JP5367490B2 - イムノクロマト法用テストストリップ - Google Patents
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Description
イムノクロマト法の特徴として下記の3点が挙げられる。
(1)判定までに要する時間が20分以下であり迅速な検査が可能である。
(2)検体を滴下するだけで測定でき、操作が簡便であるため、複数の検体処理が可能である。
(3)特別な検出装置を必要とせず、判定が容易なため一般消費者が自身で検査できる。
これらの特徴を利用して、イムノクロマト法は妊娠検査薬やインフルエンザ検査薬に用いられており、新たなPOCT(Point Of Care Testing)の手法として注目を集めている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、POCTとは、患者にできる限り近い場所での診断のための検査をいう。従来は採取した血液、尿、患部組織などの検体は、病院の中央検査室や専門の検査センターに送られデータを出すので、診断の確定までに時間がかかっていた(例えば、1日以上)。POCTによれば、瞬時に提供される検査情報をもとに迅速かつ的確な治療が可能となることから、病院での緊急検査や手術中の検査が可能になるので、最近、医療現場でニーズが高い。
複数の検出対象物を検出する第2のイムノクロマト法用テストストリップとしては、1本のテストストリップに2本のテストラインを保持させ、1本のテストストリップで2種類の検出対象物を検出する方法が知られている。しかし、この方法では、使用する検体量は少なくて済むものの、同じメンブレン上に2種類のラインが塗布されているため、両方の検出対象物についてメンブレンの処理方法あるいはメンブレンの種類を変えることができず、検出感度を向上させるための条件最適化が困難であることが課題であった。さらに、2種類の標識粒子が2種類のラインを毛細管現象で通過することとなり、標識粒子とライン状に固定化された抗体の間で非特異的吸着が生じ、擬陽性の原因となる場合がある。
複数の検出対象物を検出する第3のイムノクロマト法用テストストリップとしては、1本のテストストリップを用い、1本のテストラインに2種類の抗体を固定化し、2種類の異なる色調の標識試薬を用いることで、同一ライン上で2種類の検出対象物を検出する方法が知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。しかし、この方法では、使用する検体量は少なくて済むものの、同じメンブレン上に2種類の検出用抗体が塗布されているため、両方の検出対象物についてメンブレンの処理方法あるいはメンブレンの種類を変えることができず、検出感度を向上させるための条件最適化が困難である。さらに2種類の標識粒子が同一ライン上で抗原抗体意反応をする際に、本来ならば特異的には結合しない標識粒子とライン状に固定化された抗体の間で非特異的吸着が生じ、正しい判定ができない場合がある。
(1)検体に含まれる少なくとも2種の検出対象物を一度で検出又は定量するラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップであって、
試料添加用部材、
第1の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッド、
前記第1の検出対象物に対する標識粒子が流れる方向に対して、第1の検出対象物を検出するための抗体固定化部及び第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉するための抗体固定化部を順次設けた、第1のメンブレン、
第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッド、
第2の検出対象物を検出するための抗体固定化部を有する第2のメンブレン、及び
吸収パッド
をこの順に直列連結して有し、
第1の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドと、第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドとを分離し、第1の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドの下流側且つ第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドの上流側で、第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドの直前に第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉する抗体固定化部を設けた、ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。
(2)前記第1の検出対象物に対する標識粒子及び前記第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ平均粒径20〜600nmのシリカナノ粒子であり、前記第1の検出対象物を検出するための抗体固定化部及び第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉するための抗体固定化部を設けた第1のメンブレンに対する、前記第1の検出対象物に対する標識粒子の透過率が3%以下であることを特徴とする、前記(1)項に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。
(3)前記第1の検出対象物に対する標識粒子及び前記第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ蛍光シリカナノ粒子であることを特徴とする、前記(1)又は(2)項に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。
