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JP5255580B2 - フレーク銅粉の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フレーク銅粉の製造方法に関し、詳しくは、例えば、プリント配線板の回路形成、セラミックコンデンサの外部電極等の電気的導通確保のために用いられる銅ペーストの原料として用いられるフレーク銅粉の製造方法に関するものである。
従来、電子部品等の電極や回路を形成する方法として、導電性材料である銅粉をペーストに分散させた導電性ペーストを基板に印刷した後、該ペーストを焼成又はキュアリングし硬化させて回路を形成する方法が知られている。
近年、電子機器の高機能化により電子デバイスの小型高密度化が求められており、このため、導電性ペーストの材料である銅粉にも、導電性ペーストとしたときにペーストの充填性がよいように粒度分布がシャープであり、微細であることが望まれるようになってきている。
また、導電性ペーストに用いられる銅粉は、特に、脱媒時、すなわち焼成による導電性ペーストからのペースト分の除去の際等において銅粉が酸素に触れて酸化されると、形成される銅厚膜の抵抗が高くなるため好ましくない。このため銅粉は耐酸化性に優れていることが望ましいが、該耐酸化性は、銅粉中の結晶子を大きくして銅粉中結晶粒界を少なくすることにより高めることができると考えられる。従って、銅粉は、銅粉中の結晶子ができるだけ大きいものであることが望まれている。
また、上記導電性ペーストが印刷される基板としては、セラミック基板が例えばICのパッケージ等の発熱が大きい部分等に用いられている。しかし、このセラミック基板に導電性ペーストを印刷する場合には、セラミック基板の熱収縮率と印刷した導電性ペーストから生成される銅厚膜の熱収縮率とが一般的に異なるため、焼成時においてセラミック基板と銅厚膜とが剥離したり基板自体が変形したりするおそれがある。このため、セラミック基板の熱収縮率と印刷した導電性ペーストから生成される銅厚膜の熱収縮率とは、なるべく近い値を採るものであることが好ましい。
このような焼成時における上記銅厚膜の熱収縮の一因は、導電性ペーストの脱媒時に、導電性ペースト中の銅粉同士の間に残存する空隙が、銅粉同士の焼結により減少することにあるものと考えられる。このため、熱収縮の少ない銅粉含有導電性ペーストを得るには、銅粉同士の間に残存する空隙がなるべく少ないものであること、すなわち、銅粉同士が密に充填され易い形状であることが望まれている。また、導電性ペーストを焼成させて得られる銅厚膜の導電性を向上させるためには、銅粉の形状が、導電性ペースト中の銅粉同士の接触面積の大きくなるものであることが好ましい。さらに導電性ペーストの銅粉の形状が球状に近いほど形状異方性が低くなり、銅粉の形状が扁平なほど形状異方性が高くなるものである。このような銅粉の形状への要請から、従来、銅粉自体の形状を球状でなくフレーク状としたフレーク銅粉とすることが検討されている。
また、フレーク銅粉は、導電性ペーストを調製したときにペースト中での分散性が良いように、粒度分布がシャープであると好ましい。
上記のように、導電性ペーストに用いられる銅粉、特にフレーク銅粉においては、微粒で、粒度分布がシャープであり、結晶子が大きいことが望まれている。
これに対し、特許文献1(特開2003−119501号公報)には、粒径が10μm以下であって、体積累積粒径D50、粒度分布の標準偏差SDを用いて表されるSD/D50が0.15〜0.35であり、且つ、フレーク銅粉を構成する粉粒の厚さと前記体積累積粒径D50とで表されるアスペクト比([厚さ]/[D50])が0.3〜0.7であるフレーク銅粉が開示されているおり、該発明によれば、微粒で、扁平なフレーク状を呈するフレーク銅粉が得られる。
特開2003−119501号公報(第2頁)
しかしながら、特許文献1記載のフレーク銅粉は、微粒ではあるものの、凝集状態にある銅粉を解粒処理し、解粒処理の終了した銅粉の粉粒を高エネルギーボールミルで圧縮変形して製造するものであるため、銅粉が圧縮変形の際に酸化されたり歪みが生じたりし易く、また結晶子が小さくなるという問題があった。
従って、本発明の目的は、微粒で、粒度分布がシャープであり、結晶子が大きく、耐酸化性に優れたフレーク銅粉の製造方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、Pを含有しているフレーク銅粉、特に特定の粉体の形状を有するフレーク銅粉が目的とする導電性ペースト用に好適であることを知見した。またかかるフレーク銅粉の湿式製造法において、出発原料中の銅塩に含まれる銅(II)イオンを還元して銅粉を析出させる複数の工程のうちの少なくとも1つの工程において特定のリン酸及びその塩を添加すると、特許文献1のような圧縮変形処理を行わずに、粒径が小さく、結晶子径の大きく、耐酸化性に優れたフレーク銅粉が得られ、さらに、該フレーク銅粉は粒度分布がシャープになり易いことを見出し、本発明を完成するに至った。
本件出願に係るフレーク銅粉の製造方法: 本件出願に係るフレーク銅粉の製造方法は、銅塩及び錯化剤を含む水溶液を調製する第1工程、該水溶液に水酸化アルカリを添加して酸化第二銅を含む第1スラリーを調製する第2工程、該第1スラリーに、酸化第二銅を酸化第一銅に還元し得る第1還元剤として、還元糖を添加して、酸化第一銅を含む第2スラリーを調製する第3工程、及び該第2スラリーに、酸化第一銅を銅に還元し得る第2還元剤として、ヒドラジン、水和ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン及び塩酸ヒドラジンからなる群より選択される少なくとも1種を添加してフレーク銅粉を得る第4工程を有するフレーク銅粉の製造方法であって、前記第1工程〜第3工程の少なくとも1つの工程においてリン酸及びその塩を添加すること、及び/又は第4工程において前記第2スラリーにリン酸及びその塩を添加することを特徴とする。
