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JP5286780B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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JP5286780B2 JP2007336175A JP2007336175A JP5286780B2 JP 5286780 B2 JP5286780 B2 JP 5286780B2 JP 2007336175 A JP2007336175 A JP 2007336175A JP 2007336175 A JP2007336175 A JP 2007336175A JP 5286780 B2 JP5286780 B2 JP 5286780B2
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Description

本発明は、燃料電池スタックに関するものであり、特に、燃料電池スタックの排水を良好にする技術に関する。
近年のエネルギ分野では、自然環境に優しく且つ高効率のエネルギ変換装置として燃料電池が注目されている。図6は、一般的な燃料電池スタック100の構成を示す一部模式断面図である。図6に示すように、一般的な燃料電池スタック100は、複数の燃料電池セル70を積層した燃料電池積層体72と、燃料電池積層体72の積層方向両端に設けられるエンドプレート74a,74bと、エンドプレート74a,74bを貫通し、燃料電池積層体72に接続されるガス供給管76およびガス排出管78とを有する。ガス供給管76内部のガス供給通路76aは、燃料電池積層体72の積層方向に貫通形成されたガス供給マニホールド80に接続されて連通し、ガス排出管78内部のガス排出通路78aは、燃料電池積層体72の積層方向に貫通形成されたガス排出マニホールド82に接続されて連通する。
燃料電池セル70の燃料極側に供給される燃料ガスを水素ガス、酸化極側に供給される酸化剤ガスを酸素ガスとした場合、燃料電池セル70の発電時に、燃料極側では、水素イオン及び電子にする反応が行われ、水素イオンは燃料電池セル70の電解質膜を通り、電子は外部回路を通じて酸化極側に到達する。酸化極側では、水素イオン、電子および酸素ガスが反応して水分を生成する反応が行われる。
燃料電池セル70に供給される酸化剤ガスは、燃料電池セル70の電解質膜にイオン伝導性を付与するため、燃料電池スタックに備えられる加湿器により加湿される。しかし、燃料電池積層体72に供給される酸化剤ガスの温度は、発電時の燃料電池積層体72の温度より低いため、酸化剤ガス中に含まれる水分が凝縮して液水が生じる場合がある。また、各燃料電池セル70における電気化学反応によって生成された水も凝縮して液水となる場合がある。これらの液水(単に「水」という、以下に同じ。)は、廃酸化剤ガスに随伴してガス排出マニホールド82に流入し、その後、ガス排出マニホールド82およびガス排出通路78aを介してシステム外に排出される。
この場合、燃料電池スタック100では、水が燃料電池積層体70からシステム外に良好に排出されることが望まれる。それは、ガス排出マニホールド82内に水が溜まると、燃料電池積層体72からの廃酸化剤ガスの廃出を阻害する要因となって発電性能低下を来たす可能性があり、また、環境温度の低下によってガス排出マニホールド82に溜まった水が凍った場合にはマニホールドが閉塞してしまうおそれがあるからである。
例えば、特許文献1には、燃料電池積層体内のガス排出マニホールドの下面をエンドプレート接続部まで排気方向下流側に向けて下り傾斜に形成した燃料電池スタックが開示されている。この燃料電池スタックでは、ガス排出マニホールドに接続するエンドプレートの貫通穴が水平方向に形成されており、エンドプレートに接続されるガス排出配管に水溜り部をエンドプレートに近接して設け、ガス排出マニホールド内を流れて排出されてきた水をその水溜り部に一旦溜めてから、電磁弁の開放により下方に排水するようにしている。