(4)前記テストストリップの幅が0.5mm〜2mmであり、前記試料添加用部材に添加する検出対象物を含む試料の体積が5〜40μLであることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップの試料添加用部材に検体を添加し、前記検体に含まれる2種の検出対象物を一回の検査で検出又は定量することを特徴とする、ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
(6)前記検出対象物がA型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスであることを特徴とする、前記(5)項記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
(7)前記ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップにおける第1の検出対象物に対する標識粒子及び第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ蛍光物質を含有する平均粒径20〜600nmのシリカナノ粒子であり、第1の検出対象物を検出するための抗体固定化部及び第2の検出対象物を検出するための抗体固定化部に集積される前記シリカナノ粒子に励起光源を照射し、前記シリカナノ粒子が発する蛍光を電荷結合素子もしくは光電子増倍管で受光または目視で蛍光を確認することで、検体に含まれる検出対象物を検出または定量することを特徴とする、前記(5)又は(6)項記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
(8)前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いたイムノクロマト法用テストストリップの試料添加用部材に検体を添加し、前記検体に含まれる2種の検出対象物を一回の検査で検出又は定量するラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法であって、前記第1の検出対象物に対する標識粒子及び前記第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ蛍光シリカナノ粒子であり、さらに第1の検出対象物及び第2の検出対象物を検出するための抗体固定化部における蛍光測定の際の蛍光バックグランド強度を低下させる、ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
本発明のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップの一実施態様としては、
(1)試料添加用部材(本明細書において、「サンプルパッド」ともいう)と、第1の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッド(本明細書において、「第1のコンジュゲートパッド」ともいう)とが、
(2)前記第1のコンジュゲートパッドと、前記第1の検出対象物に対する標識粒子が流れる方向に対して第1の検出対象物を検出するための抗体固定化部及び第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉するための抗体固定化部を順次設けたメンブレン(本明細書において、「第1のメンブレン」ともいう)とが、
(3)前記第1のメンブレンと、第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッド(本明細書において、「第2のコンジュゲートパッド」ともいう)とが、及び
(4)前記第2のコンジュゲートパッドと、第2の検出対象物を検出するための抗体固定化部を有するメンブレン(本明細書において、「第2のメンブレン」ともいう)と吸収パッドとが、
それぞれ相互に毛細管現象が生じるように直列連結してなる。
抗体の固定化方法としては、抗体溶液を塗布、滴下ないしは噴霧後、乾燥して物理吸着により固定化する方法等が挙げられる。
サンプルパッド2は検出対象物を含むサンプルを滴下する構成部材である。
コンジュゲートパッド3及び5は、それぞれ第1の検出対象物に対する標識粒子及び第2の検出対象物に対する標識粒子が含浸された構成部材であり、サンプルパッド2から毛細管現象により移動してきた試料に含まれる検出対象物が抗原抗体反応等の分子認識反応で、前記標識粒子によって捕捉され、標識される部分である。
コンジュゲートパッドにおける単位面積(cm2)当たりの前記標識粒子の含有量は特に制限はないが50μg〜2mgが好ましい。含浸方法としては、前記標識粒子の分散液を塗布、滴下又は噴霧後、乾燥する方法等が挙げられる。
第1のメンブレン4及び第2のメンブレン6は、前記標識粒子により標識された検出対象物が毛細管現象によって移動する構成部材であり、固定化抗体−検体−標識粒子からなるサンドイッチ型免疫複合体形成反応が行われる、第1の検出対象物に対する抗体固定化部(第1の検出対象物の判定部)(41)及び第2の検出対象物に対する抗体固定化部(第2の検出対象物の判定部)(61)をそれぞれ有する。
前記メンブレンにおける前記抗体固定化部(判定部)の形状としては局所的に捕捉用抗体が固定化されている限り特に制限はなく、ライン状、円状、帯状等が挙げられるが、できるだけ細いライン状であることが好ましく、幅0.5〜2.0mmのライン状とすることができる。
