミノ酸配列に基づくが夫々が少なくとも1つのアミノ酸残基の置換を含有する、多くの異なるペプチドが産生される。該アミノ酸残基は、アラニン(Ala−スキャン)により又は任意の他のアミノ酸残基(置換ネットマッピング)により置換されうる。このように、元のアミノ酸配列の多くの位置的変異体が合成される。全ての位置的変異体は、特定の活性について選抜される。該生じたデータは、或るアミノ酸配列の改善されたペプチド誘導体を設計する為に用いられる。
例えば、類似体は、D−アミノ酸残基によるL−アミノ酸残基の置換により発生されうる。自然において天然に発生しないペプチドをもたらすこの置換は、アミノ酸配列の特性を改善しうる。例えば、レトロインバージョンフォーマット(retro inversion format)の全てのD−アミノ酸の既知の活性のペプチド配列を用意することが有用であり、それにより維持された活性及び増加された半減期の値を許す。元のアミノ酸配列の多くの位置的変異体を生じること及び特定の活性について選抜することにより、そのようなD−アミノ酸を含む改善されたペプチド誘導体は、さらに改善された特徴を考慮して設計されうる。当技術分野において、1の又は両方の末端でD−アミノ酸により保護されたペプチドは、L−アミノ酸だけからなるペプチドよりも安定であると分かったことが示されている。改変体の他のタイプは、医薬組成物におけるぺプチドの使用の為に有益な効果を有する為の、ペプチド薬剤開発の技術分野において既知のそれらを含む。これらの効果は、改善された効能、変化された薬物動態、より長い保管寿命を結果する安定性の増加、及びより厳しくないコールドチェーンの取り扱い要件を含みうる。
本発明の1つの実施態様において、抗放射線ペプチドは、それらのアミノ基とカルボキシレート基の間のペプチド結合により鎖中に連結されたアミノ酸の配列を含み、ここで少なくとも1のアミノ酸がD−アミノ酸である。例えば、抗放射線ペプチドは、
Figure 0005307559
からなる群から選ばれ、ここで標準1文字表記により示されるアミノ酸残基の少なくとも1つがD−アミノ酸である。
当技術分野の当業者は、アミノ酸配列の類似の化合物を発生させることがよくできる。これは例えば、ペプチドライブラリーの選抜を通じて行われうる。そのような類似体は、種類において同じであるが量においては必ずしも同じでない、配列の機能的特性を本質的に有する。また、ペプチド又は類似体は、例えば(末端)システインをそれらに備えることにより、環状化され、例えば連結又は多量体化を許す側鎖によるリジン若しくはシステイン又は他の化合物への連結により、二量体化され又は多量体化され、直列の又は反復のコンフィグレーションにされ、抱合され、又は別の方法では、もし解離を許す不安定な連結によりさえすれば、当技術分野で既知のキャリアと連結される。上記で記載されたこれらオリゴペプチドの合成の変型及び機能的類似体又は分解産物は、本明細書において、放射線障害及び続く病気の処置の方法において用いられるために与えられる。
本明細書において用いられるときに、ぺプチドの「機能的類似体」は好ましくは、それが由来するペプチドより小さく、そして従って、サイズにおいて付加よりもむしろ欠失及び/又は置換により作成される。また、本明細書において用いられるときに、ペプチドの「機能的類似体」は、1又は両方の端でより多くのアミノ酸により隣接される抗放射線ペプチドとして同定されるアミノ酸配列を単に含有するにすぎないより大きなタンパク質又はペプチドをいわない。
本明細書において用いられるときに語「医薬組成物」は、単独での本発明の活性な組成物又は、医薬的に許容可能なキャリア、希釈剤又は賦形剤と一緒に本発明の組成物を含む組成物の両方を包含することが意図される。もちろん、医薬組成物は、本明細書において開示されたとおりの少なくともの2の抗放射線ペプチド又は類似体の混合物を含みうる。本明細書において本詳細な説明において記載されたとおりのオリゴペプチドの許容可能な希釈剤は例えば、生理学的食塩溶液又はリン酸緩衝塩溶液である。1つの実施態様において、オリゴペプチド又は組成物が、有効な濃度で動物又はヒトへ全身的に、例えば静脈内、筋肉内又は腹腔内への投与により、投与される。投与の他の方法は、本発明に従うオリゴペプチド又は組成物を含むかん流流体による、インビボ又はエクスビボであるべき、器官又は組織のかん流を含む。該投与は、遺伝子発現の実質的な調節を許すのに十分な時間で、単回投与として行われてよく、断続的な一連の種々の投与として行われてよく、又は連続的に行われてよい。連続的な投与の場合、該投与の期間は、当技術分野の当業者により容易に評価されるだろう多くの因子に依存して変わりうる。
活性分子の投与用量は、かなり広い範囲にわたり変えられうる。投与されうる活性分子の濃度は典型的には、下端では有効性により及び上端では該化合物の溶解度により制限される。特定の患者についての最適な用量又は用量群は、該患者の状態、体重及び年齢のようなよく知られた関連する因子を考慮して、関与する医師又は医療的専門家により決定されるべきであり且つ決定されることができる。