また、特許文献2には、燃料電池スタックのエンドプレートに接続される酸化剤ガス配管に下り傾斜をつけることで、燃料電池スタックからの排水性を向上させることが記載されている。
特開2003−178791号公報 特開2004−134130号公報
しかし、特許文献1の燃料電池では、燃料電池積層体内のガス排出マニホールドに接続するエンドプレートの貫通穴の下面が水平方向に沿って形成されているため、例えばこの燃料電池を搭載した車両が坂道で停車または駐車したときに燃料電池積層体内のガス排気マニホールドの下面が水平状態になった場合、エンドプレートの貫通穴によって構成されるガス排出通路は上り傾斜状態になる。そうすると、燃料電池積層体のガス排出マニホールドとエンドプレートの貫通穴との境界部に水が溜まることができ、その溜まった水がガス排出マニホールド内へと逆流することが考えられる。
また、特許文献2の燃料電池では、エンドプレートに接続される酸化剤ガス配管に下り傾斜をつけてはいるものの、燃料電池積層体内のガス排出マニホールドとこれに接続されるエンドプレートの貫通穴との関係については何ら考慮されていないため、特許文献1について上述したのと同様に、燃料電池積層体のガス排出マニホールドとエンドプレートの貫通穴との境界部に溜まった水がガス排出マニホールド内へと逆流することが考えられる。
そこで、本発明の目的は、燃料電池積層体内のガス排出マニホールドを通って流出してきた水をエンドプレートで阻害することなく簡易な構成で確実に燃料電池スタック外に排出することができる燃料電池スタックを提供することにある。
本発明に係る燃料電池スタックは、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池積層体と、前記燃料電池積層体の積層方向両端に設けられるエンドプレートと、前記燃料電池積層体の積層方向に貫通形成されたガス供給マニホールドと、前記燃料電池積層体の積層方向に貫通形成されたガス排出マニホールドと、前記エンドプレートに貫通形成されて前記ガス排出マニホールドに連通するガス排出通路と、を備える燃料電池スタックであって前記ガス排出通路が形成されているエンドプレートは、前記燃料電池積層体に対向する積層体対向面とその反対側にあって配管が取り付けられる取付面とを有するとともに、前記取付面が鉛直方向に沿うように前記燃料電池スタックが設置されたとき前記積層体対向面が鉛直方向に対して第1の傾斜角をなして斜め上方を向くように形成されており、前記ガス排出経路が形成されているエンドプレートの前記取付面が鉛直方向に沿うように前記燃料電池スタックが設置されたとき、前記燃料電池積層体の積層方向に沿って貫通形成されている前記ガス排出マニホールドは水平方向に対して前記第1の傾斜角をもってガス排出方向下流側に向かって下り勾配とな前記ガス排出通路は水平方向に対して前記第1の傾斜角より大きい第2の傾斜角をもってガス排出方向下流側に向かって下り勾配となることを特徴とする。
本発明に係る燃料電池スタックにおいて、ガス排出通路の下面は、エンドプレートの前記積層体対向面と前記取付面との間で直線状に形成されていることが好ましい。
また、本発明に係る燃料電池スタックは、エンドプレートに接続されガス排出通路に連通するガス排出配管をさらに含み、ガス排出配管は水平方向に対してガス排出方向下流側に向かって下り勾配となる第3の傾斜角を有し、第3の傾斜角は第2の傾斜角よりも大きく設定されていることが好ましい。
また、本発明に係る燃料電池スタックにおいて、ガス排出通路の内面は親水性材料により形成またはコーティングされていることが好ましい。
さらに、本発明に係る燃料電池スタックにおいて、燃料電池積層体のガス排出マニホールドとエンドプレートのガス排出通路との接続部で、ガス排出マニホールドの下面より下方にガス排出通路の下面が位置するように段差を設けてもよい。
