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JP5210745B2 - 車両のシートベルト装置およびその制御方法 - Google Patents

車両のシートベルト装置およびその制御方法 Download PDF

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JP5210745B2 JP2008186027A JP2008186027A JP5210745B2 JP 5210745 B2 JP5210745 B2 JP 5210745B2 JP 2008186027 A JP2008186027 A JP 2008186027A JP 2008186027 A JP2008186027 A JP 2008186027A JP 5210745 B2 JP5210745 B2 JP 5210745B2
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Description

この発明は、車両のシートに着座した乗員をウェビングによって拘束するシートベルト装置およびその制御方法に関するものである。
近年、シートベルト装置として、緊急時にモータによってウェビングを引き込むものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
このシートベルト装置は、ウェビングを引き込むためのモータと、車両の緊急状態を検出する加速度センサ等の車両状態検出手段と、車両状態検出手段の検出信号を受けてモータの通電電流を制御するコントローラを備え、車両状態検出手段が緊急状態を検出すると、コントローラによる制御によってモータを瞬時に駆動させ、乗員を確実に拘束し得る位置までウェビングを引き込むようになっている。
特開2004−224263号公報
ところで、車両の旋回時や減速時等にはシートに着座した乗員の上体が左右や前後に振られることがあり、この上体の振れをシートベルト装置によって抑えることが望まれている。
これに対し、上記従来のシートベルト装置においては、緊急時にのみモータによってウェビングを引き込むものであるため、車両の旋回時や減速時等には乗員拘束を得ることができない。
これに対処するため、車両の旋回時等の不安定挙動を検出するセンサを設け、そのセンサが車両の不安定挙動を検出したときにモータを駆動させることも考えられるが、通常運転時にモータによるウェビングの急激な巻取りがあると、乗員が違和感を覚えるという不具合を生じる。
すなわち、例えば、車両の旋回時に乗員が左右に振られる状況下において、モータによるウェビングの急激な引き込みが行われると、急激に立ち上がったウェビングの張力が乗員を強力に締め付け、このときウェビングから乗員に衝撃が伝達される。
そこで、この発明は、シートに着座した乗員が左右や前後に振られる状況下等においても、乗員に違和感を与えることなく乗員をシートに確実に拘束することのできる車両のシートベルト装置およびその制御方法を提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、シートに着座した乗員を拘束するウェビング(例えば、後述の実施形態におけるウェビング5)が巻回されるベルトリール(例えば、後述の実施形態におけるベルトリール12)と、前記ベルトリールに駆動力を伝達するモータ(例えば、後述の実施形態におけるモータ10)と、前記モータのウェビング巻取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記モータとベルトリールを接続状態に維持するクラッチ(例えば、後述の実施形態におけるクラッチ20)と、車両の状態を検出する車両状態検出手段(例えば、後述の実施形態における車両状態検出手段40)と、前記ベルトリールの回転位置を検出する位置検出手段(例えば、後述の実施形態における回転センサ11)と、を備え、前記車両状態検出手段が車両の不安定挙動を検出したときに、前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記モータの通電量を制御する車両のシートベルト装置において、前記車両状態検出手段が緊急時でない車両の不安定挙動を検出したときに、前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流を前記モータに通電する待機電流制御手段(例えば、後述の実施形態における待機電流制御手段42)と、この待機電流制御手段による電流制御中に、ベルトリールの回転位置が目標位置からの乖離許容代を超えてウェビング引出し方向に変位したときに制御を開始し、前記ベルトリールの回転位置が乖離許容代の範囲内に維持されるように前記モータの通電量を制御する保持電流制御手段(例えば、後述の実施形態における保持電流制御手段43)と、を設けたことを特徴とする。
この発明の場合、車両状態検出手段が車両の旋回等による緊急時でない車両の不安定挙動を検出すると、待機電流制御手段がクラッチを接続状態に維持し得る低電流をモータに通電する。これにより、モータとベルトリールが接続状態に維持され、モータ側の回転抵抗がベルトリールに付与される。この状態から、例えば、遠心力等によって乗員の上体が移動すると、ウェビングが引っ張られ、ベルトリールがウェビング引き出し方向に回転変位する。このとき、ベルトリールの回転位置が目標位置からの乖離許容代を超えて変位すると、保持電流制御手段による制御が開始され、ベルトリールの回転位置が乖離許容代の範囲内に維持されるようにモータの通電量を制御するようになる。これにより、モータは待機電流制御手段でのベース電流にウェビングの引き出しに応じた電流量を加算するかたちで通電が継続されることになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両のシートベルト装置において、前記保持電流制御手段による制御での下限通電量を、前記待機電流制御手段と同様の低電流に設定したことを特徴とする。
