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JP5287820B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材を収容する蓄熱槽と、蓄熱材の蓄熱で熱交換を行う蓄熱熱交換器とを備えた空気調和機に関する。
従来、ヒートポンプ式空気調和機による暖房運転時、室外熱交換器に着霜した場合には、暖房サイクルから冷房サイクルに四方弁を切り替えて除霜を行っている。この除霜方式では、室内ファンは停止するものの、室内機から冷気が徐々に放出されることから暖房感が失われるという欠点がある。
そこで、室外機に設けられた圧縮機に蓄熱装置を設け、暖房運転中に蓄熱槽に蓄えられた圧縮機の廃熱を利用して除霜するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図7は、このような除霜方式を採用した冷凍サイクル装置の一例を示しており、室外機に設けられた圧縮機100と四方弁102と室外熱交換器104とキャピラリチューブ106と、室内機に設けられた室内熱交換器108とを冷媒配管で接続するとともに、キャピラリチューブ106をバイパスする第1バイパス回路110と、圧縮機100の吐出側から四方弁102を介して室内熱交換器108へ至る配管に一端を接続し他端をキャピラリチューブ106から室外熱交換器104へ至る配管に接続した第2バイパス回路112が設けられている。また、第1バイパス回路110には、二方弁114と逆止弁116と蓄熱熱交換器118が設けられ、第2バイパス回路112には、二方弁120と逆止弁122が設けられている。
さらに、圧縮機100の周囲には蓄熱槽124が設けられており、蓄熱槽124の内部には、蓄熱熱交換器118と熱交換するための蓄熱材126が充填されている。
この冷凍サイクルにおいて、除霜運転時には、二つの二方弁114,120が開弁され、圧縮機100から吐出された冷媒の一部は第2バイパス回路112へと流れ、残りの冷媒は四方弁102と室内熱交換器108へと流れる。また、室内熱交換器108を流れた冷媒は暖房に利用された後、わずかの冷媒がキャピラリチューブ106を通って室外熱交換器104へと流れる一方、残りの大部分の冷媒は第1バイパス回路110へ流入し、二方弁114を通って蓄熱熱交換器118へと流れて蓄熱材126より熱を奪い、逆止弁116を通った後、キャピラリチューブ106を通過した冷媒と合流して室外熱交換器104へと流れる。その後、室外熱交換器104の入口で第2バイパス回路112を流れてきた冷媒と合流し、冷媒が持つ熱を利用して除霜を行い、さらに四方弁102を通過した後、圧縮機100に吸入される。
この冷凍サイクル装置においては、第2バイパス回路112を設けることで、除霜時に圧縮機100から吐出されたホットガスを室外熱交換器104に導くとともに、室外熱交換器104に流入する冷媒の圧力を高く保つことができるので、除霜能力を高めることができ、極めて短時間に除霜を完了することができる。
特開平3−31666号公報
しかしながら、従来のような蓄熱材を有する空気調和機においては、暖房運転・冷房運転の如何に関わらず、圧縮機の運転に伴い蓄熱材に熱が蓄積され、蓄熱材の温度が上昇してしまい、蓄熱材の温度が過度に上昇してしまうと、蓄熱材の劣化を促進してしまうという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材の劣化を防止できる空気調和機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の空気調和機は、暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器、前記四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、前記圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材と蓄熱熱交換器を内蔵する蓄熱槽と、前記室内熱交換器と前