以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
無線基地局装置は、自らの形成するセルおよび周辺セルについての情報、すなわち無線信号の周波数および周辺セルのID(identification)等を無線端末装置に通知する。無線端末装置は、無線基地局装置から通知された情報に基づいて、周辺セルの検出および測定を行なう。無線端末装置は、この測定結果に基づいて、周辺セルへの移動を開始する。ここで、無線端末装置の「移動」とは、ハンドオーバを意味することに加えて、アイドル状態の無線端末装置が今後通信を開始する、すなわち通話またはデータ通信を開始する際にどのセルを介して通信を行なうかを選択することを意味する。
たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信しているときには、無線端末装置の移動先は無線基地局装置またはコアネットワークにおける上位装置が決定する。また、たとえば、無線端末装置が無線基地局装置と通信していないときには、無線端末装置の移動先は無線端末装置が決定する。
また、ハンドオーバとは、通話中またはデータ通信中の無線端末装置の通信相手となる無線基地局装置が切り替えられることを意味する。
また、無線端末装置がセルに在圏している、とは、無線端末装置が、当該セルを形成する無線基地局装置を通信先として選択し、かつ当該無線基地局装置と通信可能な状態または通信中である状態を意味する。
フェムトセルおよびアクセスモードは、3GPP(Third Generation Partnership Project) SPEC TS22.220において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、IPバックホール(backhaul)を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するCSG(Closed Subscriber Group)メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するCSGメンバーおよびCSGノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
マクロ基地局およびピコ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局およびピコ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
また、フェムト基地局は、オープン/ハイブリッド/クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー(端末)のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局およびピコ基地局と同じ動作をする。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、無線通信システムは、たとえば3GPP(Third Generation Partnership Project)で規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101Bを備える。図1では、2つの無線基地局装置を代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。
無線基地局装置101A,101Bは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここで、無線端末装置からコアネットワークへの方向を上り方向と称し、コアネットワークから無線端末装置への方向を下り方向と称する。
本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける無線基地局装置および無線端末装置は、以下の各シーケンスの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図1に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。
図2を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、自己と通信中の無線端末装置202の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する(ステップS1)。
次に、無線基地局装置101Aは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置202に測定させるための測定開始要求(Measurement Configuration)を無線端末装置202へ送信する。この測定開始要求には、周辺セル情報、すなわち測定対象となる無線基地局装置のセルIDが含まれる。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置の送信周波数が含まれる(ステップS2)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから測定開始要求を受信して、電力測定処理(Measurement)を開始する、すなわち受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する(ステップS3)。
次に、無線端末装置202は、この受信電力の測定結果を示す測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS4)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する(ステップS5)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202がハンドオーバすべきか否かを判断し、ハンドオーバすべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS6)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS7)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS8)。
次に、無線基地局装置101Bは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS9)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS10)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202へRRC(Radio Resource Control)コネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS11)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS12)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS13)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS14)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS15)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS16)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS17)。
[不適切なハンドオーバ動作の例]
以下、無線端末装置202と通信中の無線基地局装置またはハンドオーバ元の無線基地局装置をサービング基地局とも称し、ハンドオーバ先の無線基地局装置を周辺基地局とも称する。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Late HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Late HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、ハンドオーバが始まる前、あるいはハンドオーバ処理の最中に、ハンドオーバ元の無線基地局装置について無線リンク断(RLF:Radio Link Failure)が発生し、かつハンドオーバ元の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Late HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、無線端末装置202が無線基地局装置101AについてRLFを起こした後に無線基地局装置101Bに対して無線リンクを再確立した場合、無線基地局装置101Bが無線基地局装置101Aに対してRLF通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは”Too Late HO”を検出する。
ここでは、図3に示すように、無線端末装置202は、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である場合を想定する。
図3および図4を参照して、まず、無線端末装置202は、各無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS51)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS52)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS53)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS54)。
ここで、ネットワーク側のハンドオーバの準備中、すなわち無線基地局装置101Aおよび101Bが上記のようなハンドオーバのためのメッセージの送受信を行っている間に、無線端末装置202が、セルCAの圏外、かつセルCBの圏内に移動する(ステップS55)。
この無線端末装置202の移動により、無線基地局装置101Aから送信されるハンドオーバを指示するためのRRCコネクション再構成指示(ステップS56)が無線端末装置202に届かなくなり、RLFが発生してしまう(ステップS57)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Bに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS58)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再確立要求を受信して、RRCコネクション再確立応答を無線端末装置202へ送信する(ステップS59)。これにより、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立される。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再確立完了通知(RRC Connection Reestablishment Complete)を送信する(ステップS60)。
このRRCコネクション再確立完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション再確立完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Bは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Bは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS61)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS62)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI(Physical Cell ID)、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGI(E- UTRAN Cell Global Identifier)ならびに自己の無線端末装置202のC−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)等を含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101AのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101BのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Aが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101AにおいてRLFが発生したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS63)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから受信したRLF通知のPCI、ECGIおよびC−RNTIを参照することにより、セルCBへの”Too Late HO”が発生したことを認識する(ステップS64)。
次に、無線基地局装置101Aは、セルCBへの”Too Late HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS65)。
図5および図6は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)が生じた状況の一例を示す図である。
図5および図6を参照して、無線基地局装置101Bの形成するセルCBは、無線基地局装置101Bの設置エリアを含むセルCB1と、セルCA内に形成された、無線基地局装置101Bの設置エリアを含まないセルCB2とで構成される。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(Too Early HO)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”Too Early HO”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置に対する接続を成功した後、RLFが短時間で発生し、かつ、ハンドオーバ元の無線基地局装置に対して、当該無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”Too Early HO”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101Aから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”Too Early HO”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”Too Early HO”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図5に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCB2内へ移動した場合(ステップS70)を想定する。
図5〜図7を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101A(Source eNB, Serving eNB)へ送信する(ステップS71)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS72)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS73)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS74)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS75)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS76)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS77)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS78)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS79)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバが完了する(ステップS80)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外かつセルCAの圏内に移動する(ステップS81)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS83)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行ない、探索した無線基地局装置101Aに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を送信する(ステップS84)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放済みであり、保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS85)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS86)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Aから受信すると、無線基地局装置101Aと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS87)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS88)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS89)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101AからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS90)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS91)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS92)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS93)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101A間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101AへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS94)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Aは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS95)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS96)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101AのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCAへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS97)。
次に、無線基地局装置101Aは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS98)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCAへの”Too Late HO”ではなく、セルCBへの”Too Early HO”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101AからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCAへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”Too Early HO”であると判断すると(ステップS99)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS100)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”Too Early HO”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”Too Early HO”が発生したことを認識し(ステップS101)、”Too Early HO”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS102)。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)が生じた状況の一例を示す図である。
図8を参照して、無線通信システムは、図1に示す無線通信システムと比べて、さらに、無線基地局装置101Cを備える。無線基地局装置101Cは、たとえばフェムト基地局、ピコ基地局またはマクロ基地局である。
無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、不適切なハンドオーバ動作(HO to Wrong Cell)およびその検出処理のシーケンスの一例を示す図である。
”HO to Wrong Cell”は、たとえば以下のような場合をいう。すなわち、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置との接続に成功した後、短時間でRLFが発生し、かつハンドオーバ元およびハンドオーバ先の無線基地局装置以外の無線基地局装置に対する、無線端末装置202の接続再確立が生じた場合である。
”HO to Wrong Cell”の検出方法は、たとえば以下のようになる。すなわち、ハンドオーバ先の無線基地局装置101Bは、RLFレポートをハンドオーバ元の無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101Cから受信した場合において、当該受信タイミングからさかのぼって所定時間内に、当該無線端末装置202の自己へのハンドオーバの完了による端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信していたときに、”HO to Wrong Cell”である旨を無線基地局装置101Aに通知する。
ここで、無線基地局装置101Bは、上記所定時間を計測するために、タイマを用いる。これにより、無線基地局装置101Bは、RLFレポートを受信した場合において、自己の”Too Late HO”によってRLFが発生したのか、無線基地局装置101Aの”HO to Wrong Cell”によってRLFが発生したのかを判別することができる。
ここでは、図8に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、仮想セルCBVおよびセルCAの重複領域へ移動した場合(ステップS110)を想定する。仮想セルCBVは、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバを促進するために、パラメータであるオフセットOSTに従ってセルCBから拡大された仮想的なセルである。この場合、オフセットOSTは、無線基地局装置101Aの保持するパラメータである。
図8および図9を参照して、まず、無線端末装置202は、無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定し、測定した受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS111)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきか否かを判断する。無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバを行なうべきであると判断すると、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS112)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、基地局間インタフェースであるX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS113)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Aへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答をX2インタフェース経由で送信する(ステップS114)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS115)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、RRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS116)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS117)。
また、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202のセルCBにおける滞在時間を計測するために、タイマをスタートさせる(ステップS118)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報(UE Context)を解放する(ステップS119)。
以上により、無線端末装置202の無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへのハンドオーバが完了する(ステップS120)。
ここで、無線端末装置202が、測定結果通知(Measurement Report)を無線基地局装置101Bへ送信する前に、セルCBの圏外、かつ仮想セルCBVおよびセルCCの圏内に移動する(ステップS121)。
そうすると、無線端末装置202は、無線基地局装置101C(Other eNB)から送信される無線信号の干渉が大きく、無線基地局装置101Bと通信できなくなることから、RLFが発生してしまう(ステップS123)。
次に、無線端末装置202は、RLF発生を検出すると、無線信号の受信電力の測定等によって周辺の無線基地局装置の探索を行なう。この場合、無線基地局装置101Cからの無線信号の受信電力が最大となることから、無線端末装置202は、探索した無線基地局装置101Cに再接続するために、RRCコネクション再確立要求(RRC Connection Reestablishment Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS124)。
次に、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202に関する情報(UE Context)を保持していないことから、当該無線端末装置202からのRRCコネクション再確立要求を受け入れることができず(ステップS125)、RRCコネクション再確立拒絶を当該無線端末装置202へ送信する(ステップS126)。
次に、無線端末装置202は、RRCコネクション再確立拒絶を無線基地局装置101Cから受信して、無線基地局装置101Cと通常の接続手順をスタートさせる(ステップS127)。
