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JP5297375B2 - 癌の診断及び治療のための方法及び組成物 - Google Patents

癌の診断及び治療のための方法及び組成物 Download PDF

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Description

この出願は、開示の全体が出典明示によりここに援用される2006年7月19日出願の米国仮出願第60/807794号の優先権を主張する。
本発明は、遺伝子増幅を伴っている癌の診断及び治療のための方法及び組成物に関する。
癌は、増殖し、ある環境下で隣接組織に浸潤し、最終的に血液又はリンパ系を介して転移する正常な組織から誘導された異常な、又は腫瘍形成性の細胞の数の増加を特徴とする。遺伝子発現の変化は制御不能な細胞増殖及び脱分化に密接に関連しており、これは癌に共通する特徴である。ある種の癌はある種の遺伝子、例えばオンコジーンの過剰発現によって特徴付けられる。癌細胞における遺伝子過剰発現の良く知られたメカニズムは遺伝子増幅である。遺伝子増幅は、細胞の染色体において一又は複数の遺伝子の多重コピーが生成されるプロセスである。ある例では、該プロセスは、その遺伝子を含む染色体領域の計画性のない複製と、続く複製セグメントが染色体へ戻る組換えを含む(Alitalo等, Adv. Cancer Res. 47: 235-281 [1986])。ある場合には、遺伝子の過剰発現は、遺伝子増幅に相関し、例えば作製されるコピーの数に比例する。
ある種のプロトオンコジーン、例えば成長因子及び成長因子レセプターをコードするもの増幅及び/又は過剰発現は、様々なヒトの悪性腫瘍の原因に重要な役割を担っている。ある場合には、増幅及び/又は過剰発現は、癌のより悪性の形態に伴い、よって臨床的結果の手掛かりとして作用しうる(Schwab等, Genes Chromosome Cancer, 1 : 181-193 [1990];上掲のAlitalo等)。例えば、上皮成長因子レセプターEGFRに関連した185-kdの膜貫通糖タンパク質レセプター(p185HER2又はHER2)をコードするヒトerbB2遺伝子(her2又はc-erbB-2としても知られている)は、ヒトの乳癌の約25%〜30%で過剰発現されている(Slamon等, Science, 235:177-182[1987];Slamon等, Science, 244:707-712[1989])。erbB2の過剰発現は、特に腋窩のリンパ節に関与する原発性疾患を持つ患者において、不完全な予後の前兆と考えられる(上掲のSlamon等, [1987]及び[1989];Ravdin及びChamness, Gene, 159: 19-27 [1995];及びHynes及びStern, Biochem Biophys Acta, 1198: 165-184 [1994])。erbB2の過剰発現は、あるホルモン療法及びCMF(シクロホスファミド、メトトレキセート、及びフルオロウラシル)を含む化学治療薬に対する感受性及び/又は耐性とまた関連付けられていた(Baselga等, Oncology, 11 (3 Suppl 1): 43-48 [1997])。しかしながら、erbB2を過剰発現する患者はタキサンでの治療に対して大きな応答を示している。同文献。
erbB2の過剰発現は標的の乳癌治療に対する基礎を提供した。組換えヒト化抗ErbB2(抗HER2)モノクローナル抗体(ハーセプチンTM、Genentech社)は、ErbB2を過剰発現する転移性乳癌の患者の治療に成功裡に使用されている。(Baselga等, J. Clin. Oncol., 14: 737-744[1996])。
癌の診断及び治療における増幅遺伝子及びぞの遺伝子産物を標的とする組成物及び方法に対する絶えない必要性が存在する。
胃癌の診断及び/又は治療に対する組成物及び方法に対する絶えない需要がまた存在する。約90〜95%の悪性の胃癌は、胃の最も内側のラインの上皮細胞由来の腺癌である。胃腸間質性腫瘍(GIST)は、結合組織由来の稀な非上皮腫瘍である。約70%のGISTが胃で発生する。2000年には、80万人を超える人々が胃癌の診断を受け、63000人を超える人々が胃癌で死亡した。胃癌の予後は不良で、患者の半数近くが診断時に転移性疾患を有している。5年の生存率は20%に満たないことが多い。Ajani (2002) "Gastric Cancer: Epidemiology and Therapy" in Encyclopedia of Cancer, vol. 2 (Elsevier Sciences, USA), 249-252頁を参照のこと。
ここに記載される発明は上述の必要性に合致し他の恩恵をもたらす。
一態様では、c−Myb遺伝子の増幅及び/又は過剰発現を伴う胃癌の診断及び治療のために提供される。
一態様では、哺乳動物における胃癌の存在を診断する方法であって、該哺乳動物の被験胃試料においてコントロール試料に対してc−Myb遺伝子が増幅されているかどうかを検出することを含み、c−Myb遺伝子の増幅が該哺乳動物における胃癌の存在を示す方法が提供される。一実施態様では、c−Myb遺伝子が増幅されているかどうかの決定が、c−Myb遺伝子のコピー数が少なくとも5倍増加しているかどうかを検出することを含む。
他の態様では、哺乳動物における胃癌の存在を診断する方法であって、該哺乳動物の被験胃試料中におけるc−Myb遺伝子の発現を検出することを含み、コントロール試料に対して被験胃試料中におけるc−Myb遺伝子発現の高いレベルが、該哺乳動物における胃癌の存在を示す方法が提供される。一実施態様では、c−Myb遺伝子の発現の検出が、c−Myb遺伝子からのmRNA転写のレベルを決定することを含む。一実施態様では、高レベルのc−Myb遺伝子の発現が、コントロール試料に対して被験胃試料中におけるc−Myb遺伝子からのmRNA転写に少なくとも5倍の増加を含む。一実施態様では、c−Myb遺伝子の発現の検出が、c−Mybのレベルを決定することを含む。一実施態様では、c−Myb遺伝子の発現の検出が、被験胃試料を抗c−Myb抗体に接触させ、被験胃試料中におけるc−Mybの発現レベルを、c−Mybへの抗c−Myb抗体の結合を検出することにより決定することを含む。一実施態様では、高レベルのc−Myb発現がc−Mybレベルの少なくとも5倍の増加を含む。
他の態様では、胃癌細胞の増殖を阻害する方法であって、c−Mybアンタゴニストに細胞をさらすことを含む方法が提供される。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−Mybをコードする核酸に結合して同核酸の発現を減少させる10−30ヌクレオチド長のアンチセンス核酸である。一実施態様では、アンチセンス核酸がオリゴデオキシヌクレオチドである。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−MybのDNA結合ドメインに結合する核酸である。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−Mybに結合する小有機分子である。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−Mybに結合する抗体をコードする核酸である。一実施態様では、c−Mybに結合する抗体が抗体断片である。一実施態様では、c−Mybに結合する抗体がscFvである。
他の態様では、c−Myb遺伝子の増幅又は過剰発現を伴う胃癌の治療方法であって、c−Mybアンタゴニストを含む薬学的製剤の有効量を、胃癌の個体に投与することを含む方法が提供される。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−Mybをコードする核酸に結合して同核酸の発現を減少させる10−30ヌクレオチド長のアンチセンス核酸である。一実施態様では、アンチセンス核酸がオリゴデオキシヌクレオチドである。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−MybのDNA結合ドメインに結合する核酸である。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−Mybに結合する小有機分子である。一実施態様では、c−Mybアンタゴニストが、c−Mybに結合する抗体をコードする核酸である。一実施態様では、c−Mybに結合する抗体が抗体断片である。一実施態様では、c−Mybに結合する抗体がscFvである。
他の態様では、胃癌の個体がc−Myb又はc−Myb遺伝子を標的とする治療剤に応答するかどうかを決定する方法であって、c−Myb遺伝子が結腸直腸癌において増幅されるかどうかを決定することを含み、c−Myb遺伝子の増幅が、個体が治療剤に応答することを示す方法が提供される。一実施態様では、治療剤が、アンチセンス核酸;c−MybのDNA結合ドメインに結合する核酸;c−Mybに結合する小有機分子;及びc−Mybに結合する抗体をコードする核酸から選択される。
図1は、9つの胃腫瘍(5つの胃腸間質性腫瘍及び4つの胃腺癌)の試料についての、c−Myb遺伝子を含む第6染色体の一領域におけるDNAコピー数の解析を示す。 図2は、図1に示す4つの腺癌のうちの2つについての、DNAコピー数及びmRNAの発現の解析を示す。図2は、図に示される第6染色体の領域内に生じるオープンリーディングフレームの位置も示している。
遺伝子増幅を伴う癌の診断と治療のための方法及び組成物が提供される。一実施態様では、本発明は、c−Myb遺伝子の増幅及び/又は過剰発現を伴う胃癌の治療のための方法及び組成物を提供する。
I.定義
「遺伝子増幅」及び「遺伝子複製」なる語句(及び「遺伝子の増幅」又は「遺伝子の複製」のような変形例)は交換可能に用いられ、遺伝子又は遺伝子断片の複数のコピーが特定の細胞又は細胞系で形成されるプロセスを意味する。複製された領域(増幅されたDNAのストレッチ)は、しばしば「アンプリコン」と呼ばれる。通常は、生成されるメッセンジャーRNA(mRNA)の量、つまり遺伝子発現レベルも、特定遺伝子の作成されたコピー数に比例して増加する。
ここで用いられる「c−Myb」なる用語は、特段の記載がない場合には、霊長類(例えばヒト及びサル)及び齧歯類(例えばマウス及びラット)のような哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然c−Mybタンパク質を意味する。該用語は「完全長」の未加工c−Myb並びに細胞中のプロセシングから生じる任意の形態のc−Mybを包含する。該用語はまたc−Mybの少なくとも一つの生物学的活性を維持する天然c−Mybの断片又は変異体を包含する。用語「c−Myb遺伝子」は、特に断らない限り、c−Mybタンパク質をコードする任意の脊椎動物由来のあらゆる遺伝子を意味する。
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」なる用語は、ある程度の異常な細胞増殖を伴う疾患を意味する。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。
ここで用いられる「腫瘍」は、悪性又は良性に関わらず、全ての腫瘍形成細胞成長及び増殖、及び全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を意味する。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性疾患」及び「腫瘍」なる用語はここに言及される場合は相互に排他的ではない。
「癌」及び「癌性」なる用語は、典型的には調節されない細胞成長/増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、限定されるものではないが、細胞腫、リンパ腫(例えばホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮細胞癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠腫、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、大腸癌、直腸癌、胃癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、白血病及び他のリンパ球増殖性疾患、及び様々なタイプの頭頚部癌が含まれる。
「胃癌」なる用語は胃の癌を意味し、特に断らない限り、食道癌、食道胃接合部癌、小腸の癌、及び結腸直腸癌(大腸及び/又は直腸の何らかの癌)を含まない。
「新生物」又は「新生物細胞」なる用語は、対応する正常組織又は細胞よりもより速やかに増殖し、増殖を開始させた刺激の除去後も増殖を続ける異常な組織又は細胞を意味する。
「胃癌細胞」は、インビボであれインビトロであれ、胃の癌細胞を意味し、胃癌細胞由来の細胞株を包含する。一実施態様では、胃癌細胞は腺癌である。
ここで使用される場合、「治療」(及び「治療する」又は「治療している」のような変形例)は、治療されている個体又は細胞の自然の過程を変える試みでの臨床的介入を意味し、予防のため又は臨床病理の過程中に実施されうる。治療の所望の効果は、疾患の発生又は再発の防止、徴候の軽減、疾患の直接的又は間接的病理事象の減少、転移の防止、疾患進行速度の減少、疾患状態の寛解又は緩和、及び緩解又は改善された予後を含む。
「個体」は脊椎動物である。ある実施態様では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、限定されないが、家畜(例えばウシ)、スポーツ動物、ペット(例えばネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類、マウス及びラットが含まれる。ある実施態様では、哺乳動物はヒトである。
「有効量」は、所望される治療的又は予防的結果を達成するために、必要な時間、用量での有効な量を意味する。
