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JP5207264B2 - 水性防汚塗料組成物及びその製造方法 - Google Patents

水性防汚塗料組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、防汚性を有する水性塗料組成物及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、水中構築物や漁網、船底への海中生物および海藻類の付着を防止する塗膜を形成可能な水性塗料組成物及びその製造方法に関するものである。
防汚塗料から形成される塗膜は、これに含まれる防汚薬剤成分が海中に溶出することによって防汚効果を発揮する。ロジン系化合物を使用した崩壊型防汚塗料から形成される塗膜は、長時間にわたって海中に浸漬されていると、徐々に溶出分が少なくなって、不溶出分が多くなり、それと共に塗膜面が凹凸状となり、そのため海中生物等の生物の付着防止効果が著しく低下する。一方、自己研磨型塗料から形成される塗膜は、塗膜表面が徐々に表面更新し(自己研磨)、塗膜表面に常に防汚成分が露出することにより、長期の防汚効果が発揮される。これらの防汚塗料は、キシレンやアルコール等種々の有機溶剤が多量に含まれており、近年のVOC(Volatile Organic Compound)問題から、これらに代わる水性防汚塗料が種々検討されている。
自己研磨型防汚塗料として、例えば、特許文献1(特開昭62−57464号公報)及び特許文献2(特開昭62−84168号公報)には、側鎖の末端部に金属原子含有基を有する樹脂を含む樹脂組成物をビヒクルとして含有する防汚塗料組成物が記載されている。また、この金属原子として、特許文献1にはZn、Cu、Teが記載され、特許文献2にはBa、Cd、Hg、Al、Sn、Pb、Si、Se、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni等の2価以上の金属原子が例示されている。
特許文献3(特開平11−35877号公報)には、金属原子を含有する重合性単量体を含む単量体混合物の共重合体をビヒクルとして含有する自己研磨型防汚性塗料組成物が記載されている。また、この金属原子としてMg、Zn、Cuが記載されている。
特許文献4(特開2002−012630号公報)には、無機金属化合物とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体の反応物と、アルコール系溶剤を含む有機溶剤と、水とからなる金属含有モノマー混合物と、その他のラジカル重合性単量体とを共重合して得られる金属含有樹脂組成物をビヒクルとして含有する自己研磨型防汚性塗料組成物が記載されている。また、その金属としてZn、Al、Ca、Cu、Mg、Mn等が記載されている。
特許文献5(特開2003−49123号公報)においては、2価の金属を含有する樹脂と水と塩基性化合物を含有し、またはアルコール系化合物を更に含有することを特徴とする水性防汚塗料組成物が提案されている。この2価金属としてCu、Zn、Mg、Ca、塩基性化合物としてアンモニア、アミンが記載されている。また、2価の金属を含有する樹脂が、2価の金属を含有する重合性単量体を含む単量体混合物を重合して得られるものであることが記載されている。
特許文献6(特開2000−109729号公報)においては、樹脂分子中にカルボキシル基及び/又は金属カルボキシレート基を含有し、かつエマルション重合によって得られる樹脂酸価が10〜300mgKOH/gの水性樹脂エマルション、及び必要に応じてカルボン酸と2価以上の金属とを有する水性金属錯体を含有する水性防汚塗料が提案されている。この金属としてCu、Zn、Ca、Mg、Zr、Feが記載されている。
特許文献7(特開平11−172159号公報)においては、酸価10〜300mgKOH/gを有する基体樹脂中のカルボキシル基と2価金属との当量比が0.1〜5となるよう形成された金属カルボキシレート構造を分子内及び/又は分子間に有する樹脂を、乳化剤を用いて水分散してなる水性樹脂エマルジョンを防汚性を有するバインダーとして含有してなる水性防汚樹脂組成物が提案されている。この2価金属としてCu、Zn、Ca、Mgが記載されている。
特開昭62−57464号公報 特開昭62−84168号公報 特開平11−35877号公報 特開2002−012630号公報 特開2003−49123号公報 特開2000−109729号公報 特開平11−172159号公報
しかし、特許文献1〜4に記載されている防汚塗料は、一般的な有機溶剤に溶解した状態で使用されているものであり、近年環境衛生上望まれている水性化を満足するものではない。
特許文献5の水性防汚塗料は、2価の金属に配位する塩基性化合物を多量に含有するため、塩基性化合物が塗膜中に残存し、耐水性が低く、塗膜の密着性に課題がある。
特許文献6の水性防汚塗料は、エマルション重合において樹脂中に導入される2価の金属含有モノマー成分の不足を補うため、カルボン酸と金属と塩基性化合物との水性金属錯体を配合した場合、塩基性化合物が塗膜中に残存し塗膜の耐水性が低く、長期の防汚性が低位となり塗膜の密着性に課題がある。
特許文献7の水性防汚樹脂組成物は、キシレンや酢酸ブチル等の有機溶剤に溶解した樹脂に乳化剤を配合添加し水希釈して強制乳化してなるものであり、樹脂成分が沈殿しやすく、保存時に水層と樹脂含有層に分離凝固するため、エマルションの貯蔵安定性に課題がある。
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、且つ海水中における耐水性に優れ長期にわたって防汚効果を発現することができ、さらに密着性に優れた自己研磨性水性防汚塗料組成物を提供することにある。
本発明は、2価金属をもつ単位および反応性乳化剤由来の単位を有する樹脂成分(R)と、水性媒体とを含有し、この水性媒体中に樹脂成分(R)が分散されている樹脂水性分散液を含んでなる水性防汚塗料組成物に関する。
上記水性防汚塗料組成物において、前記樹脂成分(R)は、前記の2価金属をもつ単位として、2価金属とイオン結合しているカルボキシル基をもつ単位を有することが好ましい。
また、前記樹脂水性分散液はさらにアルコール系化合物を含有することが好ましい。
