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JP5257854B2 - 発光色変換部材 - Google Patents

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本発明は、青色光源、特に青色発光ダイオード(LED)素子からの青色光を白色に転換するための発光色変換部材に関するものである。
白色LEDは、近年、高効率、高信頼性の白色照明光源として注目され、一部が微小電力小型光源として既に使用に供されている。この種のLEDは、青色LED素子を、黄色蛍光体と透明樹脂との混合物で被覆モールドしたものが一般的である。
2001−119075号公報
しかしながら、青色光はエネルギーが強いので樹脂を劣化させやすい。それゆえ、このような構造の白色LEDは、長期間使用していると樹脂が変色して色調が変化する。また最近では、高出力LED素子を使用して白色照明光源を開発する動きがあるが、この場合限られた部分に極めて強い青色光が照射されるので樹脂の劣化が著しく、発光色の変化が極めて短期間に起こる。また樹脂モールドされた素子からの熱放散性が悪いため、温度が上昇しやすく、温度上昇に伴って発光色の色調が黄色側へシフトするという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、青色LED素子、特に高出力の青色LED素子を使用しても、高信頼性、長寿命の白色照明光源を得ることが可能な発光色変換部材を提供することを目的とする。
本発明の発光色変換部材は、ガラス中に無機蛍光体が分散してなり、ガラス粉末と無機蛍光体粉末の混合粉末の焼結体からなり、無機蛍光体の含有量が、体積%で0.01〜15%であることを特徴とする。
また本発明の白色照明光源は、ガラス中に無機蛍光体が分散してなり、ガラス粉末と無
機蛍光体粉末の混合粉末の焼結体からなり、無機蛍光体の含有量が、体積%で0.01〜15%である発光色変換部材を使用することを特徴とする。
本発明の発光色変換部材は、化学的に安定で熱伝導率が高いガラスを主成分としているため、高出力の青色光に長期間曝されても変色がなく、また素子の温度上昇が少ないので白色光の変色がない。それゆえ、信頼性の高い白色照明光源を提供することができる。
円盤状の発光色変換部材を示す斜視図である。 キャップ状の発光色変換部材を示す断面図である。 支持部材を用いた発光色変換用複合部品を示す断面図である。
本発明の発光色変換部材は、ガラス中に無機蛍光体が分散した構成を有している。より具体的にはガラス粉末と無機蛍光体粉末との焼結体からなる。
無機蛍光体としては、青色光源から発せられる青色光を黄色系の光、例えば緑黄色(発光ピーク約550nm)に変換可能なものであり、一般的に市中で入手できるものであれば使用できる。無機蛍光体には硫化物、ハロリン酸塩、酸化物などからなるものがある。酸化物蛍光体は、ガラスと混合して高温に加熱しても安定であるが、硫化物、ハロリン酸塩などの蛍光体では焼結時の加熱によりガラスと反応し、発泡や変色などの異常反応を起こしやすい。その程度は、焼結温度が高温であればあるほど著しくなる。従って、無機蛍光体としては、酸化物蛍光体を使用することが好ましい。最も好適な酸化物蛍光体としては、(Y,Gd,Ce)Al12等のYAl12系蛍光体が挙げられる。
ガラスは、軟化点が500℃を超えるもの、好ましくは600℃を超えるものに限定される。その理由は、軟化点が500℃以下のガラスは蛍光体と反応して焼結体が黒っぽくなり、発光効率が大幅に低下したり、光が透過しなくなる。また化学的耐久力が悪化し易く、湿気の多い環境では使用中に表面が変質して透過率を下げ、効率を低下させる恐れがあるためである。
なお熱膨張係数が75×10−7/℃を超えるガラスは、点灯時の温度上昇と消灯時の温度下降の繰り返しによる熱衝撃で焼結体にクラックが入りやすくなり、好ましくない。それゆえ軟化点が500℃以上(特に600℃以上)、且つ熱膨張係数が75×10−7/℃以下(特に20〜70×10−7/℃)のガラスであることが好ましい。
またガラス組成中にPbOやBiを含有する場合、蛍光体と反応して焼結体の明度を下げ易く、発光効率を低下させるために好ましくない。さらにソラリゼーションの原因となるような酸化物や光の透過を妨げるような着色元素を含有せず、またそのような不純物を含まないことが重要である。例えば組成中にMnO、Fe、CeO等が含まれていると、紫外線によりガラスを変色させるのでこれらの成分の含有は好ましくない。またアルカリ金属酸化物が含まれていると、部材の接着やモールドに使用される樹脂を劣化させ、接着強度を低下させる。従って、ガラス組成中には、上記した成分を実質的に含有しないことが好ましい。具体的には、PbOやBiは各々3%以下、MnO、Fe、CeO等は各々1000ppm以下、アルカリ金属酸化物は合量で15%以下に制限することが望ましい。