本件出願に係るフレーク銅粉の製造方法において、前記第1工程〜第3工程の少なくとも1つの工程において添加する前記リン酸及びその塩、及び/又は、第4工程において前記第2スラリーに添加する前記リン酸及びその塩の全添加量は、該リン酸及びその塩中のP換算量が、前記第2スラリー中に含まれる銅1モルに対し、0.001モル〜3モルとすることが好ましい。
本件出願に係るフレーク銅粉の製造方法において、前記第1スラリーが、前記銅塩1当量に対し、前記水酸化アルカリ1.05当量〜1.50当量含むものとすることが好ましい。
本件出願に係るフレーク銅粉の製造方法において、前記錯化剤が、アミノ酸であることが好ましい。
本件出願に係るフレーク銅粉の製造方法において、前記水溶液が、前記水溶液、第1スラリー又は第2スラリー中に含まれる銅1モルに対し、前記錯化剤0.005モル〜10モルを含むことが好ましい。
発明に係るフレーク銅粉の製造方法は、以下のような特徴を備えるフレーク銅粉を効率よく製造することができる。すなわち、本発明に係るフレーク銅粉の製造方法で得られるフレーク銅粉は、圧縮変形操作を経ていないため酸化されたり歪みが生じたりし難く、微粒で、粒度分布がシャープであり、結晶子が大きいため、導電性ペーストに用いた場合に、脱媒時の耐酸化性、ペースト中での分散性及び導電性ペーストの充填性に優れ、銅厚膜から形成される電極や回路等をよりファイン化することができる。そして、本発明に係るフレーク銅粉の製造方法で得られたフレーク銅粉を用いた導電性ペーストは、脱媒時の耐酸化性及び充填性に優れ、銅厚膜から形成される電極や回路等をよりファイン化することができ、また得られる銅厚膜を耐熱収縮性に優れたものとすることができる。
(本発明に係るフレーク銅粉の製造方法)
本発明に係るフレーク銅粉の製造方法は、銅塩及び錯化剤を含む水溶液(以下、「銅塩水溶液」と称する。)を調製する第1工程、該水溶液に水酸化アルカリを添加して酸化第二銅を含む第1スラリーを調製する第2工程、該第1スラリーに、酸化第二銅を酸化第一銅に還元し得る第1還元剤として、還元糖を添加して、酸化第一銅を含む第2スラリーを調製する第3工程、及び該第2スラリーに、酸化第一銅を銅に還元し得る第2還元剤として、ヒドラジン、水和ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン及び塩酸ヒドラジンからなる群より選択される少なくとも1種を添加してフレーク銅粉を得る第4工程を有するフレーク銅粉の製造方法であって、前記第1工程〜第3工程の少なくとも1つの工程においてリン酸及びその塩を添加すること、及び/又は第4工程において前記第2スラリーにリン酸及びその塩を添加することを行うものである。
(第1工程)
第1工程では、まず、銅塩水溶液を調製する。本発明において銅塩水溶液とは、銅塩及び錯化剤を配合して得られる水溶液であって、銅塩由来の銅(II)イオンが錯化剤と結合してCu錯体を形成しているものをいう。
本発明で用いられる銅塩としては水に溶解可能な銅塩が用いられ、例えば、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅又はこれらの水和物等を用いることができる。このうち、硫酸銅5水和物及び硝酸銅は、塩としての溶解度が高くて銅濃度を高くすることができ、また粒度の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。本発明で用いられる錯化剤は、水溶液中における銅イオンの錯化剤であり、本発明において、銅塩から得られる銅(II)イオンをCu錯体にすることにより、第2工程における水酸化アルカリの添加によるCuOの形成を均一にする作用を有するものである。該錯化剤としては、例えば、アミノ酸、酒石酸等を用いることができる。また、アミノ酸としては、例えば、アミノ酢酸、アラニン、グルタミン酸等を用いることができる。このうち、アミノ酢酸は、粒径の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。錯化剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
銅塩水溶液は、水に銅塩及び錯化剤を溶解することにより調製する。なお、水への銅塩及び錯化剤の溶解方法及び溶解順序は特に限定されない。水への銅塩及び錯化剤の溶解方法としては、例えば、水を攪拌した状態にしておき、これに銅塩及び錯化剤を添加して攪拌する方法が挙げられる。銅塩水溶液の調製に用いられる水としては、純水、イオン交換水、超純水等が、フレーク銅粉が微粒で、結晶子径が大きくなり易いため好ましい。また、銅塩水溶液の調製の際、水温は、通常50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃である。水温が該範囲内にあると、次工程において粒径の均一な酸化銅が形成され易いため好ましい。
銅塩水溶液は、これに含まれる銅1モルに対し、錯化剤を、通常0.005モル〜10モル、好ましくは0.01モル〜5モル含む。銅塩に対する錯化剤の配合比率が該範囲内にあると、フレーク銅粉が微粒で、結晶子径が大きくなり、形状が扁平率の高いフレーク状になり易いため好ましい。
銅塩水溶液は、水100重量部に対し、銅塩を、通常10重量部〜50重量部、好ましくは20重量部〜40重量部含む。水に対する銅塩の配合比率が該範囲内にあると、粒径の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。
(第2工程)
第2工程では、銅塩水溶液に水酸化アルカリを添加して酸化第二銅を含む第1スラリーを調製する。本発明において第1スラリーとは、上記銅塩水溶液に水酸化アルカリを添加して得られる、液中に酸化第二銅(CuO)の微粒が析出した状態のスラリーをいう。上記銅塩水溶液への水酸化アルカリの添加方法としては、例えば、上記銅塩水溶液を攪拌した状態にしておき、これに水酸化アルカリの水溶液を添加して攪拌する方法が挙げられる。また、第1スラリーの調製の際、液温は、通常50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃である。液温が該範囲内にあると、一次粒子の凝集が少ない粒径の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。