また、前記2価金属が、亜鉛、銅、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる2価金属であることが好ましい。
また、前記樹脂成分(R)は、前記の2価金属をもつ単位として、2個の不飽和基を有する2価金属含有単量体(a1)の単位及び下記式(I)で示される2価金属含有単量体(a2)の単位の少なくとも一方を有することが好ましい。
CH2=C(R1)−COO−M−R2 (I)
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は有機酸残基、MはMg、Ca、ZnまたはCuを示す)。
また、前記の2個の不飽和基を有する2価金属含有単量体(a1)が(メタ)アクリル酸2価金属塩であることが好ましい。
また、前記樹脂水性分散液は、2価金属を含有する単量体(A)と反応性乳化剤と有機溶剤とを含む混合溶液中の重合性成分を溶液重合し、樹脂成分(R)を含む樹脂混合物を得、必要により所定量の有機溶剤を除去するための脱溶剤処理を行った後、この樹脂混合物と水とを混合して得られるものであることが好ましい。また、この有機溶剤がアルコール系化合物であることが好ましい。
また本発明は、上記の水性防汚塗料組成物の製造方法であって、2価金属を含有する単量体(A)と反応性乳化剤と有機溶剤とを含む混合溶液中の重合性成分を溶液重合し、樹脂成分(R)を含む樹脂混合物を得る工程と、この樹脂混合物と水とを混合して樹脂水性分散液を形成する工程とを有する水性防汚塗料組成物の製造方法に関する。
上記の製造方法において、前記樹脂混合物から所定量の有機溶剤を除去するための脱溶剤処理を行う工程をさらに有することが好ましい。また、前記有機溶剤としてアルコール系化合物を用いることが好ましい。
また本発明の水性防汚塗料組成物は、さらに防汚剤を含有することができ、2価金属をもつ単位および反応性乳化剤由来の単位を有する樹脂成分(R)と、水性媒体とを含有し、この水性媒体中に樹脂成分(R)が分散されている樹脂水性分散液、および防汚剤を混合することにより製造することができる。
本発明によれば、貯蔵安定性に優れ、且つ海水中における耐水性に優れ長期にわたって防汚効果を発現することができ、さらに密着性に優れた自己研磨性水性防汚塗料組成物を提供することができる。
本発明の水性防汚塗料組成物は、2価金属をもつ単位および反応性乳化剤由来の単位を有する樹脂成分(R)が水性媒体中に分散された樹脂水性分散液をビヒクルとして含むものである。
本発明における反応性乳化剤は、重合反応時に乳化剤として機能するとともに、単量体と共重合し、得られる共重合体の構成単位を形成するものとして一般に知られているものを用いることができる。本発明においては、樹脂成分(R)の製造時に乳化剤として機能させる必要はないが、樹脂水性分散液を形成したときに、樹脂成分(R)中の反応性乳化剤由来の単位が分散性の向上に寄与する。
このような反応性乳化剤としては、ラジカル重合性の炭素間二重結合(C=C)を有する界面活性剤を用いることができ、好ましくは、ラジカル重合性の炭素間二重結合(C=C)を有するノニオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤を用いることができる。
また、このような反応性乳化剤としては、例えば、日本乳化剤社製のアントックスMS60、第一工業製薬社製のアクアロンHS−05、HS−10、HS−20、旭電化工業社製のアデカリアソープSE10、SR10、SR20、三洋化成工業社製のエレミノールJS2等のアニオン系反応性乳化剤、第一工業製薬のアクアロンRN−10、RN−20、RN−30、旭電化工業社製のアデカリアソープNE10、NE20、NE30、ER10等のノニオン系反応性乳化剤がある。これらの反応性乳化剤は1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明における樹脂成分(R)を構成する共重合成分中の反応性乳化剤単位の含有量は、特に限定されるものではないが、0.5〜20質量%の範囲であることが好ましい。これは0.5質量%以上とすることによって、樹脂水性分散液の分散安定性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは1質量%以上である。また、20質量%以下とすることによって、得られる塗膜の耐水性が向上し密着性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは10質量%以下である。
反応性乳化剤の中でもアニオン系反応性乳化剤が好ましく、この乳化剤を用いて得られる樹脂水性分散液は、分散安定性が高く、反応性乳化剤の使用量を少なくすることができ耐水性が良好となる傾向にある。
樹脂成分(R)中の2価金属は、必要に応じて適宜選択することができるが、水への溶解性の点から、亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムが好ましく、中でも、樹脂成分の透明性の点から亜鉛、マグネシウム、カルシウムがより好ましく、亜鉛が特に好ましい。
樹脂成分(R)中の2価金属の含有量は2〜25質量%の範囲とすることが好ましい。これは、2質量%以上とすることによって、形成される塗膜により優れた自己研磨性が付与される。3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、25質量%以下とすることによって、密着性と加水分解性のバランスに優れるとともに、長期の自己研磨性を維持し、防汚効果がより向上する。より好ましくは15質量%以下である。
樹脂成分(R)の製造方法としては、次の2つの方法を用いることができる。
第1の方法は、カルボキシル基含有単量体と反応性乳化剤と有機溶剤とを含む混合溶液中の重合成分を溶液重合し、得られたカルボキシル基含有樹脂に金属を付加する方法である。
樹脂中のカルボキシル基に金属を付加する方法は、例えば、特開昭62−57464号公報や特開平8−209005号公報に記載されている公知の方法に従って、カルボキシル基含有樹脂と、2価金属の酸化物、2価金属の水酸化物または2価金属の塩化物と、一価の有機酸または水とを、樹脂の分解温度以下の温度で加熱攪拌して行うことができる。
