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JP5255496B2 - 金属張積層体及び金属張積層体の製造方法 - Google Patents

金属張積層体及び金属張積層体の製造方法 Download PDF

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JP5255496B2 JP2009076103A JP2009076103A JP5255496B2 JP 5255496 B2 JP5255496 B2 JP 5255496B2 JP 2009076103 A JP2009076103 A JP 2009076103A JP 2009076103 A JP2009076103 A JP 2009076103A JP 5255496 B2 JP5255496 B2 JP 5255496B2
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Description

本発明は、金属張積層体及び金属張積層体の製造方法に関する。
金属被覆された高分子フィルム(金属被覆高分子フィルム)である、液晶ポリマーフィルム、ポリイミドフィルムなどを用いたフレキシブル回路基板が、携帯電話、液晶テレビなどの配線板として使用されている。
例えば、フレキシブル回路基板には、耐熱性に優れたポリイミド樹脂フィルム上に金属層(下地金属層/上部金属導電層)を形成したフィルム金属張積層体が多く用いられてきた。ここで、下地金属層の金属はニッケル(Ni)等であり、上部金属導電層の金属は銅(Cu)等である。しかし、このフィルムは高吸水性であるため、多湿雰囲気下では、寸法精度が低下する、あるいは吸収した水分が金属と樹脂の界面に隙間をつくり、密着不良を起こすという問題点があった。そこで、このポリイミド樹脂フィルムに替わるものとして、耐熱性に優れ、かつ低吸水性の液晶ポリエステルフィルムが注目されている。
さらにコストの面から、高分子フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、あるいはポリエーテルエーテルケトン(PEEK:登録商標)フィルムが用いられている。
また、前記フレキシブル回路基板を用いた配線は機器に折り曲げて装着され、或いは繰り返して曲げられるような箇所に使用されるため、前記フレキシブル回路基板に用いられる前記フィルム金属張積層体は屈曲性に優れていること(繰り返しの屈曲に耐えること)が要求されている。
前記フィルム金属張積層体の製造方法として従来はポリイミド樹脂フィルム上に金属箔を接着剤で貼り付ける、あるいは熱可塑性の樹脂フィルム上に金属箔を熱圧着させる方法が用いられてきた(特許文献1参照)。ここで金属箔の金属はCu等である。フレキシブル回路基板用に用いられる銅箔は良い屈曲性を示す一方で、銅箔の厚さは一般的には最薄で9μm程度であり(特許文献2参照)、近年のフレキシブル基板の省スペース化・処理情報量増大の方向からの基板の多層化に伴う基板一層当たりの薄型・軽量化に対応することが困難になっている。
これに対し、樹脂フィルム等の絶縁体上に薄い金属層を形成する製造方法として、蒸着・スパッタリングや無電解めっき法により薄膜金属層を形成する方法が挙げられる(特許文献3〜4参照)。蒸着・スパッタリング、無電解めっき法は、いずれも薄い金属層を形成できる利点がある。
特開2008−091431号公報 特開2006−261650号公報 特開2007−317782号公報 特開2008−110602号公報
しかしながら、特許文献3に記載された、絶縁体上に薄い金属層が形成された金属張積層体において、この薄い金属層の表面にさらに金属層を形成する場合(例えば、薄い下地金属層を形成した上に電解めっき等で金属層を形成するときなど)に、電流をかけすぎると基材フィルムが過度に発熱してしまうため、かけられる電流密度に限界がある。一方、電流密度を小さくすると形成される金属層の結晶粒径が小さく、できあがった金属張積層体は屈曲性が良くないという問題があった。また、特許文献4に記載されているのは、絶縁体上に薄い金属層が形成された金属張積層体を熱処理することにより金属張積層体の反りを抑制する方法であって、屈曲性の向上については直接の記載はない。
そこで本発明は、屈曲性の良い金属張積層体及び金属張積層体の製造方法を提供することを目的とする。
