JP5268271B2 - 画像表示装置および画像表示方法 - Google Patents
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Description
上記に鑑み,本発明は,観察者の視線に対応し,かつ画像の歪みを低減した画像表示装置および画像表示方法を提供することを目的とする。
(第1の実施の形態)
図1は,本発明の第1実施形態に係る画像表示装置100を表すブロック図である。
画像表示装置100は,画像蓄積部11,広角変換処理部12,画像メモリ13,14,表示部15,切り替えスイッチ16a,16b,切替制御部17,基礎情報記憶部18,広角変換テーブル作成部19,眼球運動検出部21,眼球運動測定部22,視線位置導出部23を備える。
広角変換処理部12は,広角変換テーブルを保持し,この広角変換テーブルに基づき,画像蓄積部11から出力される画像に広角変換を施す。広角変換処理部12が画像メモリ13,14の記憶内容を書き替えることで,この広角変換がなされる。
画像が拡大される場合には,変換前の単一画素を変換後の複数画素に対応させることが可能となる。画像を拡大するときに,変換前後の画素が1対1だと,変換後の画素間に変換前の画素と対応しない画素が存在することになる。即ち,表示領域Ad上に変換後の画素が点状に配置され(見かけ上,画素の欠落が生じ),観察上好ましくない。
表示領域Adは,比較的大面積で略矩形状の平面領域であり,視線位置Ce(Cx,Cy),および基準視線位置Ce0(Cx0,Cy0)が配置される。なお,後述のように,表示領域Adを曲面とすることも可能である。
観察者の視点Peは,観察者の両目の中間に位置し,観察者の視野の基準となる点であり,表示領域Adから距離Dの位置に配置される。
領域A0と視点Peは,略円錐状(直円錐形状,斜円錐形状)の空間を形成する。この結果,領域A0の外形(境界)は,略円状(正確には,円錐曲線)をなす。ここでは,領域A0を視線位置Ceを中心とし半径Lthの略円状の領域として,近似することとする。
図3は,広角変換処理部12での広角変換処理前後の画像G0,G1を対応して表す模式図である。
領域A0に対応する画像の中央部分A00,A01では拡大率が低い(例えば,拡大率が1以下)。一方,領域A1に対応する画像の周辺部分A10,A11では拡大率が高い(例えば,拡大率が1より大きい)。即ち,中央部分では画像の解像度が高く,周辺部では画像が引き伸ばされている。
領域A0では,画像の拡大率は一定(例えば,1.0倍)である。これに対して,領域A1での画像の拡大率は,領域A0との境界から遠ざかるにつれて連続的に変化する。領域A0,A1の境界では,領域A0,A1の拡大率は一致する。
人間の視覚の解像度(歪の検知限)は,中心視野では高いが,周辺視野では低い。これを利用することで,簡単な画像処理で,臨場感を高めることができる。即ち,人間の視覚上重要な箇所(視野の中央部)に表示する情報を集中させる(情報の密度,即ち,解像度を高くする)ことで,高い臨場感と効率的な情報の利用とを両立できる。
ここで,表示部15の表示領域Adの中央部分での精細度の精細度を高くすることで,中央部分での解像度を良好とすることができる。
このように,表示画面の解像度より表示領域Adの解像度が高ければ,表示領域Adの中央部分を縮小すると共に,解像度を高めることができる。
広角変換テーブル作成部19は,広角変換処理部12での広角変換処理に用いられる広角変換テーブルを作成する。なお,この詳細は後述する。
視線位置導出部23は,眼球運動測定部22で測定された眼球運動から表示領域Ad上での視線位置Ce(Cx,Cy)を導出し,広角変換処理部12に出力する。この導出には,例えば,次の式(1)を利用できる。
Cx=Cx0+D*tan(θx)
Cy=Cy0+D*tan(θy) ……式(1)
画像表示装置100の動作を説明する。
図5は,画像表示装置100の動作手順の一例を表すフロー図である。
(1)視線位置の測定(ステップS11)
眼球運動検出部21からの信号に基づき,眼球運動測定部22が眼球運動を測定する。例えば,眼球の角度θx,θyが測定される。この測定結果に基づき(例えば,式(1)を用いて),視線位置Ce(Cx,Cy)が算出される。
