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JP5382310B2 - 被膜形成用塗布液、その製造方法、その被膜、及び反射防止材 - Google Patents

被膜形成用塗布液、その製造方法、その被膜、及び反射防止材 Download PDF

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Description

本発明は、ポリシロキサンを含有する被膜形成用塗布液、その製造方法、該塗布液から形成される被膜、及びその被膜を有する反射防止材に関する。
従来、基材の表面に、該基材の屈折率よりも小さい低屈折率を有する被膜を形成させると、該被膜の表面から反射する光の反射率が低下することが知られている。そして、このような低下した光反射率を示す低屈折率被膜は、光反射防止膜として利用され、種々の基材表面に適用されている。
例えば、特許文献1には、Mg源としてのマグネシウム塩やアルコキシマグネシウム化合物などと、F源としてのフッ化物塩とを反応させて生成させたMgF2微粒子のアルコール分散液、又はこれに膜強度向上のためにテトラアルコキシシランなどを加えた液を塗布液とし、これをガラス基材上に塗布し、温度100〜500℃で熱処理し、基材上に低屈折率を示す反射防止膜を形成させる方法が開示されている。
また、特許文献2には、テトラアルコキシシランなどの加水分解重縮合物であって、平均分子量の異なる2種以上とアルコールなどの溶剤とを混合してコーティング液となし、該コーティング液から被膜を形成するに当たって上記混合の際の混合割合、相対湿度のコントロールなどの手段を加えて被膜を作製することが開示されている。被膜は250℃以上の温度で加熱することに得られ、1.21〜1.40の屈折率を示し、50〜200nmの径を有するマイクロピット又は凹凸を有する厚さ60〜160nmを有する。被膜はガラス基板上に形成され低反射ガラスが製造されている。
また、特許文献3には、ガラスと、その表面に形成させた高屈折率を有する下層膜と、更にその表面に形成させた低屈折率を有する上層膜とからなる低反射率ガラスが開示されている。上層膜の形成は、CF3(CF2224Si(OCH33などポリフルオロカーボン鎖を有する含フッ素シリコーン化合物と、これに対し5〜90質量%のSi(OCH34などシランカップリング剤とを、アルコール溶媒中、酢酸など触媒の存在下に室温で加水分解させた後、濾過することにより調製された共縮合体の液を上記下層膜上に塗布し、温度120〜250℃で加熱する方法で行なわれている。
さらに、特許文献4には、Si(OR)4で示されるケイ素化合物と、CF3(CF2nCH2CH2Si(OR13で示されるケイ素化合物と、R2CH2OHで示されるアルコールと、蓚酸とを特定比率に含有する反応混合物を水の不存在下に温度40〜180℃で加熱することによりポリシロキサンの溶液を生成させて塗布液が開示されている。この塗布液を基材表面に塗布し、温度80〜450℃で熱硬化させることにより、1.28〜1.38の屈折率と90〜115度の水接触角を有する被膜が形成されている。
特開平05−105424号公報 特開平06−157076号公報 特開昭61−010043号公報 特開平09−208898号公報
上記のような反射防止膜は、各種表示装置等に用いられているが、近年、液晶やプラズマなどの表示装置の大型化、軽量化や薄型化が進む中、これに使用される反射防止基材、特に反射防止フィルムは、軽量化や高透明化などの目的からフィルム厚を薄くする傾向にあり、熱によって受けるダメージが大きくなることが問題となっている。そのため、フィルムがダメージを受けない程度の低温処理で反射防止基材を得ることが可能な比較的低温で硬化する熱硬化型の被膜形成用塗布液への要望が以前にも増して望まれていた。しかしながら、上記のごとき従来の低屈折率被膜の硬化温度は、必ずしも充分に低いものでなく、硬化温度をさらに低めることが望まれている。
かくして、本発明の目的は、保存安定性に優れ、低温度の加熱処理で充分に硬化し、低屈折率で耐擦傷性に優れた被膜を形成できる塗布液、その効率的な製造方法、該塗布液から得られる被膜、及び該被膜を使用する反射防止用途を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下に記載するとおりである。
1.フッ素原子を有する有機基を持つポリシロキサンであるポリシロキサン(A)とモノアミン化合物(C)とを含有し、さらに、無機酸又は有機酸が、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、0.01〜2.5モル含有され、それらが有機溶媒(D)に溶解されている被膜形成用塗布液。
2.式(1)で表されるポリシロキサン(B)を更に含有する、上記1に記載の被膜形成用塗布液。
Figure 0005382310
(R 、R 、R 及びR はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の飽和炭化水素基を表し、nは2以上の整数を表す。)
3.ポリシロキサン(A)が、式(2)で表されるアルコキシシランを含むアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである上記1または2に記載の被膜形成用塗布液。
Figure 0005382310

(Rはフッ素原子を有する有機基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表す。)
4.ポリシロキサン(A)が、式(3)で表されるアルコキシシランの少なくとも1種を併用し、重縮合して得られるポリシロキサンである上記1〜3のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
Figure 0005382310

(Rは水素原子、又はフッ素原子を有しない炭素数1〜20の有機基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基であり、mは0〜3の整数を表す。)
5.ポリシロキサン(A)のフッ素原子を有する有機基が、パーフルオロアルキル基である上記1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
6.ポリシロキサン(A)が、それが有するケイ素原子の合計量1モルに対してフッ素原子を有する有機基が0.05〜0.4モルである上記1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
7.モノアミン化合物(C)が、脂肪族アミン及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
8.ポリシロキサン(A)又は、ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)の全ケイ素原子の合計量を二酸化ケイ素に換算した値が、塗布液中、0.5〜15質量%である上記1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
9.ポリシロキサン(B)が、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の1モルに対し、ポリシロキサン(B)の全ケイ素原子が0.05〜0.55モル含有される上記のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
