JP5269728B2 - 高靭性高熱伝導性硬化性樹脂組成物、その硬化物及びモールド電機機器 - Google Patents
高靭性高熱伝導性硬化性樹脂組成物、その硬化物及びモールド電機機器 Download PDFInfo
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Description
(1)樹脂硬化物の破断歪が小さく、弾性率が大きいため、外部からの歪や熱応力を樹脂の変形で吸収できない。
(2)モールド真空バルブは、アルミナセラミック等の絶縁円筒、銅やアルミ等の電気導体、SUSやアルミ等のコロナシールド、樹脂硬化物等の絶縁及び構造材料から成り立っている。アルミナセラミック材等からなる絶縁円筒の熱膨張係数はシールドや導体である金属、樹脂硬化物に対して3倍以上小さい。熱膨張係数のミスマッチにより、製作時の冷却過程や使用時のヒートサイクル等で大きな熱応力や熱歪が発生し、樹脂硬化物の破断強度や破断歪を上回りクラックや剥離が生じる。
(3)樹脂硬化時に「(a)発熱により部分的に温度が高くなる、また、(b)熱硬化性樹脂組成物が硬化時に収縮する」ため、大きな内部応力が残留する。残留内部応力が樹脂硬化物の破断強度を上回りクラックや剥離が生じる。
(4)モールド金型、絶縁円筒や金属等のエッジ部に応力集中が起こり、その応力が樹脂硬化物の強度を上回り、樹脂硬化物に微細クラックが生じる。樹脂硬化物の靭性が低いため、微細クラックが許容欠陥寸法を上回り、微細クラックが進展し、樹脂硬化物クラックに到る。
1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、無機充填材と、界面活性剤を含有する熱硬化性樹脂組成物の硬化物であって、前記組成物によりアルミナセラミックをモールドし、室温まで冷却したとき応力安全率が7以上、特に7〜10が好ましく、歪安全率が10以上、特に10〜15が好ましく、許容欠陥寸法が0.1mm以上、特に0.1〜0.3mmが好ましく、前記硬化物の熱伝導率が0.7W/m・K以上、特に0.7〜2.5W/m・Kが好ましいことを特徴とするモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物を提供する。
(1)前記樹脂組成物は曲げ破断歪が1.5%以上、特に1.5〜2.5%が好ましく、熱伝導率が0.7W/m・K以上、特に0.7〜1.5W/m・Kが好ましく、破壊靭性値が2.7MPa・m1/2以上、特に2.7〜6.2MPa・m1/2が好ましい。
(2)前記樹脂組成物の全体に対して、前記無機充填材は55〜71vol%であり、前記無機充填材は平均粒径2〜9μmの破砕結晶質シリカと平均粒径4〜20μmの破砕溶融シリカを含み、該破砕結晶質シリカの平均粒径Xと該破砕溶融シリカの平均粒径Yとの比X/Yが0.1〜2.25である。X/Yは0.3〜1.5が好ましく、より好ましくは0.5〜1.1である。X/Yが0.7〜1.1のときに、最も諸特性に優れた硬化物を与える樹脂組成物が得られる。
(3)前記界面活性剤は、前記無機充填材の0.05〜2wt%であり、かつ前記多官能エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材と反応する界面活性剤Aと、前記多官能エポキシ樹脂及び硬化剤と反応しないが前記無機充填材と反応する界面活性剤Bであり、
前記界面活性剤Aは全界面活性剤に対して15〜75wt%であり、前記界面活性剤Bは全界面活性剤に対して25〜85wt%である。
(4)可撓化剤としてコアシェルゴムを、前記樹脂組成物の総重量に対して0.5〜3.5wt%添加する。
(5)前記コアシェルゴムの、コアとシェルの比率(重量%)は40/60〜95/5が好ましい。
(6)滑材を前記破砕結晶質シリカの重量に対して0.5〜7wt%含有する。
(7)前記滑材は粒径1μm以下の球状シリカである。
(8)板状の沈降防止材を含有する。
1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、平均粒径2〜9μmの破砕結晶質シリカと平均粒径4〜20μmの破砕溶融シリカを含む無機充填材と、界面活性剤を含み、
前記破砕結晶質シリカと破砕溶融シリカを含む充填材を熱硬化性樹脂組成物の55〜71vol%含み、
前記破砕結晶質シリカと前記破砕溶融シリカの配合割合は、前者が10〜98wt%で残りが後者であり、
前記破砕結晶質シリカの平均粒径Aと破砕溶融シリカの平均粒径Bの比A/Bが0.1〜2.25であることを特徴とするモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物を提供する。A/Bは0.3〜1.5が好ましく、より好ましくは0.5〜1.1である。沈降防止剤/Bが0.6〜1.1のときに、最も諸特性に優れた硬化物を与える樹脂組成物が得られる。
曲げ破断歪が1.5%以上、熱伝導率が0.7W/m・K以上、破壊靭性値が2.7MPa・m1/2以上の硬化物を与えるものである。
(10)アルミナセラミックをモールド硬化し、ガラス転移温度から室温まで冷却したときの応力安全率が7以上、歪安全率が10以上、許容欠陥寸法が0.1mm以上であることを特徴とする硬化物を与えるものである。
(11)可撓化剤としてコアシェルゴムを、前記モールド用高靭性高熱伝導性前記熱硬化性樹脂組成物の総重量に対して0.5〜3.5wt%含有する。
(12)前記多官能エポキシ樹脂が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールAD、アントラセンジオールまたは/及びナフタレンジオールとエピクロルヒドリンとの反応により得られるいずれかである。
(13)前記無機充填材は平均粒径2〜9μmの破砕結晶質シリカと平均粒径4〜20μmの溶融シリカである。
(14)前記界面活性剤として、エポキシ樹脂、無機充填材、硬化剤と反応する界面活性剤Aと、エポキシ樹脂及び硬化剤と反応しないが、無機充填材と反応する界面活性剤Bを含み、全界面活性剤に対して、前記界面活性剤Aは15〜75wt%、前記界面活性剤Bは25〜85wt%であり、前記界面活性剤は無機充填材に対して0.05〜2wt%である。
(15)前記破砕結晶質シリカと破砕溶融シリカの合計量は、全無機充填材の90wt%以上、好ましくは95%以上である。
予め、(1)(a)1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂、(c)無機充填材、及び(d1)前記無機充填材、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂用酸無水物硬化剤と反応する界面活性剤Aを混合したエポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eと、
(2)(b)エポキシ樹脂用酸無水物硬化剤、(c)無機充填材、(d2)多官能エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂用酸無水物硬化剤と反応しないが、無機充填材と反応する界面活性剤Bとを混合したエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hとを、前記エポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eと前記エポキシ樹脂硬化剤系組成物Hを混合して前記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を調整し、導体を含む電気的装置の外周をモールド、硬化する固体絶縁の形成方法を提供する。電気的装置としては、真空スイッチ、コイルなどがあり、モールド硬化物は導体と接するか、絶縁物の周囲に接してもよい。
(16)可撓化剤としてコアシェルゴムを前記エポキシ樹脂硬化剤系樹脂組成物Hに混合する。
(17)板状の沈降防止材を、前記エポキシ樹脂硬化剤系樹脂組成物Hに混合する。
(18)滑材を前記エポキシ樹脂硬化剤系樹脂組成物Hに混合する。