これにより、保持電流制御手段による制御に移行した後にも、下限通電量がクラッチを接続状態に維持し得る低電流となるため、ベルトリールの引き込み方向の回転が停止した後の急激な拘束力の抜けが生じなくなり、再引き込みの際にも拘束力の急増が生じなくなる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両のシートベルト装置において、前記待機電流制御手段による制御中の乖離許容代は、前記保持電流制御手段による制御中の乖離許容代よりも大きく設定されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のシートベルト装置において、前記ベルトリールの回転位置が緊急巻取り位置まで変位するように前記モータに対する通電量を制御する緊急巻取り制御手段(例えば、後述の実施形態における緊急巻取り制御手段44)を設け、前記車両状態検出手段が緊急状態を検出したときには、前記待機電流制御手段や保持電流制御手段による電流制御を回避して前記緊急巻取り制御手段による電流制御を開始するようにしたことを特徴とする。
これにより、緊急時には緊急巻取り制御手段による制御が優先して実行され、ベルトリールが緊急巻取り位置まで速やかに回転変位するようになる。
請求項に記載の発明は、シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されるベルトリールと、前記ベルトリールに駆動力を伝達するモータと、前記モータのウェビング巻取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記モータとベルトリールを接続状態に維持するクラッチと、車両の状態を検出する車両状態検出手段と、前記ベルトリールの回転位置を検出する位置検出手段と、を備え、前記車両状態検出手段が車両の不安定挙動を検出したときに、前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記モータの通電量を制御する車両のシートベルト装置の制御方法において、前記車両状態検出手段が緊急時ない車両の不安定挙動を検出したときに、前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流を前記モータに通電するステップ(例えば、後述の実施形態におけるステップS116)と、通電中における前記ベルトリールの回転位置を監視して目標位置と比較するステップ(例えば、後述の実施形態におけるステップ104)と、前記ベルトリールの回転位置が、前記目標位置からの乖離許容代を超えてウェビング引き出し方向に変位したときに、前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御するステップ(例えば、後述の実施形態におけるステップS110)と、を備えていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車両のシートベルト装置の制御方法において、前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御しているときに、前記ベルトリールの回転位置が前記目標位置の近傍に所定時間を越えて維持された場合には、前記モータへの通電量を、前記クラッチを接続状態に維持し得る前記低電流に低下させることを特徴とする。
この場合、ベルトリールの回転位置が目標位置の近傍に所定時間を越えて維持されるまでは、通電電流を低電流まで低下させないため、乗員の移動が再び起こる可能性の高い状況ではウェビングによる拘束力が維持される。
請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の車両のシートベルト装置の制御方法において、前記目標位置からの乖離許容代を変更するステップ(例えば、後述の実施形態におけるステップS107,S117)を備え、前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流を前記モータに通電するステップから、前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御するステップに移行する前の乖離許容代(例えば、後述の実施形態における乖離許容代Xth1)は、前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御するステップに移行した後の乖離許容代(例えば、後述の実施形態における乖離許容代Xth2)よりも大き設定することを特徴とする。
これにより、乗員の上体の振れが少なくクラッチを接続状態に維持し得る低電流でモータを制御する状況では、乖離許容代が大きく設定され、電流量の変更頻度が抑制される。また、乗員の上体の振れが大きくなりモータへの通電量を増加させる状況では、乖離許容代が小さく設定され、電流量が頻繁に調整されるようになる。