本発明に係る燃料電池スタックによれば、ガス排出マニホールドは水平方向に対してガス排出方向下流側に向かって下り勾配となる第1の傾斜角を有し、ガス排出通路は水平方向に対してガス排出方向下流側に向かって下り勾配となる第2の傾斜角を有し、第2の傾斜角は第1の傾斜角よりも大きく設定されていることで、例えば燃料電池スタックを搭載した車両が坂道で停車または駐車したときに燃料電池積層体内のガス排気マニホールドの下面が水平状態になったときでも、エンドプレートのガス排出通路を下り勾配状態に維持することができる。これにより、燃料電池積層体のガス排出マニホールドを排出されてきた水が、ガス排出マニホールドとガス排出通路との境界部またはその近傍に溜まることなく確実にガス排出通路に流れて排出されることができ、ガス排出マニホールド内への逆流を簡易な構成で抑制できる。
以下に、本発明に係る燃料電池スタックの実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様当のあわせて適宜変更することができる。
図1は、本発明の一実施形態である燃料電池スタック10を含む燃料電池システム1の概略構成を示すブロック図である。燃料電池システム1は、燃料電池スタック10、電圧変換器12、インバータ14、モータ16、平滑コンデンサ18、加湿器20、希釈器22、燃料ガス供給部24、酸化剤ガス供給部26、および冷媒循環部28を含んで構成される。
燃料電池スタック10は、燃料ガスである例えば水素と酸化剤ガスである例えば酸素との電解質膜を介しての電気化学反応によって発電し、直流電圧を電圧変換器12へ出力する。電圧変換器12は、燃料電池スタック10から供給される直流電圧を必要に応じて昇圧し、昇圧後の高圧直流電圧を平滑コンデンサ18を介してインバータ14へ供給する。インバータ14は、電圧変換器12から供給される高圧直流電圧を三相交流電圧に変換して、例えば三相同期型交流モータ16に印加する。インバータ14からの電圧印加によって回転するモータ16の駆動力は、例えば自動車等の車両の車輪駆動に用いられる。
燃料電池スタック10には、燃料ガス供給部24から燃料ガスとして水素が供給される。燃料ガス供給部24は、例えば高圧水素タンクで構成されることができる。一方、酸化ガスとしての酸素を含む空気は、大気中から酸化剤ガス供給部26によって取り込まれ、加湿器20を介して燃料電池スタック10へ供給される。燃料電池スタック10内での電気化学反応促進のため、空気は加湿器20を通過する際に十分に加湿される。
燃料電池スタック10内で酸素との電気化学反応に供された後の廃水素ガスは、燃料電池スタック10から希釈器22へと送られる。一方、燃料電池スタック10内で水素との電気化学反応に供された後の廃空気は、上記の電気化学反応によって生成された水と一緒に燃料電池スタック10から排出され、加湿器20を介して希釈器22へ送られる。加湿器20では、内蔵する多孔質体によって廃空気中に含まれる生成水を回収して供給用空気の加湿に再利用される。希釈器22では、廃水素ガスが廃空気によって十分に混合希釈され、その後システム外へ排気される。なお、廃水素ガスは、未使用の高濃度水素を含んでいるため、燃料電池スタック10に循環供給されてもよい。
冷媒循環部28は、電気化学反応によって昇温する燃料電池スタック10を冷却するために、冷却媒体としての例えばLLC(Long Life Coolant)を燃料電池スタック10内で循環させるものである。
図2は燃料電池スタック10の斜視図、図3は燃料電池スタック10の一方側端部の側面図である。図3(図4,5でも同様)において、紙面上方が鉛直方向上側であり、紙面下方が鉛直方向下側になる。燃料電池スタック10は、図示しない板金製のスタックケース内に収容されて、自動車等に搭載または設置されることができる。
燃料電池スタック10は、アノード側電極、電解質膜およびカソード側電極をセパレータによって狭持してなる燃料電池セル30を複数積層して直列接続することによって構成されるセル積層体(燃料電池積層体)38を含む。セル積層体38は、矢印Bで示す積層方向の両端に設けられた、それぞれ一対の集電板32a,32bおよび絶縁板34a,34bおよびエンドプレート36a,36bで狭持されている。セル積層体38を構成する複数の燃料電池セル30で発電された電力は、上記一対の集電板32a,32bから出力される。