本発明における多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフエノールA及びビスフエノールFとエピクロルヒドリンとの反応により得られるジグリシジルエーテル、ビスフエノールAのジグリシジルエーテル、ビスフエノールFのジグリシジルエーテル、ナフタレンのジグリシジルエーテル、アントラセンのジグリシジルエーテル、ビフェニルのジグリシジルエーテル、水添加ビスフエノールAのジグリシジルエーテル、水添加ビスフエノールFのジグリシジルエーテル、ブタジエンジエポキサイド、3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル‐(3,4‐エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4,4′‐ジ(1,2‐エポキシエチル)ジフェニルエーテル、4,4′‐ジ(1,2‐エポキシエチル)ジフェニルエーテル、4,4′‐(1,2‐エポキシエチル)ビフェニル、2,2′‐ビス(3,4‐エポキシシクロヘキシル)プロパン、レゾルシンのジグリシジルエーテル、フロログリシンのジグリシジルエーテル、メチルフロログルシンのジグリシジルエーテル、ビス(2,3‐エポキシシクロペンチル)エーテル、3‐(3,4‐エポキシ)シクロヘキセン‐5,5‐スピロ(3,4‐エポキシ)‐シクロヘキサン‐m‐ジオキサン、ビス‐(3,4‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキシル)アジペート、N,N′‐m‐フエニレンビス(4,5‐エポキシ‐1,2‐シクロヘキサンジカルボキシイミド、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のジグリシジルエステルなどの2官能エポキシ化合物、パラアミノフエノールのトリグリシジルエーテル、1,3,5‐トリ(1,2‐エポキシエチル)ベンゼン、2,2′,4,4′‐テトラグリシドキシベンゾフエノン、テトラグリシドキシテトラフェニルエタン、フエノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル、クレゾールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル、キシレノールホルムアルデヒドノボラツクのポリグリシジルエーテル、ノニルフエノールホルムアルデヒドノボラツクのポリグリシジルエーテル、フェニルフエノールホルムアルデヒドノボラツクのポリグリシジルエーテル、ビスフエノールAホルムアルデヒドノボラツクのポリグリシジルエーテル、ビスフエノールFホルムアルデヒドノボラツクのポリグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルなどの3以上の官能基を有するエポキシ化合物が用いられる。
本発明における硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水アルケニル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリツト酸、無水シクロペンタンテトラカルボン酸,無水ベンゾフエノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート,グリセリントリストリメリテート,メチルシクロペンダジエンの無水マレイン酸付加物,無水クロレンデイツク酸、無水アルキル化エンドアルキレンテトラヒドロフタル酸、無水メチル2‐置換ブチニルテトラヒドロフタル酸などの酸無水物、フエノール、クレゾール、キシレノール、ノニルフエノール、フェニルフエノール、ビスフエノールAなどの一種または二種以上の混合物とホルムアルデヒドないしパラホルムアルデヒドとを酸、塩基又は中性塩などを触媒として反応させて得られたノボラック樹脂、ポリ‐p‐ビニルフエノール、ポリアミド、アミンなどが用いられる。このうち、メチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸付加物、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸などのような液状の酸無水物が有用である。
本発明における硬化促進剤としては、多官能エポキシ樹脂と酸無水物との反応を促進するものであれば良い。そのような硬化促進剤としては、例えば、2‐メチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、2‐ウンデシルイミダゾール、2‐ヘプタデシルイミダゾール、2‐フェニルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐メタルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐ウンデシルイミダゾール、2,4‐ジアミノ‐6‐[2‐メチルイミダソリル‐(1)]‐エチル‐s‐トリアジン、2,4‐ジアミノ‐6‐[2‐エチル‐4‐メチルイミダゾイル‐(1)]‐エチル‐s‐トリアジン、2,4‐ジアミノ‐6‐[2‐ウンデシルイミダゾリル‐(1)]エチル‐s‐トリアジン、2‐フェニル4,5‐ジヒドロキシメチルイミダゾ−ル、2‐フェニル4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐フェニル4,5‐ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾールなどのイミダゾール、2‐メチルイミダゾリウム・イソシアヌレート、2‐フェニルイミダゾリウム・イソシアヌレートなどのイミダゾールとイソシアヌル酸の塩、1‐シアノエチル‐2‐ウンデシルイミダリウム・トリメリテート、1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミダゾリウム・トリメリテートなどのイミダゾールの有機酸塩、2‐エチル‐4‐メチル‐イミダゾール・テトラフェニルボレート、2‐メチルイミダゾール・テトラフェニルボレートなどのイミダゾールボレード、トリエチルアミン、n‐トリプロピルアミン、N‐ベンジルジメチルアミンなどの第三級アミン、N‐メチルモルホリン、N‐メチルピペラジン、1,8‐ジアザービシンロ(5,4,0)‐ウンデセン、テトラメチルブチルグアニジン、トリフェニルホスフイン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートなどがある。又、アミンあるいは4級アンモニウムの有機酸塩、アミンの分子間配位化合物、アミンの分子内配位化合物、アミンとアルデヒド又はケトンとの反応生成物、尿素誘導体及びジシアンジアミド、ヒドラジノ基を有する化合物、ボレート、フエロセン、リン化合物、アミンのマイクロカプセルなどが使用できる。これらの硬化促進剤は単独または混合して用いても良い。硬化促進剤の配合量は、多官能エポキシ樹脂100重量部、硬化剤80〜120重量部に対して0.2〜10重量部加えることが好ましい。
本発明における無機充填材は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の目的及び用途等に応じて、使用される。平均粒径2〜9μmの破砕結晶質シリカ及び平均粒径4〜20μmの破砕溶融シリカを必須成分として用いる。破砕結晶質シリカ及び破砕溶融シリカ共に、原料を破砕したもので、低コストで、不定形で角ばった形状を有している。この点は球状溶融シリカとは異なる。但し、角ばった形状を持つため、破砕結晶質シリカと破砕溶融シリカの平均粒径の比を適切に選定することが必要で、これが不適切であると、組成物の流動性、無機充填時の充填性が損なわれる可能性がある。
R(Dp):最大粒径から粒径Dpまでの累積重量%
Dp:粒径
b及びn:定数
ここで、粒径が80μm以上をカットしているのは、粒径が80μm以上のものが存在すると沈降が生じ、クラックを発生しやすい為である。本発明者等は粉砕条件の異なる破砕結晶質シリカを混ぜることにより、(式1)のRosin‐Rammlerの式のn値を0.3〜0.9に調整し、粘度を低めることが出来た。また、破砕結晶質シリカの平均粒径が3〜9μm、破砕溶融シリカの平均粒径が3〜15μmであるときに(式1)のRosin‐Rammlerの式のn値を0.3〜0.9に調整することができた。本発明の無機充填材の添加量は、熱硬化性樹脂組成物に対して55〜71vol%が好ましい。無機充填材の添加量が71Vol%を超えると粘度が高くなってボイドが含まれたり、未充填部分が大きくなったりして実質的に使えない。また、充填材の添加量が55vol%を下まわると熱伝導率が低くなり、稼動時の温度が上昇し、短時間に絶縁破壊するようになるからである。
