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JP5350769B2 - 低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物 - Google Patents

低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物 Download PDF

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Description

本発明は、排気ガス再循環装置を具え、多量のEGRを使用する低温、予混合化圧縮着火エンジン用の燃料油組成物に関し、特には、排気ガスを再循環させ、吸入空気中の酸素濃度が17体積%以下となる条件下で運転しても、安定した低温、予混合化燃焼が成立し、有害ガス成分の排出を削減することが可能で、且つ従来型のディーゼルエンジンにも適用できる燃料油組成物に関するものである。
自動車から排出される窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)は、大気中におけるこれら有害成分濃度に一定の寄与があるため、大気環境改善の観点から、これら有害排出ガス成分の削減が強く求められている。一方、地球温暖化防止のためには、化石燃料の燃焼で排出されるCO2の削減が必要であり、自動車からのCO2排出の削減、即ち、自動車の燃料消費効率(燃費)の向上が強く求められている。そこで、CO2排出の少ないディーゼル車が注目されているが、ディーゼル車は排出ガスの点でガソリン車に劣っており、排出ガスの改善が強く求められている。なお、排出ガスの浄化には後処理装置の装着が必要であるが、長期に渡って使用される同装置への負荷を軽減し、性能を維持するために、クリーンなディーゼル燃焼が求められ、多量の排出ガスの再循環(EGR)を採用する低温、予混合化燃焼が開発されている。この低温、予混合化燃焼が可能なエンジンの運転範囲は限定されるので、従来型のディーゼル燃焼と併用することとなるが、低温、予混合化燃焼範囲の拡大に向けた開発が進んでいる。
多量のEGRを採用して低温、予混合化燃焼が成立するエンジン条件下では、EGR量の増加によってNOxは低減されるものの、PM、HC、COの増加や着火・燃焼が不安定となり燃焼変動の増大を招いてしまう。そのため、EGR量の増加には、限界があり、燃料の着火性や排出ガス特性が重要な役割を演じる事となる。また、低温、予混合化燃焼を採用したエンジンは、従来型ディーゼル燃焼を併用するので、同エンジン用燃料は、低温、予混合化燃焼と従来型ディーゼル燃焼の両者に適用できることが必要である。
一方、従来型ディーゼルエンジンでは、種々の有害ガス成分の排出低減に寄与するクリーン燃料として石油系軽質油の利用が提案されているが、多量のEGRを導入した低温、予混合化燃焼からの有害排出ガスを削減できるクリーン燃料は開発されていない。そこで、低温、予混合化燃焼と従来型ディーゼル燃焼の両者からの有害排出ガスの少ないクリーン燃料の開発が望まれている。
特開2000−144155号公報 渡辺、「既存ディーゼル車から排出される粒子状物質を低減させる軽質軽油の開発」、ペトロテック Vol.27, No.1, Page.74-81 (2004.01.01)
このような状況下、本発明の目的は、従来型のディーゼル燃焼でも排出ガスの浄化に効果があり、且つ多量の外部クールドEGRの採用で吸入空気中の酸素濃度が17体積%以下となる条件下で低温、予混合化燃焼運転しても、安定した着火・燃焼が成立し、かつ有害排出ガス成分の削減に寄与することが可能な低温、予混合化圧縮着火エンジン用の軽質クリーン燃料油組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の蒸留性状を有し、硫黄分、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分が少ない上、セタン価の高い燃料油組成物を、排気ガス再循環装置を具える低温、予混合化圧縮着火エンジンに用いた場合、該エンジンを吸入空気中の酸素濃度が17体積%以下となる条件下で運転しても、低温、予混合化燃焼が成立する上、有害ガス成分の排出を削減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の燃料油組成物は、
・排気ガスの少なくとも一部を吸入空気中に再循環する排気ガス再循環装置を具え、吸入空気と再循環された排気ガスとの混合ガス中の酸素濃度が17体積%以下となる条件で運転される低温、予混合化圧縮着火エンジン用の燃料油組成物であって、
