以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例
A1.全体構成:
図1は、本発明の一実施例としての紙葉類取扱装置を搭載した現金自動取引装置の外観の構成を示す説明図である。現金自動取引装置10(以降、「ATM」とも呼ぶ。)は、前面に、カードスロット101と、タッチパネル201と、入出金口320とを備えている。カードスロット101は、種々のカード(例えば、クレジットカードやキャッシュカード)の挿入を受け付けるための挿入排出口である。タッチパネル201は、利用者に対して操作案内画面を表示する表示機能と、入力操作を受け付ける入力機能を有している。入出金口320は、利用者から紙葉類(以下、「紙幣」とも呼ぶ。)を受け付け、また、利用者に対して紙幣の排出を行うための紙幣受渡・受取口である。また、ATM10は、外周を覆う装置筐体20の内部に、金庫筺体30と、紙幣取扱機構300とを備えている。金庫筺体30は、装置筐体20よりも頑強に形成されており、不正なアクセス(壁の破壊等)に対してより耐性の高い構造(例えば、厚さ数十mm程度の鉄板)を有している。紙幣取扱機構300についての詳細は後述する。
図2は、ATM10の内部構成の概略を示すブロック図である。ATM10は、カード明細票処理機構100と、顧客操作部200と、紙幣取扱機構300と、インタフェース部400と、係員操作部500と、本体制御部600と、外部記憶装置700と、電源部800とを備えている。
カード明細票処理機構100は、カードスロット101を含み、挿入されたカード類の処理や、取引明細票の印字処理を行う機能を有する。顧客操作部200は、タッチパネル201を含み、利用者からの操作を受け付け、本体制御部600へと伝達する機能を有する。紙幣取扱機構300は、入出金口320を含み、入出金紙幣の計算や、紙幣の入出金等を行う機能を有する。インタフェース部400は、図示しないホストコンピュータと通信する機能を有する。係員操作部500は、係員(例えば、銀行職員等)からの操作を受け付け、本体制御部600へと伝達する機能を有する。外部記憶装置700は、例えば、ハードディスクや、フラッシュメモリ、光ディスク等のデータ記録装置で構成される。本体制御部600は、前述の各部(100〜700)とバスにより接続され、前述の各部を制御する機能を有する。電源部800は、ATM10の各部に電源を供給する。
図3は、紙幣取扱機構300の概略構成を示す説明図である。紙幣取扱機構300は、入出金口320と、紙幣判別部330と、一時保管庫340と、リジェクト庫360と、装填庫370と、収納庫380と、これらをそれぞれ繋ぐ搬送路350と、を備えている。収納庫380は、第1収納庫381、第2収納庫382、第3収納庫383、第4収納庫384の4つの収納庫により構成されている。装填庫370および収納庫380は、金庫筺体30に収納されている。
紙幣判別部330は、搬送路350上に配置され、搬送路350上の紙幣の金種およびリジェクト紙幣か否かについての判別を行う。リジェクト紙幣とは、例えば、過度の損傷や汚染のある真券や、偽券(真正でない紙幣)、複数枚重なった状態の紙幣、スキューやシフト状態の紙幣等である。また、紙幣判別部330は、搬送路350上の紙幣から紙幣ごとに固有の情報である固有情報を取得するための取得処理を行う。本実施例では、取得処理とは、搬送路350上の紙幣から、紙幣ごとに固有の番号である記番号の読み取りを行う処理である。紙幣判別部330は、紙幣判別部330を通過する紙幣の搬送方向に関係なく、搬送路350上の紙幣に対してリジェクト紙幣か否かの判定や、取得処理を行うことができる。
一時保管庫340は、入出金口320に投入された紙幣を取引成立までの間、一時的に保管しておく保管庫である。リジェクト庫360は、リジェクト紙幣や、利用者が入出金時に取り忘れた紙幣を収納するための保管庫である。
収納庫380は、出金に用いられる紙幣を金種別に収納しておく保管庫である。なお、収納庫380の一部は、入出金取引で発生したリジェクト紙幣を収納するためのリジェクト庫として用いられていてもよい。また、本実施例においては、収納庫380は4つ(第1収納庫381、第2収納庫382、第3収納庫383、第4収納庫384)設けられているが、1つ以上の任意の個数としてもよい。装填庫370は、収納庫380に充填する紙幣を収納するほか、収納庫380から回収した紙幣の保管を行う保管庫である。以後、一時保管庫340、リジェクト庫360、装填庫370、および、収納庫380をすべて含めて単に「保管庫340、360、370、380」とも呼ぶ。また、例えば、リジェクト庫360を除く、一時保管庫340、装填庫370、および、収納庫380を「保管庫340、370、380」とも呼ぶ。
保管庫340、370、380は、それぞれ、格納した順に紙幣を集積し、出金時には集積した紙幣の上部の紙幣から順に排出する。すなわち、保管庫340、370、380は、収納した順番と逆の順に紙幣を排出する。また、保管庫340、370、380に搬送される紙幣は、格納される前に紙幣判別部330により固有情報の取得がおこなわれる。よって、保管庫340、370、380は、紙幣判別部330により固有情報を取得された順に紙幣を収納し、固有情報を取得した順と逆の順に紙幣を排出する。なお、本実施例では、保管庫340、370、380は、収納した順番と逆の順に紙幣を排出するが、格納した順番に応じて紙幣を排出すれは、これ以外の態様であってもよい。例えば、保管庫340、370、380は、格納した順に紙幣を排出する態様であってもよい。この場合、保管庫340、370、380は、固有情報を取得した順に紙幣を排出する。リジェクト庫360に搬送される紙幣は、格納される前に紙幣判別部330により固有情報の取得がおこなわれる。ATM10は、リジェクト庫360に格納した紙幣を、リジェクト庫360の外に排出しない。
