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JP5256689B2 - 加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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JP5256689B2 JP2007277039A JP2007277039A JP5256689B2 JP 5256689 B2 JP5256689 B2 JP 5256689B2 JP 2007277039 A JP2007277039 A JP 2007277039A JP 2007277039 A JP2007277039 A JP 2007277039A JP 5256689 B2 JP5256689 B2 JP 5256689B2
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Description

本発明は、自動車、電気などの産業分野で使用される加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
近年、地球環境の保全の見地から、自動車の燃費向上が重要な課題になっている。このため、車体材料である鋼板を高強度化して薄肉化し、車体そのものを軽量化しようという動きが活発になってきている。しかしながら、一般的には、鋼板の高強度化は鋼板の延性の低下、すなわち加工性の低下を招くことから、高強度と高加工性を併せ持ち、さらに耐食性にも優れる溶融亜鉛めっき鋼板が望まれている。
このような要望に対して、これまで、フェライトとマルテンサイトからなるDP(Dual Phase)鋼や残留オーステナイトの変態誘起塑性を利用したTRIP(Transformation Induced Plasticity)鋼などの複合組織型の高強度溶融亜鉛めっき鋼板が開発されている。例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.3〜1.5%、Mn:1.5〜2.8%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.0060%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに(Mn%)/(C%)≧15かつ(Si%)/(C%)≧4を満たし、フェライト中に体積率で3〜20%のマルテンサイトと残留オーステナイトを含む加工性の良い高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が提案されている。しかし、こうした複合組織型の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、一軸引張りで求まる伸びElは高いが、穴拡げ加工などで必要な伸びフランジ性に劣るという問題がある。
そこで、伸びフランジ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板として、特許文献2には、質量%で、C:0.02〜0.30%、Si:1.50%以下、Mn:0.60〜3.0%、P:0.20%以下、S:0.05%以下、Al:0.01〜0.10%、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を、Ac3変態点以上で熱間圧延後、酸洗、冷間圧延し、連続焼鈍溶融亜鉛めっきラインにおいて、再結晶温度以上かつAc1変態点以上に加熱保持し、その後、溶融亜鉛浴に至るまでの間において、Ms点以下に急冷して、鋼板中に部分的あるいは全部分マルテンサイトを生成させ、次いで、Ms点以上の温度であって少なくとも溶融亜鉛浴温度および合金化炉温度に加熱して、部分的あるいは全部焼戻しマルテンサイトを生成させる伸びフランジ性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されている。
特開平11-279691号公報 特開平6-93340号公報
しかしながら、特許文献2に記載された高強度溶融亜鉛めっき鋼板では、優れた伸びフランジ性が得られるが、一軸引張りで求まる引張強度TSとElの積、すなわちTS-Elバランスが低いのみならず、降伏強度YSとTSの比である降伏比YR(=YS/TS)が高く加工性に問題がある。
本発明は、TS-Elバランスが高く、伸びフランジ性に優れ、かつYRの低い加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、TS-Elバランスが高く、具体的にはTS×El≧19000MPa・%、伸びフランジ性に優れ、具体的には後述する穴拡げ率λ≧70%、かつYRの低い、具体的にはYR<75%である加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板について鋭意検討を重ねたところ、以下のことを見出した。
i) 成分組成を適正化した上で、面積率で、フェライトを20〜87%、マルテンサイトと残留オーステナイトを合計で3〜10%、焼戻しマルテンサイトを10〜60%含むミクロ組織とすることにより、優れた伸びフランジ性のみならず、高いTS-Elバランスと低いYRを達成できる。