適当な媒体、例えばリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)又はアルコール又はDMSO中の溶液など中の該活性分子が、直接に投与されうる。しかしながら、本発明の好ましい実施態様に従って、該活性分子は薬剤送達システムを用いる単回投与送達を通じて投与される。適当な薬剤送達システムは、薬理学的に不活性又は少なくとも耐容だろう。好ましくは、それは免疫原性でなく又炎症反応も引き起こさないべきであり、そして所望の時間にわたり該活性分子の有効な水準を維持するように、該活性分子の放出を許すべきである。代替法が、徐放の為に適当であるとして当技術分野で知られており、そして、本発明の範囲内として意図される。適当な送達媒体は、以下を含むがそれらに限定されない:マイクロカプセル又はマイクロスフィア;リポソーム及び、他の脂質に基づく放出系;粘性の滴下物(instillate);吸収可能及び/又は生分解性のメカニカルバリア及び移植物;及びポリマー性送達材料、例えばポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリエステル、架橋したポリビニルアルコール、ポリ無水物、ポリメタクリレート及びポリメタクリルアミドハイドロゲル、アニオン性炭水化物ポリマーなど。有用な送達系は、当技術分野でよく知られている。
該活性分子放出を達成するための1の剤形は、生分解性ポリマー、例えばポリ(dl−ラクチド)、ポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、ポリ乳酸−コ−グリコリド、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリエステル又はポリアセタールなどから作られる注入可能なマイクロカプセル又はマイクロスフィアを含む。約50〜約500マイクロメートルの直径を有するマイクロカプセル又はマイクロスフィアを含む注入可能な系は、他の送達系を超えて利点を提供する。例えば、それらは一般に、活性でない分子を用い且つ医療補助員により投与されうる。さらに、そのような系は、マイクロカプセル又はマイクロスフィアのサイズ、薬剤負荷及び投与される用量の選択により、別の薬剤放出の期間及び速度の設計において、本質的に柔軟である。さらに、それらは、ガンマ線照射により首尾よく滅菌されうる。
マイクロカプセル及びマイクロスフィアの設計、調製及び使用方法は、当技術分野の当業者の範囲内でよく、そして、これらの点に関する詳細な情報は、文献において入手可能である。生分解性ポリマー(例えばラクチド、グリコリド及びカプロラクトンのポリマーなど)は、マイクロカプセル及びマイクロスフィア以外の剤形においても用いられうる;例えば、該活性分子を含むこれらポリマーの、予め作成されたフィルム及びスプレーオン(spray-on)フィルムが、本発明に従う使用方法にとって適当だろう。該活性分子を含む繊維又はフィラメントも、本発明の範囲内として意図される。
本発明に従う活性分子の単回用量送達にとって他の非常に適当な剤形は、リポソームに関する。リポソーム又は多重層媒体中の活性分子の封入は、標的薬剤送達及び持続的薬剤送達についてよく知られた技術である。薬剤が装填されたリポソームの調製及び使用方法は、当技術分野の当業者の範囲でよく、そして、文献においてよく記載されている。
本発明に従う活性分子の単回用量送達にとってのさらに他の適当な試みは、粘性滴下物を使用する方法に関する。この技術において、高い分子量のキャリアが活性分子との混合物において用いられ、高い粘性を有する溶液を生産する構造を生じる。適当な高分子量キャリアは、以下を含むがこれらに限定されない:デキストラン及びシクロデキストラン;ヒドロゲル;(架橋)粘性材料((架橋)粘弾物を含む);カルボキシメチルセルロース;ヒアルロン酸;及びコンドロイチン硫酸。薬剤が装填された粘性滴下物の調製及び使用方法は、当技術分野の当業者によく知られている。
さらに他の試みに従い、活性分子は、酸化再生セルロースのような吸収性メカニカルバリアとの組み合わせで投与されうる。該活性分子は、そのようなバリアに共有結合的に又は非共有結合的に(すなわちイオン的に)結合されてよく、又はそれは単にそこに分散されてもよい。
本発明は、以下の実例となる実施例の助けによりさらに説明される。
実施例
ペプチド選抜
選抜は、hCGのβサブユニットのループ2の配列MTRVLQGVLPALPQVVC(残基41〜57)の既知の優先的な開裂部位(Cole et al., J.Clin. Endocr. metab. 1993;76:704-710; H.Alfthan, U.H. Stenman, Mol. Cell. Endocrinol. 1996; 125:107-120;A. kardana, et al., Endocrinology 1991; 129:1541-1550; Cole et al., Endocrinology 1991; 129:1559-1567; S.Birken, Y.Maydelman, M.A. Gawinowicz, Methods 2000;21:3-14)に基づき、並びにC−反応性タンパク質(CRP)(βカテニン、例えばヒトCTNB)、ブルートンチロシンキナーゼ(例えばヒトBTK)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−2及びp−53から取られるアミノ酸配列に基づく。
ペプチド合成