記膨張弁との間と前記四方弁と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蓄熱バイパス回路と、前記膨張弁と前記室外熱交換器との間と前記圧縮機の吐出口と前記四方弁との間を接続する除霜バイパス回路と、前記圧縮機の温度を検出する圧縮機温度検出手段を備えた空気調和機であって、前記蓄熱バイパス回路に前記蓄熱熱交換器と蓄熱二方弁とを配設し、前記圧縮機温度検出手段で検出された温度が第1の所定温度を超えると、前記蓄熱二方弁の開制御を行い、前記蓄熱材の温度を低下させ、さらに前記圧縮機温度検出手段で検出された温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度を超えると、前記圧縮機を停止させることにより、蓄熱材の過度の温度上昇を防ぎ、特に圧縮機の周囲に沿って蓄熱材を設けているため、圧縮機と接する部分に位置する蓄熱材の局部沸騰を抑制することができ、引いては蓄熱材の劣化を抑制することができる。
本発明によれば、圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材の劣化を防止できる空気調和機を提供することができる。
本発明の実施の形態1における空気調和機の構成図 同実施の形態1における空気調和機の構成図 同実施の形態1における除霜・暖房運転の制御を示すフローチャート 同実施の形態1における空気調和機の構成図 同実施の形態1における蓄熱材の保護制御を示す概略図 同実施の形態1における蓄熱材の保護制御時の蓄熱二方弁の開閉制御を示すタイミングチャート 従来の冷凍サイクル装置の構成を示す模式図
第1の発明の空気調和機は、暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器、前記四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、前記圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材と蓄熱熱交換器を内蔵する蓄熱槽と、前記室内熱交換器と前記膨張弁との間と前記四方弁と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蓄熱バイパス回路と、前記膨張弁と前記室外熱交換器との間と前記圧縮機の吐出口と前記四方弁との間を接続する除霜バイパス回路と、前記圧縮機の温度を検出する圧縮機温度検出手段を備えた空気調和機であって、前記蓄熱バイパス回路に前記蓄熱熱交換器と蓄熱二方弁とを配設し、前記圧縮機温度検出手段で検出された温度が第1の所定温度を超えると、前記蓄熱二方弁の開制御を行い、前記蓄熱材の温度を低下させ、さらに前記圧縮機温度検出手段で検出された温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度を超えると、前記圧縮機を停止させることにより、蓄熱材の過度の温度上昇を防ぎ、特に圧縮機の周囲に沿って蓄熱材を設けているため、圧縮機と接する部分に位置する蓄熱材の局部沸騰を抑制することができ、ひいては蓄熱材の劣化を抑制することができる。
第2の発明の空気調和機は、特に第1の発明において、圧縮機温度検出手段で検出する温度が所定の温度を検出すると、蓄熱二方弁を開き、さらに圧縮機の運転周波数を下げることにより、蓄熱二方弁の開く制御と圧縮機の運転周波数を下げる制御とを併用することによって、効果的に蓄熱材の過度の温度上昇を抑制することができる。
第3の発明の空気調和機は、特に第1または第2の発明において、圧縮機温度検出手段で検出する温度が所定の温度を検出すると、蓄熱二方弁を開き、所定時間経過後に、蓄熱二方弁を閉じる一連の動作を周期的に繰り返し行うことにより、蓄熱二方弁を開いてから蓄熱材の温度低下までの時間に遅れが発生するため、蓄熱材の温度低下を確認するまで蓄熱二方弁を開いたまま保持すると、空調能力を低下気味にさせてしまうので、蓄熱二方弁を開く時間を予め決めておき、開閉動作を繰り返すことで、空調能力の落ちをできるだけ抑制し、かつ、蓄熱材の過度の温度上昇を抑制することができる。