搬送路350は、保管庫340、360、370、380の間で紙幣の搬送を行う。搬送路350は、図の矢印に示すように紙幣を双方向に搬送可能であり、必要に応じて搬送経路の切り替えが行われる。なお、搬送路350は、紙幣判別部330を上記双方向のいずれの搬送方向で通過した紙幣であっても、再度、紙幣判別部330を経由することなく保管庫340、360、370、380に搬送することができ、また、保管庫340、370、380から排出された紙幣をいずれの搬送方向からでも紙幣判別部330を通過させることができる。
図4は、紙幣取扱機構300の内部構成の概略を示すブロック図である。紙幣取扱機構300は、入出金口320、紙幣判別部330、保管庫340、360、370、380、および、搬送路350に加えて、さらに、紙幣取扱制御部310と、記憶部390とを備えている。紙幣取扱制御部310は、記憶部390と、図示しないCPUとを含み、上記の入出金口320、紙幣判別部330、保管庫340、360、370、380、および、搬送路350を制御する。紙幣取扱制御部310は、例えば、入出金口320、紙幣判別部330、保管庫340、360、370、380、および、搬送路350に備えられている図示しないアクチュエータ(駆動モータや電磁ソレノイド)やセンサを制御し、センサにより紙幣の搬送状態を監視しながら、アクチュエータを駆動させて紙幣の繰り出し、搬送、集積などを行う。紙幣取扱制御部310は、バスを介して本体制御部600と接続されている。
記憶部390は、ROMやRAMからなり、紙幣取扱制御部310に含まれる図示しないCPUより処理されるプログラムを格納する領域を備えるとともに、保管庫340、360、370、380のそれぞれについて、保管庫ごとに格納している紙幣の固有情報と、保管庫ごとに紙幣の格納された順番に関する情報である順番情報とを格納する領域を備えている。本実施例において、順番情報は、それぞれの保管庫に格納されている紙幣について、紙幣判別部330に固有情報を取得された順番と同じである。順番情報は、例えば、各保管庫に格納されている紙幣の固有情報を紙幣判別部330により取得された順に並べることによって表すことができる。各保管庫は、紙幣判別部330に固有情報を取得された順に紙幣を収納するため、紙幣判別部330に固有情報を取得された順番によって、紙幣が格納された順番を表すことができる。
以後、記憶部390のうち、一時保管庫340に格納されている紙幣についての固有情報と順番情報を格納する領域を一時保管庫情報記憶部391と、リジェクト庫360に格納されている紙幣についての固有情報と順番情報を格納する領域をリジェクト庫情報記憶部392と、装填庫370に格納されている紙幣についての固有情報と順番情報を格納する領域を装填庫情報記憶部393と、第1収納庫381に格納されている紙幣についての固有情報と順番情報を格納する領域を第1収納庫情報記憶部394と、第2収納庫382に格納されている紙幣についての固有情報と順番情報を格納する領域を第2収納庫情報記憶部395と、第3収納庫383に格納されている紙幣についての固有情報と順番情報を格納する領域を第3収納庫情報記憶部396と、第4収納庫384に格納されている紙幣についての固有情報と順番情報を格納する領域を第4収納庫情報記憶部397とも呼ぶ。
紙幣取扱制御部310は、CPUが記憶部390に格納されているプログラムを処理することにより、後述する紙葉類推定処理を実行する。また、紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330から取得した固有情報を用いて、記憶部390に格納されている保管庫ごとの固有情報や順番情報の設定および更新を行う設定部および更新部として機能するほか、紙幣判別部330により固有情報の読み取りができなかった紙幣についての固有情報を推定する推定部としての機能を実現する。本実施例では、紙幣取扱制御部310は、CPUがプログラムを処理することにより実現されるソフトウェア的な態様で示されているが、集積回路等により実現されるハードウェア的な態様としてもよい。
本実施例の紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330から取得した固有情報のみではく、取得処理により固有情報の取得が成功したか否かの取得結果や、紙幣がリジェクト紙幣であるか否かの判定結果を含む情報についても記憶部390に格納する。紙幣取扱制御部310が記憶部390に格納する情報の具体例について以下に説明する。
図5は、紙幣取扱制御部が記憶部に格納する情報を説明するための説明図である。紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330の取得処理により固有情報の取得が成功したか否かの取得結果や、取得が成功した場合にはその固有情報、および、紙幣がリジェクト紙幣か否かの判定結果を取得する。
紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330に搬送した紙幣が、リジェクト紙幣ではないと判定され、さらに、固有情報の取得が成功した場合、その搬送した紙幣を図5(a)に示す「正常紙葉類」と判定する。ここで「正常紙葉類」とは、固有情報が判明している1枚の紙葉類を表している。紙幣取扱制御部310は、搬送した紙幣が正常紙葉類であると判定すると、正常紙葉類を繰り出した排出側保管庫と対応する記憶部から、正常紙葉類の固有情報を削除し、順番情報を更新する。更新された順番情報は、正常紙葉類が繰り出された後に排出側保管庫に残っている紙幣の繰り出し順番を表す。一方、繰り出された正常紙葉類を収容する側の受け入れ側保管庫では、正常紙葉類を収納すると、受け入れ側保管庫に対応する記憶部に正常紙葉類の固有情報を追加し、順番情報を更新する。更新された順番情報は、正常紙葉類が収納された後に受け入れ側保管庫に存在する紙幣の繰り出し順番を表す。
紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330に搬送した紙幣が、リジェクト紙幣であると判定され、固有情報の取得が成功した場合、その搬送した紙幣を図5(a)に示す「正常紙葉類」と図5(b)に示す「不明紙葉類1」とが重なった紙幣であると判定する。ここで、「不明紙葉類1」とは、固有情報が不明な0枚以上の紙葉類を表している。よって、固有情報の取得が成功したスキューやシフト状態の一枚の紙幣や、複数枚重なった紙幣はすべて正常紙葉類と不明紙葉類1とが重なった紙幣に該当する。紙幣取扱制御部310は、搬送した紙幣が正常紙葉類と不明紙葉類1とが重なった紙幣であると判定すると、搬送された紙幣の受け入れ側保管庫では、搬送された紙幣を収納すると、受け入れ側保管庫に対応する記憶部に正常紙葉類の固有情報と、不明紙葉類1を表す情報を追加し、順番情報を更新する。
紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330に搬送した紙幣が、リジェクト紙幣ではないと判定され、固有情報の取得が成功しなかった場合、その搬送した紙幣を図5(c)に示す「不明紙幣2」であると判定する。ここで、「不明紙葉類2」とは、固有情報が判明していない1枚の紙葉類を表している。紙幣取扱制御部310は、搬送した紙幣が不明紙葉類2であると判定すると、繰り出された不明紙葉類2を収容する側の受け入れ側保管庫では、不明紙葉類2を収納すると、受け入れ側保管庫に対応する記憶部に不明紙葉類2を表す情報追加し、順番情報を更新する。
紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330に搬送した紙幣が、リジェクト紙幣であると判定され、固有情報の取得が成功しなかった場合、その搬送した紙幣を図5(d)に示す「不明紙葉類3」であると判定する。ここで、「不明紙葉類3」とは、固有情報が不明な1枚以上の紙葉類を表している。よって、固有情報の取得が成功しなかったスキューやシフト状態の一枚の紙幣や、複数枚重なった紙幣はすべて不明紙葉類3に該当する。紙幣取扱制御部310は、搬送した紙幣が不明紙葉類3であると判定すると、搬送された紙幣の受け入れ側保管庫では、搬送された紙幣を収納すると、受け入れ側保管庫に対応する記憶部に不明紙葉類3を表す情報を追加し、順番情報を更新する。
A2.紙葉類推定処理:
図6は、紙葉類推定処理の流れを示すフローチャートである。本実施例における紙葉類推定処理は、各保管庫に格納されている紙幣の枚数や金種を確定させるための計数処理時において、紙幣判別部330により固有情報の取得ができなかった紙幣の固有情報を推定するための処理である。
ここでは、具体例を用いて紙葉類推定処理の内容を説明する。図7は、紙幣取扱機構および記憶部を模式的に示した説明図である。図7では、第1収納庫381に150枚の紙幣が収容され、装填庫370に10枚の紙幣が収納された状態が示されている。一方、一時保管庫340およびリジェクト庫360には紙幣が収納されていない状態が示されている。また、図7には、一時保管庫情報記憶部391、リジェクト庫情報記憶部392、装填庫情報記憶部393、第1収納庫情報記憶部394が示され、それぞれ対応する保管庫に収納されている紙幣の固有情報および順番情報が格納されている。なお、ここでの紙幣はすべて同一種類である。
図7では、順番情報は、保管庫において収納する紙幣の固有情報と、保管庫から排出される順番との組み合わせにより表されている。例えば、第1収納庫情報記憶部394に表されている「1:1111」は順番情報であり、固有情報である記番号「1111」の紙幣が第1収納庫381に収容されている紙幣の中で一番先に排出されることを意味している。また、順番情報「2:2222」は、記番号「2222」の紙幣が記番号「1111」の紙幣の次に排出されることを意味しているとともに、記番号「2222」の紙幣が記番号「3333」の紙幣の前に排出されることを意味している。
ここでは、図6および図7を用いて、第1収納庫381から3枚の紙幣を装填庫370に繰り出す際の紙葉類推定処理を説明する。第1収納庫381から繰り出された紙幣は紙幣判別部330を経由して装填庫370に収納される。なお、紙幣判別部330によりリジェクト紙幣と判定された紙幣は、装填庫370ではなく、リジェクト庫360や、一時保管庫340に搬送されるが、ここでは、説明を簡潔にするために、すべて装填庫370に搬送されるものとして説明する。
ATM10において、紙幣取扱制御部310は、タッチパネル201からの入力や、インタフェース部400を介したホストコンピュータからの要求、もしくは、係員操作部500からの入力等により第1収納庫381からの紙幣の繰り出しを開始し、同時に紙葉類推定処理を開始する。
