JP5265808B2 - 車両の旋回制御装置 - Google Patents
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Description
この発明は、制動を利用して車両の旋回を制御する車両の旋回制御装置に関する。
本願は、2010年3月4日に、日本に出願された特願2010−047833号、2010年12月9日に、日本に出願された特願2010−274951号及び2010年12月9日に、日本に出願された特願2010−274952号に基づき優先権を主張し、それらの内容をここに援用する。
本願は、2010年3月4日に、日本に出願された特願2010−047833号、2010年12月9日に、日本に出願された特願2010−274951号及び2010年12月9日に、日本に出願された特願2010−274952号に基づき優先権を主張し、それらの内容をここに援用する。
この種の旋回制御装置には、車両の左右方向の加速度(以下、横加速度という)と車速に基づいて算出される横G規範ヨーレートと車両の実ヨーレートとの偏差を0に近づけるように、特定の車輪を制動制御することにより、車両挙動の安定化を図るものが知られている。
また、別の旋回制御装置として、制動時に、車両の旋回状態(例えば、操舵角や操舵角の変化率)に応じて、前輪の左右の制動力を異ならせるとともに後輪の左右の制動力を異ならせるように制御することにより、ヨーモーメントをアシストし、回頭性の向上を図るものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、操舵角速度または操舵角加速度に基づき算出した第1ヨーモーメントと、操舵角と車速とヨーレートに基づいて算出した第2ヨーモーメントと、を加算して修正ヨーモーメントを算出し、この修正ヨーモーメントを発生するように前輪の左右の制動力を異ならせるとともに後輪の左右の制動力を異ならせるように制御して、回頭性の向上を図るものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前記特許文献1に記載の旋回制御装置では、制動時の旋回時に常にヨーモーメントをアシストするので、ヨーモーメントが過大となって安定性が低減する場合が考えられ、現実的ではない。
また、前記特許文献2に記載の旋回制御装置は、急旋回時(操舵角速度や操舵角加速度が大きいとき)に前記第1ヨーモーメントが大きく反映されるようになっており、このときには回頭性が向上するが、通常旋回時には効果的でない。そのため、通常旋回時に回頭性を向上することができる旋回制御装置が切望されている。
そこで、この発明は、通常旋回時の回頭性を向上させることができる車両の旋回制御装置を提供することを目的とする。
この発明に係る車両の旋回制御装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
(1)本発明に係る一態様は、車両の走行状態に基づいて同車両の左右車輪に制動力を付与することにより同車両の車体にヨーモーメントを発生可能な車両の旋回制御装置であって、前記車両の操舵量を検知する操舵量検知手段と;前記車両の車速を検知または推定する車速検知手段と;少なくとも前記操舵量検知手段からの検知信号に基づいてフィードフォワード制御量を算出するフィードフォワード制御量演算部と;前記フィードフォワード制御量演算部により算出された前記フィードフォワード制御量と増加特性とに基づいて制動力制御量を決定する制動力制御量演算部と;前記制動力制御量演算部により決定された前記制動力制御量に基づいて前記制動力を制御する制動制御手段と;前記操舵量検知手段からの前記検知信号に基づいて操舵方向が切り増し方向と切り戻し方向のいずれの方向かを判別する操舵方向判別手段と;を備え、前記制動力制御量演算部が、前記操舵方向判別手段の判別結果に応じて前記増加特性を変更することで、前記制動力制御量を決定する。
(1)本発明に係る一態様は、車両の走行状態に基づいて同車両の左右車輪に制動力を付与することにより同車両の車体にヨーモーメントを発生可能な車両の旋回制御装置であって、前記車両の操舵量を検知する操舵量検知手段と;前記車両の車速を検知または推定する車速検知手段と;少なくとも前記操舵量検知手段からの検知信号に基づいてフィードフォワード制御量を算出するフィードフォワード制御量演算部と;前記フィードフォワード制御量演算部により算出された前記フィードフォワード制御量と増加特性とに基づいて制動力制御量を決定する制動力制御量演算部と;前記制動力制御量演算部により決定された前記制動力制御量に基づいて前記制動力を制御する制動制御手段と;前記操舵量検知手段からの前記検知信号に基づいて操舵方向が切り増し方向と切り戻し方向のいずれの方向かを判別する操舵方向判別手段と;を備え、前記制動力制御量演算部が、前記操舵方向判別手段の判別結果に応じて前記増加特性を変更することで、前記制動力制御量を決定する。
(2)上記(1)に記載の態様において、前記車速が所定車速以上の高車速域にて、前記操舵方向判別手段が操舵方向を切り増し方向であると判別した場合に、前記制動力制御量演算部が、前記制動力制御量の増加量を、前記操舵方向判別手段が操舵方向を切り戻し方向であると判別した場合に比べて小さくしてもよい。
(3)上記(1)に記載の態様において、前記車両の左右方向の加速度を検知する横加速度検知手段と;前記車両の実ヨーレートを検知するヨーレート検知手段と;前記横加速度検知手段からの検知信号および前記車速検知手段からの検知信号に基づいて第1規範ヨーレートを算出する第1規範ヨーレート演算部と;前記操舵量検知手段からの検知信号および前記車速検知手段からの検知信号に基づいて、前記第1規範ヨーレートを増加方向に補正して第2規範ヨーレートを算出する補正部と;前記第2規範ヨーレートと、前記ヨーレート検知手段により検知された実ヨーレートとのヨーレート偏差を算出し、このヨーレート偏差を打ち消す方向へ第2の制動力制御量を決定する第2制動力制御量演算部と;をさらに備え、前記制動制御手段が、前記制動力制御量演算部により決定された前記制動力制御量と、前記第2制動力制御量演算部により決定された前記第2の制動力制御量とを加算または乗算することにより得られる総制動力制御量に基づいて、前記制動力を制御してもよい。
(4)上記(1)に記載の態様において、前記補正部は、前記操舵量検知手段からの検知信号および前記車速検知手段からの検知信号に基づいて推定される舵角ヨーレート基準値と、前記舵角ヨーレート基準値に対応して決定されてかつこの舵角ヨーレート基準値に対して時間遅れを有する遅れ舵角ヨーレート値とのいずれか一方を選択し、選択された前記舵角ヨーレート基準値または前記遅れ舵角ヨーレート値に基づいて、前記第1規範ヨーレートを増加方向に補正して前記第2規範ヨーレートを算出してもよい。
(5)上記(1)に記載の態様において、前記車両におけるアクセル開度またはアクセルペダル操作量に基づいて要求トルクの大きさを検知する要求トルク検知手段をさらに備え;前記補正部が、前記要求トルク検知手段からの検知信号が所定値よりも小さいときに、前記車速が小さいほど前記第2規範ヨーレートが大きくなるように補正量を決定してもよい。
(6)上記(1)に記載の態様において、前記補正部が、前記操舵量検知手段からの検知信号に基づいて算出される前記車両の転舵速度または転舵量が大きいほど前記第2規範ヨーレートが大きくなるように補正量を決定してもよい。
(7)上記(1)に記載の態様において、前記車両が所定の運転状態にあるときに前記制動力制御量演算部が決定した前記制動力制御量を無効にする無効化手段をさらに備えてもよい。
上記(1)の態様によれば、フィードフォワード制御量と増加特性に基づいて制動力制御量を決定する際に、操舵方向が切り増し方向の場合と切り戻し方向の場合で増加特性を変更して制動力制御量を決定することができる。よって、操舵の応答性および回頭性の向上とヨーモーメントの収束性の向上とを両立することができる。
上記(2)の場合は、高車速域において、操舵方向が切り増しのときには過剰な操舵介入を抑制して安定性を確保するとともに収束性の向上を図ることができ、一方、切り戻しのときには応答性を向上することができる。
上記(2)の場合は、高車速域において、操舵方向が切り増しのときには過剰な操舵介入を抑制して安定性を確保するとともに収束性の向上を図ることができ、一方、切り戻しのときには応答性を向上することができる。
上記(3)の場合は、フィードフォワード制御系の制動力制御量とフィードバック制御系の第2の制動力制御量とを合わせて得られる総制動力制御量に基づいて前記制動力を制御するので、操舵の応答性が向上するとともに、追従性が向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
上記(4)の場合は、ステアリングホイールを切り増ししているときと切り戻ししているときとで、操舵の応答性を変えることができる。
上記(5)の場合は、例えば、低中車速のタックイン時の回頭性が向上する。
上記(6)の場合は、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
上記(4)の場合は、ステアリングホイールを切り増ししているときと切り戻ししているときとで、操舵の応答性を変えることができる。
上記(5)の場合は、例えば、低中車速のタックイン時の回頭性が向上する。
上記(6)の場合は、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
上記(7)の場合は、フィードフォワード系の制動力制御量を加味すると車両挙動の安定性を低下させる虞のある特定の条件下、例えば、高車速時や高操舵速度時やABS作動時などにおいて、フィードフォワード系の制動力制御量を無効とすることができ、車両挙動の安定性を維持することができる。
<第1実施形態>
この発明に係る第1実施形態における車両の旋回制御装置の実施例を説明する前に、その参考例を図1から図11の図面を参照して説明する。
<参考例1>
初めに、この発明に係る第1実施形態における車両の旋回制御装置の参考例1を図1から図9の図面を参照して説明する。
図1は、参考例1の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。
車両の旋回制御装置1は、ブレーキ制御部2と、ブレーキ装置10とを備えている。
ブレーキ制御部2は車両の走行状態に応じて前後左右輪の制動力制御量を決定し、ブレーキ装置10は、ブレーキ制御部2によって決定された各輪の制動力制御量に基づいて、各輪の制動力を制御する。
この発明に係る第1実施形態における車両の旋回制御装置の実施例を説明する前に、その参考例を図1から図11の図面を参照して説明する。
<参考例1>
初めに、この発明に係る第1実施形態における車両の旋回制御装置の参考例1を図1から図9の図面を参照して説明する。
図1は、参考例1の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。
車両の旋回制御装置1は、ブレーキ制御部2と、ブレーキ装置10とを備えている。
ブレーキ制御部2は車両の走行状態に応じて前後左右輪の制動力制御量を決定し、ブレーキ装置10は、ブレーキ制御部2によって決定された各輪の制動力制御量に基づいて、各輪の制動力を制御する。
ブレーキ制御部2には、車両のステアリングホイールの操舵角(操舵量)を検知する操舵角センサ3、車速を検知する車速センサ4、車両の左右方向(車幅方向)の加速度すなわち横加速度(以下、横Gと略す)を検知する横加速度センサ(以下、横Gセンサと略す)5、車両のヨーレートを検知するヨーレートセンサ6、車両のアクセル開度を検知するアクセル開度センサ7から、それぞれ検出値に応じた検知信号が入力され、また、車両の車輪と路面との摩擦係数を算出するμ算出部8から、算出した摩擦係数に応じた電気信号が入力される。
ブレーキ制御部2は、舵角規範ヨーレート演算部11、定常規範ヨーレート演算部12、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、フィードバック制動力制御量演算部(以下、FB制動力制御量演算部と略す)19と、を備えている。
舵角規範ヨーレート演算部11は、操舵角センサ3により検知された操舵角と、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、舵角規範ヨーレートを推定算出する。具体的には、図2に示すように、舵角規範ヨーレートゲインテーブル22を参照して車速に応じた舵角規範ヨーレートゲインKyを求め、操舵角センサ3により検知された操舵角に前記舵角規範ヨーレートゲインKyを乗じて算出する。なお、舵角規範ヨーレートゲインテーブル22は、横軸が車速、縦軸が舵角規範ヨーレートゲインKyであり、タイヤ特性を加味して実験的に得ることができる。この参考例1における舵角規範ヨーレートゲインテーブル22は非線形であり、車速が大きくなるほど舵角規範ヨーレートゲインKyは大きくなっていき、所定値に収束していく。運転者が車両を積極的に曲げたいときには操舵角を大きくするので、舵角規範ヨーレートは大きくなる。つまり、舵角に基づいて算出される舵角規範ヨーレートが大きいときは、車両を曲げたいという運転者の操舵意志が大きいと推定することができる。
定常規範ヨーレート演算部12は、定常規範ヨーレートゲインテーブル21を参照して車速に応じた定常規範ヨーレートゲインKvを算出し、舵角規範ヨーレートに定常規範ヨーレートゲインKvを乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出する。この参考例1における定常規範ヨーレートゲインテーブル21は、横軸が車速、縦軸が定常規範ヨーレートゲインKvであり、車速が大きくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvは1に収束し、車速が小さくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvが大きくなるように設定されている。この参考例1において、定常規範ヨーレートω_highは補正基準値を構成し、定常規範ヨーレートω_highは車速が低いほど高ゲインとなる。
定常規範ヨーレート演算部12は、定常規範ヨーレートゲインテーブル21を参照して車速に応じた定常規範ヨーレートゲインKvを算出し、舵角規範ヨーレートに定常規範ヨーレートゲインKvを乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出する。この参考例1における定常規範ヨーレートゲインテーブル21は、横軸が車速、縦軸が定常規範ヨーレートゲインKvであり、車速が大きくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvは1に収束し、車速が小さくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvが大きくなるように設定されている。この参考例1において、定常規範ヨーレートω_highは補正基準値を構成し、定常規範ヨーレートω_highは車速が低いほど高ゲインとなる。
横G規範ヨーレート演算部14は、横Gセンサ5により検知された横Gと、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、横G規範ヨーレートω_lowを算出する。横G規範ヨーレートω_lowは、現在の横Gで発生することができるヨーレートであり、例えばω_low=Gy/Vで表される。ここでGyは横Gセンサ5により検知された横加速度検出値、Vは車速センサ4により検知された車体速である。
補正部15は、定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。補正部15における限界規範ヨーレートω_TARの算出方法については後で詳述する。
限界ヨーレート偏差演算部16は、限界規範ヨーレートω_TARからヨーレートセンサ6により検知されたヨーレート(実ヨーレート)を減算し、限界ヨーレート偏差Δωfbを算出する。
FB制動力制御量演算部19は、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてフィードバック制動力制御量(FB制動力制御量と略す)を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
補正部15は、定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。補正部15における限界規範ヨーレートω_TARの算出方法については後で詳述する。
限界ヨーレート偏差演算部16は、限界規範ヨーレートω_TARからヨーレートセンサ6により検知されたヨーレート(実ヨーレート)を減算し、限界ヨーレート偏差Δωfbを算出する。
FB制動力制御量演算部19は、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてフィードバック制動力制御量(FB制動力制御量と略す)を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
次に、図3から図8の図面を参照して、補正部15における限界規範ヨーレートω_TARの算出方法を説明する。
図3に示すように、補正部15は、配分係数HB1演算部31、基準限界規範ヨーレート演算部32、補正係数HS1演算部33、補正係数HS2演算部34、補正係数HS3演算部35を備えている。
補正部15では、基準限界規範ヨーレート演算部32において、配分係数HB1演算部31で算出した配分係数HB1と定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて基準限界規範ヨーレートω_t1が算出される。さらに、この基準限界規範ヨーレートω_t1に、補正係数HS1演算部33および補正係数HS2演算部34で算出した補正係数HS1,HS2を乗じ、さらに補正係数HS3演算部35で算出した補正係数HS3を加算することにより、限界規範ヨーレートω_TARが算出される(下式(1)参照)。
ω_TAR=ω_t1×HS1×HS2+HS3 ・・・ 式(1)
この限界規範ヨーレートω_TARは、フィードバック制御におけるヨーレート目標値となる。
図3に示すように、補正部15は、配分係数HB1演算部31、基準限界規範ヨーレート演算部32、補正係数HS1演算部33、補正係数HS2演算部34、補正係数HS3演算部35を備えている。
補正部15では、基準限界規範ヨーレート演算部32において、配分係数HB1演算部31で算出した配分係数HB1と定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて基準限界規範ヨーレートω_t1が算出される。さらに、この基準限界規範ヨーレートω_t1に、補正係数HS1演算部33および補正係数HS2演算部34で算出した補正係数HS1,HS2を乗じ、さらに補正係数HS3演算部35で算出した補正係数HS3を加算することにより、限界規範ヨーレートω_TARが算出される(下式(1)参照)。
ω_TAR=ω_t1×HS1×HS2+HS3 ・・・ 式(1)
この限界規範ヨーレートω_TARは、フィードバック制御におけるヨーレート目標値となる。
詳述すると、基準限界規範ヨーレート演算部32は、従来の操舵アシストブレーキ制御におけるフィードバック制御において目標値としていた横G規範ヨーレートω_lowを、操舵角に基づいて算出された定常規範ヨーレートω_highに関連させて、増加する方向に補正して基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する。これにより、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御の両立を図っている。
ここで、横G規範ヨーレートの増加補正について図4を参照して説明する。図4は、直進状態からステアリングホイールを回転し、所定の操舵角に保持するまでの舵角規範ヨーレートと横G規範ヨーレートの時間的変化を示している。このように、通常、舵角規範ヨーレートは横G規範ヨーレートよりも大きい。そこで、横G規範ヨーレートを増加補正する方法として、舵角規範ヨーレートに近づけるように補正することとし、舵角規範ヨーレートにどの程度近づけるかを走行状態に応じて調整し、その調整手段に横G規範ヨーレートと舵角規範ヨーレートの配分係数という概念を採用した。
そして、この参考例1では、これをさらに発展させて、横G規範ヨーレートを増加補正する方法として、舵角規範ヨーレートに基づいて算出された定常規範ヨーレートω_highに近づけるように補正することとした。
詳述すると、この参考例1では、配分係数HB1演算部31により算出された配分係数HB1と、横G規範ヨーレートω_lowと、定常規範ヨーレートω_highに基づいて、式(2)から基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する(下式(2)参照)。
ω_t1=HB1×ω_high+(1−HB1)×ω_low ・・・ 式(2)
ここで、配分係数HB1は0から1の数値であり、HB1=0の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は横G規範ヨーレートω_lowとなり、HB1=1の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は定常規範ヨーレートω_highとなる。
詳述すると、この参考例1では、配分係数HB1演算部31により算出された配分係数HB1と、横G規範ヨーレートω_lowと、定常規範ヨーレートω_highに基づいて、式(2)から基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する(下式(2)参照)。
ω_t1=HB1×ω_high+(1−HB1)×ω_low ・・・ 式(2)
ここで、配分係数HB1は0から1の数値であり、HB1=0の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は横G規範ヨーレートω_lowとなり、HB1=1の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は定常規範ヨーレートω_highとなる。
次に、図5を参照して、配分係数HB1演算部31において算出される配分係数HB1について説明する。
配分係数HB1は、車速に応じて算出される配分係数HB1aと、ヨーレート変化率に応じて算出される配分係数HB1bと、ヨーレート偏差積分に応じて算出される配分係数HB1cと、転舵速度に応じて算出される配分係数HB1dとを乗算して算出される(下式(3)参照)。
HB1=HB1a×HB1b×HB1c×HB1d ・・・ 式(3)
各配分係数HB1a,HB1b,HB1c,HB1dは、それぞれ図5に示す配分係数テーブル40,41,42,43を参照して算出される。この参考例1における各配分係数テーブル40,41,42,43を説明する。
配分係数HB1は、車速に応じて算出される配分係数HB1aと、ヨーレート変化率に応じて算出される配分係数HB1bと、ヨーレート偏差積分に応じて算出される配分係数HB1cと、転舵速度に応じて算出される配分係数HB1dとを乗算して算出される(下式(3)参照)。
HB1=HB1a×HB1b×HB1c×HB1d ・・・ 式(3)
各配分係数HB1a,HB1b,HB1c,HB1dは、それぞれ図5に示す配分係数テーブル40,41,42,43を参照して算出される。この参考例1における各配分係数テーブル40,41,42,43を説明する。
配分係数HB1aを算出する配分係数テーブル40において、横軸は車速であり、縦軸は配分係数HB1aである。この配分係数テーブル40は、低車速域ではHB1a=1で一定で、車速が所定値以上になると車速が高くなるにしたがって配分係数HB1aが徐々に小さくなっていき、高速域ではHB1a=0で一定となる。これにより、車速が低いときには、FB制動力制御量演算部19において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくして、回頭性および追従性を向上させ、車速が高いときには、FB制動力制御量演算部19において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにして、車両挙動の安定性を確保することができる。
配分係数HB1bを算出する配分係数テーブル41において、横軸はヨーレート変化率であり、縦軸は配分係数HB1bである。この配分係数テーブル41は、ヨーレート変化率が小さい領域ではHB1b=1で一定で、ヨーレート変化率が所定値以上になるとヨーレート変化率が大きくなるにしたがって配分係数HB1bが徐々に小さくなっていき、ヨーレート変化率が大きい領域ではHB1b=0で一定となる。ここで、ヨーレート変化率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの時間的変化であり、実ヨーレートを時間微分することにより算出することができる。例えば、激しいスラローム走行をしているときや、車両挙動が不安定であるときなどには、大きなヨーレート変化率が現れる。
このようなときには、FB制動力制御量演算部19において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくすべきではないので、ヨーレート変化率が大きいときには配分係数HB1bを小さい値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
このようなときには、FB制動力制御量演算部19において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくすべきではないので、ヨーレート変化率が大きいときには配分係数HB1bを小さい値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
配分係数HB1cを算出する配分係数テーブル42において、横軸はヨーレート偏差積分値であり、縦軸は配分係数HB1cである。この配分係数テーブル42は、ヨーレート偏差積分値が小さい領域ではHB1c=1で一定で、ヨーレート偏差積分値が所定値以上になるとヨーレート偏差積分値が大きくなるにしたがって配分係数HB1cが徐々に小さくなっていき、ヨーレート偏差積分値が大きい領域ではHB1c=0で一定となる。ここで、ヨーレート偏差積分値とは、限界規範ヨーレートとヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートとの偏差すなわち限界ヨーレート偏差Δωfbを操舵を開始したときから積算した値である。例えば、限界ヨーレート偏差Δωfbが小さくてもその状態が長時間続いた場合にはヨーレート偏差積分値が大きくなる。このようなときは、ゆっくりではあるが徐々に車がスピン状態になっている可能性があるので、FB制動力制御量演算部19において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくすべきではない。そこで、ヨーレート偏差積分値が大きいときには配分係数HB1cを小さい値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
配分係数HB1dを算出する配分係数テーブル43において、横軸は転舵速度であり、縦軸は配分係数HB1dである。
この配分係数テーブル43は、転舵速度が大きいほど配分係数HB1dが大きくなり、且つ、転舵速度が正の場合には転舵速度が負の場合よりも配分係数HB1dが大きくなるように設定されている。ここで、転舵速度は操舵角センサ3で検知される操舵角の時間変化量と舵角に基づき決定される値であり、操舵角を時間微分して舵角と比較することにより算出することができる。転舵速度が正の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で同方向に向けた時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)に向けて回転操作している状態で同方向への時間変化量が生じているときであり、転舵速度が負の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で中立位置に向く方向に時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置に戻す方向に回転操作している状態で中立位置から離間する方向に時間変化量が生じているときである。
この配分係数テーブル43は、転舵速度が大きいほど配分係数HB1dが大きくなり、且つ、転舵速度が正の場合には転舵速度が負の場合よりも配分係数HB1dが大きくなるように設定されている。ここで、転舵速度は操舵角センサ3で検知される操舵角の時間変化量と舵角に基づき決定される値であり、操舵角を時間微分して舵角と比較することにより算出することができる。転舵速度が正の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で同方向に向けた時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)に向けて回転操作している状態で同方向への時間変化量が生じているときであり、転舵速度が負の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で中立位置に向く方向に時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置に戻す方向に回転操作している状態で中立位置から離間する方向に時間変化量が生じているときである。
転舵速度が正の場合は、運転者が車両を大きく曲げたいという操作意志が大きいと推定することができるので、転舵速度が大きくなるほど配分係数HB1dを大きい値にして(最大値はHB1d=1で一定)、限界規範ヨーレートω_TARが大きくなるようにする。これにより、操舵の応答性を向上させる。一方、転舵速度が負の場合は、運転者が操作を収束させたい状態と推定することができるので、転舵速度の絶対値が大きくなるほど配分係数HB1dを小さい値にして(最小値はHB1d=0で一定)、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
