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JP5303333B2 - 車両の後輪操舵制御装置 - Google Patents

車両の後輪操舵制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車(以下、単に車両と記す)の後輪操舵制御装置に係り、詳しくはアクティブフロントステア装置を備えた車両が旋回中に、旋回方向と逆方向に前輪を操舵(カウンタステア)する制御がされるときに車両を安定走行させるように後輪を操舵する制御装置に関する。
車両が旋回中に、旋回方向と逆方向に前輪が操舵(カウンタステア)されたときに、カウンタステアの操舵角と逆位相で後輪を操舵制御する技術が開示されている(特許文献1参照)。かかる技術によれば、カウンタステア時に後輪舵角が逆位相に操舵される量を増加させて、乗員の意図した車両挙動となるようにしている。一方、旋回中の車両の運動状態に応じて、車両の前輪を乗員のステアリング操作とは独立して操舵する、自動カウンタステア制御技術(アクティブフロントステア装置)が知られている。
特開2007−69844号公報
車両が低速度で旋回するとき、後輪操舵制御装置は車両の後輪を前輪と逆位相に操舵し、旋回性の向上を図っている。そして、旋回中に車両の挙動が不安定となった場合は、検出したヨーレートをフィードバックすることで安定方向となるように後輪を操舵している。しかし、このヨーレートのフィードバック制御量が過大となったときには逆に車両の挙動を不安定にさせることおそれがあるため、ゲインは大きく増幅されないように構成されている。
一方、自動カウンタステア制御が行われた場合であって、自動カウンタステア制御中に乗員がステアリングを操舵したとき、前輪がカウンタステアとなる逆位相に操舵されない制御が行われる場合がある。
特許文献1に開示されている技術は、カウンタステアがなされるときにはカウンタステアの操舵角と逆位相で後輪を操舵制御し、さらに逆位相の操舵量を増加させている。しかしながら、自動カウンタステア制御の信号を検出したときに、前輪がカウンタステア方向に操舵されていない状態で後輪を逆位相に操舵する制御が実行された場合、車両がスピンするおそれがあった。
本発明は前記背景を鑑みてなされたもので、車両に備えられたアクティブフロントステア装置が車両の旋回中に旋回方向と逆方向に前輪を操舵(カウンタステア)する制御をするときに車両を安定走行させるように後輪を操舵する制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、アクティブフロントステア装置が搭載された車両に設けられ、前記車両の左右後輪を操舵制御する後輪操舵制御装置である。この装置は、ヨーレートを含む前記車両の運動状態量を検出する状態量検出手段と、検出された前記車両の運動状態量に基づき指示トー角を算出し、前記指示トー角に応じてアクチュエータの駆動により車両の左右後輪のトー角を変化させる後輪トー角制御手段と、を備えている。前記アクティブフロントステア装置は、運転者の操舵量に基づく基本前輪舵角と車両の運動状態量に基づく目標前輪舵角とが一致しない場合、カウンタステア制御を行うとともに、カウンタステア信号を前記後輪トー角制御手段に出力し、前記後輪トー角制御手段は、前記カウンタステアが入力された場合、前記ヨーレートのゲインを増幅させるとともに、前記指示トー角の設定ゲインを減少させるように構成されている。
本装置は、カウンタステア信号が入力されたときに、状況に応じては後輪を前輪の逆位相に操舵せず、ヨーレートのゲインを増幅させるとともに、指示トー角の設定ゲインを減少させる。前記構成によれば、自動カウンタステア制御の信号が検出されたときに、前輪がカウンタステア方向に操舵されていない状態でカウンタステアに対応する後輪舵角制御が実行された場合であっても、車両のスピンを抑制することができる。
本発明によれば、車両に備えられたアクティブフロントステア装置が車両の旋回中に旋回方向と逆方向に前輪を操舵(カウンタステア)する制御をするときに車両を安定走行させるように後輪を操舵する制御装置を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる4輪自動車の概略構成図である。 本発明の一実施形態にかかる後輪操舵制御装置要部の概略構成を示す機能ブロック図である。 本発明の一実施形態にかかるアクティブフロントステア装置要部の概略構成を示す機能ブロック図である。 本発明の一実施形態にかかるカウンタステア制御における後輪操舵制御のフローチャートである。