樹脂成分(R)を得るための第2の方法は、2価金属を含有する単量体(A)と反応性乳化剤と有機溶剤とを含む混合液中の重合成分を溶液重合するものである。
第1及び第2の方法においては、2価金属を含有する単量体(A)あるいはカルボキシル基含有単量体と、その他の単量体(B)と、反応性乳化剤とを、一般的な溶液重合法に従ってラジカル共重合することができる。
第1及び第2の方法により得られた樹脂成分(R)を含有する樹脂混合物を、好ましくは、所定量の有機溶剤を除去するための脱溶剤処理を行い、この樹脂混合物を水で希釈することによって樹脂水性分散液を得ることができる。水の添加は、脱溶剤処理の前後において行うこともできる。
2価金属を含有する単量体(A)の単位あるいは2価金属が付加された単位は、得られる塗膜に、長期間維持できる高い自己研磨性を付与し、優れた防汚効果を発揮させるための成分である。
2価金属を含有する単量体(A)としては、2個の不飽和基を有する2価金属含有単量体(a1)および下記の一般式(I)で示される2価金属含有単量体(a2)の少なくとも一方を適宜選択して使用することが好ましい。
CH2=C(R1)−COO−M−R2 (I)
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は有機酸残基、MはMg、Ca、ZnまたはCuを示す)。
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
樹脂成分(R)を構成する共重合成分中の2価金属含有単量体(A)の単位あるいは2価金属が付加された単位の含有量は、特に限定されるものではないが、10〜80質量%の範囲であることが好ましい。これは10質量%以上とすることによって、形成される塗膜により優れた自己研磨性が付与されるためである。より好ましくは15質量%以上である。また、この含有量を80重量%以下とすることによって、形成される塗膜の防汚性がより長期間維持されるためである。より好ましくは50重量%以下の範囲である。
2個の不飽和基を有する金属含有単量体(a1)としては、例えば、アクリル酸マグネシウム[(CH2=CHCOO)2Mg]、メタクリル酸マグネシウム[(CH2=C(CH3)COO)2Mg]、アクリル酸カルシウム[(CH2=CHCOO)2Ca]、メタクリル酸カルシウム[(CH2=C(CH3)COO)2Ca]、アクリル酸亜鉛[(CH2=CHCOO)2Zn]、メタクリル酸亜鉛[(CH2=C(CH3)COO)2Zn]、アクリル酸銅[(CH2=CHCOO)2Cu]、メタクリル酸銅[(CH2=C(CH3)COO)2Cu]等の(メタ)アクリル酸2価金属塩を挙げることができる。2価金属含有単量体(a1)に含有される2価金属としては、Mg、Ca、Zn、Cuを挙げることができ、得られる樹脂成分の透明性の点からMg、Ca、Znがより好ましく、Znが特に好ましい。これら金属含有単量体(a1)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができるが、中でも(メタ)アクリル酸亜鉛を使用すると、溶液重合により得られる樹脂成分の透明性が高くなり、水性防汚塗料組成物の塗膜の色調が美しくなる傾向にあり、この観点から(メタ)アクリル酸亜鉛を使用することが好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」または「メタクリル酸」を意味する。
2個の不飽和基を有する2価金属含有単量体(a1)の製造は、無機金属化合物とカルボキシル基含有単量体(例えばアクリル酸、メタクリル酸)とをアルコール系化合物等の親水性有機溶剤中で反応させる方法を用いることができる。この方法で得られる単量体(a1)成分を含有する反応物は、有機溶剤や他の構成成分(アクリル系単量体等)との相溶性に優れるため、この製造方法を用いると重合を容易に行うことができる。この製造方法における反応は水の存在下で行うことが好ましく、反応物中の水の含有量を0.01〜30質量%の範囲とすることが好ましい。
2価金属含有単量体(a2)は、上記一般式(I)で表わされるものである。式(I)中の金属Mは、Mg、Ca、Zn、Cuから選ばれるものであり、得られる樹脂成分の透明性の点からMg、Ca、Znがより好ましく、Znが特に好ましい。式(I)中のR2の有機酸残基としては、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等の一価の有機酸から誘導される残基が例示される。これらは必要に応じて適宜選択して使用することができるが、長期にわたりクラックや剥離を防止できる耐久性の高い塗膜を得る点から、脂肪酸(脂肪族モノカルボン酸)系残基、例えば炭素数1〜20の脂肪酸系残基が好ましい。なお、式(I)中のR2の有機酸残基は、有機酸のカルボキシル基からプロトンを除いた残りの部分をいい、このプロトンの代わりに金属Mとイオン結合している。
2価金属含有単量体(a2)の具体例としては、モノクロル酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アクリレート;モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸銅(メタ)アクリレート;酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、酢酸銅(メタ)アクリレート;プロピオン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)アクリレート;オクチル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸カルシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸亜鉛(メタ)アクリレート、オクチル酸銅(メタ)アクリレート;バーサチック酸マグネシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸カルシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレート;イソステアリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸カルシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、イソステアリン酸銅(メタ)アクリレート;パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチン酸銅(メタ)アクリレート;クレソチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート;α−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート;β−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート;安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリレート;2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート;2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート;キノリンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)アクリレート;ニトロ安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート;ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸銅(メタ)アクリレート;プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸銅(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら2価金属含有単量体(a2)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して使用することができるが、中でも、亜鉛含有単量体を用いると、得られる樹脂成分の透明性が高くなり、塗膜の色調が美しくなるため、亜鉛含有単量体を用いることが好ましい。さらに、塗膜の耐久性の点から、脂肪酸亜鉛(メタ)アクリレート(式(I)のMが亜鉛、R2が脂肪酸残基)を用いることがより好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
2価金属含有単量体(a2)の製造は、無機金属化合物と、カルボキシル基含有単量体と、式(I)中の有機酸残基R2に対応する非重合性有機酸とを、アルコール系化合物等の親水性有機溶剤中で反応させる方法を用いることができる。
2価金属含有単量体(A)は、2個の不飽和基を有する2価金属含有単量体(a1)と一般式(I)で示される金属含有重合性単量体(a2)とを併用することが、形成される塗膜の自己研磨性が長期に維持され、かつ十分な塗膜の消耗度が発現して良好な防汚性が得られる観点から好ましい。特に、単量体(a1)としての(メタ)アクリル酸亜鉛と、単量体(a2)としての脂肪酸亜鉛(メタ)アクリレート(式(I)のMが亜鉛、R2が脂肪酸残基)の組み合わせが好ましい。
また、2価金属含有単量体(A)として、単量体(a1)と単量体(a2)とを併用する場合には、樹脂成分(R)中の単量体(a1)単位と単量体(a2)単位とのモル比(a1/a2)を10/90〜90/10の範囲とすることが好ましい。これは、この比率を90/10以下とすることによって、耐クラック性や密着性により優れた塗膜が得られ、この比率を10/90以上とすることによって、形成される塗膜の十分な自己研磨性がより長期間維持される。より好ましくは20/80〜80/20の範囲であり、さらに好ましくは30/70〜70/30の範囲である。
また、2価金属含有単量体(A)として、単量体(a1)と単量体(a2)とを併用する場合は、樹脂成分(R)の製造において、単量体(a1)と単量体(a2)とを含有するモノマー混合物を用いることができ、このモノマー混合物は、無機金属化合物と、カルボキシル基含有単量体と、式(I)中の有機酸残基R2に対応する非重合性有機酸とを、アルコール系化合物等の親水性有機溶剤中で反応させることによって得ることができる。その際には、非重合性有機酸の使用量を無機金属化合物に対して0.01〜3倍モルの範囲とすることが好ましく、0.01〜0.95倍モルの範囲とすることがより好ましく、有機溶剤としては、アルコール系化合物等の親水性溶剤が好ましい。
非重合性有機酸の使用量が0.01倍モル以上であると、単量体(B)と共重合しにくい固体の反応物が生成しにくく、また塗膜の自己研磨性や耐クラック性がより良好になり、3倍モル以下であると、塗膜の防汚性がより十分な期間維持されやすくなる。より好ましい非重合性有機酸の使用量の下限値は、0.1倍モルであり、より好ましい非重合性有機酸の使用量の上限値は、0.7倍モルである。
樹脂成分(R)を構成する共重合成分中のその他の単量体(B)の単位の含有量は、特に限定されるものではないが、上記の2価金属含有単量体(A)の単位および反応性乳化剤由来の単位を除く残分量、すなわち19.5〜89.5質量%の範囲に設定することができる。この単量体(B)の単位を有することにより、形成される塗膜の可撓性や耐クラック・耐剥離性と長期の自己研磨性とをバランスよく良好にすることができる。
この単量体(B)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−カプロラクトン等との付加物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体;グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数有する単量体;ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等の第一級および第二級アミノ基含有ビニル単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基含有ビニル単量体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系塩基性単量体等;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等の一塩基酸または二塩基酸単量体類、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等に代表される二塩基酸または酸無水物単量体のモノエステル類等を挙げることができる。なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