すなわち、まず、無線端末装置202は、RRCコネクション要求(RRC Connection Request)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS128)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション要求を受信して、RRCコネクション情報(RRC Connection Setup)を無線端末装置202へ送信する(ステップS129)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101CからRRCコネクション情報を受信して、RRCコネクション完了通知(RRC Connection Setup Complete)を送信する(ステップS130)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202からRRCコネクション完了通知を受信して、セキュリティ情報(Security Mode Command)を無線端末装置202へ送信する(ステップS131)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cからセキュリティ情報を受信して、セキュリティ完了通知(Security Mode Complete)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS132)。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS133)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101C間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101CへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS134)。
ここで、RRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知は、たとえば”rlf-InfoAvailable”というパラメータを含む。無線端末装置202は、このパラメータを設定してRRCコネクション完了通知およびRRCコネクション再構成完了通知を送信する。これにより、無線基地局装置101Cは、当該無線端末装置202についてRLFの発生があったことを認識する。無線基地局装置101Cは、RLFの詳細な情報を取得するため、端末情報要求(UE Information Request)を無線端末装置202へ送信する(ステップS135)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Cから端末情報要求を受信して、RLFレポートを含む端末情報応答(UE Information Response)を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS136)。RLFレポートは、RLFの発生した無線基地局装置のPCI、RRCコネクション再確立の発生した無線基地局装置のPCIおよびECGIならびに自己の無線端末装置202のC−RNTIを含む。ここでは、RLF発生のPCIは無線基地局装置101BのIDであり、RRCコネクション再確立発生のPCIおよびECGIは無線基地局装置101CのIDであり、C−RNTIは無線基地局装置101Bが付与したIDである。
次に、無線基地局装置101Cは、無線端末装置202から受信したRLFレポートのPCIを参照することにより、無線基地局装置101BにおいてRLFが発生しことを認識し、セルCCへの”Too Late HO”が発生したと判断する(ステップS137)。
次に、無線基地局装置101Cは、”Too Late HO”であることを通知するために、当該RLFレポートの内容を含むRLF通知(RLF INDICATION)をX2インタフェース経由で無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS138)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信すると、スタートさせておいたタイマを確認し、タイマが動作している場合、すなわちタイマをスタートさせてから所定時間経過していない場合には、セルCCへの”Too Late HO”ではないと判断し、さらに、無線基地局装置101A以外の無線基地局装置101CからRLF通知を受信したことから、セルCBへの”Too Early HO”ではなく、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断する。なお、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101CからRLF通知を受信したときにタイマが動作していない場合、すなわちタイマをスタートさせてから上記所定時間経過している場合には、セルCCへの”Too Late HO”であると判断する。
無線基地局装置101Bは、セルCBへの”HO to Wrong Cell”であると判断すると(ステップS139)、ハンドオーバレポートを無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS140)。このハンドオーバレポートは、たとえば”Handover Report Type”というパラメータを含む。無線基地局装置101Bは、このパラメータを所定値に設定することにより、”HO to Wrong Cell”を無線基地局装置101Aに通知する。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bから当該ハンドオーバレポートを受信して、セルCBへの”HO to Wrong Cell”が発生したことを認識し(ステップS141)、”HO to Wrong Cell”の発生が抑制されるように、ハンドオーバ動作の最適化処理を実行する(ステップS142)。
以上のような”Too Late HO”、”Too Early HO”および”HO to Wrong Cell”の他に、不適切なハンドオーバ動作として”Ping Pong HO”がある。
これは、ある無線端末装置について、2つの無線基地局装置が互いに他の無線基地局装置へのハンドオーバを判断する場合である。この”Ping Pong HO”が発生すると、無線端末装置および無線基地局装置間の接続が切断されることはないが、当該無線端末装置についてはハンドオーバ動作のための処理が繰り返され、通話およびデータ通信を行なうことができなくなり、また、上位ネットワーク側の負荷が増大してしまう。
[ハンドオーバ動作の制御パラメータ]
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおける、無線端末装置の受信品質のシミュレーション結果を示す図である。
図10は、無線端末装置202が、時速30kmでピコ基地局付近を通過し、マクロ基地局付近を通過するまでの100秒間における無線端末装置202のRSSI(Received Signal Strength Indication)を示している。
図10において、グラフG1およびG3は、マクロ基地局から送信される無線信号のRSSIを示し、グラフG2およびG4は、ピコ基地局から送信される無線信号のRSSIを示している。また、グラフG1およびG2は、シャドウィング、すなわち無線端末装置202および他の物体間の相対的な位置変化に起因する、当該無線端末装置202における無線信号の受信電力の時間的な変化を考慮したシミュレーション結果であり、グラフG3およびG4は、シャドウィングを考慮しないシミュレーション結果である。
図10を参照して、無線端末装置202のピコ基地局からマクロ基地局へのハンドオーバの理想位置は、グラフの交点付近すなわち移動時間が約17秒となる位置である。しかしながら、実際には、無線端末装置202の未来の通信環境を無線通信システムにおいて把握することは困難であるため、各種測定結果等に基づいてハンドオーバ動作のタイミングを調整することにより、ハンドオーバ動作の最適化を図ることが重要である。
また、移動時間が15秒から20秒の期間では、各無線基地局装置からの無線信号の強弱が入り組んでいるため、たとえば”Too Early HO”または”Ping Pong HO”が発生しやすくなる。また、移動時間が20秒となるタイミング付近では、ピコ基地局からの無線信号の受信電力が急に小さくなり、マクロ基地局からの無線信号の受信電力が急に大きくなり、SINR(Signal to Interference-plus-Noise Ratio)が急激に悪化するため、”Too Late HO”が発生しやすくなる。
ここで、3GPPで規定されたハンドオーバの最適化を図るMRO(Mobility Robustness Optimization)の評価関数をY=MRO(X)とすると、Yは、たとえば”Too Late HO”の発生頻度、”Too Early HO”の発生頻度、”HO to Wrong Cell”の発生頻度、”Ping Pong HO”等の不必要なハンドオーバの発生頻度、またはRRCコネクション情報を送信した直後すなわち無線端末装置202が無線基地局装置に接続された直後のハンドオーバの発生頻度である。
また、たとえば、Xは、電力測定処理(Measurement)用のパラメータであり、ヒステリシスHS:0dB〜+15dB、TTT(Time to Trigger):0ms〜5120ms、またはオフセットOST(Cell Individual Offset):−24dB〜+24dBである。あるいは、Xは、セル再選択処理用のパラメータである。
たとえば、ヒステリシスHSおよびTTTは後述するイベントごとに設定可能であり、オフセットOSTはサービング基地局の形成するサービングセル、および周辺セルごとに設定可能である。
ここでは、無線基地局装置は、無線端末装置202の上り送信負荷を軽減するために、測定結果通知(Measurement Report)を受信するとハンドオーバの判断を行なうものとする。すなわち、測定結果通知の送信タイミングとハンドオーバのタイミングとが対応するものとする。
以下、測定結果通知を送信する各種イベントと電力測定処理のパラメータとの関係について説明する。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA1を示す図である。図11において、横軸は時間であり、縦軸は無線端末装置202における無線信号の受信電力またはSINRであり、SVCはサービングセルの受信電力またはSINRすなわちサービング基地局が送信する無線信号の受信電力またはSINRである。
図11を参照して、イベントA1では、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th+HS)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT1)。
そして、無線端末装置202は、受信電力またはSINRが(Th−HS)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT1からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT2)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT2からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT3)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT3からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT4)。
ここで、無線端末装置202は、レポートオン状態およびレポートオフ状態間の遷移とは無関係に、たとえば周期的に電力測定処理を行なっており、直近の測定結果を測定結果通知として送信する。また、たとえば、無線端末装置202は、受信電力およびSINRの各々について独立にレポートオン状態およびレポートオフ状態間の遷移を行なう。すなわち、無線端末装置202は、受信電力およびSINRの一方について条件を満たせば、測定結果通知を送信する。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA2を示す図である。図の見方は図11と同様である。
図12を参照して、イベントA2では、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th−HS)よりも小さくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT11)。
そして、無線端末装置202は、受信電力またはSINRが(Th+HS)よりも小さい、という条件が満たされた状態でタイミングT11からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT12)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT12からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT13)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT13からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT14)。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA3を示す図である。図13において、横軸は時間であり、縦軸は無線端末装置202における無線信号の受信電力またはSINRであり、SVCはサービングセルの受信電力またはSINRであり、NBCは周辺セルの受信電力またはSINRすなわち周辺基地局が送信する無線信号の受信電力またはSINRである。
図13を参照して、イベントA3では、サービングセルの受信電力またはSINRに対してオフセットOST1が正方向に設定されており、さらに、正負の方向にヒステリシスHSが設定される。また、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOST2が正方向に設定される。
無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST2}が{(サービングセルの受信電力またはSINR)+OST1+HS}よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT21)。
そして、無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST2}が{(サービングセルの受信電力またはSINR)+OST1−HS}よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT21からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT22)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT22からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT23)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT23からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT24)。
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA4を示す図である。図の見方は図13と同様である。
図14を参照して、イベントA4では、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOSTが正方向に設定されており、閾値Thに対して正負の方向にヒステリシスHSが設定される。
無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th+HS)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT31)。
そして、無線端末装置202は、{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th−HS)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT31からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT32)。
次に、無線端末装置202は、当該条件が満たされた状態でタイミングT32からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT33)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT33からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT34)。
図15は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置が測定結果通知を送信するイベントA5を示す図である。図の見方は図13と同様である。
図15を参照して、イベントA5では、周辺セルの受信電力またはSINRに対してオフセットOSTが正方向に設定されており、閾値Th1に対して正負の方向にヒステリシスHS1が設定されており、閾値Th2に対して正負の方向にヒステリシスHS2が設定される。
無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th1−HS1)よりも小さくなり、かつ{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th2+HS2)よりも大きくなると、レポートオン状態へ遷移する(タイミングT41)。
そして、無線端末装置202は、サービングセルの受信電力またはSINRが(Th1+HS1)よりも小さく、かつ{(周辺セルの受信電力またはSINR)+OST}が(Th2−HS2)よりも大きい、という条件が満たされた状態でタイミングT41からTTT経過すると、測定結果通知を送信する(タイミングT42)。
次に、無線端末装置202は、タイミングT42からTTT経過するまでに当該条件が満たされなくなると、測定結果通知を送信せず、レポートオフ状態へ遷移する(タイミングT43)。
以上のように、イベントA1〜A5で説明したパラメータ、すなわちヒステリシスHS、TTTおよびオフセットOSTを調整すれば、無線端末装置202のハンドオーバ動作のタイミングを制御することが可能である。
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ヒステリシスHSの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図16は、イベントA3の場合を示す。
図16を参照して、ヒステリシスHSをゼロに設定した場合には、タイミングT51においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT53において測定結果通知が送信され、タイミングT55においてレポートオフ状態へ遷移する。
これに対して、ヒステリシスHSをゼロより大きく設定した場合には、タイミングT51より後のタイミングT52においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT53より後のタイミングT54において測定結果通知が送信され、タイミングT55より後のタイミングT56においてレポートオフ状態へ遷移する。
すなわち、ヒステリシスHSを大きくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、TTTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図17は、イベントA3の場合を示す。
図17を参照して、TTTを小さく設定した場合には、タイミングT62において測定結果通知が送信される。
これに対して、TTTを大きく設定した場合には、タイミングT61より後のタイミングT63において測定結果通知が送信される。
すなわち、TTTを大きくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。
図18は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、オフセットOSTの調整によるハンドオーバ動作のタイミング制御を示す図である。図18は、イベントA3の場合を示す。
図18を参照して、オフセットOSTをゼロに設定した場合には、タイミングT71においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT73において測定結果通知が送信され、タイミングT76においてレポートオフ状態へ遷移する。
これに対して、オフセットOSTをゼロより小さく設定した場合には、タイミングT71より後のタイミングT72においてレポ−トオン状態へ遷移し、タイミングT73より後のタイミングT74において測定結果通知が送信され、タイミングT76より前のタイミングT75においてレポートオフ状態へ遷移する。
すなわち、オフセットOSTを小さくすると、測定結果通知の送信タイミングすなわちハンドオーバ動作のタイミングを遅くすることができる。また、レポートオフ状態からレポートオン状態への遷移が遅くなり、かつレポートオン状態からレポートオフ状態への遷移が早くなる。
以上のように、ヒステリシスHSを大きくするか、TTTを大きくするか、あるいはオフセットOSTを小さくすることにより、ハンドオーバ動作のタイミングが遅くなる。すなわち、無線端末装置202がサービング基地局に接続される時間が長くなることから、”Too Early HO”、”HO to Wrong Cell”および”Ping Pong HO”の発生頻度が減り、”Too Late HO”の発生頻度が増えることになる。
ここで、ヒステリシスHS、TTTおよびオフセットOSTを調整する効果の違いについて考察する。
いずれのパラメータを調整しても、ハンドオーバのタイミングを調整することができるが、これらの効果は、干渉を含む地形、および無線端末装置の移動速度等によって異なる。
ヒステリシスHSおよびオフセットOSTを調整することは、セルを仮想的に大きくしたり小さくしたりして、ハンドオーバの行なわれる位置を調整することに相当する。たとえば、サービングセルのヒステリシスHSを大きくすることにより、無線信号の受信電力を大きく見せて、他セルへのハンドオーバが行なわれにくくする。また、周辺セルのオフセットOSTを負の値に設定することにより、周辺セルからの無線信号の受信電力を小さく見せて、他セルへのハンドオーバが行なわれにくくする。
また、ヒステリシスHSおよびオフセットOSTは、無線端末装置の移動速度による影響を受けにくいパラメータである。
ここで、無線基地局装置から無線端末装置202へ送信される測定開始要求(Measurement Configuration)およびRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)には、たとえば、周辺セルごとにオフセットOSTが設定され、イベントA1〜A5のうちの少なくとも1つが設定され、設定イベントに対応するヒステリシスHSおよびTTTが設定される。
[無線基地局装置]
図19は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の構成を示す図である。
図19を参照して、無線基地局装置101は、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを備える。信号処理部95は、受信信号処理部96と、送信信号処理部97とを含む。信号処理部95および制御部98は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって実現される。
サーキュレータ92は、アンテナ91において受信された無線端末装置202からの無線信号を無線受信部93へ出力し、また、無線送信部94から受けた無線信号をアンテナ91へ出力する。
無線受信部93は、サーキュレータ92から受けた無線信号をベースバンド信号またはIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、この周波数変換した信号をデジタル信号に変換して受信信号処理部96へ出力する。
受信信号処理部96は、無線受信部93から受けたデジタル信号に対してCDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号の一部または全部を所定のフレームフォーマットに変換してコアネットワーク側へ送信する。
送信信号処理部97は、コアネットワーク側から受信した通信データを所定のフレームフォーマットに変換した通信データまたは自ら生成した通信データに対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の信号処理を行ない、この信号処理後のデジタル信号を無線送信部94へ出力する。
無線送信部94は、送信信号処理部97から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号に周波数変換してサーキュレータ92へ出力する。
制御部98は、無線基地局装置101における各ユニットおよびコアネットワークとの間で各種情報をやり取りする。
図3〜図9では、不適切なハンドオーバ動作およびその検出処理について説明した。不適切なハンドオーバ動作を検出した場合、前述のように無線基地局装置は、ヒステリシスHS、オフセットOSTおよびTTT等のパラメータを調整することにより、ハンドオーバ動作を最適化する。
しかしながら、たとえば”Too Late HO”と”Too Early HO”とは相反する事象であり、パラメータの調整についてトレードオフの関係にあるため、バランスよく調整することが困難な場合もある。このようなパラメータ調整の代わりに、あるいはパラメータ調整に加えて、不適切なハンドオーバ動作を抑制する手法が望まれる。
図2では、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を説明した。このシーケンスにおいて、無線基地局装置101Aがハンドオーバ動作を行なうべきであると判断する元となる測定結果通知を無線端末装置202が送信してから、コアネットワーク側の準備処理すなわち無線基地局装置101Aと上位装置および無線基地局装置101Bとの各種情報のやり取りが行われ、その後無線基地局装置101Aが無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する処理を行なうまでの準備期間T101を考える。図2に示すシーケンスでは、準備期間T101において無線端末装置202の電波環境が劣化すると、”Too Late HO”が発生する可能性がある。特に、コアネットワーク側の準備処理では、一般の通信回線を経由して情報が送受信される場合が多いことから、当該準備処理の完了までに長時間を要し、準備期間T101が大幅に長くなる可能性がある。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムでは、以下のような構成により、”Too Late HO”を効果的に抑制する。
図20は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置における制御部の構成を示す図である。
図20を参照して、制御部98は、ハンドオーバ要求部11と、ハンドオーバ指示部12と、ハンドオーバ条件調整部13と、ハンドオーバ情報取得部14と、端末測定結果取得部15とを含む。
端末測定結果取得部15は、無線端末装置202からの測定結果通知を取得し、取得した測定結果通知から自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質を求め、当該通信品質をハンドオーバ要求部11およびハンドオーバ指示部12に通知する。
