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JP5386792B2 - 粘着剤組成物及びこれを用いた粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物及びこれを用いた粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性粘着剤組成物、及び前記耐熱性粘着剤組成物を用いてなる耐熱性粘着シートに関する。詳しくは、本発明は、高温環境下においてもシートの浮きが発生せず、粘着力の変化率が小さいとともに、被着体汚染を引き起こしにくい粘着シート、及びこれに好適に用いられる粘着剤組成物に関する。より詳しくは、本発明の粘着剤組成物は、フレキシブルプリント回路基板を、その製造工程途上において一時的に補強するための裏打ち材等として使用される粘着シート形成に好適に用いられる。
フレキシブルプリント回路基板(以下、「FPC」という。)は、携帯電話、デジタルカメラを始めとして情報端末機器に用いられている。近年、それらの情報端末機器の小型化、軽量化及び高速化が進み、搭載されるFPCにも小型化、軽量化及び回路の微細加工が強く求められてきている。このような要求に対して、従来から使用されている銅箔/接着剤層/フィルム基材からなる3層タイプの銅張り積層板(以下、「3CCL」という。)も薄膜化が進むとともに、導電層/フィルム基材からなる2層の無接着剤タイプの銅張り積層板(以下、「2CCL」という。)を用い、回路の微細加工を行うことが検討されている。
これらの検討により、銅張り積層板の厚みが従来品と比べ著しく薄くなり、特に2CCLでは、従来用いられていた接着剤層を有さないため、強度が低くなり、従来の製造方法を用いるとシワ、折れスジが入り易くなる。これは製品歩留りが大幅に低下する原因となっている。FPC製造工程では、銅張り積層板の整面、レジストフィルムのラミネート、エッチング、洗浄、カバーレイのラミネートあるいはソルダーレジストインキの塗布・硬化、キュア等が行われる。これらの一連の製造工程では、積層板に強度を付与して歩留りを向上させるため、銅張り積層板のフィルム基材面に一時的に貼り合わされる、耐熱性フィルム基材上に粘着剤層を有する粘着シートからなるFPC補強用裏打ち材が従来より使用されている。
補強用裏打ち材にとっての大きな問題の一つは、カバーレイラミネート工程あるいはソルダーレジストインキ硬化工程中にかかる温度の影響を受けることが挙げられる。その温度は一般的には150〜170℃程度であり、30分〜3時間の間高温雰囲気に曝される。従来の粘着シートでは、カバーレイラミネート工程あるいはソルダーレジストインキ硬化工程中にかかる温度範囲において、粘着剤層の流動性が増し、被着体表面との親和性が高まるため、室温雰囲気に戻った際に、当初よりも粘着力が大きくなってしまい、無理にシートを剥がそうとすると被着体に折れ等の変形を生じさせたり、粘着剤層の一部が被着体上に転着してしまい、被着体を汚染し製品歩留りが低下するという欠点があった。
さらに、粘着剤層に粘着付与剤を含む粘着シートでは、上述の温度範囲において粘着付与剤が軟化点に達することで、粘着剤層の流動性が助長され、その結果、粘着力をさらに増大させてしまう懸念があり、FPC補強用裏打ち材として用いることは好ましくない。
上記の問題を解決するため、例えば、特許文献1には、アクリル系ポリマーに対して、イソシアネート樹脂及び金属キレート剤を配合して、耐熱再剥離性を付与した耐熱性微粘着剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、重量平均分子量が75万以上、酸価5以上のアクリル系粘着剤と、重量平均分子量40万未満、酸価40以上のアクリル系粘着剤とからなる粘着剤成分と、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤の中から選ばれる少なくとも1種の架橋剤との反応物である粘着体が開示されている。しかし、目視では確認できない程度の微少な被着体汚染までについては検討されておらず、耐熱再剥離性と被着体汚染性の両立という点では不十分であるという欠点があった。
また、再剥離性を付与するため、例えば表面張力の大きな液状添加剤を粘着剤層に加えると、加熱処理後の粘着力の上昇は抑制されるが、該添加剤が被着体表面に移行してしまい被着体汚染が発生する。これらの汚染物は目視では確認されない程度の微少なものであっても、補強用裏打ち材剥離後に該被着体表面に固定用の接着剤等を用いた場合、接着剤の接着力を著しく低下させるという重大な欠陥を引き起こしやすい。
上記の問題を受け、表面張力の大きな液状添加剤を粘着剤層に加えずに、加熱処理後の被着体表面汚染が無く、且つ、粘着力の上昇を抑える技術が報告されている。しかしながら、実際の積層板製造工程では、固定用の接着剤の接着力を高めるため、銅張り積層板の基材フィルム面に、例えばプラズマ処理等の易接着表面処理が施されている場合がある。そのような場合、前述の表面張力の大きな液状添加剤を粘着剤層に加えないと、補強用裏打ち材の、加熱処理後の粘着力の上昇を抑制することができていないのが現状である。
プラズマ処理等の易接着表面処理を施した被着体に対する、加熱処理後の再剥離性、及び粘着シート剥離後に使用する接着剤の接着力を確保することが出来るような優れた耐被着体汚染性について詳細に検討した報告はこれまでに無く、その両方を満足する粘着剤組成物及び粘着シートはいまだ提供されていないのが現状である。
特開2003−261849号公報 特開2003−292931号公報