・硫黄分が10質量ppm以下で、
・90容量%留出温度が300℃以下で、
・セタン価(CN)が51以上で、
・芳香族分が17〜25容量%、且つ
・3環以上の芳香族分が0.6容量%以下である
ことを特徴とする。
なお、本発明において、硫黄分はJIS K2541−6に従って測定され、90容量%留出温度はJIS K2254に従って測定され、セタン価(CN)はJIS K2280に従って測定され、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分は石油学会石油類試験関係規格JPI−5S−49−97に従って測定される。
本発明によれば、特定の蒸留性状を有し、硫黄分、セタン価(CN)、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分が特定の範囲にある燃料油組成物を、排気ガス再循環装置を具える低温、予混合化圧縮着火エンジンに用いることで、該エンジンを吸入空気中の酸素濃度が17体積%以下となる条件下で運転しても、低温、予混合化燃焼を安定的に成立させることができ、また、有害ガス成分の排出を削減することも可能となる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の燃料油組成物は、排気ガスの少なくとも一部を吸入空気中に再循環する排気ガス再循環装置を具え、吸入空気と再循環された排気ガスとの混合ガス中の酸素濃度が17体積%以下となる条件で運転される低温、予混合化圧縮着火エンジン用の燃料油組成物であって、硫黄分が10質量ppm以下で、90容量%留出温度が300℃以下で、セタン価(CN)が51以上で、芳香族分が17〜25容量%、且つ3環以上の芳香族分が0.6容量%以下であることを特徴とする。本発明の燃料油組成物は、90容量%留出温度が十分低いため、燃料油組成物と空気との混合気の形成や燃焼性に支障を来たすことが無く、また、セタン価(CN)が高いため、吸入空気中の酸素濃度が17体積%以下となる条件下で低温、予混合化圧縮着火エンジンを運転しても、低温、予混合化燃焼が成立する。また、上述のように、従来の燃料を用いて、高EGR率で低温、予混合化圧縮着火エンジンを運転すると、PM、HC、COが増加する問題があったが、本発明の燃料油組成物は、90容量%留出温度が十分低い上、硫黄分、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分も十分少ないため、高EGR率で低温、予混合化圧縮着火エンジンを運転しても、PM、HC、COの増加を抑制することができる。また、本発明の燃料油組成物は、従来型ディーゼル燃焼でも有害排出ガスの低減に効果がある。
<硫黄分>
本発明の低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下であり、好ましくは3質量ppm以下である。本発明の燃料油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下であるため、燃焼生成物である硫黄酸化物が少なく、環境負荷の低減に寄与できる。また、硫黄分は、排出ガス浄化触媒を被毒するので、硫黄分の低減は、排出ガス浄化触媒の性能の維持を通じても、環境負荷の低減に寄与できる。更に、NOx吸蔵還元触媒を装着した車輌においては、該触媒の硫黄被毒の再生に燃料を使用するので、硫黄分の低減は、燃費の向上にも寄与する。そして、これらの効果は、硫黄分が低い程顕著であるため、本発明の燃料油組成物中の硫黄分は、3質量ppm以下であることが好ましい。
<90容量%留出温度(T90)>
本発明の低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物は、90容量%留出温度(T90)が300℃以下であり、好ましくは290℃以下、更に好ましくは285℃以下である。90容量%留出温度(T90)が300℃を超えると、粒子状物質(PM)の排出量が増加して、環境負荷を十分に低減できない。また、燃料油組成物の後留部分の揮発性は、燃料油組成物と空気との混合気の形成や燃焼性に影響し、90容量%留出温度(T90)が300℃を超えると、燃料油組成物と空気との混合気の形成に支障を来たしたり、該混合気の燃焼性が低下してしまう。更に、ディーゼルエンジンに比べて燃料を早期に噴射する低温、予混合化圧縮着火エンジンでは、燃料の一部がシリンダーライナーに到達し、ピストンの下降で掻き落とされてオイルパンへと流れ込み、エンジンオイルの希釈を引き起こすことがあるが、90容量%留出温度(T90)が300℃以下の燃料組成物は、気化し易く、ピストンの下降前に十分気化・燃焼するため、エンジンオイルの希釈を引き起こすことが少ない。