ii) こうしたミクロ組織は、焼鈍時に750〜950℃の加熱温度から(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の温度域に強制冷却し、その後再加熱し、溶融亜鉛めっきを施すことによって得られる。ここで、Ms点とは、オーステナイトのマルテンサイト変態が開始する温度のことであり、冷却時の鋼の線膨張係数の変化から求めることができる。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.5〜3.5%、P:0.003〜0.100%、S:0.02%以下、Al:0.010〜1.5%、N:0.007%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、かつ、面積率で、フェライトを20〜87%、マルテンサイトと残留オーステナイトを合計で3〜10%、焼戻しマルテンサイトを10〜60%含むミクロ組織を有する加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板には、さらに、質量%で、Cr:0.005〜2.00%、Mo:0.005〜2.00%、V:0.005〜2.00%、Ni:0.005〜2.00%、Cu:0.005〜2.00%から選ばれる少なくとも1種の元素が含有されることが好ましい。さらにまた、質量%で、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%から選ばれる少なくとも1種の元素やB:0.0002〜0.005%やCa:0.001〜0.005%、REM:0.001〜0.005%から選ばれる少なくとも1種の元素が含有されることがより好ましい。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板では、亜鉛めっきを合金化亜鉛めっきとすることもできる。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、例えば、上記の成分組成を有するスラブを、熱間圧延、冷間圧延を施して冷延鋼板とし、前記冷延鋼板に、750〜950℃の温度域に加熱して10s以上保持した後、750℃から10℃/s以上の平均冷却速度で(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の温度域に冷却し、350〜600℃の温度域に再加熱して1〜600s保持する条件で焼鈍を施した後、溶融亜鉛めっきを施す加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によって製造できる。
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法では、溶融亜鉛めっきした後に、亜鉛めっきを合金化処理することもできる。
本発明により、TS-Elバランスが高く、伸びフランジ性に優れ、かつYRの低い加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造できるようになった。本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板を自動車車体に適用することにより、自動車の軽量化や耐食性向上のみならず、衝突安全性向上を図ることができる。
以下に、本発明の詳細を説明する。なお、成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
1)成分組成
C:0.05〜0.3%
Cは、オーステナイトを安定化させる元素であり、フェライト以外のマルテンサイトなどの第二相を生成させてTSを上昇させるとともに、TS-Elバランスを向上させるために必要な元素である。C量が0.05%未満では、フェライト以外の第二相の確保が難しくなり、TS-Elバランスが低下する。一方、C量が0.3%を超えると、溶接性が劣化する。したがって、C量は0.05〜0.3%、好ましくは0.08〜0.15%とする。
Si:0.01〜2.5%
Siは、鋼を固溶強化して、TS-Elバランスを向上させるのに有効な元素である。こうした効果を得るには、Si量を0.01%以上にする必要がある。一方、Si量が2.5%を超えると、Elの低下や表面性状、溶接性の劣化を招く。したがって、Si量は0.01〜2.5%、好ましくは0.7〜2.0%とする。
Mn:0.5〜3.5%
Mnは、鋼の強化に有効であり、マルテンサイトなどの第二相の生成を促進する元素である。こうした効果を得るには、Mn量を0.5%以上にする必要がある。一方、Mn量が3.5%を超えると、第二相の過剰な増加や固溶強化によるフェライトの延性劣化が著しくなり、加工性が低下する。したがって、Mn量は0.5〜3.5%、好ましくは1.5〜3.0%とする。
P:0.003〜0.100%
Pは、鋼の強化に有効な元素である。こうした効果を得るには、P量を0.003%以上にする必要がある。一方、P量が0.100%を超えると、粒界偏析により鋼を脆化させ、耐衝撃性を劣化させる。したがって、P量は0.003〜0.100%とする。
S:0.02%以下
Sは、MnSなどの介在物として存在して、耐衝撃性や溶接性を劣化させるため、その量は極力低減することが好ましい。しかし、製造コストの面からS量は0.02%以下とする。
Al:0.010〜1.5%
Alは、フェライトを生成させ、TS-Elバランスを向上させるのに有効な元素である。こうした効果を得るには、Al量を0.010%以上にする必要がある。一方、Al量が1.5%を超えると、連続鋳造時のスラブ割れの危険性が高まる。したがって、Al量は0.010〜1.5%とする。
N:0.007%以下
Nは、鋼の耐時効性を劣化させる元素である。特に、N量が0.007%を超えると、耐時効性の劣化が顕著となる。したがって、N量は0.007%以下とするが、少ないほど好ましい。