本発明は、高温環境下においてもシートの浮きが発生せず、粘着力の変化率が小さいとともに、被着体汚染を引き起こしにくく、フレキシブルプリント回路基板の製造途上に使用される裏打ち材用の粘着剤として好適に用いることができる粘着剤組成物及びこれを用いてなる粘着シートを提供することを目的とする。
本発明は、重量平均分子量が45万〜150万のヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)と、イソシアネート系架橋剤(B)とを、前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)中の水酸基量に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基量が0.6〜1.6倍(モル比)となる範囲で含み、さらに、前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)及びイソシアネート系架橋剤(B)と非反応性であり、式量もしくは数平均分子量が300以上1500以下のエステル化合物(C)を3〜20重量部含む粘着剤組成物であり、前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)が下記単量体(a)、(b)を含む単量体混合物を共重合してなる共重合体であることを特徴とする粘着剤組成物に関する。
(a):ヒドロキシル基を有する、アルキル基の炭素数が4〜20のアルキル(メタ)アクリレート系単量体3〜15重量%。
(b):(a)以外のアルキル(メタ)アクリレート系単量体85〜97重量%。
〔但し、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)を構成する単量体の合計を100重量%とする。〕
また、本発明は、シート状基材及び上記発明に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着シートに関する。
さらにまた、本発明は、水の接触角が20°以上40°以下の表面状態のポリイミドフィルムに対する、160℃加熱処理後の粘着力が0.05N/25mm以上1N/25mm以下であることを特徴とする上記発明に記載の粘着シートに関する。
本発明の粘着剤組成物を用いて得られる粘着シートは、加熱処理中に被着体から浮くことがなく、しかもプラズマ処理等の易接着処理が施された被着体に適用しても粘着力が上昇しにくく、剥離時に被着体表面に粘着剤が残存しないため、被着体表面を汚染しにくい。
まず、本発明の粘着剤組成物について説明する。
本発明の粘着剤組成物に用いられるヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、45万〜150万であるが、75万〜130万であることが好ましい。ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が45万未満の場合には、架橋剤を使用しても凝集力が不足して、被着体に貼り付け後の加熱処理、熱圧処理あるいは湿熱処理により粘着力が上昇し、良好な再剥離性が得られない。また、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が150万より大きい場合には、粘着剤層の弾性が高くなりすぎ、被着体との密着性が低下し、貼り付け作業時に粘着剤層が被着体表面に十分にクリープすることができず、実用十分な粘着力が得られない。
ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)は、下記単量体(a)、(b)を含む単量体混合物を共重合してなる共重合体である。
(a):ヒドロキシル基を有する、アルキル基の炭素数が4〜20のアルキル(メタ)アクリレート系単量体3〜15重量%。
(b):(a)以外のアルキル(メタ)アクリレート系単量体85〜97重量%。
〔但し、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)を構成する単量体の合計を100重量%とする。〕
単量体(a)は、アクリル系樹脂に水酸基を導入し、粘着剤組成物に凝集力を付与するための共重合成分である。ヒドロキシル基を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体としてアルキル基の炭素数が4未満である単量体のみを使用した場合、得られる粘着剤組成物の凝集力が十分でなく、加熱処理により粘着力が上昇し、良好な再剥離性が得られない。
ヒドロキシル基を有する、アルキル基の炭素数が4〜20のアルキル(メタ)アクリレート系単量体(a)としては、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシメチルヘキシル−メタアクリレート等が挙げられるが、重合性、塗工性の観点から4−ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
これらの単量体は、単独であるいは複数組み合わせて使用することができる。単量体(a)の共重合比率は、重合に供する単量体の全量を100重量%として、3〜15重量%である。単量体(a)の共重合比率が3重量%より少ない場合には、得られる粘着剤の凝集力が低下し、加熱処理中に粘着力が上昇し、剥離が困難となる。15重量%より多い場合には、粘着力が低下し、加熱処理、熱圧処理あるいは湿熱処理中に被着体との間に浮きが生じやすくなる。
(a)以外のアルキル(メタ)アクリレート系単量体 (b)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、単量体(b)は、例えば、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スクシンイミド基、エポキシ基等のヒドロキシル基以外の反応性官能基を有していてもよい。