本発明者等は、特許文献10に記載されたように、平均粒径0.1〜0.9μmの球状無機充填材が、粗の無機充填材の表面に付着してコロの役目をしてズリ速度が大きいときに流動性が向上したと推定して更に検討を加えた。その結果、平均粒径3〜9μmの破砕結晶質シリカに、破砕結晶質シリカの1/10〜1/100の粒径の球状シリカを0.5〜7wt%付着させると、球状シリカの添加量が多くなるに従い、B型粘度計で測定する様な低ズリ速度において、見かけの粘度は従来から言われているように増加することがわかった。しかし、ズリ速度が大きいとき、即ち、高シェア状態の注型、モールド時に見かけの粘度は球状シリカを添加しないときより低くなり、流動性が増加した。即ち、高シェア状態の加圧ゲル化方式では有利になるということが分かった。又、付着する球状無機充填材の平均粒径が小さいと、微粒子間に働くファンデルワールス力の影響が大きくなりすぎ、かえって粘度が上昇する傾向にあった。逆に、付着する球状充填材の平均粒径が大きすぎると、その添加効果が少なくなる傾向にあった。
水和アルミナ、マイカのようなフレーク(薄片)状の無機充填材(沈降防止材)を1〜5wt%添加すると、熱硬化性樹脂の保管状態、或は加熱状態での熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の沈降を防ぐことができる。沈降防止材としては、フレーク状のガラス、タルク、マイカ、クレー、セリサイト、カーボン等が挙げられ、該沈降防止材の寸法には特に制限はないが、成形品の剛性および寸法安定性の面より平均粒子径10〜600μmで、平均形状比(長径/厚み)が2〜120であることが好ましい。
充填材と熱硬化性樹脂組成物の馴染を良くし、充填材と樹脂の界面に生じるクラックを減少させるためには、界面活性剤が不可欠である。本発明における界面活性剤は、無機充填材及び有機マトリックスレジンと化学結合する反応性官能基を有する界面活性剤(本発明において、界面活性剤Aとする)と、無機充填材と化学結合し、有機マトリックスレジンと絡み合う非反応性有機基を有する界面活性剤(本発明において、界面活性剤Bとする)を併用することが低粘度化と高靭性化の両立の観点から好ましい。界面活性剤Aはエポキシ樹脂、無機充填材、硬化剤と反応し、界面活性剤Bは、エポキシ樹脂及び硬化剤と反応しないが無機充填材と反応する。
本発明では、強靭性化や内部応力低減のため、エポキシ樹脂組成物に非反応性エラストマー(例えば、NBR、ポリブタジエンやクロロプレンゴム等の液状ゴム、シリコーンオイル、シリコーンゴム、カルボキシル或はエポキシ変性の架橋NBR、アクリルゴム、コアシェルゴム、ウレタンゴム、熱可塑性ポリエステルエラストマー等)、反応性エラストマー(カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体CTBN、アミノ変性のブタジエン− アクリロニトリル共重合体ATBN、主鎖にカルボキシル基を含有するNBR、カルボキシル変性ポリブタジエン、液状ポリサルフィッド、変性シリコーンウレタンプレポリマー、コアシェルゴム等)及び熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子(可撓化剤)を配合することができる。本発明では特に、可撓化剤としてコアシェルゴムを使用することが有用である。ここで、本発明におけるコアシェルゴムとは、中心部と表層部が異なるポリマーからなる球状ポリマー粒子で、コア相と単一のシェル相の二層構造を有するものである。
(実験例)
本発明を実験例により具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。以下実験例および比較例において用いた略号は以下の通りである。なお、以下の実験例は本発明の思想を適用したものを意味し、本発明の範囲外のものを意味するものではない。
(多官能エポキシ樹脂)
E1:ビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(エポキシ当量174)
E2:ビスフエノールADのジグリシジルエーテル(エポキシ当量173)
E3:ビスフエノールFのジグリシジルエーテル(エポキシ当量160)
E4:ビスフエノールAのジグリシジルエーテル(エポキシ当量175)
E5:ビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(エポキシ当量184)
E6:ビスフエノールAのジグリシジルエーテル(エポキシ当量187)
E7:ビスフエノールFのジグリシジルエーテル(エポキシ当量190)
E8:ビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(エポキシ当量192)
E9:ビスフエノールADのジグリシジルエーテル(エポキシ当量203)
E10:ビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(エポキシ当量224)
E11:ビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(エポキシ当量295)
E12:ビスフエノールADのジグリシジルエーテル(エポキシ当量295)
(酸無水物硬化剤)
H1:無水メチルナジック酸(酸無水物当量178)
H2:メチルテトラヒドロ無水フタル酸(酸無水物当量166)
H3:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(酸無水物当量168)
(無機充填材)
(破砕結晶質シリカ);結晶質シリカ(Crystalline Silica)の頭文字CSを用いて示す
CS‐1:破砕結晶質シリカ、平均粒径23.3μm、粒度累積分布60μm以下100%
CS‐2:破砕結晶質シリカ、平均粒径10.0μm、粒度累積分布60μm以下100%
CS‐3:破砕結晶質シリカ、平均粒径5.0μm、粒度累積分布48μm以下100%
CS‐4:破砕結晶質シリカ、平均粒径1.0μm、粒度累積分布10μm以下100%、1μm以下60%
CS‐5:破砕結晶質シリカ、平均粒径4.5μm、粒度累積分布48μm以下100%
CS‐6:破砕結晶質シリカ、平均粒径5.4μm、粒度累積分布48μm以下100%
CS‐7:破砕結晶質シリカ、平均粒径6.2μm、粒度累積分布48μm以下100%
CS‐8:破砕結晶質シリカ、平均粒径7.1μm、粒度累積分布48μm以下100%
CS‐9:破砕結晶質シリカ、平均粒径8.2μm、粒度累積分布48μm以下100%
(破砕溶融シリカ);溶融シリカ(Molten Silica)の頭文字MSを用いて示す
MS‐1:破砕溶融シリカ、平均粒径30μm、粒度類積分布80μm以下100%、48μm以下80%
MS‐2:破砕溶融シリカ、平均粒径15.1μm、粒度類積分布80μm以下100%、48μm以下85%、
MS‐3:破砕溶融シリカ、平均粒径9μm、粒度類積分布48μm以下100%
MS‐4:破砕溶融シリカ、平均粒径8μm、粒度類積分布48μm以下100%
MS‐5:破砕溶融シリカ、平均粒径5.4μm、粒度累積分布48μm以下100%
MS‐6:破砕溶融シリカ、平均粒径2.5μm、粒度類積分布48μm以下100%
(滑材);滑材(Lubricating Material)の頭文字LMを用いて示す
LM‐1:滑材、球状溶融シリカ、平均粒径0.1μm、粒度累積分布1μm以下100%
LM‐2:滑材、球状溶融シリカ、平均粒径0.55μm、粒度累積分布1μm以下100%
LM‐3:滑材、球状溶融シリカ、平均粒径0.8μm、粒度累積分布1μm以下100%
(沈降防止材);沈降防止材(Precipitation Preventation Material)の頭文字PPを用いて示す
PP1:沈降防止材、板状水酸化アルミニウム、平均粒径0.5μm、粒度累積分布1μm以下60%
(硬化促進剤)
C1:2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾール
C2:1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミダゾール
C3:1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチノルイミダゾール
C4:1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミダゾリウム・トリメリテート
C5:2‐メチルイミダゾール・テトラフエニルボレート
C6:2‐エチル‐4‐メチル‐イミダゾール・テトラフェニルボレート
C7:テトラフエニルホスホニウム・テトラフエニルボレート
(界面活性剤)
1.シラン系界面活性剤A
S1:β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
S2:γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
S3:γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン
S4:γ‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン
S5:γ‐(2‐アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン
2.チタネート系界面活性剤B
T1:イソプロピルトリエトキシシラン
T2:イソプロピルトリイソステアロイルチタネート
T3:イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート
T4:イソプロピルトリオクタノイルチタネート
T5:イソプロピルトリ(ラウリル−ミリスチル)チタネート
T6:テトライソプロピルビス(ジラウリルホスフアイト)チタネート
T7:トリオクチルイソステアロイルチタネート
(可撓化剤)
A1:MBSコア/シェル真球状ゴム パラロイドEXL‐2655
A2:シリコーンコア/メタクリルシェル真球状ゴム GENIOPERL P52 100〜150nm
A3:コアシェルゴム エポキシ基変性PMMA ゼフィアックF301、一次粒子平均径2μm
A4:アクリル共重合体コア/シェル真球状ゴム スタフィロイドIM‐203、一次粒子平均径0.3μm
A5:アクリル共重合体コア/シェル真球状ゴム ゼフィアックF351、一次粒子平均径0.3μm
A6:コアシェルゴム パラロイドEXL‐261
A7:コアシェルゴム パラロイドEXL‐3387
A8:コアシェルゴム パラロイドKM355
A9:コアシェルゴム カネエースMX
また、諸特性の評価は次のように行った。
(ワニスの粘度)
熱硬化性樹脂組成物の高ズリ速度(200Hz)における粘度は、振動式粘度計を用いて測定した。また、低ズリ速度に於ける粘度は、B型粘度計を用いて測定した。
(ポットライフ)
60℃でエポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eとエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hを混合し、B型粘度計の粘度が初期の粘度の2倍に達したときの時間をポットライフとした。
(無機充填材を添加した酸無水物硬化剤の沈降の有無)
エポキシ樹脂硬化剤系組成物Hを60℃で12時間保持後に、無機充填材の沈降が生じている場合を充填材添加酸無水物組成物の沈降の有とした。ポットライフの項から分かるように、エポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eとエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hを混合すると反応が生じ、短時間で粘度が上昇する。そのため、エポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eとエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hを別々に調合、保管し、使用直前に両者を混ぜて使用することを前提としている。そのため、保管時に無機充填材の沈降が起きれば、無機充填材が不均一になり使用できない。尚、エポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eは全実験例において、60℃で12時間保持後に沈降は生じない。
(硬化物の曲げ特性)
硬化物の曲げ強度(σB25℃)、曲げ弾性率(EB25℃)、曲げ破断歪(εB25℃)はJIS K 7171:2008に準拠して求めた。
(硬化物のガラス転移温度、熱膨張係数の測定)
JIS K7197:1991に従い、熱機械分析(TMA)を用いて線膨脹率を測定した。また、線膨張の屈曲点を求め、ガラス転移温度とした。
(硬化物の熱変形温度)
5×12.7×120mmの試験片を切削し、JISK7191:1996に準拠して熱変形温度(荷重たわみ温度)を求めた。
(硬化物の熱伝導率)
熱伝導率は50φ×9mmの大きさに熱硬化性樹脂組成物を注型、硬化した円板を試験片として、DYNATECH R/D COMPANY製TCHM−1型熱伝導度測定装置を用いて測定した。
(硬化物の破壊靭性値の測定)
平面歪み破壊靭性値KICを求める破壊靭性試験はDouble Cantilever法を用い、室温で測定した。真空バルブモールド品の安全率・許容度の尺度として冷却拘束熱応力(σ25℃、)応力安全率(σB25℃/σ25℃)、冷却拘束熱応力(σ−30℃)、応力安全率(σB25℃/σ−30℃)、歪安全率(F25℃)、歪安全率(F−30℃)及び許容欠陥寸法を下記のようにして計算した。
[I]冷却拘束熱応力(σ25℃)=(エポキシ硬化物のガラス転移温度‐25)×(エポキシ硬化物のガラス転移温度以下の熱膨張係数‐真空バルブのアルミナセラミックスの膨張係数)×エポキシ硬化物の弾性率EB25℃÷1000
[II]応力安全率(σB25℃/σ25℃)=エポキシ硬化物の曲げ強度σB25℃÷冷却拘束熱応力σ25℃
[III]歪安全率(F25℃)={(エポキシ硬化物のガラス転移温度以下の熱膨張係数−真空バルブのアルミナセラミックスの膨張係数)×(エポキシ硬化物のガラス転移温度−25)}÷エポキシ硬化物の曲げ破断歪εB25℃
[IV]冷却拘束熱応力(σ−30℃)=(エポキシ硬化物のガラス転移温度+30)×(エポキシ硬化物のガラス転移温度以下の熱膨張係数−真空バルブのアルミナセラミックスの膨張係数)×エポキシ硬化物の弾性率EB25℃÷1000
[V]応力安全率(σB25℃/σ−30℃)=エポキシ硬化物の曲げ強度σB25℃÷冷却拘束熱応力σ−30℃
[VI]歪安全率(F−30℃)={(エポキシ硬化物のガラス転移温度以下の熱膨張係数−真空バルブのアルミナセラミックスの膨張係数)×(エポキシ硬化物のガラス転移温度+30)}÷エポキシ硬化物の曲げ破断歪εB25℃
[VII]許容欠陥寸法=(エポキシ硬化物の平面歪み破壊靭性値KIC÷エポキシ硬化物の曲げ強度σB25℃)2÷1.26÷π×1000
(モールド真空バルブの部分放電開始電圧、直流絶縁破壊電圧)
モールド真空バルブに高電圧シールドと接地電極を取り付けた状態でSF6ガス絶縁試験タンクにセットし、外部絶縁のためのSF6ガスを0.45MPa封入した状態で、500kV試験用変圧器により商用周波(50Hz)の交流電圧を1分以上印加しながら5kVステップで昇圧し、非破壊であることを確認し、部分放電量を測定した。10ピコクーロンの部分放電が発生した電圧を部分放電開始電圧とした。尚、モールド真空バルブの部分放電開始電圧の判定値を25kV以上、直流絶縁破壊電圧の判定値を75kV以上、1250A通電時の温度上昇値の判定値を60℃以下とした。
(1)実験例1〜8(無機充填材に対する破砕結晶質シリカの配合割合の影響)