ハンドオーバ要求部11は、自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作を行なう要求を他の無線基地局装置に対して行なう、すなわちハンドオーバ要求を他の無線基地局装置へ送信する。たとえば、ハンドオーバ要求部11は、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ準備条件が満たされる場合に、上記要求を他の無線基地局装置に対して行なう。
ハンドオーバ指示部12は、上記要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、無線端末装置202に対して自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与える、すなわちRRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する。ここで、ハンドオーバ指示部12は、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関するハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。たとえば、ハンドオーバ指示部12は、所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対して上記指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
図21は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
ここでは、図1に示すように、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aと通信中である状態から、セルCAおよびセルCBの重複領域へ移動した場合を想定する。
図21を参照して、まず、無線基地局装置101Aは、自己と通信中の無線端末装置202の測定対象となる周波数と、当該周波数の無線信号を送信する他の無線基地局装置とを設定する(ステップS161)。
次に、無線基地局装置101Aは、設定した他の無線基地局装置から送信される無線信号の受信レベルを無線端末装置202に測定させるための測定開始要求を無線端末装置202へ送信する。この測定開始要求には、周辺セル情報、すなわち測定対象となる無線基地局装置のセルIDが含まれる。また、この測定開始要求には、各無線基地局装置の送信周波数が含まれる(ステップS162)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから測定開始要求を受信して、電力測定処理を開始する、すなわち受信した測定開始要求の示す周波数において、測定開始要求の示す無線基地局装置から送信される無線信号の受信電力を測定する(ステップS163)。
次に、無線端末装置202は、この受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS164)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する(ステップS165)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバの準備処理を行なうべきであると判断し、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS166)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS167)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS168)。
次に、無線基地局装置101Bは、上位装置からハンドオーバ要求を受信して、上位装置へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS169)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS170)。
以上のような準備処理が実行されている間に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS171)。
そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。このようにして、無線基地局装置101Aは、測定結果通知を受信するたびに上記通信品質を更新する(ステップS172)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS173)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS174)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS175)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS176)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS177)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、上位装置へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS178)。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS179)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、上位装置へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS180)。
図22は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。図22は、ハンドオーバ動作を中止するシーケンスの一例を示す。図22において想定するケースは図21と同様である。
図22を参照して、ステップS191〜S202の動作は、図21に示すステップS161〜S172の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、最後に取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS203)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS204)。
ここで、無線基地局装置101Aにおいて、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ動作の中止を無線基地局装置101Bに通知する際、自己の無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202間の通信品質が条件を満たしていない旨を上位装置および無線基地局装置101Bに通知する。
具体的には、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との通信品質が原因でハンドオーバ動作を中止する旨を示すフラグをハンドオーバ中止通知において設定し、上位装置および無線基地局装置101Bへ送信する。
これにより、上位装置および無線基地局装置101Bは、たとえばハンドオーバ動作に関するパラメータ設定の誤り等によってハンドオーバ動作が中止された事象との区別をつけることができる。このため、上位装置および無線基地局装置101Bにおいて、新たなパラメータ設定処理等の不要な処理の発生を防ぎ、かつハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ中止通知を受信して、必要であれば当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なうとともに、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS205)。
次に、無線基地局装置101Bは、ハンドオーバ中止通知を受信して、当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なう(ステップS206)。
図21および図22に示すシーケンスにおける無線基地局装置および無線端末装置間の通信品質の具体例として、たとえば、無線基地局装置101は、イベントA3の条件式を利用して、ハンドオーバ実行条件およびハンドオーバ準備条件を設定する。すなわち、無線基地局装置101は、以下の式を満たす場合にハンドオーバ動作の実行を判断する。
(サービングセルの受信電力+サービングセルのオフセットOST1+ヒステリシスHS)<(周辺セルの受信電力+周辺セルのオフセットOST2)
また、無線基地局装置101は、以下の式を満たす場合に、ハンドオーバ動作の準備開始を判断する。ただし、制御値Pはゼロ以上の値である。
(サービングセルの受信電力+サービングセルのオフセットOST1+ヒステリシスHS)<(周辺セルの受信電力+周辺セルのオフセットOST2+制御値P)
この式において、制御値Pを大きくすることにより、ハンドオーバ動作の準備開始タイミングが早くなる。これにより、ハンドオーバ動作の実行タイミングを早め、”Too Late HO”を抑制することができる。
ただし、制御値Pを大きくしすぎると、ハンドオーバ動作が実行されずに当該ハンドオーバ動作の準備処理が無駄になる場合が増える。このような場合には、制御値Pを小さくすることにより、ハンドオーバ動作の準備開始タイミングがハンドオーバ動作の実行タイミングに近づくことになり、無駄な準備処理が行われる可能性を低くすることができる。
また、制御値Pを正の値に設定すると、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と比べて良い品質となる。すなわち、ハンドオーバ準備条件は、ハンドオーバ実行条件と比べて、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう必要性の低い条件となる。この場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理開始時と比べて、上位装置からのハンドオーバ指示の受信時において把握している最新の通信品質が制御値P相当分以上劣化している場合に、ハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。すなわち、制御値Pを正の値に設定する場合、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができるため、無線端末装置202の電波環境の変化に対して迅速にハンドオーバ動作を実行することが可能となる。
また、制御値Pをゼロに設定すると、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と同等となる。この場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理開始時と比べて、上位装置からのハンドオーバ指示の受信時において把握している最新の通信品質が良好になっている場合に、ハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する。すなわち、制御値Pをゼロに設定する場合、無線端末装置202の電波環境の好転によって行なう必要のなくなったハンドオーバ動作を適切に中止することが可能となる。
また、無線基地局装置101において、ハンドオーバ条件調整部13は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質およびハンドオーバ準備条件の示す通信品質の差を調整可能である。
たとえば、ハンドオーバ情報取得部14は、ハンドオーバ指示部12によってハンドオーバ動作の中止が他の無線基地局装置に通知された回数を取得する。そして、ハンドオーバ条件調整部13は、ハンドオーバ情報取得部14によって取得された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
あるいは、ハンドオーバ情報取得部14は、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作が不適切であった回数を取得する。そして、ハンドオーバ条件調整部13は、ハンドオーバ情報取得部14によって取得された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
具体的には、ハンドオーバ条件調整部13は、以下のような式に従って制御値Pを調整する。ただし、W1およびW2は重み付け係数であり、それぞれ正の値および負の値である。
P=W1×”Too Late HO”の回数+W2×無駄な準備処理が行われた回数(ハンドオーバ動作の中止回数)
なお、上記各回数は、ある無線基地局装置において、1つの他の無線基地局装置についての回数に限らず、複数の他の無線基地局装置についての合計回数とすることも可能である。
また、無線基地局装置101は、たとえばCQIレポートの値を通信品質として利用してもよい。
CQIレポートは、直接現在の各セルにおける電波状況を通知するものではなく、SINRを用いた以下の式により0〜15の16段階で表現される値である。CQI=0の場合、無線端末装置202の受信品質が最も悪く、CQI=15の場合、無線端末装置202の受信品質が最も良い。
CQI=min(max(round((SINR[dB]+8)/1.892),0),15)
また、無線基地局装置101は、ハンドオーバ要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けてから、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たすまで待機する構成であってもよい。すなわち、無線基地局装置101において、ハンドオーバ指示部12は、他の無線基地局装置からの応答を受けて、ハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、ハンドオーバ実行条件が満たされるまで待機する。そして、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ実行条件が満たされると無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与える。一方、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ実行条件が満たされる前に通信品質に関する所定のハンドオーバ中止条件が満たされた場合には、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
すなわち、無線基地局装置101は、ハンドオーバ動作の準備処理の完了後、無線端末装置202からたとえば周期的に到着する測定結果通知に基づいて自己および当該無線端末装置202間の通信品質を監視し、当該通信品質がハンドオーバ実行条件を満たした時点で、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与える。
これにより、ハンドオーバ動作の準備処理の開始タイミングを早めるほど、最適なタイミングでハンドオーバ動作を実行できる可能性が高まる。
図23は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。図23において想定するケースは図21と同様である。
図23を参照して、ステップS211〜S220の動作は、図21に示すステップS161〜S170の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
ハンドオーバ動作の準備処理が実行されている間に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS221)。
そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。このようにして、無線基地局装置101Aは、測定結果通知を受信するたびに上記通信品質を更新する(ステップS222)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置からハンドオーバ指示を受信して、通信品質が所定のハンドオーバ実行条件またはハンドオーバ中止条件を満たすまで待機する(ステップS223)。
次に、無線基地局装置101Aは、更新された通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS224)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS225)。
ステップS226〜S231の動作は、図21に示すステップS175〜S180の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
図24は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。図24は、ハンドオーバ動作を中止するシーケンスの一例を示す。図24において想定するケースは図21と同様である。
図24を参照して、ステップS241〜S253の動作は、図23に示すステップS211〜S223の動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、更新された通信品質がハンドオーバ中止条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS254)。
次に、無線基地局装置101Aは、上位装置へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS255)。
ここで、図22に示すシーケンスと同様に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との通信品質が原因でハンドオーバ動作を中止する旨を示すフラグをハンドオーバ中止通知において設定し、上位装置へ送信する。
次に、上位装置は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ中止通知を受信して、必要であれば当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なうとともに、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS256)。
次に、無線基地局装置101Bは、ハンドオーバ中止通知を受信して、当該ハンドオーバ中止通知に対応するハンドオーバ動作について、保持情報の消去等のハンドオーバ中止処理を行なう(ステップS257)。
図23および図24に示すシーケンスにおける無線基地局装置および無線端末装置間の通信品質の具体例として、たとえば、無線基地局装置101は、イベントA3の条件式を利用して、ハンドオーバ中止条件を設定する。すなわち、図22および図23に示すシーケンスにおいて説明したハンドオーバ動作の実行判断および準備開始判断の条件式に加えて、無線基地局装置101は、以下の式を満たす場合にハンドオーバ動作の中止を判断する。ただし、制御値Qは正の値である。
(サービングセルの受信電力+サービングセルのオフセットOST1+ヒステリシスHS+制御値Q)<(周辺セルの受信電力+周辺セルのオフセットOST2)
この式において、制御値Qを正の値に設定すると、ハンドオーバ中止条件の示す通信品質は、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質と比べて良い品質となる。この場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理開始時と比べて、通信品質が制御値Q相当分以上良くなっている場合に、ハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する。すなわち、制御値Qを正の値に設定する場合、無線端末装置202の電波環境の好転に対して適切にハンドオーバ動作を中止することが可能となる。
また、制御値Qをゼロに設定すると、ハンドオーバ準備条件およびハンドオーバ中止条件が等しくなり、ハンドオーバの準備処理および中止処理が繰り返されてしまうが、制御値Qを正の値に設定することにより、このような事象の発生を防ぐことができる。
なお、ハンドオーバ中止条件は、通信品質に関する条件である場合に限らず、たとえば経過時間であってもよい。
具体的には、図24において、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置へ送信する(ステップS247)前後においてタイマをスタートさせ、タイマの満了をハンドオーバ中止条件とする。そして、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ実行条件を満たす前にスタートさせておいたタイマが満了すると、無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断し、上位装置へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS254)。
図25は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいてハンドオーバ動作に要する時間の内訳の一例を示す図である。
図25を参照して、ハンドオーバ動作に要する時間は、たとえば無線端末装置202における電力測定処理の間隔に相当する時間T111と、TTTに相当する時間T112と、ハンドオーバ動作の準備処理時間T113と、ハンドオーバ動作の実行時間、すなわちRRCコネクション再構成指示が送信されてからハンドオーバ完了通知が送信されるまでの時間T114との和である。
なお、TTTは、前述のように、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が一定間隔で測定結果通知を送信するための周期である。このため、時間T111および時間T112は重複する場合がある。図25では、説明を簡単にするために、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が最初に送信した測定結果通知に基づいてハンドオーバ動作が行われる場合を示している。
時間T111は、たとえば200msであり、CQIレポートを利用する場合には5msとなる。また、時間T112は、たとえば0ms〜2000msである。また、時間T113は、たとえば50ms〜150msである。また、時間T114は、たとえば40msである。
時間T111および時間T112については、ヒステリシスHS、オフセットOSTおよびTTT等のパラメータを調整することによって短縮することが可能である。
そして、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、前述のようにハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の実行判断処理を行なう構成により、時間T113を理想的には0msまで短縮することが可能である。
すなわち、”Too Late HO”の発生頻度が高く、かつハンドオーバ動作のタイミングを早めるためのパラメータ調整がこれ以上困難な場合に、たとえば前述の制御値Pを大きくする。これにより、ハンドオーバ動作の準備処理のタイミングを早め、適切なハンドオーバ動作を実現することができる。
ところで、非特許文献1に記載されるような不適切なハンドオーバ動作が行なわれると、通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ要求部11は、自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置への無線端末装置202のハンドオーバ動作を行なう要求を他の無線基地局装置に対して行なう。ハンドオーバ指示部12は、上記要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、無線端末装置202に対して自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行なう指示を与える。そして、ハンドオーバ指示部12は、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な通信システムを構築することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、無線端末装置のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部12は、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の中止に伴い、たとえば他の無線基地局装置においてハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部12は、他の無線基地局装置から上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、ハンドオーバ実行条件が満たされるまで待機する。そして、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ実行条件が満たされると無線端末装置202に対してハンドオーバ指示を与える。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備処理が完了した後、無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質がハンドオーバ実行条件を満たした時点で、無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与えることができるため、最適なタイミングでハンドオーバ動作を実行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ実行条件が満たされるまで待機し、ハンドオーバ実行条件が満たされる前に通信品質に関するハンドオーバ中止条件が満たされた場合には、無線端末装置202に対してハンドオーバ指示を与えず、ハンドオーバ動作を中止する旨を他の無線基地局装置に通知する。
このような構成により、タイマの満了等の適切なタイミング、または電波環境に応じた適切な条件でハンドオーバ動作を中止し、ハンドオーバ動作の待機時間の増大を防ぐことができる。また、ハンドオーバ動作の中止に伴い、たとえば他の無線基地局装置においてハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ要求部11は、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質に関する所定のハンドオーバ準備条件が満たされる場合に、ハンドオーバ要求を他の無線基地局装置に対して行なう。ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と同等である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備期間において無線端末装置の電波環境が好転し、実行する必要のなくなったハンドオーバ動作を適切に中止することができるため、不要となったハンドオーバ動作の実行を抑制することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質と比べて同等であるかまたは良い品質であり、ハンドオーバ中止条件の示す通信品質は、ハンドオーバ準備条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備期間において無線端末装置の電波環境が好転し、実行する必要のなくなったハンドオーバ動作を適切に中止することができるため、不要となったハンドオーバ動作の実行を抑制することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ動作の中止を他の無線基地局装置に通知する際、自己の無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質が条件を満たしていない旨を他の無線基地局装置に通知する。
これにより、他の無線基地局装置は、たとえばハンドオーバ動作に関するパラメータ設定の誤り等によってハンドオーバ動作が中止された事象との区別をつけることができる。このため、他の無線基地局装置における新たなパラメータ設定処理等の余計な処理の発生を防ぎ、かつハンドオーバ動作のために確保した各種リソースの解放を適切に行なうことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ条件調整部13は、ハンドオーバ実行条件の示す通信品質およびハンドオーバ準備条件の示す通信品質の差を調整する。