例えばステンレス板で形成される各エンドプレート36a,36bは、上部および下部において、それぞれ2本の帯状部材40によって連結されており、これらの帯状部材40によってエンドプレート36a,36bに対してセル積層体38を挟持するための引っ張り力が付与されている。各帯状部材の端部は、エンドプレート36a,36bにねじ止め等の適当な固定手段によって固定される。
エンドプレート36a,36bのうち一方のエンドプレート36aは、集電板32aおよび絶縁板34aを介してセル積層体38に対向する積層体対向面37aとその反対側のシステム部品取付面37bとを有する。エンドプレート36aは、台形状側面を有しており、システム部品取付面37bを鉛直方向に沿って配置されたときに積層体対向面37aが若干斜め上方に向くようにシステム部品取付面37bに対する所定の傾斜角θ1を持って形成されている。
また、エンドプレート36aは、その厚み方向すなわち両端面37a,37b間にそれぞれ貫通形成された穴からなる、燃料ガス供給通路42a、酸化剤ガス供給通路44a、冷却媒体供給通路46a、燃料ガス排出通路42b、酸化剤ガス排出通路44bおよび冷却媒体排出通路46bを有する。各通路42a,42b,44a,44b,46a,46bは、エンドプレート36aの横方向両側に、それぞれ3つずつ縦並びで形成されている。
セル積層体38には、燃料ガスおよび酸化剤ガスを各燃料電池セル30のアノード側電極およびカソード側電極に供給するために、セル積層体38を積層方向に貫通して形成される燃料ガス供給マニホールド52aおよび酸化剤ガス供給マニホールド54aが設けられている。燃料ガス供給マニホールド52aおよび酸化剤ガス供給マニホールド54aは、集電板32aおよび絶縁板34aに形成された貫通穴を介して、エンドプレート36aの燃料ガス供給通路42aおよび酸化剤ガス供給通路44aにそれぞれ連通している。
また、セル積層体38には、廃燃料ガスおよび廃酸化剤ガスを各燃料電池セル30のアノード側電極およびカソード側電極から排出するために、セル積層方向に貫通して形成される燃料ガス排出マニホールド52bおよび酸化剤ガス排出マニホールド54bが設けられている。燃料ガス排出マニホールド52bおよび酸化剤ガス排出マニホールド54bは、集電板32aおよび絶縁板34aに形成された貫通穴を介して、エンドプレート36aの燃料ガス排出通路42bおよび酸化剤ガス排出通路44bにそれぞれ連通している。
さらに、セル積層体38には、燃料電池セル30の電気化学反応に伴う発熱による温度上昇を抑制するため、燃料電池スタック10の外部から冷却媒体を各燃料電池セル30内に流しているが、この冷却媒体の供給および排出を行うための冷却媒体供給マニホールド56aおよび冷却媒体排出マニホールド56bも、セル積層体38を積層方向に貫通して形成されている。冷却媒体供給マニホールド56aおよび冷却媒体排出マニホールド56bは、集電板32aおよび絶縁板34aに形成された貫通穴を介して、エンドプレート36aの冷却媒体供給通路46aおよび冷却媒体排出通路46bにそれぞれ連通している。なお、図2における黒い太矢印は燃料ガスの流れ方向、白い太矢印は酸化剤ガスの流れ方向、斜線の太矢印は冷却媒体の流れ方向をそれぞれ示している。
エンドプレート36aのシステム部品取付面37bには、各通路42a,42b,44a,44b,46a,46bにそれぞれ対応して6本の配管58が取り付けられている。各配管58は、樹脂製または金属製のものを用いることができ、端部に一体に設けられたフランジ部59をねじ留め等されることでエンドプレート36aに固定される。また、エンドプレート36aのシステム部品取付面37bの略中央部には、ポンプ48がねじ留め等の方法で取り付けられる。これらの配管58やポンプ48等がシステム部品を構成する。
なお、図2に示すように、本実施形態では、エンドプレート36aの左右両側に各通路42a,42b,44a,44b,46a,46bを3つずつ縦に並べて形成してあるが、各通路の配列はこれに限定されるものではなく、燃料電池スタック10内部での燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体の各マニホールド52a,52b,54a,54b,56a,56bの設計に応じて適宜変更可能であり、例えば冷却媒体用のマニホールド56a,56bおよび通路46a,46bをセル積層体38およびエンドプレート36aの上下に形成してもよい。また、各マニホールド52a,52b,54a,54b,56a,56bは、燃料電池セル30の積層方向に関してセル積層体38を貫通していればよく、必ずしも直線状に形成されていなくてもよいし、あるいは、積層方向(矢印B方向)に対して傾斜して設けられてもよい。