本発明の物質/分子の「治療的有効量」は、例えば疾患状態、年齢、性別、個体の体重、及び個体において所望の応答を誘発する物質/分子の能力のような因子に従って変化しうる。治療的有効量は、物質/分子の任意の細胞毒性又は有害な効果よりも治療的に有益な効果が上回る量を包含する。「予防的に効果的な量」は、所望される予防的結果を達成するために、必要な時間、用量での有効な量を意味する。典型的には、必ずしもではないが、予防的に効果的な量は治療的有効量よりも少ないであろう。
ここで用いられる「細胞障害性剤」なる用語は、細胞の機能を阻害又は抑制し、及び/又は細胞死又は破壊を生ずる物質を意味する。該用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32及びLuの放射性同位体)、化学療法剤(例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤、酵素及びその断片、例えば核溶解性酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、そして下記に開示する様々な抗腫瘍又は抗癌剤を含むことが意図される。他の細胞障害性剤は以下に記載されている。「殺腫瘍性」剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「毒素」は細胞の成長又は増殖に対する有害な効果を有し得る任意の物質である。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシトキサン(CYTOXAN)(登録商標)シクロホスファミドのようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパのようなアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン類(特にブラタシン及びブラタシノン);δ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、マリノール(MARINOL)(登録商標));β-ラパコン;ラパコール;コルヒチン類;ベツリン酸;カンプトセシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトセシン、スコポレクチン(scopolectin)、及び9-アミノカンプトセシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン(podophyllinic)酸;テニポシド;クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン;クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソウレア類(nitrosureas);抗生物質、例えばエンジイン系抗生物質(例えばカリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えば、Agnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)参照);ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);エスペラマイシン(esperamicin); 並びにネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エンジイン抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン類(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン(mitomycins)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin)のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖類複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特にT-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリジンA及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド類、例えばタキソール(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、ABRAXANETMパクリタキセルの無クレモホア(Cremophor)アルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Illinois)、及びタキソテール(登録商標)ドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲンシタビン(gemcitabine)(Gemzar(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナアナログ;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート(ibandronate);トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド類;カペシタビン(XELODA(登録商標));上述したものの何れかの製薬的に許容可能な塩、酸又は誘導体;並びに上記のものの二以上の組合せ、例えばシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の省略形のCHOP、及び5-FU及びロイコボリンと併用したオキサリプラチン(ELOXATINTM)での治療方法の省略形のFOLFOXが含まれる。
この定義にまた含まれるものは、癌の増殖を促進しうるホルモンの効果を調節し、低減し、ブロックし、又は阻害し、しばしば全身性(systemic)又は身体全体(whole-body)の治療形態の抗ホルモン剤である。それらはホルモン自体でありうる。例には、抗エストロゲン及び選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン類;エストロゲンレセプターダウンレギュレーター(ERD);卵巣を抑制し又はシャットダウンするように機能する薬剤、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えばLUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標)酢酸ロイプロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン及びトリプテレリン(tripterelin);他の抗アンドロゲン類、例えばフルタミド、ニルタミド及びビカルタミド;及び副腎におけるエストロゲン生産を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲステロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタニー、ファドゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールが含まれる。また、化学療法剤のかかる定義には、ビスホスホネート類、例えばクロドロネート(例えばBONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチロロネート、NE−58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、又はACTONEL(登録商標)リセドロネート;並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類縁体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えばPKC−α、Raf、H−Ras及び上皮増殖因子受容体(EGF−R)のような異常な細胞増殖に関与するとされるシグナル伝達経路内の遺伝子発現を阻害するもの;ワクチン類、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子療法ワクチン類、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン及びVAXID(登録商標)ワクチン;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ラパチニブジトシレート(ErbB−2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤、GW572016としても知られている);及び上記の何れかの製薬上許容しうる塩、酸又は誘導体も含まれる。
ここで使用される場合、「増殖阻害剤」は、細胞(例えばc−Mybを発現する細胞)の増殖をインビトロ又はインビボの何れかで阻害する化合物又は組成物を意味する。よって、増殖阻害剤はS期における細胞(例えばc−Mybを発現する細胞)の割合を有意に低減するものでありうる。増殖阻害剤の例には、細胞周期の進行を(S期以外の位置において)ブロックする薬剤、例えばG1停止及びM期停止を誘導する薬剤が含まれる。伝統的なM期ブロッカーには、ビンカ類(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン類及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させる薬剤はまたS期停止にまで作用を派生させるものがあり、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、及びara−Cが挙げられる。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael編, 第1章, 表題「Cell cycle regulation,oncogenes, and antineoplastic drug」, Murakami等, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)の特に13頁に記載されている。タキサン類(パクリタキセル及びドセタキセル)は共にイチイの木から誘導される抗癌剤である。ヨーロッパ産イチイから誘導されたドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer)はパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)の半合成類縁体である。パクリタキセル及びドセタキセルはチューブリン2量体からの微小管の組立てを促進し、脱重合を防止することにより微小管を安定化させ、これが細胞における有糸分裂の阻害を生じる。
「アンタゴニスト」なる用語は最も広い意味で用いられ、c−Mybのようなポリペプチドの生物学的活性、又はその転写もしくは翻訳を部分的又は完全に阻止、阻害、又は中和する任意の分子を含む。好適なアンタゴニスト分子には、限定されないが、アンタゴニスト抗体、ポリペプチド断片、オリゴペプチド、有機分子(低分子を含む)、アンチセンス核酸、及びアンタゴニストポリペプチドをコードする核酸が含まれる。
「抗体」(Abs)及び「免疫グロブリン」(Igs)は同様の構造的特徴を有する糖タンパク質を意味する。抗体は特定の抗原に対して結合特異性を示す一方、免疫グロブリンは、抗体と抗原特異性を欠く他の抗体様分子の双方を含む。後者の種類のポリペプチドは例えばリンパ系によって低レベルで、またミエローマによって増加したレベルで生産される。
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、最も広い意味で互換性をもって使用され、モノクローナル抗体(例えば全長及び無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を示す限りにおいて二重特異性抗体)を含み、またある種の抗体断片(ここにより詳細に記載)もまた含む。抗体はキメラ、ヒト、ヒト化及び/又は親和性成熟でありうる。
「抗c−Myb抗体」又は「c−Mybに結合する抗体」なる用語は、抗体がc−Mybを標的とする点で診断及び/又は治療薬剤として有用であるように十分な親和性でc−Mybに結合することができる抗体を意味する。好ましくは、関連のない非c−Mybタンパク質に対する抗c−Myb抗体の結合の度合いは、例えば放射免疫アッセイ(RIA)によって測定して、c−Mybへの抗体の結合の約10%未満である。ある実施態様では、c−Mybに結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有している。ある実施態様では、抗c−Myb抗体は、異なった種由来のc−Mybの間で保存されているc−Mybのエピトープに結合する。
「全長抗体」、「無傷抗体」及び「全抗体」なる用語は、以下に定義する抗体断片ではなく、その実質的に無傷の形態の抗体を意味するためにここでは交換可能に使用される。該用語は特にFc領域を含む重鎖を持つ抗体を意味する。
「抗体断片」は無傷抗体の一部のみを含み、該部分は、無傷抗体に存在している場合にその部分に通常は付随する機能の少なくとも一つ、多くは殆ど又は全てを保持している。一実施態様では、抗体断片は、無傷抗体の抗原結合部位を含み、よって抗原に結合する能力を保持している。他の実施態様では、抗体断片、例えばFc領域を含むものは、無傷抗体に存在している場合にFc領域に通常は付随する生物学的機能の少なくとも一つ、例えばFcRn結合性、抗体半減期調節性、ADCC機能及び補体結合性を保持している。一実施態様では、抗体断片は、無傷抗体と実質的に同様なインビボ半減期を有する一価抗体である。例えば、かかる抗体断片は、断片にインビボ安定性を付与することが可能なFc配列に結合した抗原結合アームを有しうる。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる二つの同一の抗原結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位、及び残基「Fc」断片を持ち、この名称は容易に結晶化する能力を反映している。ペプシン処理はF(ab’)断片を生じ、それは二つの抗原結合部位を持ち、抗原を架橋することができる。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。一実施態様では、二本鎖Fv種は、密接に非共有結合した一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインを、軽鎖及び重鎖が二本鎖Fv種のものと類似した「二量体」構造で結合しうるように可動性ペプチドリンカーによって共有結合させることができる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してVH-VL二量体の表面に抗原結合部位を形成するのはこの形態においてである。集合的には、6つのCDRが抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