これにより、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
なお、配分係数HB1dは転舵速度に代えて転舵角(転舵量)に基づいて算出してもよい。転舵角が大きいほど、運転者が車両を積極的に曲げたいという操作意志が大きいと推定することができるからである。この場合の、転舵角は操舵角と同義である。
これにより、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
なお、配分係数HB1dは転舵速度に代えて転舵角(転舵量)に基づいて算出してもよい。転舵角が大きいほど、運転者が車両を積極的に曲げたいという操作意志が大きいと推定することができるからである。この場合の、転舵角は操舵角と同義である。
次に、図6を参照して、補正係数HS1演算部33において算出される補正係数HS1について説明する。
この補正係数HS1は、運転者が車両を前荷重にしてハンドルを切ることにより車両を曲げる操作を行うときなどを想定した補正係数である。
図6に示すように、補正係数HS1は、操舵速度に応じて算出される補正係数HS1aと、車両の前荷重に応じて算出される補正係数HS1bとを乗算して算出される(下式(4)参照)。
HS1=HS1a×HS1b ・・・ 式(4)
車両の前荷重とは車両前方への荷重移動量であり、例えば、車両の前後方向の加速度を検知する図示しない前後加速度センサに基づいて推定することができる。この場合、前後加速度センサは、前後方向への荷重移動量を推定する荷重移動量推定手段と言うことができる。
この補正係数HS1は、運転者が車両を前荷重にしてハンドルを切ることにより車両を曲げる操作を行うときなどを想定した補正係数である。
図6に示すように、補正係数HS1は、操舵速度に応じて算出される補正係数HS1aと、車両の前荷重に応じて算出される補正係数HS1bとを乗算して算出される(下式(4)参照)。
HS1=HS1a×HS1b ・・・ 式(4)
車両の前荷重とは車両前方への荷重移動量であり、例えば、車両の前後方向の加速度を検知する図示しない前後加速度センサに基づいて推定することができる。この場合、前後加速度センサは、前後方向への荷重移動量を推定する荷重移動量推定手段と言うことができる。
各補正係数HS1a,HS1bは、それぞれ図6に示す補正係数テーブル44,45を参照して算出される。この参考例1における補正係数テーブル44,45を説明する。
補正係数HS1aを算出する補正係数テーブル44において、横軸は操舵速度であり、縦軸は補正係数HS1aである。この補正係数HS1aテーブル44は、操舵速度が小さい領域ではHS1a=1で一定で、操舵速度が所定値以上になると操舵速度が大きくなるにしたがって補正係数HS1aが徐々に小さくなっていき、操舵速度が大きい領域ではHS1a=0で一定となる。
補正係数HS1bを算出する補正係数テーブル45において、横軸は前荷重(車両前方への荷重移動量)であり、縦軸は補正係数HS1bである。この補正係数HS1bテーブル45は、前荷重が小さい領域ではHS1b=1で一定で、前荷重が所定値以上になると前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1bが徐々に小さくなっていき、前荷重が大きい領域ではHS1b=0で一定となる。
補正係数HS1aを算出する補正係数テーブル44において、横軸は操舵速度であり、縦軸は補正係数HS1aである。この補正係数HS1aテーブル44は、操舵速度が小さい領域ではHS1a=1で一定で、操舵速度が所定値以上になると操舵速度が大きくなるにしたがって補正係数HS1aが徐々に小さくなっていき、操舵速度が大きい領域ではHS1a=0で一定となる。
補正係数HS1bを算出する補正係数テーブル45において、横軸は前荷重(車両前方への荷重移動量)であり、縦軸は補正係数HS1bである。この補正係数HS1bテーブル45は、前荷重が小さい領域ではHS1b=1で一定で、前荷重が所定値以上になると前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1bが徐々に小さくなっていき、前荷重が大きい領域ではHS1b=0で一定となる。
前述したように車両を前荷重にしてハンドルを切ると車両を曲げ易くなるが、前荷重が大きくなるにしたがって車両挙動が不安定になり易く、また、操舵速度が大きいほど車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS1は、このような操舵時の限界規範ヨーレートω_TARを調整するための補正係数である。
補正係数HS1を上述のように算出する結果、操舵速度が小さい領域で且つ前荷重が小さい領域では補正係数HS1は1となるので、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができ、回頭性を向上することができる。これに対して、操舵速度および前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1は1よりも小さくなっていくので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができ、車両挙動の安定性を確保することができる。
補正係数HS1を上述のように算出する結果、操舵速度が小さい領域で且つ前荷重が小さい領域では補正係数HS1は1となるので、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができ、回頭性を向上することができる。これに対して、操舵速度および前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1は1よりも小さくなっていくので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができ、車両挙動の安定性を確保することができる。
次に、補正係数HS2演算部34において算出される補正係数HS2について説明する。
この補正係数HS2は、車輪と路面との摩擦係数(以下μと略す)が高い路面(以下、高μ路と略す)でレーンチェンジ(操舵をして、すぐに元の進行方向に戻す操作)をする場合を想定した補正係数である。
補正係数HS2は、1を最大値として、下記の条件を満たした場合に所定の減少カウント値を初期値から減算し、下記のいずれの条件も満たさない場合に1に向けて所定の増加カウント値を加算するよう構成されるゲインである。条件としては、(a)摩擦係数μが高いと判断されたとき(または高摩擦係数の路面走行に対応する前後または横方向加速度が検出されているとき)、(b)操舵角が大きいと判断されたとき、(c)横G減少率が大きいと判断されたとき、(d)ヨーレート減少率が大きいと判断されたときに所定の減少カウント値を減算する。なお、上記条件は、(a)から(d)のうち少なくとも1つまたは複数を任意に組合わせたものであればよい。特に高摩擦係数時の車両挙動収束性を考慮すると、上記(a)と、(b)から(d)のいずれかを組合わせて用いることが好ましい。
なお、摩擦係数μは、μ算出部8により算出される。また、横G減少率とは、横Gの減少速度であり、横Gセンサ5で検知される横Gに基づいて算出することができ、ヨーレート減少率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの減少速度である。
この補正係数HS2は、車輪と路面との摩擦係数(以下μと略す)が高い路面(以下、高μ路と略す)でレーンチェンジ(操舵をして、すぐに元の進行方向に戻す操作)をする場合を想定した補正係数である。
補正係数HS2は、1を最大値として、下記の条件を満たした場合に所定の減少カウント値を初期値から減算し、下記のいずれの条件も満たさない場合に1に向けて所定の増加カウント値を加算するよう構成されるゲインである。条件としては、(a)摩擦係数μが高いと判断されたとき(または高摩擦係数の路面走行に対応する前後または横方向加速度が検出されているとき)、(b)操舵角が大きいと判断されたとき、(c)横G減少率が大きいと判断されたとき、(d)ヨーレート減少率が大きいと判断されたときに所定の減少カウント値を減算する。なお、上記条件は、(a)から(d)のうち少なくとも1つまたは複数を任意に組合わせたものであればよい。特に高摩擦係数時の車両挙動収束性を考慮すると、上記(a)と、(b)から(d)のいずれかを組合わせて用いることが好ましい。
なお、摩擦係数μは、μ算出部8により算出される。また、横G減少率とは、横Gの減少速度であり、横Gセンサ5で検知される横Gに基づいて算出することができ、ヨーレート減少率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの減少速度である。
図7のフローチャートに従って、補正係数HS2を決定する処理の一例を説明する。
初めに、ステップS01において、摩擦係数μが閾値μthよりも大きいか否かを判定する。
ステップS01における判定結果が「YES」(μ>μth)である場合には、ステップS02に進み、操舵角δが閾値δthよりも大きいか(δ>δth)、あるいは、横G減少率ΔGが閾値ΔGthよりも大きいか(ΔG>ΔGth)、あるいは、ヨーレート減少率γが閾値γthよりも大きいか(γ>γth)のうち1つでも満たすものがあるか否かを判定する。
ステップS02における判定結果が「YES」である場合には、ステップS03に進み、減算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この減算処理は、補正係数HS2の初期値から所定の減算カウント値を減算していき、補正係数HS2が0に収束していくようにする。
一方、ステップS01における判定結果が「NO」(μ≦μth)である場合、および、ステップS02における判定結果が「NO」である場合には、ステップS04に進み、加算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この加算処理は、所定の増加カウント値を加算していき、補正係数HS2が1に収束していくようにする。
なお、補正係数HS2の初期値は0から1の間の所定値とする。
初めに、ステップS01において、摩擦係数μが閾値μthよりも大きいか否かを判定する。
ステップS01における判定結果が「YES」(μ>μth)である場合には、ステップS02に進み、操舵角δが閾値δthよりも大きいか(δ>δth)、あるいは、横G減少率ΔGが閾値ΔGthよりも大きいか(ΔG>ΔGth)、あるいは、ヨーレート減少率γが閾値γthよりも大きいか(γ>γth)のうち1つでも満たすものがあるか否かを判定する。
ステップS02における判定結果が「YES」である場合には、ステップS03に進み、減算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この減算処理は、補正係数HS2の初期値から所定の減算カウント値を減算していき、補正係数HS2が0に収束していくようにする。
一方、ステップS01における判定結果が「NO」(μ≦μth)である場合、および、ステップS02における判定結果が「NO」である場合には、ステップS04に進み、加算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この加算処理は、所定の増加カウント値を加算していき、補正係数HS2が1に収束していくようにする。
なお、補正係数HS2の初期値は0から1の間の所定値とする。
高μ路においてレーンチェンジを行ったときに、ヨーレートおよび横Gが急激に減少する場合には、操舵により進行したい方向と逆の方向へ大きなヨーレートが発生することがある。この時に、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすると、操舵に対する車両のトレース性が悪化する虞がある。補正係数HS2はこれを抑制するためのものである。つまり、摩擦係数μ、操舵角、横G減少率、ヨーレート減少率が大きい場合には、補正係数HS2を小さい値とすることで、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにし、これによりレーンチェンジ後のヨーレートの収束性を向上する。
次に、図8を参照して、補正係数HS3演算部35において算出される補正係数HS3について説明する。
この補正係数HS3は、運転者がタックインをしたときなどを想定した補正係数である。タックインは、旋回中にアクセルペダルを急に戻したときに車両が前荷重となって旋回内側に入り込む現象であるが、運転者によってはこれを利用して積極的に旋回操作を行う場合がある。しかしながら、このタックインを利用した旋回操作は、車両への要求トルクが大きいとき(換言すると、アクセル開度が大きいとき)からアクセルを開放するときや、車速が大きいときには、車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS3は、タックイン時の限界規範ヨーレートω_TARを調整するための補正係数である。
図8に示すように、補正係数HS3は、車速に応じて算出される補正係数HS3aと、車両の要求トルクに応じて算出される補正係数HS3bとを乗算して算出される(下式(5)参照)。
HS3=HS3a×HS3b ・・・ 式(5)
なお、車両の要求トルクは、アクセル開度センサ7で検知したアクセル開度から算出することができる。
この補正係数HS3は、運転者がタックインをしたときなどを想定した補正係数である。タックインは、旋回中にアクセルペダルを急に戻したときに車両が前荷重となって旋回内側に入り込む現象であるが、運転者によってはこれを利用して積極的に旋回操作を行う場合がある。しかしながら、このタックインを利用した旋回操作は、車両への要求トルクが大きいとき(換言すると、アクセル開度が大きいとき)からアクセルを開放するときや、車速が大きいときには、車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS3は、タックイン時の限界規範ヨーレートω_TARを調整するための補正係数である。
図8に示すように、補正係数HS3は、車速に応じて算出される補正係数HS3aと、車両の要求トルクに応じて算出される補正係数HS3bとを乗算して算出される(下式(5)参照)。
HS3=HS3a×HS3b ・・・ 式(5)
なお、車両の要求トルクは、アクセル開度センサ7で検知したアクセル開度から算出することができる。
各補正係数HS3a,HS3bは、それぞれ図8に示す補正係数テーブル51,52を参照して算出される。この参考例1における補正係数テーブル51,52を説明する。
補正係数HS3aを算出する補正係数テーブル51において、横軸は車速であり、縦軸は補正係数HS3aである。この補正係数HS3aテーブル51は、車速が所定値よりも小さい領域ではHS3aは正の一定値であり、車速が前記所定値以上になると車速が大きくなるにしたがって補正係数HS3aが徐々に小さくなっていき、所定速度V0を越えると負の値となり、車速が非常に大きい領域ではHS3aは負の一定値となる。
補正係数HS3aを算出する補正係数テーブル51において、横軸は車速であり、縦軸は補正係数HS3aである。この補正係数HS3aテーブル51は、車速が所定値よりも小さい領域ではHS3aは正の一定値であり、車速が前記所定値以上になると車速が大きくなるにしたがって補正係数HS3aが徐々に小さくなっていき、所定速度V0を越えると負の値となり、車速が非常に大きい領域ではHS3aは負の一定値となる。
補正係数HS3bを算出する補正係数テーブル52において、横軸は車両の要求トルクであり、縦軸は補正係数HS3bである。この補正係数HS3bテーブル52は、要求トルクが所定値T0よりも小さい領域ではHS3bが正の値で、要求トルクが所定値T0以上の領域では補正係数HS3b=0となる。ここで、前記所定値T0は極めて小さい値であり、例えば、アクセル開度がゼロに近いときに対応した要求トルクに設定する。
このように補正係数テーブル51,52を設定することにより、要求トルクが所定値T0以上の場合(すなわち、タックイン状態ではないと判断されるとき)には、車速の大きさに関わらず補正係数HS3が0となり、限界規範ヨーレートω_TARを補正しないようにすることができる。
また、要求トルクが所定値T0以下の場合(すなわち、タックイン状態であると判断されるとき)には、車速がV0よりも小さいときには、補正係数HS3が正の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARが大きくすることができ、車速がV0以上のときには、補正係数HS3が負の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。さらに、車速がV0よりも小さい場合、要求トルクが同じときには、車速が小さいほど補正係数H3を正値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができる。これにより、車速が低中速のタックイン時の回頭性を向上させることができる。一方、車速がV0以上の場合、要求トルクが同じときには、車速が大きいほど補正係数H3を負値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。
また、要求トルクが所定値T0以下の場合(すなわち、タックイン状態であると判断されるとき)には、車速がV0よりも小さいときには、補正係数HS3が正の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARが大きくすることができ、車速がV0以上のときには、補正係数HS3が負の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。さらに、車速がV0よりも小さい場合、要求トルクが同じときには、車速が小さいほど補正係数H3を正値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができる。これにより、車速が低中速のタックイン時の回頭性を向上させることができる。一方、車速がV0以上の場合、要求トルクが同じときには、車速が大きいほど補正係数H3を負値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。
次に、図9を参照して、FB制動力制御量演算部19において実行される制動力制御量(すなわち、FB制動力制御量)の算出について説明する。
FB制動力制御量演算部19では、限界ヨーレート偏差演算部16で演算された限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいて、前輪側の旋回内輪(以下、FR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP1fb、前輪側の旋回外輪(以下、FR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP3fb、後輪側の旋回内輪(以下、RR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP2fb、後輪側の旋回外輪(以下、RR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP4fbを算出する。なお、以降の旋回方向は偏差Δωfbの符号が正で、規範ヨーレートおよび実ヨーレートがともに正の場合を例に説明する。
FB制動力制御量演算部19では、限界ヨーレート偏差演算部16で演算された限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいて、前輪側の旋回内輪(以下、FR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP1fb、前輪側の旋回外輪(以下、FR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP3fb、後輪側の旋回内輪(以下、RR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP2fb、後輪側の旋回外輪(以下、RR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP4fbを算出する。なお、以降の旋回方向は偏差Δωfbの符号が正で、規範ヨーレートおよび実ヨーレートがともに正の場合を例に説明する。
FR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル80を参照して算出する。増圧量テーブル80において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP1fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合にはFB増圧量ΔP1fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上では限界ヨーレート偏差Δωfbが大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP1fbが増大していく。
RR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル81を参照して算出する。増圧量テーブル81において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP2fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合にはFB増圧量ΔP2fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上では限界ヨーレート偏差Δωfbが大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP2fbが増大していく。
FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル82を参照して算出する。増圧量テーブル82において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP3fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合にはFB増圧量ΔP3fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下では限界ヨーレート偏差Δωfbの絶対値が大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP3fbが増大していく。
RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル83を参照して算出する。増圧量テーブル83において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP4fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合にはFB増圧量ΔP4fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下では限界ヨーレート偏差Δωfbの絶対値が大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP4fbが増大していく。
つまり、FB制動力制御量演算部19では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合は、実ヨーレートが限界規範ヨーレートよりも小さいので、ヨーレートを増大させる方向(換言すれば、限界ヨーレート偏差Δωfbを打ち消す方向)に、各輪のFB制動力制御量を設定する。具体的には、FR旋回内輪およびRR旋回内輪のブレーキ液圧を増大させる方向にFB増圧量を設定し、FR旋回外輪およびRR旋回外輪のブレーキ液圧を増大させないようにFB増圧量を設定する。
一方、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合は、実ヨーレートが限界規範ヨーレートよりも大きいので、ヨーレートを減少させる方向(換言すれば、限界ヨーレート偏差Δωfbを打ち消す方向)に、各輪のFB制動力制御量を設定する。具体的には、FR旋回外輪およびRR旋回外輪のブレーキ液圧を増大させる方向にFB増圧量を設定し、FR旋回内輪およびRR旋回内輪のブレーキ液圧を増大させないようにFB増圧量を設定する。
そして、FB制動力制御量演算部19は、FR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbと、RR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbと、FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbと、RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbを、ブレーキ装置10に出力する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
この参考例1の車両の旋回制御装置によれば、補正部15により、操舵角に基づいて算出される定常規範ヨーレートω_highに関連させて、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正し、限界規範ヨーレートω_TARを算出しているので、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御を両立することができる。その結果、運転者の旋回意志が応答良く反映され、操舵フィールが向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制動力制御量演算部19における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制動力制御量演算部19における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
<参考例2>
次に、この発明に係る第1実施形態における車両の旋回制御装置の参考例2を図10および図11の図面を参照して説明する。
図10は、参考例2の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。前述した参考例1の車両の旋回制御装置では、限界規範ヨーレートω_TARと実ヨーレートとの偏差(すなわち、限界ヨーレート偏差Δωfb)を打ち消す方向に制御量(FB制動力制御量)を求め、このFB制動力制御量のみでブレーキ圧を制御するようにしているが、参考例2の旋回制御装置では、操舵角と車速に基づいてフィードフォワード制動力制御量(以下、FF制動力制御量と略す)を算出し、前記FB制動力制御量とFF制動力制御量とを加算して得た値を総制動力制御量とし、この総制動力制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
以下、参考例2の車両の旋回制御装置について説明するが、図10の制御ブロック図においてフィードバック制御系、すなわち、舵角規範ヨーレート演算部11、定常規範ヨーレート演算部12、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制動力制御量演算部19については参考例1と同じであるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を省略し、参考例1との相違点であるフィードフォワード制御系を中心に説明する。
次に、この発明に係る第1実施形態における車両の旋回制御装置の参考例2を図10および図11の図面を参照して説明する。
図10は、参考例2の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。前述した参考例1の車両の旋回制御装置では、限界規範ヨーレートω_TARと実ヨーレートとの偏差(すなわち、限界ヨーレート偏差Δωfb)を打ち消す方向に制御量(FB制動力制御量)を求め、このFB制動力制御量のみでブレーキ圧を制御するようにしているが、参考例2の旋回制御装置では、操舵角と車速に基づいてフィードフォワード制動力制御量(以下、FF制動力制御量と略す)を算出し、前記FB制動力制御量とFF制動力制御量とを加算して得た値を総制動力制御量とし、この総制動力制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
以下、参考例2の車両の旋回制御装置について説明するが、図10の制御ブロック図においてフィードバック制御系、すなわち、舵角規範ヨーレート演算部11、定常規範ヨーレート演算部12、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制動力制御量演算部19については参考例1と同じであるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を省略し、参考例1との相違点であるフィードフォワード制御系を中心に説明する。
参考例2における車両の旋回制御装置1は、参考例1の車両の旋回制御装置1の構成に加えて、フィードフォワード制御系として、定常ヨーレート偏差演算部13とフィードフォワード制動力制御量演算部(以下、FF制動力制御量演算部と略す)18とを備えている。そして、FF制動力制御量演算部18と参考例1におけるFB制動力制御量演算部19とにより総制動力制御量演算部17が構成されている。
定常ヨーレート偏差演算部13には、舵角規範ヨーレート演算部11で算出された舵角規範ヨーレートに対して時間変化量平滑化処理あるいはピークホールド処理などを行ってノイズを除去した舵角規範ヨーレートが入力される。そして、定常ヨーレート偏差演算部13は、定常規範ヨーレートω_highからノイズ除去後の舵角規範ヨーレートを減算し、定常ヨーレート偏差Δωffを算出する。
総制動力制御量演算部17は、FF制動力制御量演算部18において定常ヨーレート偏差Δωffに基づいてFF制動力制御量を算出し、FB制動力制御量演算部19において限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてFB制動力制御量を算出し、さらにFF制動力制御量とFB制動力制御量を加算して総制動力制御量を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
総制動力制御量演算部17は、FF制動力制御量演算部18において定常ヨーレート偏差Δωffに基づいてFF制動力制御量を算出し、FB制動力制御量演算部19において限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてFB制動力制御量を算出し、さらにFF制動力制御量とFB制動力制御量を加算して総制動力制御量を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
次に、図11を参照して、総制動力制御量演算部17において実行されるブレーキ制御量演算について説明する。
FF制動力制御量演算部18におけるFF制動力制御量の算出について説明する。
まず、操舵角センサ3で検知された操舵角に基づいて、FR旋回内輪とRR旋回内輪に対する増圧配分を決定し、この増圧配分に基づいて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrを算出する。ここで、操舵による荷重移動が大きい場合には、操舵角に応じて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frが大きくなるように設定してもよい。
そして、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrに基づいて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出が、並行して実施される。
FF制動力制御量演算部18におけるFF制動力制御量の算出について説明する。
まず、操舵角センサ3で検知された操舵角に基づいて、FR旋回内輪とRR旋回内輪に対する増圧配分を決定し、この増圧配分に基づいて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrを算出する。ここで、操舵による荷重移動が大きい場合には、操舵角に応じて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frが大きくなるように設定してもよい。
そして、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrに基づいて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出が、並行して実施される。
まず、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出を説明する。定常ヨーレート偏差演算部13で演算された定常ヨーレート偏差Δωffに増加係数K1frを乗じて、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffを算出する。
次に、増圧量テーブル60を参照し、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffに応じて、FR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkを算出する。増圧量テーブル60において、横軸は定常ヨーレート偏差Δω1ffであり、縦軸はブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkである。この参考例2では、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffが0以下の場合にはブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkは0であり、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffが0以上では定常ヨーレート偏差Δω1ffが大きくなるにしたがってブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkが増大していく。
次に、リミット処理部61において、FR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。上限値は、上限値算出部62によって算出される任意の値であり、この値を超えないよう設定することで液圧増圧量ΔPlffkの急変動を抑制する。
次に、リミット処理されたFR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffKに、車速に応じたゲインを乗じて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffを算出する。なお、車速に応じたゲインは、ゲインテーブル63に基づいて算出される。このゲインテーブル63において、横軸は車速であり、縦軸はゲインであって、車速が小さい領域ではゲイン=1で一定で、車速が所定値以上になると車速が大きくなるにしたがってゲインが徐々に小さくなっていき、車速が大きい領域ではゲイン=0で一定となる。
このように車速に応じたゲインを乗じる結果、車速が大きいときには、FR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffは0となる。換言すると、高車速時にはFR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffが無効とされる。これにより、高車速時に操舵アシストブレーキに起因して車両挙動が不安定になるのを防止することができる。この参考例2において、ゲインテーブル63は無効化手段を構成する。なお、車速に応じたゲインを乗じるのに替えて、高車速ほど低くなる制限値を与え、この制限値をΔPlffが上回らないように設定してもよい。
RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出は、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と同じであるので、簡単に説明する。
定常ヨーレート偏差演算部13で演算された定常ヨーレート偏差Δωffに、RR旋回内輪に対する増加係数K1rrを乗じて、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffを算出する。
次に、増圧量テーブル64を参照し、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffに応じて、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkを算出する。増圧量テーブル64は増圧量テーブル60と同じであるので説明を省略する。
次に、リミット処理部65において、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。上限値は、上限値算出部66によって算出される。上限値算出部66は上限値算出部62と同じである。
次に、リミット処理されたRR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffKに、ゲインテーブル67により算出したゲインを乗じて、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffを算出する。ゲインテーブル67はゲインテーブル63と同じであるので、説明を省略する。この参考例2において、ゲインテーブル67は無効化手段を構成する。
定常ヨーレート偏差演算部13で演算された定常ヨーレート偏差Δωffに、RR旋回内輪に対する増加係数K1rrを乗じて、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffを算出する。
次に、増圧量テーブル64を参照し、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffに応じて、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkを算出する。増圧量テーブル64は増圧量テーブル60と同じであるので説明を省略する。
次に、リミット処理部65において、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。上限値は、上限値算出部66によって算出される。上限値算出部66は上限値算出部62と同じである。
次に、リミット処理されたRR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffKに、ゲインテーブル67により算出したゲインを乗じて、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffを算出する。ゲインテーブル67はゲインテーブル63と同じであるので、説明を省略する。この参考例2において、ゲインテーブル67は無効化手段を構成する。
また、FF制動力制御量演算部18は、内輪減圧量算出部70を備えている。内輪減圧量算出部70は、高速時や高横Gの時には制動により車両挙動が不安定となるという前提の下に、予め旋回内輪のブレーキ液圧を制限するためのものである。
内輪減圧量算出部70では、第1減圧率テーブル71を参照して車速に応じた減圧率を算出するとともに、第2減圧率テーブル72を参照して横Gに応じた減圧率を算出し、これら減圧率を乗じることで総減圧率を算出する。
内輪減圧量算出部70では、第1減圧率テーブル71を参照して車速に応じた減圧率を算出するとともに、第2減圧率テーブル72を参照して横Gに応じた減圧率を算出し、これら減圧率を乗じることで総減圧率を算出する。
第1減圧率テーブル71において、横軸は車速であり、縦軸は減圧率であって、車速が小さい領域では減圧率=0で一定で、車速が所定値以上になると車速が大きくなるにしたがって減圧率が徐々に大きくなっていき、車速が大きい領域では減圧率=1で一定となる。
第2減圧率テーブル72において、横軸は横Gであり、縦軸は減圧率であって、横Gが小さい領域では減圧率=0で一定で、横Gが所定値以上になると横Gが大きくなるにしたがって減圧率が徐々に大きくなっていき、横Gが大きい領域では減圧率=1で一定となる。
これにより、総減圧率は、走行時の車速および横Gに応じて、0から1の間の値に設定されることとなる。
そして、このようにして求めた総減圧率にブレーキ装置10のマスタシリンダ圧を乗じ、さらにマイナス1を乗じて内輪減圧量ΔPdを求める。
FB制動力制御量演算部19におけるFB制動力制御量の算出については参考例1と同じであるので説明を省略する。
これにより、総減圧率は、走行時の車速および横Gに応じて、0から1の間の値に設定されることとなる。
そして、このようにして求めた総減圧率にブレーキ装置10のマスタシリンダ圧を乗じ、さらにマイナス1を乗じて内輪減圧量ΔPdを求める。
FB制動力制御量演算部19におけるFB制動力制御量の算出については参考例1と同じであるので説明を省略する。
そして、総制動力制御量演算部17は、FR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffとFR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbと内輪減圧量ΔPdを加算した値をFR旋回内輪に対する総制動力制御量とし、RR旋回内輪のFF増圧量ΔP2ffとRR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbと内輪減圧量ΔPdを加算した値をRR旋回内輪に対する総制動力制御量とし、FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbをFR旋回外輪の総制動力制御量とし、RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbをRR旋回外輪の総制動力制御量として、ブレーキ装置10に出力する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
この参考例2の車両の旋回制御装置によれば、参考例1の場合と同様、補正部15により、操舵角に基づいて算出される定常規範ヨーレートω_highに関連させて、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正し、限界規範ヨーレートω_TARを算出しているので、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御を両立することができる。その結果、運転者の旋回意志が応答良く反映され、操舵フィールが向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制動力制御量演算部19における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制動力制御量演算部19における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
さらに、この参考例2の車両の旋回制御装置によれば、車体挙動に基づき算出されたFB制動力制御量に、操舵入力に基づき算出されたFF制動力制御量を加えた総制動力制御量に基づいてブレーキ圧を制御しているので、車両挙動の安定性を確保しつつ、操舵の応答性を向上させることができる。また、操舵の追従性も向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
次に、この発明に係る第1実施形態における車両の旋回制御装置の実施例を図12から図18の図面を参照して説明する。
前述した参考例1,2では、舵角規範ヨーレートに、車速に応じて設定されるゲイン(定常規範ヨーレートゲインKv)を乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出し、この定常規範ヨーレートω_highを補正部15に入力して、車両の操舵状態や運動状態に応じて横G規範ヨーレートω_lowを定常規範ヨーレートω_highに関連させて補正している。
前述した参考例1,2では、舵角規範ヨーレートに、車速に応じて設定されるゲイン(定常規範ヨーレートゲインKv)を乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出し、この定常規範ヨーレートω_highを補正部15に入力して、車両の操舵状態や運動状態に応じて横G規範ヨーレートω_lowを定常規範ヨーレートω_highに関連させて補正している。
ところで、車両においては操舵入力に対してヨー応答に時間遅れがあることはよく知られている。しかしながら、前記舵角規範ヨーレートには時間遅れが考慮されていない。そこで、この実施例では、前記舵角規範ヨーレートを基準値とし、これに時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートを算出し、車両の操舵状態に応じて、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートと時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートのいずれか一方を選択してこれを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に入力し、横G規範ヨーレートω_lowを補正するようにした。
また、前述した参考例2では、定常ヨーレート偏差演算部13において定常規範ヨーレートと舵角規範ヨーレートとの偏差である定常ヨーレート偏差Δωffを算出し、この定常ヨーレート偏差Δωffに基づいてFF制動力制御量演算部18がFF制動力制御量を算出したが、この実施例では、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートと時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートとの偏差を算出し、この偏差を補正して定常ヨーレート偏差Δωffを算出し、この定常ヨーレート偏差Δωffに基づいてFF制動力制御量演算部18がFF制動力制御量を算出するようにした。
初めに、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートの算出方法を、図12を参照して説明する。
操舵角センサ3により検知された舵角に、車速に応じて決定される舵角規範ヨーレートゲインKyを乗じることにより、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートが求められることは、参考例1において説明したとおりである。時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートは、このようにして求めた舵角規範ヨーレートを位相遅れフィルタ23によって、予め設定された時定数だけ時間遅れ処理を施すことにより算出される。時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレート値をγstr(t)、時定数をTとすると、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレート値γstr_fltは式(7)で表される。
γstr_flt=γstr(t−T) ・・・ 式(7)
操舵角センサ3により検知された舵角に、車速に応じて決定される舵角規範ヨーレートゲインKyを乗じることにより、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートが求められることは、参考例1において説明したとおりである。時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートは、このようにして求めた舵角規範ヨーレートを位相遅れフィルタ23によって、予め設定された時定数だけ時間遅れ処理を施すことにより算出される。時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレート値をγstr(t)、時定数をTとすると、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレート値γstr_fltは式(7)で表される。
γstr_flt=γstr(t−T) ・・・ 式(7)
なお、以下の説明では、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートを単に「舵角規範ヨーレートωstn」と称し、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートを「フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstf」と称す。この実施例1において、舵角規範ヨーレートωstnは舵角ヨーレート基準値を構成し、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfは遅れ舵角ヨーレート値を構成する。
図13は、実施例の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。
この実施例におけるブレーキ制御部2は、フィードフォワード制御系(以下、FF制御系と略す)とフィードバック制御系(以下、FB制御系と略す)とからなり、前記FF制御系は、フィードフォワード制御量演算部(以下、FF制御量演算部と略す)20、操舵方向判定部26、切り増し/切り戻し判定部(操舵方向判別手段)27、FF制御量補正部90、FF制動力制御量演算部(制動力制御量演算部)18とを備え、前記FB制御系は、セレクタ28、横G規範ヨーレート演算部(第1規範ヨーレート演算部)14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制動力制御量演算部(第2制動力制御量演算部)19とを備えている。また、FF制動力制御量演算部18とFB制動力制御量演算部19によって総制動力制御量演算部17が構成されている。そして、総制動力制御量演算部17は、FF制動力制御量演算部18により算出されたFF制動力制御量(制動力制御量)とFB制動力制御量演算部19により算出されたFB制動力制御量(第2の制動力制御量)とを加算して総制動力制御量を算出するようになっている。
ブレーキ制御部2には、操舵角センサ3、車速センサ4、横Gセンサ5、ヨーレートセンサ6、アクセル開度センサ7からそれぞれの検出値に応じた検知信号が入力され、μ算出部8から算出した摩擦係数に応じた電気信号が入力される。
この実施例におけるブレーキ制御部2は、フィードフォワード制御系(以下、FF制御系と略す)とフィードバック制御系(以下、FB制御系と略す)とからなり、前記FF制御系は、フィードフォワード制御量演算部(以下、FF制御量演算部と略す)20、操舵方向判定部26、切り増し/切り戻し判定部(操舵方向判別手段)27、FF制御量補正部90、FF制動力制御量演算部(制動力制御量演算部)18とを備え、前記FB制御系は、セレクタ28、横G規範ヨーレート演算部(第1規範ヨーレート演算部)14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制動力制御量演算部(第2制動力制御量演算部)19とを備えている。また、FF制動力制御量演算部18とFB制動力制御量演算部19によって総制動力制御量演算部17が構成されている。そして、総制動力制御量演算部17は、FF制動力制御量演算部18により算出されたFF制動力制御量(制動力制御量)とFB制動力制御量演算部19により算出されたFB制動力制御量(第2の制動力制御量)とを加算して総制動力制御量を算出するようになっている。
ブレーキ制御部2には、操舵角センサ3、車速センサ4、横Gセンサ5、ヨーレートセンサ6、アクセル開度センサ7からそれぞれの検出値に応じた検知信号が入力され、μ算出部8から算出した摩擦係数に応じた電気信号が入力される。
初めに、ブレーキ制御部2におけるFF制御系について説明する。
FF制御量演算部20は、舵角規範ヨーレート演算部11、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24、舵角規範ヨーレート偏差演算部25とから構成されている。
舵角規範ヨーレート演算部11は、参考例1の場合と同様、操舵角センサ3により検知された舵角と、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、舵角規範ヨーレートωstnを推定算出する。
フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24は、前述したように位相遅れフィルタ23により、舵角規範ヨーレートに対して時間遅れ処理を施すことによりフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを算出する。
FF制御量演算部20は、舵角規範ヨーレート演算部11、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24、舵角規範ヨーレート偏差演算部25とから構成されている。
舵角規範ヨーレート演算部11は、参考例1の場合と同様、操舵角センサ3により検知された舵角と、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、舵角規範ヨーレートωstnを推定算出する。
フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24は、前述したように位相遅れフィルタ23により、舵角規範ヨーレートに対して時間遅れ処理を施すことによりフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを算出する。
舵角規範ヨーレート偏差演算部25は、舵角規範ヨーレート演算部11により算出された舵角規範ヨーレートωstnから、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24により算出されたフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを減算して、舵角規範ヨーレート偏差を算出する。この舵角規範ヨーレート偏差は、後述する増加特性を用いて補正する前のフィードバック制御量(以下、FF制御量と略す)であるので、以下の説明では、前記舵角規範ヨーレート偏差をFF制御量と称して説明する。この実施例において、FF制御量演算部20は、少なくとも操舵角センサ3(操舵量検知手段)の検知信号に基づいてFF制御量を算出する。
操舵方向判定部26は、操舵角センサ3の検出値に基づいて、ステアリングホイールが中立位置(直進方向位置)よりも右旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「+」判定とする)か、左旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「−」判定とする)かを判定する。
操舵方向判定部26は、操舵角センサ3の検出値に基づいて、ステアリングホイールが中立位置(直進方向位置)よりも右旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「+」判定とする)か、左旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「−」判定とする)かを判定する。
切り増し/切り戻し判定部27は、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出されたFF制御量の正負符号と、操舵方向判定部26の判定結果とに基づいて、ステアリングホイールが切り増しされているのか、切り戻しされているのかを判定する。
この判定原理を図14の図面を参照して説明する。図14は、ステアリングホイールを右旋回操作した後に中立位置に戻す操作を行ったときの舵角規範ヨーレートωstnとフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの時間的な変化を示したものである。フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfは舵角規範ヨーレートωstnに時間遅れを考慮したものであるので、所定の時間を経過するまでは舵角規範ヨーレートωstnの方がフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfよりも大きいが、前記所定の時間が経過すると逆転してフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも大きくなる。
この判定原理を図14の図面を参照して説明する。図14は、ステアリングホイールを右旋回操作した後に中立位置に戻す操作を行ったときの舵角規範ヨーレートωstnとフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの時間的な変化を示したものである。フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfは舵角規範ヨーレートωstnに時間遅れを考慮したものであるので、所定の時間を経過するまでは舵角規範ヨーレートωstnの方がフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfよりも大きいが、前記所定の時間が経過すると逆転してフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも大きくなる。
ここで、舵角規範ヨーレートωstnの方がフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfよりも大きいときはステアリングホイールを切り増ししているときと推定することができ、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも大きいときはステアリングホイールを切り戻ししているときと推定することができる。したがって、ステアリングホイールが中立位置よりも右旋回側に回転されている状態(操舵方向判定部26による判定が「+」)であって、舵角規範ヨーレート偏差演算部25で算出されたFF制御量が正の値である場合は切り増しの状態であると推定することができ、前記FF制御量が負の値である場合は切り戻しの状態であると推定することができる。なお、ステアリングホイールが左旋回側に回転されている状態では、符号が逆になるだけで同様の原理で推定することができる。つまり、操舵方向判定部26の判定結果の正負符号と舵角規範ヨーレート偏差演算部25で算出されたFF制御量の正負符号が同符号である場合は切り増し、異符号である場合は切り戻しと判定することができる。
FF制御量補正部90は、セレクタ91、切り増しFF制御量補正部92、切り戻しFF制御量補正部93、リミット処理部94、リミット値テーブル95と、を備えて構成されている。
セレクタ91は、切り増し/切り戻し判定部27の判定結果に応じて、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出されたFF制御量を、切り増しFF制御量補正部92と切り戻しFF制御量補正部93のいずれに出力するかを選択する。詳述すると、切り増し/切り戻し判定部27により切り増しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出されたFF制御量を、切り増しFF制御量補正部92に出力し、切り増し/切り戻し判定部27により切り戻しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出されたFF制御量を、切り戻しFF制御量補正部93に出力する。