配管58を介してエンドプレート36aの燃料ガス供給通路42aから燃料ガス供給マニホールド52aに供給された燃料ガスである水素は、積層された各燃料電池セル30内で、アノード側電極の表面(発電面)に沿って側方(図2における右側から左側)へ流れる。アノード側電極は触媒を含んで構成され、アノード側電極の表面に沿って流れる間に、水素の一部は触媒により活性化されることで電子を放出して水素イオンとなり、電解質膜を透過してカソード側電極へ移動する。この水素のイオン化によって放出される電子が、燃料電池セル30で発電される電力となる。燃料電池セル30で発電に供されなかった(すなわちイオン化されなかった)水素は、燃料ガス排出マニホールド52bを経由して、エンドプレート36aの燃料ガス排出通路42bから配管58を介して燃料電池スタック10外に排出される。
また、配管58を介してエンドプレート36aの酸化剤ガス供給通路44aから酸化剤ガス供給マニホールド54aに供給された酸化剤ガスである酸素を含む空気は、積層された各燃料電池セル30内で、カソード側電極の表面に沿って側方(図2における左側から右側)へ流れる。カソード側電極は触媒を含んで構成され、カソード側電極の表面に沿って流れる間に、空気中の酸素の一部は触媒により活性化されて酸素イオンとなり、電解質膜を透過してカソード側電極から移動してきた水素イオンと化学反応して、水が生成される。燃料電池セル30内のカソード側電極に沿って流れた空気は、反応生成水と共に、酸化剤ガス排出マニホールド54bを経由して、エンドプレート36aの酸化剤ガス排出通路44bから配管58を介して燃料電池スタック10外に排出される。
さらに、配管58を介してエンドプレート36bの冷却媒体供給通路46aから冷却媒体供給マニホールド56aに供給された冷却媒体は、積層された各燃料電池セル30間に形成されている流路を側方(図2における左側から右側)へ流れ、内部の電気化学反応により生じる発熱で昇温する燃料電池セル30を冷却する。その後、冷却水は、冷却媒体排出マニホールド56bを経由してエンドプレート36aの冷却媒体排出通路46bから配管58を介して燃料電池スタック10外へ排出される。
図4は、燃料電池スタック10におけるセル積層体38内のマニホールド、エンドプレート36a内ガス通路、および配管58の傾斜関係を酸化剤ガス排出用のものを代表例として示す部分断面図である。上述したように、エンドプレート36aは、積層体対向面37aがシステム部品取付面37bに対して傾斜角θ1を有するように形成されている。したがって、エンドプレート36aのシステム部品取付面37bが鉛直方向に沿うように燃料電池スタック10が設置されたとき、積層体対向面37a上に絶縁板34aおよび集電板32aを介して取り付けられるセル積層体38内においてセル積層方向に沿って貫通形成されている酸化剤ガス排出マニホールド54bの下面は、水平方向に対して傾斜角θ1をもってガス排出方向(矢印C方向)下流側に向かって下り勾配になっている。これにより、廃酸化ガス中に含まれる水が下り傾斜の排出マニホールド54bの下面60に沿って流れることで、セル積層体38から排水され易くなる。
