本発明の換気空調装置は、室外に開口した給気口から室外空気を吸い込んで、室内空間に開口した複数の吹出し口から空気を吹き出す給気ファンと、室内のサニタリー空間に開口した複数の吸込み口から空気を吸い込んで、室外に開口した排気口から空気を吹出す排気ファンと、前記複数の吸込み口の風量を調整する吸込み風量調整装置と、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給気ファンにより送風される空気と冷媒を熱交換させる第一熱交換器と、冷媒を膨張させる膨張機構と、前記排気ファンにより送風される空気と冷媒を熱交換させる第ニ熱交換器と、前記圧縮機、前記第一熱交換器、前記膨張機構、前記第二熱交換器の順または、前記圧縮機、前記第二熱交換器、前記膨張機構、前記第一熱交換器の順に冷媒が循環するように配管した冷媒回路とを備え、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の間で冷媒により熱を移動させることによって、前記サニタリー空間を換気しながら前記室内空間を暖房または冷房し、複数の前記吹出し口の風量を調整する吹出し風量調整装置を備えたものであって、前記室外空気を吸い込んで複数の前記室内空間に吹出す風量と前記室外に戻す風量、複数のサニタリー空気を吸い込んで前記室外に排出する風量と複数の前記室内空間に戻す風量をそれぞれ調整することにより、複数の前記サニタリー空間の排気と複数の前記室内空間の給気をしながら暖房または冷房を行うものである。これにより前記第一熱交換器と前記第二熱交換器を通過する前記室外空気と前記サニタリー空気の量をそれぞれ調整して、前記室内、前記室外の温湿度、前記室内の空気の汚れ具合等の環境条件により、循環空気、排気、給気の量のバランスを調整することができる。
また、複数のサニタリー空間を換気する場合に、室外空気とサニタリー空気の一部を第一熱交換器と第二熱交換器を通さずに室内空間と室外に吹出すバイパス手段を設けたものである。これにより換気時に熱交換器のバイパス手段を開放状態にし、室外空気とサニタリー空気の一部を第一熱交換器と第二熱交換器を通さずに複数のサニタリー空間と屋外に吹出すことができる。
また、冷媒の流れ方向を圧縮機、第一熱交換器、膨張機構、第二熱交換器の順番から前記圧縮機、前記第二熱交換器、前記膨張機構、前記第一熱交換器の順番に切替える流路切替弁を設けたものである。これにより暖房運転と冷房運転を切替える場合は、流路切替弁で冷媒の流れ方向を切替えることができる。
また、第一熱交換器の冷媒が流れる配管中に冷媒を減圧する減圧手段を更に設けたものである。これにより除湿時に室外から吸い込んだ空気が第一熱交換器の減圧手段の下流側で冷却された後、減圧手段の上流側で再熱されて、室内空間に吹出すようにすることができる。
また、複数の室内空間を空調する場合に、複数のサニタリー空間を換気する場合に対し、排気ファンまたは給気ファンの風量を増加させるものである。これにより熱交換器における空気からの吸熱量もしくは空気への放熱量を増加させることができる。
また、サニタリー空間以外に設置された空調機によって空調された空調空気を複数のサニタリー空間の吸い込み口から吸い込んで熱交換器に供給するものである。これにより本換気空調装置より効率がよい空調機の吹出し空気の熱を利用できる。
また、室外空気を吸い込んで複数の室内空間に吹出す給気風路と複数のサニタリー空気を吸い込んで室外に排出する排気風路の下部に結露水を排水または蒸発させる大型ドレン装置を設けたものである。これにより風路での結露水や熱交換器の凝縮水の排水口が1箇所することができ、水量が増えることにより排水口への流れもスムーズにすることができる。
また、凝縮水または結露水を排水または蒸発させるドレン装置にドレンポンプを備えたものである。これによりドレンポンプを運転することにより、凝縮水または結露水をドレン装置より高いところに排水できる。
また、室外空気を吸い込んで複数の室内空間に吹出す給気風路と複数のサニタリー空気を吸い込んで室外に排出する排気風路の周囲を断熱処理したものである。これにより換気空調装置の外郭への結露を防止しながら、外部への熱の漏洩を防止できる。
また、少なくとも圧縮機、第一熱交換器、第二熱交換器、膨張機構を本体に内蔵したものである。これにより、浴室の天井裏などに設置した換気空調装置内部に冷媒配管で?がった部品を全て収納することができる。
また、補助ヒーターで給気ファンが送風する空気の少なくとも一部を加熱するものである。これにより低温環境における暖房能力不足を補填することができる。
また、予熱ヒーターで第二熱交換器に供給される前の空気を予熱するものである。これにより低温環境における暖房能力の低下の防止や第二熱交換器への着霜の抑制および付着した霜の除去を行うことができる。
また、低温時に第一熱交換器もしくは第二熱交換器に霜が付着した場合に冷媒温度に基づいて流路切替弁を切り換えるものである。これにより付着した霜の除去を行うものである。
また、低温時に第二熱交換器に霜が付着した場合に冷媒回路の高圧側と低圧側をバイパス回路を通じて開放するものである。これにより高温の冷媒を第二熱交換器に流通させる、若しくは第二熱交換器内の冷媒圧力を上昇させて付着した霜の除去を行うことができる。
また、冷媒加熱手段を第二熱交換器と直列もしくは並列となるように冷媒回路中に介在させたものである。これにより第二熱交換器に霜が付着するなど吸熱能力が低下した場合において、冷媒加熱手段を作動させることにより吸熱能力を確保し、暖房能力を維持することができる。
また、冷媒加熱手段に、電熱によって冷媒を加熱する冷媒加熱ヒーターを用いるものである。これにより冷媒加熱手段の小型化を図ることができる。
また、冷媒加熱手段に、給湯水との熱交換によって冷媒を加熱する冷媒−水熱交換器を用いるものである。これにより冷媒加熱手段での電力使用量を削減することができる。
また、冷媒−水熱交換器に供給する給湯水に、ヒートポンプ式給湯機で沸かされた湯を用いるものである。これにより冷媒加熱手段の電力使用量を更に削減することができる。
また、冷媒−水熱交換器で冷媒との熱交換をした後の給湯水を排水する場合に、第一熱交換器あるいは第二熱交換器に生じた結露水を排水する排水経路を利用するものである。これにより排水経路数を増やさずに施工を簡略化することができる。
また、夏場などの高温時に放熱能力が不足した場合に冷媒−水熱交換器に供給される常温水に対して冷媒が放熱するように構成するものである。これにより、放熱不足を解消して冷房能力を維持するものである。
また、トイレを換気する場合に、サニタリー専用風路を通じて排気するものである。これによりトイレの臭いの移行を防止できる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を図1〜7を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態1にかかる換気空調装置が設置される室内空間の見取り図である。図1において、室内空間1は、リビング2と寝室3、そして浴室4、洗面所5、トイレ6などのサニタリー空間7に区画されており、浴室4の天井裏には、換気空調装置の本体8が設置されている。
この本体8には、本体8と室外に開口した排気口9とを連通する排気ダクト10、本体8と室外に開口した給気口11とを連通する給気ダクト12、本体8とリビング2の天井に開口した吹出し口13とを連通する吹出しダクト14、本体8と寝室3の天井に開口した吹出し口15とを連通する吹出しダクト16、本体8とトイレ6の天井に開口した吸込み口17とを連通する吸込みダクト18が接続されている。
図2は、換気空調装置の風路構成図であり、図に示すように、本体8内部には排気ファン19が配設されており、また、排気ファン19の吹出し口側には、排気ダクト10を接続する排気接続部20が設けられており、この排気接続部20と浴室4の天井面に設けられたグリル21の吸込み口22とを連通する排気風路23が本体8内部に形成されている。
また、トイレ6の天井に設けられた吸込み口17と連通する吸込みダクト18が排気風路23内に設けられたサニタリー専用風路24に接続するように本体8に設けられている。
したがって、排気ファン19を運転すると、吸込み口22を通じて浴室4の空気と吸込口17を通じてトイレ6の空気が排気ファン19に吸い込まれ、排気ダクト10を通じて室外に排出される。