本発明で用いられる水酸化アルカリは、本発明において上記銅塩水溶液中のCu錯体を酸化第二銅(CuO)にする作用を有するものである。該水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アンモニア水等を用いることができる。このうち、水酸化ナトリウムは、安価であり、また酸化第二銅を形成する反応を制御し易いため好ましい。また、水酸化アルカリは、水溶液の状態にしておくと、水酸化アルカリを水溶液に添加したときに、銅塩水溶液中におけるCu錯体の酸化第二銅(CuO)への反応が速やかに行われて、フレーク銅粉の粒径のバラツキが小さくなり易いため好ましい。
第1スラリーは、前記銅塩1当量に対し、前記水酸化アルカリを、通常1.05当量〜1.50当量、好ましくは1.10当量〜1.30当量を含む。水酸化アルカリの配合比率が該範囲内にあると、粒径の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。ここで、銅塩及び水酸化アルカリの当量とは、それぞれ酸としての当量及び塩基としての当量をいう。
第2工程は、銅塩水溶液に水酸化アルカリを添加して第1スラリーを調製した後、さらに通常10分〜60分、好ましくは20分〜40分攪拌することが望ましい。このように水酸化アルカリの添加後も攪拌を続けると、Cu錯体の酸化第二銅(CuO)への反応が十分に行われることにより、粒度の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。
(第3工程)
第3工程では、上記第1スラリーに、酸化第二銅を酸化第一銅に還元し得る第1還元剤を添加して酸化第一銅を含む第2スラリーを調製する。本発明において第2スラリーとは、上記第1スラリーに第1還元剤を添加して得られる、液中に酸化第一銅(CuO)が析出した状態のスラリーをいう。第1スラリーへの第1還元剤の添加方法としては、例えば、第1スラリーを攪拌した状態にしておき、これに第1還元剤の水溶液を添加して攪拌する方法が挙げられる。また、第2スラリーの調製の際、液温は、通常50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃である。液温が該範囲内にあると、一次粒子の凝集が少ない粒径の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。
本発明で用いられる第1還元剤は、本発明において第1スラリー中の酸化第二銅(CuO)を酸化第一銅(CuO)に還元する作用を有するものである。該第1還元剤としては、例えば、還元糖、ヒドラジン等を用いることができる。また、還元糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース等を用いることができる。このうち、グルコースは、反応を制御し易いため好ましい。第1還元剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、第1還元剤は、水溶液の状態にしておくと、第1還元剤を第1スラリーに添加したときに、第1スラリー中における酸化第二銅(CuO)の酸化第一銅(CuO)への還元反応が速やかに行われて、フレーク銅粉の粒径のバラツキが小さくなり易いため好ましい。
第2スラリーは、第1スラリーに含まれる銅塩1モルに対し、第1還元剤を、通常0.1モル〜3.0モル、好ましくは0.3モル〜1,5モル含む。銅塩に対する第1還元剤の配合比率が該範囲内にあると、酸化第二銅(CuO)の酸化第一銅(CuOへの還元反応が十分に行われ、合成されるフレーク銅粉が一次粒子の凝集の低いものとなり易いため好ましい。
第3工程は、第1スラリーに第1還元剤を添加して第2スラリーを調製した後、さらに通常10分〜60分、好ましくは20分〜40分攪拌することが望ましい。本発明においては、このように水酸化アルカリの添加後も攪拌を続けることにより、酸化第二銅(CuO)の酸化第一銅(CuO)への還元反応が十分に行わせると、合成されるフレーク銅粉が一次粒子の凝集の低いものとなり易いため好ましい。
(第4工程)
第4工程では、上記第2スラリーに、酸化第一銅を銅に還元し得る第2還元剤を添加してフレーク銅粉を得る。ただし、本発明では、リン酸及びその塩を前記第1工程〜第3工程の少なくとも1つの工程において添加すること、及び/又は第4工程において第2スラリーに添加することを行うため、第4工程において第2還元剤を添加する際には第2スラリー中に必ずリン酸及びその塩が存在することになる。
本発明においてリン酸及びその塩とは、水存在以下でオルトリン酸イオン、ピロリン酸イオン、メタリン酸イオン等のリン酸イオンを供給可能な物質を意味し、本発明において得られるフレーク銅粉中にPを含有せしめるものであり、フレーク銅粉の粒径を小さくし、結晶子径を大きくする作用を有すると推測されるものである。本発明で用いられるリン酸及びその塩としては、例えば、リン酸、ピロリン酸等のポリリン酸、トリメタリン酸等のメタリン酸;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のリン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のポリリン酸塩、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム等のメタリン酸塩等が挙げられる。
また、第1工程〜第3工程の少なくとも1つの工程においてリン酸及びその塩を添加する、及び/又は第4工程において第2スラリーに添加するリン酸及びその塩の全添加量は、該リン酸及びその塩中のP(リン)換算量が、前記銅塩水溶液、第1スラリー又は第2スラリー中に含まれる銅1モルに対し、通常0.001モル〜3モル、好ましくは0.01モル〜1モルである。該全添加量のP換算量が該範囲内にあると、得られるフレーク銅粉の耐酸化性が高くなり易いため好ましい。一方、該P換算量が0.001モル未満であると得られるフレーク銅粉の耐酸化性が十分でなくなり易かったり、フレーク銅粉が扁平化し難くなったりするため好ましくない。また、該P換算量が3モルを超えるとフレーク銅粉の抵抗が高くなり易いため好ましくない。
