JP5303825B2 - 熱電変換装置、熱電モジュールの制御方法 - Google Patents
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また、特許文献2においては、熱電モジュールの高温側及び低温側の温度を計測するとともに、計測された温度における熱電モジュールの出力特性から最適な電流値を決定することによって、最大の出力を得る技術が開示されている。
また、特許文献2に開示された技術では、多数の熱電素子を用いる場合には、熱電対の配線が複雑になってしまう等の問題がある。
本発明に係る熱電変換装置は、複数の熱電素子が配列された熱電モジュールと、前記熱電モジュールに接続された可変抵抗と、予め定められた設定電圧よりも高い電圧が前記熱電モジュールから出力可能となったときに前記可変抵抗を調整して前記設定電圧を維持する電圧制御部と、を備えることを特徴とする。
また、前記設定電圧は、前記熱電モジュールが曝される温度条件に基づいて定められることを特徴とする。
また、前記設定電圧を前記熱電モジュールが曝される温度条件に基づいて定めることを特徴とする。
また、前記第一設定電圧及び/又は前記第二設定電圧は、前記温度条件において最大出力電力が得られる電圧であることを特徴とする。
本発明によれば、熱電モジュールの出力電圧が変動する場合であっても、熱電モジュールの負荷電流を調整することで、熱電モジュールから安定した電圧を取り出すことが可能となる。
また、設定電圧を複数設けることで、熱電モジュールが曝される温度の変化が大きく変化する場合等であっても、効率よく安定した電圧を取り出すことが可能となる。
したがって、熱電モジュールを電子機器等の電源として好適に用いることが可能となる。
図1は、複数の熱電モジュールが配置された抵抗過熱炉を示す概略断面図である。
抵抗加熱炉8は、水冷ジャケット7を備えた炉内に、断熱材3aで覆われた加熱室3が配置されたバッチ式の抵抗加熱炉である。加熱室3は、一側壁に雰囲気ガス供給管1が、他側壁に廃ガス管2がそれぞれ接続され、且つ、内部でワーク4を加熱する電気ヒータ5を貫通状態に備えている。そして、断熱材3aの外側と水冷ジャケット7との間に形成された空間部6を真空又はガス雰囲気として運転するようになっている。
各熱電モジュール9は、加熱室3内を加熱したときに断熱材3aから水冷ジャケット7に流れる放射熱を主とする熱流15に基づいて、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。
熱電モジュール9は、交互に配列したP型熱電素子9a及びN型熱電素子9bの上面に上側金属電極17を、また下面に下側金属電極18を配置することにより、P型熱電素子9a及びN型熱電素子9bを交互に直列接続し、さらに下側金属電極18に対向するように下側セラミック基板25を、また上側金属電極17に対向するように上側セラミック基板26をそれぞれ設け、それぞれ圧接固定したものである。
直列に接続されたP型熱電素子9a及びN型熱電素子9bの端部に位置する下側金属電極18が下側セラミック基板25上に沿って熱電素子の外側まで延び、端子18Aとされている。この端子18Aに出力ライン11が接続されている。
そして、各熱電モジュール9は、上側セラミック基板26を吸熱側(加熱室3側)に、また下側セラミック基板25を放熱側(水冷ジャケット7側)にして設置される。
このとき、断熱材3aから流れる熱流15のほとんどは放射熱であり、この熱エネルギーは水冷ジャケット7へ到達する前に熱電モジュール9の高温側受熱面にて受けられ、低温側に伝えられる際に電気エネルギーに変換される。
可変抵抗12は、熱電モジュール9により蓄電装置13を充電する際の負荷電流を調整するために設けられる。言い換えれば、可変抵抗12により熱電モジュール9の負荷電流を調整することにより、熱電モジュール9の出力電圧を制御可能となっている。具体的には、熱電モジュール9の出力電圧が蓄電装置13の充電電圧と略同一となるように、可変抵抗12を調整するようになっている。
なお、可変抵抗12は、CPUやメモリを備えた充電制御部14により制御される。また、蓄電装置13の充電電圧は、例えば、90Vである。
また、出力ライン11には、スイッチ31、逆流防止器としてのダイオード32が直列に接続される。また、コンデンサ33a及び抵抗器33bからなる過電圧保護回路33が並列に接続される。
図4は、熱電モジュール9の負荷電流と出力電圧との関係を示す図である。図5は、熱電モジュール9の負荷電流と出力電力との関係を示す図である。
図4,図5においては、熱電モジュール9として、P型熱電素子9aとN型熱電素子9bを100対備えたものを10個直列に接続したものを用いている。また、ゼーベック係数150μV/K、内部抵抗5Ωである。
そして、各熱電モジュール9の上側セラミック基板26が100℃〜600℃に加熱され、下側セラミック基板25が常温に冷却された場合を示している。