10.モノアミン化合物(C)が、ポリシロキサン(A)又は、ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、モノアミン化合物(C)におけるアミノ基由来の窒素原子が0.01〜0.2モル含有される上記1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
11.上記1〜10のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液を加熱硬化して得られる低屈折率被膜。
12.上記11に記載の低屈折率被膜が、より高い屈折率を有する基材の表面上に形成された反射防止材。
13.上記1〜12のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度20〜100℃で10秒間〜6分間乾燥した後に、温度20〜70°Cで硬化することを特徴とする低屈折率被膜の形成方法。
14.無機酸又は有機酸が、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、0.01〜2.5モル含有されたポリシロキサン(A)の有機溶媒の溶液と、モノアミン化合物(C)と、有機溶媒(D)と、を混合する上記1〜10のうちのいずれか一項
に記載の被膜形成用塗布液の製造方法。
15.無機酸又は有機酸が、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、0.01〜2.5モル含有されたポリシロキサン(A)の有機溶媒の溶液と、ポリシロキサン(B)と、モノアミン化合物(C)と、有機溶媒(D)と、を混合する上記2〜10のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液の製造方法。
16.ポリシロキサン(A)の有機溶媒の溶液が、式(2)で表されるアルコキシシランを含むアルコキシシランと酸とを有機溶媒(D)中で加熱して得られ、かつ上記酸の量が、上記アルコキシシランの全アルコキシ基量の1モルに対し、0.2〜2モルの範囲で得られるポリシロキサンの溶液である上記14または15に記載の被膜形成用塗布液の製造方法。
本発明の被膜形成用塗布液は、保存安定性に優れ、例えば、温度20〜70°Cという低温の熱処理で充分に硬化し且つ低屈折率で耐擦傷性に優れる被膜を提供できる。
そして、本発明の被膜形成用塗布液から得られる被膜は、反射防止フィルムなどの反射防止材に好適に用いることができる。
本発明において、上記塗布液から形成される被膜が何故に上記の優れた特性を有するかのメカニズムについては必ずしも明らかではないが次のように推定される。本発明では、塗布液中に、含フッ素系ポリシロキサン(A)と、炭化水素系ポリシロキサン(B)及びモノアミン化合物(C)の少なくとも一方と、を組合わせて含有させることが必要である。後の実施例及び比較例において例証されるように、上記の各成分がそれぞれが単独で含有される塗布液の場合には、保存安定性に優れ、低温度で熱硬化し、低屈折率で耐擦傷性に優れる被膜は得られない。本発明では、特に、含フッ素系ポリシロキサン(A)と、炭化水素系リシロキサン(B)と、モノアミン化合物(C)とを含有する塗布液の場合は、上記いずれの特性の点においても優れた硬化被膜を得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の被膜形成用塗布液(本発明では、単に、塗布液とも言う)は、フッ素原子を有する有機基を持つポリシロキサンであるポリシロキサン(A)とモノアミン化合物(C)とを含有し、さらに、無機酸又は有機酸を、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、0.01〜2.5モル含有し、それらが有機溶媒(D)に溶解されている被膜形成用塗布液である。
式(2)で表されるアルコキシシランは、被膜に撥水性をも付与するものである。ここで、式(2)のRは、フッ素原子を有する有機基を表すが、フッ素原子を有する有機基であれば特に限定されない。通常、Rは、水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されたアルキル基や水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子で置換されたエーテル結合を含むアルキル基などが好ましい。この有機基が有するフッ素原子の数も特に限定されない。
は、フッ素原子を有する有機基であり、その炭素数が好ましくは1〜20、より好ましくは3〜10、特に好ましくは3〜8の有機基である。このようなアルコキシシランは、入手し易いので好ましい。
また、式(2)において、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表し、特に飽和炭化水素基が好ましい。なかでもメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの低級アルキル基の場合、市販品として入手し易いので好ましい。式(2)で表されるアルコキシシランとして、複数のものを使用した場合、それらのRは同一でもそれぞれ異なっていてもよい。
本発明においては、式(2)で表されるアルコキシシランのなかでも、Rが式(4)で表される有機基であるアルコキシシランが好ましい。
Figure 0005382310
(kは0〜12の整数を表す。)
このようなRが、式(4)で表される有機基であるアルコキシシランの具体例として、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
本発明において、式(2)で表されるアルコキシシランのうちの少なくとも1種を用いればよいが、必要に応じて複数種を用いてもよい。
また、本発明で用いるポリシロキサン(A)は、式(2)で表されるアルコキシシランと式(3)で表されるアルコキシシランを併用して得ることもできる。その際、式(3)で表されるアルコキシシランを複数種用いてもよい。
Figure 0005382310
(Rは、水素原子、又はフッ素原子を有しない炭素数1〜20の有機基であり、Rは、それぞれ炭素数1〜5の炭化水素基であり、mは0〜3の整数を表す。)
式(3)において、Rは、炭化水素基を表すが、炭素数が少ない方が反応性が高いので、炭素数1〜5の飽和炭化水素基が好ましい。より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基である。
式(3)においてm=0の場合、式(3)で表されるアルコキシシランは、テトラアルコキシシランを表す。その具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられ、市販品として容易に入手可能である。
式(3)においてm=1〜3の整数の場合、式(3)で表されるアルコキシシランは、Rが水素原子又はフッ素原子を有しない炭素数1〜20、好ましくは1〜10の有機基と、アルコキシ基を有するアルコキシシランである。本発明において、Rは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。
フッ素原子を有しない炭素数1〜20の有機基としては、直鎖状又は分岐構造を有する飽和炭化水素基、ベンゼン環を有する芳香族基、グリシジル基、アミノ基、ウレイド基若しくはビニル基などを有する有機基、又は、エーテル結合やエステル結合を有する有機基などが挙げられる。