従って、低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料の性状としては、90容量%留出温度(T90)が300℃以下であることが必要である。そして、上記の問題に対応するには、90容量%留出温度(T90)が低い程好ましいため、本発明の燃料油組成物は、90容量%留出温度(T90)が290℃以下であることが好ましく、285℃以下であることが更に好ましい。また、特に限定されるものではないが、本発明の燃料油組成物は、軽油の生産量の減少を抑制するために、90容量%留出温度(T90)が230℃以上であることが好ましい。
<セタン価(CN)>
本発明の低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物は、低負荷条件下での低温、予混合化燃焼を確保する観点から、セタン価(CN)が51以上である。セタン価(CN)が低過ぎると、着火・燃焼が不十分で燃焼変動が大きく、排出ガスが悪化するので、本発明の燃料油組成物は、セタン価(CN)51以上好ましくは52以上、より一層好ましくは55以上、特には57以上である。なお、従来型エンジンではセタン価(CN)が45以上で十分な性能を発揮するが、低温、予混合化圧縮着火エンジンでは、高いセタン価(CN)と低い90容量%留出温度(T90)との組み合わせが必須である。なお、セタン価を調整するために、本発明の燃料油組成物には、セタン価向上剤を添加してもよい。
<セタン価向上剤>
上記セタン価向上剤としては、アルキルナイトレート系セタン価向上剤、有機過酸化物系セタン価向上剤が挙げられる。上記アルキルナイトレート系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のアルキルナイトレートが好ましく、2-メチルヘキシルナイトレートが特に好ましい。また、上記有機過酸化物系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のジアルキルパーオキサイドが好ましく、ジ-t-ブチルパーオキサイドが特に好ましい。これらセタン価向上剤の添加量は、0.5質量%以下の範囲が好ましく、0.1質量%以下の範囲が更に好ましい。
<芳香族分>
本発明の低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物は、芳香族分が17〜25容量%ある。芳香族分が増加すると、排出ガス中の一酸化炭素(CO)や粒子状物質(PM)が増加するため、本発明の燃料油組成物は、芳香族分が25容量%以下、好ましくは21容量%以下である
<3環以上の芳香族分>
本発明の低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物は、3環以上の芳香族分が0.6容量%以下であり、好ましくは0.4容量%以下である。多環芳香族が増加すると、排出ガス中の粒子状物質(PM)が増加するため、本発明の燃料油組成物は、3環以上の芳香族分が0.6容量%以下であることを要し、好ましくは0.4容量%以下である。
<燃料油組成物の調製>
本発明の低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物は、上記の性状を満たすように、例えば、90容量%留出温度(T90)の規定に合致した蒸留性状を有するように分留した軽油基材に対して、深度脱硫や芳香族の飽和水素化を施して硫黄と芳香族を低減させ、必要に応じて、パラフィン系軽油基材(例えば、FT合成軽油であるGTLなど)を混合してセタン価を調整することで製造できる。なお、セタン価は上述のセタン価向上剤を添加して調整することもできる。
<その他の添加剤>
本発明の低温、予混合化圧縮着火エンジン用燃料油組成物には、上記セタン価向上剤以外の添加剤として、燃料油組成物の安定性を確保するための酸化防止剤、低温流動性を確保するための低温流動性向上剤、潤滑性を確保するための潤滑性向上剤、エンジンの清浄性を確保するための清浄剤等を適宜添加することができる。
上記酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,4,6-トリ-t-ブチルフェノール、2-t-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2-t-ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤や、N,N'-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N'-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、及びこれらの混合物が挙げられる。これら酸化防止剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