ここで言及されるペプチドは、専有の方法(Diosynth BV)により又は固相合成(Ansynth BV)により、固体支持体として2−クロロトリチルクロリド樹脂を用いて、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)/tert−ブチルに基づく手順を用いて、市販で調製された。グルタミンの側鎖は、トリチル官能基により保護された。該ペプチドは、手動で合成された。夫々のカップリングは、以下の段階からなる:(i)ジメチルホルムアミド(DMF)中のピペリジンによるα−アミノFmoc保護の除去、(ii)DMF/N−メチルホルムアミド(NMP)中でのFmocアミノ酸(3eq)とジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とのカップリング、及び(iii)DMF/NMP中での残存するアミノ官能基の酢酸無水物/ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)によるキャッピング。合成の完了後、該ペプチド樹脂は、トリフルオロ酢酸(TFA)/HO/トリイソプロピルシラン(TIS)95:2.5:2.5の混合物により処理された。30分後、脱色まで、TISが添加された。該溶液は、真空内で蒸発され、そして該ペプチドは、ジエチルエーテルにより沈殿された。粗ペプチドは、水中に溶解され(50〜100mg/ml)、そして、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)により精製された。HPLC条件は:カラム:Vydac TP21810C18(10×250mm);溶出系:水中の0.1%(v/v)TFA(A)及びアセトニトリル(ACN)中の0.1%(v/v)TFA(B)の勾配系;流速6ml/分;吸収は190〜370nmで検出された。用いられた種々の勾配系があった。例えば、ペプチドLQG及びLQGVについて:10分100%のA、続いて50分で直線勾配0〜10%のB。例えばペプチドVLPALP及びVLPALPQについて:5分で5%のB、続いて直線勾配1%B/分。回収された画分は、40℃で減圧下で、回転膜蒸発(rotation film evaporation)により約5mlに濃縮された。残存するTFAは、アセテート形の陰イオン交換樹脂(Merck II)によりカラム全体にわたり2回流出することにより、アセテートに対して交換された。流出物は、濃縮されそして28時間で凍結乾燥された。ペプチドは、その後、PBS中にそれらを溶解することにより使用の為に調製された。
実施例1及び実施例2
第1の実験において、12週齢のメスのBALB/cマウスが、PBSの単回注入(n=9)により又はPBSとペプチド
Figure 0005307559
n=8、10mg/kg)との単回注入により腹腔内に処理された。該処理後1時間半に、マウスは、10Gyの137Cs−γ−照射の線量に一度全身を曝された。第2の実験において、12週齢のメスのBALB/cマウスが、最初に10Gyの137Cs−γ−照射の線量に一度全身を曝され、次に該照射後1.5時間に、PBSの単回注入により(n=9)又はPBSとペプチドとにより(n=8又は9、10mg/kg)、腹腔内に処理された。実験の間、死亡率及び臨床的兆候(例えば、結膜炎を示す流涙及び体重損失)が、種々の時点で観測された。表2からわかるとおり、試験された全てのペプチドは、処理されたマウスの結膜炎を減少することに対して良い効果を有したが、死亡率に対する効果は見られず、これは、後の段階で反復の投与及び低められた照射により試験するために、急性炎症と戦うために最も適したペプチドを選ぶことへ我々を導く。
Figure 0005307559
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実施例3
6のオリゴペプチド(すなわち、A:LAGV、B:AQGV、C:LAG、D:AQG、E:MTR、及びF:MTRV)が、マウス腎虚血再かん流試験における回復を助ける、夫々のペプチドの相対的な能力について、二重盲動物実験において試験され、そして、PBS(対照)と比較された。この試験において、マウスが麻酔され、そして夫々のマウスから1の腎臓が除去された。他の腎臓は、25分間結んでとめられ、そして血清尿素水準が増加することが許された。結びとめる前及び後の両方で、別のペプチドの夫々が、30の異なるマウスに投与され(5mgオリゴペプチド/kg体重、静脈内)、その後、2時間、24時間及び72時間に、マウスの死亡率が夫々のオリゴペプチドについて測定され、並びにBUN(血中窒素尿素)濃度が測定された。結果は、以下の表3において示される(実施例3において得られたペプチドA(LAGV(配列ID NO:4))の結果を除く)。
吸入麻酔下で、腎臓の動脈及び静脈を伴う左の腎臓が単離され、そして微小血管クランプを用いて25分間ふさがれた。手術の間、動物は加熱路(heating path)上に置かれて、37℃で体温を維持した。クランプを置く前5分で、及びクランプをはずす前5分で、滅菌生理食塩水の0.1ml中に溶解された5mg/kgのペプチドが、静脈内に投与された。左の腎臓の再かん流後、右の腎臓が除去された。腎臓機能は、クランプする前、及び再かん流後2、24及び72時間に、血中尿素窒素を測定することにより評価された。
Figure 0005307559
ペプチドA(配列ID NO:4)は、腎虚血再かん流試験において投与された第1のペプチドであった。実験を実施した人員は、ペプチドAに従事しながら、学習曲線を検討した。下大静脈中のペプチドの投与の間、いくつかの動物は、注入の部位から穏やかな血液損失を経験したが、他は経験しなかった。不注意にも、動物は、手術後最初の夜に、それらのケージ中に存在する水を飲むことなく小屋(stable)へ戻された。また、誤って、72時間後に殺される予定であった動物が、再かん流後48時間で殺された。これらの問題又は他の問題も、ペプチドB〜Fによる実験の間に遭遇しなかった。