式(3)のRは、炭素数1〜5の炭化水素基である。mが1又は2の場合、一般的にはRが同一の場合が好ましいが、本発明においては、Rは同一でも、それぞれ異なっていてもよい。このような式(3)のm=1〜3の整数の場合の、アルコキシシランの具体例を以下に示す。
例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン、及びジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン、及びトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどのトリアルキルアルコキシシランなどが挙げられる。
本発明で用いるポリシロキサン(A)は、式(2)で表されるアルコキシシランを全アルコキシシラン中の好ましくは5〜40モル%含むアルコキシシランを重縮合して得られる。被膜の反射率をより低下させる場合には10〜40モル%が好ましく、また、被膜の硬度をより高める場合には5〜25モル%が好ましい。その際、併用する式(3)で表されるアルコキシシランの量は、全アルコキシシラン中の60〜95モル%が好ましく、換言すると、式(2)で表されるアルコキシシランの1モルに対して、1.5〜19モルが好ましい。
また、式(3)のアルコキシシランとして、mが0であるアルコキシシランを含有する場合、特に、mが0であるアルコキシシラン単独又は式(3)のmが0であるアルコキシシランとmが1〜3であるアルコキシシランとを併用する場合、塗布液の保存安定性が向上するため好ましい。その際、mが0であるアルコキシシランの量は、全アルコキシシラン中の20〜95モル%が好ましく、特に被膜の反射率をより低下させる場合には20〜90モル%がより好ましい。
かくして、本発明における、式(2)及び式(3)で表されるアルコキシシランを使用したポリシロキサン(A)の好ましい例は以下の〔1〕〜〔4〕のとおりである。
[1]:式(2)で表されるアルコキシシラン5〜40モル%及び式(3)で表されるアルコキシシラン60〜95モル%を重縮合して得られるポリシロキサン(A)。
[2]:式(2)で表されるアルコキシシラン5〜40モル%及び式(3)のmが0で表されるアルコキシシラン20〜95モル%を含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン(A)。
[3]:式(2)で表されるアルコキシシラン5〜25モル%及び式(3)のmが0で表されるアルコキシシラン20〜95モル%を含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン(A)。
[4]:式(2)で表されるアルコキシシラン10〜40モル%及び式(3)のmが0で表されるアルコキシシラン20〜90モル%を含有するアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサン(A)。
ポリシロキサン(A)を得る方法として、例えば、式(2)で表されるアルコキシシランと、式(3)のmが0であるアルコキシシランと、必要に応じて式(3)のmが1〜3のうちの少なくとも一種のアルコキシシランと、有機溶媒とを蓚酸の存在下に加熱して重縮合する方法が挙げられる。具体的には、予め、アルコールに蓚酸を加えて蓚酸のアルコール溶液とした後、該溶液を加熱した状態で、上記の各種のアルコキシシランを混合する方法である。
上記蓚酸の存在量は、使用するアルコキシシランが有する全アルコキシ基量の1モルに対し、好ましくは0.2〜2モルとされる。上記加熱は、液温が好ましくは0〜180℃で行うことができ、また、液の蒸発、揮散などが起こらないように、好ましくは、還流管を備え付けた容器中の還流下で数十分〜十数時間行われる。
アルコキシシランを複数種用いる場合は、アルコキシシランを予め混合した混合物として混合してもよいし、複数種のアルコキシシランを順次混合してもよい。
アルコキシシランを重縮合する際には、仕込んだアルコキシシランの全ケイ素原子を酸化物に換算した濃度(以下、SiO換算濃度と称す。)が、20質量%以下、特に好ましくは4〜15質量%の範囲で加熱されることが好ましい。このような濃度範囲で任意の濃度を選択することにより、ゲルの生成を抑え、均質なポリシロキサン含有溶液を得ることができる。
アルコキシシランを重縮合する際に用いられる有機溶媒(以下、重合溶媒とも言う。)は、式(2)及び式(3)で表されるアルコキシシランを溶解するものであれば特に限定されないが、有機溶媒(D)の使用が好ましい。なかでも、アルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが生成するため、アルコール類やアルコール類と相溶性の良好な有機溶媒が用いられる。
上記の重合溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテルなどが挙げられる。
本発明においては、上記の有機溶媒を複数種混合して用いてもよい。
本発明の塗布液には、(1)で表される少なくとも1種のポリシロキサンであるポリシロキサン(B)が好ましくは含有される。
Figure 0005382310
(R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の飽和炭化水素基を表し、nは2以上、好ましくは2〜50の整数を表す。)
式(1)においてR、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の飽和炭化水素基を表すが、炭素数1〜5の飽和炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
ポリシロキサン(B)は、式(1)で表される少なくとも1種であるポリシロキサンであれば特に限定されない。即ち、式(1)で表されるポリシロキサンの複数種が混合したものでもよい。その場合、nが2以上の整数であることが好ましく、より好ましくは3〜50の整数である。更に好ましくは、4〜30である。
本発明に用いるポリシロキサン(B)を得る方法は特に限定されないが、例えば、テトラアルコキシシランをアルコール溶媒中で重縮合する方法で得ることができる。その際、重縮合は、部分加水分解又は完全加水分解し、それを縮合反応させる方法のいずれであってもよい。完全加水分解の場合は、理論上、テトラアルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5倍モルの水を加えればよいが、通常は0.5倍モルより過剰量の水を加える。
このようなテトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられ、市販品として容易に入手可能である。
本発明においては、上記反応に用いる水の量は、所望により適宜選択することができるが、通常、テトラアルコキシシラン中の全アルコキシ基の好ましくは0.5〜2.5倍モルである。