さらにまた、単量体(a)以外のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート系単量体を単量体(b)として用いることもできる。このような単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
単量体(b)の共重合比率は、重合に供する単量体の全量を100重量%として、85〜97重量%である。単量体(b)の共重合比率が85重量%より少ない場合には、粘着力が低下し、被着体との十分な密着性が得られない。97重量%より多い場合には、単量体(a)の共重合比率が低くなることから、粘着剤の凝集力が低下し、耐熱性、再剥離性に劣ってしまう。
また、本発明に用いられるヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)は、上記単量体(a)及び(b)と共重合可能で、且つ上記単量体(a)及び(b)以外の単量体である単量体(c)を共重合成分として含有していても良い。該単量体(c)としては、例えば、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等が挙げられる。単量体(c)の共重合比率は、重合に供する単量体の全量を100重量%として、12重量%以下の割合にて使用することができる。
単量体(a)〜(c)の共重合は、公知の任意の方法、例えば、原料の単量体100重量部に対して、0.001〜5重量部の重合開始剤を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により行うことができるが、溶液重合で行うことが好ましい。重合開始剤としては、アゾ系化合物および有機過酸化物を用いることができる。
アゾ系化合物の例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が用いられる。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃、反応時間は3〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
本発明の粘着剤組成物に用いられるイソシアネート系架橋剤(B)の配合量は、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)中の水酸基(OH)量に対して、イソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基(NCO)量がモル比で0.6〜1.6倍となる範囲であるが、0.8〜1.4倍となる範囲であることが好ましい。このような配合量でイソシアネート系架橋剤(B)を含有させることにより、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)との間で好適な三次元架橋が形成され、優れた凝集力が発現する。水酸基量に対するイソシアネート基量の比率が0.6倍未満の場合には、粘着剤層の凝集力が不足し、加熱処理により粘着力が上昇し、良好な再剥離性が得られない。また、1.6倍を超える場合には、未反応のイソシアネート系架橋剤(B)が多く存在するため、被着体との密着性が向上し、十分な再剥離性が得られない。
本発明で用いられるイソシアネート系架橋剤(B)の例としては、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、およびこれらポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられるが、耐熱性を考慮するとヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
本発明の粘着剤組成物においては、必要に応じてイソシアネート系架橋剤以外の架橋剤を併用してもよく、それらの例として、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂(A)を構成する単量体(b)として、カルボキシル基を有する単量体を用いた場合、該カルボキシル基との間で良好な三次元架橋を形成するため、イソシアネート系架橋剤(B)と併用して用いることができる。
本発明の粘着剤組成物に用いられるヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)及びイソシアネート系架橋剤(B)と非反応性のエステル化合物(C)の配合量は、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)に対して、3〜20重量部となる範囲であるが、5〜15重量部となる範囲であることが好ましい。このような配合量でエステル化合物(C)を含有させることにより、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)と好適に相溶し、粘着剤層と被着体との接着力を低下させ、加熱処理後の良好な再剥離性を発現するばかりでなく、剥離後の被着体表面の汚染を防ぐことができる。エステル化合物(C)の配合量が3重量部未満の場合は、粘着剤層の接着力を十分に低下することができずに、加熱処理後、良好な再剥離性が得られない。また、配合量が20重量部を超える場合は、粘着剤層の接着力が過度に低下してしまい、実用十分な粘着力が得られず、また、被着体へ移行しやすくなることにより、被着体汚染を生じやすくなってしまう。