また、本体8内部には給気ファン25が配設されており、また、給気ファン25の吸込み側には、給気ダクト12を接続する給気接続部26が設けられ、前記給気ファン25の吹出し側には、吹出しダクト14、16を接続する吹出し接続部27、28が設けられ、前記給気接続部26と吹出し接続部27、28を連通する給気風路29が本体8内部に形成されている。したがって、給気ファン25を運転すると、給気ダクト12を通じて室外の空気が給気ファン25に吸いこまれ、吹出しダクト14、16を通じてリビング2と寝室3に吹出される。
そして排気ファン19と給気ファン25を連続運転するとリビング2と寝室3内に新鮮な外気が給気され、その空気が浴室4のドアのガラリとトイレ6のドアのアンダーカット部分を通じて浴室4内とトイレ6内に流入し、グリル21の吸込み口22から浴室4内の水蒸気と一緒に吸込み、また、吸込口17からトイレ6内の臭気と一緒に吸込み、室外に排出することになる。
この給気・排気運転は建物の気密性が高い場合は連続して行う必要があるため(24時間換気)、排気ファン19と給気ファン25は所定の給気量・排気量、例えば一時間で室内空間1の約半分の容積に相当する給気・排気量を確保するように連続運転を行う。また、リビング2及び寝室3には部屋の温度をコントロールするための空調機30、31が設置されており、夏場は冷房運転、冬場は暖房運転を行って室温を適正に保持している。したがって前述したように年間を通じて連続した換気運転を行っていると、夏場はリビング2において空調機30で、寝室3において空調機31で冷房された低温の空気、冬場は空調機30、31で暖房された高温の空気が浴室4のドアのガラリとトイレ6のドアのアンダーカット部分を通じて吸込口17、22に吸い込まれ、換気空調装置の本体8を介して室外に排出されることになる。
換気空調装置の本体8の底部は浴室4の天井面に対してグリル21の吸込み口22を開口するとともに吸込み口22に着脱自在に塵埃を捕捉するための室内フィルター(図示せず)を配設している。
また、給気風路29内の給気ファン25の上流側には、給気接続部26から順に、開度調整可能で通路を開閉する給気開閉装置32と屋外の塵埃を補足するための着脱自在な屋外フィルター33と主に室外空気と冷媒を熱交換する第一熱交換器34が設けられ、給気ファン25の下流側には、給気ファン25が送風する空気の少なくとも一部を加熱する補助ヒーター35、36とリビング2と寝室3への吹出し空気を遮断または風量を調整する吹出し風量調整装置37,38が吹出し接続部27、28に対応して設けられている。
また、排気風路23内の排気ファン19の上流側には、吸込み口22から順に、浴室4の吸込み空気を遮断または風量を調整する吸込み風量調整装置39と吸込み空気を予熱する予熱ヒーター40と主に吸込み空気と冷媒を熱交換する第二熱交換器41が設けられ、サニタリー専用風路24が排気風路23内の空気と混じらないように吸込みダクト18から前記予熱ヒーター40と前記第二熱交換器41まで導かれており、トイレ6の吸込み空気を遮断または風量を調整する吸込み風量調整装置42がサニタリー専用風路24の上流側に設けられている。
そして、排気ファン19の下流側には、開度調整可能で通路を開閉する排気開閉装置43が設けられている。
また、給気風路29内には、前記第一熱交換器34の上流側と排気風路23内で前記第二熱交換器41の上流側を連通または遮断、もしくは連通量を調整可能な風路切替調整手段44が設けられている。
また、給気風路29内には、室外空気の一部を第一熱交換器34を通さずにリビング2と寝室3に吹出す給気バイパス手段45を設け、排気風路23内には、浴室空気の一部を第二熱交換機41を通さずに室外に排気する排気バイパス手段46を設けている。
また、排気風路23内には、第二熱交換器41の下流側と給気風路29内で第一熱交換器34の上流側を連通または遮断、もしくは連通量を調整可能な除湿切替手段47が設けられている。
また、本体8内であって第一熱交換器34と第二熱交換器41を含む給気風路29と排気風路23の下部には、大量の結露水を一度貯めた後に排水または蒸発させる、底部に勾配を設けた大型ドレン装置48を備え、大型ドレン装置48の一番深い部分にドレンポンプ49を備え、ドレン配管50を通じて本体8より高いところに排水可能としている。
また、給気風路29と排気風路23を含む本体8の外郭は断熱材51の貼り付けによる断熱処理が施されている。
図3は、換気空調装置の冷媒回路図であり、本体8内部に、冷媒として例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路52を形設しており、この冷媒回路52中に、冷媒を圧縮する圧縮機53、第一熱交換器34、冷媒を膨張させる電子式膨張弁からなる膨張機構54、第二熱交換器41を介設している。
前記冷媒回路52には、圧縮機53で圧縮された冷媒が第一熱交換器34、膨張機構54、第二熱交換器41の順に流れて再び圧縮機53に戻る経路(以下、暖房サイクル)と、圧縮機53で圧縮された冷媒が第二熱交換器41、膨張機構54、第一熱交熱交換器34の順に流れて再び圧縮機53に戻る経路(以下、冷房サイクル)とを切り換えるための流路切替弁55が介設されている。
また、冷媒回路52には、流路切替弁55と第一熱交換器34を結ぶ配管中から分岐して膨張機構54と第二熱交換器41を結ぶ配管中に合流するバイパス回路56と、第一熱交換器34と膨張機構54を結ぶ配管中から分岐して第二熱交換器41と流路切替弁55を結ぶ配管中に合流するバイパス回路57を配管しており、バイパス回路56中に開閉弁58を介設するとともにバイパス回路57中に開閉弁59および冷媒加熱手段60を介設している。そして、この冷媒加熱手段60には後述する冷媒加熱ヒーター72や冷媒−水熱交換器79を用いることができる。
また、第一熱交換器34は、給気風路29内に配設されており、第二熱交換器41は、排気風路23内に配設されている。したがって第一熱交換器34においては給気ファン25により送風される主に屋外空気に対して冷媒が放熱(または吸熱)を行い、第二熱交換器41においては排気ファン19により主に浴室4とトイレ6から屋外に排出される空気に対して冷媒が吸熱(もしくは放熱)を行うことになる。
また、第一熱交換器34の冷媒が流れる配管中には第2の開閉弁61とキャピラリチューブ62で構成される減圧手段63を介設しており、第一熱交換器34は、流路切替弁55が冷媒の流れ方向を実線で示す方向、即ち暖房サイクルに切り換えた場合に給気ファン25により送風される室外空気が第一熱交換器34の減圧手段63の下流側を流れる冷媒と熱交換した後に減圧手段63の上流側を流れる冷媒と熱交換を行うように形設されている。
さらに排気風路23内の第二熱交換器41の風上側には自己温度制御性を有する予熱ヒーター40が配設されており、この予熱ヒーター40を作動させると排気風路23に吸い込まれた浴室4とトイレ6の空気を予め加熱して第二熱交換器41に供給することができる。
また、第一熱交換器34の膨張機構54側と第二熱交換器41の膨張機構54側には冷媒の温度を検知するコイル温センサー64、65を備えている。
図4は、換気空調装置の施工図であり、図に示すように、天井裏に設けられたボルト66に本体8の吊り金具67を引っ掛け、本体8を天井面に接しないように吊り下げている。本図の形態では、浴室4からの吸込み空気は吸込みダクト68で本体8内に搬送することとしており、図2の形態と異なっている。
また、本体8には空気の搬送のための吹出しダクト14、16、吸込みダクト18、給気ダクト12、排気ダクト10が接続され、結露水の排水のためのドレン配管50と電源供給のための電源線69も接続されている。
また、本体8内には、少なくとも圧縮機53と流路切替弁55と第一熱交換器34と膨張機構54と第二熱交換器41とを順次結ぶ冷媒回路52を備え、本体8の振動を小さくするため及び、本体8の高さを低くするために、圧縮機53は2ローター横置き仕様としている。
また、圧縮機53の振動をさらに吸収するために防振装置70を備え、本体8の躯体への振動伝播を抑えるためにボルト66にも防振装置71を備えている。
図5は、前記冷媒加熱手段60に採用できる冷媒加熱ヒーター72の概略構成図であり、図に示すように冷媒加熱ヒーター72は、冷媒を通す冷媒配管をコイル状に巻いて形設した冷媒管路73と、コイル状の冷媒管路73の内周側にU字状に形設した電熱管74と、冷媒管路73の入口部75および出口部76と電熱管74の端子部77を除いた表面を全て覆うようにアルミなどの金属材料を鋳造して中実円筒状に形成された伝熱筒78から構成されている。そして電熱管74の端子部77に所定の電圧を印加すると電熱管74が発熱し、この熱が伝熱筒78内を伝導して電熱管74の外周に配設された冷媒管路73を加熱する。冷媒管路73内には入口部75から冷媒が導入され、冷媒管路73の外周が伝熱筒78で覆われたコイル状の部分を流れる過程で伝熱筒78を介して加熱されて出口部76に導かれる。このようにして冷媒加熱ヒーター72は冷媒を加熱するものであるが、伝熱筒78の中芯部に配設された電熱管74が、その外周方向に配設された冷媒管路73に対して発熱するため外部への熱漏洩が少ないとともに、電熱管74が発した熱が伝熱筒78を伝導して均一に冷媒管路73を加熱することができるため加熱効率が向上して冷媒加熱手段60の小型化を可能にしている。