また、通常、加水分解・縮合反応を促進する目的で、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、フッ酸などの無機酸若しくはその金属塩;酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸などの有機酸;アンモニアなどのアルカリ;などの触媒が用いられる。また、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することで、更に、重縮合を促進させることも一般的である。その際、加熱温度及び加熱時間は所望により適宜選択でき、例えば、室温〜100℃で0.5〜48時間加熱・撹拌したり、還流下で0.5〜48時間加熱・撹拌するなどの方法が挙げられる。
テトラアルコキシシランを重縮合する際に用いられる溶媒は、テトラアルコキシシランを溶解するものであれば特に限定されないが、有機溶媒(D)の使用が好ましい。なかでも、テトラアルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが生成するため、アルコール類やアルコール類と相溶性の良好な有機溶媒が用いられる。
上記で使用する有機溶媒(D)の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテルなどが挙げられる。本発明においては、上記の有機溶媒(D)を複数種混合して用いてもよい。
上記のようにして得られるポリシロキサン(B)の溶液は、SiO換算濃度を30質量%以下、好ましくは3〜20質量%とするのが好ましい。この濃度範囲において任意の濃度を選択することにより、ゲルの生成を抑え、均質な溶液を得ることができる。
本発明において、このようなポリシロキサン(B)を用いる場合、ポリシロキサン(B)の塗布液中における含有量は、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子を二酸化ケイ素に換算した質量の1に対し、ポリシロキサン(B)の全ケイ素原子を二酸化ケイ素に換算した質量が0.03〜0.55、好ましくは0.05〜0.55、より好ましくは0.05〜0.45であるのが好適である。
換言すると、ポリシロキサン(B)の塗布液中における含有量は、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の1モルに対し、ポリシロキサン(B)の全ケイ素原子が0.03〜0.55モル、好ましくは0.05〜0.55モル、より好ましくは0.05〜0.45モルである。
<モノアミン化合物(C)>
本発明の塗布液に含有されるモノアミン化合物(C)は、急激なゲル化を引き起こすことなく、塗膜中に残存したアルコキシ基の重縮合を促進して、低温下においても塗膜の硬化を進行させることに寄与する。
モノアミン化合物(C)としては、炭素数が好ましくは1〜22の脂肪族アミン、炭素数が好ましくは1〜10のアルカノールアミン、又は芳香族(アリールアミン)などが挙げられる。
脂肪族アミンの具体例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、シクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
アルカノールアミンの具体例として、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミンなどが挙げられる。アリールアミンの具体例として、アニリン、N−メチルアニリン、ベンジルアミンなどが挙げられる。
モノアミン化合物(C)として、なかでも、炭素数が1〜22の脂肪族アミン又は炭素数が1〜10アルカノールアミンが好ましい。より好ましくは、エチルアミン、N,N−ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンである。本発明においては、モノアミン化合物を複数種用いてもよい。
本発明の塗布液中におけるモノアミン化合物(C)の含有量は、塗布液がポリシロキサン(A)を単独含有する場合、又はポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)とを含有する場合のいずれにおいても、全ケイ素原子の合計量の1モルに対し、モノアミン化合物(C)におけるアミノ基由来の窒素原子が0.01〜0.2モル、より好ましくは0.03〜0.1モルになるようにするのが好ましい。
モノアミン化合物(C)が0.01モル以上の場合、低温で硬化し易いので好ましい。また、モノアミン化合物(C)におけるアミノ基由来の窒素原子が0.20モル以下の場合、被膜が透明で、ムラがなく、高い被膜の硬度を得易いので好ましい。
<有機溶媒(D)>
本発明の塗布液に含有される有機溶媒(D)は、ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)、及び、モノアミン化合物(C)を溶解するものである限りいずれのものも使用できる。
かかる有機溶媒(D)の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどの脂肪族アルコール類;シクロペンチルアルココール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール;ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、乳酸エチルエステルなどのエステル類などが挙げられる。これらの単独、又は複数の有機溶媒が併用される。
なかでも、炭素数が好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4のアルコール及び炭素数が好ましくは3〜10、より好ましくは3〜7のグリコールエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の使用が好ましい。
<酸成分>
本発明の被膜形成用塗布液には、ポリシロキサン(A)とモノアミン化合物(C)を併用する場合又はポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)及びモノアミン化合物(C)を併用する場合のいずれにおいても、酸成分を含有させることができる。この酸成分は、被膜形成用塗布液製造時にゲルの生成を抑制すること、被膜形成用塗布液の保存安定性を向上することができる。
ここで使用される酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸又は蟻酸、酢酸、リンゴ酸、蓚酸、クエン酸、プロピオン酸、コハク酸などの有機酸が好ましい。酸を含有させる場合、酸を塗布液に直接添加してもよいが、有機溶媒(D)や水に溶解した溶液として添加してもよく、また、ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)及び/又はモノアミン化合物(C)に添加するか、又はそれらの溶液に添加した態様で含有させることができる。
塗布液に対する酸の含有量は、好ましくはポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の1モルに対して、0.01〜2.5モル、特に好ましくは0.1〜2モルであるのが好適である。
<その他の成分>