また、本発明で用いられるエステル化合物(C)の式量もしくは数平均分子量は、300以上1500以下の範囲である。式量もしくは数平均分子量が300以上1500以下のエステル化合物の例としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸2−エチルヘキシル、フタル酸イソノニル、フタル酸ウンデシル、フタル酸イソデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロロヘキシル等のフタル酸誘導体、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル、その他トリメリット酸と混合アルコールとのトリメリット酸エステル等のトリメリット酸誘導体、ピロメリット酸テトラ2−エチルヘキシル等のピロメッリト酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、クエン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどが挙げられるが、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)との相溶性の観点からトリメリット酸誘導体が特に好ましい。
上記のエステル化合物を、本発明で特定する範囲の量で配合した場合に、良好な耐熱再剥離性と低被着体汚染性が両立できる理由は、現在のところ不明であるが、以下のように推定することができる。
一般的に、上述のエステル化合物は可塑剤とも呼ばれるが、可塑剤の可塑化機構は、可塑剤分子の極性部分が高分子鎖の極性部分に強く配向し、高分子鎖の極性点同士の相互作用を遮断することにより高分子鎖間の間隔を広げ、分子鎖の運動を容易にすることにより、溶融温度あるいは溶融粘度の低下や柔軟性・弾性などが付与されるものと考えられている。例えば、トリメリット酸エステルは芳香環とエステル結合を含む極性部分と、メチレン鎖やメチル基等からなる非極性部分に分けられる。このような可塑剤分子中の極性部分が、高分子鎖の極性部分に強く配向して、可塑化効果が現れるものと考えられている。以上のような機構から、極性部分に比べて非極性部分が小さい構造の可塑剤では、高分子鎖の間隔を充分に広げることができず十分な可塑化効果は期待できない。一方で、非極性部分が大きすぎると可塑剤と高分子鎖の極性部分との結合力が不足し、相分離(不相溶)やブリーディングなどの問題が生じる。
上述のように、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)の極性部分、分子量等の分子構造、該ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)とイソシアネート系架橋剤(B)との架橋構造と、エステル化合物(C)の極性部分、非極性部分がそれぞれ好適な存在形態を保つことにより、本発明における粘着剤組成物が、優れた耐熱再剥離性と低被着体汚染性を発現するものと推定される。
エステル化合物の式量もしくは数平均分子量が300未満であると、粘着剤層中に保持されにくく、加熱処理中に揮発したり、粘着剤層表面へブリードアウトしやすくなり、被着体汚染を生じやすくなってしまう。一方、式量もしくは数平均分子量が1500を越えると、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)との相溶性が悪くなりやすく、粘着剤層表面にブリードアウトして被着体表面を汚染しやすくなるのに加え、粘着剤層の粘着力を制御するのが困難になってしまう。
なお、本発明は、前記の推定によって限定されるものではない。
本発明の粘着剤組成物には、架橋促進剤、酸化防止剤、安定剤、有機又は無機質充填剤などを添加することができる。
次に、本発明の粘着シートについて説明する。
本発明の粘着シートは、シート状の基材上に、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着シートであり、粘着剤層をシート状の基材に積層し、さらに粘着剤層の上に剥離基材を積層したもの、あるいは、粘着剤層をシート状の基材に積層し、該基材の背面に剥離処理を施し、ロール状にしたもの等の態様がある。基材の背面の剥離処理は、シリコーン系離形剤は汚染の原因となることから、フッ素系、ワックス系、ポリエチレン系等の離形剤を用いて行うことが好ましい。
本発明に用いるシート状基材としては、耐熱性を有する樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステルエーテル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、フッ素樹脂等からなるフィルムが好適に用いられる。
シート状基材の厚みについては特に限定はされるものではないが、FPCの補強用裏打ち材として適した強度を有していることから、通常10〜200μm、好ましくは30〜150μm程度である。
本発明の粘着シートは、シート状基材上に粘着剤組成物の溶液を塗工し乾燥、硬化して積層することで製造でき、その塗工方法は特に限定されるものではなく、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーターなどを用いて行うことができる。
本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層の厚さは用途に応じて異なるが、一般に、2〜30μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲とするのがより好ましい。粘着剤層の厚さが、2μm未満では被着体とのラミネート時に充分な粘着力が得られない場合が有り、一方、30μmを超えると粘着力が高くなりすぎ、加熱処理、熱圧処理あるいは湿熱処理後の再剥離性に支障をきたすことがあるため好ましくない。