樹脂成分(R)の製造方法は、特に限定されるものではないが、前記の第1及び第2の方法に従った方法が挙げられ、その重合方法としては、例えば、上記の単量体と反応性乳化剤との混合物を、有機溶剤中、重合開始剤の存在下に60〜180℃の反応温度で5〜14時間反応させることによって製造することができる。必要に応じて、公知の連鎖移動剤を用いてもよい。
この製造方法に使用する有機溶剤としては、親水性有機溶剤を使用することが好ましい。この親水性有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、具体例として、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリブチルアルコール、2−ブチルアルコール、2−メトキシエタノール、3−メチルー3−メトキシブタノール等の一価アルコール類;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;メチルエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。
さらに、その他の親水性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類が挙げられる。
これら親水性有機溶剤は、一種を単独で用いてもよいし、または二種以上を併用してもよい。これらの親水性有機溶剤のなかでも、樹脂水性分散液の分散安定性の点から、アルコール系化合物を用いることが好ましい。
重合開始剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオクトエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
以上のようにして得られる樹脂成分(R)の分子量は、所望の特性に応じて適宜決定することができるが、例えば、重量平均分子量(Mw)1,000〜50,000の範囲に設定することができる。
重合工程終了後、必要に応じて減圧留去等により有機溶剤の除去操作(脱溶剤処理)を行い、樹脂混合物中の有機溶剤含有量を調整することもできる。
以上のようにして得た、樹脂混合物に水を添加して混合・分散することによって樹脂水性分散液を得ることができる。
上記樹脂水性分散液は、樹脂成分(R)を、造膜性、防汚性の点から、15〜50質量%の範囲で含有することがより好ましい。
上記樹脂水性分散液は、樹脂成分(R)および水の他、上記製造方法において使用した有機溶剤、好ましくは親水性有機溶剤を含有することができる。この親水性有機溶剤としては、分散性の点から、上記製造方法に用いられる親水性有機溶剤として例示したアルコールやグリコールエーテル等のアルコール系化合物が好ましい。これらの中でも、アルコールとしては、比較的沸点の低い炭素数1〜6、好ましくは炭素数2〜4の一価アルコール、グリコールエーテルとしては、炭素数3〜11、好ましくは炭素数3〜8のグリコールエーテルを好適に用いることができる。
上記樹脂水性分散液中に上記有機溶剤を含有する場合、その含有量は、造膜性の点から5質量%以上がより好ましく、一方、分散性の点から20質量%以下がより好ましい。
本発明の水性防汚塗料組成物は、上述の樹脂水性分散液を主成分として含み、必要に応じて公知の塗料用材料を配合することができ、固形分濃度が例えば20〜80質量%の範囲で使用することができる。
本発明の水性防汚塗料組成物は、必要に応じて、さらに他の防汚剤を配合してもよい。この防汚剤としては、要求性能に応じて適宜選択して使用することができ、例えば、亜酸化銅、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。より具体的には、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメイ−ト、ロダン銅、4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、Cu−10%Ni固溶合金、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメイ−ト、ジヨードメチルパラトリスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、ピリジン−トリフェニルボランを挙げることができる。
本発明の水性防汚塗料組成物には、塗膜表面に潤滑性を付与し、生物の付着を防止する目的で、ジメチルポリシロキサン、シリコーンオイル等のシリコン化合物やフッ化炭素等の含フッ素化合物等を配合することができる。
さらに、本発明の防汚性塗料組成物は、各種の顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤等を含有してもよい。
本発明の水性防汚塗料組成物を用いた塗膜は、船舶や各種の漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物等の基材表面に、直接に、もしくは下地塗膜を介して形成することができる。この下地塗膜としては、ウオッシュプライマー、塩化ゴム系やエポキシ系等のプライマー、中塗り塗料等を用いて形成できる。塗膜の形成方法は、基材表面あるいは基材上の下地塗膜の上に、水性防汚塗料組成物を、刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布することができる。塗布量は、一般的には乾燥塗膜として10〜400μmの厚さになる量に設定できる。塗膜の乾燥は、通常、室温で行うことができ、必要に応じて加熱乾燥を行ってもよい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、例中の部は質量部を表す。