第2スラリーへの第2還元剤の添加方法としては、例えば、第2スラリーを攪拌した状態にしておき、これに第2還元剤の水溶液を添加して攪拌する方法が挙げられる。また、第4工程では、第2スラリーに第2還元剤を添加する際、液温は、通常50℃〜90℃、好ましくは60℃〜80℃である。液温が該範囲内にあると、一次粒子の凝集が少ない粒径の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。
本発明で用いられる第2還元剤は、本発明において第2スラリー中の酸化第一銅(CuO)をCuに還元する作用を有するものである。該第2還元剤としては、例えば、ヒドラジン、水和ヒドラジン(N・HO)、硫酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン及び塩酸ヒドラジンからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。
また、第2還元剤を第1スラリーに添加する際は、一挙に添加するのでなく、時間をかけて少量ずつ徐々に添加すると、得られるフレーク銅粉の粒径を上記本発明に係るフレーク銅粉の粒径の範囲内にし易いため好ましい。該添加に要する時間としては、通常1分〜60分、好ましくは3分〜40分とする。
第4工程において、第2スラリーに含まれる銅塩1モルに対し、第2還元剤を、通常0.5モル〜6.0モル、好ましくは0.8モル〜3.0モル含む。銅塩に対する第2還元剤の配合比率が該範囲内にあると、酸化第一銅(CuO)のCuへの還元反応が十分に行われることにより、粒径の均一性の高いフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。
第4工程は、第2スラリーに第2還元剤を添加した後、さらに通常20分〜2時間、好ましくは40分〜1.5時間攪拌することが望ましい。このように第2還元剤の添加後も攪拌を続けると、酸化第一銅(CuO)のCuへの還元反応が十分に行われることにより、より一次粒子の凝集の少ないフレーク銅粉が得られ易いため好ましい。
第4工程を行うと、スラリー中にフレーク銅粉が生成する。該フレーク銅粉は、例えばスラリーを、ヌッチェ等を用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにオレイン酸等を含むメタノール溶液等で洗浄し、乾燥する方法により得られる。なお、本発明において還元作用を行うだけでフレーク銅粉が得られるメカニズムは不明であるが、本発明では第4工程で用いられる第2還元剤を添加する前の第2スラリー中にリン酸及びその塩が存在していればフレーク銅粉が得られるため、酸化第一銅が銅に還元される際にリン酸及びその塩が何らかの作用を引き起こしてフレーク銅粉が形成されているものと推測される。
また、フレーク銅粉の表面に有機表面処理層を形成する場合、該層を形成する方法としては、例えば、乾式法、湿式法等公知の方法を用いて上記有機化合物をフレーク銅粉の表面に被覆させる方法が挙げられる。
(本発明に係るフレーク銅粉の製造方法で得られたフレーク銅粉)
次に、本発明に係るフレーク銅粉の製造方法で得られたフレーク銅粉について説明する。
本発明に係るフレーク銅粉の製造方法で得られたフレーク銅粉は、その粒子の微視的形状がフレーク状の粉体である。本発明においてフレーク状を呈する粉体とは銅粉の一次粒子がフレーク状を呈しているということであり、該一次粒子が凝集して生じた二次粒子の性状を指すものではない。
当該フレーク銅粉は、D50が、通常0.3μm〜7μm、好ましくは0.5μm〜5μm、さらに好ましくは0.5μm〜4μmである。D50が該範囲内にあると、フレーク銅粉を用いて作製した導電性ペーストの充填性が良好になり易いため好ましい。一方、D50が0.3μm未満であると導電性ペーストの粘度が高くなり易いため好ましくなく、7μmを超えると導電性ペーストから形成される銅厚膜の薄層化又はファインライン化が困難になり易いため好ましくない。なお、本発明において用いるD10、D50及びD90とは、それぞれ、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積10容量%、50容量%及び90容量%における体積累積粒径(μm)を示す。
当該フレーク銅粉は、結晶子径が25nm以上、好ましくは35nm以上である。結晶子径が該範囲内にあると、該フレーク銅粉を用いた導電性ペーストによる銅厚膜の生成前後で銅厚膜の寸法変化が生じることによる銅厚膜の熱収縮を起こして銅厚膜がセラミック基板から剥離したりセラミック基板が銅厚膜の寸法変化につられて変形したりし難く、また導電性ペーストからのペーストの脱媒時のフレーク銅粉の耐酸化性が高くなり易いため好ましい。一方、結晶子径が25nm未満であると、該フレーク銅粉を用いた導電性ペーストによる銅厚膜の生成前後で銅厚膜の寸法変化が生じることによる銅厚膜の熱収縮を起こして銅厚膜がセラミック基板から剥離したりセラミック基板が銅厚膜の寸法変化につられて変形したりし易く、また導電性ペーストからのペーストの脱媒時のフレーク銅粉の耐酸化性が低くなり易いため好ましくない。なお、結晶子径とは、フレーク銅粉試料に対しX線回折を行って得られる、各結晶面の回折角のピークの半価幅から求められる結晶子径の平均値をいう。
当該フレーク銅粉は、結晶子径/DIAが、通常0.01以上、好ましくは0.015以上である。結晶子径/DIAが該範囲内にあると、該フレーク銅粉を用いた導電性ペーストによる銅厚膜の生成前後で銅厚膜の寸法変化が生じることによる銅厚膜の熱収縮を起こし難く、また導電性ペーストからのペーストの脱媒時のフレーク銅粉の耐酸化性が高くなり易いため好ましい。一方、結晶子径/DIAが0.01未満であると、該フレーク銅粉を用いた導電性ペーストによる銅厚膜の生成前後で銅厚膜の寸法変化が生じることによる銅厚膜の熱収縮を起こし易く、また導電性ペーストからのペーストの脱媒時のフレーク銅粉の耐酸化性が低くなり易いため好ましくない。