剥離基材は、例えばポリエチレンテレフタレート、2軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレン等のフィルムの少なくとも片面に離形剤層が積層されたものであり、特に限定されるものではないが、シリコーン系離形剤は汚染の原因となることから、フッ素系、ワックス系、ポリエチレン系等の離形剤が用いられているものが好ましい。
本発明の粘着シートは、例えばコロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が施された、水の接触角が20°以上40°以下のポリイミドフィルムに対する、160℃加熱処理後の粘着力が0.05N/25mm以上1N/25mm以下であることが好ましい。加熱処理後の粘着力が0.05N/25mm未満の場合は、加熱処理中に被着体との間に浮きが生じやすくなる。また、加熱処理後の粘着力が1N/25mmより大きい場合は、加熱処理後に剥離が困難となり、無理に剥がそうとすると被着体にシワ、折れスジが入ってしまい、製品の歩留り低下の原因となる。
また、本発明の粘着シートは、160℃加熱処理における粘着力保持率が、70%以上であることが好ましい。粘着力保持率の具体的な試験方法については実施例で詳しく説明するが、粘着シートと被着体とを貼り合せて160℃で加熱処理し、前記粘着シートを剥離した後の被着体に新たに微粘着シートを貼り合わせて測定された粘着力と、未処理の被着体に対する微粘着シートの粘着力とから算出される値であり、被着体汚染性の指標である。
ここに、「微粘着シート」とは、例えばポリエチレンテレフタレート等からなるシート状基材とアクリル系粘着剤層とから形成される粘着シートであって、非常に低い粘着力を発現する粘着シートのことをいう。
粘着力保持率が70%未満の場合は、加熱処理され、粘着シートが剥離された被着体表面に汚染物が付着していると判断でき、実際のFPC製造工程において、粘着シート剥離後に被着体表面に固定用の接着剤を用いる場合、接着剤の接着力が低下しやすい。一方、加熱粘着力保持率が70%以上の場合は、固定用接着剤の実用十分な接着力が得ることができる。
なお、本発明でいう「160℃加熱処理」とは、粘着シートと被着体とを貼り合わせ、160℃雰囲気下に1時間放置した後、23℃−50%RH雰囲気下で30分以上放冷することをいう。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味するものとする。
(合成例1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート37.8部、2−エチルヘキシルアクリレート37.9部、メチルアクリレート19.3部、4−ヒドロキシブチルアクリレート5.0部、アセトン150部を仕込み、攪拌しながら反応器中の空気を窒素置換し、還流するまで昇温して保持した。次いで2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.07部を加え、合計7時間反応させた。反応終了後、トルエンを250部添加して希釈して室温まで冷却し、固形分19%のアクリル系共重合体1の溶液を得た。アクリル系共重合体1の重量平均分子量は112万であった。
(合成例2〜6、8〜10)
表1に示すように、単量体(a)、単量体(b)の種類および量を変えたこと以外は、合成例1と同様にして、アクリル系共重合体2〜6及び8〜10の溶液を得た。分析値を表1に示す。なお、合成例8は、重合反応中にゲル化が過度に進行し、アクリル系共重合体の溶液を得ることができなかった。
(合成例7、11、12)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、表1に示す単量体(a)、単量体(b)、酢酸エチル100部を仕込み、攪拌しながら反応器中の空気を窒素置換し、還流するまで昇温して保持した。次いで2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.25部加え、合計8時間反応させた。反応終了後、トルエンを50部添加して希釈して室温まで冷却し、固形分40%のアクリル系共重合体7、11、12の溶液を得た。分析値を表1に示す。
表1中の、ヒドロキシル基を有する、炭素数が4〜20のアルキル(メタ)アクリレート系単量体(a)、(a)以外のアルキル(メタ)アクリレート系単量体(b)の種類の略号を以下に示す。
MA:メチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
表1中のアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)はGPCの測定でもとめたポリスチレン換算の値であり、測定条件は以下のとおりである。
装置:東ソー社製 HCL8820GPC
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHXL3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.1wt%
試料注入量:100μl