このような構成により、”Too Late HO”等の不適切なハンドオーバ動作の発生頻度、およびハンドオーバ動作の中止頻度の調整が可能となり、より適切なハンドオーバ動作を実現することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ条件調整部13は、ハンドオーバ指示部12によってハンドオーバ動作の中止が他の無線基地局装置に通知された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の中止頻度の観点から、”Too Late HO”等の不適切なハンドオーバ動作の発生頻度、およびハンドオーバ動作の中止頻度を適切に調整することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、ハンドオーバ情報取得部14は、無線端末装置202による自己の無線基地局装置101から他の無線基地局装置へのハンドオーバ動作が不適切であった回数を取得する。そして、ハンドオーバ条件調整部13は、ハンドオーバ情報取得部14によって取得された回数に基づいて上記通信品質の差を調整する。
このような構成により、”Too Late HO”等の不適切なハンドオーバ動作の発生頻度の観点から、不適切なハンドオーバ動作の発生頻度およびハンドオーバ動作の中止頻度を適切に調整することができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置では、無線基地局装置101および無線端末装置202間の通信品質として、サービングセルの受信電力および周辺セルの受信電力の関係、あるいはCQIレポートの値を用いる構成であるとしたが、これに限定するものではない。無線端末装置202の受信電力に限らず、パイロット信号の誤り率等、無線基地局装置および無線端末装置間の通信品質を示す何らかの指標を用いる構成であればよい。また、イベントA3以外のイベントの条件式を利用する構成であってもよい。また、下り方向の通信品質に限らず、上り方向の通信品質を利用する構成であってもよい。
<シミュレーション>
本願発明者らは、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置の動作についてシミュレーションを行った。以下、本シミュレーションの内容および結果について詳細に説明する。
図26は、シミュレーション対象の無線通信システムにおける無線環境パラメータを示す図である。
図26を参照して、本シミュレーションの対象となる無線通信システムの無線環境パラメータは、「基地局数/セクタ数」、「基地局間距離」、「パスロス」すなわち無線基地局装置が送信する無線信号の送信電力と、無線端末装置における当該無線信号の受信電力との差、「基地局アンテナゲイン」すなわち無指向性を0dBとした場合の指向性によるゲイン、「端末アンテナゲイン」、「シャドウィング」すなわち無線端末装置202における無線信号の受信電力の時間的な変動量、「シャドウィングの相関距離」すなわちシャドウィングの2地点間の相関が0.5となるときの当該2地点間の距離、「シャドウィングの相関値」、「基地局アンテナ指向性パターン」、「キャリア周波数/帯域」、「基地局の総送信電力」、「アンテナ構成」および「基地局−端末間の最小距離」である。
具体的には、この無線通信システムにおけるマクロ基地局数は19であり、マクロ基地局が3つのセクタを有するものとして総セクタ数は57であり、ピコ基地局数は1であり、ピコ基地局が1つのセクタを有するものとして総セクタ数は1である。マクロ基地局間の距離は500mであり、マクロ基地局およびピコ基地局間の距離は250mである。マクロ基地局についてのパスロスは、マクロ基地局および無線端末装置間の距離をd[m]として15.3+37.6×log10(d)[dB]であり、ピコ基地局についてのパスロスは、ピコ基地局および無線端末装置間の距離をd[m]として30.6+36.7×log10(d)[dB]である。マクロ基地局のアンテナゲインは15dBiであり、ピコ基地局のアンテナゲインは5dBiである。無線端末装置202のアンテナゲインはマクロ基地局およびピコ基地局のいずれにおいても0dBiである。マクロ基地局についてのシャドウィングの標準偏差は8dBであり、ピコ基地局についてのシャドウィングの標準偏差は10dBである。マクロ基地局についてのシャドウィングの相間距離は25mであり、ピコ基地局についてのシャドウィングの相間距離は25mである。マクロ基地局についてのシャドウィングの相関値はセル間で0.5であり、セクタ間で1であり、ピコ基地局についてのシャドウィングの相関値はセル間で0.5である。マクロ基地局のアンテナの指向性パターンは3次元のパターンであり、ピコ基地局のアンテナは無指向性である。マクロ基地局の送信側のキャリア周波数および帯域はそれぞれ2.0GHzおよび10MHzであり、ピコ基地局の送信側のキャリア周波数および帯域はそれぞれ2.0GHzおよび10MHzである。マクロ基地局の総送信電力は46dBmであり、ピコ基地局の総送信電力は30dBmである。マクロ基地局の有する送信アンテナは1本であり、ピコ基地局の有する送信アンテナは1本であり、無線端末装置202の有する受信アンテナは2本である。その他、無線基地局装置および無線端末装置間の最小距離等のパラメータは、3GPP TR 36.814に従う。
図27は、シミュレーション対象の無線通信システムにおける電力測定処理(Measurement)のパラメータを示す図である。
図27を参照して、本シミュレーションでは、プロファイルとしてセット1〜セット5を設けている。セット1からセット5の順番で、ハンドオーバ動作のタイミングが早くなり、セット5においてハンドオーバ動作のタイミングが最も早くなる。また、電力測定処理のパラメータは、端末移動速度、基地局負荷率、TTT、イベントA3のオフセットOST、電力測定間隔すなわち測定結果通知の更新周期、およびフィルタリング係数αである。
ここで、フィルタリング係数αについて説明する。無線端末装置202は、たとえば、時刻(t−1)において測定した受信電力M(t−1)、時刻(t−1)より後の時刻tにおいて測定した受信電力M(t)およびフィルタリング係数αから、以下の式で表される受信電力MR(t)を算出する。
MR(t)=(1−2−α/4)×MR(t−1)+2−α/4×M(t)
無線端末装置202は、受信電力MR(t)を示す測定結果通知を無線基地局装置へ送信する。
フィルタリング係数αを大きくする場合には、より過去の受信電力が測定結果通知に反映されることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが遅くなる。一方、フィルタリング係数αを小さくする場合には、より最近の受信電力が測定結果通知に反映されることになるため、ハンドオーバ動作のタイミングが早くなる。
セット1〜セット5において、無線端末装置202の移動速度は時速3km,30km,60km,120kmであり、基地局負荷率は100%である。また、セット1において、TTTは480msであり、オフセットOSTは3dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは4である。セット2において、TTTは160msであり、オフセットOSTは3dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは4である。セット3において、TTTは160msであり、オフセットOSTは2dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは1である。セット4において、TTTは80msであり、オフセットOSTは1dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは1である。セット5において、TTTは40msであり、オフセットOSTは−1dBであり、電力測定間隔は200msであり、フィルタリング係数αは0である。
ここでは、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置における、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておく動作を「HO準備短縮」と称する。
本シミュレーションでは、無線基地局装置は、最も新しい測定結果通知において受信電力が最も大きい無線基地局装置をハンドオーバ先として選択する。また、無線基地局装置は、無線端末装置202から、測定結果通知を200msに1回受信する。
また、HO準備短縮を行なった場合におけるハンドオーバ動作の準備処理時間は10msであり、HO準備短縮を行なわない場合におけるハンドオーバ動作の準備処理時間は、図2に示すように、X2インタフェースを用いずにS1インタフェースを用いるハンドオーバ動作を想定し、100msである。
図28は、ハンドオーバ失敗確率のシミュレーション結果を示す図である。
図28を参照して、HO準備短縮を行なう構成では、ハンドオーバ失敗(HOF)の発生確率を、HO準備短縮を行なわない構成と比べてほとんどのケースで減少させることができる。
図29は、”Ping Pong HO”の発生確率のシミュレーション結果を示す図である。
図29を参照して、HO準備短縮を行なう構成では、”Ping Pong HO”の発生確率は、HO準備短縮を行なわない構成と比べて一部に若干の増加が見られる。これは、ハンドオーバ失敗(HOF)が回避されていることによるものである。
図30は、図28に示すハンドオーバ失敗確率、および図29に示す”Ping Pong HO”の発生確率の和を示す図である。
図30を参照して、HO準備短縮を行なう構成では、HO準備短縮を行なわない構成と比べて、ハンドオーバ失敗確率および”Ping Pong HO”の発生確率の和がほとんどのケースで減少している。
図31は、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置による改善対象を示す図である。
図31は、サービングセルにおける電波環境よりも周辺セルにおける電波環境の方が良くなってから、実際にハンドオーバ動作が完了するまでの経過時間の内訳を示している。
ハンドオーバ動作に要する時間は、たとえば無線端末装置202における電力測定処理の間隔に相当する時間T211と、TTTに相当する時間T212と、ハンドオーバ動作の準備処理時間T213と、ハンドオーバ動作の実行時間、すなわちRRCコネクション再構成指示が送信されてからハンドオーバ完了通知が送信されるまでの時間T214との和である。
なお、TTTは、前述のように、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が一定間隔で測定結果通知を送信するための周期である。このため、時間T211および時間T212は重複する場合がある。図31では、説明を簡単にするために、レポートオン状態へ遷移してから無線端末装置202が最初に送信した測定結果通知に基づいてハンドオーバ動作が行なわれる場合を示している。
時間T211は、たとえば200msであり、CQIレポートを利用する場合には最短で5msとなる。また、時間T212は、たとえば40ms〜1000msである。また、時間T213は、たとえば40ms〜100msである。また、時間T214は、たとえば50msである。
本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置における「HO準備短縮」による改善対象は、時間T213である。
なお、ハンドオーバ動作の準備処理は、ハンドオーバ動作の実行判断の後に行なわれる。このため、HO準備短縮を行っても、”Ping Pong HO”の発生を減らす、すなわち不要なハンドオーバ動作の実行回数を減らす、という効果は直接的には得られない。
以上のように、本シミュレーションから、本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置により、無線端末装置のハンドオーバ動作が適切に制御され、無線通信システムにおける通信の安定化が図られることが確認された。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、ハンドオーバ動作において無線端末装置202の通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わる場合について説明した。これに対して、第2の実施の形態では、無線基地局装置101A,101Bだけでなくコアネットワークにおける上位装置が切り替えられる場合について説明する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る無線通信システムと同様である。なお、上位装置としては、例えば、MME(Mobility Management Entity)またはS−GW(Serving Gateway)が挙げられる。
以下、本発明の第2の実施の形態として、ハンドオーバ動作においてMMEの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてS−GWの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてMMEおよびS−GWの切り替えが必要な場合とに分けて説明する。
(a)MMEの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図32は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図32を参照して、無線通信システム401は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101Bを備える。ここでは、無線端末装置202が、無線基地局装置101Aと通信中である状態から移動し、通信相手すなわち通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わるハンドオーバ動作が行われる場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101Bが周辺基地局(ターゲット基地局とも称する)に相当する場合を想定する。
図32では、2つの無線基地局装置101A,101Bを代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。無線通信システム401は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161(ゲートウェイ装置)と、MME162A,162B(通信制御装置)と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを備える。
無線端末装置202は、無線基地局装置101A,101B、S−GW161、および、P−GW163を介してIP網302(上位ネットワーク)におけるサーバ等と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101BとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162Aは、無線通信システム401における無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Aは、無線基地局装置101Aとの間で制御メッセージを送受信する。また、MME162Bは、無線通信システム401における無線基地局装置101Bおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Bは、無線基地局装置101Bとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101Bは、S−GW161およびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。無線基地局装置101A,101BおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101AおよびMME162Aは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびMME162Bも同様に、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162A,162BおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162AおよびMME162Bは、論理的なインタフェースであるS10インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S10インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム401におけるハンドオーバ動作の流れについて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる場合と、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない場合とに分けて説明する。
(i)実行条件が満たされる場合
図33は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図33を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS321)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバの準備処理を行なうべきであると判断し、周辺セル情報を参照してたとえば無線基地局装置101Bをハンドオーバ先として決定する(ステップS322)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を、対応する上位装置であるMME162Aへ送信する(ステップS323)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MMEの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Aは、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101Bが自己の管理対象であるか否かを判断する(ステップS324)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Bが自己の管理対象ではないことから、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bへ無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を送信する(ステップS325)。
次に、MME162Bは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GW161の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161と、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161とが異なるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161と、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161とが同じであることから、MME162Bは、S−GW161の切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS326)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS327)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bからハンドオーバ要求を受信して、MME162Bへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS328)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS329)。
ここで、無線端末装置202のハンドオーバ動作の準備期間中に無線基地局装置101Aに当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットが蓄積されている場合、または、S−GW161から対象パケットが新たに受信された場合、無線基地局装置101Aがこの対象パケットを無線基地局装置101Bへ転送するデータフォワーディングが行われる。
このため、MME162Aは、MME162Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161へ送信する(ステップS330)。
次に、S−GW161は、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161は、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間の論理的なパスを確立する。そして、S−GW161は、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS331)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、以上のようなハンドオーバ動作の準備処理が実行されて、無線基地局装置101AがMME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS332)。
次に、無線基地局装置101Aは、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS333)。なお、上述した準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示(RRC Connection Reconfiguration)を送信する(ステップS334)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS335)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知を、MME162Bへ転送する(ステップS336)。
次に、MME162Bは、MME162Aから転送された状態通知に対する状態通知応答をMME162Aへ送信する(ステップS337)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS338)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS339)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161へ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162Bへハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS340)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161に対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ完了通知をMME162Aへ転送する(ステップS341)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ完了通知に対するハンドオーバ完了通知応答をMME162Bへ送信する(ステップS342)。
次に、MME162Bは、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161へ送信する(ステップS343)。
そして、S−GW161は、MME162Bからベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。
次に、S−GW161は、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162Bへ送信する(ステップS344)。
そして、S−GW161は、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。
また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161から受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162Aは、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS345)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Aへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS346)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、データフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS347)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、データフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS348)。
(ii)実行条件が満たされない場合
図34は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図34を参照して、ステップS351からステップS362までの動作は、図33に示すステップS321からステップS332までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS363)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへハンドオーバ動作を中止するためのハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS364)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ中止通知をMME162Bへ転送する(ステップS365)。
次に、MME162Bは、ハンドオーバ中止通知を受信すると、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS366)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Bへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS367)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから端末情報解放完了通知を受信すると、ハンドオーバ中止応答をMME162Aへ送信する(ステップS368)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS369)。
次に、MME162Aは、データフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS370)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、データフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS371)。
(b)S−GWの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図35は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図35を参照して、無線通信システム402は、図32に示す無線通信システム401と同様に、たとえば3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101Aと、無線基地局装置101Bとを備える。ここでは、図32に示す場合と同様に、無線端末装置202が、無線基地局装置101Aと通信中である状態から移動し、通信相手すなわち通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わるようにハンドオーバ動作が行われる場合を想定する。