請求項1,に記載の発明によれば、車両状態検出手段によって緊急時でない車両の不安定挙動が検出されると、クラッチを接続状態に維持し得る低電流でモータの通電電流が制御された後に、ウェビングの引き出しに応じた電流量を加算するかたちで通電が継続されるため、トルクの急増による違和感を乗員に与えることなく、乗員の移動を速やかに、かつ確実に抑制することができる。
また、この発明によれば、最初に、クラッチを接続状態に維持し得る低電流でモータの通電電流が制御されるため、後に、乗員移動とともにベルトリールを引き込み方向に回転させる場合に、応答を過剰に早めることなく乗員の振れを速やかに抑制することができるとともに、乗員拘束に際しての最大駆動力を低減して、作動の唐突感を小さくすることができる。
さらに、車両状態検出手段によって緊急時でない車両の不安定挙動が検出された後に実際に乗員の移動が発生しない場合には、ウェビングの拘束力の増大を行わないため、不要な拘束を無くして乗員の快適性を向上させることができるとともに、消費電力の低減も図ることができる。
請求項2,に記載の発明によれば、ベルトリールの引き込み方向の回転が停止した後の急激な拘束力の抜けが生じなくなるとともに、再引き込みの際にも拘束力の急増が生じなくなるため、乗員の快適性をより高めることができる。
また、請求項に記載の発明によれば、ベルトリールの回転位置が目標位置の近傍に所定時間を越えて維持されない限り通電電流を低電流まで低下させないため、連続的な乗員の振れに速やかに対応することができる。
請求項に記載の発明によれば、緊急時には緊急巻取り制御手段による制御が優先して実行されるため、ウェビングによる迅速な乗員拘束を実現することができる。
請求項3,7に記載の発明によれば、乗員の上体の振れが少ない状況では、乖離許容代が大きく設定されるため、モータによるウェビングの引き込み頻度を少なくして乗員の快適性を維持することができ、乗員の上体の振れが大きくなる状況では、乖離許容代が小さく設定されるため、ウェビングの引き込み頻度を高めて乗員をより安定的にシートに保持することができる。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明にかかるシートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ウェビング5は、初期状態ではリトラクタ4に巻き取られており、乗員3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に固定することにより、乗員3の主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。また、このシートベルト装置1は、緊急時や車両の挙動変化が大きいときに、電動式のモータ10によって自動的にウェビング5の引き込みを行う。
リトラクタ4は、図2に示すようにケーシング(図示せず)に回転可能に支持されたベルトリール12にウェビング5が巻回されるとともに、ケーシングの一端側にベルトリール12の軸が突出している。このベルトリール12は、動力伝達機構13を介してモータ10の回転軸10aに連動可能に接続されている。動力伝達機構13は、モータ10の回転を減速してベルトリール12に伝達する。また、リトラクタ4には、ベルトリール12をウェビング巻取り方向に付勢する図示しない巻取りばねが設けられ、ベルトリール12とモータ10が後述するクラッチ20によって切り離された状態において、巻取りばねによる張力がウェビング5に作用するようになっている。
また、リトラクタ4には、ベルトリール12の回転位置を検出する回転センサ11(位置検出手段)が設けられている。この回転センサ11は、例えば、円周方向に沿って異磁極が交互に着磁され、ベルトリール12と一体に回転する磁性円板と、この磁性円板の外周縁部に近接配置された一対のホール素子と、ホール素子の検出信号を処理するセンサ回路とから成り、センサ回路で処理されたパルス信号がコントローラ21に出力されるようになっている。
この場合、ベルトリール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、ベルトリール12の回転量や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってベルトリール12の回転量(ウェビング5の引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってベルトリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、両パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってベルトリール12の回転方向を検出する。
図3〜図5は、動力伝達機構13の具体的な構成を示すものである。
動力伝達機構13は、サンギヤ14が駆動入力用の外歯15に一体に結合されるとともに、複数のプラネタリギヤ16を支持するキャリア17がベルトリール12の軸に結合されている。そして、プラネタリギヤ16に噛合したリングギヤ18の外周側には複数のラチェット歯19(図4参照)が形成され、このラチェット歯19がクラッチ20の一部を構成するようになっている。このクラッチ20は、コントローラ21によるモータ10の駆動力の制御によってモータ10とベルトリール12の間の動力伝達系を適宜断切する。