第4の発明の空気調和機は、特に第3の発明において、蓄熱二方弁の開く時間を、蓄熱二方弁の閉じる時間よりも短く設定したことにより、できるだけ空調環境を損なうことなく、蓄熱材の劣化を抑制することができる。
第5の発明の空気調和機は、特に第3または第4の発明において、蓄熱二方弁の開閉動作の開閉周期において、暖房運転時の開閉周期を冷房運転時の開閉周期よりも短く設定したことにより、暖房運転時に室内熱交換器を通過した液相冷媒を流し、冷房時に室外熱交換器を通過した二相(気相と液相)冷媒を流すために、冷房運転時の方が冷媒が流れにくい状態になっているため、蓄熱二方弁の開閉周期を暖房運転と冷房運転とで異ならせることで、効率よく蓄熱材の劣化を抑制することができる。
第6の発明の空気調和機は、特に第3から第5の発明の一つにおいて、蓄熱二方弁の開閉動作の回数に最大回数を設け、開閉動作の回数は最大回数を超えないことにより、蓄熱二方弁の信頼性を損なうことを抑制する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る冷凍サイクル装置である空気調和機の構成を示しており、空気調和機は、冷媒配管で互いに接続された室外機2と室内機4とで構成されている。
図1に示されるように、室外機2の内部には、圧縮機6と四方弁8とストレーナ10と膨張弁12と室外熱交換器14とが設けられ、室内機4の内部には、室内熱交換器16が設けられ、これらは冷媒配管を介して互いに接続されることで冷凍サイクルを構成している。
さらに詳述すると、圧縮機6と室内熱交換器16は、四方弁8が設けられた冷媒配管18を介して接続され、室内熱交換器16と膨張弁12は、ストレーナ10が設けられた冷媒配管20を介して接続されている。また、膨張弁12と室外熱交換器14は冷媒配管22を介して接続され、室外熱交換器14と圧縮機6は冷媒配管24を介して接続されている。
冷媒配管24の中間部には四方弁8が配置されており、圧縮機6の冷媒吸入側における冷媒配管24には、液相冷媒と気相冷媒を分離するためのアキュームレータ26が設けられている。また、圧縮機6と冷媒配管22は、冷媒配管28を介して接続されており、冷媒配管28には除霜二方弁(例えば、電磁弁)30が設けられている。
さらに、圧縮機6の周囲には蓄熱槽32が設けられ、蓄熱槽32の内部には、蓄熱熱交換器34が設けられるとともに、蓄熱熱交換器34と熱交換するための蓄熱材(例えば、エチレングリコール水溶液)36が充填されており、蓄熱槽32と蓄熱熱交換器34と蓄熱材36とで蓄熱装置を構成している。
また、冷媒配管20と蓄熱熱交換器34は冷媒配管38を介して接続され、蓄熱熱交換器34と冷媒配管24は冷媒配管40を介して接続されており、冷媒配管38には蓄熱二方弁(例えば、電磁弁)42が設けられている。
室内機4の内部には、室内熱交換器16に加えて、室内送風ファン16aと上下羽根(図示せず)と左右羽根(図示せず)とが設けられており、室内熱交換器16は、送風ファンにより室内機4の内部に吸込まれた室内空気と、室内熱交換器16の内部を流れる冷媒との熱交換を行い、暖房時には熱交換により暖められた空気を室内に吹き出す一方、冷房時には熱交換により冷却された空気を室内に吹き出す。上下羽根は、室内機4から吹き出される空気の方向を必要に応じて上下に変更し、左右羽根は、室内機4から吹き出される空気の方向を必要に応じて左右に変更する。
また、室外熱交換器14には、暖房運転時の冷媒入口温度及び冷媒出口温度をそれぞれ検出する室外熱交換器入口温度検出手段44と室外熱交換器出口温度検出手段46が設けられ、室内熱交換器16には、室内熱交換器16の温度を検出する室内熱交換器温度検出手段48が設けられている。さらに、蓄熱槽32には、蓄熱槽32の温度を検出する蓄熱槽温度検出手段50が設けられており、室外機2には、外気温度を検出する外気温度検出手段52が設けられている。
