JP5215438B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
を塗布しているが、通常のインナーライナー工程とは別の工程が必要となり生産性が劣ることになる。
(A)スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIBS」ともいう。」)を含む厚さ0.05mm〜0.6mmの第1層と、
(B)スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう)およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(以下、「SIB」ともいう。」)の少なくともいずれかを含み、厚さが0.01mm〜0.3mmである第2層とからなるポリマー積層体で構成され、
前記第1層または第2層の少なくともいずれかに、炭素数4のモノマー単位を重合して得られるC4重合体を0.5質量%以上40質量%以下の範囲で混合されており、前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、かつ前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcよりもショルダー位置Peの厚さGeが厚いことを特徴とする空気入りタイヤである。
タイヤ子午断面において、前記カーカスプライ6とインナーライナー9の境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peと定義する。ここでトレッド部の接地端Teは、トレッド部の外側輪郭線を延長した線と、ショルダー部の外側輪郭線を延長した交点として定義される。
カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとする。
タイヤに規定内圧を充填し標準リムを装着したときの外側輪郭線の最大幅位置Leをとおるタイヤ回転軸に平行な線とカーカスプライ6とインナーライナー9の境界線との交点を最大幅位置Psとする。
前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナー9の輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとする。
前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナー9の輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとする。
インナーライナー9のクラウン中心位置Pcの厚さをGc、ショルダー位置Peにおける厚さをGe、最大幅位置Psにおける厚さをGsとする。
本発明においてショルダー部に形成される肉厚部は、インナーライナーの第1層および第2層の少なくともいずれかの厚さが、ショルダー部において厚くなるように調整するほか、ショルダー部に第3層を積層して肉厚部を形成することもできる。
<ポリマー積層体>
本発明のインナーライナーに用いられるポリマー積層体は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIBS」ともいう。)を含む厚さ0.05mm〜0.6mmの第1層と、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)の少なくともいずれかを含む第2層とからなり、前記第2層の厚さが0.01mm〜0.3mmである。
本発明において、第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)を含む。SIBSのイソブチレンブロック由来により、SIBSからなるポリマーフィルムは優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBSからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
本発明において、第1層のSIBS層は、炭素数4のモノマー単位を重合して得られるC4重合体を含む。該重合体の低分子量成分は、SIBS由来の耐空気透過性を損なうことなく、SIBS層と、他のポリマーシートやゴム層との未加硫時の粘着力および加硫接着力を向上させることができる。したがって、該C4重合体を含むSIBS層をタイヤのインナーライナー部に用いると、隣接するカーカスやインスレーションなどを形成するゴム層との接着力が向上し、インナーライナーとカーカス、またはインナーライナーとインスレーションの間のエアイン現象を防ぐことができる。
<第2層>
本発明において、第2層はスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)からなるSIS層およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)からなるSIB層の少なくともいずれかを含む。
本発明においてインナーライナーに用いられるポリマー積層体の構造は各種の形態を採用できる。これらの形態をインナーライナーの模式的断面図で示す、図3〜図6に基づき説明する。
ポリマー積層体PLは、図3に示すように、第1層としてのSIBS層PL1および第2層としてのSIS層PL2から構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIS層PL2がカーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIS層PL2とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体PLは、図4に示すように、第1層としてのSIBS層PL1および第2層としてのSIB層PL3から構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIB層PL3の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIB層PL3とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体PLは、図5に示すように、第1層としてのSIBS層PL1、第2層としてのSIS層PL2およびSIB層PL3が前記の順に積層されて構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIB層PL3の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIB層PL3とカーカスプライ61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体10は、図6に示すように、第1層としてのSIBS層PL1、第2層としてのSIB層PL3およびSIS層PL2が前記の順に積層されて構成される。該ポリマー積層体PLを空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIS層PL2の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIS層PL2とカーカスプライ61との接着強度を高めることができる。したがってインナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
ポリマー積層体PLは、SIBSと、SISおよびSIBの少なくともいずれかを、たとえば形態1〜4のいずれかに記載された順序でラミネート押出や共押出などの積層押出をして得ることができる。
本発明の空気入りタイヤは、一般的な製造方法を用いることができる。前記ポリマー積層体PLを空気入りタイヤ1の生タイヤのインナーライナーに適用して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。ポリマー積層体PLを生タイヤに配置する際は、ポリマー積層体PLの第2層であるSIS層PL2またはSIB層PL3が、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、SIS層PL2またはSIB層PL3とカーカス6との接着強度を高めることができる。得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た。
重量平均分子量 :70,000
<SIBS>
カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102(ショアA硬度25、スチレン成分含有量25質量%、重量平均分子量:100,000)」を用いた。
クレイトンポリマー社製のD1161JP(スチレン成分含有量15質量%、重量平均分子量:150,000)を用いた。
ポリブテン:新日本石油(株)社製の「日石ポリブテン グレードHV300」(数平均分子量300)を用いた。