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)及び/又はモノアミン化合物(C)以外のその他の成分、例えば、無機微粒子、レベリング剤、界面活性剤、水などの媒体が含有されていてもよい。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子及びフッ化マグネシウム微粒子などの微粒子が好ましく、コロイド溶液のものが特に好ましい。このコロイド溶液は、無機微粒子粉を分散媒に分散したものでもよいし、市販品のコロイド溶液であってもよい。本発明においては、無機微粒子を含有させることにより、形成される硬化被膜の表面形状やその他の機能を付与することが可能となる。無機微粒子としては、その平均粒子径が0.001〜0.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.001〜0.1μmとされる。無機微粒子の平均粒子径が0.2μmを超える場合には、調製される塗布液によって形成される硬化被膜の透明性が低下する場合がある。
無機微粒子の分散媒としては、水及び有機溶剤を挙げることができる。コロイド溶液としては、被膜形成用塗布液の安定性の観点から、pH又はpKaが2〜10に調整されていることが好ましい。より好ましくは3〜7である。
コロイド溶液の分散媒に用いる有機溶剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエ−テル類を挙げることができる。これらのなかで、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して分散媒として使用することができる。
また、レベリング剤及び界面活性剤などは、公知のものを用いることができ、特に市販品は入手が容易なので好ましい。
<被膜形成用塗布液>
本発明の被膜形成用塗布液は、ポリシロキサン(A)と、ポリシロキサン(B)及びモノアミン化合物(C)のうちの少なくとも一方とを含有し、それらが有機溶媒(D)に溶解した溶液である。本発明においては、この被膜形成用塗布液が得られる限り、その調製方法は特に限定されない。例えば、上記の各成分を使用する有機溶媒(D)中に順次、添加し混合してもよい。この場合、各成分の添加順序は特に限定されない。また、各成分をそれぞれ使用する有機溶媒(D)中に溶解した溶液を混合してもよい。
また、ポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)は、有機溶媒中で重縮合し、溶液の状態で得ることができる。従って、例えば、ポリシロキサン(A)を合成したポリシロキサン(A)を含む溶液を、ポリシロキサン(B)を合成したポリシロキサン(B)を含む溶液及び/又はモノアミン化合物(C)と混合する方法が簡便である。
また、必要に応じて、ポリシロキサン(A)の溶液を、濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり又は他の溶媒に置換してから、ポリシロキサン(B)の溶液及び/又はモノアミン化合物(C)と混合してもよい。更に、ポリシロキサン(A)の溶液とポリシロキサン(B)の溶液及び/又はモノアミン化合物(C)を混合した後に、有機溶媒(D)を加えることもできる。その際、ポリシロキサン(B)の溶液は、必要に応じて、濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり又は他の溶媒に置換した溶液として用いてもよい。
また、上記した酸成分を塗布液中に含有させる場合は、酸はいずれの時機に添加してもよい。例えば、ポリシロキサン(A)の溶液、その濃縮液或いはその希釈液に酸を加え、その後にモノアミン化合物(C)を加える方法や、ポリシロキサン(A)の溶液、その濃縮液又はその希釈液とポリシロキサン(B)の混合溶液に酸を加え、その後モノアミン化合物(C)を加える方法等が挙げられる。また、モノアミン化合物(C)と酸を予め混合させた溶液を加え、その後ポリシロキサン(A)の溶液を加える方法等が挙げられる。
本発明の被膜形成用塗布液を調製する際、被膜形成用塗布液中のポリシロキサン(A)、又はポリシロキサン(A)及びポリシロキサン(B)が有する全ケイ素原子のSiO換算濃度は、好ましくは0.5〜15質量%であり、特に好ましくは0.5〜10質量%である。SiO換算濃度が0.5質量%より低いと、一回の塗布で所望の膜厚を得ることが難しく、一方、15質量%を超えると、溶液のポットライフがより安定しにくい。塗布液中のSiO固形分換算濃度は、溶媒を加えて希釈したり又は他の溶媒に置換することにより行うことができる。
上記ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)、モノアミン化合物(C)、酸成分、更には、塗布液の希釈や置換などに用いる溶媒は、これらの各成分や必要に応じて加えられるその他成分との相溶性を損なわない限り特に限定されず、一種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。例えば、有機溶媒(D)、なかでも、上記アルコキシシランの重縮合に用いたと同じ溶媒でもよいし、別の溶媒などが使用される。
かかる溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、乳酸エチルエステルなどのエステル類などが挙げられる。
また、前記したその他の成分を塗布液中に含有させる方法は特に限定されない。例えば、ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)及び/又はモノアミン化合物(C)のいずれかに、又はそれらの混合物中に添加してもよい。更には、ポリシロキサン(A)及び、ポリシロキサン(B)及び/又はモノアミン化合物(C)を有機溶媒(D)と混合した後に添加してもよい。
本発明において、被膜形成用塗布液の具体例を以下に挙げる。
[1]ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)とを含有し、それらが有機溶媒(D)に溶解した塗布液。
[2]ポリシロキサン(A)とモノアミン化合物(C)とを含有し、それらが有機溶媒(D)に溶解した塗布液。
[3]ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)とモノアミン化合物(C)とを含有し、それらが有機溶媒(D)に溶解した塗布液。
[4]上記[1]、[2]又は[3]に無機微粒子を含有させた塗布液。
[5]上記[4]にレベリング剤及び界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有させた塗布液。
本発明の被膜形成用塗布液中には、ポリシロキサン(A)が、該ポリシロキサン(A)の有する全ケイ素原子を二酸化ケイ素に換算した質量として、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%含有される。
そして、ポリシロキサン(B)が含有される場合、ポリシロキサン(B)の含有量は、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子をSiOに換算した質量の1に対し、ポリシロキサン(B)の全ケイ素原子をSiOに換算した質量が好ましくは0.03〜0.55、より好ましくは0.05〜0.55であることが好ましい。ポリシロキサン(B)の全ケイ素原子をSiOに換算した質量が0.55を超えると塗膜の成膜性が充分に得られなかったり、塗膜の屈折率が上昇する場合がある。