見られるとおり、オリゴペプチドMTRV及び特にはAQGVを投与されたマウスは、生存率(PBS対照群に対して死亡率における有意な減少)及び減少したBUN濃度の両方の点において、対照群(PBS)又は他のオリゴペプチドを投与された群よりもはるかに良く、より多くのマウスが生き抜きそして血清尿素水準が他の群におけるよりもはるかに低かった。しかしながら、オリゴペプチドLAG、AQG及びMTRは、BUN濃度に対する減少効果を有さない本実験において、それぞれPBS対象と比較して死亡率の有意な減少を引き起こし、MTRは処理されたマウスにおいて72時間でBUN水準を有意に上昇した。
実施例4
1のオリゴペプチド(A)は、上記で記載された理由の故に、マウス試験においてBUN水準を減少するその能力について再試験された。結果は、以下の表4に示される。見られるように、オリゴペプチドLAGVを投与されたマウスは今、生存率(PBS対照群に対する死亡率における有意な減少)及び減少したBUN濃度の両方の点において、対照群(PBS)よりも、はるかに良かった。
実施例5
4つの追加のオリゴペプチド(G(VLPALPQ)、H(VLPALP)、I(LQGV)及びJ(LQG))が、上記で記載されたマウス試験において、BUN水準を減少する為のそれらの能力について試験された。結果は、以下の表4に示される。見られるとおり、オリゴペプチドLQGが投与されたマウスは、実験の早期で(再かん流後24時間で)、減少したBUN濃度を示し、そしてVLPALPQを投与されたマウスは、対照群(PBS)又は他のオリゴペプチドを投与された群よりも、実験の後期で(再かん流後72時間で)の減少したBUN濃度の点において、はるかに良く、より多くのマウスが生き抜き且つ血清尿素水準が他の群におけるよりはるかに低かった。
Figure 0005307559
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実施例6
用量応答関係を測定するために、2つのペプチド(D(AQG、実施例3において、試験されたマウスについての死亡率に対して良い効果を有する)及びB(AQGV)、これもまた、実施例3において、試験されたマウスのBUNに対して優れた効果を有する)が、上記で記載されたとおりのマウス腎不全試験における用量応答様式においても試験された。ペプチドは、実施例3において記載されたとおり与えられた0.3、1、3、10及び30mg/kg用量で試験された。クランプ後72時間でのペプチドD群と比較して、PBSの血清尿素水準のP値(Mann Whitney U−検定により計算される(SPSS for Windows(商標)))は、0.3mg/kgで0.001、1mg/kgで0.009、3mg/kgで0.02、10mg/kgで0.000及び30mg/kgで0.23であり、ペプチドB群については、これらのP値は、0.88、0.054、0.000、0.001及び0.003であった。見られるとおり、ペプチドD(AQG)は、試験されたより低い用量で、ペプチドB(AQGV)と比較して、驚くほどよくBUN水準を減少する一方で、死亡率に対する有益な効果も、試験されたより低い用量でなお顕著であった。
Figure 0005307559
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Figure 0005307559
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敗血性ショック実験が、どのペプチドが急性の炎症と戦うために最も適しているかを決定するために設定された。
敗血症又は敗血性ショック実験においてマウスが用いられた:8〜12週齢のメスのBALB/cマウスが、全ての実験について用いられた。該動物は、Report of European Laboratory Animal Science Associations(FELASA)Working group on Animal Health(Laboratory Animals 28:1-24, 1994)において記載されたプロトコールに従い特定の病原体フリー条件下で我々の施設において繁殖された。
注入プロトコル:エンドトキシンモデルについて、BALB/cマウスが、腹腔内に150〜300μgLPSにより注入された(E. coli 026:B6; Difco Lab., Detroit, MI, USA)。対照群は、腹腔内にPBSだけにより処理された。ペプチドの効果を試験する為に、それらはPBS中に溶解され、そして、LPS処置後の予め定められた時点で腹腔内に注入された。
マウスは、以下の測定スキームを用いて病気の重症度についてスコア化された:
0 異常なし
1 染み出した毛皮(percolated fur)、しかし正常マウスと比較して検出可能な挙動の違いはない。
2 染み出した毛皮、混乱した反射、刺激(ケージをたたくなど)への応答、取扱いの間、健康なマウスと同じくらい活動的である。
3 ケージをたたくことに対するよりゆっくりとした応答、取り扱われるときに受動性又はおとなしいが、新しい環境に単独でいるときはなお好奇心が強い。
4 好奇心の欠如、刺激に対してほとんど応答しない又は応答しない、非常に動かない。