なお、圧縮機6、送風ファン、上下羽根、左右羽根、四方弁8、膨張弁12、除霜二方弁30、蓄熱二方弁42、室外熱交換器入口温度検出手段44、室外熱交換器出口温度検出手段46、室内熱交換器温度検出手段48、蓄熱槽温度検出手段50、外気温度検出手段52等はコントローラ54(例えば、マイコン)に電気的に接続され、圧縮機6、送風ファン、上下羽根、左右羽根、四方弁8、膨張弁12の運転あるいは動作は、コントローラ54からの制御信号に基づいて制御されるとともに、除霜二方弁30と蓄熱二方弁42はコントローラ54からの制御信号に基づいて開閉制御される。
上記構成の本発明に係る冷凍サイクル装置において、各部品の相互の接続関係と機能とを、暖房運転時の場合を例にとり冷媒の流れとともに説明する。
圧縮機6の吐出口から吐出された冷媒は、冷媒配管18を通って四方弁8から室内熱交換器16へと至る。室内熱交換器16で室内空気と熱交換して凝縮した冷媒は、室内熱交換器16を出て冷媒配管20を通り、膨張弁12への異物侵入を防止するストレーナ10を通って、膨張弁12に至る。膨張弁12で減圧した冷媒は、冷媒配管22を通って室外熱交換器14に至り、室外熱交換器14で室外空気と熱交換して蒸発した冷媒は、冷媒配管24と四方弁8とアキュームレータ26を通って圧縮機6の吸入口へと戻る。
また、冷媒配管18の圧縮機6吐出口と四方弁8の間から分岐した冷媒配管28は、除霜二方弁30を介して冷媒配管22の膨張弁12と室外熱交換器14の間に合流している。
さらに、内部に蓄熱材36と蓄熱熱交換器34を収納した蓄熱槽32は、圧縮機6に接して取り囲むように配置され、圧縮機6で発生した熱を蓄熱材36に蓄積し、冷媒配管20から室内熱交換器16とストレーナ10の間で分岐した冷媒配管38は、蓄熱二方弁4
2を経て蓄熱熱交換器34の入口へと至り、蓄熱熱交換器34の出口から出た冷媒配管40は、冷媒配管24における四方弁8とアキュームレータ26の間に合流する。
次に、図1に示される空気調和機の通常暖房時の動作及び冷媒の流れを模式的に示す図2を参照しながら通常暖房時の動作を説明する。
通常暖房運転時、除霜二方弁30と蓄熱二方弁42は閉弁しており、上述したように圧縮機6の吐出口から吐出された冷媒は、冷媒配管18を通って四方弁8から室内熱交換器16に至る。室内熱交換器16で室内空気と熱交換して凝縮した冷媒は、室内熱交換器16を出て、冷媒配管20を通り膨張弁12に至り、膨張弁12で減圧した冷媒は、冷媒配管22を通って室外熱交換器14に至る。室外熱交換器14で室外空気と熱交換して蒸発した冷媒は、冷媒配管24を通って四方弁8から圧縮機6の吸入口へと戻る。
また、圧縮機6で発生した熱は、圧縮機6の外壁から蓄熱槽32の外壁を介して蓄熱槽32の内部に収容された蓄熱材36に蓄積される。
次に、図1に示される空気調和機の除霜・暖房時の動作及び冷媒の流れを示す模式的に示す図3を参照しながら除霜・暖房時の動作を説明する。図中、実線矢印は暖房に供する冷媒の流れを示しており、破線矢印は除霜に供する冷媒の流れを示している。
上述した通常暖房運転中に室外熱交換器14に着霜し、着霜した霜が成長すると、室外熱交換器14の通風抵抗が増加して風量が減少し、室外熱交換器14内の蒸発温度が低下する。本発明に係る冷凍サイクル装置である空気調和機には、図1に示されるように、暖房運転時における室外熱交換器14の冷媒入口温度を検出する室外熱交換器入口温度検出手段44が設けられており、非着霜時に比べて、蒸発温度が低下したことを室外熱交換器入口温度検出手段44で検出すると、コントローラ54から通常暖房運転から除霜・暖房運転への指示が出力される。
通常暖房運転から除霜・暖房運転に移行すると、除霜二方弁30と蓄熱二方弁42は開制御され、上述した通常暖房運転時の冷媒の流れに加え、圧縮機6の吐出口から出た気相冷媒の一部は冷媒配管28と除霜二方弁30を通り、冷媒配管22を通る冷媒に合流して、室外熱交換器14を加熱し、凝縮して液相化した後、冷媒配管24を通って四方弁8とアキュームレータ26を介して圧縮機6の吸入口へと戻る。
なお、膨張弁12と室外熱交換器14との間と、圧縮機6の吐出口と四方弁8との間を接続する冷媒配管28は、室外熱交換器14を加熱して除霜を行うための気相冷媒が通過することから、除霜バイパス回路ということもできる。