また、モノアミン化合物(C)が含有される場合、モノアミン化合物(C)が、ポリシロキサン(A)を単独含有する場合又はポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)を併用含有する場合のいずれにおいても、それぞれの有する全ケイ素原子の合計量の1モルに対し、モノアミン化合物(C)におけるアミノ基由来の窒素原子が好ましくは0.01〜0.2モル、より好ましくは0.03〜0.1モルである。モノアミン化合物(C)におけるアミノ基由来の窒素原子が0.01モル以上の場合、低温で硬化し易いので好ましい。また、0.20モル以下の場合、被膜が透明で、ムラがなく、高い被膜の硬度を得易いので好ましい。
本発明においては、ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)及びモノアミン化合物(C)を含有する被膜形成用塗布液が、耐擦傷性に優れた被膜を得やすいので好ましい。
<被膜の形成>
本発明の被膜形成用塗布液は、基材に塗布し、熱硬化することで所望の被膜を得ることができる。塗布方法は、公知又は周知の方法を採用できる。
例えば、ディップ法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法などの方法を採用できる。
基材としては、プラスチック、ガラス、セラミックスなどの基材を挙げることができ、プラスチックとしては、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、トリメチルペンテン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリロニトリル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロースなどのシートやフィルムなどが挙げられる。
基材に形成された塗膜は、例えば20〜70℃の温度でそのまま熱硬化させてもよいが、これに先立ち、温度20〜100℃で乾燥させた後、熱硬化してもよい。その際、乾燥に要する時間は、10秒間〜6分間が好ましい。熱硬化に要する時間は、所望の被膜特性に応じて適宜選択することができるが、通常、1時間〜7日間である。低い硬化温度を選択する場合は、硬化時間を長くすることで充分な耐擦傷性を有する被膜が得られ易い。
また、本発明の被膜形成用塗布液は、70℃を超える硬化温度であっても耐擦傷性に優れた被膜を得ることができる。
<反射防止材等の用途>
本発明の塗布液から形成される被膜は、屈折率が1.4以下の低屈折率で且つ耐擦傷性に優れるという特徴を有しているため、特に、反射防止用途に好適に用いることができる。
本発明の被膜を反射防止用途に使用する場合、本発明の被膜の屈折率より高い屈折率を有する基材、例えば、プラスチックフィルム基材の表面に、本発明の被膜を形成することで、この基材を容易に光反射防止能を有する基材、即ち、反射防止フィルムや反射防止ガラス等の反射防止基材に変換させることができる。本発明の被膜は、基材表面に単一の被膜として使用しても有効であるが、高屈折率を有する下層被膜の上に被膜を形成した、反射防止積層体に用いても有効である。
被膜の厚さと光の波長の関係について述べると、屈折率aを有する被膜の厚さd(nm)と、この被膜による反射率の低下を望む光の波長λ(nm)との間には、d=(2b−1)λ/4a(式中、bは1以上の整数を表す。)の関係式が成立することが知られている。従って、この式を利用して被膜の厚さを定めることにより、容易に所望の波長の光の反射を防止することができる。具体例を挙げると、波長550nmの光について、1.32の屈折率を有する被膜を形成し、ガラス表面からの反射光を防止するには、上記式のλとaにこれらの数値を代入することで最適な膜厚を算出することができる。その際、bは任意の正の整数を代入すればよい。例えば、bに1を代入することによって得られる膜厚は104nmであり、bに2を代入することによって得られる膜厚は312nmである。このようにして算出された被膜厚さを採用することによって、容易に反射防止能を付与することができる。
基材に形成する被膜の厚さは、塗布膜の膜厚によっても調節することができるが、塗布液のSiO2換算濃度を調節することによっても容易に調節することができる。
本発明の被膜は、ガラス製のブラウン管、コンピューターのディスプレイ、ガラス表面を有する鏡、ガラス製ショウケースなどの光の反射防止が望まれる分野に好適に用いることができる。更に、本発明の被膜は、指紋や油性インキが拭き取りやすいという防汚性の点で、充分な実用性を有しており、温度20〜70℃という低温処理で充分に硬化できるため、液晶、プラズマなどの表示装置やディスプレイモニター用の反射防止フィルムに特に有用である。
以下、合成例、及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記のこれらの合成例及び実施例に制限して解釈されるものではない。
本実施例における略語の説明。
TEOS:テトラエトキシシラン
GPS:γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
FS−13:トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン
MEA:モノエタノールアミン
CHA:シクロヘキシルアミン
IPA:イソプロパノール
BCS:ブチルセロソルブ
下記合成例における測定法を以下に示す。
[残存アルコキシシランモノマー測定法]
ポリシロキサン(A)の溶液中の残存アルコキシシランモノマーをガスクロマトグラフィー(以下、GCと称す。)で測定した。
GC測定は、島津製作所社製 Shimadzu GC−14Bを用い、下記の条件で測定した。
カラム:キャピラリーカラム CBP1−W25−100(長さ25m、直径0.53mm、肉厚1μm)
カラム温度:開始温度50℃〜15℃/分で昇温して到達温度290℃(保持時間3分)とした。
サンプル注入量:1μL、インジェクション温度:240℃、検出器温度:290℃、キャリヤーガス:窒素(流量30mL/分)、検出方法:FID法。
[合成例1]
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにメタノール57.26gを投入し、攪拌下に蓚酸18.01gを少量づつ添加して、蓚酸のメタノール溶液を調製した。次いでこの溶液を加熱し、還流下にTEOS(17.71g)とFS−13(7.02g)の混合物を滴下した。滴下後、5時間還流し、室温まで放冷してポリシロキサン(A)の溶液(PF−1)を調製した。このポリシロキサン(A)の溶液(PF−1)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
[合成例2〜3]
表1に示す組成で、合成例1と同様の方法でポリシロキサン(A)の溶液(PF−2〜PF−3)を得た。その際、合成例1と同様に、あらかじめ複数種のアルコキシシランを混合して用いた。
得られたポリシロキサン(A)の溶液(PF−2〜PF−3)をそれぞれGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
Figure 0005382310
[合成例4]
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにエタノール31.78gと蓚酸0.18gと純水10.80gを投入し、攪拌下にTEOS29.16gとFS−1328.08gを添加して、混合溶液を調製した。次いでこの溶液を加熱して3時間還流し、その後室温まで放冷してポリシロキサン(A)の溶液(PF−4A)を調製した。このポリシロキサン(A)の溶液(PF−4A)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
