JP5231877B2 - 車両用動力源の支持構造 - Google Patents
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Description
車体から動力源を離して車体後方に移動させることで、左右のサイドフレームを車体前後方向に圧縮(圧潰)変形させることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
この支持部材には、貫通孔を車体前方に向けて開口する切欠部が車体前後方向を向いて形成されている。
動力源が車体後方に移動することで、左右のサイドフレームを圧縮(圧潰)変形させて衝撃荷重を吸収することが可能であるとされている。
左右のサイドフレームを圧縮(圧潰)変形させながら、車体外側に向けて折り曲げるように変形させることで衝撃荷重を効率よく吸収することが可能である。
このため、左右のサイドフレームに車体前後方向の衝撃荷重が作用した場合、左右のサイドフレームを車体外側に向けて折り曲げるように変形させることが難しい。
よって、前側の貫通孔に差し込まれた締結部材が、車体外側に向けて移動することをスリット部で許容できる。
さらに、前側の貫通孔をサイドフレームの前半部と後半部との境界部に配置した。
これにより、左右のサイドフレームに車体前後方向の衝撃荷重が作用した場合に、左右のサイドフレームを境界部から車体外側に向けて変形させて衝撃荷重を良好に吸収することができる。
また、請求項1に係る発明では、前側の貫通孔をサイドフレームの前半部と後半部との境界部に配置することにより、境界部(すなわち、車体外側に向けて折り曲がるように変形する部位)に対応させてスリット部を設けた。
よって、車体外側に向けて折り曲がるように変形する部位に、動力源を支持する左右の支持部材を取り付けても、その部位をスリット部で円滑に変形することが可能になる。
これにより、衝撃荷重を良好に吸収するために、動力源を支持する左右の支持部材のレイアウトを変える必要がなく、左右の支持部材で動力源を効率よく支持することができる。
車体前部構造10は、車体前後方向に向けて配置された左右のサイドフレーム11,12と、左サイドフレーム11の外側に設けられた左フロントサスペンション13と、右サイドフレーム12の外側に設けられた右フロントサスペンション14と、左右のサイドフレーム11,12の下方に取り付けられたフロントサブフレーム16と、フロントサブフレーム16の上部に取り付けられたステアリングギヤボックス18と、フロントサブフレーム16の前方に配置された動力源21と、動力源21を左右のサイドフレーム11,12およびフロントサブフレーム16に取り付ける車両用動力源の支持構造25とを備えている。
右フロントサスペンション14のナックルにハブ(図示せず)を介して右前輪28が取り付けられている。
左サイドフレーム11は、車体前後方向に対して略平行に延出された左前半部31と、左前半部31から車体後方に向けて湾曲状に延出された左後半部32とを有している。
左前半部31および左後半部32は一体に連続して形成されている。
左後半部32の後端部32bは、左サイドフレームリヤエンド38に連結されている。
右前半部34および右後半部35は一体に連続して形成されている。
右後半部35の後端部35bは、右サイドフレームリヤエンド39に連結されている。
具体的には、左後半部32は、前端部32aから後端部32bまで車体中心37側に徐々に近づくように湾曲状に延出されている。
同様に、右後半部35は、前端部35aから後端部35bまで車体中心37側に徐々に近づくように湾曲状に延出されている。
よって、左サイドフレーム11は、左後半部32の前端部32aを車体外側に矢印Aの如く折れ曲がるように変形させることが可能である。
すなわち、左後半部32の前端部32aは、「車体外側に向けて折り曲がるように変形する部位」である。
前後の溶接ナットは、左サイドフレーム11の上部裏面に溶接で固定されている。
よって、右サイドフレーム12は、右後半部35の前端部35aを車体外側に矢印Bの如く折れ曲がるように変形させることが可能である。
すなわち、右後半部35の前端部35aは、「車体外側に向けて折り曲がるように変形する部位」である。
そして、取付孔44と同軸に溶接ナット(図示せず)が取り付けられている。
この溶接ナットは、右サイドフレーム12の上部裏面に溶接で固定されている。
このステアリングギヤボックス18は、左右の取付片51,52および中央取付片53がフロントサブフレーム16の上部にそれぞれボルト止めされている。
ステアリングホイール56を回転することにより左右の前輪27,28(図1参照)の向きを変える。
動力源21は、エンジン22とトランスミッション23とが一体に形成され、左右のサイドフレーム11,12間に横向きに配置されたエンジン/トランスミッションユニットである。
この動力源21は、車両用動力源の支持構造25で左右のサイドフレーム11,12およびフロントサブフレーム16に支持されている。
具体的には、基部62aは、エンジン22の右端部22aに2本のボルト65で取り付けられている。
この防振用ラバー部材にボルト66を貫通させる貫通孔が形成されている。
先端部62bおよび防振用ラバー部材の貫通孔にボルト66を差し込み、貫通孔から突出されたねじ部が、右サイドフレーム12の取付孔44(図2参照)の溶接ナットにねじ結合されることで、先端部62bが右サイドフレーム12に取り付けられている。