また、冷媒配管20における室内熱交換器16とストレーナ10の間で分流した液相冷媒の一部は、冷媒配管38と蓄熱二方弁42を経て、蓄熱熱交換器34で蓄熱材36から吸熱し蒸発、気相化して、冷媒配管40を通って冷媒配管24を通る冷媒に合流し、アキュームレータ26から圧縮機6の吸入口へと戻る。
なお、室内熱交換器16と膨張弁12との間と、四方弁8と圧縮機6の吸入口との間を接続する冷媒配管38及び冷媒配管40は、蓄熱熱交換器34を通過して蓄熱材36から吸熱することから、これら二つの冷媒配管38、40を蓄熱バイパス回路ということもできる。
アキュームレータ26に戻る冷媒には、室外熱交換器14から戻ってくる液相冷媒が含まれているが、これに蓄熱熱交換器34から戻ってくる高温の気相冷媒を混合することで
、液相冷媒の蒸発が促され、アキュームレータ26を通過して液相冷媒が圧縮機6に戻ることがなくなり、圧縮機6の信頼性の向上を図ることができる。
除霜・暖房開始時に霜の付着により氷点下となった室外熱交換器14の温度は、圧縮機6の吐出口から出た気相冷媒によって加熱されて、零度付近で霜が融解し、霜の融解が終わると、室外熱交換器14の温度は再び上昇し始める。この室外熱交換器14の温度上昇を室外熱交換器出口温度検出手段46で検出すると、除霜が完了したと判断し、コントローラ54から除霜・暖房運転から通常暖房運転への指示が出力される。
次に、除霜・暖房運転時における蓄熱二方弁42と除霜二方弁30の動作について説明する。蓄熱材36に蓄積される熱量は有限であることから、この制御は、蓄熱材36に蓄積された熱量を有効利用するために、通常暖房運転から除霜・暖房運転に移行し、除霜二方弁30と蓄熱二方弁42を開制御するに際し、除霜二方弁30をまず開制御し、除霜二方弁30の開制御から所定時間(例えば、10〜20秒)が経過した後、蓄熱二方弁42を開制御するようにしている。
除霜・暖房運転は、除霜二方弁30と蓄熱二方弁42の両方が開状態で初めて行われることになるが、蓄熱二方弁42を除霜二方弁30より先に開制御すると、蓄熱材36に蓄積された熱量が無駄に使用されることになり、除霜二方弁30と蓄熱二方弁42の両方を同時に開制御すると、室外熱交換器14からの冷媒と室内熱交換器16からの冷媒が同時に圧縮機6に吸入されることになり、圧力変動を惹起するおそれがあることから、除霜二方弁30の開制御と蓄熱二方弁42の開制御に適切な時間差を設定することで、圧力変動を極力抑えることができるとともに、圧縮機6への液冷媒の流入を阻止して圧縮機6の信頼性を向上させることができる。
このため、図1に示されるように、コントローラ54には、時間をカウントするタイマー56が設けられており、通常暖房運転から除霜・暖房運転に移行した場合、除霜二方弁30の開制御からの経過時間をタイマー56でカウントし、タイマー56がカウントした時間が上述した所定時間に達すると、蓄熱二方弁42が開制御される。以下、この制御について、図3のフローチャートを参照しながら詳述する。
ステップS1においては、室内熱交換器温度検出手段48で検出された温度が所定温度Ta(例えば、45℃)かどうかを判定し、検出温度が所定温度Taに等しい場合には、ステップS5に移行する一方、等しくない場合には、ステップS2に移行し、検出温度が所定温度Taを超えているかどうかを判定する。検出温度が所定温度Taを超えている場合には、ステップS3において圧縮機6の運転周波数を減少させるのに対し、検出温度が所定温度Taを下回っている場合には、ステップS4において圧縮機6の運転周波数を増加させる。ステップS3あるいはS4における圧縮機6の周波数制御が終了すると、ステップS1に戻る。なお、ここでは所定温度Taを45℃として説明しているが、これに限定されることはない。
すなわち、冷凍サイクル内の圧力変動は、室内熱交換器16の温度が高く、高圧側と低圧側の圧力差が大きい場合に、除霜二方弁30と蓄熱二方弁42の開制御を行うことでも発生し、圧力変動は騒音を発生するおそれがあることから、室内熱交換器温度検出手段48で検出された温度が所定温度Taを超えている場合に、室内熱交換器温度検出手段48で検出された温度が所定温度Taになるまで圧縮機6の運転周波数を落とし、高圧側の圧力を低減する制御を行っている。