また、図5に示すように、例えば、上側セラミック基板26が600℃に加熱された際には、熱電モジュール9に負荷電流9Aを加えることで、最大出力電力が得られる。
図6は、熱電モジュール9に加えられる温度パターンと、その際の出力電圧及び出力電流を示す図である。
図6(a)に示すように、熱電モジュール9は、上側セラミック基板26が台形状の温度パターンを示す温度条件下に曝される。具体的には、上側セラミック基板26が400℃まで徐々に加熱され、400℃に加熱された状態で一定時間保持され、その後、常温まで徐々に冷却される。
熱電モジュール9が曝される温度条件、すなわち上記温度パターンは、抵抗加熱炉8の加熱室3に配置された電気ヒータ5の加熱温度パターンから求められる。なお、電気ヒータ5の加熱温度パターンは、抵抗加熱炉8の運転を制御する不図示の加熱炉制御部に記憶されている。
このように、出力電圧が0Vから120Vまで大きく変動する場合には、熱電モジュール9を電源として用いるのには不都合が多い。
上述したように、熱電モジュール9を用いて蓄電装置13を充電する場合には、熱電モジュール9からは、蓄電装置13の充電電圧である90Vが安定して出力されることが好ましい。出力電圧が変動する場合には、電圧レギュレータ等の変圧器を設ける必要が生じるからである。特に、出力電圧の変動が大きい場合には、高価な変圧器が必要となってしまうからである。
まず、熱電モジュール9から出力すべき電圧を設定する(以下、この電圧を設定電圧Veという)。例えば、蓄電装置13の充電電圧である90Vを設定電圧Veとして設定する。設定電圧Veは、充電制御部14に記憶される。
また、充電制御部14は、加熱炉制御部に記憶されている電気ヒータ5用の加熱温度パターンから、熱電モジュール9に加えられる温度条件(温度パターン)を求める。更に、充電制御部14には、熱電モジュール9の電気・温度特性(図4,図5参照)が予め記憶される。
そして、熱電モジュール9の出力電圧が90Vとなるまで、言い換えれば、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が300℃に加熱されるまでは、熱電モジュール9の出力ライン11に接続されたスイッチ31はOFFとなっている。
その後、熱電モジュール9の出力電圧が90V(上側セラミック基板26が300℃)になると、スイッチ31がONとなり、熱電モジュール9による蓄電装置13の充電処理が開始される。なお、充電処理が開始される際には、可変抵抗12の抵抗値は0Ωとなっている。
更に、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が300℃以上に加熱されると、充電制御部14の制御の下で、可変抵抗12の抵抗値が0Ωから増加される。これにより、熱電モジュール9には負荷電流が加えられる(図6(c)参照)。
したがって、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が更に加熱されたとしても、このような制御を継続することで、熱電モジュール9から90Vの出力電圧を安定して出力させることができる。例えば、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が400℃となった時に負荷電流を3.8Aにすることで、出力電圧90Vが得られる。
なお、負荷電流の変化量ΔIは、できるだけ小さい方が好ましい。熱電モジュール9の出力電圧の変化量ΔVが大きくなってしまい、安定電源として好ましくないからである。
そして、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が300℃まで冷却された場合には、可変抵抗12の抵抗値を0Ω(負荷電流0A)とする。
その後は、上側セラミック基板26が冷却されるに従って、熱電モジュール9の出力電力は0Vまで徐々に減少する。この際、出力ライン11に接続されたスイッチ31はOFFとなる。
これにより、熱電モジュール9から一定の出力電圧が安定して得られるようになるので、蓄電装置13の電源として、好適に用いることが可能となる。
その方法としては、図3に示すように、制御対象である熱電モジュール9と同一の特性を有する熱電モジュール9sを無負荷の状態で設置し、この熱電モジュール9sの出力電圧をモニタリングする。
なお、制御対象である熱電モジュール9の近傍に熱電対を配置し、その検出結果(測定温度)と熱電モジュール9の特性(図4,図5参照)から、出力電圧を求めてもよい。また、制御対象である熱電モジュール9の出力電圧を直接測定してもよい。
熱電モジュール9に負荷電流を加えない場合には、出力電圧が温度パターンと同様に変化する(図7(b)の一点鎖点)。一方、設定電圧Veを90Vとして、熱電モジュール9に負荷電流を加えた場合には、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が300℃以上に加熱されたとしても、常に出力電圧90Vを得ることができる。