セレクタ91は、切り増し/切り戻し判定部27の判定結果に応じて、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出されたFF制御量を、切り増しFF制御量補正部92と切り戻しFF制御量補正部93のいずれに出力するかを選択する。詳述すると、切り増し/切り戻し判定部27により切り増しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出されたFF制御量を、切り増しFF制御量補正部92に出力し、切り増し/切り戻し判定部27により切り戻しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出されたFF制御量を、切り戻しFF制御量補正部93に出力する。
切り増しFF制御量補正部92および切り戻しFF制御量補正部93は、舵角規範ヨーレート偏差演算部25からセレクタ91を介して入力したFF制御量(ωstn−ωstf)に、横Gに応じたゲインKgと、車速に応じたゲインKvを乗じてFF制御量補正値を算出する。ここで、ゲインKg,Kvはそれぞれ横Gゲインテーブル、車速ゲインテーブルを参照して算出するのであるが、切り増しFF制御量補正部92と切り戻しFF制御量補正部93では用いられる横Gゲインテーブルおよび車速ゲインテーブルを異にしている。
図15は、切り増しFF制御量補正部92の制御ブロック図であり、図16は、切り戻しFF制御量補正部93の制御ブロック図である。横Gゲインテーブル96A,96Bにおいて、横軸は横G、縦軸はゲインKgであり、車速ゲインテーブル97A,97Bにおいて、横軸は車速、縦軸はゲインKvである。
初めに、図15を参照して、切り増しFF制御量補正部92におけるFF制御量補正値の算出を説明する。
切り増しFF制御量補正部92における横Gゲインテーブル96Aは、横Gが0のときにゲインKgが所定の正の値であり、横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に僅かながら大きくなっていく。切り増しFF制御量補正部92は、この横Gゲインテーブル96Aを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り増しFF制御量補正部92における車速ゲインテーブル97Aは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると急激に減少し、0となる。切り増しFF制御量補正部92は、この車速ゲインテーブル97Aを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り増しFF制御量補正部92は、FF制御量(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御量補正値を算出する。
つまり、この実施例では、切り増しと判定された場合のFF制御量補正値は、車速に大きく依存し、車速が前記所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御量補正値が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御量補正値はほぼ0となるように設定されている。
この実施例において、横Gゲインテーブル96Aと車速ゲインテーブル97Aは、切り増し判定時における増加特性を構成する。
初めに、図15を参照して、切り増しFF制御量補正部92におけるFF制御量補正値の算出を説明する。
切り増しFF制御量補正部92における横Gゲインテーブル96Aは、横Gが0のときにゲインKgが所定の正の値であり、横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に僅かながら大きくなっていく。切り増しFF制御量補正部92は、この横Gゲインテーブル96Aを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り増しFF制御量補正部92における車速ゲインテーブル97Aは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると急激に減少し、0となる。切り増しFF制御量補正部92は、この車速ゲインテーブル97Aを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り増しFF制御量補正部92は、FF制御量(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御量補正値を算出する。
つまり、この実施例では、切り増しと判定された場合のFF制御量補正値は、車速に大きく依存し、車速が前記所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御量補正値が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御量補正値はほぼ0となるように設定されている。
この実施例において、横Gゲインテーブル96Aと車速ゲインテーブル97Aは、切り増し判定時における増加特性を構成する。
次に、図16を参照して、切り戻しFF制御量補正部93におけるFF制御量補正値の算出を説明する。
切り戻しFF制御量補正部93における横Gゲインテーブル96Bは、横Gが所定値に達するまではゲインKgが0であり、横Gが前記所定値を越えると横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に大きくなっていく。切り戻しFF制御量補正部93は、この横Gゲインテーブル96Bを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り戻しFF制御量補正部93における車速ゲインテーブル97Bは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると徐々に増大する。切り戻しFF制御量補正部93は、この車速ゲインテーブル97Bを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り戻しFF制御量補正部93は、FF制御量(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御量補正値を算出する。
つまり、この実施例では、切り戻しと判定された場合のFF制御量補正値は、横Gに大きく依存し、横Gが前記所定値以下では車速に関わらずFF制御量補正値は0であり、横Gが前記所定値を越えるとFF制御量補正値が発生するように設定されている。
この実施例において、横Gゲインテーブル96Bと車速ゲインテーブル97Bは、切り戻し判定時における増加特性を構成する。
切り戻しFF制御量補正部93における横Gゲインテーブル96Bは、横Gが所定値に達するまではゲインKgが0であり、横Gが前記所定値を越えると横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に大きくなっていく。切り戻しFF制御量補正部93は、この横Gゲインテーブル96Bを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り戻しFF制御量補正部93における車速ゲインテーブル97Bは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると徐々に増大する。切り戻しFF制御量補正部93は、この車速ゲインテーブル97Bを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り戻しFF制御量補正部93は、FF制御量(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御量補正値を算出する。
つまり、この実施例では、切り戻しと判定された場合のFF制御量補正値は、横Gに大きく依存し、横Gが前記所定値以下では車速に関わらずFF制御量補正値は0であり、横Gが前記所定値を越えるとFF制御量補正値が発生するように設定されている。
この実施例において、横Gゲインテーブル96Bと車速ゲインテーブル97Bは、切り戻し判定時における増加特性を構成する。
このように、FF制御量補正部90では、切り増し/切り戻し判定部27における判定結果に応じて増加特性を変更して(換言すると、増加特性を持ち替えて)、FF制御量補正値を算出する。
そして、切り増しと切り戻しのそれぞれの場合の増加特性が前述のように設定されているので、高車速域では切り増しのときのFF制御量補正値が0となって、切り戻しのときのFF制御量補正値よりも小さくなる。これにより、高車速域での切り増しのときには過剰な操舵介入を抑制して安定性を確保するとともに収束性の向上を図ることができ、一方、高車速域での切り戻しのときには応答性を向上することができる。
そして、切り増しと切り戻しのそれぞれの場合の増加特性が前述のように設定されているので、高車速域では切り増しのときのFF制御量補正値が0となって、切り戻しのときのFF制御量補正値よりも小さくなる。これにより、高車速域での切り増しのときには過剰な操舵介入を抑制して安定性を確保するとともに収束性の向上を図ることができ、一方、高車速域での切り戻しのときには応答性を向上することができる。
切り増しFF制御量補正部92および切り戻しFF制御量補正部93は、算出したFF制御量補正値をリミット処理部94に出力する。
リミット処理部94には、FF制御量補正値の外に、リミット値テーブル95を参照して決定されるリミット値YMが入力される。リミット値テーブル95は、横軸が路面の摩擦係数μ、縦軸がリミット値YMであり、μ算出部8で算出された路面の摩擦係数μに応じてリミット値YMが決定される。
リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93から入力したFF制御量補正値が、リミット値テーブル95で決定されたリミット値(上限値)YMを越えないようにリミット処理を行う。すなわち、リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御量補正値がリミット値YMを越えない場合には、算出されたFF制御量補正値をそのまま出力し、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御量補正値がリミット値YMを越える場合には、リミット値YMをFF制御量補正値として出力する。
そして、リミット処理部94から出力されたFF制御量補正値は定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制動力制御量演算部18に入力される。
リミット処理部94には、FF制御量補正値の外に、リミット値テーブル95を参照して決定されるリミット値YMが入力される。リミット値テーブル95は、横軸が路面の摩擦係数μ、縦軸がリミット値YMであり、μ算出部8で算出された路面の摩擦係数μに応じてリミット値YMが決定される。
リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93から入力したFF制御量補正値が、リミット値テーブル95で決定されたリミット値(上限値)YMを越えないようにリミット処理を行う。すなわち、リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御量補正値がリミット値YMを越えない場合には、算出されたFF制御量補正値をそのまま出力し、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御量補正値がリミット値YMを越える場合には、リミット値YMをFF制御量補正値として出力する。
そして、リミット処理部94から出力されたFF制御量補正値は定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制動力制御量演算部18に入力される。
FF制動力制御量演算部18は、FF制御量補正部90から入力した定常ヨーレート偏差Δωff(すなわち、リミット処理部94から出力されるFF制御量補正値)に基づいてFF制動力制御量を算出する。
なお、この実施例におけるFF制動力制御量演算部18のFF制動力制御量算出処理は、定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制御量補正値を用いる点を除いて、参考例2におけるFF制動力制御量演算部18のFF制動力制御量算出処理と全く同じであるので、図11を援用してその説明を省略する。
なお、この実施例においても、図11におけるゲインテーブル63により高車速時にはFR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffが無効(0)とされ、図11におけるゲインテーブル67により高車速時にはRR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffが無効(0)とされることから、ゲインテーブル63,67は無効化手段を構成する。
なお、この実施例におけるFF制動力制御量演算部18のFF制動力制御量算出処理は、定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制御量補正値を用いる点を除いて、参考例2におけるFF制動力制御量演算部18のFF制動力制御量算出処理と全く同じであるので、図11を援用してその説明を省略する。
なお、この実施例においても、図11におけるゲインテーブル63により高車速時にはFR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffが無効(0)とされ、図11におけるゲインテーブル67により高車速時にはRR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffが無効(0)とされることから、ゲインテーブル63,67は無効化手段を構成する。
次に、ブレーキ制御部2におけるFB制御系について説明する。
セレクタ28は、切り増し/切り戻し判定部27の判定結果に応じて、舵角規範ヨーレート演算部11で算出した舵角規範ヨーレートωstnと、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24で算出したフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfのうちの一方を選択し、それを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力する。詳述すると、切り増し/切り戻し判定部27により切り増しと判定された場合には、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを選択して、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力し、切り増し/切り戻し判定部27により切り戻しと判定された場合には、舵角規範ヨーレートωstnを選択して、舵角規範ヨーレートωstnを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力する。
セレクタ28は、切り増し/切り戻し判定部27の判定結果に応じて、舵角規範ヨーレート演算部11で算出した舵角規範ヨーレートωstnと、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24で算出したフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfのうちの一方を選択し、それを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力する。詳述すると、切り増し/切り戻し判定部27により切り増しと判定された場合には、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを選択して、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力し、切り増し/切り戻し判定部27により切り戻しと判定された場合には、舵角規範ヨーレートωstnを選択して、舵角規範ヨーレートωstnを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力する。
横G規範ヨーレート演算部14は参考例1におけるものと同じであるので説明を省略する。
補正部15は、セレクタ28を介して入力された定常規範ヨーレートω_highと、横G規範ヨーレート演算部14から入力された横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。補正部15において限界規範ヨーレートω_TARを算出する際に、この実施例では、切り増し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとしてフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを用い、切り戻し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとして舵角規範ヨーレートωstnを用いる点が参考例1と相違する。この点を除き、限界規範ヨーレートω_TARの算出方法は参考例1の場合と同じであるので、詳細説明は省略する。
限界ヨーレート偏差演算部16、FB制動力制御量演算部19は、参考例1のものと同じであるので説明を省略する。
補正部15は、セレクタ28を介して入力された定常規範ヨーレートω_highと、横G規範ヨーレート演算部14から入力された横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。補正部15において限界規範ヨーレートω_TARを算出する際に、この実施例では、切り増し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとしてフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを用い、切り戻し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとして舵角規範ヨーレートωstnを用いる点が参考例1と相違する。この点を除き、限界規範ヨーレートω_TARの算出方法は参考例1の場合と同じであるので、詳細説明は省略する。
限界ヨーレート偏差演算部16、FB制動力制御量演算部19は、参考例1のものと同じであるので説明を省略する。
そして、この実施例のブレーキ制御部2は、総制動力制御量演算部17において、FF制動力制御量演算部18で算出したFF制動力制御量と、FB制動力制御量演算部19で算出したにFB制動力制御量を加算して総制動力制御量を算出し、ブレーキ装置(制動制御手段)10に指令値として出力する。この総制動力制御量の算出処理については参考例2と同じであるので、図11を援用してその説明を省略する。
ブレーキ装置10は前記総制動力制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
ブレーキ装置10は前記総制動力制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
図17は、実施例におけるFF制御の概念図である。
実施例のFF制御では、切り増しのときに総制動力制御量を増やす方向(換言するとヨーモーメントを増やす方向)に制御することができ、切り戻しのときには総制動力制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができる。
しかも、前述したように、切り増しのときであっても、車速が所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御量補正値が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御量補正値は0となるように設定されるので、前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を定常速度域のときだけ実施して、時間遅れを低減し操舵の応答性および回頭性を向上させることができ、高車速域では前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を行わないことにより、操舵の安定性を確保することができる。
また、切り戻しのときには総制動力制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができるので、ヨーモーメントの収束性が向上する。なお、前述したように、切り戻しのときに横Gが小さいときはFF制御量補正値が0となるように設定されるので、このときには前記ヨーモーメントを減らす方向へのFF制御は実施されない。これは、制御介入によって車両挙動が不自然になることを防止し、車両の自己収束性を用いて中立位置に違和感なくスムーズに復帰させるためである。
実施例のFF制御では、切り増しのときに総制動力制御量を増やす方向(換言するとヨーモーメントを増やす方向)に制御することができ、切り戻しのときには総制動力制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができる。
しかも、前述したように、切り増しのときであっても、車速が所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御量補正値が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御量補正値は0となるように設定されるので、前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を定常速度域のときだけ実施して、時間遅れを低減し操舵の応答性および回頭性を向上させることができ、高車速域では前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を行わないことにより、操舵の安定性を確保することができる。
また、切り戻しのときには総制動力制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができるので、ヨーモーメントの収束性が向上する。なお、前述したように、切り戻しのときに横Gが小さいときはFF制御量補正値が0となるように設定されるので、このときには前記ヨーモーメントを減らす方向へのFF制御は実施されない。これは、制御介入によって車両挙動が不自然になることを防止し、車両の自己収束性を用いて中立位置に違和感なくスムーズに復帰させるためである。
図18は、実施例の車両の旋回制御装置1における制御結果の一例を示したもので、各ヨーレート値の時間的推移を示している。
この実施例1の車両の旋回制御装置によれば、ステアリングホイールを切り増ししているときには、フィードバック目標ヨーレート(以下、FB目標ヨーレート)をフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfに近づけるように設定することができ、ステアリングホイールを切り戻ししているときにはFB目標ヨーレートを舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することができる。ここで、切り増し判定時にはフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも小さいので、この実施例では、操舵方向が切り増し方向であると判別した場合に、横G規範ヨーレートを増加補正して基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する際の補正量を、操舵方向が切り戻し方向であると判別した場合に比べて小さくすることになる。
一般に、切り増ししているときには運転者はステアリングホイールを過剰に操作する傾向にあるので、このようなときには舵角規範ヨーレートωstnよりも値の小さいフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfにFB目標ヨーレートを近づけるように設定した方が、過剰な制御介入を抑制することができて、自然な操舵応答に近づけることができる。一方、切り戻しているときには、FB目標ヨーレートを時間遅れのない舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することで、応答性を向上させることができる。
この実施例1の車両の旋回制御装置によれば、ステアリングホイールを切り増ししているときには、フィードバック目標ヨーレート(以下、FB目標ヨーレート)をフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfに近づけるように設定することができ、ステアリングホイールを切り戻ししているときにはFB目標ヨーレートを舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することができる。ここで、切り増し判定時にはフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも小さいので、この実施例では、操舵方向が切り増し方向であると判別した場合に、横G規範ヨーレートを増加補正して基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する際の補正量を、操舵方向が切り戻し方向であると判別した場合に比べて小さくすることになる。
一般に、切り増ししているときには運転者はステアリングホイールを過剰に操作する傾向にあるので、このようなときには舵角規範ヨーレートωstnよりも値の小さいフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfにFB目標ヨーレートを近づけるように設定した方が、過剰な制御介入を抑制することができて、自然な操舵応答に近づけることができる。一方、切り戻しているときには、FB目標ヨーレートを時間遅れのない舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することで、応答性を向上させることができる。
また、実施例の車両の旋回制御装置によれば、参考例1の車両の旋回制御装置と同様、補正部15により、操舵角に基づいて算出される定常規範ヨーレートω_high(すなわち舵角規範ヨーレートωstnまたはフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstf)に関連させて、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正し、限界規範ヨーレートω_TARを算出しているので、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御を両立することができる。その結果、運転者の旋回意志が応答良く反映され、操舵フィールが向上する。
また、参考例1の車両の旋回制御装置と同様、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制動力制御量演算部19における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
また、参考例1の車両の旋回制御装置と同様、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制動力制御量演算部19における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
さらに、この実施例の車両の旋回制御装置によれば、車体挙動に基づき算出されたFB制動力制御量に、操舵入力に基づき算出されたFF制動力制御量を加えた総制動力制御量に基づいてブレーキ圧を制御しているので、車両挙動の安定性を確保しつつ、操舵の応答性を向上させることができる。また、操舵の追従性も向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
なお、この発明は前述した実施例のみに限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、FF制動力制御量とFB制動力制御量を加算して総制動力制御量を算出したが、FF制動力制御量とFB制動力制御量を乗算して総制動力制御量を算出することも可能である。
また、車速センサの検出値に替えて、車輪速センサの検出値に基づき推定される推定車速を用いてもよい。
例えば、前述した実施例では、FF制動力制御量とFB制動力制御量を加算して総制動力制御量を算出したが、FF制動力制御量とFB制動力制御量を乗算して総制動力制御量を算出することも可能である。
また、車速センサの検出値に替えて、車輪速センサの検出値に基づき推定される推定車速を用いてもよい。
また、前述した実施例では、FF制動力制御量演算部18において、高車速時にFR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffおよびRR旋回内輪のFF増圧量ΔP2ffを無効とすることで、高車速時に操舵アシストブレーキに起因して車両挙動が不安定になるのを防止したが、操舵速度が極めて大きいときやABS作動時にも旋回内輪のFF増圧量を無効にしてもよい。
<第2実施形態>
この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の実施例を説明する前に、その参考例を図19から図29の図面を参照して説明する。なお、同一態様部分には同一符号を付して説明を適宜省略する。
<参考例1>
初めに、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の参考例1を図19から図27の図面を参照して説明する。
図19は、参考例1の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。
車両の旋回制御装置1は、ブレーキ制御部2と、ブレーキ装置10とを備えている。