Fab断片は、重鎖及び軽鎖可変ドメインを含み、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一の定常ドメイン(CH1)をまた含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていることによりFab断片と相違する。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を持つFab’に対するここでの標記である。F(ab’)抗体断片は、元々は、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合もまた知られている。
「一本鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般には、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合にとって望ましい構造の形成を可能にするポリペプチドリンカーをVH及びVLドメイン間に更に含む。sFvの概説については、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
「ダイアボディ」という用語は、二つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(VH-VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成されて二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは二価又は二重特異的でありうる。ダイアボディは、例えば、EP404097;WO93/11161;及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)により十分に記載されている。トリアボディ及びテトラボディはまたHudson等, (2003) Nat. Med. 9:129-134に記載されている。
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、可能な突然変異、例えば少量存在しうる自然に生じる突然変異を除いて同一である。よって、「モノクローナル」という形容詞は、別個の抗体の混合物ではないとの抗体の特徴を示すものである。ある実施態様では、そのようなモノクローナル抗体は典型的には標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、ここで、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列からの単一標的結合ポリペプチド配列の選択を含む方法によって得られた。例えば、選択方法は、複数のクローン、例えばハイブリドーマクローン、ファージクローン、又は組換えDNAクローンのプールからの独特のクローンの選択であり得る。選択された標的結合配列は、例えば標的に対する親和性を改善するため、標的結合配列をヒト化するため、細胞培養におけるその生産を改善するため、インビボでのその免疫原性を低減させるため、多重特異的抗体を作り出す等々のために更に変異させることができ、変異された標的結合配列を含む抗体もまた本発明のモノクローナル抗体であることが理解されなければならない。典型的には異なった決定基(エピトープ)に対する異なった抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、それらが典型的には他の免疫グロブリンによっては汚染されていない点で有利である。
「モノクローナル」との形容は、実質的に均一な抗体集団から得られたという抗体の性質を示し、特定の方法で抗体を生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ法(例えばKohler等, Nature, 256:495 (1975);Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2版 1988);Hammerling等, Monoclonal Antibodies and T-CeIl Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば米国特許第4816567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えばClackson等, Nature, 352: 624-628 (1991);Marks等, J. MoI. Biol. 222: 581-597 (1992);Sidhu等, J. MoI. Biol. 338(2): 299-310 (2004);Lee等, J. MoI. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Natl. Acad. ScL USA 101(34): 12467-12472 (2004);及びLee等, J. Immunol. Methods 284(1-2): 119-132(2004)を参照)、及びヒト免疫グロブリン座又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有する動物中においてヒト又はヒト様抗体を生産する技術(例えばWO98/24893;WO96/34096;WO96/33735;WO91/10741;Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362: 255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immunol. 7:33 (1993);米国特許第5545807号;第5545806号;第5569825号;第5625126号;第5633425号;第5661016号;Marks等 Bio. Technology 10: 779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature 368: 812-813 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnol. 14: 845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnol. 14: 826 (1996)及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)を参照)を含む様々な技術によって作製することができる。
ここで、モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導されたか又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である一方、鎖の残りの部分は他の種から誘導されたか又は特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体、並びにそれらが所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片を特に含む(米国特許第4816567号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 (1984))。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施態様では、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、所望の特異性、親和性及び/又は能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの変更は、抗体の性能を更に洗練させるために行なわれる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含むであろう。更なる詳細については、Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-329 (1988);及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)を参照のこと。また次の概説論文とそこで引用された文献を参照のこと:Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1 :105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
「ヒト化抗体」は、ヒトによって生産された抗体のものに対応するアミノ酸配列を含むもの及び/又はここに開示されたヒト抗体の作成技術の何れかを使用して作製されたものである。そのような技術は、ファージディスプレイライブラリーのようなヒト由来コンビナトリアルライブラリーのスクリーニング(Marks等, J. Mol. Biol., 222:581-597(1991)及びHoogenboom等, Nucl. Acids Res., 19: 4133-4137 (1991));ヒトモノクローナル抗体の生産のためのヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株の使用(例えばKozbor J. Immunol, 133: 3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987);及びBoerner等, J. Immunol, 147: 86 (1991)を参照);及び内因性免疫グロブリンの生産の不在下でヒト抗体の完全なレパートリーを生産することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)におけるモノクローナル抗体の生産(例えばJakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 90: 2551 (1993);Jakobovits等, Nature, 362: 255 (1993);Bruggermann等, Year in Immunol, 7: 33 (1993))を含む。ヒト抗体のこの定義は非ヒト動物由来の抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。
「親和性成熟」抗体とは、その変異を有しない親抗体と比較し、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる一又は複数の変異をその一又は複数のCDRに持つものである。一実施態様では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該分野において知られている方法によって生産される。Marks等 Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟化について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91: 3809-3813(1994);Schier 等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol., 155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol., 154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol., 226:889-896(1992)に記載されている。
「阻止」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害し又は減少させるものである。ある阻止抗体又はアンタゴニスト抗体は抗原の生物学的活性を部分的に又は完全に阻害する。
抗体「エフェクター機能」は抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に起因する生物学的活性を意味し、抗体アイソタイプと共に変わる。抗体エフェクター機能の例は、C1q結合及び補体依存性細胞毒性;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞障害性(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面レセプター(例えばB細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化を含む。
