JP5374038B2 - カード - Google Patents
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Description
通常は、内側にコアシートと呼ばれる2枚の白色の厚いシートを、コアシートの表裏の外側にオーバーシートと呼ばれる2枚の透明シートを配置し、オーバーシート/コアシート/コアシート/オーバーシートからなる合計4枚のシートを互いに熱融着してカードを形成している。
少なくともオーバーシート層およびコアシート層を有するカードであり、該オーバーシート層およびコアシート層から選ばれる少なくとも一層が下記のポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層からなり、マクベス濃度計によって計測したマクベス濃度が1.0〜5.0であることを特徴とするカード。
ポリエステル樹脂(A):ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であって、少なくとも前記ジオール構成単位の10〜60モル%が下記式(1)または(2)で表される環状アセタール骨格を有するジオールに由来する単位であるポリエステル樹脂。
一般式(1)及び(2)の化合物としては3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンが特に好ましい。
コアシートを2枚使用するのは、カードには表面側と裏面側の印刷があり、1枚にすると、通常、ロスが増えることから両面印刷を採用しないか、表裏の印刷色数が異なるため、2枚にして表裏を分けて印刷するのが合理的であることによるが、1枚のコアシートに両面印刷するものであっても勿論構わない。あるいは、このコアシートと隠蔽層、絵柄層、OPニスを印刷したオーバーシートの積層体を一緒に重ねて鏡面板に挟んで熱圧プレスするものでもよい。
・ PETG:イーストマンケミカル(株)製、商品名:PETG6763
・ ポリエチレンテレフタレート(PET):日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET RT553C
・ ポリカーボネート(PC):三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロンH−3000
・ ブレンド樹脂(B):下記ポリエステル樹脂(A1)とPCとを80:20(重量比)にてドライブレンドし二軸押出機にて溶融混練しペレット化した(ブレンド樹脂(B)。
・ ブレンド樹脂(C):下記ポリエステル樹脂(A1)とPCとを50:50(重量比)にてドライブレンドし二軸押出機にて溶融混練しペレット化した(ブレンド樹脂(C)。
・ ブレンド樹脂(D):下記ポリエステル樹脂(A1)とPCとを30:70(重量比)にてドライブレンドし二軸押出機にて溶融混練しペレット化した(ブレンド樹脂(D)。
・ ブレンド樹脂(E):PETGとPCとを60:40(重量比)にてドライブレンドし二軸押出機にて溶融混練しペレット化した(ブレンド樹脂(E))
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、攪拌機、過熱装置、窒素導入管を備えた150リットルのポリエステル樹脂製造装置に表1に記載量のテレフタル酸とエチレングリコールを仕込み、常法にてエステル化反応を行った。得られたエステルに表1に記載量の解重合用エチレングリコールと、二酸化ゲルマニウムを加え、225℃、窒素気流下で解重合を行なった。生成する水を留去しつつ3時間反応を行った後、215℃、13.3kPaでエチレングリコールを留去した。得られたエステルに表1に記載量のテトラ−n−ブチルチタネート、酢酸カリウム、リン酸トリエチル、SPGを添加し、225℃13.3kPaで3時間反応を行った。得られたエステルを昇温、減圧し、最終的に270℃、高真空化(300Pa以下)で重縮合反応を行い、所定の溶融粘度となったところで反応を終了しポリエステル樹脂(A1)、(A2)を得た。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
・PTA:テレフタル酸
・SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエテチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
・EG:エチレングリコール
・GeO2:二酸化ゲルマニウム
・TBT:テトラ−n−ブチルチタネート
・AcOK:酢酸カリウム
・TEP:リン酸トリエチル
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は、ポリエスエル樹脂20mgを1gの重クロロホルムに溶解し、1H−NMR測定、ピーク面積比から算出した。測定装置は日本電子(株)製JNM−AL400を用い、400MHzで測定した。
(2)ガラス転移温度