図6は、前記冷媒加熱手段60に採用できる冷媒−水熱交換器79の概略断面図であり、図に示すように冷媒−水熱交換器79は給湯機80からの給湯水が流れる給湯管路81の内部に冷媒が流れる冷媒管路82を配設した二重管構造の熱交換器となっている。冷媒管路82は、給湯管路81の内部において二分岐され、分岐した各々が螺旋状に捩れ合うツイスト状に形設されており、これにより伝熱面積を増加させて熱交換効率の向上を図っている。そして給湯管路81の給湯流入部83から冷媒−水熱交換器79内に流入した給湯水は、冷媒管路82の外周を流れて給湯流出部84から冷媒−水熱交換器79外部に流出し、給湯流出部84の下方にある大型ドレン装置48に滴下する。この大型ドレン装置48は、第一熱交換器34および第二熱交換器41に結露したドレン水のドレン受けも兼ねており、大型ドレン装置48に滴下した給湯水は、第一熱交換器34および第二熱交換器41に結露したドレン水とともに、ドレンポンプ49によりドレン配管50を通って本体8外部に排水される。一方、冷媒管路82の冷媒流入部85から冷媒−水熱交換器79内に流入した冷媒は、給湯水の流れに対向する向きで捩れ構造のツイスト管86に各々分岐して流れ、この過程で給湯水との熱交換により加熱されて冷媒流出部87から流出することになる。この冷媒加熱に用いられる給湯水の給湯機80は、燃焼式給湯機でもヒートポンプ式給湯機でも構わないが、ヒートポンプ式の場合は大気の熱を利用して沸かされた温水であるため、冷媒加熱手段60の加熱効率がより向上されるとともにランニングコストが安価にできる。また、給湯流出部84から排出される水を給湯機80に戻すような構造とすれば、給湯管路81に給湯機80で沸かした給湯水ではなく、暖房用循環水を供給することもできる。また、給湯管路81に給湯機で沸かした高温の温水ではなく、常温の給水をそのまま供給することもできる。この場合に流路切替弁55を冷房サイクル側に切り換えて開閉弁59を開放状態に設定すれば、バイパス回路57に圧縮機53で圧縮された高温高圧の冷媒が供給され常温水との熱交換の過程において冷媒を冷却することも可能となる。
次に換気空調装置の運転動作について説明する。
図7は各運転パターンにおける動作状態を示す一覧表である。図に示した一覧表は換気空調装置の各運転パターンを列方向に順に記載しており、その各々の運転パターンにおける主要構成要素の動作状態を行方向に記載している。この換気空調装置は、一覧表に示すように「熱交換気運転」、「給気排気運転」、「給気運転」、「排気運転」、「除湿運転」、「暖房運転」、「冷房運転」、「除湿ぎみ熱交換気運転」「暖房ぎみ熱交換気運転」、「冷房ぎみ熱交換気運転」の10種類の運転パターンを実行することが可能となっている。
「熱交換気運転」は、浴室4の湿気やトイレ6の臭いを急速に排気しながら、室外の新鮮な空気をリビング2と寝室3に給気する時に空調機30、31などで空調された空気の熱を排気時に冷媒に回収して、室外から給気される空気に冷媒によって熱を加え、空調された室内空間1の空気の温湿度に近づけて給気する運転パターンであり、この運転時は、排気ファン19を急速な排気が可能な「強ノッチ」、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)に設定し、給気ファン25も排気量と同等の給気量が可能な「強ノッチ」とする。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46、除湿切替手段47は全て「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35、36、予熱ヒーター40は「停止」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「開放」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53を消費電力が非常に少ない最低周波数で運転し、流路切替弁55を室外温度と室内温度の差により、例えば冬季であれば「暖房」、夏季であれば「冷房」状態に保持し、膨張機構54は冷凍サイクルが最適となるように都度「開度調整」する。第2の開閉弁61は「開放」状態としてキャピラリーチューブ62に冷媒は通らない。冷媒加熱手段60は「停止」状態とし、開閉弁58、開閉弁59は全て「閉鎖」状態とする。
この状態において、例えば冬季であれば、排気ファン19が「強ノッチ」で運転することにより、リビング2と寝室3にて、空調機30、31により暖められた大風量の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、浴室4の湿気とトイレ6の臭いを含んだ空気と一緒に天井に設置されたグリル21の吸込み口22と吸込み口17から、吸込み風量調整のため開度調整された吸込み風量調整装置39、42を通り、排気風路23とサニタリー専用風路24を通って、流路切替弁55により「蒸発器」となったフィン&チューブ型の第二熱交換器41で冷媒に吸熱された空気が、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。そして、給気ファン25が「強ノッチ」で運転することにより、室外の冷たい新鮮な大風量の空気が給気口11から入り、給気ダクト12、本体8の給気接続部26、給気開閉装置32、屋外フィルター33、給気風路29を通って、流路切替弁55により「暖房」状態に保持され「凝縮器」となった第一熱交換器34において、圧縮機53により圧縮搬送された冷媒が「蒸発器」である第二熱交換器41で空気から吸熱した熱も含めて室外の冷たい空気に放熱することにより温まった空気となり、吹出し接続部27、28と吹出し風量調整のため開度調整された吹出し風量調整装置37、38、吹出しダクト14、16を通って、吹出し口13、15からリビング2、寝室3に吹出される。
冷媒は最低周波数で運転する圧縮機53により、比較的低い圧力、温度の気体となって循環量が少なく吐出され、流路切替弁55を通って第一熱交換器34に入り、第2の開閉弁61は「開放」状態のため第一熱交換器34全体で、室外からの大風量の空気に放熱して温度を下げて低温の液体となって、膨張機構54で減圧されて低圧低温の2相状態になり、第二熱交換器41で室内空間1の大風量の空気から吸熱して低圧低温の気体となって、再び圧縮機53に戻る。
「蒸発器」である第二熱交換器41のフィンにはサニタリー空間7の湿気が凝縮して結露水となって大型ドレン装置48に流れ落ち、溜まった結露水をドレンポンプ49の運転によりドレン配管50から室外や排水マス等へ排水する、または、「凝縮器」である第一熱交換器34に吹きかけ、サニタリー空間7の空気を熱交換する時に気化させて排気する。
一方、本体8の周囲の断熱材51の断熱効果により、結露と性能ダウンを防止している。
夏季においては、室内空間1にて空調機30,31により冷やされた大風量の空気が、サニタリー空間7の臭いや湿気を含んだ空気と一緒に本体8に入り、流路切替弁55により「凝縮器」となった第二熱交換器41で冷媒から吸熱し室外に排気される。そして、室外の暑い新鮮な大風量の空気が本体8に入り、流路切替弁55により「冷房」状態に保持され「蒸発器」となった第一熱交換器34で冷媒に放熱することにより冷やされた空気となってリビング2と寝室3に吹出される。
こうして、圧縮機53を最低周波数で運転することにより少ない消費電力で、冷媒が第一熱交換器34、第二熱交換器41に循環し、排気ファン19と給気ファン25を「強ノッチ」で運転することにより大風量の空気が排気、給気され、室内空間1の排気の熱を回収して給気に放熱する「熱交換気運転」が行われることになる。