ブレーキ制御部2は車両の走行状態に応じて前後左右輪の制動力制御量を決定し、ブレーキ装置10は、ブレーキ制御部2によって決定された各輪の制動力制御量に基づいて、各輪の制動力を制御する。
この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の実施例を説明する前に、その参考例を図19から図29の図面を参照して説明する。なお、同一態様部分には同一符号を付して説明を適宜省略する。
<参考例1>
初めに、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の参考例1を図19から図27の図面を参照して説明する。
図19は、参考例1の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。
車両の旋回制御装置1は、ブレーキ制御部2と、ブレーキ装置10とを備えている。
ブレーキ制御部2は車両の走行状態に応じて前後左右輪の制動力制御量を決定し、ブレーキ装置10は、ブレーキ制御部2によって決定された各輪の制動力制御量に基づいて、各輪の制動力を制御する。
ブレーキ制御部2には、車両のステアリングホイールの操舵角(操舵量)を検知する操舵角センサ3、車速を検知する車速センサ4、車両の左右方向(車幅方向)の加速度すなわち横加速度(以下、横Gと略す)を検知する横加速度センサ(以下、横Gセンサと略す)5、車両のヨーレートを検知するヨーレートセンサ6、車両のアクセル開度を検知するアクセル開度センサ7から、それぞれ検出値に応じた検知信号が入力され、また、車両の車輪と路面との摩擦係数を算出するμ算出部8から、算出した摩擦係数に応じた電気信号が入力される。
ブレーキ制御部2は、舵角規範ヨーレート演算部11、定常規範ヨーレート演算部12、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、フィードバック制御量演算部(以下、FB制御量演算部と略す)119と、を備えている。
舵角規範ヨーレート演算部11は、操舵角センサ3により検知された操舵角と、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、舵角規範ヨーレートを推定算出する。具体的には、図20に示すように、舵角規範ヨーレートゲインテーブル22を参照して車速に応じた舵角規範ヨーレートゲインKyを求め、操舵角センサ3により検知された操舵角に前記舵角規範ヨーレートゲインKyを乗じて算出する。なお、舵角規範ヨーレートゲインテーブル22は、横軸が車速、縦軸が舵角規範ヨーレートゲインKyであり、タイヤ特性を加味して実験的に得ることができる。この参考例1における舵角規範ヨーレートゲインテーブル22は非線形であり、車速が大きくなるほど舵角規範ヨーレートゲインKyは大きくなっていき、所定値に収束していく。運転者が車両を積極的に曲げたいときには操舵角を大きくするので、舵角規範ヨーレートは大きくなる。つまり、舵角に基づいて算出される舵角規範ヨーレートが大きいときは、車両を曲げたいという運転者の操舵意志が大きいと推定することができる。
定常規範ヨーレート演算部12は、定常規範ヨーレートゲインテーブル21を参照して車速に応じた定常規範ヨーレートゲインKvを算出し、舵角規範ヨーレートに定常規範ヨーレートゲインKvを乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出する。この参考例1における定常規範ヨーレートゲインテーブル21は、横軸が車速、縦軸が定常規範ヨーレートゲインKvであり、車速が大きくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvは1に収束し、車速が小さくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvが大きくなるように設定されている。この参考例1において、定常規範ヨーレートω_highは補正基準値を構成し、定常規範ヨーレートω_highは車速が低いほど高ゲインとなる。
定常規範ヨーレート演算部12は、定常規範ヨーレートゲインテーブル21を参照して車速に応じた定常規範ヨーレートゲインKvを算出し、舵角規範ヨーレートに定常規範ヨーレートゲインKvを乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出する。この参考例1における定常規範ヨーレートゲインテーブル21は、横軸が車速、縦軸が定常規範ヨーレートゲインKvであり、車速が大きくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvは1に収束し、車速が小さくなるほど定常規範ヨーレートゲインKvが大きくなるように設定されている。この参考例1において、定常規範ヨーレートω_highは補正基準値を構成し、定常規範ヨーレートω_highは車速が低いほど高ゲインとなる。
横G規範ヨーレート演算部14は、横Gセンサ5により検知された横Gと、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、横G規範ヨーレートω_lowを算出する。横G規範ヨーレートω_lowは、現在の横Gで発生することができるヨーレートであり、例えばω_low=Gy/Vで表される。ここでGyは横Gセンサ5により検知された横加速度検出値、Vは車速センサ4により検知された車体速である。
補正部15は、定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。補正部15における限界規範ヨーレートω_TARの算出方法については後で詳述する。
限界ヨーレート偏差演算部16は、限界規範ヨーレートω_TARからヨーレートセンサ6により検知されたヨーレート(実ヨーレート)を減算し、限界ヨーレート偏差Δωfbを算出する。
FB制御量演算部119は、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてフィードバック制御量(以下、FB制御量と略す)を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
補正部15は、定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。補正部15における限界規範ヨーレートω_TARの算出方法については後で詳述する。
限界ヨーレート偏差演算部16は、限界規範ヨーレートω_TARからヨーレートセンサ6により検知されたヨーレート(実ヨーレート)を減算し、限界ヨーレート偏差Δωfbを算出する。
FB制御量演算部119は、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてフィードバック制御量(以下、FB制御量と略す)を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
次に、図21から図26の図面を参照して、補正部15における限界規範ヨーレートω_TARの算出方法を説明する。
図21に示すように、補正部15は、配分係数HB1演算部31、基準限界規範ヨーレート演算部32、補正係数HS1演算部33、補正係数HS2演算部34、補正係数HS3演算部35を備えている。
補正部15では、基準限界規範ヨーレート演算部32において、配分係数HB1演算部31で算出した配分係数HB1と定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて基準限界規範ヨーレートω_t1が算出される。さらに、この基準限界規範ヨーレートω_t1に、補正係数HS1演算部33および補正係数HS2演算部34で算出した補正係数HS1,HS2を乗じ、さらに補正係数HS3演算部35で算出した補正係数HS3を加算することにより、限界規範ヨーレートω_TARが算出される(下式(8)参照)。
ω_TAR=ω_t1×HS1×HS2+HS3 ・・・ 式(8)
この限界規範ヨーレートω_TARは、フィードバック制御におけるヨーレート目標値となる。
図21に示すように、補正部15は、配分係数HB1演算部31、基準限界規範ヨーレート演算部32、補正係数HS1演算部33、補正係数HS2演算部34、補正係数HS3演算部35を備えている。
補正部15では、基準限界規範ヨーレート演算部32において、配分係数HB1演算部31で算出した配分係数HB1と定常規範ヨーレートω_highと横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて基準限界規範ヨーレートω_t1が算出される。さらに、この基準限界規範ヨーレートω_t1に、補正係数HS1演算部33および補正係数HS2演算部34で算出した補正係数HS1,HS2を乗じ、さらに補正係数HS3演算部35で算出した補正係数HS3を加算することにより、限界規範ヨーレートω_TARが算出される(下式(8)参照)。
ω_TAR=ω_t1×HS1×HS2+HS3 ・・・ 式(8)
この限界規範ヨーレートω_TARは、フィードバック制御におけるヨーレート目標値となる。
詳述すると、基準限界規範ヨーレート演算部32は、従来の操舵アシストブレーキ制御におけるフィードバック制御において目標値としていた横G規範ヨーレートω_lowを、操舵角に基づいて算出された定常規範ヨーレートω_highに関連させて、増加する方向に補正して基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する。これにより、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御の両立を図っている。
ここで、横G規範ヨーレートの増加補正について図22を参照して説明する。図22は、直進状態からステアリングホイールを回転し、所定の操舵角に保持するまでの舵角規範ヨーレートと横G規範ヨーレートの時間的変化を示している。このように、通常、舵角規範ヨーレートは横G規範ヨーレートよりも大きい。そこで、横G規範ヨーレートを増加補正する方法として、舵角規範ヨーレートに近づけるように補正することとし、舵角規範ヨーレートにどの程度近づけるかを走行状態に応じて調整し、その調整手段に横G規範ヨーレートと舵角規範ヨーレートの配分係数という概念を採用した。
そして、この参考例1では、これをさらに発展させて、横G規範ヨーレートを増加補正する方法として、舵角規範ヨーレートに基づいて算出された定常規範ヨーレートω_highに近づけるように補正することとした。
詳述すると、この参考例1では、配分係数HB1演算部31により算出された配分係数HB1と、横G規範ヨーレートω_lowと、定常規範ヨーレートω_highに基づいて、式(9)から基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する(下式(9)参照)。
ω_t1=HB1×ω_high+(1−HB1)×ω_low ・・・ 式(9)
ここで、配分係数HB1は0から1の数値であり、HB1=0の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は横G規範ヨーレートω_lowとなり、HB1=1の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は定常規範ヨーレートω_highとなる。
詳述すると、この参考例1では、配分係数HB1演算部31により算出された配分係数HB1と、横G規範ヨーレートω_lowと、定常規範ヨーレートω_highに基づいて、式(9)から基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する(下式(9)参照)。
ω_t1=HB1×ω_high+(1−HB1)×ω_low ・・・ 式(9)
ここで、配分係数HB1は0から1の数値であり、HB1=0の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は横G規範ヨーレートω_lowとなり、HB1=1の場合には基準限界規範ヨーレートω_t1は定常規範ヨーレートω_highとなる。
次に、図23を参照して、配分係数HB1演算部31において算出される配分係数HB1について説明する。
配分係数HB1は、車速に応じて算出される配分係数HB1aと、ヨーレート変化率に応じて算出される配分係数HB1bと、ヨーレート偏差積分に応じて算出される配分係数HB1cと、転舵速度に応じて算出される配分係数HB1dとを乗算して算出される(下式(10)参照)。
HB1=HB1a×HB1b×HB1c×HB1d ・・・ 式(10)
各配分係数HB1a,HB1b,HB1c,HB1dは、それぞれ図23に示す配分係数テーブル40,41,42,43を参照して算出される。この参考例1における各配分係数テーブル40,41,42,43を説明する。
配分係数HB1は、車速に応じて算出される配分係数HB1aと、ヨーレート変化率に応じて算出される配分係数HB1bと、ヨーレート偏差積分に応じて算出される配分係数HB1cと、転舵速度に応じて算出される配分係数HB1dとを乗算して算出される(下式(10)参照)。
HB1=HB1a×HB1b×HB1c×HB1d ・・・ 式(10)
各配分係数HB1a,HB1b,HB1c,HB1dは、それぞれ図23に示す配分係数テーブル40,41,42,43を参照して算出される。この参考例1における各配分係数テーブル40,41,42,43を説明する。
配分係数HB1aを算出する配分係数テーブル40において、横軸は車速であり、縦軸は配分係数HB1aである。この配分係数テーブル40は、低車速域ではHB1a=1で一定で、車速が所定値以上になると車速が高くなるにしたがって配分係数HB1aが徐々に小さくなっていき、高速域ではHB1a=0で一定となる。これにより、車速が低いときには、FB制御量演算部119において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくして、回頭性および追従性を向上させ、車速が高いときには、FB制御量演算部119において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにして、車両挙動の安定性を確保することができる。
配分係数HB1bを算出する配分係数テーブル41において、横軸はヨーレート変化率であり、縦軸は配分係数HB1bである。この配分係数テーブル41は、ヨーレート変化率が小さい領域ではHB1b=1で一定で、ヨーレート変化率が所定値以上になるとヨーレート変化率が大きくなるにしたがって配分係数HB1bが徐々に小さくなっていき、ヨーレート変化率が大きい領域ではHB1b=0で一定となる。ここで、ヨーレート変化率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの時間的変化であり、実ヨーレートを時間微分することにより算出することができる。例えば、激しいスラローム走行をしているときや、車両挙動が不安定であるときなどには、大きなヨーレート変化率が現れる。
このようなときには、FB制御量演算部119において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくすべきではないので、ヨーレート変化率が大きいときには配分係数HB1bを小さい値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
このようなときには、FB制御量演算部119において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくすべきではないので、ヨーレート変化率が大きいときには配分係数HB1bを小さい値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
配分係数HB1cを算出する配分係数テーブル42において、横軸はヨーレート偏差積分値であり、縦軸は配分係数HB1cである。この配分係数テーブル42は、ヨーレート偏差積分値が小さい領域ではHB1c=1で一定で、ヨーレート偏差積分値が所定値以上になるとヨーレート偏差積分値が大きくなるにしたがって配分係数HB1cが徐々に小さくなっていき、ヨーレート偏差積分値が大きい領域ではHB1c=0で一定となる。ここで、ヨーレート偏差積分値とは、限界規範ヨーレートとヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートとの偏差すなわち限界ヨーレート偏差Δωfbを操舵を開始したときから積算した値である。例えば、限界ヨーレート偏差Δωfbが小さくてもその状態が長時間続いた場合にはヨーレート偏差積分値が大きくなる。このようなときは、ゆっくりではあるが徐々に車がスピン状態になっている可能性があるので、FB制御量演算部119において目標値となる限界規範ヨーレートω_TARを大きくすべきではない。そこで、ヨーレート偏差積分値が大きいときには配分係数HB1cを小さい値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
配分係数HB1dを算出する配分係数テーブル43において、横軸は転舵速度であり、縦軸は配分係数HB1dである。
この配分係数テーブル43は、転舵速度が大きいほど配分係数HB1dが大きくなり、且つ、転舵速度が正の場合には転舵速度が負の場合よりも配分係数HB1dが大きくなるように設定されている。ここで、転舵速度は操舵角センサ3で検知される操舵角の時間変化量と舵角に基づき決定される値であり、操舵角を時間微分して舵角と比較することにより算出することができる。転舵速度が正の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で同方向に向けた時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)に向けて回転操作している状態で同方向への時間変化量が生じているときであり、転舵速度が負の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で中立位置に向く方向に時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置に戻す方向に回転操作している状態で中立位置から離間する方向に時間変化量が生じているときである。
この配分係数テーブル43は、転舵速度が大きいほど配分係数HB1dが大きくなり、且つ、転舵速度が正の場合には転舵速度が負の場合よりも配分係数HB1dが大きくなるように設定されている。ここで、転舵速度は操舵角センサ3で検知される操舵角の時間変化量と舵角に基づき決定される値であり、操舵角を時間微分して舵角と比較することにより算出することができる。転舵速度が正の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で同方向に向けた時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)に向けて回転操作している状態で同方向への時間変化量が生じているときであり、転舵速度が負の場合とは、ステアリングホイールを中立位置(直進方向位置)から離間する方向に回転操作している状態で中立位置に向く方向に時間変化量が生じているときおよびステアリングホイールを中立位置に戻す方向に回転操作している状態で中立位置から離間する方向に時間変化量が生じているときである。
転舵速度が正の場合は、運転者が車両を大きく曲げたいという操作意志が大きいと推定することができるので、転舵速度が大きくなるほど配分係数HB1dを大きい値にして(最大値はHB1d=1で一定)、限界規範ヨーレートω_TARが大きくなるようにする。これにより、操舵の応答性を向上させる。一方、転舵速度が負の場合は、運転者が操作を収束させたい状態と推定することができるので、転舵速度の絶対値が大きくなるほど配分係数HB1dを小さい値にして(最小値はHB1d=0で一定)、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにする。
これにより、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
なお、配分係数HB1dは転舵速度に代えて転舵角(転舵量)に基づいて算出してもよい。転舵角が大きいほど、運転者が車両を積極的に曲げたいという操作意志が大きいと推定することができるからである。この場合の、転舵角は操舵角と同義である。
これにより、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
なお、配分係数HB1dは転舵速度に代えて転舵角(転舵量)に基づいて算出してもよい。転舵角が大きいほど、運転者が車両を積極的に曲げたいという操作意志が大きいと推定することができるからである。この場合の、転舵角は操舵角と同義である。
次に、図24を参照して、補正係数HS1演算部33において算出される補正係数HS1について説明する。
この補正係数HS1は、運転者が車両を前荷重にしてハンドルを切ることにより車両を曲げる操作を行うときなどを想定した補正係数である。
図24に示すように、補正係数HS1は、操舵速度に応じて算出される補正係数HS1aと、車両の前荷重に応じて算出される補正係数HS1bとを乗算して算出される(下式(11)参照)。
HS1=HS1a×HS1b ・・・ 式(11)
車両の前荷重とは車両前方への荷重移動量であり、例えば、車両の前後方向の加速度を検知する図示しない前後加速度センサに基づいて推定することができる。この場合、前後加速度センサは、前後方向への荷重移動量を推定する荷重移動量推定手段と言うことができる。
この補正係数HS1は、運転者が車両を前荷重にしてハンドルを切ることにより車両を曲げる操作を行うときなどを想定した補正係数である。
図24に示すように、補正係数HS1は、操舵速度に応じて算出される補正係数HS1aと、車両の前荷重に応じて算出される補正係数HS1bとを乗算して算出される(下式(11)参照)。
HS1=HS1a×HS1b ・・・ 式(11)
車両の前荷重とは車両前方への荷重移動量であり、例えば、車両の前後方向の加速度を検知する図示しない前後加速度センサに基づいて推定することができる。この場合、前後加速度センサは、前後方向への荷重移動量を推定する荷重移動量推定手段と言うことができる。
各補正係数HS1a,HS1bは、それぞれ図24に示す補正係数テーブル44,45を参照して算出される。この参考例1における補正係数テーブル44,45を説明する。
補正係数HS1aを算出する補正係数テーブル44において、横軸は操舵速度であり、縦軸は補正係数HS1aである。この補正係数HS1aテーブル44は、操舵速度が小さい領域ではHS1a=1で一定で、操舵速度が所定値以上になると操舵速度が大きくなるにしたがって補正係数HS1aが徐々に小さくなっていき、操舵速度が大きい領域ではHS1a=0で一定となる。
補正係数HS1bを算出する補正係数テーブル45において、横軸は前荷重(車両前方への荷重移動量)であり、縦軸は補正係数HS1bである。この補正係数HS1bテーブル45は、前荷重が小さい領域ではHS1b=1で一定で、前荷重が所定値以上になると前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1bが徐々に小さくなっていき、前荷重が大きい領域ではHS1b=0で一定となる。
補正係数HS1aを算出する補正係数テーブル44において、横軸は操舵速度であり、縦軸は補正係数HS1aである。この補正係数HS1aテーブル44は、操舵速度が小さい領域ではHS1a=1で一定で、操舵速度が所定値以上になると操舵速度が大きくなるにしたがって補正係数HS1aが徐々に小さくなっていき、操舵速度が大きい領域ではHS1a=0で一定となる。
補正係数HS1bを算出する補正係数テーブル45において、横軸は前荷重(車両前方への荷重移動量)であり、縦軸は補正係数HS1bである。この補正係数HS1bテーブル45は、前荷重が小さい領域ではHS1b=1で一定で、前荷重が所定値以上になると前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1bが徐々に小さくなっていき、前荷重が大きい領域ではHS1b=0で一定となる。
前述したように車両を前荷重にしてハンドルを切ると車両を曲げ易くなるが、前荷重が大きくなるにしたがって車両挙動が不安定になり易く、また、操舵速度が大きいほど車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS1は、このような操舵時の限界規範ヨーレートω_TARを調整するための補正係数である。
補正係数HS1を上述のように算出する結果、操舵速度が小さい領域で且つ前荷重が小さい領域では補正係数HS1は1となるので、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができ、回頭性を向上することができる。これに対して、操舵速度および前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1は1よりも小さくなっていくので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができ、車両挙動の安定性を確保することができる。
補正係数HS1を上述のように算出する結果、操舵速度が小さい領域で且つ前荷重が小さい領域では補正係数HS1は1となるので、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができ、回頭性を向上することができる。これに対して、操舵速度および前荷重が大きくなるにしたがって補正係数HS1は1よりも小さくなっていくので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができ、車両挙動の安定性を確保することができる。
次に、補正係数HS2演算部34において算出される補正係数HS2について説明する。
この補正係数HS2は、車輪と路面との摩擦係数(以下μと略す)が高い路面(以下、高μ路と略す)でレーンチェンジ(操舵をして、すぐに元の進行方向に戻す操作)をする場合を想定した補正係数である。
補正係数HS2は、1を最大値として、下記の条件を満たした場合に所定の減少カウント値を初期値から減算し、下記のいずれの条件も満たさない場合に1に向けて所定の増加カウント値を加算するよう構成されるゲインである。条件としては、(a)摩擦係数μが高いと判断されたとき(または高摩擦係数の路面走行に対応する前後または横方向加速度が検出されているとき)、(b)操舵角が大きいと判断されたとき、(c)横G減少率が大きいと判断されたとき、(d)ヨーレート減少率が大きいと判断されたときに所定の減少カウント値を減算する。なお、上記条件は、(a)から(d)のうち少なくとも1つまたは複数を任意に組合わせたものであればよい。特に高摩擦係数時の車両挙動収束性を考慮すると、上記(a)と、(b)から(d)のいずれかを組合わせて用いることが好ましい。
なお、摩擦係数μは、μ算出部8により算出される。また、横G減少率とは、横Gの減少速度であり、横Gセンサ5で検知される横Gに基づいて算出することができ、ヨーレート減少率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの減少速度である。
この補正係数HS2は、車輪と路面との摩擦係数(以下μと略す)が高い路面(以下、高μ路と略す)でレーンチェンジ(操舵をして、すぐに元の進行方向に戻す操作)をする場合を想定した補正係数である。
補正係数HS2は、1を最大値として、下記の条件を満たした場合に所定の減少カウント値を初期値から減算し、下記のいずれの条件も満たさない場合に1に向けて所定の増加カウント値を加算するよう構成されるゲインである。条件としては、(a)摩擦係数μが高いと判断されたとき(または高摩擦係数の路面走行に対応する前後または横方向加速度が検出されているとき)、(b)操舵角が大きいと判断されたとき、(c)横G減少率が大きいと判断されたとき、(d)ヨーレート減少率が大きいと判断されたときに所定の減少カウント値を減算する。なお、上記条件は、(a)から(d)のうち少なくとも1つまたは複数を任意に組合わせたものであればよい。特に高摩擦係数時の車両挙動収束性を考慮すると、上記(a)と、(b)から(d)のいずれかを組合わせて用いることが好ましい。
なお、摩擦係数μは、μ算出部8により算出される。また、横G減少率とは、横Gの減少速度であり、横Gセンサ5で検知される横Gに基づいて算出することができ、ヨーレート減少率とは、ヨーレートセンサ6で検知される実ヨーレートの減少速度である。
図25のフローチャートに従って、補正係数HS2を決定する処理の一例を説明する。
初めに、ステップS01において、摩擦係数μが閾値μthよりも大きいか否かを判定する。
ステップS01における判定結果が「YES」(μ>μth)である場合には、ステップS02に進み、操舵角δが閾値δthよりも大きいか(δ>δth)、あるいは、横G減少率ΔGが閾値ΔGthよりも大きいか(ΔG>ΔGth)、あるいは、ヨーレート減少率γが閾値γthよりも大きいか(γ>γth)のうち1つでも満たすものがあるか否かを判定する。
ステップS02における判定結果が「YES」である場合には、ステップS03に進み、減算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この減算処理は、補正係数HS2の初期値から所定の減算カウント値を減算していき、補正係数HS2が0に収束していくようにする。
一方、ステップS01における判定結果が「NO」(μ≦μth)である場合、および、ステップS02における判定結果が「NO」である場合には、ステップS04に進み、加算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この加算処理は、所定の増加カウント値を加算していき、補正係数HS2が1に収束していくようにする。
なお、補正係数HS2の初期値は0から1の間の所定値とする。
初めに、ステップS01において、摩擦係数μが閾値μthよりも大きいか否かを判定する。