[製造例M1]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)85.4部および酸化亜鉛(ZnO)40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸(MAA)43.1部、アクリル酸(AA)36.1部、水5部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後PGMを36部添加して、透明な金属含有モノマー混合物M1を得た。固形分濃度は44.8質量%であった。
[製造例M2]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)72.4部および酸化亜鉛(ZnO)40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸(MAA)30.1部、アクリル酸(AA)25.2部、バーサチック酸51.6部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後PGMを11部添加して、透明な金属含有モノマー混合物M2を得た。固形分濃度は59.6質量%であった。
[製造例M3]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにIPA(イソプロピルアルコール)85.4部および酸化亜鉛(ZnO)40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸(MAA)38.7部、アクリル酸(AA)32.4部、酢酸6部、水5部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後IPAを33.6部添加して、透明な金属含有モノマー混合物M3を得た。固形分濃度は44.8質量%であった。
[製造例P1]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)50部およびエチルアクリレート(EA)4部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート(MMA)1部、エチルアクリレート(EA)56.2部、n−ブチルアクリレート(n−BA)5部、2−メトキシエチルアクリレート(2−MTA)5.4部、アデカリアソープSR10(旭電化工業製)5部、製造例M1に記載の金属含有モノマー混合物52.2部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN7部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了30分後にt−ブチルパーオクトエート0.5部を添加し、さらに1時間30分撹拌した後昇温し、120〜130℃の温度で39部脱溶剤した。その後、80℃に降温してイオン交換水82.3部を加え、乳白色の金属含有樹脂分散液P1を得た。加熱残分より求めた固形分濃度は45.5質量%であった。
[製造例P2]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)50部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート18部、エチルアクリレート42部、n−ブチルアクリレート10部、アデカリアソープNE10(旭電化工業製)9部、製造例M1に記載の金属含有モノマー混合物37.9部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN7部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了30分後にt−ブチルパーオクトエート0.5部を添加し、さらに1時間30分撹拌した後昇温し、120〜130℃の温度で30部脱溶剤した。その後、80℃に降温してイオン交換水81.2部を加え、乳白色の金属含有樹脂分散液P2を得た。加熱残分より求めた固形分濃度は45.3質量%であった。
[製造例P3]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)50部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート14.6部、エチルアクリレート32.6部、n−ブチルアクリレート17.5部、アデカリアソープSR10(旭電化工業製)10部、製造例M1に記載の金属含有モノマー混合物47.5部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN10部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了30分後にt−ブチルパーオクトエート0.5部を添加し、さらに1時間30分撹拌した後昇温し、120〜130℃の温度で36部脱溶剤した。その後、80℃に降温してイオン交換水81.9部を加え、乳白色の金属含有樹脂分散液P3を得た。加熱残分より求めた固形分濃度は45.5質量%であった。
[製造例P4]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)50部およびエチルアクリレート3部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート9部、エチルアクリレート49部、n−ブチルアクリレート5部、アデカリアソープSR20(旭電化工業製)2部、アデカリアソープNE10(旭電化工業製)2部、製造例M2に記載の金属含有モノマー混合物50.3部、AMBN5部からなる透明な混合物を5時間で等速滴下した。滴下終了30分後にt−ブチルパーオクトエート0.5部を添加し、さらに1時間30分撹拌した後昇温し、120〜130℃の温度で30部脱溶剤した。その後、80℃に降温してイオン交換水81.9部を加え、乳白色の金属含有樹脂分散液P4を得た。加熱残分より求めた固形分濃度は45.4%であった。