無線通信システム402は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161A,161B(ゲートウェイ装置)と、MME162(通信制御装置)と、P−GW163とを備える。
S−GW161Aは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されている。S−GW161Aは、無線基地局装置101A経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A経由で無線端末装置202へ送信する。
S−GW161Bは、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されている。S−GW161Bは、無線基地局装置101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101B経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、無線通信システム402における無線基地局装置101A,101Bおよび無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101Bとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101Aは、S−GW161AおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。無線基地局装置101Bは、S−GW161BおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101A,101BおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162およびS−GW161A,161Bは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161A,161BおよびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム402におけるハンドオーバ動作の流れについて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる場合と、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない場合とに分けて説明する。
(i)実行条件が満たされる場合
図36は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図36を参照して、ステップS381からステップS383までの動作は、図33に示すステップS321からステップS323までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MME162の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101Bが自己の管理対象であるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101BがMME162の管理対象であることから、MME162は、MMEの切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS384)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GWの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する(ステップS385)。
次に、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットが、S−GW161Bを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の作成をS−GW161Bへ要求する(ステップS386)。
次に、S−GW161Bは、MME162から通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162へ送信する(ステップS387)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS388)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS389)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS390)。
次に、S−GW161Bは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS391)。
次に、MME162は、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS392)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS393)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する(ステップS394)。
次に、無線基地局装置101Aは、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS395)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS396)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS397)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS398)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS399)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161Bへ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS400)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161Bに対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162は、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS401)。
そして、S−GW161Bは、MME162からベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。
次に、S−GW161Bは、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162へ送信する(ステップS402)。
そして、S−GW161Aは、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。
また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161Aから受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161AおよびS−GW161B経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS403)。
次に、MME162は、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS404)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS405)。
次に、S−GW161Aは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS406)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS407)。
次に、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS408)。
次に、MME162は、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS409)。
次に、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS410)。
(ii)実行条件が満たされない場合
図37は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図37を参照して、ステップS411からステップS424までの動作は、図36に示すステップS381からステップS394までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162からハンドオーバ指示を受信すると、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS425)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS426)。
次に、MME162は、ハンドオーバ中止通知を受信すると、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS427)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS428)。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS429)。
次に、S−GW161Bは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS430)。
次に、MME162は、S−GW161Bから通信経路の削除応答を受信すると、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS431)。
そして、ステップS432からステップS435までの動作が実行される。これらステップS432からステップS435までの動作は、図36に示すステップS407からステップS410までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
(c)MMEおよびS−GWの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図38は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図38を参照して、無線通信システム403は、図32に示す無線通信システム401と同様に、たとえば3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101Aと、無線基地局装置101Bとを備える。ここでは、図32に示す場合と同様に、無線端末装置202が、無線基地局装置101Aと通信中である状態から移動し、通信相手すなわち通信接続先が、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わるようにハンドオーバ動作が行われる場合を想定する。
無線通信システム403は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161A,161B(ゲートウェイ装置)と、MME162A,162B(通信制御装置)と、P−GW163とを備える。
無線基地局装置101Aは、S−GW161AおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。無線基地局装置101Bは、S−GW161BおよびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101AおよびMME162Aは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101BおよびMME162Bは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。MME162BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161A,161BおよびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162AおよびMME162Bは、論理的なインタフェースであるS10インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S10インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム403におけるハンドオーバ動作の流れについて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる場合と、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない場合とに分けて説明する。
(i)実行条件が満たされる場合
図39は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされる状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図39を参照して、ステップS441からステップS445までの動作は、図33に示すステップS321からステップS325までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、MME162Bは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GWの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する(ステップS446)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットがS−GW161Bを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の作成をS−GW161Bへ要求する(ステップS447)。
次に、S−GW161Bは、MME162Bから通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162Bへ送信する(ステップS448)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS449)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bからハンドオーバ要求を受信して、MME162Bへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS450)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS451)。
次に、S−GW161Bは、MME162Bからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Bへ送信する(ステップS452)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS453)。
次に、MME162Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための論理的な通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS454)。
次に、S−GW161Aは、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS455)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する(ステップS456)。
次に、無線基地局装置101Aは、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たす場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS457)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS458)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS459)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知を、MME162Bへ転送する(ステップS460)。
次に、MME162Bは、MME162Aから転送された状態通知に対する状態通知応答をMME162Aへ送信する(ステップS461)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS462)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知(RRC Connection Reconfiguration Complete)を送信する(ステップS463)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161Bへ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162Bへハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS464)。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161Bに対するパス切り替え要求が含まれる。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ完了通知をMME162Aへ転送する(ステップS465)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ完了通知に対するハンドオーバ完了通知応答をMME162Bへ送信する(ステップS466)。
次に、MME162Bは、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS467)。
そして、S−GW161Bは、MME162Bからベアラ変更要求を受信して、パスすなわち論理的な通信経路の切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。
次に、S−GW161Bは、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162Bへ送信する(ステップS468)。
そして、S−GW161Aは、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。
また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161Aから受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161AおよびS−GW161B経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162Aは、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS469)。
次に、MME162Aは、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS470)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Aへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS471)。
次に、S−GW161Aは、MME162Aから通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS472)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS473)。
次に、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS474)。
次に、MME162Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS475)。
次に、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路およびS−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Bへ送信する(ステップS476)。
(ii)実行条件が満たされない場合
図40は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ動作の実行条件が満たされない状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図40を参照して、ステップS481からステップS496までの動作は、図39に示すステップS441からステップS456までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、自己および無線端末装置202間の通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たしているか否かを判断する。そして、通信品質がハンドオーバ実行条件を満たさない場合には、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきでなく、準備処理の行われたハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS497)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS498)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ中止通知をMME162Bへ転送する(ステップS499)。
次に、MME162Bは、ハンドオーバ中止通知を受信すると、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS500)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Bへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS501)。
次に、MME162Bは、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS502)。
次に、S−GW161Bは、MME162Bから通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162Bへ送信する(ステップS503)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから端末情報解放完了通知を受信すると、ハンドオーバ中止応答をMME162Aへ送信する(ステップS504)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS505)。
そして、ステップS506からステップS509までの動作が実行される。これらステップS506からステップS509までの動作は、図39に示すステップS473からステップS476までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
ところで、非特許文献1に記載されるような不適切なハンドオーバ動作が行なわれると、無線通信システムにおいて、通信断および通信トラフィックの増大等、種々の問題が生じる。
これに対して、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム401では、無線基地局装置101Aは、自己から無線基地局装置101Bへの無線端末装置202のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求を対応のMME162Aへ送信する。また、MME162Aは、ハンドオーバ要求の示すハンドオーバ先の無線基地局装置101Bが自己の管理対象でない場合には、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bへハンドオーバ要求を送信する。また、MME162Bは、受信したハンドオーバ要求を無線基地局装置101Bへ送信し、無線基地局装置101Bからハンドオーバ要求に対する応答を受信するとMME162Aに応答を送信する。また、MME162Aは、MME162Bから応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対するハンドオーバ動作を行うための指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、無線基地局装置101Aを管理するMME162Aと、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bとが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な無線通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置202のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム401では、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の準備条件が満たされる場合に、ハンドオーバ要求を無線基地局装置101Bに対して送信し、準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。また、MME162の切り替えのために必要な情報の送受信を、ハンドオーバ動作の準備処理として前もって行うことにより、ハンドオーバ動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム402では、無線基地局装置101Aは、自己から無線基地局装置101Bへの無線端末装置202のハンドオーバ動作を行うハンドオーバ要求をMME162へ送信する。また、MME162は、無線基地局装置101Aと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101Bと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Bとが異なる場合には、通信経路作成要求をS−GW161Bへ送信する。また、S−GW161Bは、通信経路作成要求を受信すると、上位ネットワークから送信される無線端末装置202宛の通信データおよび無線端末装置202から送信される上位ネットワークへの通信データを中継可能とする通信経路を作成し、通信経路作成要求に対する通信経路作成応答をMME162へ送信する。また、MME162は、通信経路作成応答を受信すると、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101Bからハンドオーバ要求に対する応答を受信すると無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。また、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ指示を受信して、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の実行条件が満たされているか否かを判断し、実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対するハンドオーバ動作を行うための指示の付与を中止するかまたは保留する。
