JP5218384B2 - 空気流量測定装置 - Google Patents
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Description
この空気流量センサは、半導体基板の一部にダイヤフラム(薄膜部)を形成し、そのダイヤフラムの表面上にセンサ素子(発熱抵抗体と側温抵抗体)を配置したセンサチップと、センサ素子を駆動する制御回路とを備えた熱式流量計が公知である。
制御回路は、発熱抵抗体の発熱温度を制御すると共に、発熱抵抗体の発熱により生じる温度分布に応じて変化する側温抵抗体の抵抗値を基に、エンジンが吸入する空気量に応じた信号を出力する。
この熱式流量計を用いた特許文献1では、センサ素子と制御回路とがワイヤボンディングを介して電気的に接続され、そのワイヤボンディングをポッティング(例えば、エポキシ樹脂)により保護する技術が開示されている。
このため、ポッティングの製造ばらつきが空気の流れに影響を与える。つまり、空気の流れに乱れや、ばらつきが発生する。その結果、センサ素子での流量検出が不安定となり、出力の時間変動および流量特性のばらつきが問題となる。
本発明は、ダクトの内部を流れる空気の一部を取り込むバイパス通路と、このバイパス通路に配置され、バイパス通路を流れる空気量を検出するためのセンサ素子を有するセンサチップと、センサ素子を駆動する制御回路とを備え、センサ素子と制御回路とがワイヤボンディングを介して電気的に接続され、そのワイヤボンディングがポッティングにより保護されている空気流量測定装置であって、センサチップの表面との間に隙間を有してセンサ素子とポッティングとの間に隔壁が設けられ、バイパス通路は、隔壁によって、センサ素子が配置される側の通路部分(チップ側通路部と呼ぶ)と、ポッティングを有する側の空間(ポッティング側空間と呼ぶ)とに分割されていることを特徴とする。
請求項1に記載した空気流量測定装置において、センサ素子を有する表面が露出した状態でセンサチップを凹空間に収容して支持する支持部材を有し、隔壁は、センサチップの表面を含む支持部材の全周に隙間を有して設けられ、この全周に形成される隙間を通じてチップ側通路部とポッティング側空間とが連通しており、空気の流れ方向に対し、センサ素子を搭載するセンサチップの中心位置より上流側に形成される隙間を上流側開口部と呼び、下流側に形成される隙間を下流側開口部と呼ぶ時に、上流側開口部の方が下流側開口部より開口面積が小さく形成されていることを特徴とする。
これに対し、本発明では、上流側開口部の開口面積の方が、下流側開口部の開口面積より小さいので、ポッティング側空間から下流側開口部を通ってチップ側通路部へ流出する空気流れ(流出流れと呼ぶ)の速度を小さくすることが可能となる。その結果、メインの流れに対する流出流れの影響を小さくできるので、メインの流れに乱れが生じることを抑制できる。
請求項2に記載した空気流量測定装置において、支持部材の厚さ方向で、その厚さ方向の中心より、センサチップの表面が露出している側をチップ側、その反対側を反チップ側と呼び、下流側開口部のうち、支持部材の下流端面より外側(下流側)に形成される開口部を下流端開口部と呼ぶ時に、この下流端開口部は、チップ側の方が反チップ側より開口面積が大きく形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、上流側開口部の開口面積の方が下流側開口部の開口面積より小さく、且つ、その下流側開口部のうち、支持部材の下流端面より外側(下流側)に形成される下流端開口部では、チップ側の方が反チップ側より開口面積が大きく形成されている。これにより、センサチップの表面が露出しているチップ側においては、メインの流れに対する流出流れの影響をより小さくできるので、センサ素子の流量検出ばらつきを更に小さくでき、安定した出力特性を得ることが出来る。
この実施例1は、例えば、自動車用エンジンの吸入空気量を計測するエアフロメータ1に本発明の空気流量測定装置を適用した一例である。
エアフロメータ1は、図1に示す様に、吸気ダクト2に取り付けられるセンサボディ3と、このセンサボディ3の内部に挿入されるセンシング部4とを有する。
吸気ダクト2は、エンジンの吸気ポート(図示せず)に接続される吸気通路の一部を形成するもので、例えば、吸気通路の最上流に配置されるエアクリーナの出口パイプ、あるいは、この出口パイプの下流側に接続される吸気管等である。