残部はFeおよび不可避的不純物であるが、以下の理由で、Cr:0.005〜2.00%、Mo:0.005〜2.00%、V:0.005〜2.00%、Ni:0.005〜2.00%、Cu:0.005〜2.00%、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%、B:0.0002〜0.005%、Ca:0.001〜0.005%、REM:0.001〜0.005%が含有されることが好ましい。
Cr、Mo、V、Ni、Cu:それぞれ0.005〜2.00%
Cr、Mo、V、Ni、Cuは、焼鈍時における加熱温度からの冷却時にパーライトの生成を抑制し、マルテンサイトなどの生成を促進して鋼を強化させるのに有効な元素である。こうした効果を得るには、Cr、Mo、V、Ni、Cuから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量を0.005%にする必要がある。一方、Cr、Mo、V、Ni、Cuのそれぞれの元素の含有量が2.00%を超えると、その効果が飽和し、コストアップを招く。したがって、Cr、Mo、V、Ni、Cuの含有量はそれぞれ0.005〜2.00%とする。
Ti、Nb:それぞれ0.01〜0.20%
Ti、Nbは、炭窒化物を形成し、鋼を析出強化により高強度化するのに有効な元素である。こうした効果を得るには、Ti、Nbから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量を0.01%以上にする必要がある。一方、Ti、Nbのそれぞれの元素の含有量が0.20%を超えると、過度に高強度化し、延性が低下する。したがって、Ti、Nbの含有量はそれぞれ0.01〜0.20%とする。
B:0.0002〜0.005%
Bは、オーステナイト粒界からのフェライトの生成を抑制し、マルテンサイト相などの第二相を生成させて高強度化を図る上で有効な元素である。こうした効果を得るには、B量を0.0002%以上にする必要がある。一方、B量が0.005%を超えると、その効果が飽和し、コストアップを招く。したがって、B量は0.0002〜0.005%とする。
Ca、REM:それぞれ0.001〜0.005%
Ca、REMは、いずれも硫化物の形態制御により加工性を改善させるのに有効な元素である。このような効果を得るには、Ca、REMから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量を0.001%以上にする必要がある。一方、Ca、REMのそれぞれの元素の含有量が0.005%を超えると、鋼の清浄度に悪影響を及ぼす虞がある。したがって、Ca、REMの含有量はそれぞれ0.001〜0.005%とする。
2)ミクロ組織
フェライトの面積率:20〜87%
フェライトは、TS-Elバランスを向上させる。TS×El≧19000MPa・%とするには、フェライトの面積率を20%以上、好ましくは50%以上にする必要がある。なお、以下のマルテンサイトと残留オーステナイトの面積率が合計で3%以上および焼戻しマルテンサイトの面積率が10%以上より、フェライトの面積率の上限は87%である。
マルテンサイトと残留オーステナイトの面積率:合計で3〜10%
マルテンサイトや残留オーステナイトは、鋼の強化に寄与するだけでなく、TS-Elバランスを向上させたり、YRを低下させる。このような効果を得るには、マルテンサイトと残留オーステナイトの面積率を合計で3%以上にする必要がある。しかしながら、マルテンサイトと残留オーステナイトの面積率が合計で10%を超えると、伸びフランジ性が低下する。したがって、マルテンサイトと残留オーステナイトの面積率は合計で3〜10%とする。
焼戻しマルテンサイトの面積率:10〜60%
焼戻しマルテンサイトは、焼戻し前のマルテンサイトに比べて伸びフランジ性への悪影響が少ないため、優れた伸びフランジ性を維持しながら高強度化を図る上で有効な第二相である。このような効果を得るには、焼戻しマルテンサイトの面積率を10%以上にする必要がある。しかしながら、焼戻しマルテンサイトの面積率が60%を超えると、TS×El≧19000MPa・%が得られない。したがって、焼戻しマルテンサイトの面積率は10〜60%とする。
なお、マルテンサイト、残留オーステナイト、焼戻しマルテンサイト以外の第二相として、パーライトやベイナイトも含むことができるが、上記のフェライト、マルテンサイト、残留オーステナイト、焼戻しマルテンサイトの面積率が満足されていれば、本発明の目的を達成できる。また、伸びフランジ性の観点から、パーライトの面積率は3%以下であることが望ましい。
ここで、フェライト、マルテンサイト、残留オーステナイト、焼戻しマルテンサイトの面積率とは、観察面積に占める各相の面積の割合のことで、鋼板の板厚断面を研磨後、3%ナイタールで腐食し、板厚1/4の位置をSEM(走査電子顕微鏡)で1000〜3000倍の倍率で観察し、市販の画像処理ソフトを用いて求めた。
3)製造条件
本発明の高強度溶融亜鉛めっき鋼板は、例えば、上記の成分組成を有するスラブを、熱間圧延、冷間圧延を施して冷延鋼板とし、前記冷延鋼板に、750〜950℃の温度域に加熱して10s以上保持した後、750℃から10℃/s以上の平均冷却速度で(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の温度域に冷却し、350〜600℃の温度域に再加熱して1〜600s保持する条件で焼鈍を施した後、溶融亜鉛めっきを施すことによって製造できる。
焼鈍時の加熱条件:750〜950℃の温度域に10s以上保持