酸化剤ガス排出マニホールド54bに接続されるエンドプレート36aの酸化剤ガス排出通路44bの下面62もまた、ガス排出方向下流側に向かって下り勾配となるよう水平方向に対する傾斜角θ2を有しているが、この傾斜角θ2は酸化剤ガス排出マニホールド54bの傾斜角θ1よりも大きく設定されている。また、この構成では、酸化剤ガス排出マニホールド54bからエンドプレート36aの酸化剤ガス排出通路44bの出口(システム部品取付面37b上の開口部)に至るまでの流路下面が、総じてまたは全体を通して下り勾配をなすようにしてある。このようにすることで、例えば燃料電池スタック10を搭載した車両が坂道で停車または駐車したときにセル積層体38内の酸化剤ガス排出マニホールド54bの下面60が水平状態になったときでも、エンドプレート36aの酸化剤ガス排出通路44bの下面62を下り勾配状態に維持することができる。これにより、セル積層体38の酸化剤ガス排出マニホールド54bを排出されてきた水が、酸化剤ガス排出マニホールド54bと酸化剤ガス排出通路44bとの境界部または接続部64またはその近傍に溜まることなく確実に酸化剤ガス排出通路44bに流れて配管58を介して排水されることができ、酸化剤ガス排出マニホールド54b内への逆流を簡易な構成で抑制することができる。
エンドプレート36aの酸化剤ガス排出通路44bに接続される配管58内の下面68もまた、ガス排出方向下流側に向かって下り勾配となるよう水平方向に対する傾斜角θ3を有しているが、この傾斜角θ3は酸化剤ガス排出通路44bの下面62の傾斜角θ2よりもさらに大きく設定されている。このようにすることで、燃料電池スタック10からの排水性をより良好で確実なものにできる。また、配管58に水溜り部や電磁弁を設ける場合に比べて配管構成が簡易になり、コストも安くなる。
ここでは、酸化剤ガス排出用のマニホールド54b、排出通路44bおよび配管58を例にそれぞれの傾斜関係を説明したが、燃料ガス排出用のマニホールド52b、排出通路42bおよび配管58についても同様の傾斜関係をもたせてある。また、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給用のマニホールド52a,54a、供給通路42a,44aおよび配管58についても、加湿水分の凝縮水等が含まれる場合があるため、上述した傾斜関係をもつように構成されるのが望ましい。
なお、図3では、冷却媒体の供給および排出用のマニホールド56a,56b、通路46a,46b、および配管58についても上述した傾斜関係にあるように示されているが、これはガス用マニホールド等との配置関係からこのように構成するのが好ましいというのが理由であって、必ずしも上述したような傾斜関係を満たさなくてもよい。
エンドプレート36aの各ガス排出通路42b,44b等を構成する貫通穴は、切削、打ち抜き、成型等の加工方法によって形成されるが、通路内の下面はエンドプレート36aの両端面37a,37b間で直線状に形成されるのが好ましい。これは、切削等の加工が容易であるとともに、水が配管58に向けて流れ落ちるのを円滑にするためである。
また、ガス排出通路42b,44bの少なくとも下面を含む内面は、親水性材料で形成されているのが好ましい。これは、排出マニホールド52b,54bから通路42b,44b内に流入した水に上記親水性によって推進力を付与することができ、その結果、例えば配管58が撥水性を有する材料からなる場合にも配管58に水が導入され易くなる利点がある。この場合、通路42b,44bの内面に、親水性材料(例えば、金)でコーティングを施してもよいし、あるいは、エンドプレート36a自体を親水性材料(例えばシリカ、酸化チタン等の金属酸化物)で形成してもよい。
ところで、上記実施形態では、ガス排出マニホールド52b,54b、ガス排出通路42b,44b、および配管58内の流路をそれぞれ段差なく接続しているが、図5に示すように、上述した各傾斜角θ1,θ2,θ3間の大小関係を満たしながら、各接続部64,65において下流側の流路下面が下方に位置するように段差dをそれぞれ設けてもよい。このようにすることで、製造公差や組み付け時ばらつき等によって各接続部64,65において逆段差が形成されて排水抵抗部となってしまうのを防止できる。
なお、上記実施形態の燃料電池スタック10では、一方のエンドプレート36aが台形状側面を有する板状部材で構成されているが、これに限定されるものではなく、本発明におけるエンドプレートは一定厚みの板状部材で構成されてもよい。
また、上述した燃料電池スタック10では、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体の出入りを同一エンドプレートから行うようにしているが、本発明は、一方(または上方側)のエンドプレートから燃料ガス等を供給して他方(または下方側)のエンドプレートから排出するタイプの燃料電池スタックにも適用可能である。