動力伝達機構13のモータ側動力伝達系22は、サンギヤ14と一体の外歯15に常時噛合される小径の第1コネクトギヤ23と、この第1コネクトギヤ23と同軸にかつ一体に回転し得るように設けられた大径の第2コネクトギヤ24と、この第2コネクトギヤ24とモータギヤ25(モータ10の回転軸10aと一体)の間にあって動力伝達可能に常時噛合される第1,第2アイドラギヤ26,27と、から構成されている。モータ10の正転方向の駆動力は、図4中の実線矢印で示すように各ギヤ25,27,26を通して第2,第1コネクトギヤ24,23へと伝達され、さらに外歯15を介してサンギヤ14に伝達された後にプラネタリギヤ16とキャリア17を介してベルトリール12に伝達される。このモータ10の正転方向の駆動力は、ウェビング5を引き込む方向にベルトリール12を回転させる。ただし、サンギヤ14からプラネタリギヤ16に伝達された駆動力は、リングギヤ18が固定されているときに前記のようにすべてキャリア17側に伝達されるが、リングギヤ14の回転が自由な状態においては、プラネタリギヤ16の自転によってリングギヤ18を空転させる。クラッチ20は、リングギヤ14の回転のロックとロック解除を制御することによって、ベルトリール12(キャリア17)に対するモータ駆動力の伝達をオン・オフ操作する。
ここで、クラッチ20について図4,図5を参照して説明する。
クラッチ20は、図示しないケーシングに回動可能に支持され、先端部に係止爪28を有するパウル29と、このパウル29を操作するクラッチスプリング30と、パウル29の係止爪28に係合可能な前記リングギヤ14のラチェット歯19と、を備え、係止爪28は、パウル29がラチェット歯19方向に操作されたときに、ラチェット歯19の傾斜面とほぼ直交する面に突き当たり、リングギヤ14の一方向の回転をロックする。
また、クラッチスプリング30は付根部側が円弧状に湾曲し、その湾曲部31が第1コネクトギヤ23の軸部の外周に巻き付いた状態で係止されている。そして、クラッチスプリング30の先端部はパウル29方向に延出し、パウル29の操作窓32に係合するようになっている。なお、クラッチスプリング30の湾曲部31は摩擦によって第1コネクトギヤ23の軸部に係合しており、第1コネクトギヤ23との間に設定値以上のトルクが作用すると、そのトルクによって第1コネクトギヤ23との間で滑りを生じる。
したがって、このクラッチ20は、モータ10が正転方向(図4中の実線矢印参照。)に回転すると、クラッチスプリング30が、図5の実線で示す姿勢から鎖線で示す姿勢に変化し、これによってパウル29の係止爪28が図4に示すようにラチェット歯19に噛合してリングギヤ18の回転をロックする。なお、このときラチェット歯19はリングギヤ18の一方向の回転を確実にロックすることができるが、リングギヤ18が逆方向に回転しようとしたときにも、ラチェット歯19が係止爪28を押し上げるためにある程度以上の力が必要となる。このため、クラッチスプリング30は、リングギヤ18の逆方向の回転に対してもある程度以上の抵抗力を付与する。
このようにリングギヤ18の回転がロックされると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がすべてキャリア17の回転となってベルトリール12に伝達されるようになる(クラッチオン状態)。
一方、このクラッチオン状態からモータ10が逆転すると、第1コネクトギヤ23が、図4中の点線矢印で示すように回転して、クラッチスプリング30を図5中の実線で示すように回動させる。これにより、パウル29の係止爪28がラチェット歯19から引き離され、リングギヤ18のロックが解除される。
このようにリングギヤ18のロックが解除されると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がプラネタリギヤ16を自転させ、このときリングギヤ18を空転させてキャリア17(ベルトリール12)側に動力が伝達されないようにする(クラッチオフ状態)。
ところで、コントローラ21には、図2に示すように回転センサ11の他に、車両の比較的軽微な不安定挙動、例えば車両の旋回時や減速時に乗員の上体が左右や前後に振られる前兆となる状態を検出する第1の車両状態検出手段40と、車両が緊急状態(極度に不安定な挙動を呈する可能性の高い状態)に直面していることを検出するための第2の車両状態検出手段41が接続されている。
第1の車両状態検出手段40には、例えば、横加速度センサや前後加速度センサ、車輪のスリップセンサ等が用いられる。また、第1の車両状態検出手段40としては、例えば、車両の不安定挙動を車速と舵角を用いて予測するものや、カーナビゲーションの地図情報から予測するもの、レーダーによる前方検知の情報から予測するもの、車両に作用する加速度の微分値から予測するもの、さらにこれらを総合して判断するもの等が採用可能である。
また、第2の車両状態検出手段41としては、VSAが作動し、かつヨーレートやスリップ角度が所定値以上であることを基に判断するものや、横加速度センサや前後加速度センサが所定値以上であることを基に判断するもの等が採用可能である。
また、コントローラ21は、クラッチ20を接続状態に維持し得る低電流Iw(接続状態に維持し得るほぼ最小の電流)をモータ10に通電する待機電流制御手段42と、待機電流制御手段42による低電流Iwでの制御中に、ベルトリール12の回転位置が目標位置から乖離許容代Xthを超えてウェビング引出し方向に変位したときに、ベルトリール12の回転位置が乖離許容代Xthの範囲内に維持されるようにモータ10の通電量を制御する保持電流制御手段43と、ベルトリール12の回転位置が緊急巻取り位置に迅速に変位するようにモータ10に対する通電量を制御する緊急巻取り制御手段44と、第1,第2の車両状態検出手段40,41の出力信号を基にして車両の状態を判定する車両状態判定手段45と、ベルトリール12の回転位置と目標位置との乖離量が乖離許容代Xthの範囲内にあるかどうかを判定する乖離量判定手段46と、を備えている。