メンブレンを毛細管現象で移動し、コントロール部まで達した標識粒子は、コントロール部においてメンブレンに固定化された抗体に捕捉される。従って、コントロール部から前記標識粒子に由来する発色又は蛍光等の標識が検出されれば、標識粒子がコントロール部まで移動したことが確認できる。逆に、コントロール部から前記標識粒子に由来する発色又は蛍光等の標識が検出されない場合は、何らかの原因で標識粒子がメンブレンを移動していないことを意味している。こういった場合は、検出部が標識粒子で標識されていなくても陰性と判定するのではなく、判定不能と評価する。このように評価することで、陽性の検体であるのに標識粒子がメンブレンをうまく移動しないために判定部が標識されない場合を、陰性と判定してしまう誤判定を防げる。
本発明のイムノクロマト法用テストストリップに吸収パッド7を設けることが好ましい。吸収パッド7は、毛細管現象でメンブレンを移動してきた試料液体および標識粒子を吸収し、常に一定の流れを生じさせるための構成部材である。
本発明のイムノクロマト法用テストストリップにバッキングシート8を設けることが好ましい。バッキングシート8は、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブレン、吸収パッドの各部材を安定に固定するための構成部材である。バッキングシート8は、粘着剤付きバッキングシートであることが好ましい。
サンプルパッドおよびコンジュゲートパッドとしてはGlass Fiber Conjugate Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のガラスファイバーのパッドが好ましく、メンブレンとしてはHi−Flow Plus120メンブレン(商品名、MILLIPORE社製)等のニトロセルロースメンブレンが好ましく、吸収パッドとしてはCellulose Fiber Sample Pad(商品名、MILLIPORE社製)等のセルロースメンブレンが好ましい。
前記粘着剤付きバッキングシートとしては、AR9020(商品名、Adhesives Research社製)等が挙げられる。
本明細書における「透過率」とは、使用前のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップのコンジュゲートパッドに保持されている標識粒子のうち、試料滴下部に試料を滴下してラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを使用した際にメンブレンを流れきった標識粒子の割合である。透過率は、使用前のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップのコンジュゲートパッドから抽出された標識粒子の蛍光強度に対する、ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを使用後のメンブレンの下流側の部材から抽出された標識粒子の蛍光強度の比から求めることができる。標識粒子の透過率を3%以下にする方法としては、第1のメンブレンにおける第1の検出対象物の判定部及び第1の検出対象物のコントロール部の下流側に第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉するための抗体固定化部を設け、第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉する方法が挙げられる。
(a)N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル等の活性エステル基を有する蛍光物質(1)とアミノ基を有するシランカップリング剤(2)とを反応させて、蛍光物質−シランカップリング剤複合化合物(3)を生成する工程
(b)前記(a)で得られた蛍光物質−シランカップリング剤複合化合物(3)を、シリカ化合物(4)と塩基性条件下で重合させて蛍光シリカナノ粒子(5)を形成する工程
前記工程(a)で用いるNHSエステル基を有する蛍光物質(1)は、カルボジイミドによるカルボキシル基の活性化と、それに引き続くNHSとのエステル化反応によって調製できる。但し、商業的に市販のものを入手することも可能である。
反応に用いる前記蛍光物質(1)とシランカップリング剤(2)との割合は特に制限されないが、前記蛍光物質(1):前記シランカップリング剤(2)=1:0.5〜2(モル比)の割合が好ましく、1:0.8〜1.2(モル比)の割合がより好ましい。
本発明で用いることができる蛍光シリカナノ粒子は単分散であることが好ましく、粒度分布の変動係数、いわゆるCV値、は15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましい。
蛍光物質を蛍光シリカナノ粒子内に固定し、包含させると、前記蛍光物質がシリカナノ粒子内に分散して存在しているので、遊離の蛍光色素化合物よりも感度を上げることができる。すなわち、遊離の蛍光物質よりも輝度を増加させることができる。
また、本発明の蛍光シリカナノ粒子は、自己消光を起こすことなく、多くの蛍光物質をシリカナノ粒子内に固定し、包含させることができる。このため、微小な領域でも使用可能な、高感度な標識が可能である。
シリカは、一般に、化学的に不活性であると共に、その修飾が容易であることが知られている。本発明における蛍光シリカナノ粒子もまた、容易に所望の分子を表面に結合させることが可能であり、またその表面をメソポーラスや平滑状にすることもできる。
反応に用いるシリカ化合物(4)と、それによって得られる蛍光シリカナノ粒子の表面に形成されたアクセプター基との関係を表1に示す。
(i)MPS等を用いて調製したチオール基を表面に有する蛍光シリカナノ粒子は、ジスルフィド結合、チオエステル結合、またはチオール置換反応を介した結合を介して、その表面を生体分子等で修飾することができる。
(ii)特に前記生体分子等がアミノ基を有する場合には、蛍光シリカナノ粒子が有するチオール基と、前記生体分子等が有するアミノ基とをスクシンイミジル−トランス−4−(N−マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)等の架橋剤を用いて結合することもできる。