「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記述する。ある実施態様では、FcRは天然ヒトFcRである。ある実施態様では、FcRは、IgG抗体(ガンマレセプター)と結合するもので、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含み、これらのレセプターの対立遺伝子変異体、選択的にスプライシングされた形態も含まれる。FcγRIIレセプターには、FcγRIIA(「活性型レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害型レセプター」)が含まれ、これは、主としてその細胞質ドメインは異なるが、類似のアミノ酸配列を有するものである。活性型レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif ;ITAM)を含んでいる。阻害型レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター阻害性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif ;ITIM)を含んでいる(Daeron, Annu. Rev. immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRは、 Ravetch及びKinet, Annu.Rev. Immunol. 9:457-492 (1991);Capel等, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haas等, J.Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995) に概説されている。将来的に同定されるものも含む他のFcRはここでの「FcR」なる用語に包含される。
「Fcレセプター」又は「FcR」なる用語には、母性IgGsが胎児に受け継がれる要因(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976) Kim等, J. Immunol.24:249 (1994))及び免疫グロブリンのホメオスタシスの調節の要因となっている新生児性レセプターFcRnも含まれる。FcRnへの結合を測定する方法は知られている。インビボでのヒトFcRnへの結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質移入ヒト細胞株、又はFc変異体ポリペプチドを投与された霊長類において、アッセイできる。
国際公開第00/42072号(Presta)はFcRへの結合が改善された又は減少した抗体変異体を記載している。該特許刊行物の内容は出典明示により特にここに援用される。またShields等 J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照のこと。
「ヒトエフェクター細胞」は、一又は複数のFcRを発現し、エフェクター機能をなす白血球である。ある実施態様では、該細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能をなす。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞及び好中球が含まれる。エフェクター細胞は天然源、例えば血液から単離できる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害性」又は「ADCC」とは、ある種の細胞障害細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)と結合した免疫グロブリンにより、これらの細胞障害エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒素により標的細胞を死滅させることを可能にする細胞毒性の形態を意味する。ADCCを媒介する一次細胞のNK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92(1991)の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性をアッセイするために、米国特許第5500362号又は同5821337号又はPrestaの米国特許第6737056号に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。別法として、もしくは付加的に、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes等, (USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することができる。
「補体依存性細胞障害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解することを意味する。古典的な補体経路の活性化は補体系(Clq)の第1補体が、同族抗原と結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているようにして、実施することができる。
変異されたFc領域アミノ酸配列を有しC1q結合能が増加又は減少したポリペプチド変異体は米国特許第6194551B1号及び国際公開第99/51642号に記載されている。その特許刊行物の内容はここに出典明示により特に援用される。またIdusogie等J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照のこと。
「Fc領域含有ポリペプチド」なる用語はFc領域を含む抗体又はイムノアドヘシンのようなポリペプチドを意味する。Fc領域のC末端リジン(EU番号付け系による残基447)を、例えばポリペプチドの精製中に、又はポリペプチドをコードする核酸を組換え操作することによって、取り除くことができる。従って、本発明に係るFc領域を有するポリペプチドを含有する組成物は、K477を持つポリペプチド、全てのK477が取り除かれたもの、真野はK447残基を持つポリペプチドと持たないものの混合物を含みうる。
「細胞障害性抗体」はエフェクター機能を示すことができ、及び/又はその抗原への結合時に細胞死を誘発することができる抗体である。
「免疫複合体」は一又は複数の細胞障害性剤にコンジュゲートされた抗体を意味する。
ここで用いられる場合、「イムノアドヘシン」という用語は、免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性を組み合わせた抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以外の所望の結合特異性(つまり「異種性」である)を持つアミノ酸配列と免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含んでなる。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的にはレセプター又はリガンドの結合部位を少なくとも含む近接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2、IgG-3、又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgMなどの任意の免疫グロブリンから得ることができる。
「小分子」又は「小有機分子」はここでは約500ダルトン以下の分子量を有する有機分子として定義される。
「c−Myb結合オリゴペプチド」又は「c−Mybに結合するオリゴペプチド」は、オリゴペプチドがc−Mybを標的とする点で診断及び/又は治療薬剤として有用であるように十分な親和性でc−Mybに結合することができるオリゴペプチドを意味する。ある実施態様では、関連のない非c−Mybタンパク質に対するc−Myb結合オリゴペプチドの結合の度合いは、例えば表面プラズモン共鳴法によって測定して、c−Myb結合オリゴペプチドのc−Mybへの結合の約10%未満である。ある実施態様では、c−Myb結合オリゴペプチドは、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有している。
「c−Myb結合有機分子」又は「c−Mybに結合する有機分子」は、有機分子がc−Mybを標的とする点で診断及び/又は治療薬剤として有用であるように十分な親和性でc−Mybに結合することができるここに定義されたオリゴペプチド又は抗体以外の有機分子を意味する。ある実施態様では、関連のない非c−Mybタンパク質に対するc−Myb結合有機分子の結合の度合いは、例えば表面プラズモン共鳴法によって測定して、c−Myb結合有機分子のc−Mybへの結合の約10%未満である。ある実施態様では、c−Myb結合有機分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有している。
標的ポリペプチドに結合する任意の分子の解離定数(Kd)は表面プラズモン共鳴法を使用して簡便に測定することができる。このようなアッセイは、〜10応答単位(RU)で固定化標的ポリペプチドCM5チップと共に25℃にてBIAcoreTM−2000又はBIAcoreTM−3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を用いることができる。簡単に言えば、例として、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を供給者の指示に従って、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化した。標的ポリペプチドを5μl/分の流量での注入前に10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(〜0.2μM)まで希釈して、およそ10応答単位(RU)の結合タンパク質を得た。標的ポリペプチドの注入後、1Mのエタノールアミンを注入して未反応基をブロックした。動態測定のために、2倍連続希釈の結合分子(0.78nMから500nM)を、およそ25μl/分の流量で25℃にてTween20(PBST)を含むPBS中に注入する。結合速度(kon)及び解離速度(koff)を、結合及び解離センサーグラムを同時に当てはめて単純な一対一のラングミュア結合モデル(BIAcore Evaluation Software version 3.2)を用いて計算する。平衡解離定数(Kd)は比koff/konとして計算する。例えばChen, Y.等(1999) J. MoL Biol. 293:865-881を参照のこと。抗体のon速度が上記の表面プラズモン共鳴法によって10−1−1を超える場合は、on速度は、例えば撹拌キュベットと共にストップフロー装備分光計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM-Aminco分光計(ThermoSpectronic)のような分光計で測定して増加する濃度の抗原の存在下で、PBS、pH7.2中の20nM抗体(Fab型)の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、16nmバンド-パス)の増加又は減少を測定する蛍光消光法を使用することによって決定することができる。
「リポソーム」は、哺乳動物へ例えば薬物のような薬剤を送達するのに有用である様々なタイプの脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小ベジクルである。リポソームの成分は、生体膜の脂質配置と同様に、二重層形成に一般的に配置されている。
ここで使用される場合「標識」なる語句は検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識はそれ自体が検出可能であり得(例えば放射性同位体標識又は蛍光標識)、又は酵素標識の場合には、検出可能な産物を生じる基質化合物又は組成物の化学的変化を触媒しうる。検出可能な標識となりうる放射性核種は例えばI−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、及びPd−109を含む。
「単離された」生物学的分子、例えば核酸、ポリペプチド、又は抗体は、その天然環境の少なくとも一成分から同定され、分離され、及び/又は回収されたものである。
II.発明の実施態様
遺伝子増幅及び/又は過剰発現を伴う癌の診断及び治療のための方法及び組成物が提供される。一態様では、胃癌の診断及び治療のための方法及び組成物が提供される。該方法及び組成物は、c−Myb遺伝子を含む第6染色体の領域が特定の胃癌において増幅され、この増幅がc−MybmRNAの発現増加と相関しているとの発見に部分的に基づいている。
c−Mybは、ウイルス癌遺伝子の細胞の対応物として最初に同定された。従って、c−Mybは、例えば過剰発現又はN末端及び/又はC末端の切断等の突然変異によって癌遺伝子の形態に変換されうる「癌原遺伝子」である。Ramsayら (2003) Expert Opin. Ther. Targets 7(2):235-248; Gewirtz (1999) Oncogene 18:3056-3062を参照。
c−Mybは、明確な保存された機能ドメインを有する転写制御因子である。c−Mybは、ヘリックス・ターン・ヘリックス構造を維持する3つの不完全なタンデムリピートを有するN末端DNA結合ドメインを含んでいる。c−Mybはまた、中央酸性トランス活性化ドメイン(central acidic transactivation domain)、及びC末端負の制御ドメインを含む。Majelloら (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83:9636-9640; Ness (1999) Oncogene 18;3039-3046; Ramsayら (2003) Expert Opin. Ther. Targets 7(2):235-248参照。ヒトc−Mybの完全長形態を配列番号1に示す。該配列は次の特徴を含んでいる:
表1
Figure 0005297375
c−Myb mRNAの選択的スプライシングにより、タンパク質の中央及び/又はC末端部分における挿入、削除、又は置換を含む様々なアイソフォームが生成される。例えば、Westinら (1990) "Alternative splicing of the huma c-Myb gene", Oncogene 5:1117-1124; Dasguptaら (1989) "Identification of alternatively spliced transcripts for huma c-Myb: molecular cloning and sequence analysis of huma c-Myb exon 9A sequences", Oncogene 4:1419-1423; 及びNCBI受託番号U22376.1を参照。加えて、c−Myb遺伝子の染色体の位置は、第6染色体の短腕上の6q22−23である。