上記低温流動性向上剤としては、公知のエチレン共重合体等を用いることができるが、特には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。これら低温流動性向上剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
上記潤滑性向上剤としては、例えば、長鎖(例えば、炭素数12〜24)の脂肪酸又はその脂肪酸エステルが好ましく用いられる。該潤滑性向上剤を10〜500質量ppmの範囲、好ましくは50〜100質量ppmの範囲で添加することで、耐摩耗性を十分に向上させることができる。
上記清浄剤としては、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン等が挙げられる。これら清浄剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜選択することができる。
<低温、予混合化圧縮着火エンジン>
上述した本発明の燃料油組成物は、低温、予混合化圧縮着火エンジンに用いられる。該エンジンは、予混合圧縮着火エンジンであるPCCI(Premixed Charge Compression Ignition)やHCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)エンジンを包含するものであり、予混合燃焼を主に多量のEGRによって達成するものである。低温、予混合化燃焼は、従来のディーゼルエンジンと同様に圧縮着火であるが、燃料噴射時期、燃料噴射圧力や噴射パターン、圧縮比、燃焼室構造などを最適化して達成される燃料と空気が十分に混合した予混合気の燃焼で形成される予混合火炎のみで燃焼を完結する燃焼方式であり、また、該低温、予混合化燃焼は、予混合気の形成に必要な長い着火遅れを多量のEGRで達成するものであり、多量のEGRが必須な予混合燃焼である。従来のディーゼルエンジンでは、予混合火炎に加えて燃料と空気の境界層に火炎が形成される拡散火炎が観察されるが、低温、予混合化圧縮着火エンジンでは、この拡散火炎が観察されない。すなわち、該低温、予混合化燃焼は、熱発生率曲線を観察すると、冷炎に伴う微弱な熱発生に続く主燃焼による熱発生のピークが予混合火炎に対応する1つのピークだけの燃焼であり、NOxやPMが抑制されている。一方、実際の熱発生曲線では熱発生の後半がテーリングする事があるため、低温、予混合化圧縮着火エンジンは、予混合燃焼に伴う熱発生が全体の90%以上(予混合燃焼か拡散燃焼かが明確でない後半の燃焼が10%以下)のエンジンと定義される。また、該予混合化圧縮着火エンジンは、高圧縮比で運転できることなどから、ガソリンエンジン(火花点火式エンジン)に比べて高効率であるという特徴を有する。
また、該予混化圧縮着火エンジンは、排気ガス再循環装置を具え、多量な排気ガス再循環(EGR)により着火時期を抑制して、低温化、予混合化を図るエンジン条件において、従来の燃料を用いると、粒子状物質(PM)、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)が増加し、また、燃焼変動が増大する問題がある。これに対して、特定の蒸留性状を有し、硫黄分、セタン価(CN)、芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分が特定の範囲にある本発明の燃料油組成物を用いることで、PM、HC、CO等の有害ガス成分の排出を抑制しつつ、燃焼変動も小さくなる。そして、この効果は、例えば、排気ガス再循環(EGR)率を35体積%以上、更には、45体積%以上とし、吸入空気と再循環された排気ガスとの混合ガス中の酸素濃度が17体積%以下となる条件で運転した際に顕著となる。より具体的には、本発明の燃料油組成物を用いることにより、吸入空気中の酸素濃度が17体積%以下となる条件下で低温、予混合化圧縮着火燃焼運転をしても安定した燃焼が成立し、また、有害ガス成分の排出を削減することも可能となる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