このような構成により、無線基地局装置101Aと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101Bと上位ネットワークとの間に接続されているS−GW161Bとが異なる場合であっても、ハンドオーバ動作の実行判断に先立ってハンドオーバ動作の準備処理を完了しておくことができるため、たとえば無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが遅すぎる”Too Late HO”を抑制することができる。また、ハンドオーバ動作のパラメータの調整を行なう場合と異なり、”Too Late HO”を抑制しても、無線端末装置202によるハンドオーバのタイミングが早すぎる”Too Early HO”の発生確率の上昇を防ぐことができる。すなわち、不適切なハンドオーバ動作を抑制し、良好な無線通信システムを構築することができる。したがって、無線端末装置202のハンドオーバ動作を適切に制御することにより、通信の安定化を図ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム402では、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202との間の通信品質に関する所定の準備条件が満たされる場合に、前記ハンドオーバ要求をMME162へ送信し、準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このような構成により、ハンドオーバ動作の実行判断の基準となる通信品質よりも緩やかな条件で前もってハンドオーバ動作の準備処理を行なうことができる。また、S−GW161の切り替えのために必要な情報の送受信を、ハンドオーバ動作の準備処理として前もって行うことにより、ハンドオーバ動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
<第3の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、ハンドオーバ動作において無線端末装置202の通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わる場合について説明した。これに対して、第3の実施の形態では、切り替え先すなわちハンドオーバ先の候補が無線基地局装置101Bだけでなく複数存在する場合について説明する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る無線基地局装置と同様である。
(a)ハンドオーバ先の候補が複数存在する場合における課題
まず、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する場合における課題について説明する。図41は、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する状況の一例を説明するための図であり、図42は、図41に示す状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
図41を参照して、無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここでは、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101B,101Cが周辺基地局に相当し、これら無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ先の候補である無線基地局装置に該当する場合を想定する。
図42を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。この測定結果には、周辺セルの無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の受信電力の測定結果および無線基地局装置101B,101CのセルIDが含まれている(ステップS511)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバの準備処理を行なうべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Bから送信される無線信号に関する測定結果および無線基地局装置101Cから送信される無線信号に関する測定結果が、いずれもハンドオーバ準備条件を満たす場合がある。このような場合、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置101B,101Cのうち無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する(ステップS512)。
次に、ステップS512において例えば無線基地局装置101Bがハンドオーバ先として選択された場合、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を上位装置であるMME(Mobility Management Entity)162へ送信する(ステップS513)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS514)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MMEへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS515)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する(ステップS516)。上記のようにして、ハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS517)。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS518)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS519)。
そして、ステップS520からステップS526までの動作が実行される。これらステップS520からステップS526までの動作は、図21に示すステップS174からステップS180までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
図43は、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数存在する状況の一例における課題を説明するための図であり、図44は、図43に示す状況におけるハンドオーバ動作のシーケンスの一例を示す図である。
図43を参照して、無線端末装置202がセルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域内に位置し、無線端末装置202との間の通信品質が最も良い無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作の準備処理が完了した後に、無線端末装置202がセルCC内へ進入した場合を想定する。この場合、図44に示すような動作が実行される。
図44を参照して、まず、ステップS531からステップS538までの動作が実行される。これらステップS531からステップS538までの動作は、図42に示すステップS511からステップS518までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて通信品質を新たに取得する。このとき、無線端末装置202はセルCC内へ進入しており、無線基地局装置101Aにより新たに取得された無線基地局装置101Bおよび無線端末装置202間の通信品質は、所定のハンドオーバ実行条件を満たしていないとする。この場合、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202の無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作を中止すべきであると判断する(ステップS539)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162に対して無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作を中止するためのハンドオーバ中止通知を送信する(ステップS540)。そして、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ中止通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Bへ送信する(ステップS541)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS542)。そして、MME162は、無線基地局装置101Bから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS543)。
次に、無線基地局装置101Aは、新たに取得した測定結果に基づいて、ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。このとき、無線端末装置202は、セルCC内へ進入しているため、無線基地局装置101Cが新たにハンドオーバ先の無線基地局装置として選択される(ステップS544)。そして、再びハンドオーバ動作の準備処理(ステップS545からステップS549)が行われる。これらステップS545からステップS549までの動作は、図42に示すステップS513からステップS517までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
このように、ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理が繰り返される。
(b)本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404について、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置が複数あり、ハンドオーバ元の無線基地局装置101Aがハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する場合と、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する場合とに分けて説明する。
再び図41を参照して、本発明の第3の実施の形態では、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した状況において、無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ動作の準備条件を満たしている場合を想定する。
(i)ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合
[構成および基本動作]
図45は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図45を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101B,101Cを備える。図45では、3つの無線基地局装置を代表的に示しているが、さらに多数の無線基地局装置が設けられてもよい。無線通信システム404は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW(Serving Gateway)161(ゲートウェイ装置)と、MME(Mobility Management Entity)162(通信制御装置)と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを含む。
無線端末装置202は、無線基地局装置101A,101B,101Cと、S−GW161と、P−GW163とを介してIP網302におけるサーバ等と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101CとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、無線通信システム401における無線基地局装置101A,101B,101C、および無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101B,101Cとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101Cは、S−GW161およびP−GW163を介してIP網302との間で通信データを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162およびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
(無線基地局装置の詳細な構成)
また、無線通信システム404の無線基地局装置101A,101B,101Cは、いずれも本発明の第1の実施の形態に係る無線基地局装置101と同様である。すなわち、図19および図20を参照して、無線基地局装置101A,101B,101Cは、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを含む。
また、無線基地局装置101A,101B,101Cの制御部98は、ハンドオーバ要求部11と、ハンドオーバ指示部12と、ハンドオーバ条件調整部13と、ハンドオーバ情報取得部14と、端末測定結果取得部15とを有する。
ハンドオーバ要求部11は、ハンドオーバ要求を複数の他の無線基地局装置へ送信する。たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部11は、無線端末装置202と無線基地局装置101B,101Cとの間でハンドオーバの準備条件が満たされている場合、無線基地局装置101B,101Cの双方に対してハンドオーバ要求を送信する。
ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、この応答に対応する他の無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部11が無線基地局装置101B,101Cへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101B,101Cが無線基地局装置101Aへハンドオーバ動作の実行が可能であることを示す応答を送信した場合、無線基地局装置101Aのハンドオーバ指示部12は、無線基地局装置101B,101Cをハンドオーバ先の候補として、これら無線基地局装置101B,101Cの中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
具体的には、ハンドオーバ指示部12は、無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力の測定結果を取得して、この測定結果に基づいて、無線端末装置202との間の通信状態が良い方の無線基地局装置をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。
また、ハンドオーバ指示部12は、選択したハンドオーバ先の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を指示するためのRRCコネクション再構成指示を、無線端末装置202へ送信する。
また、ハンドオーバ指示部12は、本発明の第1の実施の形態と同様に、上記応答を受けて、自己の無線基地局装置101A,101B,101Cおよび無線端末装置202間の通信品質に関するハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対する上記指示の付与を中止するかまたは保留する。たとえば、ハンドオーバ指示部12は、所定のハンドオーバ実行条件が満たされていない場合には、無線端末装置202に対してRRCコネクション再構成指示を送信せず、ハンドオーバ中止通知を他の無線基地局装置へ送信する。
また、ハンドオーバ指示部12は、無線基地局装置101B,101Cから上記応答を受信した後、所定期間取得できない測定結果に対応する他の無線基地局装置を、ハンドオーバ先の候補から外すことが可能である。
すなわち、たとえば、無線端末装置202により受信電力の測定が行われ、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備が開始されてから、次に上記測定が行われるまでの間に、無線端末装置202が、無線基地局装置101Cとの間の受信電力を測定することができない程度に無線基地局装置101Cから離れた位置へ移動する場合を想定する。この場合、無線基地局装置101Aが、上記応答を受信してから所定期間内に無線端末装置202から受信する測定結果通知には、無線基地局装置101Bと無線端末装置202との通信状態を示す受信電力の測定結果に関する情報が含まれているものの、無線基地局装置101Cと無線端末装置202との通信状態を示す受信電力の測定結果に関する情報が含まれていないということがある。このような場合、ハンドオーバ指示部12は、無線基地局装置101Cをハンドオーバ先の候補から外すことができる。
また、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ動作が完了した後、上記応答に対応する他の無線基地局装置のうちハンドオーバ先の無線基地局装置以外の他の無線基地局装置へハンドオーバ動作の中止通知を送信する。
すなわち、たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部11が無線基地局装置101B,101Cへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101B,101Cが無線基地局装置101Aへハンドオーバ動作の実行が可能であることを示す応答を送信した場合であって、ハンドオーバ指示部12が、ハンドオーバ先として無線基地局装置101Bを選択する場合を想定する。この場合、無線基地局装置101Aが、たとえば上位装置経由で無線基地局装置101Bからハンドオーバが完了したことを示す通知を受信すると、無線基地局装置101Aのハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ先ではない無線基地局装置101Cへハンドオーバ動作の中止通知を送信する。
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ元の無線基地局装置101Aがハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作の流れについて説明する。図46は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図46を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。この測定結果通知には、周辺セルの無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の受信電力の測定結果が含まれている(ステップS551)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバ動作の準備処理を行なうべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Bから送信される無線信号に関する測定結果および無線基地局装置101Cから送信される無線信号に関する測定結果が、いずれもハンドオーバ準備条件を満たす場合がある。このような場合、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bおよび無線基地局装置101Cをハンドオーバ先の候補とする(ステップS552)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求をMME162へ送信する(ステップS553)。また、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Cを示すハンドオーバ要求をMME162へ送信する(ステップS554)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Bへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS555)。また、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ要求を受信して、無線基地局装置101Cへ当該ハンドオーバ要求を送信する(ステップS556)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS557)。また、無線基地局装置101Cは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS558)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへ無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするハンドオーバ指示を送信する(ステップS559)。また、MME162は、無線基地局装置101Cからハンドオーバ応答を受信して、無線基地局装置101Aへ無線基地局装置101Cをハンドオーバ先とするハンドオーバ指示を送信する(ステップS560)。上記のようにして、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS561)。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS562)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中から、例えば無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。第3の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS563)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へ、無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS564)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS565)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから状態通知を受信して、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS566)。
また、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS567)。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信する(ステップS568)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ完了通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS569)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162から端末情報解放指示を受信して、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置101B以外の無線基地局装置、すなわち無線基地局装置101Cへのハンドオーバ動作を中止するためのハンドオーバ中止通知をMME162へ送信する(ステップS570)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aからハンドオーバ中止通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS571)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS572)。
そして、MME162は、無線基地局装置101Cから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS573)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162からハンドオーバ中止応答を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS574)。
なお、上述した動作の流れでは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了し(ステップS568)、無線基地局装置101AがMME162から端末情報解放指示を受信した(ステップS569)後に、無線基地局装置101AがMME162へハンドオーバ中止通知を送信している(ステップS570)。しかしながら、必ずしもこのような動作の流れに限定されず、例えば、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了する前に無線基地局装置101Cへのハンドオーバ動作中止通知をMME162へ送信してもよい。この場合、例えば、ステップS570からステップS573までの動作が、ステップS567の前に行われる。
このように、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404において、無線基地局装置101A,101B,101Cのハンドオーバ要求部11は、ハンドオーバ要求を複数の他の無線基地局装置に対して行う。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置202と無線基地局装置との間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、無線通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ応答を受信して、この応答に対応する他の無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択し、無線端末装置202に対してハンドオーバ先の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を行う指示を与える。
このように、ハンドオーバ先の無線基地局装置を選択したうえで無線端末装置202に対してハンドオーバ動作の指示を与える構成により、当該指示内に複数の無線基地局装置を提示する場合と比べて情報量を少なくすることができ、当該指示内容を簡潔にすることができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ応答を受信した後、この応答に対応する他の無線基地局装置から送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力の測定結果を取得して、この測定結果に基づいてハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
このような構成により、ハンドオーバ動作の準備完了後の無線端末装置202における電波環境に応じて、ハンドオーバ先として適切な無線基地局装置を選択することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ応答を受信した後、所定期間取得できない測定結果に対応する他の無線基地局装置をハンドオーバ先の候補から外す。
このような構成により、たとえば、無線端末装置202が受信電力を測定できない程度に無線端末装置202との距離が離れてしまった無線基地局装置をハンドオーバ先の候補から外すことができるため、ハンドオーバ先として適切な無線基地局装置を選択することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム404において、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ動作が完了した後、ハンドオーバ応答に対応する他の無線基地局装置のうちハンドオーバ先の無線基地局装置以外の他の無線基地局装置へハンドオーバ動作の中止要求を送信する。