(iii)APS等を用いて調製したアミノ基を表面に有する蛍光シリカナノ粒子は、前述と同様に、このアミノ基と生体分子等が有するチオール基とをSMCC、EMCS等の架橋剤を用いて結合することができる。また、このアミノ基と生体分子等が有するアミノ基とをグルタルアルデヒド等の架橋剤で結合することもできる。さらに、アミド結合やチオウレア結合を介して、その表面を生体分子等で修飾することもできる。
所望の生体分子で表面修飾した前記蛍光シリカナノ粒子の表面には、生体分子やメンブレンと非特異的に吸着しやすい部分が存在する。これは、所望の生体分子等で表面修飾した際に、蛍光シリカナノ粒子表面の生体分子等と結合しやすい部分が、前記所望の生体分子等で完全に被覆されていないことが原因であると考えられる。このような非特異的な吸着が起こりやすい部分が蛍光シリカナノ粒子表面に存在すると、陰性の検体であっても蛍光シリカナノ粒子が抗体固定化部(判定部)においてメンブレンあるいは固定化抗体と非特異的に吸着し擬陽性の原因になったり、毛細管現象で蛍光シリカナノ粒子がメンブレンを移動する際に蛍光シリカナノ粒子がメンブレンに非特異的に吸着してバックグランドが上昇し、感度が低下する原因になる。こういった現象を防ぐために、蛍光シリカナノ粒子を所望の生体分子等で修飾した後に、適当な高分子を加えて蛍光シリカナノ粒子表面をブロッキング処理することが好ましい。
ブロッキング処理に用いることができる高分子としては特に制限はないが、PEG(ポリエチレングリコール)、ポリビニルアルコールなどの親水性の高分子や、BSA(ウシ血清アルブミン)、カゼインなどのタンパク質、アルギン酸、デキストラン、ヒアルロン酸などの多糖が挙げられる。本発明において、蛍光シリカナノ粒子にブロッキング処理を行う場合、前記高分子を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の検出対象物の検出方法又は定量方法は、本発明のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップの試料添加用部材に検体を添加し、前記検体に含まれる2種以上の検出対象物を一度で検出または定量する。
本発明のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップの試料添加用部材に添加することができる検体としては特に制限はないが、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、唾液、全血、血清、血漿、食品粉砕物、尿、糞便などが挙げられる。
本発明のイムノクロマト法用蛍光検出システムは、本発明のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを有する。本発明のイムノクロマト法用蛍光検出システムに用いるテストストリップはバッキングシートにより裏打ちされていることが好ましい。さらに、励起光源、及び励起光を透過せず、蛍光を透過する光学フィルタを有することが好ましい。
また、本発明の蛍光検出システムにおいて光源がランプまたは発光ダイオードの場合は、前記励起光源から特定の波長の光のみを透過するためのフィルタを備えていることがより好ましい。さらに、本発明の蛍光検出システムは、前記蛍光を受光する電荷結合素子もしくは光電子増倍管もしくはフォトダイオードを備えることが特に好ましく、これにより目視では確認できない強度ないしは波長の蛍光も検出でき、さらにはその蛍光強度を測定できることから検体の定量もでき、高感度検出及び定量が可能となる。
5−(及び−6)−カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル(商品名、HiLyte Biosciences社製)3.0mgを1mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。ここに1.3μlのAPSを加え、室温(23℃)で1時間反応を行った。
得られた反応液400μLにエタノール128ml、TEOS(テトラエトキシシラン)600μL、蒸留水28.8ml、28質量%アンモニア水400μLを加え、室温で24時間反応させ、TEOSを重合し付加した。
反応液を18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿したシリカ粒子に蒸留水を4ml加え、粒子を分散させ、再度18000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、標識シリカナノ粒子分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去し、平均粒径172nmのシリカナノ粒子149.2mgを得た。収率約92%。
遠心管に50mM KH2PO4(pH6.5)700μLと前記5−(及び−6)−カルボキシローダミン6G含有シリカナノ粒子分散液(10mg/mL)200μLを加えて軽く撹拌した。遠心管にマウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体(商品名:Influenza A NP、santa cruz biotechnology社製)100μL(10μg/mL)加え、室温で1時間混合し、マウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体を前記シリカナノ粒子に吸着させた。これに1%PEG(ポリエチレングリコール、分子量20000、和光純薬工業社製)100μL加え軽く撹拌し、更に10%BSAを100μL加え軽く撹拌した。