多官能エポキシ樹脂としてエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用い、無機充填材として破砕結晶質シリカと破砕溶融シリカを用い、その配合割合が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気特性に与える影響を検討した結果を表1に示す。エポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(E1)100重量部と、表1記載の半分量の平均粒径4.5μmの破砕結晶質シリカ(CS‐5:C−BASE−1;登録商標)及び平均粒径5.4μmの破砕溶融シリカ(MS‐5:ZA−30;登録商標)と、界面活性剤γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(S2)を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eとした。次に、酸無水物当量168のメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(H3)を95.0重量部と、表1記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表1記載の量の可撓化剤である一次粒子平均径0.3μmのアクリル共重合体コア/シェル真球状ゴムゼフィアックF351(A5)と、沈降防止材である板状水酸化アルミニウム(PP‐1:C−3005;登録商標)と、滑材である平均粒径0.1μmの球状溶融シリカ(LM‐1:SO−05H;登録商標)と、界面活性剤であるイソプロピルトリオクタノイルチタネート(T4)と、硬化触媒である1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチノルイミダゾール(C3)を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hとした。
(2)実験例9〜15(コアシェルゴムの添加量の影響)
次に、多官能エポキシ樹脂としてエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用い、可撓化剤として一次粒子平均径0.3μmのA5を用い、その添加量が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気特性に与える影響を検討した。多官能エポキシ樹脂E1を100重量部と、表2記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し、エポキシ樹脂主剤系組成物Eとした。次いで酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表2記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表2記載の量の可撓化剤A5と、沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤イソプロピルトリオクタノイルチタネート(T4)、硬化触媒1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチノルイミダゾール(C3)を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hとした。EとHと別々に60℃に12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、EとHを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(3)実験例3、16〜23(コアシェルゴムの種類の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用いて、コアシェルゴム系可撓化剤の種類が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響を検討した。多官能エポキシ樹脂E1を100重量部と、表3記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂主剤系組成物Eとした。次いで、酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表1記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表3記載の量の可撓化剤A1〜A4、A6〜A9と、沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hとした。EとHと別々に60℃に12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、EとHを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(4)実験例3、24〜32(界面活性剤の配合量の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用いて、無機充填材及び有機マトリックスレジンと化学結合するシラン系界面活性剤と、無機充填材と化学結合し、有機マトリックスレジンと分子的に絡み合うチタネート系界面活性剤の配合量が、樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響を検討した。エポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(E1)100重量部と、表4記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂主剤系組成物Eとした。次いで、酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表4記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表4記載の量の沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し、エポキシ樹脂硬化剤系樹成物Hとした。EとHを別々に60℃に12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、EとHを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(5)実験例33〜37(滑材添加量の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用いて、滑材の添加量が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響を検討した。エポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(E1)を100重量部と、表5記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐1と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂主剤系組成物Eとした。次いで、酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表5記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐1と、界面活性剤S2と、表5記載の量の沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌しエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hとした。EとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、EとHを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(6)実験例38〜42(沈降防止材添加量の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルE1を用いて、沈降防止材の添加量が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響の影響を検討した。エポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(E1)を100重量部、表5記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。次いで、酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表5記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表5記載の量の沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを別々に60℃に12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(7)実験例43〜49(酸無水物硬化剤添加量の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用いて、酸無水物硬化剤の添加量が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響を検討した。エポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(E1)を100重量部と、表6記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。酸無水物硬化剤H3と、表6記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表6記載の量の沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤材T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(8)実験例50〜62(酸無水物硬化剤、エポキシ樹脂の種類の影響)