ステップS01における判定結果が「YES」(μ>μth)である場合には、ステップS02に進み、操舵角δが閾値δthよりも大きいか(δ>δth)、あるいは、横G減少率ΔGが閾値ΔGthよりも大きいか(ΔG>ΔGth)、あるいは、ヨーレート減少率γが閾値γthよりも大きいか(γ>γth)のうち1つでも満たすものがあるか否かを判定する。
ステップS02における判定結果が「YES」である場合には、ステップS03に進み、減算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この減算処理は、補正係数HS2の初期値から所定の減算カウント値を減算していき、補正係数HS2が0に収束していくようにする。
一方、ステップS01における判定結果が「NO」(μ≦μth)である場合、および、ステップS02における判定結果が「NO」である場合には、ステップS04に進み、加算処理により補正係数HS2を決定し、本ルーチンの実行を一旦終了する。この加算処理は、所定の増加カウント値を加算していき、補正係数HS2が1に収束していくようにする。
なお、補正係数HS2の初期値は0から1の間の所定値とする。
高μ路においてレーンチェンジを行ったときに、ヨーレートおよび横Gが急激に減少する場合には、操舵により進行したい方向と逆の方向へ大きなヨーレートが発生することがある。この時に、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすると、操舵に対する車両のトレース性が悪化する虞がある。補正係数HS2はこれを抑制するためのものである。つまり、摩擦係数μ、操舵角、横G減少率、ヨーレート減少率が大きい場合には、補正係数HS2を小さい値とすることで、限界規範ヨーレートω_TARを大きくしないようにし、これによりレーンチェンジ後のヨーレートの収束性を向上する。
次に、図26を参照して、補正係数HS3演算部35において算出される補正係数HS3について説明する。
この補正係数HS3は、運転者がタックインをしたときなどを想定した補正係数である。タックインは、旋回中にアクセルペダルを急に戻したときに車両が前荷重となって旋回内側に入り込む現象であるが、運転者によってはこれを利用して積極的に旋回操作を行う場合がある。しかしながら、このタックインを利用した旋回操作は、車両への要求トルクが大きいとき(換言すると、アクセル開度が大きいとき)からアクセルを開放するときや、車速が大きいときには、車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS3は、タックイン時の限界規範ヨーレートω_TARを調整するための補正係数である。
図26に示すように、補正係数HS3は、車速に応じて算出される補正係数HS3aと、車両の要求トルクに応じて算出される補正係数HS3bとを乗算して算出される(下式(12)参照)。
HS3=HS3a×HS3b ・・・ 式(12)
なお、車両の要求トルクは、アクセル開度センサ7で検知したアクセル開度から算出することができる。
この補正係数HS3は、運転者がタックインをしたときなどを想定した補正係数である。タックインは、旋回中にアクセルペダルを急に戻したときに車両が前荷重となって旋回内側に入り込む現象であるが、運転者によってはこれを利用して積極的に旋回操作を行う場合がある。しかしながら、このタックインを利用した旋回操作は、車両への要求トルクが大きいとき(換言すると、アクセル開度が大きいとき)からアクセルを開放するときや、車速が大きいときには、車両挙動が不安定になり易い。補正係数HS3は、タックイン時の限界規範ヨーレートω_TARを調整するための補正係数である。
図26に示すように、補正係数HS3は、車速に応じて算出される補正係数HS3aと、車両の要求トルクに応じて算出される補正係数HS3bとを乗算して算出される(下式(12)参照)。
HS3=HS3a×HS3b ・・・ 式(12)
なお、車両の要求トルクは、アクセル開度センサ7で検知したアクセル開度から算出することができる。
各補正係数HS3a,HS3bは、それぞれ図26に示す補正係数テーブル51,52を参照して算出される。この参考例1における補正係数テーブル51,52を説明する。
補正係数HS3aを算出する補正係数テーブル51において、横軸は車速であり、縦軸は補正係数HS3aである。この補正係数HS3aテーブル51は、車速が所定値よりも小さい領域ではHS3aは正の一定値であり、車速が前記所定値以上になると車速が大きくなるにしたがって補正係数HS3aが徐々に小さくなっていき、所定速度V0を越えると負の値となり、車速が非常に大きい領域ではHS3aは負の一定値となる。
補正係数HS3aを算出する補正係数テーブル51において、横軸は車速であり、縦軸は補正係数HS3aである。この補正係数HS3aテーブル51は、車速が所定値よりも小さい領域ではHS3aは正の一定値であり、車速が前記所定値以上になると車速が大きくなるにしたがって補正係数HS3aが徐々に小さくなっていき、所定速度V0を越えると負の値となり、車速が非常に大きい領域ではHS3aは負の一定値となる。
補正係数HS3bを算出する補正係数テーブル52において、横軸は車両の要求トルクであり、縦軸は補正係数HS3bである。この補正係数HS3bテーブル52は、要求トルクが所定値T0よりも小さい領域ではHS3bが正の値で、要求トルクが所定値T0以上の領域では補正係数HS3b=0となる。ここで、前記所定値T0は極めて小さい値であり、例えば、アクセル開度がゼロに近いときに対応した要求トルクに設定する。
このように補正係数テーブル51,52を設定することにより、要求トルクが所定値T0以上の場合(すなわち、タックイン状態ではないと判断されるとき)には、車速の大きさに関わらず補正係数HS3が0となり、限界規範ヨーレートω_TARを補正しないようにすることができる。
また、要求トルクが所定値T0以下の場合(すなわち、タックイン状態であると判断されるとき)には、車速がV0よりも小さいときには、補正係数HS3が正の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARが大きくすることができ、車速がV0以上のときには、補正係数HS3が負の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。さらに、車速がV0よりも小さい場合、要求トルクが同じときには、車速が小さいほど補正係数H3を正値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができる。これにより、車速が低中速のタックイン時の回頭性を向上させることができる。一方、車速がV0以上の場合、要求トルクが同じときには、車速が大きいほど補正係数H3を負値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。
また、要求トルクが所定値T0以下の場合(すなわち、タックイン状態であると判断されるとき)には、車速がV0よりも小さいときには、補正係数HS3が正の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARが大きくすることができ、車速がV0以上のときには、補正係数HS3が負の値となるので、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。さらに、車速がV0よりも小さい場合、要求トルクが同じときには、車速が小さいほど補正係数H3を正値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを大きくすることができる。これにより、車速が低中速のタックイン時の回頭性を向上させることができる。一方、車速がV0以上の場合、要求トルクが同じときには、車速が大きいほど補正係数H3を負値の大きな値にして、限界規範ヨーレートω_TARを小さくすることができる。
次に、図27を参照して、FB制御量演算部119において実行されるブレーキ制御量(以下、FB制御量という)の算出について説明する。
FB制御量演算部119では、限界ヨーレート偏差演算部16で演算された限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいて、前輪側の旋回内輪(以下、FR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP1fb、前輪側の旋回外輪(以下、FR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP3fb、後輪側の旋回内輪(以下、RR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP2fb、後輪側の旋回外輪(以下、RR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP4fbを算出する。なお、以降の旋回方向は偏差Δωfbの符号が正で、規範ヨーレートおよび実ヨーレートがともに正の場合を例に説明する。
FB制御量演算部119では、限界ヨーレート偏差演算部16で演算された限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいて、前輪側の旋回内輪(以下、FR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP1fb、前輪側の旋回外輪(以下、FR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP3fb、後輪側の旋回内輪(以下、RR旋回内輪と略す)のFB増圧量ΔP2fb、後輪側の旋回外輪(以下、RR旋回外輪と略す)のFB増圧量ΔP4fbを算出する。なお、以降の旋回方向は偏差Δωfbの符号が正で、規範ヨーレートおよび実ヨーレートがともに正の場合を例に説明する。
FR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル80を参照して算出する。増圧量テーブル80において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP1fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合にはFB増圧量ΔP1fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上では限界ヨーレート偏差Δωfbが大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP1fbが増大していく。
RR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル81を参照して算出する。増圧量テーブル81において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP2fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合にはFB増圧量ΔP2fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上では限界ヨーレート偏差Δωfbが大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP2fbが増大していく。
FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル82を参照して算出する。増圧量テーブル82において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP3fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合にはFB増圧量ΔP3fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下では限界ヨーレート偏差Δωfbの絶対値が大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP3fbが増大していく。
RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbは、限界ヨーレート偏差Δωfbに基づき、増圧量テーブル83を参照して算出する。増圧量テーブル83において、横軸は限界ヨーレート偏差Δωfbであり、縦軸はFB増圧量ΔP4fbである。この参考例1では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合にはFB増圧量ΔP4fbは0であり、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下では限界ヨーレート偏差Δωfbの絶対値が大きくなるにしたがってFB増圧量ΔP4fbが増大していく。
つまり、FB制御量演算部119では、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以上の場合は、実ヨーレートが限界規範ヨーレートよりも小さいので、ヨーレートを増大させる方向(換言すれば、限界ヨーレート偏差Δωfbを打ち消す方向)に、各輪のFB制御量を設定する。具体的には、FR旋回内輪およびRR旋回内輪のブレーキ液圧を増大させる方向にFB増圧量を設定し、FR旋回外輪およびRR旋回外輪のブレーキ液圧を増大させないようにFB増圧量を設定する。
一方、限界ヨーレート偏差Δωfbが0以下の場合は、実ヨーレートが限界規範ヨーレートよりも大きいので、ヨーレートを減少させる方向(換言すれば、限界ヨーレート偏差Δωfbを打ち消す方向)に、各輪のFB制御量を設定する。具体的には、FR旋回外輪およびRR旋回外輪のブレーキ液圧を増大させる方向にFB増圧量を設定し、FR旋回内輪およびRR旋回内輪のブレーキ液圧を増大させないようにFB増圧量を設定する。
そして、FB制御量演算部119は、FR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbと、RR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbと、FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbと、RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbを、ブレーキ装置10に出力する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
この参考例1の車両の旋回制御装置によれば、補正部15により、操舵角に基づいて算出される定常規範ヨーレートω_highに関連させて、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正し、限界規範ヨーレートω_TARを算出しているので、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御を両立することができる。その結果、運転者の旋回意志が応答良く反映され、操舵フィールが向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
<参考例2>
次に、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の参考例2を図28および図29の図面を参照して説明する。
図28は、参考例2の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。前述した参考例1の車両の旋回制御装置では、限界規範ヨーレートω_TARと実ヨーレートとの偏差(すなわち、限界ヨーレート偏差Δωfb)を打ち消す方向に制御量(FB制御量)を求め、このFB制御量のみでブレーキ圧を制御するようにしているが、参考例2の旋回制御装置では、操舵角と車速に基づいてフィードフォワード制御量(以下、FF制御量と略す)を算出し、前記FB制御量とFF制御量とを加算して得た値を総制御量とし、この総制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
以下、参考例2の車両の旋回制御装置について説明するが、図28の制御ブロック図においてフィードバック制御系、すなわち、舵角規範ヨーレート演算部11、定常規範ヨーレート演算部12、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119については参考例1と同じであるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を省略し、参考例1との相違点であるフィードフォワード制御系を中心に説明する。
次に、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の参考例2を図28および図29の図面を参照して説明する。
図28は、参考例2の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。前述した参考例1の車両の旋回制御装置では、限界規範ヨーレートω_TARと実ヨーレートとの偏差(すなわち、限界ヨーレート偏差Δωfb)を打ち消す方向に制御量(FB制御量)を求め、このFB制御量のみでブレーキ圧を制御するようにしているが、参考例2の旋回制御装置では、操舵角と車速に基づいてフィードフォワード制御量(以下、FF制御量と略す)を算出し、前記FB制御量とFF制御量とを加算して得た値を総制御量とし、この総制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
以下、参考例2の車両の旋回制御装置について説明するが、図28の制御ブロック図においてフィードバック制御系、すなわち、舵角規範ヨーレート演算部11、定常規範ヨーレート演算部12、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119については参考例1と同じであるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を省略し、参考例1との相違点であるフィードフォワード制御系を中心に説明する。
参考例2における車両の旋回制御装置1は、参考例1の車両の旋回制御装置1の構成に加えて、フィードフォワード制御系として、定常ヨーレート偏差演算部13とフィードフォワード制御量演算部(第4制動力制御量演算部)(以下、FF制御量演算部と略すが、第1実施形態におけるFF制御量演算部とは少なくとも一部異なる。)118とを備えている。そして、FF制御量演算部118と参考例1におけるFB制御量演算部119とにより制御量演算部117が構成されている。
定常ヨーレート偏差演算部13には、舵角規範ヨーレート演算部11で算出された舵角規範ヨーレートに対して時間変化量平滑化処理あるいはピークホールド処理などを行ってノイズを除去した舵角規範ヨーレートが入力される。そして、定常ヨーレート偏差演算部13は、定常規範ヨーレートω_highからノイズ除去後の舵角規範ヨーレートを減算し、定常ヨーレート偏差Δωffを算出する。
制御量演算部117は、FF制御量演算部118において定常ヨーレート偏差Δωffに基づいてFF制御量を算出し、FB制御量演算部119において限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてFB制御量を算出し、さらにFF制御量とFB制御量を加算して総制御量を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
制御量演算部117は、FF制御量演算部118において定常ヨーレート偏差Δωffに基づいてFF制御量を算出し、FB制御量演算部119において限界ヨーレート偏差Δωfbに基づいてFB制御量を算出し、さらにFF制御量とFB制御量を加算して総制御量を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。
次に、図29を参照して、制御量演算部117において実行されるブレーキ制御量演算について説明する。
FF制御量演算部118におけるFF制御量の算出について説明する。
まず、操舵角センサ3で検知された操舵角に基づいて、FR旋回内輪とRR旋回内輪に対する増圧配分を決定し、この増圧配分に基づいて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrを算出する。ここで、操舵による荷重移動が大きい場合には、操舵角に応じて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frが大きくなるように設定してもよい。
そして、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrに基づいて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出が、並行して実施される。
FF制御量演算部118におけるFF制御量の算出について説明する。
まず、操舵角センサ3で検知された操舵角に基づいて、FR旋回内輪とRR旋回内輪に対する増圧配分を決定し、この増圧配分に基づいて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrを算出する。ここで、操舵による荷重移動が大きい場合には、操舵角に応じて、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frが大きくなるように設定してもよい。
そして、FR旋回内輪に対する増圧係数K1frとRR旋回内輪に対する増圧係数K1rrに基づいて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出が、並行して実施される。
まず、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出を説明する。定常ヨーレート偏差演算部13で演算された定常ヨーレート偏差Δωffに増加係数K1frを乗じて、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffを算出する。
次に、増圧量テーブル60を参照し、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffに応じて、FR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkを算出する。増圧量テーブル60において、横軸は定常ヨーレート偏差Δω1ffであり、縦軸はブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkである。この参考例2では、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffが0以下の場合にはブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkは0であり、FR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω1ffが0以上では定常ヨーレート偏差Δω1ffが大きくなるにしたがってブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkが増大していく。
次に、リミット処理部61において、FR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。上限値は、上限値算出部62によって算出される任意の値であり、この値を超えないよう設定することで液圧増圧量ΔPlffkの急変動を抑制する。
次に、リミット処理されたFR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP1ffKに、車速に応じたゲインを乗じて、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffを算出する。なお、車速に応じたゲインは、ゲインテーブル63に基づいて算出される。このゲインテーブル63において、横軸は車速であり、縦軸はゲインであって、車速が小さい領域ではゲイン=1で一定で、車速が所定値以上になると車速が大きくなるにしたがってゲインが徐々に小さくなっていき、車速が大きい領域ではゲイン=0で一定となる。
このように車速に応じたゲインを乗じる結果、車速が大きいときには、FR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffは0となる。換言すると、高車速時にはFR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffが無効とされる。これにより、高車速時に操舵アシストブレーキに起因して車両挙動が不安定になるのを防止することができる。この参考例2において、ゲインテーブル63は無効化手段を構成する。なお、車速に応じたゲインを乗じるのに替えて、高車速ほど低くなる制限値を与え、この制限値をΔPlffが上回らないように設定してもよい。
RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffの算出は、FR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP1ffの算出と同じであるので、簡単に説明する。
定常ヨーレート偏差演算部13で演算された定常ヨーレート偏差Δωffに、RR旋回内輪に対する増加係数K1rrを乗じて、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffを算出する。
次に、増圧量テーブル64を参照し、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffに応じて、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkを算出する。増圧量テーブル64は増圧量テーブル60と同じであるので説明を省略する。
次に、リミット処理部65において、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。上限値は、上限値算出部66によって算出される。上限値算出部66は上限値算出部62と同じである。
次に、リミット処理されたRR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffKに、ゲインテーブル67により算出したゲインを乗じて、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffを算出する。ゲインテーブル67はゲインテーブル63と同じであるので、説明を省略する。この参考例2において、ゲインテーブル67は無効化手段を構成する。
定常ヨーレート偏差演算部13で演算された定常ヨーレート偏差Δωffに、RR旋回内輪に対する増加係数K1rrを乗じて、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffを算出する。
次に、増圧量テーブル64を参照し、RR旋回内輪に対する定常ヨーレート偏差Δω2ffに応じて、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkを算出する。増圧量テーブル64は増圧量テーブル60と同じであるので説明を省略する。
次に、リミット処理部65において、RR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffkが上限値を超えないようにリミット処理を行う。上限値は、上限値算出部66によって算出される。上限値算出部66は上限値算出部62と同じである。
次に、リミット処理されたRR旋回内輪のブレーキ液圧増圧量ΔP2ffKに、ゲインテーブル67により算出したゲインを乗じて、RR旋回内輪に対するFF増圧量ΔP2ffを算出する。ゲインテーブル67はゲインテーブル63と同じであるので、説明を省略する。この参考例2において、ゲインテーブル67は無効化手段を構成する。
また、FF制御量演算部118は、内輪減圧量算出部70を備えている。内輪減圧量算出部70は、高速時や高横Gの時には制動により車両挙動が不安定となるという前提の下に、予め旋回内輪のブレーキ液圧を制限するためのものである。
内輪減圧量算出部70では、第1減圧率テーブル71を参照して車速に応じた減圧率を算出するとともに、第2減圧率テーブル72を参照して横Gに応じた減圧率を算出し、これら減圧率を乗じることで総減圧率を算出する。
内輪減圧量算出部70では、第1減圧率テーブル71を参照して車速に応じた減圧率を算出するとともに、第2減圧率テーブル72を参照して横Gに応じた減圧率を算出し、これら減圧率を乗じることで総減圧率を算出する。
第1減圧率テーブル71において、横軸は車速であり、縦軸は減圧率であって、車速が小さい領域では減圧率=0で一定で、車速が所定値以上になると車速が大きくなるにしたがって減圧率が徐々に大きくなっていき、車速が大きい領域では減圧率=1で一定となる。
第2減圧率テーブル72において、横軸は横Gであり、縦軸は減圧率であって、横Gが小さい領域では減圧率=0で一定で、横Gが所定値以上になると横Gが大きくなるにしたがって減圧率が徐々に大きくなっていき、横Gが大きい領域では減圧率=1で一定となる。
これにより、総減圧率は、走行時の車速および横Gに応じて、0から1の間の値に設定されることとなる。
そして、このようにして求めた総減圧率にブレーキ装置10のマスタシリンダ圧を乗じ、さらにマイナス1を乗じて内輪減圧量ΔPdを求める。
FB制御量演算部119におけるFB制御量の算出については参考例1と同じであるので説明を省略する。
これにより、総減圧率は、走行時の車速および横Gに応じて、0から1の間の値に設定されることとなる。
そして、このようにして求めた総減圧率にブレーキ装置10のマスタシリンダ圧を乗じ、さらにマイナス1を乗じて内輪減圧量ΔPdを求める。
FB制御量演算部119におけるFB制御量の算出については参考例1と同じであるので説明を省略する。