5 呼吸困難、寝返りさせられた後に自分で正しい位置に戻れない又はゆっくりである(瀕死、死亡)
6 死亡
敗血性ショック実験の第1の設定は、ペプチド
Figure 0005307559
のどれが、LPS処置後2時間でのペプチドの単回投与によってマウスを処置することにより、マウスにおけるリポポリサッカライド(LPS)により誘発された敗血性ショックを抑制することができるかを決定するために設定された。ペプチドは、5mg/kg体重で用いられ、BALB/cマウスが、(24〜72時間で80〜100%の死亡率をもたらすことが予め決定された)段階的に上昇する投与LPS(E. coli 026:B6; Difco Lab., Detroit, MI, USA)により腹腔内に注入された。対照群は、PBSだけにより腹腔内に処理され、そして死亡率を示さなかった。
敗血性ショック実験の第2の設定は、ペプチド
Figure 0005307559
のどれが、LPS処理後2時間及び24時間でのペプチドの2回の投与によってマウスを処理することにより、マウスにおける高い用量のLPSにより誘発された敗血性ショックを抑制することができるかを決定するために設定された。夫々の処理で、ペプチドは、5mg/kg体重で用いられた。BALB/cマウスは、24〜72時間で80〜100%の死亡率をもたらすと予め決定された高い用量のLPS(E.coli026:B6;Difco Lab.,Detroit、MI,USA)により腹腔内に注入された。対照群は、PBSだけにより腹腔内に処理され、そして死亡率は示さなかった。
敗血性ショックの追加の設定は、研究下のペプチド
Figure 0005307559
のどれが、ショックの進展後早期及び/又は後期で又は通じて用いられるのに最も適当であるかを決定するために設定された。ペプチドによる後期又は早期の処理の後のエンドトキシンショックの生存の百分率を決定するために、BALB/cマウスが、ペプチド処理無しで48時間で100%の死亡率をもたらすと予め決定された300μgLPS(E.coli 026:B6;Difco Lab.,Detroit,MI,USA)により腹腔内に注入された。対照群は、腹腔内にPBSによってだけ処理され、そして死亡率は示さなかった。
比較試験が、ペプチドMTR及びAQGVを比較するために設定され、ぞれぞれは2つの市販の供給源から得られた。該比較試験は、6の動物の6の群を含んだ;偽薬(PBS)を受ける2の群(1A及び1B)、ペプチドMTR(供給源Pepscan)の1の群(2)、ペプチドMTR(供給源Ansynth)を受ける1の群(3)、ペプチドAQGV(供給源Pepscan)を受ける1の群(4)及びペプチドAQGV(供給源Ansynth)の1の群。これらの群におけるペプチド/偽薬は、LPS後2時間に投与された。LPS(源)は、10〜11mg/kgで用いられた。病気のスコアは、LPS注入後0、2、22、26、42及び48時間になされた。
結果
ペプチド選抜
我々は、合成について、ペプチド
Figure 0005307559
を選抜した。研究のより後期で、我々は、合成について、LQG及びLQGVに由来した、アラニンによる1のアミノ酸のただ1つの置換がなされるところのアラニン置換ペプチド変異体も選抜した;その4つ(AQG、AQGV、LAG及びLAGV)の結果物がここに提示される。
敗血性ショック実験
ショックの進展の早期におけるペプチドの効果を試験するために、マウスは、LPSの各種の用量により処理された後2時間又は24時間に、5mg/kg体重で試験ペプチドによる腹腔内注入により処置された。全てのLPS用量は、ペプチド処理されていないマウスにおいて48〜72時間で100%死亡率を結果した。結果は、表8に示される。試験された7のペプチドの、ペプチドVLPALP及びLQGVは、LPSにより誘発された敗血症に対して顕著な防護効果を示した。
Figure 0005307559

Figure 0005307559
Figure 0005307559
ショックの進展の早期又は後期の時点でのペプチド処置の効果を評価するために、マウスがLPS注入後2時間又は24時間に、5mg/kg体重での試験ペプチドにより腹腔内での注入により処置された。マウスは、より早期の実験における48時間の代わりに、84時間について続けられた。結果は表10に示される。試験された全てのペプチドの、AQGVだけが、ショックの進展の早期又は後期の両方で与えられたとき、100%の生存率を示し、そして、LPS処理後84時間にショックの残存する臨床的兆候を示さなかった。
Figure 0005307559
比較試験MTR及びAQGV、それぞれは2つの供給源から得られ、全て5mg/kg。
Figure 0005307559

Figure 0005307559

Figure 0005307559
いくつかの報告は、完全なhCGによる免疫系の調節を提案したが、分解産物のそのような効果は、科学的文献において報告されていない。3〜7のアミノ酸と同じくらい小さいペプチドは、有意な生物学的活性を有すると一般に推定されないとの事実の代わりに、BennerとKhan(Scand. J. Immunol. 2005 Jul; 62 Suppl 1:62-6)は、hCGのβサブユニットのループ2の配列
Figure 0005307559
(残基41〜57)のニッキングに由来するインビボでの遊離したペプチド断片の潜在的な免疫学的活性を研究した。