発明者は上述した従来の問題点について鋭意研究を重ね、その結果、以下の解決手段に
より課題を解決することとした。すなわち、
(1)ポリエステルフィルム、熱可塑性液晶ポリマーフィルム、またはポリエーテルエー
テルケトンポリマーフィルムから選ばれる、基材としての熱可塑性フィルムの表面の少な
くとも一部に下地金属層が形成され、その上に銅層が形成された可撓性を有する金属張積
層体であって、前記銅層の平均結晶粒径が前記基材側から厚さ方向に向けて大きくなり、
前記銅層の平均結晶粒径の範囲が2μm以上5μm以下であり、前記銅層の平均カーボン
濃度が3ppm以上15ppm以下の範囲であることを特徴とする金属張積層体、
(2)前記下地金属層は、Ni−P合金からなる層であることを特徴とする前記(1)に
記載の金属張積層体
(3)前記熱可塑性フィルムの前記表面は、表面粗さRzが1.0〜1.5であることを
特徴とする前記(1)または前記(2)に記載の金属張積層体
(4)前記銅層が少なくとも2層からなり、前記銅層の平均結晶粒径が前記基材側から順
次大きくなっていることを特徴とする、前記(1)乃至前記(3)のいずれか1項に記載
の金属張積層体
(5)前記下地金属層および前記銅層が、前記熱可塑性フィルムの両面に設けられている
ことを特徴とする前記(1)乃至前記(4)のいずれか1項に記載の金属張積層体
(6)電子部品用途として用いられる、前記(1)乃至前記(5)のいずれか1項に記載
の金属張積層体、
(7)ポリエステルフィルム、熱可塑性液晶ポリマーフィルム、またはポリエーテルエー
テルケトンポリマーフィルムから選ばれる熱可塑性フィルムの表面の少なくとも一部に下
地金属層を形成し、その上に銅層を形成する、可撓性を有する金属張積層体の製造方法で
あって、前記熱可塑性フィルムをアルカリ溶液に浸して、前記熱可塑性フィルムの前記表
面に表面粗さRzが1.0〜1.5の凹凸を形成し、前記熱可塑性フィルムの前記表面に
下地金属層を形成し、前記下地金属層上に前記銅層を電解めっきで形成するにあたり、前
記銅層中の平均カーボン濃度が15ppm以下になるようにめっき浴を組成し、前記銅層
を形成する際の電流密度を0.5〜10A/dm とし、前記電流密度を前記基材側から
表面方向に向けて大きくすることで、銅層の平均結晶粒径が基材側から厚さ方向に大きく
なるようにして、前記銅層の平均結晶粒径の範囲を2μm以上5μm以下とし、かつ前記
銅層の平均カーボン濃度が3ppm以上15ppm以下の範囲とすることを特徴とする金
属張積層体の製造方法
(8)前記銅層の形成後、さらに不活性雰囲気下で150℃〜200℃の加熱処理を行う
ことを特徴とする前記(7)に記載の金属張積層体の製造方法
を、提供するものである。

本発明によれば、可撓性を有する熱可塑性の基材フィルムの表面の少なくとも一部に金属層を形成した金属張積層体について、下地金属層を形成した基材フィルム上に金属層を形成する際に金属層の平均結晶粒径、および金属皮膜中のカーボン量を制御することにより、屈曲性の良い金属張積層体を提供することができる。
本発明の金属張積層体の一実施態様の断面を示す説明図であり、(a)は金属層(銅層)が1層の場合、(b)は金属層(銅層)が複数層の場合をそれぞれ示す。
この発明の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なもので置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
図1は、本発明の金属張積層体の一実施態様の断面を示す説明図であり、(a)は金属層(銅層)が1層の場合、(b)は金属層(銅層)が複数層の場合をそれぞれ示す。
図1において、1は高分子フィルム等の基材、2は下地金属層、3は金属層(銅層)である。図1(a)は金属層(銅層)が1層の場合、(b)は金属層(銅層)が複数層(ここでは3層)の例を示している。
なお、図1において、銅層3中の点線で示される円形は、平均的な結晶粒の大きさを示す円であり、実際には各結晶粒が隣接してほぼ隙間なく層状に形成される。
本発明を適用可能な金属張積層体の製造方法は、まず、可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムの表面の少なくとも一部に、下地金属層を形成する。そして、形成した下地金属層の上部に、電解めっきにて銅層を形成する。