また、室内熱交換器16で熱交換を行った後の冷媒が持つ熱量も除霜運転時に有効利用するために、室内熱交換器温度検出手段48が検出した温度が所定温度Ta未満の場合に
は、検出温度が所定温度Taになるまで圧縮機6の運転周波数を増加して、暖房運転後の除霜運転の効率化を図っている。
ステップS1において、室内熱交換器温度検出手段48で検出された温度が所定温度Taになると、蓄熱槽32に蓄積した熱を有効利用しながら除霜運転を行うための通常蓄熱除霜運転を開始する。この除霜運転では、ステップS5において除霜二方弁30を開制御して圧縮機6より吐出された冷媒を室外熱交換器14に導き、ステップS6において、タイマー56によりカウントされた除霜二方弁30の開制御からの時間が上述した所定時間に達しているかどうかを判定し、所定時間に達していればステップS7において蓄熱二方弁42を開制御して室内熱交換器16を通過した冷媒を蓄熱熱交換器34に導く一方、所定時間に達していなければステップS6に戻る。
ステップS7において蓄熱二方弁42が開制御されると、ステップS8において、室外熱交換器出口温度検出手段46で検出された温度と除霜運転終了の指標となる所定温度Tb(例えば、6℃)とが比較され、前者が後者未満であれば、残霜があるか、あるいは、残霜はないが基板(室外熱交換器14の上部及び下部)はまだ凍結していると判定して、除霜運転を継続し、ステップS9に移行する。
ステップS9においては、タイマー56によりカウントされた除霜二方弁30の開制御からの時間が所定時間(例えば、7分)に達していなければ、ステップS8に戻る一方、室外熱交換器出口温度検出手段46で検出された温度が所定温度Tb以上であれば、残霜はなく基板凍結も解消されていると判定して、ステップS10において除霜二方弁30及び蓄熱二方弁42を同時に閉制御し、除霜運転を終了して通常暖房運転に戻る。
また、ステップS9においてタイマー56でカウントした時間が所定時間に達していれば、室外熱交換器出口温度検出手段46で検出された温度に関係なく、ステップS10に移行し、除霜二方弁30及び蓄熱二方弁42を同時に閉制御し、除霜運転を終了して通常暖房運転に戻るとともに、タイマー56のカウント時間をリセットする。
なお、ステップS9においてタイマー56でカウントした時間が所定時間に達した場合、除霜運転を強制的に終了するようにしたのは、蓄熱槽32の蓄熱量は有限で、前記所定時間で消費される程度の蓄熱量に設定されていることから、所定時間を超えて除霜運転を継続しても蓄熱量が既になく、除霜運転を行う意味がないからである。
また、本実施の形態では、除霜運転が開始されてから除霜運転が終了するまでの間、常時、室外熱交換器入口温度検出手段44で検出された温度と外気温度とを比較しており、外気温度の方が室外熱交換器入口温度より高い場合には、室外機2に設けられ室外熱交換器14に送風するための室外ファン(図示せず)の運転を継続している。このように制御することにより、外気温度が持つ熱量を有効的に活用して、室外熱交換器14の除霜を促進させることができる。
但し、除霜運転中に、室外熱交換器入口温度が外気温度よりも高いと一旦判断された場合は、室外熱交換器入口温度が上昇するだけなので、除霜運転が終了するまで室外ファンを駆動させることはない。
次に、蓄熱材36の保護制御について説明する。本実施の形態のように圧縮機の周囲に蓄熱材36を内部に有した蓄熱槽32を接して配置していると、圧縮機6の運転によっては圧縮機6自体の温度が過度に上昇してしまい、特に圧縮機6と接している蓄熱槽32付近の蓄熱材36が局部沸騰を起してしまい、蓄熱材36が劣化してしまうという課題がある。
蓄熱材36の温度が過度に上昇すると、蓄熱材36自体の変質(例えば、酸化)や蓄熱材36の水分沸騰を惹起し、蓄熱材36が劣化するおそれがあることから、本発明においては、圧縮機6の温度に基づいて蓄熱材の保護制御をコントローラ54が行うことにより、蓄熱材36の劣化を防止している。