一方で、還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにエタノール81.99gと蓚酸18.01gと投入し、攪拌下に5時間加熱して酸性溶液(PF−4B)を調製した。
そして、ポリシロキサン(A)の溶液(PF−4A)50.00gと酸性溶液(PF−4B)50.00gを混合し、ポリシロキサン(A)の溶液(PF−4)を調製した。
[合成例5]
還流管を備えつけた4つ口反応フラスコにエタノール33.35gを投入し、攪拌下にTEOS34.79gを加え、次いで、蓚酸0.15gと水14.99gとエタノール16.68gを予め均一に混合した溶液を少しずつ滴下した。その後、この溶液を加熱し、還流下で1時間撹拌し、室温まで放冷してポリシロキサン(B)の溶液(PS−1)を調製した。このポリシロキサン(B)の溶液(PS−1)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
[合成例6]
ナスフラスコにエタノール48.59gを投入し、攪拌下にTEOS34.68gを加え、次いで、60%硝酸水溶液1.74gを水14.99gに加えた希釈溶液を少しずつ滴下した。その後、室温で1時間撹拌してポリシロキサン(B)の溶液(PS−2)を調製した。このポリシロキサン(B)の溶液(PS−2)をGCで測定したところ、アルコキシシランモノマーは検出されなかった。
1〜12、比較例1]
表2に示す組成で、ポリシロキサン(A)の溶液、ポリシロキサン(B)の溶液、モノアミン化合物及び溶媒を混合して被膜形成用塗布液(Q1〜Q12)を調製した。
なお、例1〜12のうち、例1〜5は、参考例であり、例6〜12が、本発明の実施例である。また、比較例においては、表2に示す組成で、ポリシロキサン(A)の溶液及び溶媒を混合して塗布液(T1)を調製した。
これらQ1〜Q12及びT1或いはそれらを用いた塗膜について、下記に示す評価を行った。
Figure 0005382310
(A)/(B)のSiモル比は、ポリシロキサン(A)のSi原子とポリシロキサン(B)のSi原子のモル比を表す。
13(実施例)]
PF−4(33.33g)、CHA0.20g、シクロヘキシルアルコール5.00g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20.00g、及びIPA41.47gの組成で混合して被膜形成用塗布液(Q13)を調製した。
Q13を用いた塗膜について、下記に示す評価を行った。
<保存安定性>
塗布液を温度25℃で1ヶ月間静置した後に、孔径0.45μm、Φ×L:18×22mmの非水系ポリテトラフルオロエチレンフィルター(倉敷紡績社製クロマトディスク13N)で100cc濾過し、濾過できるものを○、目詰まりが生じたものを×とした。
この結果を表3に示す。
<硬化膜評価>
調製した塗布液(Q1〜Q13及びT1)を、下記に示す処理を施したトリアセチルセルロース(以下、TACと称す。)フィルム(フィルム厚80μm、波長550nmにおける反射率が4.5%)にバーコーター(No.3)を用いて塗布し、塗膜を形成した。温度23℃で30秒間放置した後、クリーンオーブン中、100℃で5分間乾燥させ、次いで温度60℃で3日間硬化させた。得られた硬化被膜について、水接触角、油性ペン拭き取り性、指紋拭き取り性、密着性、反射率及び耐擦傷性を評価した。
また、屈折率は次の様にして形成した硬化膜を用いて測定した。調製した塗布液(Q1〜Q13及びT1)を、シリコンウエハー上にスピンコートして塗膜を形成した後、温度23℃で30秒間放置してから、クリーンオーブン中、100℃で5分間乾燥させ、次いで温度60℃で3日間硬化させ、膜厚が100nmの硬化被膜を得た。
これらの評価方法は下記の通りであり、評価結果は表3及び表4に示す。
[TACフィルム表面処理方法]
日本製紙社製ハードコート付きTACフィルム(フィルム厚80μm)を40℃に加熱した5質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液に3分浸漬してアルカリ処理を行った後、水洗し、次いで、0.5質量%の硫酸(H2SO4)水溶液(液温23℃)に30秒間浸漬して中和させ、水洗、乾燥した。
[水接触角]
協和界面科学社製の自動接触角計CA−Z型を使用して、純水3マイクロリットルを滴下したときの接触角を測定した。
[油性ペン拭き取り性]
硬化被膜表面に、ぺんてる社製油性ペンを用いて施されたインクを、旭化成社製ベンコットM−3を用いて拭き取り、その取り易さを目視で判定した。インクが完全に拭き取れたものを○、それ以外を×とした。
[指紋拭き取り性]
硬化被膜表面に指紋を付着させ、旭化成社製ベンコットM−3を用いて拭き取り、その取り易さを目視で判定した。指紋が完全に拭き取れたものを○、それ以外を×とした。
[密着性]
基材上の硬化被膜に1mm間隔で碁盤の目状に100点カットし、セロテープ(ニチバン社登録商標 24mm幅)を硬化被膜と強く貼り付けた後、セロテープを急激に剥がして硬化被膜の剥離の有無を目視により確認した。剥離がないものを○、剥離があるものを×とした。
[反射率]
島津製作所社製の分光光度計UV3100PCを使用して、波長550nmの光を入射角5度で硬化被膜に入射させて、反射率を測定した。
[耐擦傷性]
硬化被膜を、日本スチールウール社製スチールウール#0000を用いて、400g/cm2で10往復擦り、硬化被膜表面の傷の付き方を目視で判定した。
判定基準は以下のとおり。
A:傷無し〜5本、B:傷6〜10本、C:傷11〜20本、D:傷21本以上
[屈折率]
溝尻光学社製のエリプソメターDVA−36Lを使用して、波長633nmの光における屈折率を測定した。
Figure 0005382310
Figure 0005382310
表3及び表4に示されるように、1〜13の塗布液から得られた硬化被膜では、60℃の硬化温度で、耐擦傷性がB以上の優れた特性と、水接触角が100度以上の優れた特性が示された。
特に、本発明の実施例である、例6〜10において、ポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)及びモノアミン化合物(C)を含有する塗布液から得られた硬化被膜は、日本スチールウール社製スチールウール#0000を用いて、400g/cm2で10往復擦り、硬化被膜表面の傷の付き方を目視で判定したところ、全ての硬化被膜で耐擦傷性がAの優れた特性を示した。
そして、塗布液(Q1〜Q13)の保存安定性も良好であり、温度23℃で6ヶ月間保存後も安定であった。
更に、1〜13の塗布液から得られた硬化被膜では、1.400以下の低い屈折率と、低い反射率という特性が示された。
一方、モノアミン化合物(C)及びポリシロキサン(B)の溶液を有しない塗布液(T1)を用いた比較例1は、60℃の硬化温度では、耐擦傷性がDという不十分なものであった。
また、表3及び表4に示されたように、1〜13の塗布液から得られた硬化被膜は、指紋拭き取り性及び油性ペン拭き取り性という防汚特性に優れ、且つ基材との密着性が高いものであった。
14〜15(実施例)]