ここで、たとえば、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置以外の無線基地局装置へのハンドオーバ動作がハンドオーバ動作の完了前に中止された後、無線端末装置202が、当該中止対象の無線基地局装置に近づく方向に移動する場合、当該中止対象の無線基地局装置が最適なハンドオーバ先となることがある。この場合、当該中止対象の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を再び行う必要がある。
これに対して、無線通信システム404におけるハンドオーバ指示部12は、上記のように、ハンドオーバ先として選択された無線基地局装置以外の無線基地局装置へのハンドオーバ動作を無線端末装置202のハンドオーバ動作が完了した後に中止する。これにより、ハンドオーバ動作が完了するまでの間に無線端末装置202が移動して電波状況が変わり、他の周辺基地局へのハンドオーバ動作が行われる場合であっても、再びハンドオーバ動作の準備処理を行う必要がない。
(ii)無線端末装置がハンドオーバ先を選択する場合
[構成および基本動作]
次に、無線端末装置202が、複数のハンドオーバ先の候補からハンドオーバ先を選択する場合について説明する。ここでは、上述した「(i)ハンドオーバ元の無線基地局装置がハンドオーバ先を選択する場合」における無線通信システム404と異なる点について説明する。
(無線基地局装置の詳細な構成)
再び図19および図20を参照して、第3の実施の形態に係る無線通信システム405の無線基地局装置101A,101B,101Cは、アンテナ91と、サーキュレータ92と、無線受信部93と、無線送信部94と、信号処理部95と、制御部98とを備える。
また、無線基地局装置101A,101B,101Cの制御部98は、ハンドオーバ要求部11と、ハンドオーバ指示部12と、ハンドオーバ条件調整部13と、ハンドオーバ情報取得部14と、端末測定結果取得部15とを含む。
ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ要求に対する他の無線基地局装置からの応答を受けて、この応答に対応する他の無線基地局装置をハンドオーバ先の候補とし、この候補である無線基地局装置を示す情報を無線端末装置202へ送信する。
たとえば、無線基地局装置101Aのハンドオーバ要求部11が無線基地局装置101B,101Cへハンドオーバ要求を送信し、無線基地局装置101B,101Cが無線基地局装置101Aへハンドオーバ動作の実行が可能であることを示す応答を送信した場合、無線基地局装置101Aのハンドオーバ指示部12は、無線基地局装置101B,101Cをハンドオーバ先の候補として、これら無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作を指示するためのRRCコネクション再構成指示を、無線端末装置202へ送信する。
ここで、図47は、RRCコネクション再構成指示のメッセージ構造の比較例を示す図であり、図48は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ要求部から送信されるRRCコネクション再構成指示のメッセージ構造の一例を示す図である。
図47に示すように、たとえば、無線基地局装置101Aがハンドオーバ先として無線基地局装置101Bを選択して、無線端末装置202へRRCコネクション再構成指示を送信する場合には、無線基地局装置101Aは、RRCコネクション再構成指示の「Mobility Control Info」に無線基地局装置101Bの情報のみを含める(図47の「Info1」参照)。
これに対して、無線端末装置202がハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する場合には、たとえば図48に示すように、無線基地局装置101Aは、RRCコネクション再構成指示の「Mobility Control Info」に複数の無線基地局装置の情報(「Target Cell List」)を列挙して無線端末装置202へ送信する(図48の「Info2」参照)。これにより、無線端末装置202は、受信したRRCコネクション再構成指示から、ハンドオーバ先の候補である複数の無線基地局装置を把握することができる。
そして、無線端末装置202が、RRCコネクション再構成指示を受信してハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。ハンドオーバ指示部12は、無線端末装置202によって選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報を受信して、自己の無線基地局装置の通信状態を示す状態通知をハンドオーバ先の無線基地局装置へ送信する。
(無線端末装置の詳細な構成)
図49は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの無線端末装置の構成を示す図である。
図49を参照して、無線通信システム405の無線端末装置202は、アンテナ21と、サーキュレータ22と、受信部23と、送信部24と、信号処理部25とを備える。信号処理部25は、受信信号処理部26と、選択部27と、通信制御部28とを含む。
サーキュレータ22は、アンテナ21において受信された無線基地局装置101A,101B,101Cからの無線信号を受信部23へ出力し、また、送信部24から受けた無線信号をアンテナ21へ出力する。
受信部23は、サーキュレータ22から受けた無線信号を信号処理部25へ出力する。受信信号処理部26は、受信部23から出力される無線信号に対して、CDMA(Code Division Multiple Access)方式における逆拡散等の各種信号処理を行う。
選択部27は、たとえば、無線端末装置202の通信接続先である無線基地局装置101A,101B,101Cから受信したRRCコネクション再構成指示に基づいて、ハンドオーバ先の候補である無線基地局装置の中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。
具体的には、無線端末装置202の選択部27は、無線基地局装置101B,101Cから送信される無線信号の無線端末装置202における受信電力の測定結果を取得して、この測定結果に基づいて、無線端末装置202との間の通信状態が良い方の無線基地局装置をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。
通信制御部28は、選択部27により選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報または自ら生成した情報に対して、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式におけるIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)等の各種信号処理を行ない、この信号処理後の信号を送信部24へ出力する。
送信部24は、通信制御部28から受けた信号をサーキュレータ22へ出力する。たとえば、送信部24は、選択部27により選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報、すなわちハンドオーバ先通知をサーキュレータ22およびアンテナ21を介して、無線端末装置202の通信接続先である無線基地局装置101Aへ送信する。
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム405において、無線端末装置202がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作の流れについて説明する。図50は、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線端末装置がハンドオーバ先を選択する場合におけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図50を参照して、ステップS581からステップS592までの動作が実行される。これらステップS581からステップS592までの動作は、図46に示すステップS551からステップS562までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する(ステップS593)。
次に、無線基地局装置101Aは、測定結果通知に基づいてハンドオーバ先の候補として判断した無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作を無線端末装置202へ指示するため、RRCコネクション再構成指示を無線端末装置202へ送信する(ステップS594)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101Aから無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作を指示するためのRRCコネクション再構成指示を受信して、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中からハンドオーバ先の無線基地局装置を選択する。第3の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS595)。
次に、無線端末装置202は、選択したハンドオーバ先の無線基地局装置101Bを示す情報、すなわちハンドオーバ先通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS596)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202によって選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置101Bを示す情報を受信して、MME162へ無線基地局装置101Aの通信状態等を示す状態通知を送信する。この状態通知には、たとえばハンドオーバ先として選択された無線基地局装置101Bを示す情報が含まれる(ステップS597)。
そして、ステップS598からステップS606までの動作が実行される。これらステップS598からステップS606までの動作は、図46に示すステップS566からステップS574までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
このように、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム405において、ハンドオーバ指示部12は、ハンドオーバ応答を受信して、この応答に対応する他の無線基地局装置をハンドオーバ先の候補として示す情報を無線端末装置202へ送信する。
このように、無線端末装置202にハンドオーバ先の無線基地局装置を選択させる構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置が選択する場合に比べて、最新の電波環境に応じてハンドオーバ先の無線基地局装置を選択することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システム405において、ハンドオーバ指示部12は、無線端末装置202によって選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を示す情報を受信して、受信した情報の示すハンドオーバ先の無線基地局装置へ所定の情報を送信する。
このような構成により、ハンドオーバ元の無線基地局装置が、無線端末装置202により選択されたハンドオーバ先の無線基地局装置を把握したうえで、ハンドオーバ動作に必要な情報を当該ハンドオーバ先の無線基地局装置へ送信するので、無駄のない情報の送受信を行うことができる。
<第4の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、ハンドオーバ動作において無線端末装置202の通信接続先が無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替わる場合について説明した。これに対して、第4の実施の形態では、切り替え先すなわちハンドオーバ先の候補が複数あり、かつ、コアネットワークにおける上位装置も切り替えられる場合について説明する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る無線基地局装置と同様である。なお、上位装置としては、第2の実施の形態と同様に、例えば、MME(Mobility Management Entity)またはS−GW(Serving Gateway)が挙げられる。
以下、本発明の第4の実施の形態として、ハンドオーバ動作においてMMEの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてS−GWの切り替えが必要な場合とに分けて説明する。
(a)MMEの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図51は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図51を参照して、第4の実施の形態に係る無線通信システム406は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101B,101Cを備える。
図41および図43を参照して、図41に示すように、無線基地局装置101Aは、セルCAを形成し、セルCA内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Bは、セルCBを形成し、セルCB内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。無線基地局装置101Cは、セルCCを形成し、セルCC内に存在する無線端末装置202と無線信号を送受信することにより、当該無線端末装置202と通信することが可能である。
ここでは、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101B,101Cが周辺基地局に相当し、これら無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ先の候補である無線基地局装置に該当する場合を想定する。
再び図51を参照して、無線通信システム406は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161(ゲートウェイ装置)と、MME162A,162B,162C(通信制御装置)と、P−GW(Packet Data Network Gateway)163とを備える。
無線端末装置202は、無線基地局装置101A,101B,101Cと、S−GW161と、P−GW163とを介してIP網302(上位ネットワーク)におけるサーバ等と通信コネクションを確立し、たとえばIP(Internet Protocol)パケットを含む通信データを送受信する。
S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101CとIP網302との間に接続されている。S−GW161は、無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A,101B,101C経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162Aは、無線通信システム401における無線基地局装置101Aおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Aは、無線基地局装置101Aとの間で制御メッセージを送受信する。また、MME162Bは、無線通信システム401における無線基地局装置101Bおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Bは、無線基地局装置101Bとの間で制御メッセージを送受信する。MME162Cは、無線通信システム401における無線基地局装置101Cおよび無線端末装置202等を管理する。MME162Cは、無線基地局装置101Cとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101AおよびMME162Aは、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびMME162Bも同様に、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101CおよびMME162Cも同様に、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162A,162B,162CおよびS−GW161は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161およびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162A,MME162BおよびMME162Cは、論理的なインタフェースであるS10インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S10インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
図52は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図52を参照して、まず、無線端末装置202は、受信電力の測定結果を示す測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する。たとえば、無線端末装置202は、受信電力の測定を定期的に行ない、無線基地局装置101Aとの通信状態が悪くなった場合、および無線基地局装置101A以外の他の無線基地局装置との通信状態が良くなった場合に、測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS611)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、セルIDごとの測定結果を示す測定情報を取得し、図示しない記憶部に保存する。そして、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を取得する。そして、無線基地局装置101Aは、取得した通信品質が所定のハンドオーバ準備条件を満たす場合には、ハンドオーバ動作の準備処理を行なうべきであると判断する。
このとき、無線基地局装置101Bから送信される無線信号に関する測定結果および無線基地局装置101Cから送信される無線信号に関する測定結果が、いずれもハンドオーバ準備条件を満たす場合がある。このような場合、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bおよび無線基地局装置101Cをハンドオーバ先の候補とする(ステップS612)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求をMME162Aへ送信する(ステップS613)。また、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Cを示すハンドオーバ要求をMME162Aへ送信する(ステップS614)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MMEの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Aは、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101B,101Cが自己の管理対象であるか否かを判断する(ステップS615)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Bが自己の管理対象ではないことから、無線基地局装置101Bを管理するMME162Bへ無線基地局装置101Bを示すハンドオーバ要求を送信する(ステップS616)。
次に、MME162Bは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GW161の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Bは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWと同じであることから、MME162Bは、S−GW161の切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS617)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS618)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162Bからハンドオーバ要求を受信して、MME162Bへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS619)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS620)。
ここで、無線端末装置202のハンドオーバ動作の準備期間中に無線基地局装置101Aに無線端末装置202宛のパケットである対象パケットが蓄積されている場合、または、S−GW161から対象パケットが新たに受信された場合、無線基地局装置101Aがこの対象パケットを無線基地局装置101Bへ転送するデータフォワーディングが行われる。
このため、MME162Aは、MME162Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパス(以下、データフォワーディングパスとも称する)の確立要求をS−GW161へ送信する(ステップS621)。
次に、S−GW161は、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161は、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間の論理的なパスを確立する。そして、S−GW161は、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS622)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、以上のようなハンドオーバ動作の準備処理が実行されて、無線基地局装置101AがMME162Aからハンドオーバ指示を受信すると、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS623)。
また、MME162Aは、無線基地局装置101Cが自己の管理対象ではないことにより、無線基地局装置101Cを管理するMME162Cへ無線基地局装置101Cを示すハンドオーバ要求を送信する(ステップS624)。
次に、MME162Cは、MME162Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GW161の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162Cは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GWと同じであることから、MME162Cは、S−GW161の切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS625)。
次に、MME162Cは、無線基地局装置101Cへハンドオーバ要求を送信する(ステップS626)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162Cからハンドオーバ要求を受信して、MME162Cへ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS627)。
次に、MME162Cは、無線基地局装置101Cから受信したハンドオーバ応答をMME162Aへ転送する(ステップS628)。
次に、MME162Aは、MME162Cからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパスの確立要求をS−GW161へ送信する(ステップS629)。
次に、S−GW161は、MME162Aからデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161は、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Cとの間の論理的なパスを確立する。そして、S−GW161は、データフォワーディングパスの確立応答をMME162Aへ送信する(ステップS630)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Cへ転送する(ステップS631)。
上記のようにして、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS632)。なお、上記のようなステップS616からステップS623までの動作と、ステップS624からステップS631までの動作は並行して行われるものとする。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS633)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。なお、上述した準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このとき、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中から、例えば無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。第4の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS634)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202へ、無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS635)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aへ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS636)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知を、MME162Bへ転送する(ステップS637)。
次に、MME162Bは、MME162Aから転送された状態通知に対する状態通知応答をMME162Aへ送信する(ステップS638)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS639)。
次に、無線端末装置202および無線基地局装置101B間でRRCコネクションが確立されると、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS640)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161へ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162Bへハンドオーバ完了通知を送信する。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161に対するパス切り替え要求が含まれる(ステップS641)。
次に、MME162Bは、無線基地局装置101Bから受信したハンドオーバ完了通知をMME162Aへ転送する(ステップS642)。
次に、MME162Aは、MME162Bから受信したハンドオーバ完了通知に対するハンドオーバ完了通知応答をMME162Bへ送信する(ステップS643)。
次に、MME162Bは、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161へ送信する(ステップS644)。