例えば、設定電圧Veとして60Vを設定してもよい。上側セラミック基板26が400℃に加熱された際に、出力電圧を60Vとすると、最高出力電力が得られるからである(図4,図5参照)。このように、熱電モジュール9の設定電圧Veとして、最高出力電力が得られる出力電圧を設定することで、熱電モジュール9の効率利用が可能となる。なお、この場合には、熱電モジュール9と蓄電装置13との間に、電圧レギュレータ等の変圧器を設ける必要がある。
図8に示すように、熱電モジュール9の上側セラミック基板26に加えられる温度パターンは、200℃と600℃の状態で一定時間保持されるパターンである。この場合、設定電圧Ve1を30V、設定電圧Ve2を90Vに設定する。設定電圧Ve1は、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が100℃〜300℃の時に用いられる設定電圧である。設定電圧Ve2は、上側セラミック基板26が300℃〜600℃の時に用いられる設定電圧である。
すなわち、熱電モジュール9の上側セラミック基板26が加熱されて100℃に達した場合には、充電制御部14の制御の下で可変抵抗12の抵抗値を増加させて、負荷電流を加える。これにより、上側セラミック基板26が200℃前後に加熱された場合であっても、熱電モジュール9から出力電圧30Vが安定して得られる。
そして、一定時間経過後に、上側セラミック基板26が更に加熱されて、300℃に達した場合には、充電制御部14は設定電圧をVe1からVe2に切り替える。具体的には、熱電モジュール9の負荷電流を約8.3Aから0Aに低下させることで、熱電モジュール9の出力電圧を30Vから90Vに短時間に変化させる。
そして、その後は、出力電圧90Vを維持するように可変抵抗12を制御する。
なお、設定電圧をVe1からVe2に切り替えるタイミングとしては、上側セラミック基板26が300℃に達したときに限らず、300℃〜600℃に温度上昇しているときであればいつでも可能である。
すなわち、複数の設定電圧Ve1,Ve2等を設定した場合には、上側セラミック基板26が一定時間保持されるそれぞれの温度(200℃、600℃)において、最大出力が得られるような設定電圧を選択することができる。つまり、200℃において最大出力が得られる出力電圧30Vと、600℃において最大出力が得られる出力電圧90Vを、設定電圧Ve1,Ve2として用いることで、熱電モジュール9を長時間にわたって効率よく使用することが可能となる。
また、各熱電素子9a,9bが四角柱形状の例について示したが、各熱電素子9a,9bが円筒形状の場合であってもよい。
9…熱電モジュール
9a…N型熱電素子
9b…P型熱電素子
11…出力ライン
12…可変抵抗
13…蓄電装置
14…充電制御部(電圧制御部)
Claims (5)
- 複数の熱電素子が配列された熱電モジュールと、
前記熱電モジュールに接続された可変抵抗と、
予め定められた設定電圧よりも高い電圧が前記熱電モジュールから出力可能となったときに前記可変抵抗を調整して前記熱電モジュールの直接の出力を前記設定電圧に維持する電圧制御部とを備え、
前記設定電圧は、前記熱電モジュールが曝される温度条件に基づいて定められることを特徴とする熱電変換装置。 - 前記熱電モジュールと同一特性を有する第二熱電モジュールを備え、
前記電圧制御部は、前記第二熱電モジュールから出力される無負荷電圧に基づいて前記熱電モジュールの出力が前記設定電圧を維持するように前記可変抵抗を調整することを特徴とする請求項1に記載の熱電変換装置。 - 複数の熱電素子が配列された熱電モジュールの出力を制御する制御方法であって、
前記熱電モジュールから出力する電圧を前記熱電モジュールが曝される温度条件に基づいて予め設定し、
前記熱電モジュールが予め定められた設定電圧よりも高い電圧を出力可能となったときに負荷電流を調整して前記熱電モジュールの出力を前記設定電圧に維持することを特徴とする熱電モジュールの制御方法。 - 前記設定電圧として、第一設定電圧と該第一設定電圧よりも高圧な第二設定電圧を定め、
前記第一設定電圧よりも高い電圧を出力可能となった際には負荷電流を調整して前記熱電モジュールの出力を前記第一設定電圧に維持し、
前記第二設定電圧よりも高い電圧を出力可能となった際には負荷電流を調整して前記熱電モジュールの出力を前記第二設定電圧に維持する
ことを特徴とする請求項3に記載の熱電モジュールの制御方法。 - 前記第一設定電圧及び/又は前記第二設定電圧は、前記温度条件において最大出力電力が得られる電圧であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の熱電モジュールの制御方法。
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