次に「給気排気運転」時の運転動作について説明する。「給気排気運転」は、建築基準法上の換気風量を24時間確保しながら、サニタリー空間7から排気運転をしながら、室内空間1に給気運転をする運転パターンであり、この運転時は、排気ファン19を低消費電力の「弱ノッチ」、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)に設定し、給気ファン25も排気量と同等の給気量が可能な「弱ノッチ」とする。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46は全て「開放」状態とし、除湿切替手段47は「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35,36、予熱ヒーター40は「停止」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「開放」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53を停止して冷媒を流さないので、流路切替弁55、膨張機構54、第2の開閉弁61、冷媒加熱手段60、開閉弁58、開閉弁59は全て「停止」状態とする。
この状態において、例えば春や秋の中間期に、排気ファン19が「弱ノッチ」で運転することにより、建材や家具等から発生するVOCなどを含んだ室内空間1の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、浴室4の天井に設置されたグリル21の吸込み口22から排気風路23を通って、また、トイレ6の天井に設置された吸込み口17からサニタリー専用風路24を通って、吸込み風量調整装置39,42の開度調整による各々適当な風量バランスで、「開放」状態である排気バイパス手段46を主に通って、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。
そして、給気ファン25が「弱ノッチ」で運転することにより、室外の新鮮な空気が給気口11から入り、給気ダクト12、本体8の給気接続部26、給気開閉装置32、屋外フィルター33、給気風路29を通って、「開放」状態である給気バイパス手段45を主に通って、適当な風量バランスに開度調整された吹出し風量調整装置37,38を通って、吹出し接続部27,28、吹出しダクト14、16を通って、吹出し口13、15からリビング2と寝室3に吹出される。
こうして、排気ファン19と給気ファン25を「弱ノッチ」で運転することにより非常に少ない消費電力で、少風量の室内空間1の空気が排気され、室外空気が給気される「給気排気運転」が行われることになる。
次に「給気運転」時の運転動作について説明する。「給気運転」は、室内の温度より室外の温湿度が快適な場合や室内の清浄度より室外の清浄度が高い場合などに、室内空間1に給気運転だけをする運転パターンであり、この運転時は、排気ファン19を停止し、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)に設定し、給気ファン25を低消費電力の「弱ノッチ」運転する。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46は全て「開放」状態とし、除湿切替手段47は「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35,36、予熱ヒーター40は「停止」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「開放」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53を停止して冷媒を流さないので、流路切替弁55、膨張機構54、第2の開閉弁61、冷媒加熱手段60、開閉弁58、開閉弁59は全て「停止」状態とする。
この状態において、例えば春や秋の中間期に、給気ファン25が「弱ノッチ」で運転することにより、室外の新鮮な空気が給気口11から入り、給気ダクト12、本体8の給気接続部26、給気開閉装置32、屋外フィルター33、給気風路29を通って、「開放」状態である給気バイパス手段45を主に通って、適当な風量バランスに開度調整された吹出し風量調整装置37,38を通って、吹出し接続部27,28、吹出しダクト14、16を通って、吹出し口13、15からリビング2と寝室3に吹出される。
こうして、給気ファン25を「弱ノッチ」で運転することにより非常に少ない消費電力で、少風量の室外空気が給気される「給気運転」が行われることになる。
次に「排気運転」時の運転動作について説明する。「排気運転」は、室内空間1の環境をあまり変えない場合などに、浴室4の湿気を排気したり、トイレ6の臭気を排気するために、排気運転だけをする運転パターンであり、この運転時は、給気ファン25を停止し、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)に設定し、排気ファン19を低消費電力の「弱ノッチ」運転する。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46は全て「開放」状態とし、除湿切替手段47は「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35,36、予熱ヒーター40は「停止」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「開放」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53を停止して冷媒を流さないので、流路切替弁55、膨張機構54、第2の開閉弁61、冷媒加熱手段60、開閉弁58、開閉弁59は全て「停止」状態とする。
この状態において、例えば春や秋の中間期に、排気ファン19が「弱ノッチ」で運転することにより、浴室4の湿気が、天井に設置されたグリル21の吸込み口22から排気風路23を通って、また、トイレ6の臭気が、天井に設置された吸込み口17からサニタリー専用風路24を通って、吸込み風量調整装置39,42の開度調整による各々適当な風量バランスで、「開放」状態である排気バイパス手段46を主に通って、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。
こうして、排気ファン19を「弱ノッチ」で運転することにより非常に少ない消費電力で、少風量のサニタリー空間7の空気が排気される「排気運転」が行われることになる。
次に「除湿運転」時の運転動作について説明する。「除湿運転」は、梅雨時期の高湿時や家事などによる生活発湿に対する快適性向上や壁面などのかび抑制のため、室内空間1を再熱除湿する場合に選択される運転パターンである。この「除湿運転」を実行する場合は、排気ファン19を停止し、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)に設定し、除湿切替手段47を排気風路23と給気風路29とを連通する「開放」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「閉鎖」状態として、給気ファン25を「強ノッチ」とする。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46は全て「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35,36、予熱ヒーター40は「停止」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53を室内空間1の吸い込み空気の温湿度により調整した周波数で運転し、流路切替弁55を「暖房」状態に保持し、膨張機構54は冷凍サイクルが最適となるように都度「開度調整」する。第2の開閉弁61は「開放」状態としてキャピラリーチューブ62に冷媒は通らない。冷媒加熱手段60は「停止」状態とし、開閉弁58、開閉弁59は全て「閉鎖」状態とする。
この状態において、排気開閉装置43と給気開閉装置32が全て「閉鎖」状態でかつ、除湿切替手段47が「開放」状態となっていることにより、給気ファン25が「強ノッチ」で運転すると排気風路23が負圧となり、室内空間1の湿気を多く含んだ大風量の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、浴室4の湿気を含んだ空気と一緒に浴室4の天井に設置されたグリル21の吸込み口22から、開けられた吸込み風量調整装置39を通って排気風路23に流入する。この場合、サニタリー専用風路24の吸込み風量調整装置42は閉じられており、トイレ6の臭気は排気風路23に流入しない。
その後、流路切替弁55により「蒸発器」となったフィン&チューブ型の第二熱交換器41で冷媒に吸熱除湿され、給気風路29に流入し、「凝縮器」となった第一熱交換器34で加熱され、除湿された空気が温まり、吹出し接続部27、28と吹出し風量調整のため開度調整された吹出し風量調整装置37、38、吹出しダクト14、16を通って、吹出し口13、15からリビング2、寝室3に吹出される。