上述した可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムの表面の少なくとも一部に、下地金属層を形成した後、電解めっきにて銅層を形成するときの電流密度は、0.5〜10A/dm、より好ましくは1〜7A/dmが望ましい。電流密度が0.5A/dm以下の場合、下地金属層と銅層の間の層間密着性が十分でなく、剥離などの不良の要因となる。また、電流密度が10A/dm以上の場合、電解めっき中に金属張積層体の温度が電気的な発熱により上昇し、基材である可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムが変形及び燃焼するなどの不良の要因となる。
上述した可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムの表面の少なくとも一部に、下地金属層を形成した後、電解めっきにて銅層を形成するときの形成方法として、均一電流密度で一度に目標の金属厚まで形成してもよく、また電流密度を変化させて異なる電流密度で段階的に金属層を形成する方法でもかまわない。銅層の形成回数は一度でも良いし、複数回の合計でもかまわない。
上述した可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムの表面の少なくとも一部に、下地金属層を形成した後、電解めっきにて銅層を形成するときのめっき浴組成として、銅層中のカーボン量が15ppm以下になるようにめっき浴を組成するのが望ましい。カーボン量が15ppm以上になると結晶粒径が小さくなり、作製した金属張積層体の屈曲性が低減する。また、カーボン量が非常に低量になると、作製した金属張積層体の表面粗度が粗くなり、FPCへの使用に適さなくなる。
上記の金属張積層体の屈曲性が劣化する原因として、基材側の銅層の平均結晶粒径が細かくなると、屈曲時に接合部からクラックが入りやすくなり、導通不良になる。このことから屈曲性が悪くなる。
また、上述した可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムの表面の少なくとも一部に、下地金属層を形成した後、電解めっきにて銅層を形成するときの銅層の平均結晶粒径は、2μm以上5μm以下になるのが望ましい。平均結晶粒径が2μmより小さいと、作製した金属張積層体は良好な屈曲性を示さない。また平均結晶粒径が5μmより大きいと、作製した金属張積層体の表面粗度が粗く、FPCへの使用に適さない。
なお、本発明でいう平均結晶粒径とは、まず結晶粒が形成されている表面の写真を透過顕微鏡で撮影する。そして、その写真における結晶粒の面積を10点以上実測し、その面積をもつ真円としたときの直径を計算し、その計算値を平均粒径とする。
銅層の結晶組織は、粒状の結晶組織のめっきである。めっき組成により柱状の結晶組織となる場合があるが、その場合は出来上がった金属皮膜に曲げ応力が加わったとき、柱状の結晶粒界に沿って亀裂が入り、かえって破断しやすくなる確率が高いためである。
ただし、柱状の結晶組織の金属層が形成されても、該金属層を再結晶させることで粒状の結晶組織とすることができる場合がある。このような場合には先ず柱状結晶組織の金属層を施し、次いで再結晶させて粒状結晶組織とする。
また、上述の金属張積層体の金属層の厚さを0.1μm〜20μmにする。これは、金属層の厚さが0.1μmよりも薄くなった場合、電気抵抗値が実用困難な程度またはそれ以上に高くなり、実用できなくなるためである。また、金属層の厚さが20μmよりも厚くなった場合、金属張積層体の反りを抑制することが困難になり、平坦性が実用可能な範囲より厳しくなってしまうためである。
したがって、金属層の厚さとして、単体の金属層の場合は0.1μm〜20μm、また、複数の金属層を組み合せる場合は、総金属層厚さとして0.1μm〜20μmであることが望ましい。
また、上述の可撓性を有する高分子フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム等が適用でき
る。また、光学的異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマー、いわゆる熱可塑性液晶
ポリマーや、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーも熱可塑性樹脂として好
適である。上述した高分子フィルムは、いずれも低吸水性であることから湿式法(電解め