実験例50〜62において酸無水物硬化剤の種類、多官能エポキシ樹脂の種類の影響を検討した。表7及び表8の実験例50〜62に記載の多官能エポキシ樹脂と、表7及び表8の実験例50〜62に記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。次に表7及び表8の実験例50〜62に記載の酸無水物硬化剤と、表7及び表8の実験例50〜62に記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表7及び表8の実験例50〜62に記載の量の沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。ワニスの粘度を、B型粘度計及び振動粘度計で測定した。また、ワニスのポットライフを測定した。次に、ワニスを金型に入れ、130℃で1時間、170℃で5時間保持した。得られた硬化物の曲げ特性、熱膨張係数、ガラス転移温度、熱変形温度、熱伝導率、破壊靭性値を測定した。これらのデータから冷却拘束熱応力、応力安全率、歪安全率、許容欠陥寸法を計算した。これらの結果と60℃に12時間保持したときのHの沈降の有無の結果とを表7及び表8に記した。
(11)実験例63〜69(エポキシ樹脂の分子量とコアシェルゴムの添加量の関係)
多官能エポキシ樹脂の分子量とコアシェルゴムの関係を検討した。多官能エポキシ樹脂として表8の実験例63〜69記載の多官能エポキシ樹脂と、表8の実験例63〜79記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。酸無水物硬化剤H3を表8の実験例63〜69記載の量と、表8の実験例63〜69記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表8の実験例63〜69記載の量の沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(10)実験例3、70〜77(破砕結晶質シリカの粒径の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用いて、破砕結晶質シリカの粒径が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響について検討した。エポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(E1)を100重量部と、表9記載の半分量の破砕結晶質シリカ及び破砕溶融シリカMS‐5、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表9記載の半分量の破砕結晶質シリカ及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表9記載の量の可撓化剤A5と、沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物HとしたEとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。ワニスの粘度を、B型粘度計及び振動粘度計で測定した。また、ワニスのポットライフを測定した。次に、ワニスを金型に入れ、130℃で1時間、170℃で5時間保持した。得られた硬化物の曲げ特性、熱膨張係数、ガラス転移温度、熱変形温度、熱伝導率、破壊靭性値を測定した。これらのデータから冷却拘束熱応力、応力安全率、歪安全率、許容欠陥寸法を計算した。これらの結果と60℃に12時間保持したときのHの沈降の有無の結果とを表9に記した。
(11)実験例78〜85(無機充填材に対する破砕結晶質シリカの配合割合の影響)
多官能エポキシ樹脂として比較的高分子量のエポキシ当量192のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用いて、無機充填材として破砕結晶質シリカと破砕溶融シリカを用い、その配合割合が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響を検討した。エポキシ当量192のビスフエノールAFのジグリシジルエーテル(E8)を100重量部と、表10に記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。次いで、酸無水物硬化剤H3を85.7重量部と、表10に記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2と、表10に記載の量の可撓化剤A5と、沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(12)実験例86〜92(可撓化剤の添加量の影響)
多官能エポキシ樹脂として高分子量のエポキシ当量192のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを、可撓化剤としてA5を用いて、その配合量が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響について検討した。エポキシ当量192のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルE8を100重量部と、表11の実験例86〜92に記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。次いで、酸無水物硬化剤H3を85.7重量部と、表11の実験例86〜92に記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカMS‐5と、シラン系界面活性剤S2と、表11の実験例86〜92に記載の量の可撓化剤A5と、沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、系界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、EとHを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(13)実験例93〜95(滑材、沈降防止材、界面活性剤の有無の影響)
多官能エポキシ樹脂としてエポキシ当量192のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用いて、滑材、沈降防止材、界面活性剤の有無が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響について検討した。