我々は、マウスにおいてLPSにより誘発された敗血性ショックを、いくつかの場合では、LPS注入後24時間までにこれらペプチドによる処置が開始されたときでさえ、完全にブロックするペプチドを設計した。これらのペプチドは、MIFの産生を抑制することもできる。この発見は、放射線障害を患う患者の処置の為のこれらのペプチドの治療的使用の可能性を与える。
実施例7
この実施例は、8.6Gyによるマウスの全身照射(WBI)に対するペプチドAQGVによる実験の結果を示し、マウスの全ての群が全身照射(WBI)後3時間での第1の注入を得た。偽薬注入を経験した群は、このモデルにおいて予測されたとおり、80%の死亡率を経験した。与えられた放射線量(8.6グレイ=8.6Gy)は、この種において、約80%の死亡率を生じると知られており、従ってLD80(80%のための致死線量)と呼ばれる。死亡は約10日で開始し、これは動物又はヒトへのWBIにおいて起こることについて典型的である:約10日付近までに、腸の内側は、放射線から損傷され且つ漏れやすく、バクテリアが、循環中に進入し且つ胃腸の(GI)症候群の故に敗血症を引き起こし、そして、骨髄は損傷されるので、感染と戦う十分な白血球がなく(「骨髄症候群」)、そして死が続いて起こる。
記号として「x」を有する、ペプチドにより処理されたマウスの群の第1の群は(図1)、AQGV IVによる第1の注入を得て、そしてその第1の注入後3時間に皮下に(SC)第2の注入を得た。驚くべきことに、これらの100%が生き抜いた。さらに、動物は病気の兆候を何も全く示さなかった。傍観者からは、それらが完全に正常なマウスのように見えるだろう。特にペプチドにより処理されたマウスは、GI症候群を示さなかった。
マウスの第2の群は、SC経路を通じたペプチドのその第1の注入を得た。次に、48時間毎に(第1の注入に加えて)合計で3の投与で(第3日、5日、及び7日に、を意味する)追加のSC注入を得た。これらの動物の1だけが死に、他はGI症候群の症状もなにも示していなかった。
マウスの第3の群は、(第1の投与に加えて)合計で6の投与が注入されるまで48時間毎にSC注入が続いたことを除き、第2の群による群と手順において同一であった。従って、第13日まで投与が続けられた。処置のこの延長は、完全な防護に関係した(この群では死亡はなにもなかった)。この群における動物は、病気の兆候を示さず、またGI症候群の症状もなにも示さなかった。
このデータから我々が結論付けられることは、動物が第1日においてペプチドの2の投与を得たとき(第1のものはIVである)、AQGVにより、WBIの非常に致死性の線量に対する完全な防護、そして特にその線量に関連するGI症候群に対して完全な防護があったということである。動物がより低い水準の処置(SCだけ)を得たとき、もし該処置が第2週まで延長されたならば、ここでもまた、完全な防護、特には用いられた高い線量に関連するGI症候群に対する完全な防護があった。
第51回のRadiation Research Society(2004年4月)で提示されたコードネームON−01210の薬剤の放射線防護活性を記載する研究についての発行された情報と、これらの結果を比較すると、それは、この特定の薬剤ON−01210が(放射線被曝についての現在研究下にあるいくつかの他の非ペプチド薬剤のように)、それが放射線被曝の前に与えられる場合にだけ防護的であることを示す。それは、ダーティーボムに対する防護にとってそれを非常に有用でなくする。この特定の薬剤は、抗酸化剤として働くスルフヒドリル成分(4−カルボキシスチリル−4−クロロベンジルスルホン)を有し、放射線が細胞を損傷するときに産生されるフリーラジカルを除去する。もし放射線被曝の時点でそれが体内に存在しないならば、それは何もまったく効果を有さない。対照的に、本発明に従うペプチドによる処理は、被曝後に働く。
また、他の入手可能な薬剤による処理を調査すると、そのような薬剤について与えられる全ての現在のデータ(すなわちアナボリックステロイドによる処置について)は、流通している非ペプチド薬剤について、WBIの前に(すなわち24時間)に与えられることの要求を示し、後の投与は、急性放射線障害に対する防護についてなにも支持的な効果を有さない。
実施例8、DRF研究
この実施例で、我々は、任意の特定の一群に与えられた1の単回被曝による全身照射(WBI)の段階的に上昇する線量、及び、続く夫々の一群について、徐々により高くなる被曝線量について報告する。ペプチドAQGV(10mg/kg)の単回投与は、皮下的に投与されたが、WBI後3日(72時間)まで処置は遅らされた。該試験は、線量減少係数(「DRF」)と呼ばれ、これは、処置された群のLD50と対照群のLD50の間の比として定義される。LD50は、試験された動物の50%が死亡するその線量をいう。
許容可能なDRF比は、少なくとも1.10の係数であるが、少なくとも1.20又は少なくとも1.25さえが好ましい。DRF1.20についての試験を通過するために、WBI後第30日に、候補薬剤は、対照動物についてのLD50線量よりも、少なくとも20%高い(1.20の係数だけ増加)、放射線量でLD50を有さなければならない。もし、例えば対照動物についてのLD50が8.2Gyであるならば、次に、この試験を通過するために、候補薬剤についてのLD50は、少なくとも20%高い必要があるだろう。この場合、8.2×1.20=10.4Gyの線量を意味するだろう。
多数の動物が試験され、DRF試験における結果は表12において見られる。
Figure 0005307559