紙幣取扱制御部310は、第1収納庫381から繰り出した紙幣が一枚目か否かを判定する(ステップS110)。具体的には、紙幣取扱制御部310は、紙葉類推定処理を開始するための入力を受け付けた後に、第1収納庫381に備えられている図示しないセンサにより、最初に排出が検知された紙幣を一枚目と判定することができる。また、紙幣取扱制御部310は、紙葉類推定処理を開始するための入力を受け付けた後に、最初に紙幣判別部330を通過した紙幣を一枚目とすることができる。
繰り出した紙幣が一枚目である場合(ステップS110:YES)、紙幣取扱制御部310は、繰り出し枚数が確定状態であると設定する(ステップS120)。繰り出し枚数が確定状態であるとは、第1収納庫381から繰り出された紙幣の実際の枚数を紙幣取扱制御部310が算出できる状態を表す。一方、例えば、紙幣を1枚繰り出すための制御により複数枚の紙幣が重なって一度に繰り出された場合には、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫381から実際に繰り出された枚数を算出することができない状態となる。この状態を不確定状態と呼ぶ。不確定状態であっても、その後、第1収納庫381から繰り出された紙幣の固有情報が取得できれば実際に繰り出された紙幣の枚数を算出することできるため、確定状態に戻る。本実施例において、紙幣取扱制御部310は、繰り出し枚数が確定状態か不確定状態かをフラグにより設定する。ステップS120では、紙幣取扱制御部310は、繰り出し枚数が確定状態であることを示すフラグを立てる。
紙幣取扱制御部310は、紙幣がリジェクト紙幣か否かを判別する(ステップS130)。具体的には、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫381から繰り出した紙幣を紙幣判別部330に搬送し、紙幣判別部330により、搬送している紙幣がリジェクト紙幣か否かを判別する。搬送している紙幣がリジェクト紙幣である場合(ステップS130:YES)、紙幣取扱制御部310は、後述するリジェクト時推定処理を実行する(ステップS140)。搬送している紙幣がリジェクト紙幣ではない場合(ステップS130:NO)、紙幣取扱制御部310は、紙幣から固有情報の取得を行う(ステップS150)。紙幣取扱制御部310は、紙幣判別部330を制御して、搬送している紙幣に対して取得処理を実行させる。
紙幣判別部330による取得処理により、固有情報の取得が成功した場合(ステップS150:YES)、紙幣取扱制御部310は、搬送している紙幣を正常紙葉類と判定するとともに、後述する取得成功時推定処理を実行する(ステップS160)。一方、取得処理により、固有情報の取得が成功しなかった場合(ステップS150:NO)、紙幣取扱制御部310は、搬送している紙幣を不明紙葉類2と判定する(ステップS170)。また、紙幣取扱制御部310は、フラグにより繰り出し枚数が確定状態か否かを判定する(ステップS180)。繰り出し枚数が確定状態である場合(ステップS180:YES)、紙幣取扱制御部310は、繰り出された紙幣の固有情報を推定するため、後述する紙葉類推定1を行う(ステップS190)。また、繰り出し枚数が確定状態ではない場合(ステップS180:NO)、紙葉類推定1をスキップする。
ここで、紙葉類推定1について説明する。図8は、紙葉類推定1を説明するための説明図である。図8(a)は、紙葉類推定処理前の装填庫情報記憶部393に格納された固有情報および順番情報を示している。図8(b)は、不明紙葉類2が格納された時の装填庫情報記憶部393の固有情報および順番情報を示している。図8(b)の「U2」は、不明紙葉類2を表している。図8(c)は、紙葉類推定1をおこなった後の装填庫情報記憶部393の固有情報および順番情報を示している。
紙葉類推定1が実行されるときは、ステップS170において繰り出し枚数が確定しているため、装填庫370に収納された不明紙葉類2に該当する紙幣の固有情報を、繰り出し元の第1収納庫381の第1収納庫情報記憶部394に格納されている順番情報から推定することができる。具体的には、紙幣取扱制御部310は、装填庫370に収納された固有情報不明の一枚の紙幣は、第1収納庫381から最初に排出されるべき紙幣であり、第1収納庫情報記憶部394に格納されている順番情報から固有情報が「1111」であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393において、図8(b)に示す「U2」を、図8(c)に示す固有情報「1111」に更新する。また、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394から固有情報「1111」を削除する。以上により紙葉類推定1が終了する。また、紙葉類推定処理が終了する。
ステップS130において、搬送している紙幣がリジェクト紙幣である場合に実行されるリジェクト時推定処理(ステップS140)について説明する。図9は、リジェクト時推定処理の流れを示すフローチャートである。
紙幣取扱制御部310は、繰り出し枚数が確定状態か否かを判定し(ステップS210)、繰り出し枚数が確定状態ではない場合(ステップS210:NO)、紙幣取扱制御部310は、搬送している紙幣を不明紙葉類3と判定する(ステップS220)。搬送している紙幣は固有情報が不明な1枚以上の紙葉類出あるからである。紙幣取扱制御部310は、繰り出し先の保管庫に対応する記憶部に不明紙葉類3が搬送された旨を記録する。一方、繰り出し元の保管庫に対応する記憶部については固有情報および順番情報の更新は行わない。
