JP5398110B2 - 自動車用ボンネット - Google Patents
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Description
繊維強化樹脂(以下、FRPという場合もある。)製の自動車用ボンネットとしては、例えば、面状のFRP製のアウター(面部材)と、これを補強する枠状のFRP製のインナー(補強部材)とが周縁部で接合した積層体からなるものがある。
ところが、アウターの中央部と、インナーとの接合部分に相当する周縁部とで剛性に変化が生じ、剛性差による筋状の変形、いわゆるボンディングラインがアウターの表面側に現れることがあり、外観不良が発生することがあった。
また、前記面部材と前記補強部材との間に、発泡体からなるコア材が挟持されていることが好ましい。
図1〜3は、各々本発明の積層体を用いた自動車用ボンネット10の一例を示す平面図と、分解斜視図と、図1のI−I’線に沿う断面図である。
この自動車用ボンネット10は、その表面側を構成する繊維強化樹脂製の面部材11と、面部材11の裏面側において面部材11の周縁部に形成された増し厚部13を介して枠状に配置される、繊維強化樹脂製の環状の補強部材12とを有して構成されている。
また、面部材11と補強部材12との間には、自動車用ボンネット10により高い機械的強度を付与するための発泡体からなるコア材14が挟持されていることが好ましい。
また、前記増し厚部13は、その両側の側部、すなわち内側部13bと外側部13cとが、増し厚部13の裏面13dから表面13aに向かって広がるようなテーパー状になっている。これにより、増し厚部13の両側の側部がテーパー状になっていない場合に比べ、面部材11の裏面11aと増し厚部13の表面13aとの接着界面端部への応力が集中しにくくなるので、面部材11と増し厚部13とが、接合部分の端部にて層間剥離するのを防ぐ。また、面部材11の中央部と外縁部における剛性の変化が緩やかとなり、外観不良をより回避することができる。なお、テーパー状をなす際の傾きは、内側部13bと外側部13cとが同じであってもよく、異なっていてもよい。
そして、内周部の上面12b’と外周部の上面12c’とが、増し厚部13の裏面13dに、接着剤などにより接合されることで、各部材が一体化されている。
なお、上述したように、補強部材12の中空膨出部12aにはコア材14が内包されてもよい。
従って、面部材11と増し厚部13とが接合する端部での層間剥離や破壊を低減させるためには、面部材11の周縁部に形成された増し厚部13の内側部13bと外側部13cとが、テーパー状になっていることが重要である。
プリグレグの調製;
強化繊維としてフィラメント数が3000本の炭素繊維束を用意し、これを平織して炭素繊維織布を製造する。次いで、この炭素繊維織布にマトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を含浸してプリプレグ(1)を調製する。また、強化繊維としてフィラメント数が1万2000本の炭素繊維束を用意し、これを同様に平織し、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を含浸し、プリプレグ(2)を調製する。さらに、一方向に引き揃えられた炭素繊維にエポキシ樹脂を含浸して、一方向プリプレグ(3)を調製する。
(手段1)
面部材成型用の金型を用意し、これに、プリプレグ(1):1層、一方向プリプレグ(3):4層、プリプレグ(1):1層を順次配置する。さらに、補強部材12との接合部分に相当する箇所にプリプレグ(2):1層を配置して増し厚部分を形成させた後、バギングし、オートクレーブ内で所定の条件で加熱、加圧した。次いで、増し厚部13の両側の側部を、表面13aが裏面13dよりも大きくなるようにテーパー状に研削し、増し厚部13以外の厚さが約1mmの面部材11を成型する。
面部材成型用の金型を用意し、これに、プリプレグ(1):1層、一方向プリプレグ(3):4層、プリプレグ(1):1層を順次配置する。別途、大きさの異なる一方向プリプレグ(3)などの薄厚のプリプレグを複数用意し、これを補強部材12との接合部分に相当する箇所に、テーパー形状になるように大きいプリプレグから順に、次第に大きさが小さくなるようにずらしながら複数層配置して、両側の側部がテーパー状の増し厚部分を形成させる。その後、バギングし、オートクレーブ内で所定の条件で加熱、加圧し、増し厚部13以外の厚さが約1mmの面部材11を成型する。
増し厚部分の両側の側部がテーパー形状になるような面部材成型用の金型を用意し、手段1と同様にして各プリプレグを配置する。その後、バギングし、オートクレーブ内で所定の条件で加熱、加圧し、増し厚部13以外の厚さが約1mmの面部材11を成型する。
なお、手段1〜3において、一方向プリプレグ(3)を4層積層する際には、1層目と3層目、2層目と4層目の炭素繊維がそれぞれ同じ引き揃え方向になるようにし、かつ、1層目と3層目の炭素繊維に対して、2層目と4層目の炭素繊維が直角をなすように積層することが好ましい。
補強部材成型用の金型を用意し、これにプリプレグ(2):1層を配置した後、バギングし、オートクレーブ内で所定の条件で加熱、加圧し、厚さが約0.8mmの補強部材12を成型する。
補強部材12の内周部の上面12b’と外周部の上面12c’に、例えば接着剤などを貼着し、貼着された接着剤と面部材11の増し厚部13の裏面13dの所定位置とが接合するように重ね合わせる。このような方法により、図示例の自動車用ボンネット10を製造することができる。なお、接着剤の種類によっては、接着剤を硬化させるための加熱硬化処理をさらに行ってもよい。
また、補強部材12の中空膨出部12aにコア材14を配置した後に、面部材11と補強部材12とを接合するのが好ましい。
また、マトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂以外に、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂などが使用できるが、耐熱性、硬度、硬化収縮率、化学薬品耐性などの点から、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂環型等の一般的なエポキシ樹脂を使用できる。また、マトリックス樹脂には、必要に応じて公知の硬化剤を適量添加できる。
なお、以上の説明では、積層体の用途として、自動車用ボンネットを例示したが、積層体の用途には特に制限はなく、例えば、自動車のディフューザ、建築物の屋根、レドームなど、耐熱性が要求される用途に好適に使用できる。
11 面部材
12 補強部材
13 増し厚部
13b 内側部
13c 外側部
14 コア材
Claims (2)
- 積層体を用いた自動車用ボンネットであって、
前記積層体は、繊維強化樹脂製の樹脂層を積層した増し厚部が周縁部に形成された繊維強化樹脂製の面部材と、該面部材を補強する繊維強化樹脂製の補強部材を有し、
前記補強部材は、前記面部材の増し厚部に沿って枠状に配置された環状の部材であり、内周部と、外周部と、該補強部材の長手方向に沿う中央部分に形成され、前記内周部及び前記外周部から膨出した中央膨出部とを備え、
前記増し厚部の内側部と外側部とがテーパー状であり、かつ、増し厚部と前記補強部材の内周部及び外周部とが接合されていることを特徴とする自動車用ボンネット。 - 前記面部材と前記補強部材との間に、発泡体からなるコア材が挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ボンネット。
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