本発明の一実施形態の燃料電池スタックを含む燃料電池システムの概略構成図である。 燃料電池スタックの斜視図である。 燃料電池スタックの一方側端部の側面図である。 燃料電池スタックにおける酸化剤ガス排出用のマニホールド、エンドプレート内ガス通路および配管の傾斜関係を示す部分断面図である。 図4の変形例を示す図である。 従来の燃料電池スタックの一例を示す図である。
符号の説明
1 燃料電池システム、10 燃料電池スタック、12 電圧変換器、14 インバータ、16 モータ、18 平滑コンデンサ、20 加湿器、22 希釈器、24 燃料ガス供給部、26 酸化剤ガス供給部、28 冷媒循環部、30 燃料電池セル、32a,32b 集電板、34a,34b 絶縁板、36a,36b エンドプレート、37a 積層体対向面、37b システム部品取付面、38 セル積層体、40 帯状部材、42a 燃料ガス供給通路、42b 燃料ガス排出通路、44a 酸化剤ガス供給通路、44b 酸化剤ガス排出通路、46a 冷却媒体供給通路、46b 冷却媒体排出通路、48 ポンプ、58 配管、59 フランジ部、60 下面、62 下面、62 境界部または接続部、65 接続部、68 下面、d 段差、θ1,θ2,θ3 傾斜角。

Claims (5)

  1. 複数の燃料電池セルを積層した燃料電池積層体と、前記燃料電池積層体の積層方向両端に設けられるエンドプレートと、前記燃料電池積層体の積層方向に貫通形成されたガス供給マニホールドと、前記燃料電池積層体の積層方向に貫通形成されたガス排出マニホールドと、前記エンドプレートに貫通形成されて前記ガス排出マニホールドに連通するガス排出通路と、を備える燃料電池スタックであって
    前記ガス排出通路が形成されているエンドプレートは、前記燃料電池積層体に対向する積層体対向面とその反対側にあって配管が取り付けられる取付面とを有するとともに、前記取付面が鉛直方向に沿うように前記燃料電池スタックが設置されたとき前記積層体対向面が鉛直方向に対して第1の傾斜角をなして斜め上方を向くように形成されており、
    前記ガス排出経路が形成されているエンドプレートの前記取付面が鉛直方向に沿うように前記燃料電池スタックが設置されたとき、前記燃料電池積層体の積層方向に沿って貫通形成されている前記ガス排出マニホールドは水平方向に対して前記第1の傾斜角をもってガス排出方向下流側に向かって下り勾配となり、前記ガス排出通路は水平方向に対して前記第1の傾斜角より大きい第2の傾斜角をもってガス排出方向下流側に向かって下り勾配となることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1に記載の燃料電池スタックにおいて、
    前記ガス排出通路の下面は、エンドプレートの前記積層体対向面と前記取付面との間で直線状に形成されていることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池スタックにおいて、
    前記エンドプレートに接続され前記ガス排出通路に連通するガス排出配管がガス排出方向下流側に向かって下り勾配となる第3の傾斜角を有し、前記第3の傾斜角は前記第2の傾斜角よりも大きく設定されていることを特徴とする燃料電池スタック。
  4. 請求項3に記載の燃料電池スタックにおいて、
    前記ガス排出通路の内面が親水性材料により形成またはコーティングされていることを特徴とする燃料電池スタック。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料電池スタックにおいて、
    前記燃料電池積層体のガス排出マニホールドと前記エンドプレートのガス排出通路との接続部で、ガス排出マニホールドの下面より下方にガス排出通路の下面が位置するように段差を設けたことを特徴とする燃料電池スタック。
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