焼鈍時の加熱温度が750℃未満、あるいは保持時間が10s未満では、オーステナイトの生成が不十分となり、その後の冷却で十分な量のマルテンサイトなどの第二相を確保できなくなる。また、加熱温度が950℃を上回るとオーステナイトが粗大化し、冷却時のフェライトの生成が抑制され面積率で20%以上のフェライトが得られなくなる。したがって、焼鈍時の加熱は、750〜950℃の温度域に10s以上保持とする。保持時間の上限は、特に規定しないが、600s以上の保持を行っても、その効果が飽和し、コストアップを招くので、保持時間は600s未満とすることが好ましい。
焼鈍時の冷却条件:750℃から10℃/s以上の平均冷却速度で(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の温度域に冷却
加熱後は、750℃から10℃/s以上の平均冷却速度で冷却する必要があるが、これは、平均冷却速度が10℃/s未満だと、パーライトが多量に生成し、必要な量の焼戻しマルテンサイト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトが得られないためである。冷却速度の上限は、特に規定しないが、鋼板形状が悪化したり、(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の冷却停止温度域に冷却を制御することが困難になるため、200℃/s以下とすることが好ましい。冷却の停止温度は、その後の再加熱、溶融亜鉛めっき、めっき相の合金化処理時に生成されるマルテンサイト、残留オーステナイト、焼戻しマルテンサイトの量を制御する本発明で最も重要な条件の一つである。すなわち、冷却停止時にマルテンサイトと未変態オーステナイトの量が決まり、その後の熱処理で、マルテンサイトが焼戻しマルテンサイトになり、未変態オーステナイトがマルテンサイトまたは残留オーステナイトとなって、鋼の強度、TS-Elバランス、伸びフランジ性、YRを左右する。冷却の停止温度が(Ms点-100℃)を超えると、マルテンサイト変態が不十分となり、未変態オーステナイトの量が多くなり、最終的にマルテンサイトと残留オーステナイトの面積率が合計で10%を超え、伸びフランジ性が低下する。一方、冷却の停止温度が(Ms点-200℃)未満では、オーステナイトのほとんどがマルテンサイト変態し、未変態オーステナイトの量が少なくなり、最終的にマルテンサイトと残留オーステナイトの面積率が合計で3%未満となり、TS-Elバランスが劣化したり、YRが増加する。したがって、焼鈍時の冷却は、750℃から10℃/s以上の平均冷却速度で(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の温度域に冷却の条件で行う必要がある。
焼鈍時の再加熱条件:350〜600℃の温度域に1〜600s保持
10℃/s以上の平均冷却速度で(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の温度域に冷却後は、350〜600℃の温度域で1s以上保持の再加熱を行うことにより、冷却時の生成したマルテンサイトが焼戻されて、面積率で10〜60%の焼戻しマルテンサイトが生成し、優れた伸びフランジ性を維持しながら高強度化を達成できる。再加熱温度が350℃未満あるいは保持時間が1s未満では、焼戻しマルテンサイトの面積率が10%未満となって、伸びフランジ性が劣化する。また、再加熱温度が600℃を超えるあるいは保持時間が600sを超えると、冷却時の生成した未変態オーステナイトがパーライトやベイナイトに変態し、最終的にマルテンサイトと残留オーステナイトの面積率が合計で3%未満となり、TS-Elバランスが劣化したり、YRが増加する。したがって、焼鈍時の再加熱は、350〜600℃の温度域に1〜600s保持の条件で行う必要がある。
その他の製造方法の条件は、特に限定しないが、以下の条件で行うのが好ましい。
スラブは、マクロ偏析を防止するため、連続鋳造法で製造するのが好ましいが、造塊法、薄スラブ鋳造法により製造することもできる。スラブを熱間圧延するには、スラブをいったん室温まで冷却し、その後再加熱して熱間圧延を行ってもよいし、スラブを室温まで冷却せずに加熱炉に装入して熱間圧延を行うこともできる。あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに熱間圧延する省エネルギープロセスも適用できる。スラブを加熱する場合は、炭化物を溶解させたり、圧延荷重の増大を防止するため、1100℃以上に加熱することが好ましい。また、スケールロスの増大を防止するため、スラブの加熱温度は1300℃以下とすることが好ましい。
スラブを熱間圧延する時は、圧延温度の確保の観点から、粗圧延後の粗バーを加熱することもできる。また、粗バー同士を接合し、仕上圧延を連続的に行う、いわゆる連続圧延プロセスを適用できる。仕上圧延は、冷間圧延・焼鈍後の加工性を低下させたり、異方性を増大させる原因となるバンド組織の形成を防ぐために、Ar3変態点以上の仕上温度で行う。また、圧延荷重の低減や形状・材質の均一化のために、仕上圧延の全パスあるいは一部のパスで摩擦係数が0.10〜0.25となる潤滑圧延を行うことが好ましい。
熱間圧延後の鋼板は、温度制御や脱炭防止の観点から、450〜700℃の巻取温度で巻取ることが好ましい。
巻取り後の鋼板は、スケールを酸洗などにより除去した後、好ましくは圧下率40%以上で冷間圧延され、上記の条件で焼鈍され、溶融亜鉛めっきが施される。