そして、制御量演算部117は、FR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffとFR旋回内輪のFB増圧量ΔP1fbと内輪減圧量ΔPdを加算した値をFR旋回内輪に対する総制御量とし、RR旋回内輪のFF増圧量ΔP2ffとRR旋回内輪のFB増圧量ΔP2fbと内輪減圧量ΔPdを加算した値をRR旋回内輪に対する総制御量とし、FR旋回外輪のFB増圧量ΔP3fbをFR旋回外輪の総制御量とし、RR旋回外輪のFB増圧量ΔP4fbをRR旋回外輪の総制御量として、ブレーキ装置10に出力する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
ブレーキ装置10は、入力した各輪の制御量に応じて、各輪のブレーキ圧を制御する。
この参考例2の車両の旋回制御装置によれば、参考例1の場合と同様、補正部15により、操舵角に基づいて算出される定常規範ヨーレートω_highに関連させて、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正し、限界規範ヨーレートω_TARを算出しているので、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御を両立することができる。その結果、運転者の旋回意志が応答良く反映され、操舵フィールが向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
さらに、この参考例2の車両の旋回制御装置によれば、車体挙動に基づき算出されたFB制御量に、操舵入力に基づき算出されたFF制御量を加えた総制御量に基づいてブレーキ圧を制御しているので、車両挙動の安定性を確保しつつ、操舵の応答性を向上させることができる。また、操舵の追従性も向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
次に、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の実施例を図30から図37の図面を参照して説明する。
<実施例1>
初めに、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の実施例1を図30から図33の図面を参照して説明する。
前述した参考例1では、舵角規範ヨーレートに、車速に応じて設定されるゲイン(定常規範ヨーレートゲインKv)を乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出し、この定常規範ヨーレートω_highを補正部15に入力して、車両の操舵状態や運動状態に応じて横G規範ヨーレートω_lowを定常規範ヨーレートω_highに関連させて補正している。
<実施例1>
初めに、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の実施例1を図30から図33の図面を参照して説明する。
前述した参考例1では、舵角規範ヨーレートに、車速に応じて設定されるゲイン(定常規範ヨーレートゲインKv)を乗じて定常規範ヨーレートω_highを算出し、この定常規範ヨーレートω_highを補正部15に入力して、車両の操舵状態や運動状態に応じて横G規範ヨーレートω_lowを定常規範ヨーレートω_highに関連させて補正している。
ところで、車両においては操舵入力に対してヨー応答に時間遅れがあることはよく知られている。しかしながら、前記舵角規範ヨーレートには時間遅れが考慮されていない。そこで、実施例1では、前記舵角規範ヨーレートを基準値とし、これに時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートを算出し、車両の操舵状態に応じて、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートと時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートのいずれか一方を選択してこれを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に入力し、横G規範ヨーレートω_lowを補正するようにした。
初めに、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートの算出方法を図30を参照して説明する。
操舵角センサ3により検知された舵角に、車速に応じて決定される舵角規範ヨーレートゲインKyを乗じることにより、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートが求められることは、参考例1において説明したとおりである。時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートは、このようにして求めた舵角規範ヨーレートを位相遅れフィルタ23によって、予め設定された時定数だけ時間遅れ処理を施すことにより算出される。時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレート値をγstr(t)、時定数をTとすると、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレート値γstr_fltは式(13)で表される。
γstr_flt=γstr(t−T) ・・・ 式(13)
操舵角センサ3により検知された舵角に、車速に応じて決定される舵角規範ヨーレートゲインKyを乗じることにより、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートが求められることは、参考例1において説明したとおりである。時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートは、このようにして求めた舵角規範ヨーレートを位相遅れフィルタ23によって、予め設定された時定数だけ時間遅れ処理を施すことにより算出される。時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレート値をγstr(t)、時定数をTとすると、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレート値γstr_fltは式(13)で表される。
γstr_flt=γstr(t−T) ・・・ 式(13)
なお、以下の説明では、時間遅れを考慮しない舵角規範ヨーレートを単に「舵角規範ヨーレートωstn」と称し、時間遅れを考慮した舵角規範ヨーレートを「フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstf」と称す。この実施例1において、舵角規範ヨーレートωstnは舵角ヨーレート基準値を構成し、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfは遅れ舵角ヨーレート値を構成する。
図31は、実施例1の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。
実施例1におけるブレーキ制御部2は、舵角規範ヨーレート演算部11、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24、舵角規範ヨーレート偏差演算部25、操舵方向判定部26、切り増し/切り戻し判定部27、セレクタ28、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119と、を備えている。
ブレーキ制御部2には、操舵角センサ3、車速センサ4、横Gセンサ5、ヨーレートセンサ6、アクセル開度センサ7からそれぞれの検出値に応じた検知信号が入力され、μ算出部8から算出した摩擦係数に応じた電気信号が入力される。
実施例1におけるブレーキ制御部2は、舵角規範ヨーレート演算部11、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24、舵角規範ヨーレート偏差演算部25、操舵方向判定部26、切り増し/切り戻し判定部27、セレクタ28、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119と、を備えている。
ブレーキ制御部2には、操舵角センサ3、車速センサ4、横Gセンサ5、ヨーレートセンサ6、アクセル開度センサ7からそれぞれの検出値に応じた検知信号が入力され、μ算出部8から算出した摩擦係数に応じた電気信号が入力される。
舵角規範ヨーレート演算部11は、参考例1の場合と同様、操舵角センサ3により検知された舵角と、車速センサ4により検知された車速とに基づいて、舵角規範ヨーレートωstnを推定算出する。
フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24は、前述したように位相遅れフィルタ23により、舵角規範ヨーレートに対して時間遅れ処理を施すことによりフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを算出する。
舵角規範ヨーレート偏差演算部25は、舵角規範ヨーレート演算部11により算出された舵角規範ヨーレートωstnから、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24により算出されたフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを減算して、舵角規範ヨーレート偏差を算出する。
操舵方向判定部26は、操舵角センサ3の検出値に基づいて、ステアリングホイールが中立位置(直進方向位置)よりも右旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「+」判定とする)か、左旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「−」判定とする)かを判定する。
フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24は、前述したように位相遅れフィルタ23により、舵角規範ヨーレートに対して時間遅れ処理を施すことによりフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを算出する。
舵角規範ヨーレート偏差演算部25は、舵角規範ヨーレート演算部11により算出された舵角規範ヨーレートωstnから、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24により算出されたフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを減算して、舵角規範ヨーレート偏差を算出する。
操舵方向判定部26は、操舵角センサ3の検出値に基づいて、ステアリングホイールが中立位置(直進方向位置)よりも右旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「+」判定とする)か、左旋回側に回転されている状態(例えば、この状態を「−」判定とする)かを判定する。
切り増し/切り戻し判定部27は、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出された舵角規範ヨーレート偏差の正負符号と、操舵方向判定部26の判定結果とに基づいて、ステアリングホイールが切り増しされているのか、切り戻しされているのかを判定する。
この判定原理を図32の図面を参照して説明する。図32は、ステアリングホイールを右旋回操作した後に中立位置に戻す操作を行ったときの舵角規範ヨーレートωstnとフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの時間的な変化を示したものである。フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfは舵角規範ヨーレートωstnに時間遅れを考慮したものであるので、所定の時間を経過するまでは舵角規範ヨーレートωstnの方がフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfよりも大きいが、前記所定の時間が経過すると逆転してフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも大きくなる。
この判定原理を図32の図面を参照して説明する。図32は、ステアリングホイールを右旋回操作した後に中立位置に戻す操作を行ったときの舵角規範ヨーレートωstnとフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの時間的な変化を示したものである。フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfは舵角規範ヨーレートωstnに時間遅れを考慮したものであるので、所定の時間を経過するまでは舵角規範ヨーレートωstnの方がフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfよりも大きいが、前記所定の時間が経過すると逆転してフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも大きくなる。
ここで、舵角規範ヨーレートωstnの方がフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfよりも大きいときはステアリングホイールを切り増ししているときと推定することができ、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも大きいときはステアリングホイールを切り戻ししているときと推定することができる。したがって、ステアリングホイールが中立位置よりも右旋回側に回転されている状態(操舵方向判定部26による判定が「+」)であって、舵角規範ヨーレート偏差演算部25で算出されたヨーレート偏差が正の値である場合は切り増しの状態であると推定することができ、前記ヨーレート偏差が負の値である場合は切り戻しの状態であると推定することができる。なお、ステアリングホイールが左旋回側に回転されている状態では、符号が逆になるだけで同様の原理で推定することができる。つまり、操舵方向判定部26の判定結果の正負符号と舵角規範ヨーレート偏差演算部25で算出されたヨーレート偏差の正負符号が同符号である場合は切り増し、異符号である場合は切り戻しと判定することができる。
セレクタ28は、切り増し/切り戻し判定部27の判定結果に応じて、舵角規範ヨーレート演算部11で算出した舵角規範ヨーレートωstnと、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24で算出したフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfのうちの一方を選択し、それを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力する。詳述すると、切り増し/切り戻し判定部27により切り増しと判定された場合には、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを選択して、フィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力し、切り増し/切り戻し判定部27により切り戻しと判定された場合には、舵角規範ヨーレートωstnを選択して、舵角規範ヨーレートωstnを定常規範ヨーレートω_highとして補正部15に出力する。
横G規範ヨーレート演算部14は参考例1におけるものと同じであるので説明を省略する。
補正部15は、セレクタ28を介して入力された定常規範ヨーレートω_highと、横G規範ヨーレート演算部14から入力された横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。この補正部15において限界規範ヨーレートω_TARを算出する際に、実施例1では、切り増し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとしてフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを用い、切り戻し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとして舵角規範ヨーレートωstnを用いる点が参考例1と相違する。この点を除き、限界規範ヨーレートω_TARの算出方法は参考例1の場合と同じであるので、詳細説明は省略する。
限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119は、参考例1のものと同じであるので説明を省略する。
補正部15は、セレクタ28を介して入力された定常規範ヨーレートω_highと、横G規範ヨーレート演算部14から入力された横G規範ヨーレートω_lowとに基づいて限界規範ヨーレートω_TARを算出する。この補正部15において限界規範ヨーレートω_TARを算出する際に、実施例1では、切り増し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとしてフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfを用い、切り戻し判定の場合、定常規範ヨーレートω_highとして舵角規範ヨーレートωstnを用いる点が参考例1と相違する。この点を除き、限界規範ヨーレートω_TARの算出方法は参考例1の場合と同じであるので、詳細説明は省略する。
限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119は、参考例1のものと同じであるので説明を省略する。
図33は、実施例1の車両の旋回制御装置1における制御結果の一例を示したもので、各ヨーレート値の時間的推移を示している。
この実施例1の車両の旋回制御装置によれば、ステアリングホイールを切り増ししているときには、フィードバック目標ヨーレート(以下、FB目標ヨーレート)をフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfに近づけるように設定することができ、ステアリングホイールを切り戻ししているときにはFB目標ヨーレートを舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することができる。ここで、切り増し判定時にはフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも小さいので、この実施例1では、操舵方向が切り増し方向であると判別した場合に、横G規範ヨーレートを増加補正して基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する際の補正量を、操舵方向が切り戻し方向であると判別した場合に比べて小さくすることになる。
一般に、切り増ししているときには運転者はステアリングホイールを過剰に操作する傾向にあるので、このようなときには舵角規範ヨーレートωstnよりも値の小さいフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfにFB目標ヨーレートを近づけるように設定した方が、過剰な制御介入を抑制することができて、自然な操舵応答に近づけることができる。一方、切り戻しているときには、FB目標ヨーレートを時間遅れのない舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することで、応答性を向上させることができる。
この実施例1の車両の旋回制御装置によれば、ステアリングホイールを切り増ししているときには、フィードバック目標ヨーレート(以下、FB目標ヨーレート)をフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfに近づけるように設定することができ、ステアリングホイールを切り戻ししているときにはFB目標ヨーレートを舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することができる。ここで、切り増し判定時にはフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfの方が舵角規範ヨーレートωstnよりも小さいので、この実施例1では、操舵方向が切り増し方向であると判別した場合に、横G規範ヨーレートを増加補正して基準限界規範ヨーレートω_t1を算出する際の補正量を、操舵方向が切り戻し方向であると判別した場合に比べて小さくすることになる。
一般に、切り増ししているときには運転者はステアリングホイールを過剰に操作する傾向にあるので、このようなときには舵角規範ヨーレートωstnよりも値の小さいフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstfにFB目標ヨーレートを近づけるように設定した方が、過剰な制御介入を抑制することができて、自然な操舵応答に近づけることができる。一方、切り戻しているときには、FB目標ヨーレートを時間遅れのない舵角規範ヨーレートωstnに近づけるように設定することで、応答性を向上させることができる。
また、実施例1の車両の旋回制御装置によれば、参考例1の車両の旋回制御装置と同様、補正部15により、操舵角に基づいて算出される定常規範ヨーレートω_high(すなわち舵角規範ヨーレートωstnまたはフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstf)に関連させて、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正し、限界規範ヨーレートω_TARを算出しているので、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御を両立することができる。その結果、運転者の旋回意志が応答良く反映され、操舵フィールが向上する。
また、参考例1の車両の旋回制御装置と同様、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
また、参考例1の車両の旋回制御装置と同様、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
<実施例2>
次に、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の実施例2を図34から図37の図面を参照して説明する。
図34は、実施例2の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。前述した実施例1の車両の旋回制御装置では、限界規範ヨーレートω_TARと実ヨーレートとの偏差(すなわち、限界ヨーレート偏差Δωfb)を打ち消す方向に制御量(FB制御量)を求め、このFB制御量のみでブレーキ圧を制御するようにしているが、実施例2の旋回制御装置では、操舵角と車速に基づいてFF制御量を算出し、前記FB制御量とFF制御量とを加算して得た値を総制御量とし、この総制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
以下、実施例2の車両の旋回制御装置について説明するが、図34の制御ブロック図においてフィードバック制御系、すなわち、舵角規範ヨーレート演算部11、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24、舵角規範ヨーレート偏差演算部25、操舵方向判定部26、切り増し/切り戻し判定部27、セレクタ28、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119については実施例1と同じであるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を省略し、実施例1との相違点であるフィードフォワード制御系を中心に説明する。
次に、この発明に係る第2実施形態による車両の旋回制御装置の実施例2を図34から図37の図面を参照して説明する。
図34は、実施例2の車両の旋回制御装置における制御ブロック図である。前述した実施例1の車両の旋回制御装置では、限界規範ヨーレートω_TARと実ヨーレートとの偏差(すなわち、限界ヨーレート偏差Δωfb)を打ち消す方向に制御量(FB制御量)を求め、このFB制御量のみでブレーキ圧を制御するようにしているが、実施例2の旋回制御装置では、操舵角と車速に基づいてFF制御量を算出し、前記FB制御量とFF制御量とを加算して得た値を総制御量とし、この総制御量に基づいて各輪のブレーキ圧を制御する。
以下、実施例2の車両の旋回制御装置について説明するが、図34の制御ブロック図においてフィードバック制御系、すなわち、舵角規範ヨーレート演算部11、フィルタ処理舵角規範ヨーレート演算部24、舵角規範ヨーレート偏差演算部25、操舵方向判定部26、切り増し/切り戻し判定部27、セレクタ28、横G規範ヨーレート演算部14、補正部15、限界ヨーレート偏差演算部16、FB制御量演算部119については実施例1と同じであるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を省略し、実施例1との相違点であるフィードフォワード制御系を中心に説明する。
実施例2における車両の旋回制御装置1は、実施例1の車両の旋回制御装置1の構成に加えて、フィードフォワード制御系として、フィードフォワード制御量補正部(以下、FF制御量補正部と略す)90とFF制御量演算部118とを備えている。そして、FF制御量演算部118と実施例1におけるFB制御量演算部119とにより制御量演算部117が構成されている。
FF制御量補正部90は、セレクタ91、切り増しFF制御量補正部92、切り戻しFF制御量補正部93、リミット処理部94、リミット値テーブル95と、を備えて構成されている。
セレクタ91は、切り増し/切り戻し判定部27の判定結果に応じて、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出された舵角規範ヨーレート偏差を、切り増しFF制御量補正部92と切り戻しFF制御量補正部93のいずれに出力するかを選択する。詳述すると、切り増し/切り戻し判定部27により切り増しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出された舵角規範ヨーレート偏差を、切り増しFF制御量補正部92に出力し、切り増し/切り戻し判定部27により切り戻しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出された舵角規範ヨーレート偏差を、切り戻しFF制御量補正部93に出力する。
セレクタ91は、切り増し/切り戻し判定部27の判定結果に応じて、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出された舵角規範ヨーレート偏差を、切り増しFF制御量補正部92と切り戻しFF制御量補正部93のいずれに出力するかを選択する。詳述すると、切り増し/切り戻し判定部27により切り増しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出された舵角規範ヨーレート偏差を、切り増しFF制御量補正部92に出力し、切り増し/切り戻し判定部27により切り戻しと判定された場合には、舵角規範ヨーレート偏差演算部25により算出された舵角規範ヨーレート偏差を、切り戻しFF制御量補正部93に出力する。
切り増しFF制御量補正部92および切り戻しFF制御量補正部93は、舵角規範ヨーレート偏差演算部25からセレクタ91を介して入力した舵角規範ヨーレート偏差(ωstn−ωstf)に、横Gに応じたゲインKgと、車速に応じたゲインKvを乗じてFF制御偏差を算出する。ここで、ゲインKg,Kvはそれぞれ横Gゲインテーブル、車速ゲインテーブルを参照して算出するのであるが、切り増しFF制御量補正部92と切り戻しFF制御量補正部93では用いられる横Gゲインテーブルおよび車速ゲインテーブルを異にしている。
図35は、切り増しFF制御量補正部92の制御ブロック図であり、図36は、切り戻しFF制御量補正部93の制御ブロック図である。横Gゲインテーブル96A,96Bにおいて、横軸は横G、縦軸はゲインKgであり、車速ゲインテーブル97A,97Bにおいて、横軸は車速、縦軸はゲインKvである。
初めに、図35を参照して、切り増しFF制御量補正部92におけるFF制御偏差の算出を説明する。
切り増しFF制御量補正部92における横Gゲインテーブル96Aは、横Gが0のときにゲインKgが所定の正の値であり、横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に僅かながら大きくなっていく。切り増しFF制御量補正部92は、この横Gゲインテーブル96Aを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り増しFF制御量補正部92における車速ゲインテーブル97Aは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると急激に減少し、0となる。切り増しFF制御量補正部92は、この車速ゲインテーブル97Aを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り増しFF制御量補正部92は、舵角規範ヨーレート偏差(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御偏差を算出する。
つまり、この実施例2では、切り増しと判定された場合のFF制御偏差は、車速に大きく依存し、車速が前記所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御偏差が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御偏差はほぼ0となるように設定されている。
初めに、図35を参照して、切り増しFF制御量補正部92におけるFF制御偏差の算出を説明する。