A.診断及び検出の方法
一態様では、胃癌の診断方法が提供される。以下の実施例に記載されるように、第6染色体の領域が増幅されている胃腫瘍が発見された。図1に示すように、c−Myb遺伝子は増幅領域内にちょうど収まり、よってc−Mybは胃癌の診断及び治療のための魅力的な標的である。
従って、一態様では、哺乳動物における胃癌の存在を診断する方法であって、該哺乳動物の被験胃試料においてコントロール試料に対してc−Myb遺伝子が増幅されているかどうかを検出することを含み、c−Myb遺伝子の増幅が該哺乳動物における胃癌の存在を示す方法が提供される。ここで使用される場合、「検出する」なる用語は定量的又は定性的検出を包含する。「被験胃試料」は、癌性であっても又は癌性でなくともよい胃組織から取り出された生物学的試料、例えば癌性であることが疑われる胃細胞の試料又は胃細胞から取り出された全細胞抽出物又は分画抽出物(例えば核抽出物)である。「コントロール試料」は、(a)正常組織、例えば正常胃細胞又はそのような細胞から取り出された全細胞抽出物又は分画抽出物(例えば核抽出物)、又は(b)c−Myb遺伝子が増幅又は過剰発現されていないことが分かっている胃癌組織、又はそれから取り出された全細胞抽出物又は分画抽出物から得られた生物学的試料である。c−Mybは遺伝子は、c−Myb遺伝子のコピー数が被験胃試料においてコントロール試料に対して少なくとも3倍、4倍、5倍、7倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍増加していれば、「増幅した」と言われる。
ある実施態様では、c−Myb遺伝子の増幅の検出は、当業者に知られているある種の技術を使用して達成される。例えば、比較ゲノムハイブリダイゼーションを用いて、染色体位置の関数としてDNA配列コピー数のマップをつくる。例えばKallioniemi等(1992) Science 258:818-821を参照のこと。c−Myb遺伝子の増幅は、例えば、c−Myb遺伝子に特異的なプローブを用いるサザンハイブリダイゼーションにより又はリアルタイム定量PCRによって、検出することもできる。
ある実施態様では、c−Myb遺伝子の増幅の検出は、例えばc−Myb遺伝子にハイブリダイズするプローブを使用して、c−Myb遺伝子のコピー数を直接評価することによって達成される。ある実施態様では、c−Myb遺伝子の増幅の検出は、例えば、c−Myb遺伝子の外側にあるがc−Myb遺伝子と同時増幅される染色体領域のコピー数を評価することによって、c−Myb遺伝子のコピー数を間接的に評価することによって達成される。そのような領域を選択するための手引きは例えば図1及び2に提供される。
他の態様では、哺乳動物における胃癌の存在を診断する方法であって、該哺乳動物の被験胃試料におけるc−Myb遺伝子の発現を検出することを含み、コントロール試料に対して被験胃試料におけるc−Myb遺伝子の高レベルの発現が該哺乳動物における胃癌の存在を示す方法が提供される。ある実施態様では、c−Myb遺伝子の発現は、c−Myb遺伝子からのmRNAの転写レベルを決定することにより検出される。mRNAの転写レベルは、定量的又は定性的に、当業者に知られた様々な方法によって決定することができる。mRNAの転写レベルはまたmRNAから生成されたcDNAのレベルを検出することによって直接的に又は間接的に決定することもできる。RNAの転写レベルを決定するための例示的方法には、限定されるものではないが、リアルタイム定量RT−PCR及びハイブリダイゼーションベースアッセイで、マイクロアレイベースアッセイ及びノーザンブロットのようなフィルターベースアッセイを含むものが含まれる。ある実施態様では、「c−Myb遺伝子の高レベルの発現」は、c−Myb遺伝子からのmRNA転写の少なくとも3倍、4倍、5倍、7倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍の増加を意味する。
他の実施態様では、c−Myb遺伝子の発現は、c−Mybのレベルを決定することにより検出される。c−Mybのレベルは、定量的又は定性的に、抗体ベース検出法を含む、当業者に知られたある種の方法によって決定することができる。一実施態様では、被験胃試料におけるc−Myb遺伝子の発現の検出は、被験胃試料を抗c−Myb抗体に接触させ、c−Mybへの抗c−Myb抗体の結合を検出することによって被験胃試料中におけるc−Mybの発現のレベルを(定量的又は定性的に)決定することを含む。ある実施態様では、c−Mybへの抗c−Myb抗体の結合は、限定するものではないが、蛍光標示式細胞分取、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA等々を含む当業者に知られた様々な方法によって検出することができる。ある実施態様では、「c−Myb遺伝子の高レベルの発現」は、c−Mybレベルの少なくとも3倍、4倍、5倍、7倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、又は50倍の増加を意味する。
上記の方法の何れに対しても、「哺乳動物における胃癌の存在を診断する」という記載された目的は非限定的なものであって、コントロール試料に対して胃の被験試料においてc−Myb遺伝子が高レベルで増幅されているか及び/又は発現されているかどうかを検出することによって、哺乳動物において存在する胃癌のタイプを分類することを包含する。c−Myb遺伝子が増幅されているか及び/又は発現されているか否かに基づいた胃癌の分類は、例えば、胃癌を有する個体が、c−Myb又はc−Myb遺伝子を標的とする治療剤に応答するかどうかを決定するために、よって、以下に更に記載されるように、胃癌の治療に対する最適な療法を選択するために有用である。
例えば、胃癌を有する個体がc−Myb又はc−Myb遺伝子を標的とする治療剤に応答するかどうかを決定するための方法であって、c−Myb遺伝子が胃癌において増幅されているか及び/又は過剰発現されているかを(例えば上述の方法の何れかを使用して)決定することを含み、ここでc−Myb遺伝子の増幅及び/又は過剰発現が、該個体がその治療剤に応答することを示す方法が提供される。「c−Myb又はc−Myb遺伝子を標的とする治療剤」は、限定するものではないが、以下のパートBに記載したc−Mybアンタゴニスの任意のものを含み、当該分野で既に知られているかかる治療剤並びに後に開発されるものを含むc−Myb又はc−Myb遺伝子の発現及び/又は活性に影響を及ぼす任意の薬剤を意味する。
B.組成物及び薬学的製剤
胃癌を治療するための薬学的製剤が提供される。ある実施態様では、薬学的製剤は少なくとも一種のc−Mybアンタゴニスト、薬学的に許容可能な担体、及び場合によっては少なくとも一種の更なる治療剤を含有する。c−Mybアンタゴニストは、1)c−Mybの生物活性、例えばc−Mybの転写活性化活性又はDNA結合活性、又は2)c−Mybの転写又は翻訳を、部分的に又は完全にブロック、阻害又は中和するあらゆる分子であってよい。ある実施態様では、c−Mybアンタゴニストは、抗c−Myb抗体又は抗c−Myb抗体をコードする核酸;オリゴペプチド;有機分子;c−Mybに結合する核酸;又はアンチセンス核酸、例えばアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを含む。
別の実施態様では、薬学的製剤は、少なくとも一種の細胞障害性抗c−Myb抗体、製薬的に許容可能な担体、及び場合によっては少なくとも一種の更なる治療剤を含有する。また別の実施態様では、薬学的製剤は、少なくとも一種の免疫複合体を含み、この場合、該免疫複合体は、細胞障害剤及びc−Mybに結合する抗体;製薬的に許容可能な担体;及び場合によっては少なくとも一種の更なる治療剤を含む。
1.c−Mybアンタゴニスト
一態様では、c−Mybアンタゴニストは抗c−Myb抗体である。ある実施態様では、抗c−Myb抗体は「阻止(ブロッキング)抗体」、例えばc−Mybの活性を完全に又は部分的に阻止する抗体である。ある実施態様では、抗c−Myb抗体はc−MybのDNA結合ドメインに結合する。ヒトc−Mybの例示的なDNA結合ドメインを表1に示す。ある実施態様では、抗c−Myb抗体はc−Mybのトランス活性化ドメインに結合する。ヒトc−Mybの例示的なトランス活性化ドメインを表1に示す。
一態様では、c−Mybアンタゴニストは抗c−Myb抗体をコードする核酸である。特定の阻止抗c−Myb抗体が従来技術に既知であり、該抗体をコードする核酸を細胞に形質移入することにより、該細胞に発現された。このようにして発現された抗体は、細胞内のc−Myb活性を減少させるのに有効であった。例えば、Afronzeら (2003) Am. J. Physiol. Cell Physiol. 285:C88-C95; Kasonoら (1998) Biochem Biophys Res Commun. 251(1):124-30参照。特に、Kasonoらは、c−Mybを機能的にノックアウトし、Myb発現白血病細胞株に細胞障害性の効果のあった抗c−Myb scFvの発現を開示し、この抗体の遺伝子療法における有用性を示唆している。
本発明の様々な実施態様では、(以下の2部において検討されるアンタゴニスト抗c−Myb抗体及び細胞障害性抗c−Myb抗体を含む)抗c−Myb抗体はモノクローナル抗体である。様々な実施態様では、抗c−Myb抗体は抗体断片、例えばFab、Fab'−SH、Fv、scFv、又は(Fab')断片、又は単一ドメイン抗体(Domantis, Inc., Waltham, MA;例えば米国特許第6248516Bl号を参照)である。ある実施態様では、抗c−Myb抗体は二重特異性抗体(例えば国際公開第94/04690号及びSuresh等 (1986) Methods in Enzymology 121 :210を参照)である。ある実施態様では、抗c−Myb抗体はキメラ、ヒト化、又はヒト抗体である。
他の態様では、c−Mybアンタゴニストはc−Mybに結合するオリゴペプチドである。一実施態様では、オリゴペプチドはc−MybのDNA結合ドメインに結合する。一実施態様では、オリゴペプチドは、c−Mybのトランス活性化ドメインに結合する。オリゴペプチドは、既知のオリゴペプチド合成法を用いて化学的に合成することができ、あるいは組換え技術を用いて調製し精製することができる。そのようなオリゴペプチドは、通常は少なくとも約5のアミノ酸長であり、あるいは少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100のアミノ酸長である。このようなオリゴペプチドは、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同定することができる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のあるオリゴペプチドについてオリゴペプチドライブラリーをスクリーニングする技術は当該分野でよく知られていることを注記する(例えば、米国特許第5556762号、同第5750373号、同第4708871号、同第4833092号、同第5223409号、同第5403484号、同第5571689号、同第5663143号;PCT公開第WO84/03506号、及びWO84/03564号;Geysen等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81:3998-4002 (1984);Geysen等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:178-182 (1985);Geysen等, Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986);Geysen等, J. Immunol. Meth., 102:259-274 (1987);Schoofs等, J. Immunol., 140:611-616 (1988), Cwirla,S.E.等(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378;Lowman,H.B.等 (1991) Biochemistry, 30:10832;Clackson,T.等 (1991) Nature, 352:624;Marks,J.D.等 (1991) J. Mol. Biol., 222:581;Kang,A.S.等 (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363、及びSmith, G.P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2:668参照)。ある実施態様では、オリゴペプチドは細胞障害剤にコンジュゲートされうる。
また別の態様では、c−Mybアンタゴニストは、ここに記載されたオリゴペプチド又は抗体以外の、c−Mybに結合する有機分子である。有機分子は例えば小分子でありうる。ある実施態様では、有機分子はc−MybのDNA結合ドメインに結合する。別の一実施態様では、有機分子は、c−Mybのトランス活性化ドメインに結合する。別の実施態様では、有機分子はc−Mybの転写をブロックする。このような分子の一部は従来技術に既知である。例えば、c−Myb遺伝子が、第1イントロン中の19−20残基のポリT領域(poly-T tract)において減衰するRNAポリメラーゼIIによって転写されることが知られている。Ramsayら (2003) Expert Opin. Ther. Targets 7(2):235-248を参照。この転写減衰は、DMSOのような分化を促進するか、又は酪酸ナトリウム、ヘキサメチレンビスアセトアミド(HMBA)、及びスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)のようなヒストン脱アセチル化を阻害する薬剤に細胞を曝すことにより増強される。