[製造例P5]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにIPA(イソプロピルアルコール)50部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート21部、エチルアクリレート49部、n−ブチルアクリレート5部、アデカリアソープSR20(旭電化工業製)4部、製造例M3に記載の金属含有モノマー混合物37.9部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN9部からなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後1時間撹拌した後イオン交換水29部加え昇温し、83〜90℃の温度で50部脱溶剤した。その後、70℃に降温してイオン交換水70部を加え、乳白色の金属含有樹脂分散液P5を得た。加熱残分より求めた固形分濃度は45.6質量%であった。
[製造例P6]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)55部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、アクリル酸エチル50部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2−EHA)25部、アデカリアソープSR10(旭電化工業製)10部、アクリル酸(AA)15部、AMBN9部からなる混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後2時間撹拌して120℃まで昇温し、バーサチック酸14.3部、水酸化亜鉛4.8部を加えて2時間攪拌した後、120〜130℃の温度で10部脱溶剤した。その後、80℃に降温してイオン交換水102部を加え、乳白色の金属含有樹脂分散液P6を得た。加熱残分より求めた固形分濃度は44.8質量%であった。
[製造例P7]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)50部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート1部、エチルアクリレート66.2部、2−メトキシエチルアクリレート5.4部、製造例M1に記載の金属含有モノマー混合物52.2部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN7部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了30分後にt−ブチルパーオクトエート0.5部を添加し、さらに1時間30分撹拌した後昇温し、120〜130℃の温度で39部脱溶剤した。その後、80℃に降温して非反応性乳化剤(ライオン社製、サンノールNP2030:ソジウムポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート)10部を添加し、強く攪拌しながらイオン交換水82.3部を加え、乳白色の金属含有樹脂分散液P7を得た。加熱残分より求めた固形分濃度は45.4質量%であった。
[製造例P8]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)50部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート1部、エチルアクリレート66.2部、2−メトキシエチルアクリレート5.4部、製造例M1に記載の金属含有モノマー混合物52.2部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN7部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了30分後にt−ブチルパーオクトエート0.5部を添加し、さらに1時間30分撹拌した後昇温し、120〜130℃の温度で39部脱溶剤した。その後、80℃に降温してイオン交換水82.3部を加えたが、樹脂溶液は水分散せずに樹脂層と水溶液層に分離した組成物P8を得た。
[製造例P9]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら110℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート1部、エチルアクリレート66.2部、2−メトキシエチルアクリレート5.4部、製造例M1に記載の金属含有モノマー混合物52.2部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN9部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了30分後にt−ブチルパーオクトエート0.5部を添加し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを11.3部添加し、加熱残分より求めた固形分濃度50.8質量%、粘度950mPa.Sを有する淡黄色透明な金属原子含有樹脂組成物P9を得た。
表1に、製造例M1〜M3の金属含有モノマー混合物の仕込み量(モル比)、金属含有量(質量%)、金属含有モノマー混合物の固形分濃度(質量%)を記載した。
表2に、製造例P1〜P9の金属含有樹脂組成物の仕込み量(質量比)、得られた樹脂組成物の粘度(mPa・s)、固形分濃度(質量%)、樹脂組成物の貯蔵安定性の評価結果を記載した。貯蔵安定性の評価は、所定時間経過後に樹脂成分が沈殿・分離せず、凝固物が形成しないものを○、少量沈殿物があるが攪拌すると分散するものを△、樹脂成分が沈殿・分離、凝固し、攪拌しても再度分散しないものを×とした。
[実施例1〜6、比較例、参考例]
以上のようにして得られた樹脂組成物(樹脂水性分散液)P1〜P6を用いて、表3に示す配合割合により本発明の水性防汚塗料組成物(実施例1〜6)を調製した。また、比較例として、樹脂組成物P7を用いて、表3に示す配合割合の水性防汚塗料組成物を調製した。参考例として、樹脂組成物P9を用いて、表3に示す配合割合の溶剤系防汚塗料組成物を調整した。
防汚剤として、亜酸化銅、ロダン銅、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩を用い、顔料として、酸化鉄、酸化チタンを用いた。また、泡防止剤として、アデカネートB1015(旭電化工業(株)製)、分散剤として、アデカコールW193(旭電化工業(株)製)、たれ防止剤として、ディスパロン4200(楠本化成(株)製)を用いた。