(14)実験例3、96〜100(破砕溶融シリカの粒径の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用い、破砕溶融シリカの粒径が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響について検討した。エポキシ当量174のビスフェノールAFのジグリジシルエーテル(E1)を100重量部と、表12記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカと、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。次いで、酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表12記載の半分量の破砕結晶質シリカCS‐5及び破砕溶融シリカと、界面活性剤S2と、表12記載の量の可撓化剤A5と、沈降防止材PP‐1と、滑材LM‐1と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(15)実施例101、102(滑材の粒径の影響)
多官能エポキシ樹脂として低分子量のエポキシ当量174のビスフエノールAFのジグリシジルエーテルを用い、滑材の粒径が樹脂組成物の物性及び真空バルブの電気物性に与える影響について検討した。多官能エポキシ樹脂E1を100重量部と、表12の実験例101、102に記載の半分量の破砕結晶質シリカ及び破砕溶融シリカと、界面活性剤S2を混ぜ、よく攪拌し主剤系樹脂組成物Eとした。また、酸無水物硬化剤H3を95.0重量部と、表12の実験例101、102に記載の半分量の破砕結晶質シリカ及び破砕溶融シリカと、界面活性剤S2と、表12記載の量の可撓化剤A5と、沈降防止材PP‐1と、滑材と、界面活性剤T4と、硬化触媒C3を混ぜ、よく攪拌し硬化剤系樹脂組成物Hとした。EとHを別々に60℃で12時間保持し、無機充填材の沈降の有無を観察した。使用直前に、主剤Eと主剤Hを加温し、両者を混ぜてワニス(熱硬化性樹脂組成物)とした。
(16)実験例109(リニアモーターカー用推進コイルの作製)
本発明の実験例3の高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物を用いて作製したリニアモーターカー用推進コイルを図3A及び図3Bに示す。図3Aはコイルの斜視模式図で、図3Bは、図3AのII‐II線に沿った断面模式図である。
(17)実験例110(変圧器用モールドコイルの作製)
本発明の実験例4の高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物を用いて作製した変圧器用モールドコイルの斜視模式図を図4に示す。変圧器用モールドコイル23は、内外周をそれぞれプリプレグ絶縁物25、27で絶縁して内周絶縁層24、外周絶縁層26を形成し、コイル内部に本発明の実験例4の熱硬化性樹脂組成物の硬化物28を巻線29の内部と内外周間に流し込み、加熱硬化することにより作製した。これを鉄芯に組み込みモールド変圧器を作製した。稼動時に温度上昇も少なく、従来の変圧器よりも優れた特性を示した。
(18)実験例111(変圧器用モールドコイル及びモールド変圧器の作製)
本発明の実験例3の高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物を用いて変圧器用モールドコイル及びモールド変圧器を作製した。作製した変圧器用モールドコイルの斜視模式図を図5Aに、それを組み込んだモールド変圧器の模式図を図5Bに示す。変圧器用モールドコイル32は、外周絶縁層34の表面の端子の周囲にリブを形成して絶縁距離を得るようにしたものである。36は巻き始め側の端子、37は巻き終わり側の端子、38はタップ切り換え用端子である。端子36、37の周辺には、それぞれそれらを囲むようにリブ39、40が設けられている。リブ39、40のモールドコイル32の表面から突出高さは端子36、37の突出高さより小さく設けられ、リード線接続時の障害とならないよう構成される。この関係はタップ切り替え用端子38の突出高さとリブ41の突出高さについても同様である。モールドコイル32は鉄心42に嵌挿され、端子36には一次側電源接続用端子43が、端子37には接続バー44が、タップ端子38にはタップ接続バー45がそれぞれ接続されている。なお、二次端子46は二次端子で単相二線式二次出力が得られるように接続されている。
(19)実験例112(計器用変成器の作製)
一次巻線及び二次巻線を巻いた鉄芯を金型に入れ、本発明の実験例3の高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物でモールド、硬化し、6.6kV三相3線式高圧需要家の受電設備に使用される計器用変成器を作製した。作製した計器用変成器の平面模式図を図6Aに、横から見た断面模式図を図6Bに示す。モールド硬化物(絶縁外皮)47は、図示していない一次巻線及び二次巻線を重ねた状態で本発明の実施例3の高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物に代表される絶縁樹脂をモールド、硬化して形成されたものであり、一次端子48、二次端子49及び鉄心挿入窓50が一体に形成されている。本発明の高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物は硬化前高シェアにおいて低粘度となるため、細部までモールドされている。また、高靭性高熱伝導性であるため、クラックを発生せず、稼動時に温度上昇も少なく、装置の小型化が可能である。
Claims (23)
- 1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、無機充填材と、界面活性剤を含有する熱硬化性樹脂組成物の硬化物であって、前記熱硬化性樹脂組成物の前記無機充填材の含有量は、前記熱硬化性樹脂組成物の全体に対して、55〜71vol%であり、前記無機充填材は平均粒径2〜9μmの破砕結晶質シリカと平均粒径4〜20μmの破砕溶融シリカを含み、該破砕結晶質シリカの平均粒径Xと該破砕溶融シリカの平均粒径Yとの比X/Yが0.1〜2.25であり、前記熱硬化性樹脂組成物によりアルミナセラミックをモールドし、室温まで冷却したとき応力安全率が7以上、歪安全率が10以上、許容欠陥寸法が0.1mm以上で、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が0.7〜2.5W/m・Kであることを特徴とするモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。
(ただし、応力安全率は、応力安全率(σB25℃/σ25℃)=エポキシ硬化物の曲げ強度σB25℃÷冷却拘束熱応力σ 25℃ で定義される物性値であり、歪安全率は、歪安全率(F25℃)={(エポキシ硬化物のガラス転移温度以下の熱膨張係数−真空バルブのアルミナセラミックスの膨張係数)×(エポキシ硬化物のガラス転移温度−25)}÷エポキシ硬化物の曲げ破断歪ε B25℃ で定義される物性値であり、許容欠陥寸法は、許容欠陥寸法=(エポキシ硬化物の平面歪み破壊靭性値K IC ÷エポキシ硬化物の曲げ強度σB25℃)2÷1.26÷π×1000で定義される物性値である。) - 曲げ破断歪が1.5%以上、熱伝導率が0.7W/m・K以上、破壊靭性値が2.7MPa・m1/2以上の特性を有することを特徴とする請求項1に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。
- 前記界面活性剤は、前記無機充填材の0.05〜2wt%であり、かつ前記多官能エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材と反応する界面活性剤Aと、前記多官能エポキシ樹脂及び硬化剤と反応しないが前記無機充填材と反応する界面活性剤Bであり、
前記界面活性剤Aは全界面活性剤に対して15〜75wt%であり、前記界面活性剤Bは全界面活性剤に対して25〜85wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。 - 可撓化剤としてコアシェルゴムを、前記モールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の総重量に対して0.5〜3.5wt%添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。
- 前記コアシェルゴムは、コアとシェルの比率(重量%)が40/60〜95/5であることを特徴とする請求項4に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。
- 滑材を前記破砕結晶質シリカの重量に対して0.5〜7wt%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。