冷媒は、適当な周波数で運転する圧縮機53により、適度に高い圧力と温度の気体となって吐出され、流路切替弁55を通って第一熱交換器34に入り、第2の開閉弁61が「開放」状態のため、第一熱交換器34部分では、第二熱交換器41で低温低湿となった室内空間1からの大風量の空気に放熱して温度を下げて低温の液体となって、さらに、膨張機構54で減圧されて低圧低温の2相状態になり、第二熱交換器41部分では、室内空間1の大風量の空気から吸熱して低圧低温の気体となって、再び圧縮機53に戻る。
「蒸発器」である第二熱交換器41のフィンには、室内空間1とサニタリー空間7の湿気が凝縮して結露水となって大型ドレン装置48に流れ落ち、溜まった結露水をドレンポンプ49の運転によりドレン配管50から室外や排水マス等へ排水する。
一方、本体8の周囲の断熱材51の断熱効果により、結露と性能ダウンを防止している。
こうして、圧縮機53を適正な周波数で運転することにより、冷媒が第一熱交換器34、第二熱交換器41に循環し、排気開閉装置43と給気開閉装置32が全て「閉鎖」状態でかつ、除湿切替手段47が「開放」状態としながら、給気ファン25を「強ノッチ」で運転することにより大風量の空気が、室内空間1及びサニタリー空間7の除湿時の熱を回収して再熱する「除湿運転」が行われることになる。
次に「暖房運転」時の運転動作について説明する。「暖房運転」は、冬季等にリビング2や寝室3を暖房して、快適性を向上させるもしくは、空調機30、31の暖房負荷を軽減する場合に選択される運転パターンである。この運転時は、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を室外からの給気が第二熱交換器41を通り、リビング2や寝室3の排気が第一熱交換器34を通るようにした「暖房・冷房位置」に設定し、排気ファン19を「強ノッチ」、給気ファン25も「強ノッチ」運転とする。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46、除湿切替手段47は全て「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35,36、予熱ヒーター40は「停止」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「開放」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53をリビング2と寝室3や室外空気の温度により周波数を調整しながらで運転し、流路切替弁55を「暖房」状態に保持し、膨張機構54は冷凍サイクルが最適となるように都度「開度調整」する。第2の開閉弁61は「開放」状態としてキャピラリーチューブ62に冷媒は通らない。冷媒加熱手段60は「停止」状態とし、開閉弁58、開閉弁59は全て「閉鎖」状態とする。
この状態において、給気ファン25が「強ノッチ」で運転し、吸込み風量調整装置39を開けることにより、リビング2や寝室3の大風量の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、浴室4の湿気と一緒に、天井に設置されたグリル21の吸込み口22から排気風路23を通って、「暖房・冷房位置」に設定された風路切替調整手段44により、流路切替弁55により「凝縮器」となったフィン&チューブ型の第一熱交換器34で、圧縮機53により圧縮搬送された冷媒に放熱された空気が、適当な風量バランスに開度調整された吹出し風量調整装置37,38を通って、吹出し接続部27,28、吹出しダクト14、16を通って、吹出し口13、15からリビング2と寝室3に吹出される。
そして、排気ファン19が「強ノッチ」で運転することにより、室外の大風量の空気が給気口11から入り、給気ダクト12、本体8の給気接続部26、給気開閉装置32、屋外フィルター33、給気風路29を通って、「暖房・冷房位置」に設定された風路切替調整手段44により、流路切替弁55により「暖房」状態に保持されて「蒸発器」となった第二熱交換器41において冷媒に吸熱され、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。
また、トイレ6の臭気は吸込み風量調整装置42の開度調整により、トイレ6の天井に設置された吸込み口17から吸込まれ、吸込みダクト18からサニタリー専用風路24を通って、排気風路23と合流することなく、第二熱交換器41において冷媒に吸熱され、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。
冷媒は適当な周波数で運転する圧縮機53により、高い圧力、温度の気体となって吐出され、流路切替弁55を通って第一熱交換器34に入り、第2の開閉弁61は「開放」状態のため第一熱交換器34全体で、リビング2や寝室3からの大風量の空気に放熱して温度を下げて低温の液体となって、膨張機構54で減圧されて低圧低温の2相状態になり、第二熱交換器41で室外の大風量の空気から吸熱して低圧低温の気体となって、再び圧縮機53に戻る。
「蒸発器」である第二熱交換器41のフィンには室外の湿気が凝縮して結露水となって大型ドレン装置48に流れ落ち、溜まった結露水をドレンポンプ49の運転によりドレン配管50から室外や排水マス等へ排水するまたは、「凝縮器」である第一熱交換器34に吹きかけ、リビング2や寝室3の空気を熱交換する時に気化させて、暖房しながら加湿する。
一方、本体8の周囲の断熱材51の断熱効果により、結露と性能ダウンを防止している。
こうして、圧縮機53を適当な周波数で運転することにより、冷媒が第一熱交換器34、第二熱交換器41に循環し、風路切替調整手段44を「暖房・冷房位置」に保持し、排気ファン19と給気ファン25を「強ノッチ」で運転することにより大風量の空気が暖められ、リビング2や寝室3を暖房する「暖房運転」が行われることになる。
さらに、ユーザーの好みに応じて補助ヒーター35、36の運転/停止の切り換えを可能にしている。例えば、ユーザーがドラフト感を感じて給気ファン25の風量を減らすように設定した場合、ドラフト感は減少するが第一熱交換器34に供給される風量の減少に従い冷媒の放熱量も減少し、リビング2や寝室3の温度が低下して快適感が損なわれてしまう。
このような場合に補助ヒーター35、36を運転すると、第一熱交換器34を通過した空気が更に補助ヒーター35、36で加熱されて高温となりリビング2や寝室3に供給されるので温度低下が抑制される。
また、冬場の外気温が非常に低い条件では、排気ファン19により第二熱交換器41に供給される室外空気の温度も低くなるため、上述した「暖房運転」実行中に第二熱交換器41に霜が付着する着霜現象が生じる。この着霜状態を放置しておくと第二熱交換器41における吸熱能力の低下に伴い、第一熱交換器34の放熱量が減少してリビング2や寝室3が十分に暖房できないという問題が発生する。このような問題を抑制するため、「暖房運転」中に第二熱交換器41の冷媒配管の温度をコイル温センサー65で監視し、その温度が所定値以下に低下した段階で第二熱交換器41に付着した霜を除去する「除霜運転1」を実行する必要がある。その「除霜運転1」時の運転動作について次に説明する。
暖房運転中の除霜運転を実行する場合は、「強ノッチ」で運転していた排気ファン19および「所定ノッチ」で運転していた給気ファン25を各々停止し、「暖房」に設定されていた流路切替弁55を「冷房」に切り換える。このような設定を行うことにより、圧縮機53で圧縮された高温高圧の冷媒が冷房に切り換えられた流路切替弁55を通り、第二熱交換器41に導かれる。この高温冷媒が第二熱交換器41の冷媒配管を流れることにより配管温度が上昇し表面に付着した霜が溶解する。溶解した霜はドレン水となって大型ドレン装置48に滴下し、ドレンポンプ49、ドレン配管50を通じて室外や排水マス等に排水される。一方、第二熱交換器41で放熱して霜を溶かした冷媒は、膨張機構54、第一熱交換器34、流路切換弁55を順に流れて圧縮機53に戻り冷媒回路52を循環する。
この「除霜運転1」を継続すると第二熱交換器41に付着した霜が溶けきり配管温度が上昇していく。この配管温度をコイル温センサー65で継続的に監視し、配管温度が所定値以上に上昇した段階で「除霜運転1」から再び「暖房運転」に切り換える。そして、停止していた排気ファン19を「強ノッチ」で運転開始し、第一熱交換器34の液側配管に設けられたコイル温センサー64にて冷媒の温度を監視し、ある温度以上になれば、給気ファン25も「所定ノッチ」で運転開始する。これにより低温時の極端な加熱能力低下を抑制して十分な暖房を行うことが可能になる。