画像蓄積部11から出力される画像データが広角変換処理部12,画像メモリ13,14に入力される。画像メモリ13,14の一方に最新の画像データが記憶され,他方に1フレーム前の画像データが記憶される。広角変換処理部12は画像メモリ13,14の一方に記憶された最新の画像データを広角変換する。なお,画像メモリ13,14の他方に記憶された1フレーム前の画像データは広角変換済みであり,表示部15で表示される。
図6,図7は,視線移動前後での広角変換処理の結果を示す模式図である。視線位置Ceの移動に追随して,領域A0(画像情報量の最も密なる領域)が移動し,観察者に高い臨場感を与えることができる。図6では,領域A0が基準視線位置Ce0に配置されている。一方,図7では,視線の移動に対応して,領域A0が基準視線位置Ce0からずれている。
本実施形態では,視線位置Ce(Cx,Cy)と領域A0が対応することから,観察者の視線の移動にかかわらず,自然な視覚情報,ひいては高い臨場感画像を得ることが可能である。
切替制御部17が切り替えスイッチ16a,16bを制御することで,画像メモリ13,14での広角変換,表示が切り替えられる。この切り替えは,画像蓄積部11からの新たな画像の出力と対応する。即ち,画像のフレームの更新と広角変換/表示の切り替えが連動することで,画像の連続的な広角変換および表示がなされる。
以下,広角変換処理の詳細を説明する。
図9は,広角変換処理テーブルの作成手順の一例を表すフロー図である。
(1)変換前の相対的表示位置と許容倍率の関係の決定(ステップS21)
図10は,視野角θと許容倍率Eの関係を表すグラフである。
許容倍率Eは,観察者が気にならない画像の拡大率の限界をいう。即ち,図10のグラフは,視野角θに対して,気にならない拡大率の限界(広角歪検知限)Eを示す許容曲線であり,この曲線より下側であれば,歪が気にならないことを示す。グラフT1,T2はそれぞれ,上下方向(垂直方向)での許容曲線を表す。グラフT3,T4はそれぞれ,左右方向(水平方向)での許容曲線を表す。
視野角30度までは,水平方向で1.1倍,垂直方向,特に上側では1.4倍までの拡大が許容できる。視野角30度を過ぎると,限界拡大率が急激に増大することも判った。
E(L)=1 (L≦Lth)
=exp(α*(L−Lth)) (L>Lth) ……式(2)
ここで,α=1.8368である。
なお,式(2)は,被験者による測定結果を最小二乗法で近似することで,求められる。
Lth〜D*tan(θth)=D*tan(30°/2) ……式(3)
拡大率が場所によって異なるので,広角変換後での視線位置Ceからの距離Lactは,距離LでE(L)を積分することで算出される。
Lact(L)=∫L=0 L=L[E(L)]dL
=L (L≦Lth)
=Lth+∫L=Lth L=L[E(L)]dL (L>Lth)
∫L=Lth L=L[E(L)]dL=(exp(α*(L−Lth))+1)/α
……式(4)
この式(4)は,変換前後での画像の距離関係を表す。
広角変換処理基礎情報を入手する。広角変換処理基礎情報を以下に示す。
・表示領域Adと観察者との距離D
距離Dの情報は,キーボード等の入力装置により入力することができる。また,距離Dを検知器により検知しても良い。超音波や赤外線を出射してから,観察者に反射されて戻る時間に基づいて,距離Dを検出することができる。
変換前後の画素の対応関係を算出する。即ち,水平,垂直方向での変換テーブルを生成する。
変換前の画素の座標P0(X0,Y0)と変換後の画素の座標P1(X1,Y1)の関係は以下の式(5)で表される。
P1−Ce=(P0−Ce)*Lact(|P0−Ce|)/|P0−Ce|
|P0−Ce|=((X0−Cx)2+(Y0−Cy)2)1/2
……式(5)
X1−Cx=(X0−Cx)*Lact(|P0−Ce|)/|P0−Ce|
Y1−Cy=(Y0−Cy)*Lact(|P0−Ce|)/|P0−Ce|
……式(6)
X1=Fx(X0,Y0,Cx,Cy)
Y1=Fy(X0,Y0,Cx,Cy) ……式(7)
本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置200につき説明する。
図11は,画像表示装置200を表すブロック図である。