本発明に係るフレーク銅粉は、DIAが、通常0.3μm〜8μmである。DIAが該範囲内にあると、フレーク銅粉を用いて作製した導電性ペーストの充填性が良好になり易いため好ましい。一方、DIAが0.3μm未満であると導電性ペーストの粘度が高くなり易いため好ましくなく、8μmを超えると導電性ペーストから形成される銅厚膜の薄層化又はファインライン化が困難になり易いため好ましくない。なお、本明細書において用いるDIAとは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径(μm)である上記D50と異なり、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い5000倍〜20000倍で直接観察して得られるSEM像から測定した個々のフレーク状銅粉(フレーク状銅粉の測定サンプル数は10個以上)の長径(μm)の平均粒径(μm)を示す。
当該フレーク銅粉は、DIAをフレーク銅粉の厚さt(μm)で除して求められるアスペクト比(DIA/t)が、通常2〜50、好ましくは2〜20、さらに好ましくは3〜10である。アスペクト比(DIA/t)が該範囲内にあると、導電性ペースト中における銅粉同士の接触面積を大きくすることができ、銅厚膜を低抵抗化し易いため好ましい。一方、アスペクト比(DIA/t)が2未満であると、導電性ペースト中における銅粉同士の接触面積が十分に大きくなく、銅厚膜を低抵抗化し難いおそれがあり、また、50を超えると導電性ペーストの粘度が急激に上昇し易いおそれがある。なお、本発明において、フレーク銅粉の厚さt(μm)とは、走査型電子顕微鏡写真の直接観察で測定される平均厚さを意味する。
当該フレーク銅粉は、フレーク銅粉中にPを含む。フレーク銅粉中のPの含有量は、通常10ppm〜200ppm、好ましくは30ppm〜100ppm、さらに好ましくは50ppm〜80ppmである。Pの含有量が該範囲内にあると、フレーク銅粉の耐酸化性が高くなり易いため好ましい。一方、Pの含有量が10ppm未満であると、フレーク銅粉の耐酸化性が十分でなかったり、フレーク銅粉が扁平化し難くなったりするため好ましくない。また、Pの含有量が200ppmを超えるとフレーク銅粉の抵抗が高くなり易いため好ましくない。本明細書においてppmとは重量基準の百万分率をいう。
当該フレーク銅粉は、SD/D50が通常0.45以下、好ましくは0.4以下である。SD/D50が該範囲内にあると、フレーク銅粉の粒度分布がシャープであることにより、フレーク銅粉を用いて作製した導電性ペーストの充填性が良好になり易いため好ましい。SD/D50が上記範囲外であると、フレーク銅粉の粒度分布がブロードであることにより、フレーク銅粉を用いて作製した導電性ペーストの充填性が低下し易いため好ましくない。なお、本明細書において、SDとは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で得られた粒度分布の標準偏差(μm)を示す。
当該フレーク銅粉は、D90/D10が通常3.0以下、好ましくは2.5以下である。一方、D90/D10が上記範囲外であると、フレーク銅粉の粒度分布がブロードであることにより、フレーク銅粉を用いて作製した導電性ペーストの充填性が低下し易いため好ましくない。
当該フレーク銅粉は、比表面積が通常0.2m/g〜4.0m/g、好ましくは0.3m/g〜2.2m/gである。該比表面積が4.0m/gを超えると、フレーク銅粉から形成した導電性ペーストの粘度が高くなりすぎるおそれがあるため好ましくない。本明細書において比表面積とは、BET比表面積をいう。
当該フレーク銅粉は、タップ密度が通常2.0g/cm以上、好ましくは3.3g/cm〜5.0g/cmである。タップ密度が該範囲内にあると、導電性ペーストの作製の際にフレーク銅粉のペースト中での分散性が良好で導電性ペーストの作製が容易であり、また導電性ペーストの塗膜形成の際にフレーク銅粉間に適度な空隙が形成されることにより塗膜を焼成する際に塗膜からの溶媒の除去が容易に行われて焼成膜密度が向上し、この結果銅厚膜の抵抗が低くなり易いため好ましい。
当該フレーク銅粉は、その表面にさらに有機表面処理層を形成したものであると、導電性ペーストの塗膜を焼成して銅厚膜を形成する際にペースト中のフレーク銅粉の表面が焼成雰囲気中の酸素により酸化されて表面に酸化銅の皮膜が形成されることを防止することができ、これにより銅厚膜の電気抵抗の経時的変化による上昇を防止することができるため好ましい。
該有機表面処理層は、有機化合物をフレーク銅粉の表面に被覆させることにより形成される。ここで用いられる有機化合物としては、例えば、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びシランカップリング剤等を用いることができる。
和脂肪酸としては、例えば、エナント酸(C13COOH)、カプリル酸(C15COOH)、ペラルゴン酸(C17COOH)、カプリン酸(C19COOH)、ウンデシル酸(C1021COOH)、ラウリン酸(C1123COOH)、トリデシル酸(C1225COOH)、ミリスチン酸(C1327COOH)、ペンタデシル酸(C1429COOH)、パルミチン酸(C1531COOH)、ヘプタデシル酸(C1633COOH)、ステアリン酸(C1735COOH)、ノナデカン酸(C1837COOH)、アラキン酸(C1939COOH)及びベヘン酸(C2143COOH)等が挙げられる。
本発明で用いられる不飽和脂肪酸としては、例えば、アクリル酸(CH=CHCOOH)、クロトン酸(CHCH=CHCOOH)、イソクロトン酸(CHCH=CHCOOH)、ウンデシレン酸(CH=CH(CHCOOH)、オレイン酸(C1733COOH)、エライジン酸(CH(CHCH=CH(CHCOOH)、セトレイン酸(CH(CHCH=CH(CHCOOH)、ブラシジン酸(C2141COOH)、エルカ酸(C2141COOH)、ソルビン酸(CCOOH)、リノール酸(C1731COOH)、リノレン酸(C1729COOH)及びアラキドン酸(C1331COOH)等が挙げられる。