室外の温度が極端に低い場合やリビング2や寝室3の温度が低い時に除霜の必要性が発生した場合、「除霜運転1」のように、一旦暖房運転を停止して除霜運転に切り換えることにより霜を除去するような切換動作ではなく、暖房運転を継続しながら第二熱交換器41に付着した霜を除去する除霜運転が求められる。その「除霜運転2」の動作について次に説明する。
「除霜運転2」の動作は、排気ファン19、給気ファン25、圧縮機53、流路切替弁55、第2の開閉弁61などは全て暖房運転時の動作を継続し、開閉弁58および開閉弁59を「閉鎖状態」から「開放状態」に切替えるとともに、膨張機構54の電子式膨張弁を全閉状態に設定し、予熱ヒーター40および冷媒加熱手段60を各々運転させる。このような設定に切替えることにより、圧縮機53で圧縮された高温高圧の冷媒が暖房に設定されている流路切替弁55を通り、開閉弁58が開放状態に切り換えられているため、第一熱交換器34側とバイパス回路56側に分流する。第一熱交換器34側に分流した冷媒は、給気ファン25により供給されたリビング2や寝室3の空気に対して放熱し、冷媒の放熱により加熱された空気はリビング2や寝室3を循環して暖房運転が継続される。一方、第一熱交換器34で供給空気に放熱した冷媒は膨張機構54である電子式膨張弁が全閉、バイパス回路57に介在した開閉弁59が開放状態に設定されているため、全てバイパス回路57に流れて冷媒加熱手段60に流入する。冷媒加熱手段60は、前述したように冷媒加熱ヒーター72あるいは冷媒−水熱交換器79が設けられており、この冷媒加熱手段60において冷媒は加熱されて吸熱動作が行われる。一方、圧縮機53から吐出してバイパス回路56側に分流した高温高圧冷媒は第二熱交換器41に流入する。第二熱交換器41には排気ファン19が強ノッチで運転しているため、給気口11および給気ダクト12を通じて室外の空気が供給される。この供給空気は第二熱交換器41の上流側に位置する予熱ヒーター40により加熱され高温となって第二熱交換器41に供給される。したがって第二熱交換器41においては、高温の冷媒が冷媒配管を流れるとともに霜が付着している表面には予熱ヒーター40で加熱された高温の空気が供給されるので、第二熱交換器41に付着した霜が速やかに除去されることになる。そして、第二熱交換器41で霜を溶かした冷媒は冷媒加熱手段60で加熱された冷媒と合流して流路切替弁55から圧縮機53に戻り、また第二熱交換器41に供給された空気は、付着した霜に熱を与えた後、排気ダクト10から室外に排出される。このようにしてリビング2や寝室3の暖房運転を継続しつつ、第二熱交換器41の除霜が可能になる。そして第二熱交換器41の配管温度が所定値以上に上昇した段階をコイル温センサー65で監視し、ある温度以上になった時、すなわち霜の除去が完了した段階で再び通常の暖房運転に戻すことにより、ユーザーの快適感を損なわずに連続した暖房運転が可能となる。
次に「冷房運転」時の運転動作について説明する。「冷房運転」は、夏季などの高温時にユーザがリビング2や寝室3の温度を下げて快適に過ごせるよう冷房する場合または、空調機30、31の冷房負荷を軽減する場合に選択される運転パターンである。この「冷房運転」を実行する場合は、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を室外からの給気が第二熱交換器41を通り、リビング2や寝室3の排気が第一熱交換器34を通るようにした「暖房・冷房位置」に設定し、排気ファン19を「強ノッチ」、給気ファン25も「強ノッチ」運転とする。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46、除湿切替手段47は全て「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35,36、予熱ヒーター40は「停止」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「開放」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53をリビング2、寝室3や室外空気の温度により周波数を調整しながらで運転し、流路切替弁55を「冷房」状態に保持し、膨張機構54は冷凍サイクルが最適となるように都度「開度調整」する。第2の開閉弁61は「開放」状態としてキャピラリーチューブ62に冷媒は通らない。冷媒加熱手段60は「停止」状態とし、開閉弁58、開閉弁59は全て「閉鎖」状態とする。
この状態において、排気ファン19が「強ノッチ」で運転することにより、室外の大風量の空気が給気口11から入り、給気ダクト12、本体8の給気接続部26、給気開閉装置32、屋外フィルター33、給気風路29を通って、「暖房・冷房位置」に設定された風路切替調整手段44により、流路切替弁55により「冷房」状態に保持されて、「凝縮器」となったフィン&チューブ型の第二熱交換器41で、圧縮機53により圧縮搬送された冷媒の熱を吸熱し、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。そして、給気ファン25が「強ノッチ」で運転することにより、リビング2や寝室3の大風量の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、吸込み風量調整装置39を開けることにより、リビング2や寝室3の大風量の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、浴室4の湿気と一緒に、天井に設置されたグリル21の吸込み口22から排気風路23を通って、「暖房・冷房位置」に設定された風路切替調整手段44により、流路切替弁55により「蒸発器」となったフィン&チューブ型の第一熱交換器34で冷媒に吸熱され冷やされ、適当な風量バランスに開度調整された吹出し風量調整装置37,38を通って、吹出し接続部27,28、吹出しダクト14、16を通って、吹出し口13、15からリビング2と寝室3に吹出される。
また、トイレ6の臭気は吸込み風量調整装置42の開度調整により、トイレ6の天井に設置された吸込み口17から吸込まれ、吸込みダクト18からサニタリー専用風路24を通って、排気風路23と合流することなく、第二熱交換器41において冷媒から吸熱し、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。
そして、冷媒は適当な周波数で運転する圧縮機53により、高い圧力、温度の気体となって吐出され、流路切替弁55を通って第二熱交換器41に入り、室外の大風量の空気に放熱して温度を下げて低温の液体となって、膨張機構54で減圧されて低圧低温の2相状態になり、第2の開閉弁61は「開放」状態のため第一熱交換器34全体で、リビング2や寝室3からの大風量の空気から吸熱して温度を上げて低圧低温の気体となって、流路切替弁55を通って再び圧縮機53に戻る。
「蒸発器」である第一熱交換器34のフィンにはリビング2や寝室3の湿気が凝縮して結露水となって大型ドレン装置48に流れ落ち、溜まった結露水をドレンポンプ49の運転によりドレン配管50から室外や排水マス等へ排水する、または、「凝縮器」である第二熱交換器41に吹きかけ、室外の空気を熱交換する時に気化させて排気する。
一方、本体8の周囲の断熱材51の断熱効果により、結露と性能ダウンを防止している。
こうして、圧縮機53を適当な周波数で運転することにより、冷媒が第二熱交換器41、第一熱交換器34に循環し、風路切替調整手段44を「暖房・冷房位置」に保持し、排気ファン19と給気ファン25を「強ノッチ」で運転することにより大風量の空気が冷やされ、リビング2や寝室3を冷房する「冷房運転」が行われることになる。
次に「除湿ぎみ熱交換気運転」時の運転動作について説明する。「除湿ぎみ熱交換気運転」は、トイレ6の臭いや浴室4の湿気を急速に排気しながら、室外の新鮮な空気をリビング2や寝室3に給気する時に空調機30、31などで空調された空気の熱を排気時に冷媒に回収して、室外から給気される空気に冷媒によって熱を加えて給気しながら、梅雨時期の高湿時や家事などによる生活発湿に対する快適性向上や壁面などのかび抑制のため、リビング2や寝室3を再熱除湿する運転パターンである。
この運転時は、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を室外からの給気が第二熱交換器41を通り、リビング2や寝室3の排気が第一熱交換器34を通るようにした「暖房・冷房位置」と排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)の間で「開度調整」をしながら、排気ファン19を「強ノッチ」、給気ファン25も「強ノッチ」運転して、第一熱交換器34と第二熱交換器41を各々通過する室外空気風量とリビング2や寝室3の空気の風量を調整する。