溶融亜鉛めっきは、亜鉛めっきを合金化しない場合はAl量を0.12〜0.22%含む、あるいは亜鉛めっきを合金化する場合はAl量を0.08〜0.18%含む440〜500℃のめっき浴中に鋼板を浸漬後、ガスワイピングなどによりめっき付着量を調整して行う。亜鉛めっきを合金化する場合は、その後、さらに450〜600℃で1〜30秒間の合金化処理を施す。
溶融亜鉛めっきを施した後の鋼板、あるいはさらに亜鉛めっきの合金化処理を施した後の鋼板には、形状矯正や表面粗度の調整などを目的に調質圧延を行うことができる。また、樹脂や油脂コーティングなどの各種塗装処理を施すこともできる。
表1に示す成分組成の鋼A〜Sを転炉により溶製し、連続鋳造法でスラブとした後、仕上温度900℃で板厚3.0mmに熱間圧延を行い、圧延後10℃/sの冷却速度で冷却し、600℃の巻取温度で巻取った。次いで、酸洗後、板厚1.2mmに冷間圧延し、連続溶融亜鉛めっきラインにより、表2、3に示す焼鈍条件で焼鈍後、460℃のめっき浴中に浸漬し、付着量35〜45g/m2のめっきを形成し、520℃で合金化処理を行い、冷却速度10℃/秒で冷却し、めっき鋼板1〜44を作製した。なお、表2、3に示すように、一部のめっき鋼板では、合金化処理を行わなかった。そして、得られためっき鋼板について、上記の方法でフェライト、マルテンサイト、残留オーステナイト、焼戻しマルテンサイトの面積率を測定した。また、圧延方向と直角方向にJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行った。さらに、150mm×150mmの試験片を採取し、JFST 1001(鉄連規格)に準拠して穴拡げ試験を3回行って平均の穴拡げ率λ(%)を求め、伸びフランジ性を評価した。
結果を表4、5に示す。本発明例であるめっき鋼板は、いずれもTS×El≧19000MPa・%でTS-Elバランスが高く、穴拡げ率λ≧70%で伸びフランジ性に優れ、YR<75%でYRが低いことがわかる。
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Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.3%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.5〜3.5%、P:0.003〜0.100%、S:0.02%以下、Al:0.010〜1.5%、N:0.007%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、かつ、面積率で、フェライトを20〜87%、マルテンサイトと残留オーステナイトを合計で3〜10%、焼戻しマルテンサイトを10〜60%含むミクロ組織を有し、かつ839MPa以上の引張強度を有する加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. さらに、質量%で、Cr:0.005〜2.00%、Mo:0.005〜2.00%、V:0.005〜2.00%、Ni:0.005〜2.00%、Cu:0.005〜2.00%から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する請求項1に記載の加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. さらに、質量%で、Ti:0.01〜0.20%、Nb:0.01〜0.20%から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する請求項1または2に記載の加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  4. さらに、質量%で、B:0.0002〜0.005%を含有する請求項1から3のいずれかに記載の加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  5. さらに、質量%で、Ca:0.001〜0.005%、REM:0.001〜0.005%から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する請求項1から4のいずれかに記載の加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  6. 亜鉛めっきが合金化亜鉛めっきである請求項1から5のいずれかに記載の加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の成分組成を有するスラブに、熱間圧延、冷間圧延を施して冷延鋼板とし、前記冷延鋼板に、750〜950℃の温度域に加熱して10s以上保持した後、750℃から10℃/s以上の平均冷却速度で(Ms点-100℃)〜(Ms点-200℃)の温度域に冷却し、350〜600℃の温度域に再加熱して1〜600s保持する条件で焼鈍を施した後、溶融亜鉛めっきを施す、面積率で、フェライトを20〜87%、マルテンサイトと残留オーステナイトを合計で3〜10%、焼戻しマルテンサイトを10〜60%含むミクロ組織を有し、かつ839MPa以上の引張強度を有する加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  8. 溶融亜鉛めっきを施した後、亜鉛めっきの合金化処理を施す請求項7に記載の加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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