素含有有機化合物としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア、1H−1,2,4−トリアゾール及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール等の置換基を有するトリアゾール化合物等が挙げられる。
黄含有有機化合物としては、例えば、硫黄含有有機化合物には、メルカプトベンゾチアゾール、チオシアヌル酸及び2−ベンズイミダゾールチオール等が挙げられる。
ランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、テトラメトキシシランカップリング剤、メチルトリメトキシシランカップリング剤、ジフェニルジメトキシシランカップリング剤等が挙げられる。
記有機化合物のうち、オレイン酸、カプリン酸又はステアリン酸を用いると、フレーク銅粉の耐酸化性及び該フレーク銅粉から作製した導電性ペーストの充填性が高くなり易いため好ましい。有機化合物は、上記飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びシランカップリング剤等のうち、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。
当該フレーク銅粉は、前記有機表面処理層の被覆率が、フレーク銅粉に対して通常0.05重量%〜2重量%、好ましくは0.1重量%〜1重量%である。本明細書において有機表面処理層の被覆率とは、有機表面処理層を形成していない未処理のフレーク銅粉の重量に対する有機表面処理層の重量の比率を意味する。上記有機表面処理層の被覆率が上記範囲内にあると、導電性ペーストの耐酸化性が向上し易いため優れ、また、フレーク銅粉の耐酸化性が向上し易いため好ましい。一方、上記有機表面処理層の被覆率が2重量%を超えると、導電性ペーストの粘度の経時安定性が低くなり易いため好ましくない。
当該フレーク銅粉は、前記有機表面処理層を形成した場合、比表面積が通常0.1m/g〜3.5m/g、好ましくは0.2m/g〜2.0m/gである。該比表面積が3.5m/gを超えると、フレーク銅粉から形成した導電性ペーストの粘度が高くなりすぎるおそれがあるため好ましくない。
当該フレーク銅粉は、前記有機表面処理層を形成した場合、タップ密度が通常3.0g/cm以上、好ましくは3.5g/cm〜5.5g/cmである。タップ密度が該範囲内にあると、導電性ペーストの作製の際にフレーク銅粉のペースト中での分散性が良好で導電性ペーストの作製が容易であり、また導電性ペーストの塗膜形成の際にフレーク銅粉間に適度な空隙が形成されることにより塗膜を焼成する際に塗膜からの溶媒の除去が容易に行われて焼成膜密度が向上し、この結果銅厚膜の抵抗が低くなり易いため好ましい。
上述の本発明に係るフレーク銅粉の製造方法で得られたフレーク銅粉を用いた導電性ペーストについて説明する。当該導電性ペーストは、上記フレーク銅粉と樹脂とを含むものである。この導電性ペーストに用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等が挙げられる。
また、当該導電性ペーストは、フレーク銅粉の含有量が、通常30重量%〜98重量%、好ましくは40重量%〜90重量%であることが望ましい。フレーク銅粉の含有量が該範囲内にあると形成される銅配線の比抵抗が低くなり易いため好ましい。
記フレーク銅粉は、それ自体で又は他の球形粉等と混合して、焼成用途の電極の原料、導電性ペーストの原料等の用途に使用することができる。また、当該フレーク銅粉は、例えば、導電性ペーストの製造に用いられる公知のペーストと混合することにより、フレーク銅粉が分散した導電性ペーストが得られる。該導電性ペーストは、例えば、プリント配線板の回路形成、セラミックコンデンサの外部電極等の電気的導通確保、EMI対策のために用いられる銅ペーストとして使用することができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されて解釈されるものではない。
70℃の純水6Lに、硫酸銅5水和物4kg、アミノ酢酸120g、リン酸ナトリウム50gを添加し攪拌し、さらに純水を注いで水溶液の液量を8Lに調整し、このまま30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、該水溶液に25重量%水酸化ナトリウム水溶液5.8kgを添加した後、30分間攪拌を続け、さらにグルコース1.5kgを添加した後、30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、100重量%水和ヒドラジン(N・HO)1kgを5分間かけて徐々に添加した後、1時間攪拌を続けて反応を終了させた。反応終了後、得られたスラリーについてヌッチェを用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。該濾滓を乾燥してフレーク銅粉を得た。
得られたフレーク銅粉について、下記測定方法により、D10、D50、D90、Dmax、SD、結晶子径、P含有率及びアスペクト比を測定した。また、SD/D50及び結晶子径/DIAも算出した。結果を表2及び表3に示す。
(粒径D10、D50、D90、Dmax、SDの測定方法):まず、銅粉試料0.2gを、SNディスパーサント5468の0.1重量%水溶液(サンノブコ株式会社製)及び和光純薬工業株式会社製非イオン性界面活性剤トリトンX−100(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)と混合し、超音波ホモジナイザ(日本精機製作所株式会社製US−300T)で5分間分散させた。次に、日機装株式会社製マイクロトラックHRA9320−X100型(Leeds+Northrup株式会社製)を用いて、レーザー回折散乱法で求められる累積体積が10%、50%、90%及び100%の時点における粒径(μm)を、それぞれD10、D50、D90、Dmaxとし、これらの測定の際に得られた粒度分布の標準偏差(μm)をSDとした。