表3に、得られた防汚塗料組成物の貯蔵安定性の評価結果を記載した。貯蔵安定性の評価は、について、所定時間経過後に樹脂成分が沈殿・分離せず、凝固物が形成しないものを○、樹脂成分が沈殿・分離、凝固し、攪拌しても再度分散しないものを×とした。
Figure 0005207264
Figure 0005207264
Figure 0005207264
上記実施例1〜6、比較例、参考例の防汚塗料組成物について、下記の評価を行った。結果を表4に示す。
(1)塗膜の消耗度試験
各塗料組成物を、それぞれ50mm×50mm×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、乾燥膜厚120μmになるようにアプリケーターで塗布して試験板を作製し、この試験板を海水中に設置した回転ドラムに取り付け、周速7.7m/s(15ノット)で回転させて6カ月間毎の消耗膜厚を12ヶ月測定した。その結果を表4に示した。
(2)防汚性試験
各塗料組成物を、あらかじめ防錆塗料を塗布してあるサンドブラスト鋼板に、乾燥膜厚が120μmになるように塗布して試験板を作製し、この試験板を広島県広島湾内で24カ月間静置浸漬し、6カ月毎に付着性物の付着面積(試験板全面に対する面積比率(%))を調べた。その結果を表4に示した。
(3)耐水性試験
あらかじめ防錆塗料を塗布してあるサンドブラスト鋼板からなる基板上に、それぞれ実施例1〜6、比較例、参考例の防汚塗料組成物を乾燥膜厚が120μmになるように塗布して試験板を作製した。
上記試験板を、滅菌濾過海水中に6カ月間浸漬した後、この試験板を温度20℃の室温で1週間乾燥し、塗膜表面を観察した。
クラックおよび剥離が全くないものを◎、クラックが一部しかないものを○、一部剥離があるものを△、クラックが生じて剥離が全面に生じているものを×と表示した。その結果を表4に示した。
(4)碁盤目剥離性試験
上記の耐水性試験と同様に作成した試験板を、滅菌濾過海水中に6カ月間浸漬した後、この試験板を温度20℃の室温で1週間乾燥し、碁盤目剥離試験を行った。その結果を表4に示した。
碁盤目剥離試験は、2mm間隔で基材まで達するクロスカットを入れ2mm2の碁盤目を25個作り、その上にセロテープ(登録商標)を貼り付け急激に剥がし、剥離した碁盤目の状態を判定した。
碁盤目の剥離および碁盤目の角の剥がれも全くないものを◎とし、碁盤目の剥離はないが碁盤目の角だけが剥がれたものを○とし、剥離した碁盤目の数が1〜12個のものを△とし、剥離した碁盤目の数が13〜25個のものを×とした。
Figure 0005207264
以上の結果から明らかなように、非反応性乳化剤を添加して水分散させてなる樹脂組成物(樹脂水性分散液)P7は、3日経過すると樹脂成分が沈殿し、攪拌しても沈殿樹脂は分散しなかった(表2)。また、この樹脂組成物P7の製造直後に作製した防汚塗料組成物(比較例)は、密着性が低かった(表4)。また、この防汚塗料組成物は3日経過すると分離・凝固した(表3)。
一方、本発明に従った樹脂組成物(樹脂水性分散液)P1〜P6は、貯蔵安定性、すなわち分散安定性が良好であり(表2)、1ヶ月以降貯蔵させたものについて一部樹脂が沈殿するものであっても、再度攪拌すると沈殿樹脂は分散した。また、これら樹脂組成物P1〜P6を使用した水性防汚塗料組成物(実施例1〜6)は、貯蔵安定性に優れるとともに(表3)、海水中における耐水性に優れ、長期に亘って防汚効果を発現し、さらに自己研磨性と密着性も良好であった(表4)。

Claims (10)

  1. 2価金属を含有する単量体(A)と反応性乳化剤と有機溶剤とを含む混合溶液中の重合性成分を溶液重合し、前記単量体(A)の単位および前記反応性乳化剤由来の単位を含む樹脂成分(R)を含む樹脂混合物を得る工程と、
    この樹脂混合物から所定量の有機溶剤を除去するための脱溶剤処理を行う工程と、
    この脱溶剤処理された樹脂混合物と水とを混合して該樹脂混合物と水とからなる樹脂水性分散液を形成する工程とを有し、
    前記樹脂成分(R)中の前記反応性乳化剤由来の単位の含有量が0.5〜20質量%である、水性防汚塗料組成物の製造方法。
  2. 前記反応性乳化剤は、ラジカル重合性の炭素間二重結合を有する界面活性剤である請求項1に記載の水性防汚塗料組成物の製造方法。
  3. 前記2価金属が、亜鉛、銅、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選ばれる2価金属である請求項1又は2に記載の水性防汚塗料組成物の製造方法。
  4. 前記樹脂成分(R)は、前記単量体(A)の単位として、2個の不飽和基を有する2価金属含有単量体(a1)の単位及び下記式(I)で示される2価金属含有単量体(a2)の単位の少なくとも一方を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の水性防汚塗料組成物の製造方法。
    CH2=C(R1)−COO−M−R2 (I)
    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は有機酸残基、MはMg、Ca、ZnまたはCuを示す)
  5. 前記の2個の不飽和基を有する2価金属含有単量体(a1)が(メタ)アクリル酸2価金属塩である請求項4に記載の水性防汚塗料組成物の製造方法。
  6. 前記樹脂水性分散液中の前記樹脂成分(R)の含有量を15〜50質量%の範囲にする、請求項1から5のいずれか一項に記載の水性防汚塗料組成物の製造方法。
  7. さらに、防汚剤を配合する、請求項1から6のいずれか一項に記載の水性防汚塗料組成物の製造方法。
  8. 当該水性防汚塗料組成物の固形分濃度を20〜80質量%の範囲にする、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性防汚塗料組成物の製造方法。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法で得られた水性防汚塗料組成物。
  10. 海水中構築物、漁網または船底用の防汚塗料組成物である、請求項9に記載の水性防汚塗料組成物。
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