車両状態判定手段45は、車両が比較的軽微な不安定挙動であると判定したときには、待機電流制御手段42によるモータ10の制御を選択し、車両が緊急状態であると判定したときには、緊急巻取り制御手段44によるモータ10の制御を選択する。また、乖離量判定手段46は、乖離量が乖離許容代Xthの範囲内にあると判定したときには、待機電流制御手段42によるモータ制御を選択し、乖離量が乖離許容代Xthの範囲内にないと判定したときには、保持電流制御手段43によるモータ制御を選択する。
なお、クラッチ20を接続状態に維持し得る低電流Iwの決定方法は、例えば、以下の(a)〜(c)を採用することができる。
(a)予め使用される環境下(電圧・温度・湿度等)で最適な電流(クラッチ20を接続状態に維持し得る最低起動電流)の値を記憶しておき、その値を低電流Iwとして用いる。
(b)回転センサ11の情報を基に、ウェビング5(ベルトリール12)が微動したことを検出し、そのときの電流値を低電流Iwとして用いる。
(c)(a),(b)のいずれかを状況に応じて選択して用いる。
また、ベルトリール12の回転位置が乖離許容代Xthを超えたときにおける、保持電流制御手段43による電流制御は、例えば、以下の(d)〜(f)を採用することができる。
(d)ベルトリール12の変位増加に対して通電量を線形的に増加させる。
(e)ベルトリール12の変位増加に対して通電量を非線形的に増加させる。
(f)(d),(e)のいずれかを状況に応じて選択する。
以下、このシートベルト装置1のコントローラ21による制御を図6〜図8のフローチャートを基にして説明する。
図6は、制御のメインフローを示すものである。
このメインフローのステップS1においては、走行時におけるベルトリール12の巻取り位置を常時計測し、計測値の平均値等を利用して巻取り基準位置を設定する。
ステップS2においては、車両状態検出手段40,41や回転センサ11等の情報を読み込む。
ステップS3においては、車両が緊急状態であるかどうかを判定し、NOの場合には、ステップS4に進み、YESの場合には、緊急時制御S8へと進む。
ステップS4では、車両が軽微な不安定挙動であるかどうかを判定し、YESの場合には、通常時制御S6に進み、NOの場合には、リターンする。
通常時制御S6を終えた後には、ステップS7に進んで、再度車両が緊急状態であるかどうかを判定し、YESの場合には、緊急時制御S8に進んでからステップS9に進み、NOの場合には、そのままステップS9へと進む。ステップS9においては、車両が安定状態であるかどうかを判定し、YESの場合には、リターンし、NOの場合には、ステップS2に戻る。
すなわち、このメインフローにおいては、車両が緊急状態であるかどうかを判定し、緊急状態であると判定されたときには、緊急時制御S8を優先して行い、緊急状態でないと判定されたときに、通常時制御S6を行う。
図7は、通常時制御S6のフローを示すものである。
通常時制御では、最初に、ステップS101でベルトリール12の目標位置X1(目標回転位置)を設定する。この目標位置X1は、例えば、基準位置と同値や、基準位置に車両の走行状況等に応じた値を加算した値に設定する。
次のステップS102においては、クラッチを接続状態に維持し得る低電流Iwでモータ10を通電するとともに、モータ10が低電流Iwで運転していることの指標となる待機フラグをONにし、ベルトリール12の現在位置X(現在の回転位置)と目標位置X1との乖離許容代XthをXth1に設定する。なお、乖離許容代Xthに設定する値は、Xth1(例えば、10〜20mm)とXth2(例えば、5〜6mm)の2種類が用意されており、ここでは大きい方の値Xth1が用いられる。また、ステップS102でモータ10に通電する低電流Iwは、ウェビング5がほぼ無負荷状態のときにベルトリール12を弱い力で巻き取ることのできる値に設定しておけば、ウェビング5の弛みをこの段階で無くすことができる。
次のステップS103においては、ベルトリール12の現在位置Xが目標位置X1と等しくないかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS104に進み、NOの場合には、ステップS105へと進む。ステップS104では、目標位置X1と現在位置Xの差の絶対値が乖離許容代Xthよりも大きいかどうかを判定し、乖離許容代Xthよりも大きい場合には、ステップS106に進み、大きくない場合には、ステップS105へと進む。すなわち、現在位置Xが乖離許容代Xthの範囲内にある場合には、ステップS105に進み、それ以外の場合には、ステップS106へと進む。
ステップS106においては、ベルトリール12の現在位置Xが目標位置X1よりも小さいかどうか、つまり、ウェビング5を巻足りない状態であるか、或いは、巻き過ぎた状態であるかを判定し、巻足りない状態の場合(YESの場合)には、ステップS107に進み、巻き過ぎた状態の場合(NOの場合)には、ステップS108へと進む。
ステップS107に進んだ場合には、待機フラグをOFFにし、かつ、乖離許容代Xthを値の小さいXth2に設定してからステップS109に進む。