- 前記滑材は粒径1μm以下の球状シリカである請求項6に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。
- 更に板状の沈降防止材を含有することを特徴とする請求項1に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の樹脂硬化物。
- 端部に固定電極が設けられる固定軸と、前記固定軸に対向して、端部に可動電極が設けられる可動軸を有する真空バルブであって、前記固定電極、固定軸、可動電極及び可動軸を収容する真空容器及び導体を、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂硬化物で被覆したことを特徴とするモールド真空バルブ。
- 巻線と該巻線の内周及び外周にそれぞれ形成された内周絶縁層及び外周絶縁層と、前記巻線の軸方向に端面に形成された端部絶縁層とを備えてなるモールドコイルにおいて、前記内周絶縁層、前記外周絶縁層、前記端部絶縁層、及び前記巻線内部の空間の少なくともいずれか一つを、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂硬化物で被覆したことを特徴とするモールドコイル。
- 一次巻線及び二次巻線を絶縁樹脂で被覆し、鉄心を装着したモールド形の計器用変成器において、該絶縁樹脂が、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂硬化物であることを特徴とする計器用変成器。
- モールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物であって、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、平均粒径2〜9μmの破砕結晶質シリカと平均粒径4〜20μmの破砕溶融シリカを含む無機充填材と、界面活性剤を含み、前記破砕結晶質シリカと破砕溶融シリカを含む充填材を熱硬化性樹脂組成物の55〜71vol%含み、前記破砕結晶質シリカと前記破砕溶融シリカの配合割合は、前者が10〜98wt%で残りが後者であり、前記破砕結晶質シリカの平均粒径Xと破砕溶融シリカの平均粒径Yの比X/Yが0.1〜2.25であることを特徴とするモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物。
- 曲げ破断歪が1.5%以上、熱伝導率が0.7W/m・K以上、破壊靭性値が2.7MPa・m1/2以上の硬化物を与えるものであることを特徴とする請求項12に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物。
- アルミナセラミックをモールド硬化し、ガラス転移温度から室温まで冷却したときの応力安全率が7以上、歪安全率が10以上、許容欠陥寸法が0.1mm以上である硬化物を与えるものであることを特徴とする請求項12に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物。(ただし、応力安全率は、応力安全率(σB25℃/σ25℃)=エポキシ硬化物の曲げ強度σB25℃÷冷却拘束熱応力σ 25℃ で定義される物性値であり、歪安全率は、歪安全率(F25℃)={(エポキシ硬化物のガラス転移温度以下の熱膨張係数−真空バルブのアルミナセラミックスの膨張係数)×(エポキシ硬化物のガラス転移温度−25)}÷エポキシ硬化物の曲げ破断歪ε B25℃ で定義される物性値であり、許容欠陥寸法は、許容欠陥寸法=(エポキシ硬化物の平面歪み破壊靭性値K IC ÷エポキシ硬化物の曲げ強度σB25℃)2÷1.26÷π×1000で定義される物性値である。)
- 可撓化剤としてコアシェルゴムを、前記モールド用高靭性高熱伝導性前記熱硬化性樹脂組成物の総重量に対して0.5〜3.5wt%添加することを特徴とする請求項12に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物。
- 前記多官能エポキシ樹脂が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールAD、アントラセンジオール、ナフタレンジオールからなる群から選ばれた少なくとも1種とエピクロルヒドリンとの反応により得られるものであり、前記無機充填材は平均粒径2〜9μmの破砕結晶質シリカと平均粒径4〜20μmの破砕溶融シリカであり、前記界面活性剤として、エポキシ樹脂、無機充填材、硬化剤と反応する界面活性剤Aと、エポキシ樹脂及び硬化剤と反応しないが、無機充填材と反応する界面活性剤Bを含み、全界面活性剤重量に対して、前記界面活性剤Aは15〜75wt%、前記界面活性剤Bは25〜85wt%であり、前記界面活性剤は無機充填材重量に対して0.05〜10wt%であることを特徴とする請求項12に記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物。
- 端部に固定電極が設けられる固定軸と、前記固定軸に対向して、端部に可動電極が設けられる可動軸を有する真空バルブであって、前記固定電極、固定軸、可動電極及び可動軸を収容する真空容器及び導体を、請求項12〜16のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物でモールドし、硬化した樹脂絶縁体を備えることを特徴とするモールド真空バルブ。
- 巻線と該巻線の内周及び外周にそれぞれ形成された内周絶縁層及び外周絶縁層と、前記巻線の軸方向に端面に形成された端部絶縁層とを備えてなるモールドコイルにおいて、前記内周絶縁層、前記外周絶縁層、前記端部絶縁層、及び前記巻線内部の空間の少なくともいずれか一つを、請求項12〜16のいずれかに記載の高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物でモールド硬化した樹脂絶縁体を備えることを特徴とするモールドコイル。
- 一次巻線及び二次巻線を絶縁樹脂で被覆し、鉄心を装着したモールド形の計器用変成器において、該絶縁樹脂が、請求項12〜16のいずれかに記載のモールド用高靭性高熱伝導性熱硬化性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする計器用変成器。
- 端部に固定電極が設けられる固定軸と、前記固定軸に対向して、端部に可動電極が設けられる可動軸を有する真空バルブであって、前記固定電極、固定軸、可動電極及び可動軸を収容する真空容器及び導体を熱硬化性樹脂組成物でモールド硬化する固体絶縁の形成方法であって、予め、(1)(a)1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂、(c)無機充填材、及び(d1)前記無機充填材、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂用酸無水物硬化剤と反応する界面活性剤Aを混合したエポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eと、(2)(b)エポキシ樹脂用酸無水物硬化剤、(c)無機充填材、(d2)多官能エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂用酸無水物硬化剤と反応しないが、無機充填材と反応する界面活性剤Bとを混合したエポキシ樹脂硬化剤系組成物Hとを、前記エポキシ樹脂主剤系樹脂組成物Eと前記エポキシ樹脂硬化剤系組成物Hを混合して請求項12〜16のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を調整し、導体を含む電気的装置の外周をモールド、硬化する固体絶縁の形成方法。
- 可撓化剤としてコアシェルゴムを前記エポキシ樹脂硬化剤系樹脂組成物Hに混合することを特徴とする請求項20に記載の固体絶縁の形成方法。
- 板状の沈降防止材を前記エポキシ樹脂硬化剤系樹脂組成物Hに混合することを特徴とする請求項20に記載の固体絶縁の形成方法。
- 滑材を前記エポキシ樹脂硬化剤系樹脂組成物Hに混合することを特徴とする請求項20に記載の固体絶縁の形成方法。
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