FGFR2に結合する有機分子は、既知の方法(例えばPCT公開第WO00/00823号及び第WO00/39585号を参照)を使用して同定し、化学的に合成してもよい。そのような有機分子は通常は約2000ダルトン未満のサイズであるか、あるいは約1500、750、500、250又は200ダルトン未満のサイズであり、このような有機分子は、よく知られた技術を用いて過度の実験をすることなしに同定することができる。この点において、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のある分子について有機分子ライブラリーをスクリーニングする技術は当該分野でよく知られていることを注記する(例えば、PCT公開第WO00/00823号及びWO00/39585号を参照)。ある実施態様では、有機分子は細胞障害剤にコンジュゲートされうる。
また別の態様では、c−Mybアンタゴニストは核酸である。ある実施態様では、核酸はc−Mybのポリペプチドアンタゴニスト、例えばc−Mybに結合する抗体をコードする。ある実施態様では、核酸はc−MybのDNA結合ドメインに結合する配列を含む。そのような実施態様の一つでは、核酸は天然c−Myb結合部位、例えば天然c−Myb結合部位の全部又は一部、或いはc−Mybへの結合能を有するその変異体由来の配列を含む。そのような核酸を使用して、例えばその天然結合部位よりc−Mybを滴定することができる。様々なc−Myb結合部位の核酸配列が同定されている(Langら (2005) Oncogene 24:1375-1384)。ある例示的実施態様では、c−Mybアンタゴニストは、そのような配列のいずれか、又はc−Mybに対する結合能を有するそれら変異体の断片を含む核酸とすることができる。
更に別の態様では、c−Mybアンタゴニストはc−Myb遺伝子の発現を減少させる(つまり、c−Myb遺伝子の転写及び/又はc−Myb mRNAの翻訳を低減させる)アンチセンス核酸である。ある実施態様では、アンチセンス核酸はc−Mybをコードする核酸(DNA又はRNA)に結合する。ある実施態様では、アンチセンス核酸は約10−30ヌクレオチド長の(エンドポイント間の全てのポイントを含む)オリゴヌクレオチドである。ある実施態様では、アンチセンス核酸は約18−24ヌクレオチド長の(エンドポイント間の全てのポイントを含む)オリゴヌクレトチドである。ある実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾された糖ホスホジエステル骨格(又はホスホロチオエート結合及び国際公開第91/06629号に記載されたような結合を含む他の糖連鎖)を含み、ここで、かかる修飾された糖ホスホジエステル骨格は内在性ヌクレアーゼに耐性がある。
一実施態様では、アンチセンス核酸はオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)であり、これはc−Myb mRNAの分解及び/又は転写又は翻訳の減少を生じる。ある実施態様では、ホスホチオエート(phosphothioate)結合ODN(PS−ODN)が好ましい。c−Myb特異的ODNのある種の例は当業者に知られており、例えば、Ramsayら (2003) Expert Opin. Ther. Targets 7(2):235-248に記載されている。あるODNは、c−Myb mRNAの翻訳開始部位と、翻訳開始部位の下流領域又は好ましくは上流とを標的とする。c−Mybを標的とするODNは、カチオン性リポソーム製剤を用いてインビボ及びインビトロでうまく細胞種類に特異的に送達された。Brignoleら (2003) Cancer Lett. 197:231-235参照。実際、c−Mybを標的とするODNは、エキソビボ法を用いた造血器癌の治療のための臨床試験において投与されている。Gewirtz (1999) Oncogene 18:3056-3062参照。
ある実施態様では、アンチセンス核酸は、「RNA干渉」(「RNAi」)によって標的核酸の発現を減少させるRNAである。RNAiの概説については、例えばNovina等(2004) Nature 430:161-164を参照のこと。そのようなRNAは例えば低分子干渉RNA(siRNA)及びマイクロRNAから誘導される。siRNAは、例えば長さが約18−26ヌクレオチドの二本鎖オリゴリボヌクレオチドとして合成することができる。同文献。よって、c−Mybの発現を減少させ宇アンチセンス核酸もまた当業者の技量の範囲内である。
また別の態様では、c−MybアンタゴニストはODNを形成する三重らせん体である。また別の態様では、c−Mybアンタゴニストは、c−Myb mRNAを標的とするリボザイムである。ODNを形成する三重らせん体及びリボザイムは、例えば、Gewirtz (1999) Oncogene 18:3056-3062; Guntherら (1996) Photochem. Photobiol. 63:207-212; Jamesら (1997) Methods Mol. Biol. 74:1-9に記載されている。
2.細胞障害性抗体
一態様では、細胞障害性抗体が提供される。ある実施態様では、細胞障害性抗体は抗c−Myb抗体、例えば上に提供したものであり、これはエフェクター機能を奏し及び/又は細胞死を誘導する。
3.免疫複合体
免疫複合体、又は「抗体−薬剤コンジュゲート」は癌の治療における細胞障害剤の局所的送達に有用である。例えばSyrigos等(1999) Anticancer Research 19:605-614;Niculescu-Duvaz等(1997) Adv. Drg Del. Rev. 26:151-172;米国特許第4975278号を参照のこと。免疫複合体は腫瘍への薬剤部分の標的化送達を可能にする一方、非コンジュゲート細胞障害性薬剤の全身性投与により正常細胞並びに除去しようとする腫瘍細胞への毒性が容認できないレベルとなりうる。Baldwin等, (1986) Lancet pp.(Mar.15,1986):603-05;Thorpe, (1985) 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」 Monoclonal Antibodies '84: Biological and Clinical Applications (A.Pinchera等編), pp. 475-506を参照のこと。
一態様では、免疫複合体は、例えば上で提供されたもののようなc−Mybに結合する抗体、及び細胞障害性薬剤、例えば化学療法剤、増殖阻害剤、毒素(例えば酵素的に活性な細菌、真菌、植物、又は動物由来の毒素、又はその断片)、又は放射性同位体(つまり放射性コンジュゲート)を含む。一態様では、c−Mybのアンタゴニストは免疫複合体をコードする核酸である。
そのような免疫複合体の作製に有用な化学療法剤は上に記載した。使用可能な酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例には、212Bi、131I、131In、90Y、及び186Reが含まれる。
抗体と細胞障害剤のコンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)は抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照のこと。
ここで、抗体と、一以上の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコセン(trichotene)、及びCC1065、並びに毒素活性を有するこれら毒素の誘導体との抱合体についても考える。
メイタンシン及びメイタンシノイド
一実施態様では、免疫複合体は一又は複数のメイタンシノイド分子と結合した抗c−Myb抗体を含んでなる。メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離された(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4137230号;同4248870号;同4256746号;同4260608号;同4265814号;同4294757号;同4307016号;同4308268号;同4308269号;同4309428号;同4313946号;同4315929号;同4317821号;同4322348号;同4331598号;同4361650号;同4364866号;同4424219号;同4450254号;同4362663号;及び同4371533号に開示されており、その開示は出典を明示してここに援用される。
治療指標を改善する試みで、メイタンシン及びメイタンシノイドは、腫瘍細胞表面上の抗原に結合する抗体に結合された。メイタンシノイドを含む免疫複合体及びそれらの治療用途は、例えば米国特許第5208020号、同5416064号、欧州特許第0425235B1号に開示されており、その開示は出典を明示してここに援用される。Liu等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623(1996)には、ヒト胃癌に対するモノクローナル抗体C242に結合するDM1と命名されたメイタンシノイドを含有する免疫複合体が記載されている。前記複合体は培養された大腸癌細胞に対して高い細胞障害性を有することが見出されており、インビボ腫瘍増殖アッセイにおいて抗腫瘍活性を示した。Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)には、メイタンシノイドが、ジスルフィド結合を介して、ヒト結腸癌株化細胞の抗原に結合するマウス抗体A7、又はHER-2/neuオンコジーンに結合する他のマウスモノクローナル抗体TA.1に結合している免疫複合体が記載されている。TA.1-メイタンシノイドコンジュゲートの細胞毒性はヒト乳癌株化細胞SK-BR-3についてインビトロで試験され、細胞当たり3×10HER-2表面抗原を発現した。薬剤複合体により、遊離のメイタンシノイド剤に類似した細胞障害度が達成され、該細胞障害度は、抗体分子当たりのメイタンシノイド分子の数を増加させることにより増加させうる。A7-メイタンシノイドコンジュゲートはマウスにおいては低い全身性細胞障害を示した。
抗c−Myb抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体又はメイタンシノイド分子の何れの生物学的活性も有意には低減することなく、メイタンシノイド分子に抗c−Myb抗体を化学的に結合させることにより、調製される。抗体当たり1分子の毒素さえ、裸抗体の使用に対して細胞毒性を高めることが予想されるが、抗体分子当たり、平均3−4のメイタンシノイド分子が結合したものは、抗体の機能又は溶解性に悪影響を与えることなく、標的細胞の細胞毒性を向上させる効力を示した。メイタンシノイドは当該分野でよく知られており、既知の技術で合成することも、天然源から単離することもできる。適切なメイタンシノイドは、例えば米国特許第5208020号、及び他の特許及び上述した非特許刊行物に開示されている。好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノール、及び種々のメイタンシノールエステル等の、メイタンシノール分子の芳香環又は他の位置が修飾されたメイタンシノール類似体である。
例えば、米国特許第5208020号又は欧州特許第0425235B1号、及びChari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)に開示されているもの等を含む、抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するために、当該分野で知られている多くの連結基がある。連結基には、上述の特許に開示されているようなジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチターゼ不安定性基、又はエステラーゼ不安定性基が含まれるが、ジスルフィド及びチオエーテル基が好ましい。
抗体とメイタンシノイドとのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及びビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノアート(SPP)(Carlsson等, Biochem. J. 173:723-737[1978])及びN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)を含むある種のカップリング剤はジスルフィド結合をもたらす。
リンカーは、結合の種類に応じて、様々な位置でメイタンシノイド分子に結合されうる。例えば、一般的なカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエステル結合を形成することができる。該反応は、ヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で生じる。好ましい実施態様では、結合はメイタンシノール又はメイタンシノール類似体のC-3位で形成される。
オーリスタチン(auristatins)及びドラスタチン
ある実施態様では、免疫複合体はドラスタチン又はドラスタチンペプチド性維持体又は誘導体、例えばオーリスタチン(米国特許第5635483号;同第5780588号)にコンジュゲートした抗c−Myb抗体を含んでなる。ドラスタチン及びオーリスタチンは微小管動態、GTP加水分解、及び核及び細胞分裂を妨害し(Woyke等(2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12):3580-3584)、抗癌(米国特許第5663149号)及び抗真菌活性(Pettit等(1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有していることが知られている。ドラスタチン又はオーリスタチン薬剤部分はペプチド性薬剤部分のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合されうる(国際公開第02/088172号)。