繰り出し枚数が確定状態である場合(ステップS210:YES)、紙幣取扱制御部310は、後述する紙葉類推定2を行う(ステップS230)。ステップS220の判定もしくは、ステップS230の紙葉類推定2の後、紙幣取扱制御部310は、繰り出し枚数を不確定状態に設定する(ステップS240)。以上により、リジェクト時推定処理が終了し、また、紙葉類推定処理も終了する。
ここで、紙葉類推定2について説明する。図10は、紙葉類推定2を説明するための説明図である。図10(a)は、紙葉類推定処理前の装填庫情報記憶部393に格納された固有情報および順番情報を示している。繰り出し枚数が確定した状態でリジェクト紙幣が搬送された場合、紙幣取扱制御部310は、搬送した紙幣を不明紙葉類2と不明紙葉類1の組み合わせの紙幣である判定する。そのため、図10(b)に示すように、装填庫情報記憶部393には、不明紙葉類2を表す「U2」と、不明紙葉類1を表す「U1」が順に設定される。
このとき、装填庫370に収納された紙幣の固有情報の少なくとも一部を、繰り出し元の第1収納庫381の第1収納庫情報記憶部394に格納されている順番情報から推定することができる。具体的には、紙幣取扱制御部310は、装填庫370に収納された枚数不明および固有情報不明の紙幣のうち、装填庫370に収納された最初の1枚は、第1収納庫381から最初に排出された紙幣であるため、第1収納庫情報記憶部394に格納されている順番情報から固有情報が「1111」であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393において、図10(b)に示す「U2」を、図10(c)に示す固有情報「1111」に更新する。また、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394から固有情報「1111」を削除する。以上により紙葉類推定2が終了する。
ステップS150において、固有情報の取得が成功した場合に実行される取得成功時推定処理(ステップS160)について説明する。図11は、取得成功時推定処理の流れを示すフローチャートである。
紙幣取扱制御部310は、繰り出し元の記憶部に取得した固有情報と一致する固有情報があるか否かを判定する(ステップS310)。繰り出し元の記憶部に取得した固有情報と一致する固有情報がある場合(ステップS310:YES)、紙幣取扱制御部310は、繰り出し枚数確定状態に設定する(ステップS315)。固有情報と一致する固有情報がない場合(ステップS310:NO)には、紙幣取扱制御部310は、次のステップに進む。
紙幣取扱制御部310は、繰り出し枚数が確定状態か否かを判定し(ステップS320)、繰り出し枚数が確定状態ではない場合(ステップS320:NO)、紙幣取扱制御部310は、取得した固有情報を繰り出し先の保管庫に対応する記憶部に設定し(ステップS325)、読取成功時推定処理および紙葉類推定処理が終了する。繰り出し枚数が確定状態である場合(ステップS320:YES)、紙幣取扱制御部310は、前回搬送した紙幣が不明紙葉類1であったか否かを判定する(ステップS330)。前回搬送した紙幣が不明紙葉類1であった場合(ステップS330:YES)、紙幣取扱制御部310は、紙葉類推定3を行う(ステップS335)。前回搬送した紙幣が不明紙葉類1ではなかった場合(ステップS330:NO)、紙幣取扱制御部310は、次のステップに進む。
紙葉類推定3について説明する。図12は、紙葉類推定3を説明するための説明図である。図12(a)は、装填庫情報記憶部393に不明紙葉類1(U1)を含む固有情報および順番情報を示している。なお、図12(a)は、図10(c)と同じ状態を示している。ステップS150において、紙幣判別部330により取得された固有情報が「5555」であった場合、図12(b)に示すように、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393に固有情報「5555」を設定する。その後、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「5555」の紙幣より先に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「2222」「3333」「4444」の紙幣は、記番号「5555」の紙幣より先に第1収納庫381から排出されるべき紙幣であるから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393の不明紙葉類1(U1)は、記番号「2222」「3333」「4444」の紙幣であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図12(c)に示すように、装填庫情報記憶部393に固有情報「2222」「3333」「4444」を追加する。上記により紙葉類推定3が終了する。