また、センサボディ3には、吸気ダクト2の内部を図1の左側(エアクリーナ側)から右側(エンジン側)に向かって流れる空気(図中に示す主流)、つまり、エンジンに吸入される空気の一部を取り込むバイパス通路が形成されている。
サブ通路6は、メイン通路5の途中から分岐して形成され、通路途中に大きな曲がり部を有してメイン通路5より通路長が長く形成されている。また、サブ通路6の出口6aは、メイン通路5の出口5bの周囲に環状に開口して形成されている。
このセンシング部4は、図1に示す様に、センサチップ8がサブ通路6を流れる空気に晒されるように配置されている。
センサ素子7は、図4(b)に示す様に、センサチップ8に形成されるダイヤフラム11の表面上に設けられ、制御回路9により通電加熱される発熱抵抗体12と、この発熱抵抗体12の上流側(図示左側)に近接して配置される上流側温抵抗体13と、発熱抵抗体12の下流側に近接して配置される下流側温抵抗体14とで構成される。
センサ素子7を構成する各抵抗体12〜14と制御回路9は、図2に示す様に、ワイヤボンディング15を介して電気的に接続されている。なお、センサチップ8には、配線パターンを通じて各抵抗体12〜14に繋がる電極(図示せず)が形成され、この電極と、制御回路9の基板上に設けられる電極(図示せず)とがワイヤボンディング15によって接続されている。さらに、ワイヤボンディング15は、例えば、エポキシ樹脂を用いたポッティング16に覆われて保護されている。また、ポッティング16とセンサ素子7との間には、後述する隔壁17(図2参照)が設けられている。
制御回路9を通じて発熱抵抗体12が基準温度に通電加熱されると、発熱抵抗体12の発熱による温度分布が生じる。ここで、サブ通路6に空気の流れが発生していない時は、図4(a)に破線グラフで示す様に、発熱抵抗体12の位置を中心として上流側と下流側とで温度分布が左右対称となるため、上流側温抵抗体13で検出される温度と、下流側温抵抗体14で検出される温度とが等しくなる。
これに対し、例えば、サブ通路6に順流(図1に示す矢印方向の空気流れ)が生じると、図4(a)に実線グラフで示す様に、発熱抵抗体12の下流側(図示右側)へ片寄った温度分布が生じるため、上流側温抵抗体13の検出温度より、下流側温抵抗体14の検出温度の方が高くなる。
これにより、上流側温抵抗体13の検出温度と下流側温抵抗体14の検出温度との間に温度差DThが生じるため、この温度差DThに応じて、上流側温抵抗体13と下流側温抵抗体14の抵抗値がそれぞれ変化し、この抵抗値の変化により生じる電位差が増幅されて、センサ信号(例えばアナログ電圧)としてECUへ出力される。なお、センサ信号は、アナログ電圧を周波数値に変換して出力することも出来る。
サブ通路6を形成するセンサボディ3には、センサ素子7とポッティング16との間に隔壁17が設けられている。この隔壁17は、図3に示す様に、センサチップ8の表面(センサ素子7を有する面)を含む支持部材10の全周に隙間を有して設けられている。
つまり、サブ通路6は、図2に示す様に、センサ素子7とポッティング16との間に隔壁17を設けたことにより、センサ素子7が配置される側の通路部分(チップ側通路部6Aと呼ぶ)と、ポッティング16を有する側の空間(ポッティング側空間6Bと呼ぶ)とに分割されている。但し、隔壁17は、センサチップ8の表面を含む支持部材10の全周に隙間を有して設けられているので、その隙間を通じてチップ側通路部6Aとポッティング側空間6Bとが連通している。
本実施例のエアフロメータ1は、センサチップ8に形成されるセンサ素子7と、ワイヤボンディング15を保護するポッティング16との間に隔壁17を設けたことにより、ポッティング16の製造ばらつきにより生じる空気流れの乱れがセンサ素子7の流量検出に与える影響を小さくできる。つまり、センサ素子7とポッティング16との間で、センサチップ8を支持する支持部材10の全周に隔壁17を設けることで、サブ通路6をチップ側通路部6Aとポッティング側空間6Bとに分割することができる。
これにより、ポッティング16の製造ばらつきにより、ポッティング側空間6Bにおいて空気の流れに乱れや、ばらつきが発生しても、チップ側通路部6Aに配置されるセンサ素子7の流量検出に与える影響を小さくできる。