また、給気バイパス手段45、排気バイパス手段46、除湿切替手段47は全て「閉鎖」状態とし、補助ヒーター35,36、予熱ヒーター40は「停止」状態とし、給気開閉装置32、排気開閉装置43は全て「開放」状態に設定する。
冷媒回路52としては、圧縮機53をリビング2、寝室3や室外空気の温湿度により周波数を調整しながらで運転し、流路切替弁55を「暖房」状態に保持し、膨張機構54は「全開」とする。第2の開閉弁61は「閉鎖」状態としてキャピラリーチューブ62に冷媒を通して減圧させ、第一熱交換器34のキャピラリーチューブ62より上流側を「凝縮器」として、下流側を「蒸発器」として使う。冷媒加熱手段60は「停止」状態とし、開閉弁58、開閉弁59は全て「閉鎖」状態とする。
この状態において、給気ファン25が「強ノッチ」で運転することにより、吸込み風量調整装置39を開けることにより、リビング2や寝室3の大風量の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、浴室4の湿気と一緒に、天井に設置されたグリル21の吸込み口22から排気風路23を通って、また、室外の大風量の空気が、給気ダクト12を通って、「開度調整」に設定された風路切替調整手段44によって各々の風量が調整されて合流し、流路切替弁55により「暖房」設定され、「蒸発器」となったフィン&チューブ型の第一熱交換器34のキャピラリーチューブ62より下流側部分で除湿され、「凝縮器」となった第一熱交換器34のキャピラリーチューブ62より上流側部分で再熱され、適当な風量バランスに開度調整された吹出し風量調整装置37,38を通って、吹出し接続部27,28、吹出しダクト14、16を通って、吹出し口13、15からリビング2と寝室3に吹出される。
そして、排気ファン19が「強ノッチ」で運転することにより、室外の大風量の空気が給気口11から入り、給気ダクト12、本体8の給気接続部26、給気開閉装置32、屋外フィルター33、給気風路29を通って、また、吸込み風量調整装置39を開けることにより、リビング2や寝室3の大風量の空気が、廊下やドアのアンダーカットを通り、浴室4の湿気と一緒に、天井に設置されたグリル21の吸込み口22から排気風路23を通って、「開度調整」に設定された風路切替調整手段44によって各々の風量が調整されて合流し、流路切替弁55により「暖房」状態に保持されて「蒸発器」となった第二熱交換器41において冷媒に吸熱され、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。
また、トイレ6の臭気は吸込み風量調整装置42の開度調整により、トイレ6の天井に設置された吸込み口17から吸込まれ、吸込みダクト18からサニタリー専用風路24を通って、排気風路23と合流することなく、第二熱交換器41において冷媒に吸熱され、排気開閉装置43、排気接続部20、排気ダクト10、排気口9を通って室外に排気される。
冷媒は適当な周波数で運転する圧縮機53により、高い圧力、温度の気体となって吐出され、流路切替弁55を通って第一熱交換器34に入り、第2の開閉弁61は「閉鎖」状態のため第一熱交換器34のキャピラリーチューブ62の上流部分で、リビング2や寝室3及び室外からの大風量の空気に放熱して温度を下げて中低温の2相状態となって、キャピラリーチューブ62で減圧されて中低圧中低温の2相状態になり、第一熱交換器34のキャピラリーチューブ62の下流部分で同じ空気から今度は少し吸熱して中低圧中低温の2相状態となり、膨張機構54は「全開」のため、少し減圧されて「蒸発器」である第二熱交換器41に入り、室外及びリビング2や寝室3からの大風量の空気からさらに吸熱して低圧低温の気体になって再び圧縮機53に戻る。
「蒸発器」である第一熱交換器34のキャピラリーチューブ62より下流部分と第二熱交換器41のフィンにはリビング2や寝室3と室外の湿気が凝縮して結露水となって大型ドレン装置48に流れ落ち、溜まった結露水をドレンポンプ49の運転によりドレン配管50から室外や排水マス等へ排水する。
一方、本体8の周囲の断熱材51の断熱効果により、結露と性能ダウンを防止している。
こうして、圧縮機53を適当な周波数で運転することにより、冷媒が第一熱交換器34のキャピラリーチューブ62より上流部分とキャピラリーチューブ62、このキャピラリーチューブ62より下流部分、第二熱交換器41に循環し、風路切替調整手段44を「開度調整」に保持し、排気ファン19と給気ファン25を「強ノッチ」で運転することにより、リビング2や寝室3、浴室4の熱を回収して再熱除湿し、浴室4の湿気の排気とトイレ6の臭気の排気と室外の給気を行う「除湿ぎみ熱交換気運転」が行われることになる。
次に「暖房ぎみ熱交換気運転」時の運転動作について説明する。「暖房ぎみ熱交換気運転」は、トイレ6の臭いや浴室4の湿気を急速に排気しながら、室外の新鮮な空気をリビング2や寝室3に給気する時に空調機30、31などで空調された空気の熱を排気時に冷媒に回収して、室外から給気される空気に冷媒によって熱を加えて給気しながら、冬季に快適性向上を図るもしくは、空調機30、31の暖房負荷を軽減するため、リビング2や寝室3を暖房する運転パターンである。
この運転時は、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を室外からの給気が第二熱交換器41を通り、リビング2や寝室3の排気が第一熱交換器34を通るようにした「暖房・冷房位置」と排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)の間で「開度調整」をしながら、排気ファン19を「強ノッチ」、給気ファン25も「強ノッチ」運転して、第一熱交換器34と第二熱交換器41を各々通過する室外空気風量とリビング2や寝室3の空気の風量を調整する以外は「暖房運転」の運転パターンと同じである。
次に「冷房ぎみ熱交換気運転」時の運転動作について説明する。「冷房ぎみ熱交換気運転」は、トイレ6の臭いや浴室4の湿気を急速に排気しながら、室外の新鮮な空気をリビング2や寝室3に給気する時に空調機30、31などで空調された空気の熱を排気時に冷媒に回収して、室外から給気される空気に冷媒によって吸熱して給気しながら、夏季に快適性向上を図るもしくは、空調機30、31の冷房負荷を軽減するため、リビング2や寝室3を冷房する運転パターンである。
この運転時は、風路切替調整手段44を排気風路23と給気風路29を室外からの給気が第二熱交換器41を通り、リビング2や寝室3の排気が第一熱交換器34を通るようにした「暖房・冷房位置」と排気風路23と給気風路29を確保した「給気排気位置」(図示の状態)の間で「開度調整」をしながら、排気ファン19を「強ノッチ」、給気ファン25も「強ノッチ」運転して、第一熱交換器34と第二熱交換器41を各々通過する室外空気風量とリビング2や寝室3の空気の風量を調整する以外は「冷房運転」の運転パターンと同じである。
以上、説明した構成および動作により、本実施形態の換気空調装置は、以下の効果を奏するものである。
第一熱交換器34と第二熱交換器41の間で冷媒により熱を移動させ、浴室4やトイレ6の空気を排気ファン19で排気しながら、室外の空気を暖めまたは冷やしてリビング2や寝室3に給気ファン25で給気することにより、リビング2や寝室3に空調しない室外の空気が流入せず、快適性が向上し、自然給気口付近の結露によるかびの発生や室外空気の粉塵などによる壁面の汚れなどを防止できる。さらに熱交換器での空気と冷媒との熱交換により、空調機30、31のランニングコストも含めたトータルの省エネ化を図れ、熱交換器の圧力損失が少ないことにより、換気風量を増やすことができる。
また、第一熱交換器34と第二熱交換器41を通過する室外空気と浴室4とトイレ6の空気の量を風路切替調整手段44や吸込み風量調整装置39、42や吹出し風量調整装置37,38により、それぞれ調整して、室内、室外の温湿度、室内の空気の汚れ具合等の環境条件により、循環空気、排気、給気の量のバランスを調整することにより、浴室4とトイレ6を換気しながらリビング2や寝室3へ給気でき、省エネで空調できる。
また、換気時に第一熱交換器34と第二熱交換器41の給気バイパス手段45と排気バイパス手段46を開放状態にし、室外空気とサニタリー空気の一部を第一熱交換器34と第二熱交換器41を通さずに室内空間1と室外に給気、排気することにより、同じ給気・排気風量でも、より低電力でリビング2や寝室3への給気とサニタリー空間7の排気をすることができる。