また組成系によって、焼結体の色調が異なったり、蛍光体との反応性に差がでるため、種々の条件を考慮して使用するガラスの組成を選択する必要がある。さらにガラス組成に適した蛍光体の添加量や、部材の厚みを決定することも重要である。本発明における好適なガラスとしてはB−SiO系ガラス、BaO−B−SiO系ガラス、 ZnO−B−SiO系ガラス等が挙げられる。
本発明の発光色変換部材は、部材の厚みが0.2mm未満であると実用的な機械的強度が得難い。このため機械的強度が要求される用途では、0.2mm以上の厚みを有するようにすることが好ましい。またこの場合、無機蛍光体の含有量は0.01〜15体積%であることが好ましい。蛍光体が0.01体積%未満であると、黄色光が不足して白色光になりにくく、逆に15%を超えると蛍光体に遮蔽されて青色光の光量が少なくなりすぎ、光が黄色にシフトする。場合によっては黄色光自体も遮蔽されて発光効率が著しく低下する。より望ましい蛍光体の含有量は、0.05〜10%、特に0.08〜8体積、さらには0.1〜3体積%である。
また本発明の発光色変換部材は、図1に示すような円盤状の変換部材10、図2に示すような円筒キャップ状の変換部材20等、種々の形状に成形して使用することができる。なお図1中、11は無機蛍光体を、12はガラスを示している。また図3に示すように、発光色変換部材30と、これを支持する支持部材40とからなる複合部品として使用することも可能である。支持部材としては種々の形状のものを採用可能であり、例えば図3に示すような円筒形状のものを使用できる。支持部材は、樹脂、セラミック、金属等の異種材料からなる。材料の選択は、機械的強度、膨張等の条件を考慮して適宜選定すればよい。また変換部材の取り付けは、嵌着、接着等の方法で行えばよい。
以上の構成を有する本発明の発光色変換部材は、ガラス中に蛍光体が分散してなるため、入射した青色光の一部が無機蛍光体によって黄色光に変換され、また残部の青色光が透過、散乱する。この変換された黄色光と、透過、散乱した青色光とが合わさって白色光に近いスペクトルを合成することにより、青色光が白色光に転換される。
なお入射した光の散乱が小さい場合、得られる白色光は、強く明るい光となり、散乱が大きい場合は柔らかな光となる。
また部材の厚みが大きくなると明度が低下し、発光効率が低下する。さらに蛍光体の絶対量が多くなり黄色光が増えるため、発光色が黄色側にシフトしやすくなる。一方、部材が薄いと発光効率が高くなるが、蛍光体の絶対量が少なくなり黄色光が減少するため青色側にシフトしやすくなる。このため白色光を効率よく得るためには、蛍光体の量と部材の厚みを調整することが重要である。
次に、本発明の発光色変換部材を製造する方法を述べる。
まず上記特徴を有するようなガラス粉末と無機蛍光体粉末を用意する。ここで得られる変換部材の散乱を大きくしたい場合には、粒度の小さいガラス粉末を、散乱を小さくしたい場合には粒度の大きいガラス粉末を使用すればよい。またガラス粉末の好適な粒度範囲は、最大粒子径Dmaxが150μm以下(特に45〜105μm)、且つ平均粒子径D50が2μm以上(特に10〜20μm)である。つまりガラス粉末の最大粒子径が150μmを超えると、焼結体中に粗大ガラス粒子が形成する透明部分が散在することになり、また光を散乱しにくくなるために、均一な散乱体にならず、白色光が青みを帯び易くなる。また平均粒子径D50が2μm未満であると、焼結体が光を過剰に散乱させるために青色光の透過性が著しく低下し、発光効率が低下するばかりでなく、白色光が黄色みを帯び易くなる。
次に、無機蛍光体粉末とガラス粉末を混合し、発光色変換部材用材料を得る。混合割合は、作製する部材の厚みを勘案して調整すればよい。即ち、部材の厚みが薄い場合は蛍光体粉末の割合を高めに設定し、逆に厚い場合は割合を低めに設定すればよい。
続いて樹脂バインダーを添加して加圧成型し、所望の形状の予備成型体を作製する。
その後、予備成形体を焼成し樹脂バインダーを除去して焼結させ、発光色変換部材を得る。複合部品とする場合は、得られた変換部材を、別に用意した支持部材に取り付ければよい。
このようにして得られた発光色変換部材(又はこれを取り付けた発光色変換複合部品)は、青色LED素子等の青色光源と組み合わせることにより、白色照明光源として利用できる。
以下、実施例に基づき、本発明を説明する。
表1〜3は、本実施例で使用するガラス試料(試料A〜M)を示している。