紙葉類推定3の他の例について説明する。図13は、紙葉類推定3の他の例を説明するための説明図である。図13(a)は、図12(a)および図10(c)と同じ状態を示している。ステップS150において、紙幣判別部330により取得された固有情報が「2222」であった場合、図13(b)に示すように、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393に固有情報「2222」を設定する。その後、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「2222」の紙幣より先に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「2222」の紙幣より先に排出された紙幣が存在しないことから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393の不明紙葉類1(U1)は、0枚の紙幣でると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図12(c)に示すように、装填庫情報記憶部393の「U1」を削除する。上記により紙葉類推定3が終了する。紙葉類推定3が終了すると、読取成功時推定処理および紙葉類推定処理が終了する。
図11に戻り、前回搬送した紙幣が不明紙葉類1ではなかった場合(ステップS330:NO)、紙幣取扱制御部310は、前回搬送した紙幣が不明紙葉類2であったか否かを判定する(ステップS340)。前回搬送した紙幣が不明紙葉類2であった場合(ステップS340:YES)、紙幣取扱制御部310は、紙葉類推定4を行う(ステップS345)。前回搬送した紙幣が不明紙葉類2ではなかった場合(ステップS340:NO)、紙幣取扱制御部310は、次のステップに進む。
紙葉類推定4について説明する。図14は、紙葉類推定4を説明するための説明図である。図14(a)は、装填庫情報記憶部393に不明紙葉類2(U2)および不明紙葉類3(U3)を含む固有情報および順番情報を示している。なお、図14(a)は、前々回搬送した紙幣はステップS220において不明紙葉類3と判定されて、装填庫情報記憶部393に「U3」が記録され、前回搬送した紙幣は、ステップS170において不明紙葉類2と判定され、装填庫情報記憶部393に「U2」が記録された状態を示している。
ステップS150において、紙幣判別部330により取得された固有情報が「5555」であった場合、図14(b)に示すように、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393に固有情報「5555」を設定する。その後、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「5555」の紙幣の一つ前に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「4444」の紙幣が、記番号「5555」の紙幣の1つ前に第1収納庫381から排出された紙幣であるから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393の不明紙葉類2(U2)は、記番号「4444」の紙幣であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図14(c)に示すように、装填庫情報記憶部393に固有情報「4444」を追加する。
次に、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「4444」の紙幣より先に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「2222」「3333」の紙幣が、記番号「4444」の紙幣より先に第1収納庫381から排出された紙幣であるから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393の不明紙葉類3(U3)は、記番号「2222」「3333」の紙幣であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図14(d)に示すように、装填庫情報記憶部393に固有情報「2222」「3333」を追加する。上記により紙葉類推定4が終了する。
紙葉類推定4の他の例について説明する。図15は、紙葉類推定4の他の例を説明するための説明図である。図15(a)は、装填庫情報記憶部393に不明紙葉類1(U1)および2つの不明紙葉類2(U2)を含む固有情報および順番情報を示している。なお、図15(a)は、図10(c)の状態の後に搬送した紙幣がステップS170において不明紙葉類2と2回続けて判定され、装填庫情報記憶部393にそれぞれ「U2」が記録された状態を示している。
ステップS150において、紙幣判別部330により取得された固有情報が「4444」であった場合、図15(b)に示すように、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393に固有情報「4444」を設定する。その後、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「4444」の紙幣の一つ前に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「3333」の紙幣が、記番号「4444」の紙幣の1つ前に第1収納庫381から排出された紙幣であるから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393に設定した固有情報「4444」の1つ前の不明紙葉類2(U2)は、記番号「3333」の紙幣であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図15(c)に示すように、装填庫情報記憶部393に固有情報「3333」を追加する。