混合液を12000×gで15分間遠心分離し、上清を取り除き、沈殿にリン酸バッファー(10mM KH2PO4(pH7.2),0.05%PEG20,000、1%BSA, 0.1%NaN3)1mL加え、遠心分離し、上清を取り除き、沈殿にさらにもう一度リン酸バッファー(10mM KH2PO4(pH7.2)、0.05%PEG20,000、1%BSA、0.1%NaN3)を1mL加え、遠心分離し、上清を取り除いた。得られた沈殿にリン酸バッファー(10mM KH2PO4(pH 7.2)、0.05%PEG20,000、1%BSA、0.1%NaN3)を10.67mL加え、沈殿を分散さ、マウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体を吸着させてなるシリカナノ粒子の分散液(187.5μg/mL)を得た。
Glass Fiber Conjugate Pad(商品名:GFCP、MILLIPORE社製)(8×150mm)に、前記マウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体を吸着させてなるシリカナノ粒子の分散液0.8mLを均等に塗布した。デシケーター内で室温下、一夜減圧乾燥し、マウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体を吸着させてなるシリカナノ粒子を含有してなるコンジュゲートパッド143を作製した。
B型インフルエンザウイルス検出用のコンジュゲートパッド145は、マウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体の代わりにマウス抗B型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体(商品名:Influenza B NA、santa cruz biotechnology社製)を用いたこと以外は、A型インフルエンザウイルス検出用のコンジュゲートパッドと同じ方法で作製した。
メンブレン(丈25mm、商品名Hi−Flow Plus120 メンブレン、MILLIPORE社製)の端から約8mmの位置に幅約1mmのテストライン(抗体固定化部)としてマウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体が0.5mg/mL含まれる溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布し、A型インフルエンザウイルス用抗体固定化部148を設けた。
続いて、メンブレンの端から約12mmの位置に幅約1mmのコントロールラインとして抗IgG抗体(Goat Anti Mouse IgG、Dako社製)が0.5mg/mL含まれる溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)シュガー・フリー)を0.75μL/cmの塗布量で塗布し、コントロールライン149を設けた。
続いて、メンブレンの端から約16mmの位置に幅約2mmの標識粒子捕捉部として、抗IgG抗体(Goat Anti Mouse IgG、Dako社製)が10.0mg/mL含まれる溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)シュガー・フリー)を1.0μL/cmの塗布量で塗布し、50℃で30分乾燥させ、標識粒子捕捉部150を設けた。
メンブレン洗浄/安定バッファーに移し室温で30分以上静置した。メンブレンを引き上げ、ペーパータオル上に置いて室温で一夜乾燥させて、A型インフルエンザウイルス検出用抗体固定化メンブレン144を作製した。
B型インフルエンザウイルス検出用抗体固定化メンブレン146は、マウス抗B型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体と抗IgG抗体を用いて、A型インフルエンザウイルス検出用抗体固定化メンブレンと同じ方法で、B型インフルエンザウイルス用抗体固定化部151及びコントロールライン152のみを塗布して作製した。
前記得られた2種類のメンブレン144及び146、前記得られた2種類のコンジュゲートパッド143及び145、サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)142、吸収パッド(Cellulose Fiber Sample Pad(CFSP)(MILLIPORE社製)147をバッキングシート(商品名AR9020,Adhesives Research社製)上で直列連結し、1.5mm幅、長さ90mmのストリップ状に切断し、図4に示した構成のテストストリップ141を得た。
なお、各構成部材は、図1(b)に示すように、各々その両端を隣接する部材と2mm程度重ね合わせて貼付した。
前記テストストリップを2本用意し、一方のテストストリップのサンプルパッドにはA型インフルエンザウイルスを5×102FFU/mL含む液を30μL滴下し、10分間静置した。もう一方のテストストリップのサンプルパッドにはB型インフルエンザウイルスを5×102FFU/mL含む液を30μL滴下し、10分間静置した。
前記テストストリップの蛍光の画像をAE−6935GS VISIRAYS−GS(製品名、アトー株式会社製)を用いて取得した。得られた画像を、画像解析ソフトCS Analyzer3(製品名、アトー株式会社製)で解析した。
その結果、A型インフルエンザウイルスを含む液を滴下したテストストリップでは、A型インフルエンザウイルス検出用の抗体固定化メンブレンのテストラインとコントロールおよびB型インフルエンザウイルス検出用の抗体固定化メンブレンのコントロールラインの蛍光が確認され、B型インフルエンザウイルスを含む液を滴下したテストストリップでは、A型インフルエンザウイルス検出用の抗体固定化メンブレンのコントロールラインおよびB型インフルエンザウイルス検出用の抗体固定化メンブレンのテストラインとコントロールラインの発色が確認された。