(実施例1)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の固形分100部に対して、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(住化バイエル社製「スミジュールN-3300」)を8.1部(NCO/OH比が1.2)添加し、更に、エステル化合物としてトリメリット酸オクチルエステル(「アデカサイザーC−8」旭電化工業社製、式量=547)を10部添加して良く攪拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を、コンマコーターで乾燥膜厚10μmとなるように、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥させ、粘着剤層を形成しつつ、巻き取り時に剥離基材(サンエー化研社製「RFP40(YP−9)」)を粘着剤層にラミネートして、シート状基材/粘着剤層/剥離基材からなる粘着シートを得た。この粘着シートを23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例2)
エステル化合物としてトリメリット酸n−オクチルエステル(「アデカサイザーC−880」旭電化工業社製、式量=547)を10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例3)
エステル化合物としてアジピン酸ポリエステル化合物(「アデカサイザーPN−160」 旭電化工業社製、数平均分子量=856)を10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例4)
エステル化合物としてフタル酸ポリエステル化合物(「アデカサイザーPN−77」旭電化工業社製、数平均分子量=506)を10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例5)
エステル化合物としてフタル酸ジオクチル(式量=391)を10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例6)
エステル化合物としてエポキシ化脂肪酸アルキルエステル化合物(「アデカサイザーD−178」旭電化工業社製、数平均分子量=412)を10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例7)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル系共重合体2溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例8)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル系共重合体2溶液を用いたこと以外は、実施例2と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例9)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル系共重合体2溶液を用いたこと以外は、実施例3と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例10)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル系共重合体2溶液を用いたこと以外は、実施例4と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例11)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル系共重合体2溶液を用いたこと以外は、実施例5と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例12)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル系共重合体2溶液を用いたこと以外は、実施例6と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例13)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例3で得られたアクリル系共重合体3溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例14)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例4で得られたアクリル系共重合体4溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例15)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例5で得られたアクリル系共重合体5溶液を用い、「スミジュールN-3300」の配合量を4.8部に変更した(NCO/OH比が1.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例16)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例6で得られたアクリル系共重合体6溶液を用い、「スミジュールN-3300」の配合量を11.6部に変更した(NCO/OH比が1.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例17)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例7で得られたアクリル系共重合体7溶液を用いた(NCO/OH比が1.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例18)
「スミジュールN-3300」の配合量を3.7部に変更した(NCO/OH比が0.6)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例19)
「スミジュールN-3300」の配合量を5.4部に変更した(NCO/OH比が0.8)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例20)
「スミジュールN-3300」の代わりに、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(住化バイエル社製「スミジュール HT」)13.5部(NCO/OH比が1.2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例21)
「スミジュールN-3300」の代わりに、キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(三井武田ケミカル社製「タケネート D−110N」)11.4部(NCO/OH比が1.2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例22)
「アデカサイザーC−8」の配合量を5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(実施例23)
「アデカサイザーC−8」の配合量を15部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例1)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の固形分100部に対して、架橋剤として「スミジュールN-3300」を8.1部(NCO/OH比が1.2)添加して良く攪拌し、粘着剤溶液を得た。
得られた粘着剤溶液を、コンマコーターで乾燥膜厚10μmとなるように、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥させ、粘着剤層を形成しつつ、巻き取り時に剥離基材「RFP40(YP−9)」を粘着剤層にラミネートして、シート状基材/粘着剤層/剥離基材からなる粘着シートを得た。この粘着シートを23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例2)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例9で得られたアクリル系共重合体9溶液を用い、「スミジュールN-3300」の配合量を12.5部に変更した(NCO/OH比が1.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例3)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例10で得られたアクリル系共重合体10溶液を用い、「スミジュールN-3300」の配合量を1.6部に変更した(NCO/OH比が1.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例4)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例11で得られたアクリル系共重合体11溶液を用い、「スミジュールN-3300」の配合量を17.8部に変更した(NCO/OH比が1.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例5)
合成例1で得られたアクリル系共重合体1溶液の代わりに、合成例12で得られたアクリル系共重合体12溶液を用いた(NCO/OH比が1.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例6)
「スミジュールN-3300」の配合量を1.3部に変更した(NCO/OH比が0.2)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例7)
「スミジュールN-3300」の配合量を13.4部に変更した(NCO/OH比が2.0)こと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例8)
「スミジュールN-3300」の代わりに、エポキシ系架橋剤としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(「テトラッド−X」三菱瓦斯化学社製)6.3部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例9)
エステル化合物として数平均分子量=1823のアジピン酸ポリエステル化合物(「アデカサイザーHPN−3130」旭電化工業社製)を10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例10)
エステル化合物として数平均分子量=3814のアジピン酸ポリエステル化合物(「モノサイザーW−4000」大日本インキ化学工業社製)を10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例11)
「アデカサイザーC−8」の配合量を1部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
(比較例12)
「アデカサイザーC−8」の配合量を40部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを作製し、23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。
実施例および比較例で得られた粘着シートについて、下記の方法で粘着力、粘着力保持率を評価した。結果を表2に示す。
表2中のエステル化合物の数平均分子量(Mn)はGPCの測定でもとめたポリスチレン換算の値であり、測定条件は以下のとおりである。
装置:昭和電工社製 Showdex GPC−101