次に、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「3333」の紙幣の一つ前に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「2222」の紙幣が、記番号「3333」の紙幣の1つ前に第1収納庫381から排出された紙幣であるから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393に設定した固有情報「3333」の1つ前の不明紙葉類2(U2)は、記番号「2222」の紙幣であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図15(d)に示すように、装填庫情報記憶部393に固有情報「2222」を追加する。
次に、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「2222」の紙幣より先に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「2222」の紙幣より先に排出された紙幣が存在しないことから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393の不明紙葉類1(U1)は、0枚の紙幣であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図15(e)に示すように、装填庫情報記憶部393の「U1」を削除する。上記により紙葉類推定4が終了する。紙葉類推定4が終了すると、読取成功時推定処理および紙葉類推定処理が終了する。
図11に戻り、前回搬送した紙幣が不明紙葉類2ではなかった場合(ステップS340:NO)、紙幣取扱制御部310は、前回搬送した紙幣が不明紙葉類3であったか否かを判定する(ステップS350)。前回搬送した紙幣が不明紙葉類3であった場合(ステップS350:YES)、紙幣取扱制御部310は、紙葉類推定5を行う(ステップS355)。前回搬送した紙幣が不明紙葉類3ではなかった場合(ステップS350:NO)、紙幣取扱制御部310は、取得した固有情報を装填庫情報記憶部393に設定するとともに、第1収納庫情報記憶部394から固有情報を削除する(ステップS360)。これにより読取成功時推定処理および紙葉類推定処理が終了する。
紙葉類推定5について説明する。図16は、紙葉類推定5を説明するための説明図である。図16(a)は、装填庫情報記憶部393に不明紙葉類3(U3)を含む固有情報および順番情報を示している。なお、図16(a)は、前回搬送した紙幣がステップS220において不明紙葉類3と判定され、装填庫情報記憶部393に「U3」が記録された状態を示している。
ステップS150において、紙幣判別部330により取得された固有情報が「5555」であった場合、図16(b)に示すように、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393に固有情報「5555」を設定する。その後、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「5555」の紙幣の一つ前に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「4444」の紙幣が、記番号「5555」の紙幣の1つ前に第1収納庫381から排出された紙幣であるから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393において、記番号「5555」の紙幣の一つ前に格納された紙幣は、記番号「4444」の紙幣であると推定する。このとき、図16(c)に示すように、装填庫情報記憶部393に固有情報「4444」を追加するとともに、設定されている不明紙葉類3(U3)を不明紙葉類2(U2)に変更する。不明紙葉類3が記番号「4444」の紙幣のみであった可能性があるためである。
次に、紙幣取扱制御部310は、第1収納庫情報記憶部394において、記番号「4444」の紙幣より先に排出されるべき紙幣を確認する。ここでは、記番号「2222」「3333」の紙幣が、記番号「4444」の紙幣より先に第1収納庫381から排出された紙幣であるから、紙幣取扱制御部310は、装填庫情報記憶部393の不明紙葉類2(U2)は、記番号「2222」「3333」の紙幣であると推定する。よって、紙幣取扱制御部310は、図16(d)に示すように、装填庫情報記憶部393に固有情報「2222」「3333」を追加する。上記により紙葉類推定5が終了する。紙葉類推定5が終了すると、読取成功時推定処理および紙葉類推定処理が終了する。
本実施例における紙幣判別部330は、特許請求の範囲における「取得部」該当する。本実施例における一時保管庫340、リジェクト庫360、装填庫370、収納庫380は、特許請求の範囲における「格納部」および「格納庫」に該当する。また、図12、図14、図16において、固有情報「2222」「3333」「4444」の紙幣は、特許請求の範囲における「第1の紙葉類」に該当し、固有情報「5555」の紙幣は、特許請求の範囲における「第2の紙葉類」に該当する。図15において、固有情報「2222」「3333」の紙幣は、特許請求の範囲における「第1の紙葉類」に該当し、固有情報「4444」の紙幣は、特許請求の範囲における「第2の紙葉類」に該当する。
以上説明した、第1の実施例に係るATM10によれば、保管庫340、370、380から排出され、紙幣判別部330により取得処理がおこなわれた紙幣の一部に、固有情報の取得ができなかった紙幣が含まれても、固有情報の取得ができなかった紙葉類の後に取得処理がおこなわれた紙幣の固有情報と、記憶部390に記憶されている固有情報および順番情報と、を用いて、固有情報の取得ができなかった紙幣の固有情報を推定するため、搬送している紙葉類から固有情報の読み取りができない場合であっても、計数処理に係る処理負担の軽減を図ることができる。