また、サニタリー空間7から吸い込んだ空気が第二熱交換器41で冷却された後、第一熱交換器34で再熱されて、リビング2や寝室3に吹出すように風路を切替えることにより、室外への熱の流出を減らしながら、リビング2や寝室3の温度変化を軽減しながら、除湿することができる。
また、流路切替弁55で冷媒の流れ方向を切替えることにより、リビング2や寝室31の暖房運転と冷房運転を切替えることができる。
また、室外から吸い込んだ空気が第一熱交換器34の減圧手段63の下流側で冷却された後、減圧手段63の上流側で再熱されて、リビング2や寝室3に吹出すようにすることにより、室外の新鮮な空気をリビング2や寝室3に導入しながら、リビング2や寝室3の温度を下げすぎないで除湿することができる。
また、リビング2や寝室3の空調を行う場合は、サニタリー空間7の換気する場合に対し、給気ファン25または排気ファン19の風量を増加させることにより、熱回収する能力を増やして、より省電力で、換気・空調をすることができる。
また、サニタリー空間7以外に設置された空調機30、31によって空調された空気がサニタリー空間7の吸込み口17、22から入り、その空気の熱回収をするため、本換気空調装置より効率がよい空調機30、31の吹出し空気の熱を利用することから、本体8内の熱交換器の小型化と空調運転時の省エネ化を図ることができる。
また、給気風路29と排気風路23の下部に配置された大型ドレン装置48により、風路で発生した結露水の処理が確実に行え、熱交換器の凝縮水の排水口が1箇所となって施工性を向上でき、水量が増えることにより排水口への流れもスムーズとなって、滞留水による菌の発生も防止できる。
また、ドレンポンプ49を運転することにより、凝縮水または結露水を大型ドレン装置48より高いところに排水でき、天井裏のスペースが狭く、ドレン勾配がとれない場合にも施工できる。
また、給気風路29と排気風路23の周囲を断熱材51で断熱処理することにより、換気空調装置の本体8の外郭への結露を防止しながら、熱の漏洩を防止して、より省エネ性を向上できる。
また、浴室4の天井裏などに設置した換気空調装置の本体8の内部に冷媒回路52を構成する圧縮機53、第一熱交換器34、膨張機構54、第二熱交換器41を全て収納することにより、省スペース化や施工性の向上を図ることができる。
また、補助ヒーター35、36で給気ファン25が送風する空気の少なくとも一部を加熱することにより、低温環境における暖房能力不足を補填することができる。
また、予熱ヒーター40で第二熱交換器41に供給される前の空気を予熱することにより、低温環境における暖房能力の低下や第二熱交換器41への着霜の抑制することができ、また、付着した霜の除去を行うことができる。
また、低温時に第一熱交換器34もしくは第二熱交換器41に霜が付着した場合にコイル温センサー64、65で監視する冷媒温度に基づいて流路切替弁55を切替えることにより、付着した霜の除去を行うことができる。
また、低温時に第二熱交換器41に霜が付着した場合に冷媒回路52の高圧側と低圧側をバイパス回路56、57を通じて開放し、高温の冷媒を第二熱交換器41に流通させるもしくは第二熱交換器41内の冷媒圧力を上昇させることにより、付着した霜の除去を行うことができる。
また、冷媒加熱手段60を第二熱交換器41と直列もしくは並列となるように冷媒回路52中に介在させ、第二熱交換器41に霜が付着するなど吸熱能力が低下した場合において、冷媒加熱手段60を作動させることにより、吸熱能力を確保して暖房能力を維持することができる。
また、冷媒加熱手段60に、電熱によって冷媒を加熱する冷媒加熱ヒーター72を用いることにより、冷媒加熱手段60の小型化を図ることができる。
また、冷媒加熱手段60に、給湯機80の給湯水との熱交換によって冷媒を加熱する冷媒−水熱交換器79を用いることにより、冷媒加熱手段60での電力使用量を削減することができる。
また、冷媒−水熱交換器79に供給する給湯水に、ヒートポンプ式給湯機で沸かされた湯を用いることにより、冷媒加熱手段60の電力使用量を更に削減することができる。
また、冷媒−水熱交換器79で冷媒との熱交換をした後の給湯水を排水する場合に、第一熱交換器34あるいは第二熱交換器41に生じた結露水を排水する排水経路を利用することにより、排水経路数を増やさずに施工を簡略化することができる。
また、夏場などの高温時に放熱能力が不足した場合に冷媒−水熱交換器79に供給される常温水に対して冷媒が放熱するように構成することにより、放熱不足を解消して冷房能力を維持することができる。
また、トイレ6用の専用風路を設け、洗面所5などの排気風路と合流しないように構成することにより、トイレ6使用時に臭いが洗面所5などに移行しないようにすることができる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1では、給気と空調する室内空間1をリビング2と寝室3とし、排気口を開口したサニタリー空間7を浴室4とトイレ6としたが、給気や空調する空間および排気口を開口する空間は、室内空間1内において区画された空間であれば良く、上記に限定されるものではない。即ち、給気と空調する空間を廊下とし、排気口を開口する空間を洗面所5に設定しても良い。
また、上記実施の形態では、吹出し口13、15をそれぞれリビング2と寝室3に、吸込み口17、22をそれぞれトイレ6と浴室4の各2箇所に開口する構成を示したが、吹出し口と吸込み口の数はこれに限定されるものではない。例えば吹出し口をリビング2と寝室3と廊下の3箇所に開口する構成としても良い。
また、上記実施の形態1では、排気のための浴室4の吸込み口22を本体8のグリル21に設けたカセットタイプとしているが、本体8の吸込み口にダクトを接続して、そのダクトの先に排気したい空間の天井の別の吸込み口と接続し、本体8は天井裏に隠蔽設置する隠蔽タイプでも良い。
また、上記実施の形態1では、冷媒回路52にバイパス回路56およびバイパス回路57の2系統のバイパス回路を設ける構成を示したが、バイパス回路は1系統のみとしても良い。
また、上記実施の形態1では、冷媒加熱手段60を第二熱交換器41と並列状態に設ける構成を示したが、冷媒回路52内において第二熱交換器41と直列状態に介在させる構成としても良い。
また、上記実施の形態1では、開閉弁58および開閉弁59を開放と閉鎖の2段階で切替える構成を示したが、開閉弁はバイパス回路の開閉を実現できるものであれば良く電子式膨張弁などを使用しても良い。
また、上記実施の形態1では、減圧手段63として第2の開閉弁61とキャピラリチューブ62を並列に設ける構成を示したが、減圧手段は、減圧作用を切替え可能なものであれば良く、電子式膨張弁を介在される構成としても良い。
また、上記実施の形態1では、冷媒加熱手段60の具体構成として冷媒加熱ヒーター72と冷媒−水熱交換器79の2種類の構成を示したが、冷媒加熱手段60は冷媒を加熱できるものであれば良いのであって、上記2種類に限定されるものではない。
また、上記実施の形態1では、冷媒−水熱交換器79の水側の配管に燃焼式給湯機もしくはヒートポンプ給湯機からの給湯水を供給する構成を示したが、冷媒−水熱交換器79の水側配管には高温の温水(例えば、40℃〜90℃)、あるいは常温の給水(例えば、1℃〜40℃)を供給するものであれば良く、燃焼式給湯機もしくはヒートポンプ給湯機の給湯水に限定されるものではない。例えば、ガス給湯機、電気温水器、石油給湯機の給湯、給水および床暖房などにて使用する暖房用循環水もしくは常温の市水を供給する構成や浴槽の残り湯を循環させるような構成としても良い。
また、上記実施の形態では、給気ファン25や排気ファン19、圧縮機53のモーターについては、AC/DCなど特に言及していないが、DCモーターにすれば特に省エネ性が向上するのは言うまでもない。
また、上記実施の形態1では、圧縮機53は2ローター横置き仕様としたが、低振動であれば、スクロールなどでも良く、低背であれば、縦置でも良い。
また、上記実施の形態1では、本体8を浴室4の天井裏に吊り下げて設置する構成を示したが、設置場所・方法は、本体を設置できるスペースとメンテ性、遮音性、振動絶縁性が確保できれば良く、例えば、床置の本体8を室内や室外の機械室に設置したり、壁面内に埋め込んで設置する構成としても良い。
また、上記実施の形態1では、サニタリー専用風路24を1回路として、トイレ1部屋と接続したが、サニタリー専用風路24を複数設けて、リビング2や寝室3などに吹き出させたくない複数の居室と接続しても良く、例えば、油の臭いが気になるキッチンと壁紙の臭いが気になる新しい子供部屋の2部屋と接続しても良い。