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度20℃/minで測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)分子量(数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mn)
ポリエステル樹脂2mgを20gのクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで検量したものをMn、Mw/Mnとした。GPCは東ソー株式会社製TOSOH 8020に東ソー株式会社製カラムGMHHR−Lを2本、TSK G5000HRを1本接続し、カラム温度40℃で測定した。溶離液はクロロホルムを1.0ml/mnの流速で流し、UV検出器で測定した。
(4)溶融粘度
測定装置は東洋精機製 Capirograph 1C(キャピログラフ)を用い、温度:240℃、予熱時間:1min、ノズル径:1mm、ノズル長:10mm、剪断速度:100(1/sec)で測定を行った。
ポリエステル樹脂(A1)、ブレンド樹脂(B)、(C)、(D)、PETG、PETそれぞれ100重量部に対して酸化チタン10重量部をドライブレンドし、65mm押出機を用いてTダイ押出法にて0.3mm、又は0.5mm厚のコアシートを作製した。また、同様にポリエステル樹脂(A1)、(A2)、PETG、ブレンド樹脂(E)を用いて0.1mm、又は0.15mm厚のオーバーシートを製造した。
コアシートを2枚重ねた上下にオーバーシートを表裏それぞれに1枚ずつ重ね、プレス機を用いて110℃、10kgf/cm2、加熱時間10分間の条件でプレスを行い、コアシートとオーバーシートとを熱融着で一体化してカード構成のシートを作製した。更に所定のカードサイズ(85.6mm×54.0mm)に打ち抜きカードとした。
次に本実施例及び比較例中の多層シートの評価方法は以下の通りである。
(1)エンボス
上記カードに対して手動式エンボッサーを使用して4行の文字エンボスを行った。そのカードの反り量(mm)をJIS X6301にしたがって測定し、また刻印文字を実体顕微鏡により20倍に拡大し、文字割れの有無を観察した。
○:文字割れがないもの
△:一部文字割れが生じたが使用できるレベルのもの
×:文字割れが生じたもの
(2)融着性
オーバーシートとコアシートを110℃で10分間プレスした後、切り込みを入れ2枚のシートが剥離してしまうかどうかを確認した。
○:シートが完全に融着して剥離が生じないもの
△:シートが一部剥離してしたが使用できるレベルのもの
×:シートが完全に剥離してしまったもの
(3)耐熱性
70℃の乾燥機にカードを立てかけ、カードがたわむかどうかを確認した。
○:たわまなかったもの
△:少したわむが使用できるレベルのもの
×:完全にたわむもの
(4)柔軟温度
カードを用いてJIS K6734準拠して測定を行った。
(5)マクベス濃度
カードのマクベス濃度は、マクベス社製マクベス濃度計(型式TR-924)を用いて測定した。
評価結果を表2、3、4に示す。
Claims (7)
- 少なくともオーバーシート層およびコアシート層を有するエンボス加工用カードであり、該オーバーシート層およびコアシート層から選ばれる少なくとも一層が下記のポリエステル樹脂(A)を含む樹脂層からなり、マクベス濃度計によって計測したマクベス濃度が1.0〜5.0であることを特徴とするカード。
ポリエステル樹脂(A):ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位とを有するポリエステル樹脂であって、少なくとも前記ジオール構成単位の10〜60モル%が下記式(1)または(2)で表される環状アセタール骨格を有するジオールに由来する単位であるポリエステル樹脂。
- コアシート層の合計厚みとオーバーシート層の合計厚みとの比率が95:5〜50:50であることを特徴とする請求項1に記載のカード。
- ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が80℃以上である請求項1または2に記載のカード。
- 測定温度240℃、剪断速度100s−1で測定した際のポリエステル樹脂(A)の溶融粘度が700〜5000Pa・sの範囲である請求項1ないし請求項3に記載のカード。
- 該環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である請求項1ないし請求項4に記載のカード。
- 環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる1種以上のジオールに由来するジオール単位である請求項1ないし請求項5に記載のカード。
- 該ジカルボン酸単位が、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位である請求項1ないし請求項6に記載のカード。
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