(粒径DIAの測定方法):銅粉試料をSEMで直接観察(倍率:5000倍〜20000倍)して銅粉試料中の銅粉粒子の円板の長径(μm)を銅粉粒子200個について測定し、長径の平均値を求めた。
(結晶子径の測定方法):リガク株式会社製X線回折装置RINT200Vを用い、結晶子解析ソフトにより求めた。
(P含有率の測定方法):試料粉体を希硝酸に溶解し、該溶液について、ICP発光分析装置を用いてPの濃度を測定し、該濃度から粉末中のP含有率を算出した。
(アスペクト比の測定方法):走査型電子顕微鏡を用いて粉末の平均厚さ(t(μm))を測定し、上記DIAを該tで除した値をアスペクト比とした。
70℃の純水6Lに、硫酸銅5水和物4kg、アミノ酢酸120g、リン酸ナトリウム75gを添加し攪拌し、さらに純水を注いで水溶液の液量を8Lに調整し、このまま30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、該水溶液に25重量%水酸化ナトリウム水溶液5.8kgを添加した後、30分間攪拌を続け、さらにグルコース1.5kgを添加した後、30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、100重量%水和ヒドラジン(N・HO)1kgを30分間かけて徐々に添加した後、1時間攪拌を続けて反応を終了させた。反応終了後、得られたスラリーについてヌッチェを用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。該濾滓を乾燥してフレーク銅粉を得た。得られたフレーク銅粉について、実施例1と同様にして、D10、D50、D90、Dmax、SD、結晶子径、P含有率及びアスペクト比を測定した。また、SD/D50及び結晶子径/DIAも算出した。結果を表2及び表3に示す。
また、得られたフレーク銅粉について、下記方法に従って熱重量測定(TG)を行い、酸化開始温度を測定した。結果を表3に示す。
(TGの測定方法):銅粉を大気雰囲気中において昇温速度10℃/minで加熱して、銅粉の重量変化を測定した。
70℃の純水6Lに、硫酸銅5水和物4kg、アミノ酢酸120g、リン酸ナトリウム75gを添加し攪拌し、さらに純水を注いで水溶液の液量を8Lに調整し、このまま30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、該水溶液に25重量%水酸化ナトリウム水溶液5.8kgを添加した後、30分間攪拌を続け、さらにグルコース1.5kgを添加した後、30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、100重量%水和ヒドラジン(N・HO)1kgを30分間かけて徐々に添加した後、1時間攪拌を続けて反応を終了させた。
反応終了後、得られたスラリーについてヌッチェを用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。該濾滓を、オレイン酸1gをメタノール3Lに溶解させて得られたメタノール溶液に1時間浸漬した後、メタノールで洗浄し、乾燥してフレーク銅粉を得た。
ヌッチェ内の底部にろ紙を敷き、該ろ紙上に上記フレーク銅粉を載置し、これにメタノール1lにオレイン酸1gを分散させた溶液を添加して30分放置した後、吸引ポンプを稼動して吸引濾過した。
ガラスろ紙上に残ったフレーク銅粉を取り出し、70℃で5時間乾燥して表面にオレイン酸がコートされたフレーク銅粉を得た。
得られたフレーク銅粉について、実施例1と同様にして、D10、D50、D90、Dmax、SD、結晶子径、P含有率及びアスペクト比を測定した。また、SD/D50及び結晶子径/DIAも算出した。結果を表2及び表3に示す。
70℃の純水6Lに、硫酸銅5水和物4kg、アミノ酢酸120gを添加し攪拌し、さらに純水を注いで水溶液の液量を8Lに調整し、このまま30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、該水溶液にリン酸ナトリウム75gを添加し、さらに25重量%水酸化ナトリウム水溶液5.8kgを添加した後、30分間攪拌を続け、さらにグルコース1.5kgを添加した後、30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、100重量%水和ヒドラジン(N・HO)1kgを30分間かけて徐々に添加した後、1時間攪拌を続けて反応を終了させた。反応終了後、得られたスラリーについてヌッチェを用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。該濾滓を乾燥してフレーク銅粉を得た。
得られたフレーク銅粉について、実施例1と同様にして、D10、D50、D90、Dmax、SD、結晶子径、P含有率及びアスペクト比を測定した。また、SD/D50及び結晶子径/DIAも算出した。結果を表2及び表3に示す。
また、得られたフレーク銅粉について、実施例2と同様にして熱重量測定(TG)を行い、酸化開始温度を測定した。結果を表3に示す。
70℃の純水6Lに、硫酸銅5水和物4kg、アミノ酢酸120gを添加し攪拌し、さらに純水を注いで水溶液の液量を8Lに調整し、このまま30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、該水溶液に25重量%水酸化ナトリウム水溶液5.8kgを添加した後、30分間攪拌を続け、リン酸ナトリウム75gを添加し、さらにグルコース1.5kgを添加した後、30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、100重量%水和ヒドラジン(N・HO)1kgを30分間かけて徐々に添加した後、1時間攪拌を続けて反応を終了させた。反応終了後、得られたスラリーについてヌッチェを用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。該濾滓を乾燥してフレーク銅粉を得た。