画像表示装置200の視線位置導出部223は,フレームの更新タイミングに対応する視線位置を測定される視線位置から予測し,この予測値に視線位置の移動方向の距離(シフト量)を加算する。
図12は,画像表示装置200の動作手順の一例を表すフロー図である。また,図13は,画像表示装置200の動作タイミングの一例を表すタイミングチャートである。
ステップS31は,図5のステップS11と実質的に変わるところが無いので説明を省略する。
測定された視線位置(視線位置の測定値)Ceに基づき,次の表示更新時での視線位置を予測する。測定された視線位置Ceからの直線補完により,視線位置を予測できる。眼球の高速運動で知られるサッケード運動は,弾道性であり,ほぼ直線状に移動するためである。具体的には,以下の式(8)に基づき視線位置を予測できる。図13の例では,フレームの更新タイミングの中間(1/2遅れたタイミング)で,視線位置の予測値が算出される。
Cen(Cxn,Cyn)
=Ce(n-1/2)(Cx(n-1/2),Cy(n-1/2))
+(Ks+1)*(1/2)*(Ce(n-1/2)(Cx(n-1/2),Cy(n-1/2))−Ce(n-3/2)(Cx(n-3/2),Cy(n-3/2))) ……式(8)
ここで,Ks:シフト量係数
表示領域Adに表示される観察対象物が継続的に移動する(複数フレーム(タイミング)にわたり継続的に動く)場合,対象物の移動方向に視界が広がる傾向がある。このため,視線位置Ceに画像処理中心を持ってきても,視線の移動方向に広がる視空間でのひずみに知覚敏感になりがちである。このため,視線位置Ceと画像処理中心を完全に一致させると,結果として,ひずんだ空間を知覚して,臨場感が妨げられる。本実施形態では視線移動方向に対して,画像処理中心をずらすことにより,臨場感を維持させている。
式(8)によって算出された視線位置Cen(Cxn,Cyn)が設定され,広角変換処理部12によって広角変換処理がなされる。
切替制御部17が切り替えスイッチ16a,16bを動作することで,画像メモリ13,14での広角変換,表示が切り替えられる。
本発明の第3の実施形態に係る画像表示装置300につき説明する。
図14は,画像表示装置300を表すブロック図である。
画像表示装置300の視線位置導出部323はフレームの更新タイミングでの視線位置を予測する。切替制御部319では,視線位置導出の時間間隔をフレーム切替の時間間隔の1/2以下とする。
第2の実施の形態では,フレームレートと同等のレートで視線位置が測定されている。設定する視線位置の精度を高めるために,視線位置の測定回数を増やすことが有用である。このとき,画像更新のタイミングを勘案すると,画像のフレームレートに同調したタイミングで視線位置を測定することが有効である。
Cen(Cxn,Cyn)
=Ce(n-1/2)(Cx(n-1/2),Cy(n-1/2))
+(Ce(n-1/2)(Cx(n-1/2),Cy(n-1/2))−Ce(n-1)(Cx(n-1),Cy(n-1)))
……式(9)
本発明の第4の実施形態に係る画像表示装置400につき説明する。
図16は,画像表示装置400を表すブロック図である。
画像表示装置400の視線位置導出部423はフレームの更新タイミングでの視線位置を予測する。切替制御部419は,視線位置の予測値と測定値(の差異)に基づき,表示の切り替えを追加する。
図17は,画像表示装置400の動作手順の一例を表すフロー図である。また,図18は,画像表示装置400の動作時のタイミングの一例を表すタイミングチャートである。
(2)視線位置の予測(ステップS42)
(3)広角変換処理(ステップS43)
(4)表示の切り替え(ステップS44)
本実施形態では,第3の実施形態と同様に,フレームタイミングの倍で視線測定のタイミングを与えた(フレームの更新時と,フレームの更新中央時の双方のタイミングで,視線位置が測定される)。また,過去3点での視線位置の測定値からの直線近似で次の視線位置を予測した。その他の点では,ステップS41〜S43は,図11のステップS31〜S33と実質的に変わるところが無いので説明を省略する。
(6)視線位置の予測値と測定値の比較(ステップS46)