次に、S−GW161は、MME162Bからベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。そして、S−GW161は、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162Bへ送信する(ステップS645)。
そして、S−GW161は、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161から受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161からの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、上記のようなデータフォワーディングが完了すると、MME162Aは、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS646)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aから端末情報解放指示を受信して、ハンドオーバ先として選択されて無線基地局装置101B以外の無線基地局装置、すなわち無線基地局装置101Cへのハンドオーバ中止通知をMME162Aへ送信する(ステップS647)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから受信した無線基地局装置101Cへのハンドオーバ中止通知をMME162Cへ転送する(ステップS648)。
次に、MME162Cは、MME162Aからハンドオーバ中止通知を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS649)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162Cから端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Cへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS650)。
次に、MME162Cは、無線基地局装置101Cから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答をMME162Aへ送信する(ステップS651)。
次に、MME162Aは、MME162Cから受信したハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS652)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162Aからハンドオーバ中止応答を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162Aへ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS653)。
次に、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間のデータフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS654)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Bとの間のデータフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS655)。
また、MME162Aは、無線基地局装置101Aから端末情報解放完了通知を受信すると、S−GW161を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Cとの間のデータフォワーディングパスの削除要求をS−GW161へ送信する(ステップS656)。
次に、S−GW161は、データフォワーディングパスの削除要求を受信すると、自己を介する無線基地局装置101Aと無線基地局装置101Cとの間のデータフォワーディングパスの削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162Aへ送信する(ステップS657)。
なお、上述した動作の流れでは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了し、無線基地局装置101AがMME162から端末情報解放指示を受信した(ステップS646)後に、無線基地局装置101AがMME162へハンドオーバ中止通知を送信している(ステップS647)。しかしながら、必ずしもこのような動作の流れに限定されず、例えば、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへのハンドオーバ動作が完了する前に無線基地局装置101Cへのハンドオーバ動作中止通知をMME162へ送信してもよい。この場合、たとえば、ステップS647からステップS652までの動作が、ステップS640の前に行われる。
このように、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム406において、MME162Aは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ先として無線基地局装置101B,101Cを示すハンドオーバ要求を受信し、ハンドオーバ要求の示す無線基地局装置101B,101Cごとに自己の管理対象であるか否かを判断し、自己の管理対象でない場合には、無線基地局装置101B,101Cを管理するMME162B,162Cへハンドオーバ要求を送信する。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置202と無線基地局装置101A,101B,101Cとの間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、無線通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
(b)S−GWの切り替えが必要な場合
[構成および基本動作]
図53は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図53を参照して、第4の実施の形態に係る無線通信システム407は、図51に示す無線通信システム406と同様に、たとえば3GPPで規格化されたLTEに従う移動体通信システムであり、無線基地局装置101A,101B,101Cを備える。ここでは、無線端末装置202が、セルCA内に位置し、無線基地局装置101Aを通信接続先として選択してから、セルCA、セルCBおよびセルCCの重複領域へ移動した場合を想定する。すなわち、無線基地局装置101Aがサービング基地局に相当し、無線基地局装置101B,101Cが周辺基地局に相当し、これら無線基地局装置101B,101Cがハンドオーバ先の候補である無線基地局装置に該当する場合を想定する。
再び図53を参照して、無線通信システム407は、さらに、コアネットワーク301に設けられたS−GW161A,161B,161C(ゲートウェイ装置)と、MME162(通信制御装置)と、P−GW163とを備える。
S−GW161Aは、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されている。S−GW161Aは、無線基地局装置101A経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101A経由で無線端末装置202へ送信する。
S−GW161Bは、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されている。S−GW161Bは、無線基地局装置101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101B経由で無線端末装置202へ送信する。
S−GW161Cは、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されている。S−GW161Cは、無線基地局装置101B経由で無線端末装置202から受信した通信データをP−GW163経由でIP網302へ送信するとともに、IP網302におけるサーバ等からP−GW163経由で受信した通信データを無線基地局装置101C経由で無線端末装置202へ送信する。
MME162は、無線通信システム402における無線基地局装置101A,101B,101Cおよび無線端末装置202等を管理する。MME162は、無線基地局装置101A,101B,101Cとの間で制御メッセージを送受信する。
無線基地局装置101AおよびS−GW161Aは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101BおよびS−GW161Bは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。無線基地局装置101CおよびS−GW161Cは、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
無線基地局装置101A,101B,101CおよびMME162は、点線で示すように、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
MME162およびS−GW161A,161B,161Cは、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
S−GW161A,161B,161CおよびP−GW163は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
[動作]
図54は、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システムにおけるハンドオーバ動作のシーケンスである。
図54を参照して、ステップS661からステップS664までの動作は、図52に示すステップS611からステップS614までの動作と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、MME162の切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、ハンドオーバ要求に示されている無線基地局装置101B,101Cが自己の管理対象であるか否かを判断する。ここでは、無線基地局装置101B,101CがMME162の管理対象であることから、MME162は、MMEの切り替えを行う必要がないと判断する(ステップS665)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aから受信したハンドオーバ要求に基づいて、S−GWの切り替えを行う必要があるか否かを判断する。具体的には、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する。また、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GWと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GWとが異なるか否かを判断する(ステップS666)。
次に、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットが、無線基地局装置101BとIP網302との間に接続されているS−GW161Bを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路の作成をS−GW161Bへ要求する(ステップS667)。
次に、S−GW161Bは、MME162から通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Bとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162へ送信する(ステップS668)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS669)。
次に、無線基地局装置101Bは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS670)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパスの確立要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS671)。
次に、S−GW161Bは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Bは、S−GW161AとS−GW161Bとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Bは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS672)。
次に、MME162は、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS673)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS674)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Bへ転送する(ステップS675)。
また、MME162は、無線基地局装置101AとIP網302との間に接続されているS−GW161Aと、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GW161Bとが異なることから、上位ネットワークから無線端末装置202宛の下りパケット、および、無線端末装置202から上位ネットワークへの上りパケットが、無線基地局装置101CとIP網302との間に接続されているS−GW161Cを経由可能となるように、P−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路の作成をS−GW161Cへ要求する(ステップS676)。
次に、S−GW161Cは、MME162から通信経路の作成要求を受信して、自己を経由するP−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路を作成し、通信経路の作成応答をMME162へ送信する(ステップS677)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Cへハンドオーバ要求を送信する(ステップS678)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162からハンドオーバ要求を受信して、MME162へ当該ハンドオーバ要求に対するハンドオーバ応答を送信する(ステップS679)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bからハンドオーバ応答を受信すると、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路すなわち論理的なパスの確立要求をS−GW161Cへ送信する(ステップS680)。
次に、S−GW161Cは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Cは、S−GW161AとS−GW161Cとの間の論理的な通信経路、および、S−GW161Cと無線基地局装置101Cとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Cは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS681)。
次に、MME162は、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを行うための通信経路の確立要求をS−GW161Aへ送信する(ステップS682)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの確立要求を受けると、データフォワーディングパスを確立させる。すなわち、S−GW161Aは、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路を確立する。そして、S−GW161Aは、データフォワーディングパスの確立応答をMME162へ送信する(ステップS674)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Aへハンドオーバ指示を送信する。そして、無線基地局装置101Aは、S1−Uインタフェース経由のデータフォワーディングを開始する。すなわち、無線基地局装置101Aは、自己に蓄積されているかまたはS−GW161から新たに受信する当該無線端末装置202宛のパケットである対象パケットをS−GW161経由で無線基地局装置101Cへ転送する(ステップS684)。
上記のようにして、無線基地局装置101B,101Cへのハンドオーバ動作の準備処理が完了する(ステップS685)。なお、上記のようなステップS667からステップS675までの動作と、ステップS676からステップS684までの動作は並行して行われるものとする。
次に、無線端末装置202は、新たな測定結果通知を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS686)。
次に、無線基地局装置101Aは、無線端末装置202から受信した測定結果通知に基づいて、自己および当該無線端末装置202間の通信品質を新たに取得する。そして、無線基地局装置101Aは、新たに取得した通信品質が所定のハンドオーバ実行条件を満たす場合には、当該無線端末装置202のハンドオーバ動作を実行すべきであると判断する。なお、上述した準備条件の示す通信品質は、実行条件の示す通信品質と比べて良い品質である。
このとき、無線基地局装置101Aは、ハンドオーバ動作の準備処理が完了している無線基地局装置101B,101Cの中から、例えば無線端末装置202との間の通信品質がより良い方をハンドオーバ先の無線基地局装置として選択する。第4の実施の形態では、無線基地局装置101Bが選択される場合を想定する(ステップS687)。
次に、無線基地局装置101Aは、当該無線端末装置202へ、無線基地局装置101Bをハンドオーバ先とするRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS688)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162へ自己の通信状態等を示す状態通知を送信する(ステップS689)。この状態通知に、データフォワーディングにおいて、無線基地局装置101Bが転送パケットを処理するための、パケットのシリアル番号等の情報が含まれる。
次に、MME162は、無線基地局装置101Bへ無線端末装置202との通信内容等を示す状態通知を送信する(ステップS690)。
次に、無線端末装置202は、無線基地局装置101BへRRCコネクション再構成完了通知を送信する(ステップS691)。
そして、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、無線基地局装置101Aから転送されたパケットを無線端末装置202へ送信する。ここで、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから受信した状態通知の示すシリアル番号等を用いて、パケットの順序制御を行なう。
また、無線端末装置202は、無線基地局装置101Bへパケットを送信し、無線基地局装置101Bは、当該対象パケットをS−GW161Bへ送信する。
次に、無線基地局装置101Bは、無線端末装置202からRRCコネクション再構成完了通知を受信して、MME162へハンドオーバ完了通知を送信する。このハンドオーバ完了通知に、S−GW161Bに対するパス切り替え要求が含まれる(ステップS6492)。
次に、MME162は、上記パス切り替え要求を含むベアラ変更要求をS−GW161Bへ送信する(ステップS693)。
そして、S−GW161Bは、MME162からベアラ変更要求を受信して、パスの切り替え処理を行なう、すなわち、当該無線端末装置202宛の対象パケットの送信先を無線基地局装置101Aから無線基地局装置101Bへ切り替える。そして、S−GW161Bは、ベアラ変更要求に対する、パス切り替え応答を含むベアラ変更応答をMME162へ送信する(ステップS694)。
そして、S−GW161Aは、エンドマーカが付された対象パケットを無線基地局装置101Aへ送信し、対象パケットの無線基地局装置101Aへの送信を終了して、対象パケットの無線基地局装置101Bへの送信を開始する。また、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aを経由していないS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を保留し、蓄積しておく。
そして、無線基地局装置101Aは、S−GW161Aから受信したエンドマーカ付きの対象パケットをS−GW161AおよびS−GW161B経由で無線基地局装置101Bへ転送する。このとき、無線基地局装置101Aは、無線基地局装置101Bへ転送する対象パケットの最後を、このエンドマーカ付きの対象パケットとする。
そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aからエンドマーカ付きの対象パケットを受信して、無線基地局装置101Aによる自己へのデータフォワーディングが完了したことを認識する。そして、無線基地局装置101Bは、無線基地局装置101Aから転送された対象パケットをすべて無線端末装置202へ送信した後、蓄積していたS−GW161Bからの対象パケットの無線端末装置202への送信を開始する。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS695)。
次に、S−GW161Aは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS696)。
次に、MME162は、端末情報解放指示を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS697)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162から端末情報解放指示を受信して、ハンドオーバ先として選択されて無線基地局装置101B以外の無線基地局装置、すなわち無線基地局装置101Cへのハンドオーバ中止通知をMME162へ送信する(ステップS698)。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路の削除をS−GW161Cへ要求する(ステップS699)。
次に、S−GW161Cは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Cとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS700)。
次に、MME162は、S−GW161Cから通信経路の削除応答を受信して、端末情報解放指示を無線基地局装置101Cへ送信する(ステップS701)。
次に、無線基地局装置101Cは、MME162から端末情報解放指示を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS702)。
次に、MME162は、無線基地局装置101Cから端末情報解放完了通知を受信して、ハンドオーバ中止応答を無線基地局装置101Aへ送信する(ステップS703)。
次に、無線基地局装置101Aは、MME162からハンドオーバ中止応答を受信して、無線端末装置202に関する情報を解放し、MME162へ端末情報解放完了通知を送信する(ステップS704)。
次に、MME162は、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路の削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS705)。
次に、MME162は、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Bへ要求する(ステップS706)。
次に、S−GW161Aは、MME162から通信経路の削除要求を受信して、P−GW163と無線基地局装置101Aとの間の通信経路を削除し、通信経路の削除応答をMME162へ送信する(ステップS707)。
次に、S−GW161Bは、MME162からデータフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Bと無線基地局装置101Bとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS708)。
また、MME162は、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Aへ要求する(ステップS709)。
また、MME162は、S−GW161Cと無線基地局装置101Cとの間の論理的な通信経路、すなわちデータフォワーディングパスの削除をS−GW161Cへ要求する(ステップS710)。
次に、S−GW161Aは、MME162からデータフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Aと無線基地局装置101Aとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS711)。
また、S−GW161Cは、MME162からデータフォワーディングパスの削除要求を受信すると、S−GW161Cと無線基地局装置101Cとの間の論理的な通信経路の削除を行い、データフォワーディングパスの削除応答をMME162へ送信する(ステップS712)。
このように、本発明の第4の実施の形態に係る無線通信システム407において、MME162Aは、無線基地局装置101Aからハンドオーバ先として無線基地局装置101B,101Cを示すハンドオーバ要求を受信し、ハンドオーバ要求の示す無線基地局装置101B,101Cごとに、無線基地局装置101Aと上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置161Aと、無線基地局装置101B,101Cと上位ネットワークとの間に接続されているゲートウェイ装置161B,161Cとが異なるか否かを判断し、異なると判断したゲートウェイ装置161B,161Cへ通信経路作成要求を送信する。
ある周辺基地局へのハンドオーバ動作の準備処理の完了後に無線端末装置202が移動することで、当該周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化する場合が考えられる。このような場合でも、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了していることから、当該他の周辺基地局へのハンドオーバ動作を短時間で行うことができるため、無線端末装置202と無線基地局装置101A,101B,101Cとの間の通信が途切れることを防ぐことができる。
また、上記のように、周辺基地局に関する無線端末装置202の電波状況が悪化した場合であっても、他の周辺基地局との間のハンドオーバ動作の準備処理が完了しているため、ハンドオーバ動作の準備処理およびハンドオーバ動作の中止処理のための情報の送受信が繰り返されることを防ぎ、無線通信システムにおける負荷を軽減させることができる。
なお、本発明の第4の実施の形態では、ハンドオーバ動作においてMMEの切り替えが必要な場合と、ハンドオーバ動作においてS−GWの切り替えが必要な場合とを説明したが、本発明に係る無線通信システムは、ハンドオーバ動作においてMMEおよびS−GWの切り替えが必要な場合であっても対応することができる。
また、本発明の第4の実施の形態では、無線端末装置202の通信接続先である無線基地局装置101Aが、複数のハンドオーバ先の候補からハンドオーバ先を選択する場合について説明したが、無線端末装置202が無線基地局装置101Aから複数のハンドオーバ先の候補を示す情報を受信して、無線端末装置202が複数のハンドオーバ先の候補からハンドオーバ先を選択する構成であってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。