これは、圧縮機6の温度は蓄熱材36の温度と密接に相関し、圧縮機6の温度が高くなれば、蓄熱材36の温度も高くなるためである。なお、この蓄熱材の保護制御については、暖房運転時に限らず、冷房運転時にも行われる。
以下、圧縮機温度に基づく制御について説明する。図4に示されるように、この制御においては、圧縮機6の温度を検出する圧縮機温度検出手段58を設け、圧縮機温度検出手段58で検出された温度が第1の所定温度を超えると、蓄熱二方弁42の開制御を行い、暖房時には室内熱交換器16を、冷房時には室外熱交換器14を通過して温度が低下した冷媒を蓄熱熱交換器34に導くことで、蓄熱材36の温度を低下させている。なお、圧縮機温度検出手段58とは温度を検知できるサーミスタ等が挙げられる。
さらに詳述すると、図5に示されるように、圧縮機温度検出手段58で検出された温度が第1の所定温度(例えば、95℃)を超えると、蓄熱二方弁42を開制御し、圧縮機6の最大運転周波数を制限する。蓄熱二方弁42を開弁すると、蓄熱材36の過度の温度上昇を防止することができ、特に、蓄熱材36は圧縮機6の周囲に沿って配置されていることから、圧縮機6と蓄熱材36が接する部分の局部沸騰を防止して、蓄熱材36の蒸発を極力低減することができる。
その後、さらに圧縮機温度検出手段58で検出された温度が第1の所定温度より高い第2の所定温度(例えば、103℃)を超えると、圧縮機6を停止させる。
なお、圧縮機温度検出手段58で検出された温度が第1の所定温度(例えば、95℃)を超えると、蓄熱二方弁42の開制御に代えて、圧縮機6の運転周波数を下げる制御を行うこともでき、蓄熱二方弁42の開制御とともに圧縮機6の運転周波数を下げる制御を同時に行うようにしてもよい。すなわち、圧縮機6の運転周波数を下げると、圧縮機6の温度が低下し、圧縮機6の近傍に位置する蓄熱材36の局部沸騰を防止することができるからである。
また、圧縮機温度検出手段58で検出された温度が第2の所定温度を超えた後、圧縮機6を停止することにより圧縮機温度検出手段58で検出された温度が徐々に低下し、第2の所定温度より低い(例えば、5℃)第3の所定温度を下回ると、圧縮機6は再度運転を開始するが、蓄熱二方弁42は依然として開弁しており、圧縮機温度検出手段58で検出された温度がさらに低下して、第1の所定温度より低い(例えば、5℃)第4の所定温度を下回ると、蓄熱二方弁42は閉制御される。
温度下降方向の第3の所定温度及び第4の所定温度は、温度上昇方向の第1の所定温度及び第2の所定温度よりそれぞれ低く設定したのは、蓄熱二方弁42の開閉動作や圧縮機6のON/OFFの頻繁な繰り返し(ハンチング)を防止するためである。なお、本実施の形態では第1の所定温度から5℃低い値を第4の所定温度とし、第2の所定温度から5℃低い値を第4の所定温度としたが、5℃に限定されることはなく、ハンチングを防止できるような値であれば問題はない。
また、第1の所定温度とは、蓄熱材36の沸点によって変わってくるものであるが、本実施の形態で用いられているエチレングリコール水溶液(水75%・エチレングリコール
25%)の蓄熱材であれば沸点は大気圧が1013hPaの下では大凡105℃程度である。そのため、沸点を超えない温度で第1の所定温度を設けている。
つまり、第1の所定温度=蓄熱材36の沸点−所定温度αを満たす式で定義されるが、このとき所定温度αは実験的に求められる局部沸騰を抑制できる数値であり、一義的に決定できない。しかしながら、所定温度αを5℃から20℃程度の範囲にすれば蓄熱材36にある程度の熱を蓄えつつ、蓄熱材36の劣化も抑制することができる。特に、空気調和機を設置する場所の大気圧が低くなれば、蓄熱材36の沸点も低くなってしまうため、ある程度余裕を見て決定するのが良い。
なお、上述した蓄熱二方弁42の開制御に代えて、図6に示されるように、開弁状態と閉弁状態を周期的に繰り返す開閉制御を行うのが好ましく、この蓄熱二方弁42の開閉制御の場合、暖房時には、例えば10秒間の開弁と、例えば30秒間の閉弁を最大10回繰り返し、冷房時には、例えば30秒間の開弁と、例えば90秒間の閉弁を最大10回繰り返す。