72時間、処理を遅らせることの決定についての理論的根拠を議論することが重要である:放射能被曝のいくつかのシナリオでは(例えば貨物船上の核分裂装置の爆発、又は大都市中心近くの原子炉内への飛行機の衝突など)、破壊の量は、全ての被災者を処置センターへと行かせるのに数日かかるだろうようなものであろう。それ故に、軍の科学者(第1応答者の防護に関心がある)及び民間の科学者(大量の死傷者を処置するのに関心がある)は、非常に長い遅れの後にそうでなければ劇症となるであろう急性放射線毒性(GI症候群、骨髄症候群)を減少する為に、候補薬剤が何かすることができるかどうかを、当然に決定したいだろう。
AQGVによるDRF試験の結果。対照の50%を殺す放射線量は、〜8.2Gyであると分かった。ペプチドAQGVは、非常に防護的であるので、動物の50%を殺すために、25%(1.25の係数)だけ、〜10.4Gyまでずっと、放射線量の増加をする必要があり、そしてこれは3日間遅らされた処置による。該処置が、すぐに、例えば24時間又は48時間に与えられたならば、動物を50%殺すために、さらにより高い放射線量を必要とするだろう。
実施例9
種々のオリゴペプチドの抗細胞周期活性をさらに研究するために、シロイヌナズナ種苗における増殖実験が実施された。本目的は、活発な細胞分裂が起こるときに、速い成長の間、植物マーカー遺伝子発現に対するそれらの効果について、各種の長さの140のオリゴペプチドの群を試験することであった。両方のマーカー遺伝子が、細胞周期過程に関係し、高いマーカー活性は、高い細胞周期活性を表し、そしてマーカー活性が無いことは、細胞周期活性が無くそして従って増殖がないことを表す。シロイヌナズナ細胞周期分析におけるオリゴペプチドの効果の例は、図3において与えられる。
方法
ペプチドは、5mg/mlの最終濃度へと、1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH8中に再懸濁された。得られた溶液は次に、ウェル当たり40マイクロリットルで、96ウェル丸底プレート(Corning Incorporated)により分けられた。プレートは、使用の前に4日間−200℃で保存された。シロイヌナズナ生態型Ws−0の種子が、2%の市販の漂白剤(Glorix)中で10分間滅菌され、そして滅菌MQ水により5回洗浄された。該種子は、次に、0.1%寒天と再懸濁され、そして、80mg/lカナマイシンを補われたMS20プレート上にまかれた。
該プレートは、2晩の間40℃で置かれ、そして次に210℃及び16/8光周期での室内気候に移された。成長の4日後、種苗は、ペプチド溶液を含む96ウェルプレートに移され(ウェル当たり4の種苗)、そして4及び8時間インキュベートされた。

この実験の為に、GUSに連結された2つのレポーター遺伝子を宿すシロイヌナズナホモ接合体種苗が用いられた。用いられた第1のレポーター遺伝子は、細胞周期マーカーpCDG(Carmona et al., The Plant Journal, 1999, 20(4), 503-508)であり、そして第2は、オーキシン応答性マーカーDR5::GUS(Ulmasov et al., The Plant Cell, Vol. 9, 1963-1971)であった。該化合物とのインキュベーション後、種苗はGUSについて染色された。該染色反応は、10mMのEDTA、10%DMSO、0.1%TritonX−100、2mMのX−Gluc、0.5mMのKFe(CN)及び0.5mMのK(CN)を含有する100mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.0)中で、37℃で16時間実施された。GUS反応を止めるため及びクロロフィルを除去するために、該種苗は次に、1時間、96%エタノールにより処理され、そして次に70%エタノール中で保存された。染色された種苗は、実体顕微鏡下で観察され、そしてスライドが、種苗により作成され、化合物処理の効果を示した。種苗は、DICオプティクスを備えられた顕微鏡下での詳細な顕微鏡観察及び写真の為に、抱水クロラール溶液中に固定化され及びきれいにされた。
結果
ペプチドは、速く成長するシロイヌナズナの若い種苗についてのマーカー遺伝子発現に対する効果について試験された。これは、種々の器官におけるGUS分布についての変化により観察された:根、根−胚軸移行領域及び子葉。

試験された140の化合物から、全部で43が、試験された両方のマーカーの発現に対して明白な効果を示した。試験された化合物により引き起こされた有意な変化の例は、図3において、ペプチドLQGV、VVC及びDINGFLPALについて、光顕レベルで詳細に示される。驚くべきことに、該効果は試験された種々のペプチドの長さに明白に関係した。以下の表13に見られるとおり、抗細胞周期活性は短いペプチドにおいて過剰に示され、9アミノ酸より長いペプチドのいずれもが細胞周期活性の減少を与えなかった。長さにおいて5〜9アミノ酸のペプチドの約22%が減少を示したが、試験された三量体及び四量体の50%超が、細胞周期活性の減少を示した。
表13
シロイヌナズナにおける細胞周期試験においてみられたとおりの、陽性の試験されたペプチド/ペプチド長の度数分布。♯AA=アミノ酸のペプチド長;♯=試験された数;♯+=陽性と分かった数;%+=陽性の百分率
Figure 0005307559
実施例10