得られたフレーク銅粉について、実施例1と同様にして、D10、D50、D90、Dmax、SD、結晶子径、P含有率及びアスペクト比を測定した。また、SD/D50及び結晶子径/DIAも算出した。結果を表2及び表3に示す。
また、得られたフレーク銅粉について、実施例2と同様にして熱重量測定(TG)を行い、酸化開始温度を測定した。結果を表3に示す。
70℃の純水6Lに、硫酸銅5水和物4kg及びアミノ酢酸120gを添加し攪拌し、さらに純水を注いで水溶液の液量を8Lに調整し、このまま30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、該水溶液に25重量%水酸化ナトリウム水溶液5.8kgを添加した後、30分間攪拌を続け、さらにグルコース1.5kgを添加した後、30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、リン酸ナトリウム75gを添加した後、100重量%水和ヒドラジン(N・HO)1kgを30分間かけて徐々に添加した後、1時間攪拌を続けて反応を終了させた。反応終了後、得られたスラリーについてヌッチェを用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。該濾滓を乾燥してフレーク銅粉を得た。
得られたフレーク銅粉について、実施例1と同様にして、D10、D50、D90、Dmax、SD、結晶子径、P含有率及びアスペクト比を測定した。また、SD/D50及び結晶子径/DIAも算出した。結果を表2及び表3に示す。
また、得られたフレーク銅粉について、実施例2と同様にして熱重量測定(TG)を行い、酸化開始温度を測定した。結果を表3に示す。
[比較例1]
70℃の純水6Lに、硫酸銅5水和物4kg、アミノ酢酸120gを添加し、さらに純水を注いで水溶液の液量を8Lに調整し、このまま30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、該水溶液に25重量%水酸化ナトリウム水溶液5.8kgを添加した後、30分間攪拌を続け、さらにグルコース1.5kgを添加した後、30分間攪拌を続けた。
次に、水溶液を攪拌した状態で、100重量%水和ヒドラジン(N・HO)1kgを30分間かけて徐々に添加した後、1時間攪拌を続けて反応を終了させた。反応終了後、得られたスラリーについてヌッチェを用いて濾過した後、濾滓を純水で洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。該濾滓を、オレイン酸1gをメタノール3Lに溶解させて得られたメタノール溶液に1時間浸漬した後、メタノールで洗浄し、乾燥して銅粉を得た。
該銅粉を、媒体分散ミルとしてWilly A. Bachofen AG Maschinenfabrik製ダイノーミルKDL、メディアとして0.7mmのジルコニアビーズ、溶媒としてメタノールを用いて、60分間処理を行って銅粉を塑性変形させた。得られた銅粉について、実施例1と同様にして、D10、D50、D90、Dmax、SD、結晶子径、P含有率及びアスペクト比を測定した。また、SD/D50及び結晶子径/DIAも算出した。結果を表2及び表3に示す。
また、得られたフレーク銅粉について、実施例2と同様にして熱重量測定(TG)を行い、酸化開始温度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005255580
Figure 0005255580
Figure 0005255580
表1〜表3より、原料としてリン酸及びその塩を配合して製造した銅粉は、微粒で、粒度分布がシャープであり、結晶子径が大きく、しかも、比較例1のような塑性変形処理を行うことなくフレーク状を呈することが判る。なお、比較例1の結晶子径が小さくなっているのは塑性変形処理を行ったことによるものである。
本発明に係るフレーク銅粉の製造方法は、例えば、プリント配線板の回路形成、セラミックコンデンサの外部電極等の電気的導通確保のために用いられる銅ペースト又はその原料を提供することができる。

Claims (5)

  1. 銅塩及び錯化剤を含む水溶液を調製する第1工程、
    該水溶液に水酸化アルカリを添加して酸化第二銅を含む第1スラリーを調製する第2工程、
    該第1スラリーに、酸化第二銅を酸化第一銅に還元し得る第1還元剤として、還元糖を添加して、酸化第一銅を含む第2スラリーを調製する第3工程、
    及び該第2スラリーに、酸化第一銅を銅に還元し得る第2還元剤として、ヒドラジン、水和ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン及び塩酸ヒドラジンからなる群より選択される少なくとも1種を添加してフレーク銅粉を得る第4工程を有するフレーク銅粉の製造方法であって、
    前記第1工程〜第3工程の少なくとも1つの工程においてリン酸及びその塩を添加すること、及び/又は第4工程において前記第2スラリーにリン酸及びその塩を添加することを特徴とするフレーク銅粉の製造方法。
  2. 前記第1工程〜第3工程の少なくとも1つの工程において添加する前記リン酸及びその塩、及び/又は、第4工程において前記第2スラリーに添加する前記リン酸及びその塩の全添加量は、該リン酸及びその塩中のP換算量が、前記第2スラリー中に含まれる銅1モルに対し、0.001モル〜3モルとする請求項1に記載のフレーク銅粉の製造方法。
  3. 前記第1スラリーが、前記銅塩1当量に対し、前記水酸化アルカリ1.05当量〜1.50当量を含むものとする請求項1又は請求項2に記載のフレーク銅粉の製造方法。
  4. 前記錯化剤が、アミノ酸であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフレーク銅粉の製造方法。
  5. 前記水溶液が、前記水溶液、第1スラリー又は第2スラリー中に含まれる銅1モルに対し、前記錯化剤0.005モル〜10モルを含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のフレーク銅粉の製造方法。
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