ステップS45〜S46で,予測された視線位置に対応するタイミングでの視線位置が測定され,予測値と測定値が比較される。
図18のフレームタイミングf=n,n+1/2に示すように,激しい眼球運動の場合,視線位置の予測値と測定値のずれが大きくなる場合がある。ステップS53において,予測値と測定値を比較し,その差が所定値より大きいか否かを判断する。追加の表示の切り替えの要否を判断するためである。
(8)追加の表示の切り替え(ステップS48)
予測値と測定値の差が所定値より大きい場合,追加の広角変換処理および表示の切り替えを実行する。例えば,図18に示すように,n番目,(n+1)番目のフレームの間に,(n+1/2)番目のフレームを追加する。なお,追加されるフレームは,n番目のフレームのタイミングで測定された視線位置で広角変換処理されたものである。
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では,表示領域Adは平面であるとした。これに対して,表示領域Adを曲面とすることも可能である。この場合,広角変換は式(6)に準ずる式が用いられる。
Claims (9)
- 画像を表示する表示部と,
前記表示部上での観察者の視線位置を導出する導出部と,
前記導出される視線位置を囲み,視野角が30°より小さく,拡大率が一定の第1の領域と,この第1の領域を囲み,視野角が30°より大きく,「exp(α*(L−Lth))」に従い(L:視線位置からの距離,Lth:視野角30°での視線位置からの距離,α:定数)拡大率が連続して増加する第2の領域と,に対応して,画像データを変換する変換部と,
前記変換された画像データの前記表示部への表示を制御する制御部と,
を具備することを特徴とする画像表示装置。 - 前記制御部が,前記変換された画像データを所定のタイミングで切り替えて,前記表示部に表示させ,
前記導出部が,前記所定のタイミングに対応する視線位置を測定される視線位置から予測する,
ことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 - 前記導出部が,前記予測される視線位置に,前記視線位置の移動方向の距離を加算する
ことを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。 - 前記制御部が,前記予測される視線位置と前記測定される視線位置の差異に基づいて,表示の切り替えを追加する,
ことを特徴とする請求項2記載の画像表示装置。 - 前記制御部が第1の周期で表示を切り替え,
前記導出部が前記第1の周期の1/2以下の第2の周期で視線位置を導出する,
ことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 - 前記変換される画像データを記憶する複数の記憶部と,
前記表示部での表示に用いる前記複数の記憶部を切り替える切替部と,をさらに具備し,
前記制御部が,前記切替部の切り替えを制御する
ことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 - 前記観察者の眼球運動を測定する運動測定部をさらに具備し,
前記導出部が,前記眼球運動の測定結果に基づき,視線位置を導出する
ことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 - 前記第2の領域での拡大率が,前記第1の領域での拡大率より大きい,
ことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。 - 表示部上での観察者の視線位置を導出するステップと,
前記導出される視線位置を囲み,視野角が30より小さく,拡大率が一定の第1の領域と,この第1の領域を囲み,視野角が30°より大きく,「exp(α*(L−Lth))」に従い(L:視線位置からの距離,Lth:視野角30°での視線位置からの距離,α:定数)拡大率が連続して増加する第2の領域と,に対応して,画像データを変換するステップと,
前記変換された画像データの前記表示部への表示を制御するステップと,
を具備することを特徴とする画像表示方法。
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