具体的には、取得処理により固有情報が取得できなかった紙幣が存在した場合であっても、固有情報の取得が成功したか否かの取得結果や、紙幣がリジェクト紙幣であるか否かの判定結果を含む情報を記憶部390に格納し、固有情報の取得ができなかった紙幣の後に固有情報の取得が成功した紙幣の固有情報を用いることにより、固有情報の取得ができなかった紙幣の固有情報を推定することができる。これにより、保管庫340、360、370、380に格納している紙幣の固有情報が特定でき、格納庫に格納している紙葉類の枚数や種類を確定させることができるなど、紙葉類取扱装置の計数処理に係る処理負担の軽減を図ることができる。
第1の実施例に係るATM10によれば、紙幣取扱制御部310は、固有情報の取得がなされた紙幣の固有情報と、記記憶部390に記憶されている固有情報および順番情報とを比較し、固有情報の取得がなされた紙幣よりも保管庫おいて先に排出されるべき紙幣の固有情報を、固有情報の取得ができなかった紙幣の固有情報と推定するため、計数処理に係る処理負担の軽減を図ることができる。具体的には、格納庫に格納している紙葉類の枚数や種類を確定させるための計数処理を行う際にリジェクト紙幣などが生じて、それぞれの格納庫に格納している紙葉類の枚数や種類が不明確な状態となった場合であっても、固有情報を推定することにより、不明確な状態の紙幣の枚数を抑制することができるため、計数処理に係る処理負担の軽減を図ることができる。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
B1.変形例1:
本実施例では、説明を簡潔にするために、紙幣判別部330により、リジェクト紙幣と判定された紙幣についても装填庫370に収納する態様で説明したが、本発明は、紙幣判別部330による判別結果に応じて異なる複数の保管庫に搬送する態様であっても実現することができる。例えば、紙幣判別部330により、リジェクト紙幣と判別されなかった紙幣のみを装填庫370に収納し、リジェクト紙幣のうち、固有情報の再取得が可能な紙幣を一時保管庫340に収納し、再取得不可能な紙幣をリジェクト庫360に収納する態様であってもよい。この場合、繰り出しにより固有情報の取得ができなかった紙幣について第1実施例に示した方法により固有情報を推定するとともに、一時保管庫340に収納されている紙幣については、再度、紙幣判別部330を経由させて装填庫370に搬送することで再度、取得処理を行うことができる。
B2.変形例2:
図17は、紙葉類推定処理の結果についての出力例を例示した説明図である。ATM10は、実施例で説明した紙葉類推定処理をおこなった後、各保管庫に収納されている紙幣の金種や枚数、固有情報等を紙などの媒体もしくはタッチパネル201に表示してもよい。
具体的には、例えば、本体制御部600は、係員操作部500から装填庫370に収納されている紙幣の情報について印字して出力する命令を受け付けると、本体制御部600から装填庫370において固有情報が判明している紙幣の枚数、固有情報が不明の紙幣の枚数、金種ごとの枚数、および、順番情報などを取得する。その後、本体制御部600は、カード明細票処理機構100を制御して、図17上側に示すように、固有情報が判明している紙幣の枚数、固有情報が不明の紙幣の枚数、金種ごとの枚数、装填庫370に収納されている紙幣の枚数、および、装填庫370に格納されている順に紙幣の金種および固有情報のリストなどを印字して出力をおこなってもよい。
また、本体制御部600は、係員操作部500から装填庫370に収納されている紙幣の情報についてタッチパネル201に表示するする命令を受け付けると、同様に、本体制御部600から装填庫370において固有情報が判明している紙幣の枚数、固有情報が不明の紙幣の枚数、金種ごとの枚数、および、順番情報などを取得する。その後、本体制御部600は、顧客操作部200を制御して、図17下側に示すように、固有情報が判明している紙幣の枚数、固有情報が不明の紙幣の枚数、金種ごとの枚数、装填庫370に収納されている紙幣の枚数、および、装填庫370に格納されている順に紙幣の金種および固有情報のリストなどをタッチパネル201に表示してもよい。このとき、本体制御部600は、特許請求の範囲における「表示制御部」に該当し、紙など印字を行うための媒体、もしくは、タッチパネル201は、特許請求の範囲における「表示媒体」に該当する。
B3.変形例3:
本実施例では、固有情報と保管庫から排出される順番との組み合わせを順番情報として説明しているが、順番情報とは、保管庫から排出される順番を表す番号を指していてもよい。例えば、図7の第1収納庫情報記憶部394に表されている「1:1111」は、「1:」が順番情報であり、「1111」が固有情報であるとしてもよい。この場合、順番情報には、固有情報が含まれていないため、固有情報を用いなくても順番情報を生成することができる。
なお、本発明は、上記以外の種々の形態で実現することが可能であり、例えば、搬送路、取得部、格納部を備える紙葉類取扱装置を用いた紙葉類取扱方法、紙葉類取扱方法または紙葉類取扱装置の機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。また、本発明に係る紙葉類取扱装置は、適宜、他の部材と組み合わせて適用することができる。