以下、本発明にかかる後輪操舵制御装置を車両に適用した一実施形態について図面を参照して説明する。説明にあたり、車輪やそれらに対して配置された部材、すなわち、タイヤや電動アクチュエータ等については、それぞれ数字の符号に左右を示す添字LまたはRを付して、例えば、後輪5L(左)、後輪5R(右)と記すとともに、総称する場合には、例えば、後輪5と記す。
図1は本実施形態に係る後輪操舵制御装置10を適用した自動車Vの概略構成図である。車両Vは、タイヤ2L,2Rが装着された前輪3L,3Rと、タイヤ4L,4Rが装着された後輪5L,5Rとを備えており、これら前輪3L,3Rおよび後輪5L,5Rが、左右のフロントサスペンション6L,6Rおよびリヤサスペンション7L,7Rによってそれぞれ車体1に懸架されている。
また、車両Vには、ステアリングホイール8の操舵により、ラックアンドピニオン機構を介して左右の前輪3L,3Rを直接転舵する前輪操舵装置9と、左右のリヤサスペンション7L,7Rに対して設けられた左右のアクチュエータ11L,11Rを伸縮駆動することにより、後輪5L,5Rのトー角を個別に変化させる後輪操舵制御装置10とが備わっている。ステアリングホイール8と前輪操舵装置9との間には、旋回中の車両の運動状態に応じて、車両の前輪を乗員のステアリング操作とは独立して操舵することも可能なアクティブフロントステア装置18(Active Front Steer:以下「AFS」と称する場合がある)が備えられている。なお、アクチュエータ11L,11Rは電動アクチュエータを適用することができる。
車両Vには、各種システムを統括制御するECU(Electronic Control Unit)12を備え、車速センサ13や、ステアリング舵角センサ14、ヨーレートセンサ15、横加速度センサ16、前輪舵角センサ19等、図示しない種々のセンサが設置されており、各センサの検出信号はECU12に入力されて車両の制御に供される。なお、ステアリング舵角センサ14はステアリングホイール8の操舵量を検出する。横加速度センサ16は車両の左右方向に作用する加速度を検出する。前輪舵角センサ19は、前輪3の転舵角を検出する。ここで、これらのセンサおよび後記するトー角センサ等は、車両の挙動にかかる車両状態量を検出する状態量検出手段を構成している。
ECU12は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成されており、通信回線を介して各センサ13〜16,19等や、アクチュエータ11と接続されている。ECU12は、各センサ13〜16,19等の検出結果に基づいて後輪トー角を算出し、各アクチュエータ11L,11Rの変位量を決定した上で後輪5のトー角制御を実行する。
各アクチュエータ11L,11Rには、出力ロッドのストローク位置を検出するトー角センサ17L,17Rがそれぞれ設置されている。トー角センサ17L,17Rの信号がECU12に入力することで、各アクチュエータ11L,11Rのフィードバック制御が行われる。これにより、各アクチュエータ11L,11Rは、ECU12によって決定された所定量だけ伸縮動し、後輪5L,5Rのトー角を正確に変化させる。
このように構成された車両Vによれば、左右のアクチュエータ11L,11Rを同時に対称的に変位させることにより、両後輪5L,5Rのトーイン/トーアウトを適宜な条件の下に自由に制御することができる他、左右のアクチュエータ11L,11Rの一方を伸ばして他方を縮めれば、両後輪5L,5Rを左右に転舵することも可能である。例えば、車両Vは、各種センサによって把握される車両の運動状態に基づき、加速時に後輪5をトーアウトに、制動時に後輪5をトーインに変化させ、高速旋回走行時に後輪5を前輪舵角と同相に、低速旋回走行時に後輪5を前輪舵角と逆相にトー角制御(転舵)して、操縦性を高めるべく後輪トー角制御を行う。
次に図2,3を参照して、本実施形態の機能について説明する。図2は、本実施形態にかかる後輪操舵制御装置要部の概略構成を示す機能ブロック図である。図3は本実施形態にかかるアクティブフロントステア装置要部の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の後輪操舵制御装置およびアクティブフロントステア装置の制御は、ECU12によって実現できる。