よって、右サイドフレーム12に車体前方から衝撃荷重F1(図2参照)が作用した場合、右サイドフレーム12は、右後半部35の前端部35aで車体外側に折れ曲がるように変形させることが可能である。
支持ブラケット71は、トランスミッション23の左端部23aに基部74が3本のボルト75,75,76で取り付けられ、基部74から一対の支持アーム77が所定間隔をおいて左サイドフレーム11に向けて突出されている。
取付孔78およびねじ孔79はそれぞれ同軸上に形成されている。
一対の支持アーム77間に取付部材72が配置されている。
そして、貫通孔82aから突出したねじ部83aが後側の支持アーム77のねじ孔79にねじ結合されている。
これにより、防振用ラバー部材82が一対の支持アーム77にボルト83を介して連結されている。
取付部材72の基部81は、左サイドフレーム11に沿って設けられている。
この基部81は、前端部81aに前貫通孔(貫通孔)85が形成されるとともにスリット部86が形成され、後端部81bに後貫通孔(貫通孔)88が形成されている。
これにより、取付部材72の基部81が左サイドフレーム11に取り付けられている。
スリット幅W2は、一例として、前貫通孔85の直径と同じ寸法に設定されている。
このスリット部86は、内端部86aが前貫通孔85に開口するとともに、外端部86bが外辺81cに開口されている。
よって、前貫通孔85は、車体外側に向けて開口されている。
このように、基部81の前端部81aにスリット部86を形成することで、前貫通孔85に差し込まれたボルト91が、車体外側に向けて車体幅方向に移動することをスリット部86で許容できる。
図6は本発明に係る左右のサイドフレームに車体前方側から衝撃荷重が作用する例について説明した図である。
車体前部構造10の前方から相手車両95のバンパビーム96が左右のサイドフレーム11,12に衝突する。
左サイドフレーム11の前端部11aに衝撃荷重F1が矢印の如く作用するとともに、右サイドフレーム12の前端部12aに衝撃荷重F1が矢印の如く作用する。
(a)において、左サイドフレーム11の前端部11aに衝撃荷重F1が矢印の如く作用することで、図2で説明したように、左サイドフレーム11の左後半部32の前端部32aにおいて車体外側に向けて荷重F2が作用する。
よって、前貫通孔85(図7(b)参照)に差し込まれたボルト91をスリット部86に沿わせて車体外側に向けて移動させることができる。
これにより、左サイドフレーム11は、左後半部32の前端部32aが車体外側に向けて折れ曲がるように変形を開始する。
ボルト91が基部81から外れることで、左後半部32の前端部32aが車体外側に向けて円滑に折れ曲がるように変形する。
これにより、左サイドフレーム11で衝撃荷重F1を良好に吸収することができる。
(a)において、右サイドフレーム12の前端部12aに衝撃荷重F1が矢印の如く作用することで、図2で説明したように、右サイドフレーム12が右後半部35の前端部35aにおいて車体外側に向けて荷重F2が作用する。
よって、右後半部35の前端部35aにおいて車体外側に向けて荷重F2が作用した場合、右サイドフレーム12は、右後半部35の前端部35aで車体外側に折れ曲がるように変形を開始する。
これにより、右サイドフレーム12で衝撃荷重F1を良好に吸収することができる。
以上説明したように、車両用動力源の支持構造25によれば、左右のサイドフレーム11,12をそれぞれ車体外側に向けて円滑に折れ曲げるように変形させることで、左右のサイドフレーム11,12の前端部に作用した衝撃荷重F1を良好に吸収することができる。
よって、左後半部32の前端部32aに、動力源21を支持する左支持手段61を取り付けても、左支持手段61をスリット部86で前端部32aから外すことができる。
左支持手段61を前端部32aから外すことで、前端部32aを円滑に変形することができる。
Claims (2)
- 左右のサイドフレーム間に配置した動力源に左右の支持部材が設けられ、前記左右の支持部材の貫通孔に締結部材がそれぞれ貫通され、
前記それぞれの締結部材で前記左右の支持部材が前記左右のサイドフレームに取り付けられた車両用動力源の支持構造において、
前記サイドフレームは車体前後方向に対して略平行に延出された前半部と、前記前半部から車体後方に向けて湾曲状に延出された後半部とを有し、
前記左右の支持部材のうち少なくとも一方の支持部材には、
前記サイドフレームに沿って取り付けられる取付部材が含まれ、
前記取付部材は締結部材により固定するための貫通孔を車体前後方向に複数有し、
複数の貫通孔のうち前側の貫通孔には、車体外側に向けて開口するスリット部が車幅方向を向けて連通され、
前記前側の貫通孔が前記前半部と前記後半部との境界部に配置され、
前記左右のサイドフレームに車体前後方向の衝撃荷重が作用した場合、
前記前側の貫通孔に連通する前記スリット部により、前記前側の貫通孔に差し込まれた締結部材の車幅方向への移動が許容されることを特徴とする車両用動力源の支持構造。 - 前記前側の貫通孔に差し込まれた締結部材の移動後も、前記サイドフレームの後半部において、複数の締結部材のうち移動した締結部材を除いた締結部材により前記動力源が前記サイドフレームと連結していることを特徴とする請求項1記載の車両用動力源の支持構造。
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