前記(4)で作製した標識粒子捕捉部を有するA型インフルエンザウイルス検出用の抗体固定化メンブレン、前記(2)で作製したA型インフルエンザウイルス検出用のコンジュゲートパッド、サンプルパッド(Glass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)、吸収パッドをバッキングシート(商品名AR9020,Adhesives Research社製)上で直列連結し、1.5mm幅、長さ60mmのストリップ状に切断し、テストストリップを得た。尚、吸収パッドはCellulose Fiber Sample Pad(CFSP、MILLIPORE社製)の代わりにGlass Fiber Conjugate Pad(GFCP)、MILLIPORE社製)を用いた。
1時間後、テストストリップから吸収パッドのみを分離し、リン酸緩衝液(50mMKH2PO4,pH7.0)3mlに浸し、1時間振とう処理した。1時間後、液を回収し(抽出液1)、蛍光分光光度計FP−6500(商品名、日本分光社製)で530nmの励起波長を照射した際の、555nmの蛍光強度を測定した。
標識粒子捕捉部を有するA型インフルエンザウイルス検出用抗体固定化メンブレン144のテストストリップの吸収パッド抽出液の蛍光強度と、リン酸緩衝液を滴下する前のテストストリップのコンジュゲートパッド抽出液の蛍光強度の比から粒子の透過率を求めた。その結果を表2に示す。
遠心管に50mMKH2PO4(pH6.5)700μLと前記5−(及び−6)−カルボキシローダミン6G含有シリカナノ粒子分散液(10mg/mL)200μLを加えて軽く撹拌した。遠心管にマウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体(商品名:Influenza A NP、santa cruz biotechnology社製)100μL(10μg/mL)加え、室温で1時間混合し、マウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体を前記シリカナノ粒子に吸着させた。これに1%PEG(ポリエチレングリコール、分子量20000、和光純薬工業社製)を100μL加え軽く撹拌し、更に10%BSAを100μL加え軽く撹拌した。
混合液を12000×gで15分間遠心分離し、上清を取り除き、沈殿にリン酸バッファー(10mM KH2PO4(pH7.2),0.05%PEG20,000,1%BSA,0.1%NaN3)を1mL加え、遠心分離し、上清を取り除き、沈殿にさらにもう一度リン酸バッファー(10mM KH2PO4(pH7.2),0.05%PEG20,000,1%BSA,0.1%NaN3)を1mL加え、遠心分離し、上清を取り除いた。得られた沈殿にリン酸バッファー(10mM KH2PO4(pH7.2),0.05%PEG20,000,1%BSA,0.1%NaN3)5.33mL加え、沈殿を分散さ、マウス抗A型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体を吸着させてなるシリカナノ粒子の分散液(375μg/mL)を得た。
続いて、前記メンブレン134の端から約12mmの位置にB型インフルエンザウイルス用のテストラインとしてマウス抗B型インフルエンザウイルス核タンパク質モノクローナル抗体が0.5mg/mL含まれる溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)+5%スクロース)を0.75μL/cmの塗布量で塗布し、B型インフルエンザウイルス用抗体固定化部137を設けた。
続いて、前記メンブレン134の端から約16mmの位置に幅約1mmのコントロールラインとして抗IgG抗体(Goat Anti Mouse IgG、Dako社製)が0.5mg/mL含まれる溶液((50mMKH2PO4,pH7.0)シュガー・フリー)を0.75μL/cmの塗布量で塗布し、50℃で30分乾燥させた。
メンブレン洗浄/安定バッファーに移し室温で30分以上静置した。メンブレンを引き上げ、ペーパータオル上に置いて室温で一夜乾燥させて、同一メンブレンに二本のテストラインを有する抗体固定化メンブレンを作製した。
前記(9)で作成した同一メンブレンに二本のテストラインを有するメンブレンを用いたテストストリップの、図3に示すaの部分の蛍光強度を、蛍光プレートリーダー(Spectra Max、Molecular Device社製)を用い、励起波長を530nm、蛍光波長を555nmとして測定した。その結果、蛍光強度は657であった。
続いて、前記同一メンブレンに二本のテストラインを有するメンブレンを用いたテストストリップのサンプルパッドにB型インフルエンザウイルスを5×102FFU/mL含む液を30μL滴下し、1時間静置した。
続いて、図3に示すaの部分のバックグラウンド蛍光強度を、蛍光プレートリーダー(Spectra Max、Molecular Device社製)を用い、励起波長を530nm、蛍光波長を555nmとして測定した。その結果、蛍光強度は1840であった。
続いて、前記(6)で作成したテストストリップのサンプルパッドにB型インフルエンザウイルスを5×102FFU/mL含む液を30μL滴下し、1時間静置した。
続いて、図4に示すテストストリップのaおよびbの部分のバックグラウンド蛍光強度を、蛍光プレートリーダー(Spectra Max、Molecular Device社製)を用い、励起波長を530nm、波長555nmの蛍光を測定することで測定した。その結果、aの部分の蛍光強度は1189、bの部分の蛍光強度は1204であった。
2 サンプルパッド
3 コンジュゲートパッド
4 メンブレン
5 コンジュゲートパッド
6 メンブレン
7 吸収パッド
8 バッキングシート
41 第1の検出対象物の判定部
42 第1の検出対象物のコントロール部
43 標識粒子捕捉部
61 第2の検出対象物の判定部
62 第2の検出対象物のコントロール部
131 テストストリップ
132 サンプルパッド
133 コンジュゲートパッド
134 メンブレン
135 吸収パッド
136 A型インフルエンザウイルス用抗体固定化部