例示的なオーリスタチン実施態様は、その開示の全体が出典明示により明示的に援用される米国特許出願公開第2005−0238649A1号「Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands」に開示されたN末端結合モノメチルオーリスタチン薬剤部分DE及びDFを含む。
典型的には、ペプチド系薬剤部分は、二以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片の間にペプチド結合を形成することによって調製することができる。そのようなペプチド結合は、例えばペプチド化学の分野でよく知られている液相合成法(E. Schroder及びK. Lubke, "The Peptides", 1巻, pp 76-136, 1965, Academic Press)に従って調製することができる。オーリスタチン/ドラスタチン薬剤部分は、米国特許第5635483号;同第5780588号;Pettit等(1989) J. Am. Chem. Soc. 111 :5463-5465;Pettit等(1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277;Pettit, G.R.等 Synthesis, 1996, 719-725;及びPettit等(1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863の方法に従って調製することができる。その全体が出典明示によりここに援用されるDoronina (2003) Nat. Biotechnol. 21(7):778-784;米国特許出願公開第2005−0238649A1号(例えばリンカー、及びリンカーにコンジュゲートされるMMAE及びMMAFのようなモノメチルバリン化合物を調製する方法を開示)を参照のこと。
カリケアマイシン
対象の他の免疫複合体には、一又は複数のカリケアマイシン分子と結合した抗c−Myb抗体が含まれる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはサブ-ピコモルの濃度で二重鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同5714586号、同5739116号、同5767285号、同5770701号、同5770710号、同5773001号、同5877296号(全て、American Cyanamid Company)を参照のこと。使用可能なカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないが、γ 、α 、α 、N-アセチル-γ 、PSAG及びθ (Hinman等, Cancer Research, 53:3336-3342(1993)、Lode等 Cancer Research, 58:2925-2928(1998)及び上述したAmerican Cyanamidの米国特許)が含まれる。抗体が結合可能な他の抗腫瘍剤は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAは双方とも、細胞内に作用部位を有し、原形質膜を容易には通過しない。よって、抗体媒介性インターナリゼーションによるこれらの薬剤の細胞への取込により、細胞障害効果が大きく向上する。
他の細胞障害剤
抗c−Myb抗体と結合可能な他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン及び5-フルオロウラシル、米国特許第5053394号、同5770710号に記載されており、集合的にLL-E33288複合体として知られている薬剤のファミリー、並びにエスペラマイシン(esperamicine)(米国特許第5877296号)が含まれる。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
他の態様では、免疫複合体は、抗c−Myb抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えばリボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNエース)を含みうる。
腫瘍を選択的に破壊するため、免疫複合体は、抗c−Myb抗体と高放射性原子を含みうる。放射性コンジュゲートした抗c−Myb抗体を生成するために様々な放射性同位体が利用される。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体が含まれる。コンジュゲートが診断用に使用される場合、それはシンチグラフィー研究用の放射性原子、例えばtc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)映像(磁気共鳴映像、mriとしても知られている)用のスピン標識、例えばヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含みうる。
放射-又は他の標識は、既知の方法でコンジュゲートに導入される。例えば、ペプチドは生合成されるか、又は水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を使用する化学的なアミノ酸合成により合成される。標識、例えばtc99m又はI123、Re186、Re188及びIn111は、ペプチドのシステイン残基を介して結合されうる。イットリウム-90はリジン残基を介して結合されうる。IODOGEN法(Fraker等(1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:49-57)は、ヨウ素-123の導入に使用することができる。「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press 1989)は他の方法を詳細に記載している。
4.更なる治療剤
薬学的製剤は、場合によっては少なくとも一つの更なる治療剤を(つまり、c−Mybアンタゴニスト、細胞障害性抗体、又は免疫複合体に加えて)含有してもよい。そのような更なる治療剤は以下のパートCに更に詳細に記載される。
5.薬学的製剤の調製
上記薬剤の何れかを含有する薬学的製剤は、所望される程度の純度を持つ抗体又は免疫複合体を、水溶液又は凍結乾燥もしくは他の乾燥製剤の形態で、任意成分の製薬上許容される担体、賦形剤又は安定化剤と混合することにより調製され保存される(Remington's Pharmaceutical Science 16版, Osol, A.編 (1980))。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム);フェノール;ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)及び/又はトゥイーン(TWEENTM)、プルロニクス(PLURONICSTM)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。インビボ投与に使用される薬学的製剤は一般に無菌である。これは滅菌濾過膜による濾過によって直ぐに達成される。
薬剤は、例えばコアセルベーション法によって又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉することができる。このような技術はRemington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A.編(1980)に開示されている。
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の好適な例は、対象の薬剤を含む固形疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、該マトリクスは成形品、例えばフィルム、又はマイクロカプセルの形態である。除放性マトリクスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸リュープロリドからなる注射可能なミクロスフィア)等の分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリ-(D)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは分子を100日に亘って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより短時間でタンパク質を放出する。カプセル化された薬剤が身体内に長時間残ると、それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性の低下、及び抗体の場合には、起こりうる免疫原性の変化をもたらす。合理的な方法は、関与する機構に依存して安定化について工夫することができる。例えば、凝集機序がチオ-ジスルフィド交換を通した分子間S-S結合形成であることが発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポリマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
C.治療法及び関連方法
上記組成物又は薬学的製剤のいずれかを使用する治療方法が提供される。そのような方法には、別段の記載がない限り、インビトロ、エキソビボ、及び/又はインビボ治療法が含まれる。
本発明の一態様では、胃癌細胞の増殖を阻害する方法であって、細胞を、上記組成物又は薬学的製剤のいずれかを含んでなる薬剤にさらすことを含む方法が提供される。細胞を薬剤に「さらす」ことは、薬剤を、細胞外で、細胞内で、又は細胞の内外で供給することを含む。本発明の特定の一態様では、胃癌細胞の増殖を阻害する方法であって、細胞をc−Mybアンタゴニストにさらすことを含む方法が提供される。ある実施態様では、胃癌細胞においてc−Myb遺伝子が増幅され及び/又は過剰発現される。ある実施態様では、胃癌細胞は、胃腫瘍、例えばc−Myb遺伝子が増幅され及び/又は過剰発現される胃腫瘍から誘導される。ある実施態様では、胃癌細胞は次の細胞株の何れかであり得る:SNU−1、SNU−5、SNU−16、SNU−484、SNU−601、SNU−620、SNU−638、及びSNU−668。
細胞増殖の阻害は当業者に知られた方法を使用して測定することができる。例えば、細胞増殖の測定のための簡便なアッセイはCellTiter-GloTM Luminescent Cell Viability Assayであり、これはPromega(Madison, WI)から商業的に入手できる。そのアッセイは、代謝的に活性な細胞の指標である存在するATPの定量に基づき培養物中の生存細胞数を決定する。Crouch等 (1993) J. Immunol. Meth. 160:81-88, 米国特許第6602677号を参照。該アッセイは96ウェル又は384ウェル形態で実施することができ、自動化高スループットスクリーニング(HTS)に受け入れられるものとなる。Cree等(1995) Anticancer Drugs 6:398-404を参照。該アッセイ手順は培養した細胞に単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)を直接添加することを含む。これは、細胞溶解と、ルシフェラーゼ反応によって得られる発光シグナルの発生を生じる。発光シグナルは、存在するATPの量に比例し、これは培養物中に存在する生存細胞の数に直接比例している。データはルミノメーター又はCCDカメラ画像処理装置によって記録することができる。発光出力は相対光単位(RLU)として表される。
他の態様では、胃癌の治療方法であって、胃癌の個体に、上記組成物又は薬学的製剤のいずれかの有効量を投与することを含む方法が提供される。ある実施態様では、薬学的製剤はc−Mybアンタゴニストを含む。ある実施態様では、胃癌にc−Myb遺伝子の増幅及び/又は過剰発現が伴う。ある実施態様では、個体は胃癌に対する非ヒト動物モデルである。胃癌のマウスモデルは、例えば、McCartyら (2004) British Journal of Cancer 90:705-711で詳細に検討されている。ある実施態様では、薬学的製剤の有効量は次のものの何れか一つを生じる:癌細胞数の減少又は癌細胞の除去;腫瘍サイズの減少;癌の軟部組織及び骨中への広がりを含む周囲器官中への癌細胞浸潤の完全な又は部分的な阻害;腫瘍増殖の完全な又は部分的な阻害;及び/又は癌に伴う一又は複数の徴候の完全な又は部分的な軽減;及び罹患率及び死亡率の減少。
ある実施態様では、上記組成物又は薬学的製剤は、少なくとも一つの更なる治療剤及び/又はアジュバントと併用して投与される。ある実施態様では、治療剤は細胞障害剤、化学療法剤、又は増殖阻害剤である。かかる実施態様の一つでは、化学療法剤は胃癌の治療に使用される薬剤又は薬剤の組合せである。かかる薬剤には、限定されるものではないが、単独で又はロイコボリン又はレバミソールと併用されるフルオロウラシル(5FU)、フォリン酸、ヘプタプラチン(heptaplatin)、シスプラチン、タキサン、カンプトテシン、フルオロピリミジン、又はこれらの組み合わせが含まれる。
上に記したかかる併用療法は、(二以上の薬剤が同じ又は別個の製剤中に含まれる)併用投与、及びc−Mybアンタゴニストの投与が更なる治療剤及び/又はアジュバントの投与の前、同時、及び/又は後に続いて生じうる別個の投与を包含する。c−Mybアンタゴニストはまた放射線療法と併用して使用することもできる。
本明細書に記載の組成物又は薬学的製剤(及び何らかの追加的な治療薬又はアジュバント)を含んでなる薬剤は、非経口投与、皮下投与、腹腔内投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、並びに局所的治療に望ましい場合は病巣内投与を含め、あらゆる適切な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は皮下投与が含まれる。加えて、薬剤は、特に薬剤の用量を減らしながら投与する場合に、パルス注入により適切に投与することができる。投薬は、一つには一時的な投与か慢性投与かに応じて、あらゆる適切な経路によって、例えば静脈内注射又は皮下注射等の注射によって、行うことができる。