ステップS109では、モータ10に対する現在の通電量Iに微小電流ΔIを加算した場合に、上限値Iupper_limitを超えないかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS110に進んでモータ10の通電量をΔIだけ増加してからステップS111に進み、NOの場合には、そのままステップS111へと進む。
また、ステップS108では、モータ10に対する現在の通電量Iから微小電流ΔIを減算した場合に、クラッチ20を接続状態に維持し得る低電流Iwよりも大きいかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS112に進んでモータ10の通電量をΔIだけ減算してからステップS111に進み、NOの場合には、ステップS113でモータ10の通電量を低電流Iwに設定してからステップS111に進む。
ステップS111においては、車両が緊急状態であるかどうかを判定し、YESの場合には、通常時制御S6を終了して後の緊急時制御S8に移行する。また、ステップS111でNOの場合には、次のステップS114において、車両が不安定挙動であるかどうかを判定し、ここでYESの場合には、ステップS103に戻り、NOの場合には通常時制御S6を終了する。
ここで説明したステップS106からステップS111までの一連の処理は、ベルトリール12の回転位置Xが乖離許容代Xthから外れている場合に、通電量を増減する処理であり、増加する通電量が上限値Iupper_limitを超える場合にはそれ以上の電流増加を中止し、減少させる通電量が低電流Iwを下回る場合には、通電量を低電流Iwに固定するものである。
この一連の処理は、主に、後述するステップS105からステップS111までの低電流Iwでの通電制御(待機電流制御)が行われている最中に乗員の上体の振れ等によってベルトリール12が乖離許容代Xthを超えて変位したときに、その変位を乖離許容代Xth内に戻すように通電電流を制御するものであり、前述した保持電流制御手段43による機能に相当している。また、ステップS107では、乖離許容代Xthが値の小さいXth2に設定されるため、一度保持電流制御に移行した後には、ステップS104での判定基準が緩くなり、ウェビング5の僅かな引き出し量の変動に対してベルトリール12の回転位置が修正されるようになる。
一方、ステップS103またはS104で現在位置Xが乖離許容代Xthの範囲内にあると判定されてステップS105に進んだ場合には、そのステップS105で待機フラグがOFFであるかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS114に進んで待機フラグをONするとともにタイマーをスタートさせ(t=0)、その後にステップS111へと進む。ステップS106からステップS111の処理(保持電流制御)を経た後に初めてステップS105に進んだときには、このステップS115の処理が行われる。
ステップS105において、NOの場合には、ステップS116に進んでタイマーのカウント時間tが所定時間t1を超えたかどうかの判定を行い、YESの場合には、ステップS117に進んで、モータ10の通電量をクラッチ20を接続状態に維持し得る低電流Iwに設定するとともに乖離許容代Xthを値の大きいXth1に設定し、その後にステップS111へと進む。また、ステップS116でNOの場合には、そのままステップS111に進む。すなわち、ステップS106からステップS111までの処理(保持電流制御)を経た後には、所定時間t1の経過を待ってからモータ14の通電量が低電流Iwに切り替えられる。
なお、ステップS117において、モータ10の通電量を低電流Iwに設定する処理は、前述した待機電流制御手段42の機能に対応している。また、ステップS117では、乖離許容代Xthが値の大きいXth1に設定されるため、一度待機電流制御に移行した後には、ステップS104での判定基準が厳しくなり、ウェビング5の僅かな引き出し量の変動によって保持電流制御に移行しにくくなる。
図8は、緊急時制御S8のフローを示すものである。
緊急時制御のステップS201においては、ベルトリール12の目標位置X2(目標引き込み位置)を設定するとともに、ベルトリール12の回転位置が一度目標位置X2に達したことを示す指標となる到達フラグをOFFに設定する。目標位置X2は、乗員をウェビング5で強固に拘束し得るものに設定され、通常時制御S6における目標位置X1よりも大きな値となる。
つづくステップS202においては、到達フラグがONであるかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS203に進み、NOの場合には、ステップS204へと進む。緊急時制御を開始した初回は、ステップS201で到達フラグがOFFに設定されるため、このときステップS204へと進む。
ステップS204では、予め設定された初期値I0でモータ10を通電し、次のステップS205においては、ベルトリール12の現在位置Xが目標位置X2以上であるかどうかを判定する。このとき、YESの場合には、ステップS206に進んで到達フラグをONにしてからステップS211に進み、NOの場合には、そのままステップS211へと進む。
ステップS211においては、車両が安定状態かどうかを判定し、YESの場合には緊急時制御を終了し、NOの場合には、ステップS202に戻る。
したがって、ステップS205においては、現在位置Xが目標位置X2まで一度達するまでは到達フラグがOFFのままとなり、初期値I0でのモータ10の通電が継続される。