切り増しFF制御量補正部92における横Gゲインテーブル96Aは、横Gが0のときにゲインKgが所定の正の値であり、横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に僅かながら大きくなっていく。切り増しFF制御量補正部92は、この横Gゲインテーブル96Aを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り増しFF制御量補正部92における車速ゲインテーブル97Aは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると急激に減少し、0となる。切り増しFF制御量補正部92は、この車速ゲインテーブル97Aを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り増しFF制御量補正部92は、舵角規範ヨーレート偏差(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御偏差を算出する。
つまり、この実施例2では、切り増しと判定された場合のFF制御偏差は、車速に大きく依存し、車速が前記所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御偏差が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御偏差はほぼ0となるように設定されている。
次に、図36を参照して、切り戻しFF制御量補正部93におけるFF制御偏差の算出を説明する。
切り戻しFF制御量補正部93における横Gゲインテーブル96Bは、横Gが所定値に達するまではゲインKgが0であり、横Gが前記所定値を越えると横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に大きくなっていく。切り戻しFF制御量補正部93は、この横Gゲインテーブル96Bを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り戻しFF制御量補正部93における車速ゲインテーブル97Bは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると徐々に増大する。切り戻しFF制御量補正部93は、この車速ゲインテーブル97Bを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り戻しFF制御量補正部93は、舵角規範ヨーレート偏差(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御偏差を算出する。
つまり、この実施例2では、切り戻しと判定された場合のFF制御偏差は、横Gに大きく依存し、横Gが前記所定値以下では車速に関わらずFF制御偏差は0であり、横Gが前記所定値を越えるとFF制御偏差が発生するように設定されている。
切り戻しFF制御量補正部93における横Gゲインテーブル96Bは、横Gが所定値に達するまではゲインKgが0であり、横Gが前記所定値を越えると横Gが大きくなるにしたがってゲインKgが徐々に大きくなっていく。切り戻しFF制御量補正部93は、この横Gゲインテーブル96Bを参照して、横Gセンサ5により検知された横Gに応じたゲインKgを算出する。
切り戻しFF制御量補正部93における車速ゲインテーブル97Bは、車速がある所定車速に達するまではゲインKvは正の値でほぼ一定であり、前記所定車速を越えると徐々に増大する。切り戻しFF制御量補正部93は、この車速ゲインテーブル97Bを参照して、車速センサ4により検知された車速に応じたゲインKvを算出する。
そして、切り戻しFF制御量補正部93は、舵角規範ヨーレート偏差(ωstn−ωstf)に、ゲインKg,ゲインKvを乗じてFF制御偏差を算出する。
つまり、この実施例2では、切り戻しと判定された場合のFF制御偏差は、横Gに大きく依存し、横Gが前記所定値以下では車速に関わらずFF制御偏差は0であり、横Gが前記所定値を越えるとFF制御偏差が発生するように設定されている。
この実施例において、横Gゲインテーブル96Aと車速ゲインテーブル97Aは、切り増し判定時における増加特性を構成し、横Gゲインテーブル96Bと車速ゲインテーブル97Bは、切り戻し判定時における増加特性を構成する。
このように、FF制御量補正部90では、切り増し/切り戻し判定部27における判定結果に応じて増加特性を変更して(換言すると、増加特性を持ち替えて)、FF制御偏差を算出する。
そして、切り増しと切り戻しのそれぞれの場合の増加特性が前述のように設定されているので、高車速域では切り増しのときのFF制御偏差が0となって、切り戻しのときのFF制御偏差よりも小さくなる。これにより、高車速域での切り増しのときには過剰な操舵介入を抑制して安定性を確保するとともに収束性の向上を図ることができ、一方、高車速域での切り戻しのときには応答性を向上することができる。
このように、FF制御量補正部90では、切り増し/切り戻し判定部27における判定結果に応じて増加特性を変更して(換言すると、増加特性を持ち替えて)、FF制御偏差を算出する。
そして、切り増しと切り戻しのそれぞれの場合の増加特性が前述のように設定されているので、高車速域では切り増しのときのFF制御偏差が0となって、切り戻しのときのFF制御偏差よりも小さくなる。これにより、高車速域での切り増しのときには過剰な操舵介入を抑制して安定性を確保するとともに収束性の向上を図ることができ、一方、高車速域での切り戻しのときには応答性を向上することができる。
切り増しFF制御量補正部92および切り戻しFF制御量補正部93は、算出したFF制御偏差をリミット処理部94に出力する。
リミット処理部94には、FF制御偏差の外に、リミット値テーブル95を参照して決定されるリミット値YMが入力される。リミット値テーブル95は、横軸が路面の摩擦係数μ、縦軸がリミット値YMであり、μ算出部8で算出された路面の摩擦係数μに応じてリミット値YMが決定される。
リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93から入力したFF制御偏差が、リミット値テーブル95で決定されたリミット値(上限値)YMを越えないようにリミット処理を行う。すなわち、リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御偏差がリミット値YMを越えない場合には、算出されたFF制御偏差をそのまま出力し、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御偏差がリミット値YMを越える場合には、リミット値YMをFF制御偏差として出力する。
そして、リミット処理部94から出力されたFF制御偏差は定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制御量演算部118に入力される。
リミット処理部94には、FF制御偏差の外に、リミット値テーブル95を参照して決定されるリミット値YMが入力される。リミット値テーブル95は、横軸が路面の摩擦係数μ、縦軸がリミット値YMであり、μ算出部8で算出された路面の摩擦係数μに応じてリミット値YMが決定される。
リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93から入力したFF制御偏差が、リミット値テーブル95で決定されたリミット値(上限値)YMを越えないようにリミット処理を行う。すなわち、リミット処理部94は、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御偏差がリミット値YMを越えない場合には、算出されたFF制御偏差をそのまま出力し、切り増しFF制御量補正部92または切り戻しFF制御量補正部93により算出されたFF制御偏差がリミット値YMを越える場合には、リミット値YMをFF制御偏差として出力する。
そして、リミット処理部94から出力されたFF制御偏差は定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制御量演算部118に入力される。
FF制御量演算部118は、FF制御量補正部90から入力した定常ヨーレート偏差Δωff(すなわち、リミット処理部94から出力されるFF制御偏差)に基づいてFF制御量を算出する。
なお、この実施例2におけるFF制御量演算部118のFF制御量算出処理は、定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制御偏差を用いる点を除いて、参考例2におけるFF制御量演算部118のFF制御量算出処理と全く同じであるので、図29を援用してその説明を省略する。
また、FB制御量演算部119におけるFB制御量の算出については実施例1と同じであるので説明を省略する。
制御量演算部117は、FF制御量演算部118で算出したFF制御量と、FB制御量演算部119で算出したにFB制御量を加算して総制御量を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。この総制御量の算出処理については参考例2と同じであるので、図29を援用してその説明を省略する。
なお、この実施例2におけるFF制御量演算部118のFF制御量算出処理は、定常ヨーレート偏差ΔωffとしてFF制御偏差を用いる点を除いて、参考例2におけるFF制御量演算部118のFF制御量算出処理と全く同じであるので、図29を援用してその説明を省略する。
また、FB制御量演算部119におけるFB制御量の算出については実施例1と同じであるので説明を省略する。
制御量演算部117は、FF制御量演算部118で算出したFF制御量と、FB制御量演算部119で算出したにFB制御量を加算して総制御量を算出し、ブレーキ装置10に指令値として出力する。この総制御量の算出処理については参考例2と同じであるので、図29を援用してその説明を省略する。
図37は、実施例2の車両の旋回制御装置におけるFF制御の概念図である。
この実施例2の車両の旋回制御装置によれば、切り増しのときに総制御量を増やす方向(換言するとヨーモーメントを増やす方向)に制御することができ、切り戻しのときには総制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができる。
しかも、前述したように、切り増しのときであっても、車速が所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御偏差が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御偏差は0となるように設定されるので、前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を定常速度域のときだけ実施して、時間遅れを低減し操舵の応答性を向上させることができ、高車速域では前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を行わないことにより、操舵の安定性を確保することができる。
また、切り戻しのときには総制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができるので、ヨーモーメントの収束性が向上する。なお、前述したように、切り戻しのときに横Gが小さいときはFF制御偏差が0となるように設定されるので、このときには前記ヨーモーメントを減らす方向へのFF制御は実施されない。これは、制御介入によって車両挙動が不自然になることを防止し、車両の自己収束性を用いて中立位置に違和感なくスムーズに復帰させるためである。
この実施例2の車両の旋回制御装置によれば、切り増しのときに総制御量を増やす方向(換言するとヨーモーメントを増やす方向)に制御することができ、切り戻しのときには総制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができる。
しかも、前述したように、切り増しのときであっても、車速が所定車速を越えるまでの定常車速域ではFF制御偏差が適宜の値に設定されるが、車速が前記所定車速を越える高車速域ではFF制御偏差は0となるように設定されるので、前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を定常速度域のときだけ実施して、時間遅れを低減し操舵の応答性を向上させることができ、高車速域では前記ヨーモーメントを増やす方向へのFF制御を行わないことにより、操舵の安定性を確保することができる。
また、切り戻しのときには総制御量を減らす方向(換言するとヨーモーメントを減らす方向)に制御することができるので、ヨーモーメントの収束性が向上する。なお、前述したように、切り戻しのときに横Gが小さいときはFF制御偏差が0となるように設定されるので、このときには前記ヨーモーメントを減らす方向へのFF制御は実施されない。これは、制御介入によって車両挙動が不自然になることを防止し、車両の自己収束性を用いて中立位置に違和感なくスムーズに復帰させるためである。
また、この実施例2の車両の旋回制御装置によれば、参考例1の場合と同様、補正部15により、操舵角に基づいて算出される定常規範ヨーレートω_high(すなわち舵角規範ヨーレートωstnまたはフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstf)に関連させて、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正し、限界規範ヨーレートω_TARを算出しているので、車体に発生しているヨーモーメントを安定させる制御と、操舵の応答性を向上させる制御を両立することができる。その結果、運転者の旋回意志が応答良く反映され、操舵フィールが向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
また、横G規範ヨーレートω_lowを増加する方向に補正して限界規範ヨーレートω_TARとしているので、FB制御量演算部119における目標値を大きくすることができ、回頭性が向上する。これにより、車両を走路に沿って旋回させることが可能となり、路面追従性能(トレース性)が向上する。
さらに、この実施例2の車両の旋回制御装置によれば、車体挙動に基づき算出されたFB制御量に、操舵入力に基づき算出されたFF制御量を加えた総制御量に基づいてブレーキ圧を制御しているので、車両挙動の安定性を確保しつつ、操舵の応答性を向上させることができる。また、操舵の追従性も向上する。例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
なお、この発明は前述した実施例のみに限られるものではない。
例えば、前述した実施例2では、FF制御量とFB制御量を加算して総制御量を算出したが、FF制御量とFB制御量を乗算して総制御量を算出することも可能である。
また、車速センサの検出値に替えて、車輪速センサの検出値に基づき推定される推定車速を用いてもよい。
例えば、前述した実施例2では、FF制御量とFB制御量を加算して総制御量を算出したが、FF制御量とFB制御量を乗算して総制御量を算出することも可能である。
また、車速センサの検出値に替えて、車輪速センサの検出値に基づき推定される推定車速を用いてもよい。
また、前述した実施例2では、FF制御量演算部118において、高車速時にFR旋回内輪のFF増圧量ΔP1ffおよびRR旋回内輪のFF増圧量ΔP2ffを無効とすることで、高車速時に操舵アシストブレーキに起因して車両挙動が不安定になるのを防止したが、操舵速度が極めて大きいときやABS作動時にも旋回内輪のFF増圧量を無効にしてもよい。
(1)本実施形態は、車両の操舵量を検知する操舵量検知手段(例えば、上記実施例における操舵角センサ3)と、前記車両の車速を検知または推定する車速検知手段(例えば、上記実施例における車速センサ4)と、前記車両の左右方向の加速度を検知する横加速度検知手段(例えば、上記実施例における横Gセンサ5)と、前記車両のヨーレートを検知するヨーレート検知手段(例えば、上記実施例におけるヨーレートセンサ6)とを備え、前記車両の走行状態に基づいて左右車輪に制動力を付与することにより車体にヨーモーメントを発生可能な車両の旋回制御装置(例えば、上記実施例における車両の旋回制御装置1)であって、
前記横加速度検知手段および前記車速検知手段の検知信号に基づいて第1規範ヨーレート(例えば、上記実施例における横G規範ヨーレートω_low)を算出する第1規範ヨーレート演算部(例えば、上記実施例における横G規範ヨーレート演算部14)と、前記操舵量検知手段の検知信号に基づいて操舵方向が切り増し方向と切り戻し方向のいずれの方向かを判別する操舵方向判別手段(例えば、上記実施例における切り増し/切り戻し判定部27)と、前記操舵方向判別手段の判別結果に応じて異なる基準を用いて前記第1規範ヨーレートを増加方向に補正して第2規範ヨーレート(例えば、上記実施例における限界規範ヨーレートω_TAR)を算出する補正部(例えば、上記実施例における補正部15)と、前記第2規範ヨーレートと前記ヨーレート検知手段により検知された実ヨーレートとのヨーレート偏差を算出し、前記ヨーレート偏差を打ち消す方向へ第3制動力制御量を決定する第3制動力制御量演算部(例えば、上記実施例におけるFB制御量演算部119)と、前記第3制動力制御量演算部により決定された前記第3制動力制御量に基づいて前記制動力を制御する制動制御手段(例えば、上記実施例におけるブレーキ装置10)と、を備えた車両の旋回制御装置である。
上記(1)の実施形態によれば、横加速度と車速に基づいて算出される第1規範ヨーレートを増加方向に補正して第2規範ヨーレートを算出し、この第2規範ヨーレートと実ヨーレートとのヨーレート偏差を打ち消す方向に制動力を制御してヨーモーメントを発生させることができるので、通常の旋回時にも回頭性が向上し、操舵の応答性が向上する。また、操舵方向が切り増し方向か切り戻し方向かによって、異なる基準を用いて第1規範ヨーレートを増加補正して第2規範ヨーレートを算出するので、切り増し時に操舵の応答性を向上させ、切り戻し時にヨーモーメントの収束性を向上させることができる。
前記横加速度検知手段および前記車速検知手段の検知信号に基づいて第1規範ヨーレート(例えば、上記実施例における横G規範ヨーレートω_low)を算出する第1規範ヨーレート演算部(例えば、上記実施例における横G規範ヨーレート演算部14)と、前記操舵量検知手段の検知信号に基づいて操舵方向が切り増し方向と切り戻し方向のいずれの方向かを判別する操舵方向判別手段(例えば、上記実施例における切り増し/切り戻し判定部27)と、前記操舵方向判別手段の判別結果に応じて異なる基準を用いて前記第1規範ヨーレートを増加方向に補正して第2規範ヨーレート(例えば、上記実施例における限界規範ヨーレートω_TAR)を算出する補正部(例えば、上記実施例における補正部15)と、前記第2規範ヨーレートと前記ヨーレート検知手段により検知された実ヨーレートとのヨーレート偏差を算出し、前記ヨーレート偏差を打ち消す方向へ第3制動力制御量を決定する第3制動力制御量演算部(例えば、上記実施例におけるFB制御量演算部119)と、前記第3制動力制御量演算部により決定された前記第3制動力制御量に基づいて前記制動力を制御する制動制御手段(例えば、上記実施例におけるブレーキ装置10)と、を備えた車両の旋回制御装置である。
上記(1)の実施形態によれば、横加速度と車速に基づいて算出される第1規範ヨーレートを増加方向に補正して第2規範ヨーレートを算出し、この第2規範ヨーレートと実ヨーレートとのヨーレート偏差を打ち消す方向に制動力を制御してヨーモーメントを発生させることができるので、通常の旋回時にも回頭性が向上し、操舵の応答性が向上する。また、操舵方向が切り増し方向か切り戻し方向かによって、異なる基準を用いて第1規範ヨーレートを増加補正して第2規範ヨーレートを算出するので、切り増し時に操舵の応答性を向上させ、切り戻し時にヨーモーメントの収束性を向上させることができる。
(2)上記(1)に記載の実施形態において、前記補正部は、前記操舵方向判別手段が操舵方向を切り増し方向であると判別した場合に、前記第1規範ヨーレートを増加方向へ補正する補正量を、前記操舵方向判別手段が操舵方向を切り戻し方向であると判別した場合に比べて小さくすることが好ましい。
上記(2)の場合は、ステアリングホイールを切り増ししているときに、過剰な制御介入を抑制することができて、自然な操舵応答に近づけることができ、一方、切り戻しているときには、時間遅れを低減して、応答性を向上させることができる。
上記(2)の場合は、ステアリングホイールを切り増ししているときに、過剰な制御介入を抑制することができて、自然な操舵応答に近づけることができ、一方、切り戻しているときには、時間遅れを低減して、応答性を向上させることができる。
(3)上記(1)に記載の実施形態において、前記補正部は、前記操舵量検知手段および前記車速検知手段の検知信号に基づいて推定される舵角ヨーレート基準値(例えば、上記実施例における舵角規範ヨーレートωstn)と、前記舵角ヨーレート基準値に対応して決定され該舵角ヨーレート基準値に対して時間遅れを有する遅れ舵角ヨーレート値(例えば、上記実施例におけるフィルタ処理舵角規範ヨーレートωstf)とを、前記異なる基準として有することが好ましい。
上記(3)の場合は、時間遅れを有さない舵角ヨーレート基準値と、時間遅れを有する遅れ舵角ヨーレート値を使い分けて第2規範ヨーレートを算出することができる。
上記(3)の場合は、時間遅れを有さない舵角ヨーレート基準値と、時間遅れを有する遅れ舵角ヨーレート値を使い分けて第2規範ヨーレートを算出することができる。
(4)上記(1)に記載の実施形態において、アクセル開度またはアクセルペダル操作量に基づいて要求トルクの大きさを検知する要求トルク検知手段(例えば、上記実施例におけるアクセル開度センサ7)を備え、前記補正部は、前記要求トルク検知手段の検知信号が所定値よりも小さいときに、車速が小さいほど前記第2規範ヨーレートが大きくなるように補正量を決定することが好ましい。
上記(4)の場合は、例えば、低中車速のタックイン時の回頭性が向上する。
上記(4)の場合は、例えば、低中車速のタックイン時の回頭性が向上する。
(5)上記(1)に記載の実施形態において、前記補正部は、前記操舵量検知手段の検知信号に基づいて算出される転舵速度または転舵量が大きいほど前記第2規範ヨーレートが大きくなるように補正量を決定することが好ましい。
上記(5)の場合は、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
上記(5)の場合は、前方障害物からの回避操作やレーンチェンジなどのときの操舵の応答性が向上する。
(6)上記(1)に記載の実施形態において、前記操舵量検知手段および前記車速検知手段の検出信号に基づいて第4制動力制御量を決定する第4制動力制御量演算部(例えば、上記実施例におけるFF制御量演算部118)を備え、前記制動制御手段は、前記第3制動力制御量演算部が決定した前記第3制動力制御量と前記第4制動力制御量演算部が決定した前記第4制動力制御量とを加算または乗算することにより得られる総制動力制御量に基づいて前記制動力を制御することが好ましい。
上記(6)の場合は、操舵の応答性が向上するとともに、追従性が向上する。
例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
上記(6)の場合は、操舵の応答性が向上するとともに、追従性が向上する。
例えば、定常円旋回時などのように、操舵入力後に操舵保持という過程において、制御量の変動が抑制されて追従性が向上する。
(7)上記(1)に記載の実施形態において、所定の運転状態のときに前記第4制動力制御量演算部が決定した前記第4制動力制御量を無効にする無効化手段(例えば、上記実施例におけるゲインテーブル63,67)を備えることが好ましい。
上記(7)の場合は、第4制動力制御量を加味すると車両挙動の安定性を低下させる虞のある特定の条件下、例えば、高車速時や高操舵速度時やABS作動時などにおいて、第4制動力制御量を無効とすることができ、車両挙動の安定性を維持することができる。
上記(7)の場合は、第4制動力制御量を加味すると車両挙動の安定性を低下させる虞のある特定の条件下、例えば、高車速時や高操舵速度時やABS作動時などにおいて、第4制動力制御量を無効とすることができ、車両挙動の安定性を維持することができる。
この発明に係る実施形態によれば、通常旋回時の回頭性を向上させることができる車両の旋回制御装置を提供できる。
1 車両の旋回制御装置
3 操舵角センサ(操舵量検知手段)
4 車速センサ(車速検知手段)
5 横Gセンサ(横加速度検知手段)
6 ヨーレートセンサ(ヨーレート検知手段)
7 アクセル開度センサ(要求トルク検知手段)
10 ブレーキ装置(制動制御手段)
14 横G規範ヨーレート演算部(第1規範ヨーレート演算部)
15 補正部
18 FF制動力制御量演算部(制動力制御量演算部)
19 FB制動力制御量演算部(第2制動力制御量演算部)
20 FF制御量演算部(フィードフォワード制御量演算部)
27 切り増し/切り戻し判定部(操舵方向判別手段)
63,67 ゲインテーブル(無効化手段)
118 FF制御量演算部(第4制動力制御量演算部)
119 FB制御量演算部(第3制動力制御量演算部)
3 操舵角センサ(操舵量検知手段)
4 車速センサ(車速検知手段)
5 横Gセンサ(横加速度検知手段)
6 ヨーレートセンサ(ヨーレート検知手段)
7 アクセル開度センサ(要求トルク検知手段)
10 ブレーキ装置(制動制御手段)
14 横G規範ヨーレート演算部(第1規範ヨーレート演算部)
15 補正部
18 FF制動力制御量演算部(制動力制御量演算部)
19 FB制動力制御量演算部(第2制動力制御量演算部)
20 FF制御量演算部(フィードフォワード制御量演算部)
27 切り増し/切り戻し判定部(操舵方向判別手段)
63,67 ゲインテーブル(無効化手段)
118 FF制御量演算部(第4制動力制御量演算部)
119 FB制御量演算部(第3制動力制御量演算部)
Claims (7)
- 車両の走行状態に基づいて同車両の左右車輪に制動力を付与することにより同車両の車体にヨーモーメントを発生可能な車両の旋回制御装置であって、
前記車両の操舵量を検知する操舵量検知手段と;
前記車両の車速を検知または推定する車速検知手段と;
少なくとも前記操舵量検知手段からの検知信号に基づいてフィードフォワード制御量を算出するフィードフォワード制御量演算部と;
前記フィードフォワード制御量演算部により算出された前記フィードフォワード制御量に基づいて制動力制御量を決定する制動力制御量演算部と;
前記制動力制御量演算部により決定された前記制動力制御量に基づいて前記制動力を制御する制動制御手段と;
前記操舵量検知手段からの前記検知信号に基づいて操舵方向が切り増し方向と切り戻し方向のいずれの方向かを判別する操舵方向判別手段と;
を備え、
前記フィードフォワード制御量演算部が、前記操舵方向判別手段の判別結果に応じて前記フィードフォワード制御量を補正するフィードフォワード制御量補正部を備える
ことを特徴とする車両の旋回制御装置。 - 前記フィードフォワード制御量補正部は、前記車速が所定車速以上の高車速域にて、前記操舵方向判別手段が操舵方向を切り増し方向であると判別した場合に、前記フィードフォワード制御量を、前記操舵方向判別手段が操舵方向を切り戻し方向であると判別した場合に比べて小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の旋回制御装置。
- 前記車両の左右方向の加速度を検知する横加速度検知手段と;
前記車両の実ヨーレートを検知するヨーレート検知手段と;
前記横加速度検知手段からの検知信号および前記車速検知手段からの検知信号に基づいて第1規範ヨーレートを算出する第1規範ヨーレート演算部と;
前記操舵量検知手段からの検知信号および前記車速検知手段の検知信号に基づいて、前記第1規範ヨーレートを増加方向に補正して第2規範ヨーレートを算出する規範ヨーレート補正部と;
前記第2規範ヨーレートと、前記ヨーレート検知手段により検知された実ヨーレートとのヨーレート偏差を打ち消す方向へ第2の制動力制御量を決定する第2制動力制御量演算部と;
をさらに備え、
前記制動制御手段が、前記制動力制御量演算部により決定された前記制動力制御量と、前記第2制動力制御量演算部により決定された前記第2の制動力制御量とを加算または乗算することにより得られる総制動力制御量に基づいて、前記制動力を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の旋回制御装置。 - 前記規範ヨーレート補正部が、
前記操舵量検知手段からの検知信号および前記車速検知手段からの検知信号に基づいて推定される舵角ヨーレート基準値と、前記舵角ヨーレート基準値に対応して決定されてかつこの舵角ヨーレート基準値に対して時間遅れを有する遅れ舵角ヨーレート値とのいずれか一方に基づいて、前記第1規範ヨーレートを増加方向に補正して前記第2規範ヨーレートを算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の旋回制御装置。 - 前記車両におけるアクセル開度またはアクセルペダル操作量に基づいて要求トルクの大きさを検知する要求トルク検知手段をさらに備え;
前記規範ヨーレート補正部が、前記要求トルク検知手段からの検知信号が所定値よりも小さいときに、前記車速が小さいほど前記第2規範ヨーレートが大きくなるように補正量を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の旋回制御装置。 - 前記規範ヨーレート補正部が、前記操舵量検知手段からの検知信号に基づいて算出される前記車両の転舵速度または転舵量が大きいほど前記第2規範ヨーレートが大きくなるように補正量を決定することを特徴とする請求項3のいずれか1項に記載の車両の旋回制御装置。
- 前記車両が所定の運転状態にあるときに前記制動力制御量演算部が決定した前記制動力制御量を無効にする無効化手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の車両の旋回制御装置。
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