ECU12は、一種のコンピュータであり、演算を実行するプロセッサ(CPU)、各種データを一時記憶する記憶領域およびプロセッサによる演算の作業領域を提供するランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プロセッサが実行するプログラムおよび演算に使用する各種のデータが予め格納されている読み出し専用メモリ(ROM)、およびプロセッサによる演算の結果およびエンジン系統の各部から得られたデータのうち保存しておくものを格納する書き換え可能な不揮発性メモリを備えている。不揮発性メモリは、システム停止後も常時電圧供給されるバックアップ機能付きRAMで実現することができる。
図2を参照すると、ECU12の後輪トー角設定部120は、車速センサ13や、ヨーレートセンサ15、前輪舵角センサ19、筒内圧センサ(図示せず)等から車両状態量を取得して算出もしくは推定されたエンジントルク、トランスミッションのギヤ比等に基づいて左右後輪5L,5Rの駆動力の推定を行い、この後輪駆動力の推定結果と横加速度センサ16の検出結果とから、指示トー角k2×θDTを設定する。k2は係数であり、その内容は後記する。
ECU12は、指示トー角k2×θDTから、アクチュエータ11に配設されたトー角センサ17によって検知され、入力インタフェース(図示せず)を介して、ECU12に送出された実トー角θTRを減算して偏差eが算出される。偏差eはFB制御器123に入力され、FB制御器124はこの偏差を解消する向きにアクチュエータ11を駆動するための駆動信号を出力インタフェース(図示せず)を介して発生する。
後輪トー角設定部120は、車両の運動状態量から指示トー角を演算する後輪トー角算出部122と、カウンタステア信号が入力されたときに、検出されたヨーレートのゲインを増幅させるヨーレートゲイン調整部121と、指示トー角の設定ゲインを減少させるトー角ゲイン調整部123とを備えている。カウンタステア信号とは、後記するカウンタステア制御部130(図3参照)から出力される制御ゲインであり、車両Vの運動状態量に応じて、アクティブフロントステア装置によって前輪をカウンタステア方向に操舵する制御量である。
詳しく説明すると、ヨーレートゲイン調整部121は、カウンタステア信号である制御ゲインに応じた係数k1を設定し、この係数k1をヨーレートセンサ15が検出したヨーレートγに乗じたk1×γを後輪トー角算出部122へ出力する。係数k1はヨーレートのゲインを増幅するための係数である。また、トー角ゲイン調整部123は、カウンタステア信号である制御ゲインに応じた係数k2を設定し、この係数k2を後輪トー角算出部122が算出した指示トー角θDTに乗じたk2×θDTをトー角制御量として算出する。係数k2は指示トー角θDTの設定ゲインを減少するための係数である。
次に、図3を参照してアクティブフロントステアのカウンタステア制御について説明する。ECU12のカウンタ制御部130は、カウンタステア演算部131と、比較器132と、制御量演算部133とから構成されている。カウンタステア演算部131は、車速センサ13や、ヨーレートセンサ15、横加速度センサ16等の運動状態量の信号をECU12の入力インタフェース(図示せず)を介して取得し、これらの運動状態量に基づきカウンタステア舵角θSAを算出する。算出されたカウンタステア舵角θSAは、比較器132において前輪舵角センサ14によって検出された乗員が操作するステアリング舵角θSDと比較される。両者が異なる場合、後記プロセスで説明するように制御量演算部133はカウンタステアの制御ゲインを算出する。
ECU12は、制御量演算部133が算出した制御ゲインとなる舵角θSCから、アクティブフロントステア装置18が操作する前輪操舵装置9に配設された前輪舵角センサ19によって検知され、入力インタフェース(図示せず)を介して、ECU12に送出された実際の前輪舵角θSRを減算して偏差eが算出される。偏差eはAFSFB制御器134に入力され、AFSFB制御器134はこの偏差を解消する向きにアクティブフロントステア装置18を操作するための操作信号を出力インタフェース(図示せず)を介して発生する。
一方、カウンタ制御部130が算出したカウンタステアの制御ゲインは、前記したヨーレートゲイン調整部121とトー角ゲイン調整部123へ送出される(図2参照)。
次に、図2〜図4を参照して、本実施形態における制御プロセスの一例を説明する。図4は、本実施形態にかかるカウンタステア制御における後輪操舵制御にかかる係数k1,k2を設定するためのフローチャートである。図4を参照すると、ECU12のカウンタステア制御部130は、車速センサ13や、ヨーレートセンサ15、横加速度センサ16等の運動状態量の信号を取得し(ステップS101)、これらの運動状態量に基づき舵角θSCを算出する。
