JP5267985B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
本発明の表面被覆切削工具は、基材とその上に形成された被覆膜とを備えたものである。このような基本的構成を有する本発明の表面被覆切削工具は、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップ等として極めて有用に用いることができる。
本発明の表面被覆切削工具の基材としては、このような切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。このような基材として超硬合金を使用する場合、そのような超硬合金は、組織中に遊離炭素やη相と呼ばれる異常相を含んでいても本発明の効果は示される。
本発明の被覆膜は、MoNy(ただし式中yは0.01≦y≦0.2)で表されるMoとNとの固溶体、Mo2N、MoNまたはこれらの混合体からなるA層と、Cr1-xAlxN(ただし式中xは0.3≦x≦0.8)からなるB層とが交互に各々2層以上積層されてなり、該A層の層厚λaと該B層の層厚λbとは、それぞれ2nm以上1000nm以下であり、その層厚比λa/λbは、基材側から被覆膜の最表面側にかけて増大し、かつ基材に最も近いA層とB層の層厚比λa/λbは0.1以上0.7以下であり、最表面側に最も近いA層とB層の層厚比λa/λbは1.5以上10以下であることを特徴としている。
<A層>
被覆膜を構成するA層は、MoNy(ただし式中yは0.01≦y≦0.2)で表されるMoとNとの固溶体、Mo2N、MoNまたはこれらの混合体であることを特徴とする。このようなA層は潤滑性、耐溶着性に優れるため、被削材の加工品位の向上や、高速、ドライ加工時の刃先温度低下に効果的である。なお、上記においてMoNy(ただし式中yは0.01≦y≦0.2)で表されるMoとNとの固溶体とは、置換型固溶体または侵入型固溶体のいずれであってもよい。また、Mo2NおよびMoNとは、それぞれMoとNとで構成される結晶を示し、MoとNの比は2:1および1:1の場合のみに限られるものではなく、これらの原子比から多少外れた比率のものであってもよいし、酸素等の不純物元素をさらに含むものであってもよく、従来公知の原子比を全て含むものであり、両者の原子比は特に限定されない。
上記のA層とともに被覆膜を構成するB層は、Cr1-xAlxN(ただし式中xは0.3≦x≦0.8)であることを特徴とする。このようなB層は耐摩耗性と耐酸化性と靭性とのバランスに優れるが、さらなる高速、ドライ加工へ対応するためにはそれ単体では限界があるため、本発明においては上記のA層と積層されるものである。ここで、上記xは0.5≦x≦0.75であることがさらに好ましく、この場合耐摩耗性と耐酸化性と靭性とのバランスが一層良好なものとなる。上記式中、xが0.3未満では、耐摩耗性が著しく低下する結果となり、xが0.8を超えても耐摩耗性が著しく低下する結果となる。
本発明の被覆膜は、上記のA層と上記のB層とが交互に各々2層以上積層されていることを基本とする。これは、潤滑性、耐溶着性に優れるA層と、耐摩耗性と耐酸化性と靭性とに優れるB層とを交互に積層させることにより、これらの両層が有するそれぞれの特性を享受することを期待したものである。しかし、これら両層を均一な層厚で単純に積層させただけでは両層が有する特性を両立させることはできず、特に耐摩耗性が不十分なものとなる。
本発明の表面被覆切削工具は、上記基材と上記被覆膜との間にさらに中間層を備え、該中間層は、0.1μm以上1μm以下の層厚を有し、かつTiN、CrN、Ti、およびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種で構成されることが好ましい。
本発明の被覆膜は、物理的蒸着法(PVD法)により形成されることが好ましい。これは、本発明の被覆膜を基材表面に成膜するためには結晶性の高い化合物を形成することができる成膜プロセスであることが不可欠であり、種々の成膜方法を検討した結果、物理的蒸着法を用いることが最適であることが見出されたからである。物理的蒸着法には、たとえばスパッタリング法、イオンプレーティング法などがあるが、特に原料元素のイオン率が高いカソードアークイオンプレーティング法もしくはスパッタリング法を用いると、被覆膜を形成する前に基材表面に対して金属またはガスイオンボンバードメント処理が可能となるため、被覆膜と基材の密着性が格段に向上するので好ましい。
表面被覆エンドミルを用いて行なった。すなわち、エンドミル切削条件は基材として6枚刃、外径10mmの超硬合金製エンドミルを用い、被削材はSKD11(HRC61)とし、側面切削をダウンカットで切削速度=200m/min、送り量=0.025mm/刃、切込み量ap=10mm、ae=0.6mm、エアーブローで行なった。切削長50m時点での切れ刃外周の摩耗幅を測定した。摩耗幅が少ない程、耐摩耗性に優れていることを示している。
表面被覆ドリルを用いて行なった。すなわち、ドリル切削条件は基材として外径8mmの超硬合金製ドリルを用い、被削材はS50Cとし、穴加工を切削速度=80m/min、送り量=0.25mm/rev、穴深さ30mmの貫通穴、切削油なしで行なった。切削長30m時点での先端マージン部の摩耗幅を測定した。摩耗幅が少ない程、耐摩耗性に優れていることを示している。
表面被覆旋削加工用刃先交換型切削チップを用いて行なった。旋削条件は基材としてP20相当超硬合金製旋削加工用刃先交換型切削チップ(形状:CNMG120408N−GU)を用い、被削材はSCM435(直径350mm)とし、切削速度=300m/min、送り量=0.25mm/rev、切込み量=1.5mm、水溶性切削油で行なった。切削時間15分時点での逃げ面の摩耗幅を測定した。摩耗幅が少ない程、耐摩耗性に優れていることを示している。
Claims (5)
- 基材とその上に形成された被覆膜とを備え、
前記被覆膜は、MoNy(ただし式中yは0.01≦y≦0.2)で表されるMoとNとの固溶体、Mo2N、MoNまたはこれらの混合体からなるA層と、Cr1-xAlxN(ただし式中xは0.3≦x≦0.8)からなるB層とが交互に各々2層以上積層されてなり、
前記A層の層厚λaと前記B層の層厚λbとは、それぞれ2nm以上1000nm以下であり、
その層厚比λa/λbは、基材側から被覆膜の最表面側にかけて増大し、かつ基材に最も近いA層とB層の層厚比λa/λbは0.1以上0.7以下であり、最表面側に最も近いA層とB層の層厚比λa/λbは4.0以上10以下であることを特徴とする表面被覆切削工具。 - 前記基材と前記被覆膜との間に、さらに中間層を備え、
前記中間層は、0.1μm以上1μm以下の層厚を有し、かつTiN、CrN、Ti、およびCrからなる群より選ばれる少なくとも1種で構成される、請求項1記載の表面被覆切削工具。 - 前記被覆膜は、その全体の膜厚が0.5μm以上20μm以下である、請求項1または2記載の表面被覆切削工具。
- 前記被覆膜は、物理的蒸着法により形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
- 前記基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかにより構成される、請求項1〜4のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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