っきや電析法など)に対応することができる。

また、上述した金属張積層体の基材フィルムにおいて、例えば、フィルム表面を粗化しておくことにより、フィルムと金属層との密着性がより向上した金属張積層体を製造することができる。
ここで、フィルム表面の粗化方法としては、例えば、フィルムをエッチング液に浸漬する方法が容易であり、望ましい。エッチング液には、強アルカリ溶液、過マンガン酸塩溶液、クロム酸塩溶液等が用いられる。特に、熱可塑性液晶ポリマーフィルムの場合は、強アルカリ溶液を用いると有効である。また、エッチングが困難なフィルムでは、サンドブラスト等の機械的な研磨方法が有効である。
上述した基材フィルムの表面に形成される金属層は、例えば、単独の金属層としてはNi−P合金層、Cu層等であり、複数の金属層としてはNi−P合金下地金属層とCu上部金属導電層を組み合わせたもの等である。金属層がCu層である場合、良質な導電層を有する金属張積層体が製造される。金属層がNi−P合金層である場合、基材フィルムとの十分な密着性を有する金属張積層体が製造される。金属層がNi−P合金下地金属層とCu上部金属導電層の組み合わせによる層である場合、基材フィルムとの十分な密着性を有し、かつ、良質な導電層を有する金属張積層体が製造される。
また、上述の可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムの表面の少なくとも一部に、下地金属層を形成した後、金属張積層体の基材フィルムの融点温度Tmよりも35〜85℃低い範囲、すなわち、(Tm−85)〜(Tm−35)℃の範囲、望ましくは(Tm−70)〜(Tm−50)℃の範囲にピーク温度を設定して加熱処理を行った後、金属層を形成しても良い。
また、上述した可撓性を有する熱可塑性の高分子フィルムの表面の少なくとも一部に、下地金属層を形成した後に電解めっきにて銅層を形成した後、150℃〜200℃の加熱処理を行い、銅層部の再結晶化を行っても良い。
また、上述したように金属張積層体に熱処理と冷却処理を行うとき、大気中のような活性雰囲気下で実施することもできるが、金属層の変色や表面酸化を防止するために、不活性雰囲気下で実施することが望ましい。ここで、不活性雰囲気とは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中または減圧下を意味し、酸素等の活性ガスが0.1体積%以下であることをいう。特に、不活性ガスとしては、純度99.9%以上の加熱窒素気体が好適に使用される。
上述した金属張積層体は、基材フィルムの片面のみに金属層を形成して片面フレキシブル基板として使用することも、基材フィルムの両面に金属層を形成して両面フレキシブル基板として使用することもできる。また、片面のみに金属層を形成した積層体を複数枚重ね合わせ、多層基板として使用することもできる。
また、上述したような方法によって製造される金属張積層体には、スルーホールを形成することが可能である。スルーホールを形成する方法としては、ドリルによる加工と、レーザーによる加工と、を用いることができる。
また、上述した金属張積層体の用途として、上述したフレキシブル基板のほかにCOF、TAB、また積層板に使用することもできる。
以下本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
まず、基材フィルム(高分子フィルム)として、(株)クラレ製のVecsterCT(厚み50μm)を300mm幅で使用する。この高分子フィルムをアルカリ溶液(KOH 400g/リットル)に80℃で15分浸して表面に凹凸(表面粗さRz=1.0〜1.5)を形成する。次に、コンディショナー処理、Ni−P合金の無電解めっき処理、Cuの電気めっき処理、熱処理の各処理を順に施してフィルム金属張積層体を製造した。なお、各処理において、水洗または乾燥を実施した。また、金属層(下地金属層+上部金属導電層)は、高分子フィルムの両面に形成した。
コンディショナー処理は、奥野製薬工業(株)製のOPC−350コンディショナーにより、高分子フィルムの表面を洗浄した。ここで、パラジウムを含む触媒付与液として奥野製薬工業(株)製のOPC−80キャタリスト、活性化剤としてOPC−500アクセラレーターを用いた。
次に、無電解めっきにより下地金属層を形成し、その後電解めっきにてCu層を形成して評価した。下地金属層はNi−P合金めっきである。