算出された舵角θSCと乗員が操作するステアリング舵角θSDに基づいて、車両が旋回中に旋回方向と逆方向に前輪が操舵されるカウンタステアか否かが判定される(ステップS102)。運転者の操舵量に基づくステアリング舵角(基本前輪舵角)と車両の運動状態量に基づいて算出された舵角(目標前輪舵角)とが一致しない場合、カウンタステア制御が行われる。カウンタステアでは無い場合(ステップS102:NO)、係数k1,k2はともに1に設定され(ステップS107,S108)、本プロセスは終了される。
舵角がカウンタステアと判定された場合(ステップS102:YES)、カウンタステアの制御量であるカウンタステア信号が、ヨーレートゲイン調整部121に送出される。ヨーレートゲイン調整部121は、カウンタステア信号である制御ゲインに応じて、例えば、予め設定されECU12のメモリに格納されたマップMAP1(ステップS104)を参照して、係数k1を設定する(ステップS103)。
カウンタステア信号は、トー角ゲイン調整部123にも送出され、トー角ゲイン調整部123は、カウンタステア信号である制御ゲインに応じて、例えば、予め設定されECU12のメモリに格納されたマップMAP2(ステップS106)を参照して、係数k2を設定して(ステップS105)、プロセスは終了される。設定された係数k1,k2は図2に示すように、それぞれ、ヨーレートゲインの増幅および指示トー角ゲインの減少の比例係数として、観測量、制御量に乗算される。
前記のように従来技術では、カウンタ制御が実行されたという信号に基づいて、後輪を前輪と逆位相に操舵している。しかし、カウンタステア制御が行われた場合であって、カウンタステア制御中に乗員がステアリングを操舵したとき前輪がカウンタステアとなる逆位相に操舵されない場合がある。後輪操舵制御におけるヨーレートのフィードバック制御は、ヨーレートの発生方向とは逆方向に後輪を操舵するため、規範となる舵角に対して大きな差が発生して大きな制御量が必要となるが、車両の安全走行の観点から制御量を大きくできなかった。
一方、本実施形態の構成においては、カウンタ制御の制御量に応じて、ヨーレートのゲインの増幅および前記指示トー角の設定ゲインの減少を実行するため、前輪がカウンタステアとなる逆位相に操舵されない場合であっても、車両の安定な走行を実現させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において改変して用いることができる。
V 自動車
1 車体
3 前輪
5 後輪
6 フロントサスペンション
7 リアサスペンション
10 後輪トー角制御装置
11 アクチュエータ
12 ECU
13 車速センサ
14 前輪舵角センサ
15 ヨーレートセンサ
16 横加速度センサ
17 トー角センサ
18 アクティブフロントステア装置
120 後輪トー角設定部
121 ヨーレートゲイン調整部
122 指示トー角算出部
123 トー角ゲイン調整部
124 FB制御器
130 カウンタステア制御部
131 カウンタステア演算部
132 比較器
133 制御量演算部
134 AFSFB制御器

Claims (1)

  1. アクティブフロントステア装置が搭載された車両に設けられ、前記車両の左右後輪を操舵制御する後輪操舵制御装置であって、
    ヨーレートを含む前記車両の運動状態量を検出する状態量検出手段と、
    検出された前記車両の運動状態量に基づき指示トー角を算出し、前記指示トー角に応じてアクチュエータの駆動により、高速旋回走行時には前輪舵角と同相になるように、低速旋回走行時には前輪舵角と逆相になるように、車両の左右後輪のトー角を変化させる後輪トー角制御手段とを備え、
    前記アクティブフロントステア装置は、運転者の操舵量に基づく基本前輪舵角と車両の運動状態量に基づく目標前輪舵角とが一致しない場合、カウンタステア制御を行うとともに、カウンタステア信号を前記後輪トー角制御手段に出力し、
    前記後輪トー角制御手段は、前記カウンタステア信号が入力された場合、前記アクティブフロントステア装置によるカウンタステア制御の制御量に応じて前記ヨーレートのゲインを増幅させるとともに、前記指示トー角の設定ゲインを減少させることを特徴とする後輪操舵制御装置。
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