この実施例2は、図6に示す様に、下流側開口部19を第1の下流側開口部19aと第2の下流側開口部19bとに分けて形成した一例である。
第1の下流側開口部19aは、図6(b)に矢印で示す空気の流れ方向に対し、センサ素子7を搭載するセンサチップ8の中心位置(図示一点鎖線で示す位置)より下流側で支持部材10の周囲に形成されている。
一方、第2の下流側開口部19bは、第1の下流側開口部19aとの間に仕切壁20を介して第1の下流側開口部19aより更に下流側に形成されている。
なお、ポッティング側空間6Bは、第1の下流側開口部19aと第2の下流側開口部19bとの間が仕切壁20によって遮断されることはなく、図6(a)に示す様に、第1の下流側開口部19aと第2の下流側開口部19bとの間が仕切壁20の裏側で連通している。
この実施例3は、下流側開口部19の開口面積を支持部材10の厚さ方向で変化を持たせた一例である。
具体的には、図7に示す様に、支持部材10の厚さ方向(図示左右方向)で、その厚さ方向における支持部材10の中心より、センサチップ8の表面が露出している側(図示左側)をチップ側と呼び、その反対側を反チップ側と呼び、且つ、下流側開口部19のうち、支持部材10の下流端面より外側(図示上側)に形成される開口部(図示一点鎖線のハッチングで示す領域)を下流端開口部19cと呼ぶ時に、この下流端開口部19cは、反チップ側からチップ側に向かって次第に開口面積が大きくなる様に、下流端開口部19cの図示上端が傾斜して設けられている。
この実施例3では、下流端開口部19cの開口面積が、反チップ側よりチップ側の方が大きく形成されているので、センサチップ8の表面が露出しているチップ側においては、メインの流れに対する流出流れの影響をより小さくできる。その結果、センサ素子7の流量検出ばらつきを更に小さくでき、より安定した出力特性を得ることが出来る。
なお、図7〜図9は、実施例3の三つの例を示したものであり、この三つの例に限定されるものではない。
2 吸気ダクト
5 メイン通路(バイパス通路)
6 サブ通路(バイパス通路)
6A チップ側通路部
6B ポッティング側空間
7 センサ素子
8 センサチップ
9 制御回路
10 支持部材
15 ワイヤボンディング
16 ポッティング
17 隔壁
18 上流側開口部
19 下流側開口部
19c 下流端開口部
Claims (3)
- ダクトの内部を流れる空気の一部を取り込むバイパス通路と、
このバイパス通路に配置され、前記バイパス通路を流れる空気量を検出するためのセンサ素子を有するセンサチップと、
前記センサ素子を駆動する制御回路とを備え、
前記センサ素子と前記制御回路とがワイヤボンディングを介して電気的に接続され、そのワイヤボンディングがポッティングにより保護されている空気流量測定装置であって、 前記センサチップの表面との間に隙間を有して前記センサ素子と前記ポッティングとの間に隔壁が設けられ、
前記バイパス通路は、前記隔壁によって、前記センサ素子が配置される側の通路部分(チップ側通路部と呼ぶ)と、前記ポッティングを有する側の空間(ポッティング側空間と呼ぶ)とに分割されていることを特徴とする空気流量測定装置。 - 請求項1に記載した空気流量測定装置において、
前記センサ素子を有する表面が露出した状態で前記センサチップを凹空間に収容して支持する支持部材を有し、
前記隔壁は、前記センサチップの表面を含む前記支持部材の全周に隙間を有して設けられ、この全周に形成される隙間を通じて前記チップ側通路部と前記ポッティング側空間とが連通しており、
空気の流れ方向に対し、前記センサ素子を搭載する前記センサチップの中心位置より上流側に形成される前記隙間を上流側開口部と呼び、下流側に形成される前記隙間を下流側開口部と呼ぶ時に、前記上流側開口部の方が前記下流側開口部より開口面積が小さく形成されていることを特徴とする空気流量測定装置。 - 請求項2に記載した空気流量測定装置において、
前記支持部材の厚さ方向で、その厚さ方向の中心より、前記センサチップの表面が露出している側をチップ側、その反対側を反チップ側と呼び、
前記下流側開口部のうち、前記支持部材の下流端面より外側(下流側)に形成される開口部を下流端開口部と呼ぶ時に、
この下流端開口部は、前記チップ側の方が前記反チップ側より開口面積が大きく形成されていることを特徴とする空気流量測定装置。
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