調製した塗布液Q6を、上記に記載したアルカリ処理を施したTACフィルム(フィルム厚80μm、波長550nmにおける反射率が4.5%)にバーコーター(No.3)を用いて塗布し、塗膜を形成した。温度23℃で30秒間放置した後、クリーンオーブン中、100℃で5分間乾燥させ、次いで、実施例14は温度23℃で5日間、また、実施例15は温度40℃で3日間、のそれぞれの硬化条件で硬化被膜を得た。得られた硬化被膜について、密着性、反射率及び耐擦傷性を評価した。これらの評価方法は下記の通りであり、評価結果は表5に示す。
Figure 0005382310
14及び15で示されるように、本発明の硬化膜は、硬化温度が23℃及び40℃でも耐擦傷性に優れることが示された。
[参考例]
調製した塗布液Q1を、上記に記載したアルカリ処理を施したTACフィルム(フィルム厚80μm、波長550nmにおける反射率が4.5%)にバーコーター(No.3)を用いて塗布し、塗膜を形成した。温度23℃で30秒間放置した後、クリーンオーブン中、100℃で5分間乾燥させた。そして、温度23℃まで放冷した直後に、この被膜について、実施例と同様の方法で、水接触角、油性ペン拭き取り性、指紋拭き取り性、密着性、反射率及び耐擦傷性を評価した。その結果、水接触角は100°より大きく(>100°)、油性ペン拭き取り性は○、指紋拭き取り性は○、密着性は○、反射率は1.4%、耐擦傷性は400g/cm2荷重でDであった。
本発明の被膜形成用塗布液は、保存安定性に優れ、温度20〜70°Cという低温の熱処理で充分に硬化し且つ低屈折率で耐擦傷性に優れる被膜を提供できる。そのため、特に、反射防止基材に好適に用いることができ、とりわけ、表示素子用の反射防止フィルムに好適に用いることができる。

なお、2006年3月7日に出願された日本特許出願2006−060808号並びに2006年12月28日に出願された日本特許出願2006−356192号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (16)

  1. フッ素原子を有する有機基を持つポリシロキサンであるポリシロキサン(A)とモノアミン化合物(C)とを含有し、さらに、無機酸又は有機酸を、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、0.01〜2.5モル含有し、それらが有機溶媒(D)に溶解されていることを特徴とする被膜形成用塗布液。
  2. 式(1)で表されるポリシロキサン(B)を更に含有する、請求項1に記載の被膜形成用塗布液。
    Figure 0005382310
    (R 、R 、R 及びR はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5の飽和炭化水素基を表し、nは2以上の整数を表す。)
  3. ポリシロキサン(A)が、式(2)で表されるアルコキシシランを含むアルコキシシランを重縮合して得られるポリシロキサンである請求項1または2に記載の被膜形成用塗布液。
    Figure 0005382310

    (Rはフッ素原子を有する有機基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表す。)
  4. ポリシロキサン(A)が、式(3)で表されるアルコキシシランの少なくとも1種を併用し、重縮合して得られるポリシロキサンである請求項1〜3のいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
    Figure 0005382310

    (Rは水素原子、又はフッ素原子を有しない炭素数1〜20の有機基であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基であり、mは0〜3の整数を表す。)
  5. ポリシロキサン(A)のフッ素原子を有する有機基が、パーフルオロアルキル基である請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
  6. ポリシロキサン(A)が、それが有するケイ素原子の合計量1モルに対してフッ素原子を有する有機基が0.05〜0.4モルである請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
  7. モノアミン化合物(C)が、脂肪族アミン及びアルカノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
  8. ポリシロキサン(A)又は、ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)の全ケイ素原子の合計量を二酸化ケイ素に換算した値が、塗布液中、0.5〜15質量%である請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
  9. ポリシロキサン(B)が、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の1モルに対し、ポリシロキサン(B)の全ケイ素原子が0.05〜0.55モル含有される請求項のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
  10. モノアミン化合物(C)が、ポリシロキサン(A)又は、ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、モノアミン化合物(C)におけるアミノ基由来の窒素原子が0.01〜0.2モル含有される請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液。
  11. 請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液を加熱硬化して得られる低屈折率被膜。
  12. 請求項11に記載の低屈折率被膜が、より高い屈折率を有する基材の表面上に形成された反射防止材。
  13. 請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液を基材に塗布し、温度20〜100℃で10秒間〜6分間乾燥した後に、温度20〜70°Cで硬化することを特徴とする低屈折率被膜の形成方法。
  14. 無機酸又は有機酸が、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、0.01〜2.5モル含有されたポリシロキサン(A)の有機溶媒の溶液と、モノアミン化合物(C)と、有機溶媒(D)と、を混合する請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液の製造方法。
  15. 無機酸又は有機酸が、ポリシロキサン(A)の全ケイ素原子の合計量1モルに対し、0.01〜2.5モル含有されたポリシロキサン(A)の有機溶媒の溶液と、ポリシロキサン(B)と、モノアミン化合物(C)と、有機溶媒(D)と、を混合する請求項2〜10のうちのいずれか一項に記載の被膜形成用塗布液の製造方法。
  16. ポリシロキサン(A)の有機溶媒の溶液が、式(2)で表されるアルコキシシランを含むアルコキシシランと酸とを有機溶媒(D)中で加熱して得られ、かつ上記酸の量が、上記アルコキシシランの全アルコキシ基量の1モルに対し、0.2〜2モルの範囲で得られるポリシロキサンの溶液である請求項14または15に記載の被膜形成用塗布液の製造方法。
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