各試料は次のようにして調製した。まず表に示す割合になるように珪砂、ホウ酸、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび鉛丹を調合した。続いて、これを白金坩堝に入れ、800〜1500℃で1〜3時間溶融してガラス化し、フィルム状に成形した。フィルム状ガラスをボールミルで粉砕した後、150メッシュ(JIS)の篩を通して分級し、最大粒子径105μm、平均粒子径約20μmのガラス粉末試料(通常品)を得た。また試料Hについては、通常粒度品に加えて、最大粒子径150μm、平均粒子径約30μmの粗大品及び最大粒子径10μm、平均粒子径約1.8μmの微細品を用意した。
このようにして得られたガラス粉末試料について、密度、熱膨張係数及び軟化点を測定した。結果を表に示す。
なお軟化点は、ガラス粉末試料を更にボールミルで粉砕し、最大粒子径45μm、平均粒子径10μmの粒度の粉末試料を作製し、DTAにより求めた。また密度及び熱膨張係数は、溶融ガラスを特性測定用のブロック状試料および円柱状試料に成形し、アニールした後、それぞれアルキメデス法、及びTMAにより求めた。
表4〜7は、上記したガラス粉末試料と、無機蛍光体粉末を焼結させてなる発光色変換部材の実施例を示している。
各試料は次のようにして調製した
まず、ガラス粉末試料に、表4〜7に示す割合で蛍光体粉末を添加、混合して混合粉末とした。さらに少量の樹脂バインダーを添加、混合した後、金型で加圧成型して直径1cmのボタン状予備成型体を作製した。なお蛍光体には、(Y,Gd,Ce)Al12(化成オプトニクス株式会社製P46−Y3)を使用した。
続いて、各ガラスの軟化点から定めた焼結温度(各表に示す)で、予備成型体を焼結させ、直径約8mm、厚さ0.2mm、0.5mm、1.0mm、1.5mm、又は2.0mmの大きさの円盤状焼結体に加工した。
得られた焼結体試料について、焼結体の色調、透過光の色調と強度を目視にて評価した。なお透過光の色調と強度は、焼結体の背後からLEDの青色光を照射したときの焼結体からの透過光を評価したものであり、色調は白色に近いほど好ましく、また強度が強いほど発光効率がよく好ましい。
10、20、30 発光色変換部材
11 無機蛍光体
12 ガラス
40 支持部材

Claims (12)

  1. ガラス中に無機蛍光体が分散してなる発光色変換部材であって、ガラス粉末と無機蛍光体粉末の混合粉末の焼結体からなり、無機蛍光体の含有量が、体積%で0.01〜15%であることを特徴とする発光色変換部材。
  2. 白色照明光源用であることを特徴とする請求項1に記載の発光色変換部材。
  3. 無機蛍光体が酸化物蛍光体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光色変換部材。
  4. 無機蛍光体がYAl12系蛍光体であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の発光色変換部材。
  5. ガラスが、75×10−7/℃以下の熱膨張係数を有することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の発光色変換部材。
  6. ガラスが、Biを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の発光色変換部材。
  7. ガラスが、MnO、Fe、及びCeOを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の発光色変換部材。
  8. ガラスが、B−SiO系ガラス、BaO−B−SiO系ガラス、またはZnO−B−SiO系ガラスであることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の発光色変換部材。
  9. ガラス組成におけるアルカリ金属酸化物の合量が10%以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の発光色変換部材。
  10. 0.2mm以上の厚みを有することを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の発光色変換部材。
  11. ガラス粉末が、最大粒子径Dmaxが150μm以下、且つ平均粒子径D50が2μm以上であることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の発光色変換部材。
  12. ガラス中に無機蛍光体が分散してなる発光色変換部材であって、ガラス粉末と無機蛍光体粉末の混合粉末の焼結体からなり、無機蛍光体の含有量が、体積%で0.01〜15%である発光色変換部材を用いることを特徴とする白色照明光源。
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