遺伝子治療法は、例えば本明細書に記載の核酸のいずれかをインビボで細胞に送達するために、使用することができる。遺伝子治療のある実施態様では、核酸はc−Mybのポリペプチドアンタゴニスト、例えばc−Mybに結合する抗体をコードする。一実施態様によれば、ターゲティング剤を使用して核酸を含むビヒクルを所望の組織に導入する。
現在、哺乳動物の細胞に、インビボ及びエキソビボで核酸(随意でベクターに含めて)を導入するのに、一般に2つの主な手法が存在する。インビボでの送達の場合、核酸は通常、核酸、及び可能であればコードされたポリペプチドが必要とされる部位において、哺乳動物に直接注射される。エキソビボ治療の場合、哺乳動物の細胞が取り出され、これら単離された細胞に核酸が導入されて、この修飾された細胞が、直接又は例えば哺乳動物に移植される多孔性の膜内に包含して哺乳動物に投与される(例えば米国特許第4892538号及び同5283187号参照)。
生細胞中に核酸を導入するために使用可能な様々な技術が存在する。これらの技術は、核酸が、インビトロで培養された細胞内に移されるか、インビボで目的の宿主の細胞内に移されるかに応じて使い分けられる。インビトロでの哺乳動物の細胞への核酸の移行に適した技術には、リポソームの使用、電気穿孔、顕微注入、形質導入、細胞融合、DEAE−デキストラン、リン酸カルシウム沈降方等が含まれる。形質導入では、複製欠損の組換えウイルス(レトロウイルスを含むがこれに限定されない)粒子と細胞レセプターとを結合させた後、粒子に含まれる核酸を細胞に導入する。エキソビボでの核酸送達に一般に使用されるベクターはレトロウイルスである。
インビボでの核酸移行技術に一般に使用されるものには、ウイルス性又は非ウイルス性ベクター(例えばアデノウイルス、レンチウイルス、ヘルペスシンプレックスIウイルス、又はアデノ随伴ウイルス(AAV))を用いた形質移入、及び脂質に基づくシステム(核酸の脂質媒介性移行に有用な脂質、例えば、DOTMA、DOPE、及びDC−Chol;例えば、Tonkinson等、Cancer Investigation, 14(1): 54-65 (1996)参照)が含まれる。このようなベクターは、本発明のアンタゴニスト及び核酸分子のような薬剤を送達するための媒体として使用できるウイルスを合成するために使用される。遺伝子治療に最も広く使用されているベクターは、アデノウイルス、AAV、レンチウイルス、又はレトロウイルス等のウイルスである。一実施態様では、レトロウイルスベクター等のウイルスベクターは、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサー又は遺伝子座決定要素(locus-defining element(s))、或いはメッセンジャーの翻訳後修飾、核RNAのエクスポート、又は選択的スプライシングのような他の手段により遺伝子発現を制御する他の要素を含む。加えて、レトロウイルスベクター等のウイルスベクターは、対象の核酸に作用可能に結合し、翻訳開始配列として機能する核酸分子を含むことができる。このようなベクターコンストラクトは、パッケージングシグナル、末端反復配列(LTR)又はそれらの一部、及び使用するウイルスに適切なポジティブ及びネガティブ鎖プライマー結合部位(ウイルスベクター中に既存でなければ)を含むこともできる。加えて、そのようなベクターコンストラクトは、該コンストラクトが導入される宿主細胞からコードされたポリペプチドを分泌させるためのシグナル配列を含むことができる。場合によっては、ベクターコンストラクトは、ポリアデニル化を指示するシグナル、並びに一以上の制限酵素部位及び翻訳終結配列を含むこともできる。例えば、ベクターは通常5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第2鎖DNA合成源、及び3’LTR又はその一部を含む。使用可能な他のベクターには、非ウイルス性のもの、例えばカチオン性脂質、ポリリジン、及びデンドリマーが含まれる。
場合によっては、核酸又は他の分子の送達に使用される媒体は、特定の細胞集団を媒体の標的とするためのターゲティング剤に結合される。一実施態様では、ターゲティング剤は、標的細胞上の細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体、標的細胞上のレセプターのリガンド等である。リポソームが使用される場合、ターゲティング及び/又は取り込みの促進に、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質を使用することができる。レセプター媒介性エンドサイトーシスの技術は、例えば、Wuら、J. Biol. Chem., 262: 4429-4432 (1987);及びWagnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 3410-3414 (1990)に記載されている。
現在既知である遺伝子標識及び遺伝子治療プロトコルの参考文献として、Andersonら、Science, 256: 808-813 (1992)を参照されたい。また、国際公開第93/25673号及びそこに引用されている参考文献を参照されたい。適切な遺伝子治療及びレトロウイルス粒子及び構造タンパク質の作製方法は、例えば米国特許第5681746号に見ることができる。
c−Mybアンタゴニストがアンチセンス核酸(例えばODN)である特定の実施態様では、アンチセンス核酸の投与量及びインビボ投与のガイダンスをKhanら (2004) J. Drug Targeting 12:393-404に見ることができる。
III.実施例
A.試料
それぞれ異なった患者の試料からの9の新鮮な凍結胃腫瘍を分析用に選択した。9のうち5は胃腸間質性腫瘍(GIST)であり、9のうち4は胃腺癌であった。各腫瘍試料は、病理学者の推定では、75%より多い新生物細胞含量であった。各腫瘍からRNAとDNAの双方を標準的な方法によって抽出し精製した。
B.DNAコピー数解析
GeneChip(登録商標)ヒトマッピング500Kアレイセット(Affymetrix, Santa Clara, CA)を使用して、胃腫瘍中のDNAコピー数変化を測定した。GeneChip(登録商標)ヒトマッピング500Kアレイセットは2つのアレイ(250K「StyI」アレイ及び250K「NspI」アレイ)からなり、それぞれがおよそ250000SNPで、全体でおよそ500000SNPに特異的なプローブを含んでいる。SNPはゲノム全体に分布しており、よってDNAコピー数のゲノム全体の解析が可能になる。アレイセット中の各アレイは650万を超える特徴を含んでおり、各特徴は定まった配列の25bpのオリゴヌクレオチドの100万を超えるコピーからなる。
各腫瘍試料から、DNAを増幅させ、標識し、Affymetrixの標準的なプロトコルによってSty1又はNsp1で消化させ、得られた調製物を、GeneChip(登録商標)ヒトマッピング500Kアレイセットの双方のアレイにハイブリダイズさせた。
マイクロアレイへのハイブリダイゼーションは、Affymetrixの標準的なプロトコルに従って検出し、各特徴に対する強度値を得た。強度値を正常なゲノムDNAの参照セットに対して正規化した。ついで、特徴をヒトゲノムに対してマッピングした。しかして、正規化された強度値は特定のゲノム座におけるDNAコピー数を反映させていた。
図1は、第6染色体の領域におけるコピー数の分析結果を示す。列挙される腫瘍試料には、グラフの左側に腫瘍種類(GIST又は腺癌)及び番号(例えば「X31131」)を付した。グラフは、各腫瘍について、DNAコピー数の分析に基づく正規化された強度の値を示し、各特性は縦線で表わされている。各腫瘍について、横軸に沿った縦線が描かれており、これは約130,000,000〜140,000,000ヌクレオチドの第6染色体の領域を示す。各縦線の高さは正規化された強度の値を反映しており、これは、該染色体上におけるその地点のDNAコピー数の測定値である。シグナル強度のスパイクは、4つの腺癌のうちの2つであるX10253とX10227では、135,000,000〜136,000,000ヌクレオチドで観察された。X10253とX10227の正規化された強度の値は、その領域で少なくとも約5〜10倍に増大した。
C.発現解析
GeneChip(登録商標)ヒトゲノムU133A 2.0アレイ及びGeneChip(登録商標)ヒトゲノムU133プラス2.0アレイ(Affymetrix, Santa Clara, CA)を用いて、X10253とX10227のmRNA発現を測定した。精製したRNA試料を逆転写し、増幅し、標識し、Affymetrixの標準的なプロトコルに従って処理等し、各特徴に対する強度値を得た。強度値を、全腫瘍試料にわたる特徴の強度中央値に対して正規化した。ついで、特徴をヒトゲノム中の対応するコード領域に対してマッピングした。しかして、正規化された強度値は各特徴に対するmRNA発現レベルを反映しており、各特徴はゲノム中の特定の位置と相関していた。
図2は、X10253とX10227の、コピー数の分析(図1より)及びmRNA発現分析の結果を示す。発現分析のために、mRNA発現レベルに対応する正規化された強度の値が、第6染色体の図示の領域を表わす横軸に沿った縦線で示されている。各縦線の高さは、各特性の相対的mRNA発現レベルを反映している。第6染色体の図示の領域に位置することが知られている遺伝子のコード化領域は、コピー数及び発現軸の下方に示されている。このように、図2は、第6染色体の図示の領域内において生じるコード化領域に対応する相対的mRNA発現レベルとコピー数を示す。
X10253とX10227の場合、c−Myb遺伝子は、135,000,000〜136,000,000ヌクレオチドのコピー数の増加領域内に完全に当てはまる。c−Myb遺伝子のDNAコピー数の増加は、c−Myb転写物の顕著な過剰発現(少なくとも約5〜10倍の過剰発現)と相関している。
c−Myb遺伝子の高レベルの増幅は、その遺伝子のコピー数の増加が、コードされた癌原遺伝子の過剰発現を引き起こし、それによって胃腫瘍細胞の成長及び増殖を促進することを示唆している。観察されたc−Myb mRNAの過剰発現はその結論に一致している。
上記の発明は理解の明確化のために例示と実施例によってある程度詳細に記載したが、説明と実施例は発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。ここで引用された全ての特許及び科学的文献の開示はその全体が出典明示によって明示的に援用される。

Claims (16)

  1. ントロール試料と比較して乳動物の被験胃試料においてc−Myb遺伝子が増幅されているかどうかを決定する方法であって、コントロール試料おけるc−Myb遺伝子と比較して、被験胃試料においてc−Myb遺伝子が増幅されていることにより、該哺乳動物が胃癌を有することが示される方法
  2. c−Myb遺伝子の増幅が、c−Myb遺伝子のコピー数が少なくとも5倍増加しているかどうかを検出することによって決定される請求項1に記載の方法。
  3. 乳動物の被験胃試料におけるc−Myb遺伝子の発現レベル決定する方法であって、該方法は、コントロール試料におけるc−Myb遺伝子の発現レベルよりも、高レベルで被験胃試料がc−Myb遺伝子を発現しているかどうかを決定することを含み、コントロール試料と比較して被験胃試料における高レベルのc−Myb遺伝子発現により、該哺乳動物が胃癌を有することが示される方法。
  4. c−Myb遺伝子の発現レベル決定が、c−Myb遺伝子からのmRNA転写のレベルを決定することを含む請求項3に記載の方法。
  5. 高レベルのc−Myb遺伝子発現、被験胃試料においてc−Myb遺伝子からのmRNA転写、コントロール試料に比べて少なくとも5倍増加していることを含む請求項4に記載の方法。
  6. c−Myb遺伝子の発現レベル決定が、c−Mybのレベルを決定することを含む請求項3に記載の方法。
  7. c−Myb遺伝子の発現レベル決定が、被験胃試料を抗c−Myb抗体に接触させ、被験胃試料中におけるc−Mybの発現レベルを、c−Mybへの抗c−Myb抗体の結合を検出することにより決定することを含む請求項6に記載の方法。
  8. 高レベルのc−Myb遺伝子発現がc−Mybレベルの少なくとも5倍の増加を含む請求項6に記載の方法。
  9. 胃腫瘍細胞の増殖を阻害するための薬剤であって、c−Mybをコーする核酸に結合するアンチセンス核酸c−MybのDNA結合ドメインに結合する核酸c−Mybに結合する抗体又は抗体断片をコーする核酸及びc−Mybに結合する抗体又は抗体断片から選択される少なくとも一を含む薬剤
  10. −Mybをコードする核酸に結合して該核酸の発現を減少させる18〜30ヌクレオチド長のアンチセンス核酸を含む、請求項9に記載の薬剤
  11. 前記アンチセンス核酸はオリゴデオキシヌクレオチドである、請求項10に記載の薬剤。
  12. −MybのDNA結合ドメインに結合する核酸を含む請求項9に記載の薬剤
  13. c−Mybに結合する抗体又はscFvをコードする核酸を含む請求項9に記載の薬剤
  14. 胃癌を有する個体の被験胃試料においてc−Myb遺伝子が増幅しているかどうかを決定する方法であって、該方法はコントロール試料おけるc−Myb遺伝子と比較して、被験胃試料においてc−Myb遺伝子が増幅されていることにより、該個体がc−Myb又はc−Myb遺伝子を標的とする治療剤に応答することが示される方法。
  15. 胃癌を有する個体の被験胃試料においてc−Myb遺伝子が増幅しているかどうかを決定する方法であって、該方法はコントロール試料おけるc−Myb遺伝子の発現レベルよりも、高レベルで被験胃試料がc−Myb遺伝子を発現しているかどうかを決定することを含み、コントロール試料と比較して被験胃試料における高レベルのc−Myb遺伝子の発現により該個体がc−Myb又はc−Myb遺伝子を標的とする治療剤に応答することが示される方法。
  16. 治療剤が、アンチセンス核酸c−MybのDNA結合ドメインに結合する核酸c−Mybに結合する小有機分子びc−Mybに結合する抗体をコードする核酸から選択される請求項14又は15に記載の方法。
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