上記、SIBS、SISおよびSIBを、2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)にてペレット化した。その後、Tダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲージ:0.3mm)にてインナーライナーを作製した。
(注2)表1〜3において、肉厚部の厚さ比(Ge/Gs)の値は、(Ge/Gc)の値と同じである。
比較例1は、SIBS層が1層のみの例であり、比較例2は、第1層がSIBS層、第2層がSIS層の例であり、比較例3は、第1層がSIBS層、第2層がSIB層の例である。比較例1〜3は、ショルダー位置Peに肉厚部が形成されているが、いずれもポリブテンが添加されていない例である。
表1において、実施例1〜3は第1層にSIBSを、第2層にSISを用いており、第1層にポリブテンを添加している。比較例4はポリブテンの添加量の少ない例、比較例5はポリブテンの配合量の多い例である。Ge/Gcの値は、いずれも119%である。
表2において、実施例4〜6は第1層にSIBSを、第2層にSISを用いており、第2層にポリブテンを添加している。比較例6はポリブテンの添加量の少ない例、比較例7はポリブテンの配合量の多い例である。Ge/Gcの値は、いずれも119%である。
表2において、実施例7〜9は第1層にSIBSを、第2層にSIBを用いており、第2層にポリブテンを添加している。比較例8はポリブテンの添加量の少ない例、比較例9はポリブテンの配合量の多い例である。Ge/Gcの値は、いずれも119%である。
表3において、比較例10、11、実施例10、11は第1層にSIBSを、第2層にSISを用いており、第1層にポリブテンを添加している。そして肉厚部の厚さ(Ge/Gc)の値を変化させている。比較例10,11のGe/Gcの値は、それぞれ12.5%、67%と低い値となっている。
表3において、比較例12、13、実施例12、13は第1層にSIBSを、第2層にSIBを用いており、第1層にポリブテンを添加している。そして肉厚部の厚さ(Ge/Gc)の値を変化させている。比較例12,13のGe/Gcの値は、それぞれ12.5%、67%と低い値となっている。
性能試験は、以下の方法で実施した。なお空気入りタイヤの性能に関しては、タイヤサイズが195/65R15のものを用いて以下の性能評価をおこなった。
JIS−K−6256「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの接着性の求め方」に準じて、試験片を作製した。ポリマー積層体のシートとゴムシートを貼り合わせて加硫し、加硫後に貼り合わせ界面での剥離力を測定した。剥離力を比較例1との相対値で指数表示をしている。値が大きいほど優れている。
転がり抵抗性は、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所)を用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪2%の条件下で各配合のtanδを測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗性が優れている。
<低温耐久性>
低温耐久性試験は、雰囲気温度−20℃のもと、タイヤ空気圧を120kPa、荷重負荷率を60%、速度80Km/hとして測定を行った。図中に示す低温耐久性は、インナーライナーにクラックが発生したときの走行距離を測定し、比較例1を基準に指数で表している。数値が高いほど低温耐久性に優れている。
サイズが195/65R15空気入りタイヤをJIS規格リムに組み付けて、初期空気圧300KPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を算出して、静的空気低下率の値とした。
<エアインの有無>
加硫後のタイヤ内側を外観検査し、エアインの有無を調査した。エアインの大きさが5mm以下のものが、3個以上存在する場合、又は5mmを超えるものが1個存在する場合は「有り」とし、それ例外は「無し」とした。
実施例1〜3および比較例1〜5の結果から、積層体の接着力、転がり抵抗、低温耐久性、静的空気低下率およびエアインの特性において、いずれも優れていることが認められる。
実施例12、13および比較例12、13の値から、本発明の実施例は転がり抵抗、低温耐久性、静的空気低下率およびエアインの特性において、いずれも優れていることが認められる。
Claims (10)
- 一対のビード部の間に装架されたカーカスプライのタイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、前記インナーライナーは、
(A)スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含む厚さ0.05mm〜0.6mmの第1層と、
(B)スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含み、厚さが0.01mm〜0.3mmである第2層とからなるポリマー積層体で構成され、
前記第1層または第2層の少なくともいずれかに、炭素数4のモノマー単位を重合して得られる数平均分子量が300以上で3,000以下のC4重合体を0.5質量%以上40質量%以下の範囲で混合されており、
前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置されており、
かつ前記インナーライナーはクラウン中央位置Pcにおける厚さGcに対しショルダー位置Peの厚さGeが110%〜350%であり、タイヤの最大幅位置Psにおける厚さGsに対しショルダー位置Peの厚さGeが110%〜350%であることを特徴とする空気入りタイヤ。 - タイヤ子午断面において、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線に対してトレッド部の接地端Teからタイヤ内径方向に法線Lを引き前記境界線との交点をショルダー位置Peとし、前記カーカスプライとインナーライナーの境界線とタイヤ中心線CLとの交点をクラウン中心位置Pcとし、さらに前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pcまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をショルダー距離Wcとしたとき、
前記インナーライナーの肉厚部は前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に前記ショルダー距離Wcの少なくとも10%の幅を有する領域に形成されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peからクラウン中心位置Pc側に、前記ショルダー幅Wcの少なくとも50%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーの前記ショルダー位置Peからタイヤ最大幅位置Psまでのインナーライナーの輪郭線に沿った距離をサイド距離Wsとしたとき、前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記サイド距離Wsの少なくとも20%の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記インナーライナーの肉厚部は、前記ショルダー位置Peから前記最大幅位置Ps側に、前記最大幅距離Wsの100%以下の幅を有する領域に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記炭素数4のモノマー単位を重合して得られる重合体が、ポリブテンおよびポリイソブチレンの少なくともいずれかからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記炭素数4のモノマー単位を重合して得られる重合体が、重量平均分子量700以上100,000以下、および粘度平均分子量20,000以上70,000以下の少なくともいずれかを満たす、請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体はスチレン成分含有量が10〜30質量%であり、重量平均分子量が50,000〜400,000である請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン成分含有量が10〜30質量%であり、重量平均分子量が100,000〜290,000である請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スチレン−イソブチレンジブロック共重合体の分子鎖は直鎖状であり、スチレン成分含有量が10〜35質量%であり、重量平均分子量が40,000〜120,000である請求項1〜9のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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