このように蓄熱二方弁42を開閉制御するのは、蓄熱二方弁42を開制御しても、蓄熱材36の温度が直ぐに低下するわけではなく、ある程度の時間遅れの後、蓄熱材36の温度が徐々に低下するという追従性の問題を考慮したものである。
また、暖房時の蓄熱二方弁42の開弁時間と閉弁時間を、冷房時の蓄熱二方弁42の開弁時間と閉弁時間より短く設定したのは、暖房時は、室内熱交換器16を通過した液相冷媒が蓄熱二方弁42を通過するのに対し、冷房時は、室外熱交換器14を通過した二相(気相と液相)冷媒が蓄熱二方弁42を通過することになるが、液相冷媒は二相冷媒より密度が高く、冷媒量が多いからである。
さらに、蓄熱二方弁42の開閉制御を最大10回に制限したのは、蓄熱二方弁42の耐久性を考慮してのことである。
以上のように、本実施の形態では、圧縮機6の温度が過度に上昇した時に、蓄熱二方弁42を開く制御を行うことによって、蓄熱材の劣化を抑制することができる。
本発明に係る空気調和機は、蓄熱装置内の有限の蓄熱量を用いて効率的な除霜運転を行うことができるので、冬季に着霜のおそれがある他の冷凍サイクル装置にも有効利用することができる。
2 室外機
4 室内機
6 圧縮機
8 四方弁
10 ストレーナ
12 膨張弁
14 室外熱交換器
16 室内熱交換器
26 アキュームレータ
30 除霜二方弁
32 蓄熱槽
34 蓄熱熱交換器
36 蓄熱材
42 蓄熱二方弁
44 室外熱交換器入口温度検出手段
46 室外熱交換器出口温度検出手段
48 室内熱交換器温度検出手段
50 蓄熱槽温度検出手段
52 外気温度検出手段
54 コントローラ、
56 タイマー
58 圧縮機温度検出手段

Claims (6)

  1. 暖房運転時に、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、膨張弁、室外熱交換器、前記四方弁の順に冷媒が流れるように接続した冷凍サイクルと、前記圧縮機で発生した熱を蓄積する蓄熱材と蓄熱熱交換器を内蔵する蓄熱槽と、前記室内熱交換器と前記膨張弁との間と前記四方弁と前記圧縮機の吸入口との間を接続する蓄熱バイパス回路と、前記膨張弁と前記室外熱交換器との間と前記圧縮機の吐出口と前記四方弁との間を接続する除霜バイパス回路と、前記圧縮機の温度を検出する圧縮機温度検出手段を備えた空気調和機であって、前記蓄熱バイパス回路に前記蓄熱熱交換器と蓄熱二方弁とを配設し、前記圧縮機温度検出手段で検出された温度が第1の所定温度を超えると、前記蓄熱二方弁の開制御を行い、前記蓄熱材の温度を低下させ、さらに前記圧縮機温度検出手段で検出された温度が前記第1の所定温度より高い第2の所定温度を超えると、前記圧縮機を停止させることを特徴とする空気調和機。
  2. 前記圧縮機温度検出手段で検出する温度が所定の温度を検出すると、前記蓄熱二方弁を開き、さらに前記圧縮機の運転周波数を下げることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記圧縮機温度検出手段で検出する温度が所定の温度を検出すると、前記蓄熱二方弁を開き、所定時間経過後に、前記蓄熱二方弁を閉じる一連の動作を周期的に繰り返し行うことを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
  4. 前記蓄熱二方弁の開く時間を、前記蓄熱二方弁の閉じる時間よりも短く設定したことを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
  5. 前記蓄熱二方弁の開閉動作の開閉周期において、暖房運転時の開閉周期を冷房運転時の開閉周期よりも短く設定したことを特徴とする請求項3または4に記載の空気調和機。
  6. 前記蓄熱二方弁の開閉動作の回数に最大回数を設け、開閉動作の回数は最大回数を超えないことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の空気調和機。
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