ステップS206で到達フラグがONに設定されると、ステップS202からステップS203へと進み、ステップS203において、現在位置Xが目標位置X2と等しくないかどうかを判定する。ここで、YESの場合には、ステップS207に進み、NOの場合には、ステップS111へと進む。
ステップS207においては、現在位置Xと目標位置X2のずれが所定値以上であるかどうかの判定を行い、YESの場合には、ステップS208に進み、NOの場合には、ストップS211へと進む。
ステップS208においては、現在位置Xが目標位置X2よりも小さいかどうかの判定を行い、YESの場合(小さい場合)には、ステップS209に進んで通電量を増加してからステップS211に進み、NOの場合(大きい場合)には、ステップS210に進んで通電量を減少してからステップS211へと進む。
したがって、ステップS203からステップS211までの一連の処理においては、ベルトリール12の回転位置(現在位置)が一度目標位置に達した後に、ベルトリール12の回転位置が維持されるようにモータ10の通電量を制御する。
以上のように、このシートベルト装置1では、第1の車両状態検出手段40によって軽微な不安定挙動が検出されると、待機電流制御手段42によってクラッチ20を接続状態に維持し得る低電流Iwにモータ10の通電電流が制御され、その後の乗員の上体移動に備えられる(ステップS117)。つまり、この状態では、ベルトリール12(ウェビング5)にクラッチ20を介してモータ10側の回転抵抗が付与され、ウェビング5に作用する外力に対してある程度以上の力で対抗できるようになる。
そして、この後に実際に乗員の上体が左右や前後に移動して、ウェビング5がモータ10側の回転抵抗に抗してある量(乖離許容代Xth)以上に引き出されると、保持電流制御手段43によってベルトリール12の変位に応じて通電量を増大させるようにモータ10の通電電流が制御される(ステップS106〜S111)。
このシートベルト装置1の場合、最初に、クラッチ20を接続状態に維持し得る低電流Iwを流して、ウェビング5の引き出しに対してある程度の抵抗力を付与できるようにしておき、この状態から実際に乗員の上体の振れによってベルトリール12が引き出されたときに、ベースとなるの低電流Iwにベルトリール12の変位に応じた電流量を加算するかたちで通電が継続される。このため、乗員の上体をウェビング5で実際に拘束する際に、トルクの急増による違和感(張力の急増による衝撃)を乗員に与えることがない。
そして、乗員を実際に拘束する前に予めベルトリール12にモータ10側の回転抵抗を作用させているため、乗員の上体移動に対して応答を過剰に早めることなく乗員の上体の振れを速やかに抑制することができ、さらに、乗員拘束に際しての最大駆動力を低減できることから、作動の唐突感を小さくすることができる。
また、このシートベルト装置1の場合、第1の車両状態検出手段40によって一度軽微な不安定挙動が検出された後、実際に乗員の上体が大きく振れる事態に至らなかったときには、モータ10によるウェビング5の強い引き込みが行われないため、乗員に不要な拘束力を付与することによって不快感を与えることがないうえ、モータ10での消費電力を抑制することができる。
さらに、このシートベルト装置1においては、保持電流制御手段43によってモータ10を制御する際にも、下限通電量が、クラッチ20を接続状態に維持し得る低電流Iwに設定されているため、ベルトリール12の引き込み方向の回転が停止した後の急激な拘束力の抜けが生じなくなるとともに、再引き込みの際にも拘束力の急増が生じなくなる。このため、乗員の快適性をより高めることができる。
また、保持電流制御手段43による引き出しに応じた制御から待機電流制御手段42による低電流Iwでの制御に戻るのは、ベルトリール12の回転位置が目標位置X1の近傍に所定時間以上維持されることを条件として制限されている(ステップS116)ため、乗員の上体が瞬時安定した後に連続的に振られるような状況下においても、乗員の振れに速やかに対応することができるとともに、ウェビング5の引き出し量の抑制と衝撃の低減を図ることができる。
また、このシートベルト装置1においては、待機電流制御手段42による低電流Iwでの制御時には乖離許容代Xthが大きく設定され、保持電流制御手段43による引き出しに応じた制御時には、乖離許容代Xthが小さく設定されるため、乗員の上体の振れの少ない状況では、拘束力の付与頻度を少なくして乗員の快適性を維持することができるとともに、乗員の上体の振れが大きくなる状況では、拘束力の付与頻度を高めて乗員を安定姿勢に確実に保持することができる。
また、このシートベルト装置1では、待機電流制御手段42や保持電流制御手段43以外に緊急巻取り手段44を備え、緊急状態が検出されたときには、待機電流制御手段42や保持電流制御手段43よりも優先して緊急巻取り手段44による制御を実行するため、緊急時には常に迅速な乗員拘束を実現することができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
この発明の一実施形態のシートベルト装置の概略構成図。 同実施形態のシートベルト装置のリトラクタとコントローラの概略構成図。 同実施形態のシートベルト装置のリトラクタの概略構成図。 同実施形態のリトラクタの動力伝達系を正面から見た概略構成図。 同実施形態の動力伝達系の一部の拡大図。 同実施形態の制御の流れを示すフローチャート。 同実施形態の制御の流れを示すフローチャート。 同実施形態の制御の流れを示すフローチャート。