137 B型インフルエンザウイルス用抗体固定化部
141 テストストリップ
142 サンプルパッド
143 コンジュゲートパッド
144 A型インフルエンザウイルス検出用抗体固定化メンブレン
145 コンジュゲートパッド
146 B型インフルエンザウイルス用抗体固定化メンブレン
147 吸収パッド
148 A型インフルエンザウイルス用抗体固定化部
149 コントロールライン
150 標識粒子捕捉部
151 B型インフルエンザウイルス用抗体固定化部
152 コントロールライン
Claims (8)
- 検体に含まれる少なくとも2種の検出対象物を一度で検出又は定量するラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップであって、
試料添加用部材、
第1の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッド、
前記第1の検出対象物に対する標識粒子が流れる方向に対して、第1の検出対象物を検出するための抗体固定化部及び第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉するための抗体固定化部を順次設けた、第1のメンブレン、
第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッド、
第2の検出対象物を検出するための抗体固定化部を有する第2のメンブレン、及び
吸収パッド
をこの順に直列連結して有し、
第1の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドと、第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドとを分離し、第1の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドの下流側且つ第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドの上流側で、第2の検出対象物に対する標識粒子が固定化されたイムノクロマト法用コンジュゲートパッドの直前に第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉する抗体固定化部を設けた、ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。 - 前記第1の検出対象物に対する標識粒子及び前記第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ平均粒径20〜600nmのシリカナノ粒子であり、前記第1の検出対象物を検出するための抗体固定化部及び第1の検出対象物に対する標識粒子を捕捉するための抗体固定化部を設けた第1のメンブレンに対する、前記第1の検出対象物に対する標識粒子の透過率が3%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。
- 前記第1の検出対象物に対する標識粒子及び前記第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ蛍光シリカナノ粒子であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。
- 前記テストストリップの幅が0.5mm〜2mmであり、前記試料添加用部材に添加する検出対象物を含む試料の体積が5〜40μLであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップ。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップの試料添加用部材に検体を添加し、前記検体に含まれる2種の検出対象物を一回の検査で検出又は定量することを特徴とする、ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
- 前記検出対象物がA型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルスであることを特徴とする、請求項5記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
- 前記ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップにおける第1の検出対象物に対する標識粒子及び第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ蛍光物質を含有する平均粒径20〜600nmのシリカナノ粒子であり、第1の検出対象物を検出するための抗体固定化部及び第2の検出対象物を検出するための抗体固定化部に集積される前記シリカナノ粒子に励起光源を照射し、前記シリカナノ粒子が発する蛍光を電荷結合素子もしくは光電子増倍管で受光または目視で蛍光を確認することで、検体に含まれる検出対象物を検出または定量することを特徴とする、請求項5又は6記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップの試料添加用部材に検体を添加し、前記検体に含まれる2種の検出対象物を一回の検査で検出又は定量するラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法であって、前記第1の検出対象物に対する標識粒子及び前記第2の検出対象物に対する標識粒子がそれぞれ蛍光シリカナノ粒子であり、さらに第1の検出対象物及び第2の検出対象物を検出するための抗体固定化部における蛍光測定の際の蛍光バックグランド強度を低下させる、ラテラルフロー型イムノクロマト法用テストストリップを用いた検出対象物の検出方法又は定量方法。
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