カラム:昭和電工社製 Showdex KF−806L2本、KF−804L、KF−802各1本、計4本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.00ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.1wt%
試料注入量:200μl
(1)粘着力
1)初期粘着力
各試料を幅25mm、長さ220mmの大きさに裁断して剥離基材を剥がし、水の接触角が35°の表面状態の、プラズマ処理を施したポリイミドフィルム(「カプトン100H」東レ・デュポン社製)を被着体として、JIS Z0237に則り23℃50RH%雰囲気中で貼り付け、重さ2kgのゴムロールを1往復して圧着しテストピースとした。
20分放置後、試料貼り合せ面を引裂くように引張速度300mm/分で剥離試験を行って測定した。
2)加熱処理後
各試料を幅25mm、長さ220mmの大きさに裁断して剥離基材を剥がし、水の接触角が35°の表面状態の、プラズマ処理を施したポリイミドフィルム(「カプトン100H」)を被着体として、JIS Z0237に則り23℃50RH%雰囲気中で貼り付け、重さ2kgのゴムロールを1往復して圧着しテストピースとした。
テストピースを160℃オーブン中で1時間加熱した後、23℃50%RH雰囲気下で30分以上放置し、試料貼り合せ面を引裂くように引張速度300mm/分で剥離試験を行って測定した。
(2)粘着力保持率
各試料を幅30mm、長さ250mmの大きさに裁断して剥離紙を剥がし、水の接触角が35°の表面状態である、プラズマ処理を施したポリイミドフィルム(「カプトン100H」)に、JIS Z0237に則り23℃50RH%雰囲気中で貼り付け、重さ2kgのゴムロールを1往復して圧着し、160℃オーブン中で1時間加熱した後、23℃50%RH雰囲気下で30分以上放置し、試料貼り合せ面を引裂くように剥離し た。
粘着シートが剥離された被着体面上に、幅25mm、長さ220mmに裁断した微粘着テープを23℃50RH%雰囲気中で新たに貼り付け、重さ2kgのゴムロールを1往復して圧着しテストピースとした。20分放置後、試料貼り合せ面を引裂くように引張速度300mm/分で剥離試験を行って粘着力(粘着力A)を測定した。
また、これとは別に、上記微粘着テープを幅25mm、長さ220mmの大きさに裁断し、水の接触角が35°の表面状態である、プラズマ処理を施したポリイミドフィルム(「カプトン100H」)に、JIS Z0237に則り23℃50RH%雰囲気中で貼り付け、重さ2kgのゴムロールを1往復して圧着しテストピースとした。20分放置後、試料貼り合せ面を引裂くように引張速度300mm/分で剥離試験を行って粘着力(粘着力B)を測定した。
上記条件で測定した粘着力Aおよび粘着力Bを用いて、下記計算式[I]で粘着力保持率を算出した。
粘着力保持率(%)=(粘着力A/粘着力B)×100 [I]
Figure 0005386792
Figure 0005386792
本発明により、加熱処理後、被着体表面の汚染が極めて少ない低汚染性耐熱粘着剤組成物及びそれを用いた粘着シートを得ることができる。

Claims (3)

  1. 重量平均分子量が45万〜150万のヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)と、イソシアネート系架橋剤(B)とを、前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)中の水酸基量に対するイソシアネート系架橋剤(B)中のイソシアネート基量が0.6〜1.6倍(モル比)となる範囲で含み、さらに、前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)及びイソシアネート系架橋剤(B)と非反応性であり、式量もしくは数平均分子量が300以上1500以下のエステル化合物である可塑剤を3〜20重量部含む粘着剤組成物であり、
    前記エステル化合物である可塑剤が、フタル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメッリト酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、クエン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体およびエポキシ誘導体からなる群より選択されるいずれかであって、
    前記ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)が下記単量体(a)、(b)を含む単量体混合物を共重合してなる共重合体であることを特徴とする粘着剤組成物。
    (a):ヒドロキシル基を有する、アルキル基の炭素数が4〜20のアルキル(メタ)アクリレート系単量体3〜15重量%。
    (b):(a)以外のアルキル(メタ)アクリレート系単量体85〜97重量%。
    〔但し、ヒドロキシル基含有アクリル系樹脂(A)を構成する単量体の合計を100重量%とする。〕
  2. シート状基材及び請求項1に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着シート。
  3. 水の接触角が20°以上40°以下の表面状態のポリイミドフィルムに対する、160℃加熱処理後の粘着力が0.05N/25mm以上1N/25mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の粘着シート。
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