符号の説明
1…シートベルト装置
5…ウェビング
10…モータ
11…回転センサ(位置検出手段)
12…ベルトリール
20…クラッチ
40…第1の車両状態検出手段(車両状態検出手段)
42…待機電流制御手段
43…保持電流制御手段
44…緊急巻取り制御手段

Claims (7)

  1. シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されるベルトリールと、
    前記ベルトリールに駆動力を伝達するモータと、
    前記モータのウェビング巻取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記モータとベルトリールを接続状態に維持するクラッチと、
    車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
    前記ベルトリールの回転位置を検出する位置検出手段と、を備え、
    前記車両状態検出手段が車両の不安定挙動を検出したときに、前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記モータの通電量を制御する車両のシートベルト装置において、
    前記車両状態検出手段が緊急時でない車両の不安定挙動を検出したときに、前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流を前記モータに通電する待機電流制御手段と、
    この待機電流制御手段による電流制御中に、ベルトリールの回転位置が目標位置からの乖離許容代を超えてウェビング引出し方向に変位したときに制御を開始し、前記ベルトリールの回転位置が乖離許容代の範囲内に維持されるように前記モータの通電量を制御する保持電流制御手段と、を設けたことを特徴とする車両のシートベルト装置。
  2. 前記保持電流制御手段による制御での下限通電量を、前記待機電流制御手段と同様の低電流に設定したことを特徴とする請求項1に記載の車両のシートベルト装置。
  3. 前記待機電流制御手段による制御中の乖離許容代は、前記保持電流制御手段による制御中の乖離許容代よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両のシートベルト装置。
  4. 前記ベルトリールの回転位置が緊急巻取り位置まで変位するように前記モータに対する通電量を制御する緊急巻取り制御手段を設け、
    前記車両状態検出手段が緊急状態を検出したときには、前記待機電流制御手段や保持電流制御手段による電流制御を回避して前記緊急巻取り制御手段による電流制御を開始するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のシートベルト装置。
  5. シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されるベルトリールと、
    前記ベルトリールに駆動力を伝達するモータと、
    前記モータのウェビング巻取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記モータとベルトリールを接続状態に維持するクラッチと、
    車両の状態を検出する車両状態検出手段と、
    前記ベルトリールの回転位置を検出する位置検出手段と、を備え、
    前記車両状態検出手段が車両の不安定挙動を検出したときに、前記位置検出手段の検出結果に基づいて前記モータの通電量を制御する車両のシートベルト装置の制御方法において、
    前記車両状態検出手段が緊急時ない車両の不安定挙動を検出したときに、前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流を前記モータに通電するステップと、
    通電中における前記ベルトリールの回転位置を監視して目標位置と比較するステップと、
    前記ベルトリールの回転位置が、前記目標位置からの乖離許容代を超えてウェビング引き出し方向に変位したときに、前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御するステップと、
    を備えていることを特徴とする車両のシートベルト装置の制御方法。
  6. 前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御しているときに、前記ベルトリールの回転位置が前記目標位置の近傍に所定時間を越えて維持された場合には、前記モータへの通電量を、前記クラッチを接続状態に維持し得る前記低電流に低下させることを特徴とする請求項5に記載の車両のシートベルト装置の制御方法。
  7. 前記目標位置からの乖離許容代を変更するステップを備え、
    前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流を前記モータに通電するステップから、前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御するステップに移行する前の乖離許容代は、前記ベルトリールの回転位置が目標位置に近づくように前記モータの通電量を制御するステップに移行した後の乖離許容代よりも大き設定することを特徴とする請求項5または6に記載の車両のシートベルト装置の制御方法。
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