以下の供試燃料に対して、下記の方法で性状分析を行い、更に、下記のエンジンを下記の条件で運転して、排出ガス中の粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)の各濃度、燃焼変動、着火遅れ、熱発生率の最大値を下記の方法で測定・評価し、市販軽油での結果を基準として各供試油の性能が改善された場合を(○)、悪化した場合を(×)、殆ど変化しなかった場合を(△)、やや改善した場合を(△/○)、やや悪化した場合を(△/×)として相対評価した。なお、燃料の性能評価は、EGR率を0から70%まで変化させて(吸入空気中の酸素濃度は22体積%から8体積%まで)、高EGR条件下のエンジン性能を評価した。結果を表1に示す。
<供試燃料の調製>
・軽油:市販の軽油(JIS 2号)を準備した。
・軽質軽油:深度脱硫によって硫黄と芳香族分を低減した軽油基材を、90容量%留出温度(T90)が300℃以下となるように分留して調製した。また、セタン価を高めるために、市販のセタン価向上剤(アルキルナイトレート)を0.5質量%添加した。
・超軽質油:深度脱硫によって硫黄と芳香族分を低減した軽油基材を、90容量%留出温度(T90)が235℃以下となるように分留し、セタン価向上剤(アルキルナイトレート)を0.5質量%添加して調製した。
・高芳香族油:市販軽油基材80容量%に接触分解装置から得られる接触分解油(LCO)を20容量%混合して調製した。
・重質油:市販軽油基材の重質留分を準備した。
・低芳香族油:直留軽油基材を水素化分解し、90容量%留出温度(T90)が300℃以下になるように分留した軽質低芳香族油にセタン価向上剤(アルキルナイトレート)を0.5質量%添加した。
・GTL混合油1:深度脱硫によって硫黄と芳香族分を低減した軽油基材を90容量%留出温度(T90)が300℃以下となるように分留して調製した軽質軽油基材80容量%に、GTLを20容量%混合した。
・GTL混合油2:深度脱硫によって硫黄と芳香族分を低減した軽油基材を90容量%留出温度(T90)が300℃以下となるように分留して調製した軽質軽油基材60容量%に、GTLを90容量%留出温度(T90)が300℃以下となるように分留して調製した軽質GTL 40容量%を混合した。
・GTL:(株)JOMOサンエナジーを通じてモスガス品[セタン価が82のGTL]を購入した。
・アルキルナイトレート:アフトンケミカル・ジャパン(株)製HITEC−4105K
<燃料の性状分析法>
・密度:JIS K2249「原油及び石油製品密度試験法」
・蒸留性状:JIS K2254「蒸留試験法」
・硫黄分:JIS K2541−6「硫黄分試験法(紫外蛍光法)」
・セタン価(CN):JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に規定された実測法(指数は適用できない)
・芳香族分の総量及び3環以上の芳香族分:JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」
<供試機関諸元>
・気筒数:1
・排気量(cm3):1007
・圧縮比:14〜18
・燃料供給方式:筒内噴射(コモンレール)
<運転条件>
・回転速度(rpm):1200
・燃料噴射量(mm3):可変(PCCI燃焼範囲をカバー)
・燃料噴射圧力(MPa):40〜120
・EGR率(%):0〜70可変
<性能評価方法>
(1)排出ガス測定
堀場製排出ガス分析装置を用いて、排出ガス中の窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)の各濃度を測定した。また、黒煙は小野測器製スモークメータで測定した。
(2)燃焼解析
小野測器製燃焼解析装置を用いて、燃焼変動、着火遅れ、熱発生率の最大値を測定した。
Figure 0005350769
表1から明らかなように、本発明で規定する性状を満たす燃料油組成物を用いた場合、多量なEGRの採用で吸入空気中の酸素濃度が17体積%以下となる条件下で低温、予混合化圧縮着火エンジンを運転しても、低温、予混合化燃焼が成立し、PM、HC、CO等の有害ガス成分の排出を削減することができる。

Claims (1)

  1. 排気ガスの少なくとも一部を吸入空気中に再循環する排気ガス再循環装置を具え、吸入空気と再循環された排気ガスとの混合ガス中の酸素濃度が17体積%以下となる条件で運転される低温、予混合化圧縮着火エンジン用の燃料油組成物であって、
    硫黄分が10質量ppm以下で、90容量%留出温度が300℃以下で、セタン価(CN)が51以上で、芳香族分が17〜25容量%、且つ3環以上の芳香族分が0.6容量%以下であることを特徴とする燃料油組成物。
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