種々のオリゴペプチドの抗細胞周期活性をさらに研究するために、抗CD3により刺激されたマウスの抹消血液細胞におけるインビトロ実験が実施された。本目的は、活発な細胞分裂が起こるときにCD3により誘発される速い成長の間の増殖に対するオリゴペプチドの効果について、代表的なオリゴペプチドを試験することである。マウス(n=5)が、PBS、Nak4(LQGV)、Nak47(LAGV)、Nak46(AQGV)(Ansynth BV、オランダ、により提供される)、又はNak46(AQGV、Diosynth BV、オランダ、より提供される)により腹腔内に処理された。マウスは、0.5mg/kg又は5mg/kgのペプチドにより1時間処置され、その後、脾臓が単離され、そして脾臓細胞懸濁物が作成された。脾臓細胞懸濁物は、群当たりでプールされ、PBS又は抗CD3の存在下で、インビトロで(3倍に)培養され、そして増殖が、培養後0、12、24及び48時間に試験された。全ての試験されたペプチドは、増殖の減少を示した(図4を参照されたい)。
実施例9及び実施例10の結果。

植物における細胞周期の研究及び抹消血液細胞におけるインビトロでの増殖減少の研究から、放射線障害の処置にとって有用な3アミノ酸長のペプチドが同定された、VVC、LAG、AQG。同様に、放射線障害の処置にとって有用な4アミノ酸長のペプチドは、
Figure 0005307559
参考文献

Figure 0005307559
AQGV(ペプチドEA−230)により処理されたマウスの全身照射後の生存率を示すグラフである。 ペプチドAQGVによる放射線防護実験の第2の設定における生存率を示すグラフである。 シロイヌナズナ細胞周期分析におけるオリゴペプチドの効果を示す図である。 活発な細胞分裂が起こるときの、CD3により誘起されるマウス単球の急な成長の間の増殖に対するオリゴペプチドの効果を示す表である。

Claims (12)

  1. 放射線障害を患う又は患っていると考えられる対象を処置する為の医薬組成物であって、VVC, LAG, AQG, LQGV, QVVC, MTRV, AQGV, LAGV, LQAV, PGCP, VGQL, RVLQ, EMFQ, AVAL, FVLS, NMWD, LCFL, FSYA, FWVD, AFTV, LGTL, QLLG, YAIT, APSL, ITTL, QALG, GVLC, NLIN, SPIE, LNTI, LHNL, CPVQ, EVVR, MTEV, EALE, EPPE, LGTL, VGGI, RLPG, LQGA, LCFL, TLAVE, VEGNL, LNEAL, VLPALP, MGGTWA, LTCDDP, VLPAPLQ, VCNYRDV, CPRGVNP, QPLAPLVG、及びDINGFLPALからなる群から選ばれるペプチドを含む上記医薬組成物。
  2. 該ペプチドの全てのアミノ酸がL−アミノ酸である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 該ペプチドが、VVC, LAG、及びAQGからなる群から選ばれるものである、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 該ペプチドが、LQGV, QVVC, MTRV, AQGV, LAGV, LQAV, PGCP, VGQL, RVLQ, EMFQ, AVAL, FVLS, NMWD, LCFL, FSYA, FWVD, AFTV, LGTL, QLLG, YAIT, APSL, ITTL, QALG, GVLC, NLIN, SPIE, LNTI, LHNL, CPVQ, EVVR, MTEV, EALE, EPPE, LGTL, VGGI, RLPG, LQGA、及びLCFLからなる群から選ばれるものである、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  5. 該ペプチドが、LQGV, LAGV、及びAQGVからなる群から選ばれるものである、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 該ペプチドがAQGVである、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 該放射線障害が急性放射線障害を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 該放射線障害が該対象の腸管の内側の損傷、いわゆる胃腸の症候群を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 該放射線障害が照射障害である、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  10. 該処置が、該ペプチドによる皮下又は筋肉内の注入を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  11. 該医薬組成物が自己注入器に含まれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  12. 該処置が、照射後少なくとも30分に該ペプチドを投与することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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