Ni−P合金の無電解めっき処理は、メルテックス(株)製のエンプレートNI−426浴を用いた。めっき浴のpHは、硫酸またはアンモニア水を用いて、6.0〜7.0の範囲に調整し、浴温は、75℃〜85℃に調整した。めっき厚みは、0.1〜0.5μmとした。
上述のNi−P合金めっきを施した後、下記のめっき浴組成1〜3のめっき浴にてめっき厚を8μmになるようCuめっきを施し、銅張積層体を製造した。
なお、製造した銅張積層体の銅皮膜中のカーボン量を、下記の条件で(株)堀場製作所製のEMIA−U511により測定した。
測定は、脱脂した銅張積層体から金属層を剥離し、剥離した金属膜を酸素雰囲気中電気炉燃焼により発生するCOガスの赤外吸収を測定し、カーボン量に換算した。測定条件は、標準試料名:JSS200−11、標準値:56.00ppm、助燃剤:測定時なし、校正時:Sn 0.5g、酸素精製器使用、C:INT.TIME=60sec、FURNACE TEMP 1250℃、C:COMP.LVL=0.0%、WAIT TIME=0secとした。
前記測定のめっき浴として、めっき組成1乃至3の組成を用いた。めっき組成1は以下のとおりである。すなわち、めっき浴はCu 70〜130g/リットル、HSO 80〜140g/リットル、3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウム 0.5〜5ppm、ヒドロキシエチレンセルロース 1〜10ppm、低分子量膠(分子量3000) 1〜5ppm、塩化物イオン 5〜50ppmとした。電流密度は1〜7A/dm、浴温は20〜40℃とした。
上記めっき組成1で銅めっきを電流密度5〜7A/dmで施した金属張積層体の金属層をはがした金属膜のカーボン量を測定したところ、C=14ppmであった。
上記めっき組成1で銅めっきを電流密度3〜5A/dmで施した金属張積層体の金属層をはがした金属膜のカーボン量を測定したところ、C=10ppmであった。
上記めっき組成1で銅めっきを電流密度1〜3A/dmで施した金属張積層体の金属層をはがした金属膜のカーボン量を測定したところ、C=6ppmであった。
めっき組成2は以下のとおりである。すなわち、めっき浴はCu 70〜130g/リットル、HSO 80〜140g/リットル、3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウム 0.5〜5ppm、ヒドロキシエチレンセルロース 5〜10ppm、低分子量膠(分子量3000) 10〜15ppm、塩化物イオン 5〜50ppmとした。電流密度は1〜15A/dm、浴温は40〜60℃とした。
上記めっき組成2で銅めっきを電流密度1〜5A/dmで施した金属張積層体の金属層をはがした金属膜のカーボン量を測定したところ、C=18ppmであった。
めっき組成3は以下のとおりである。すなわち、めっき浴はCu 70〜130g/リットル、HSO 80〜140g/リットル、3−メルカプト1−プロパンスルホン酸ナトリウム 0.5〜5ppm、ヒドロキシエチレンセルロース 10〜15ppm、低分子量膠(分子量3000) 15〜20ppm、塩化物イオン 5〜50ppmとした。電流密度は1〜15A/dm、浴温は20〜40℃とした。
上記めっき組成3で銅めっきを施した金属張積層体の金属層をはがした金属膜のカーボン量を測定したところ、C=25ppmであった。
めっき組成4は以下のとおりである。すなわち、めっき浴はCu 20〜40g/リットル、HSO 80〜140g/リットル、塩化物イオン 5〜50ppmとした。電流密度は1〜7A/dm、浴温は:20〜40℃とした。
上記めっき組成4で銅めっきを施した金属張積層体の金属層をはがした金属膜のカーボン量を測定したところ、C=1ppmであった。
なお、上記の方法で金属張積層体を製造した後、N雰囲気下で150℃〜200℃の高温にて熱処理を行い、金属層の再結晶化を行っても良い。
上記めっき浴組成1〜4にて電解めっきを行い、まためっき後熱処理を行い製造した金属張積層体を、下記に示す条件にて耐屈曲性試験を行い屈曲回数の評価を行った。
信越化学エンジニアリング株式会社製FPC高速屈曲試験機SEK−31B2Sを用いてMIT耐折性試験を下記の条件により実施し、破断点での回数を屈曲回数とした。試験条件はJIS C 5016に準じた。L/S=0.6mm/0.6mm、基材フィルム厚は50μm、AD=35μmとして、導体抵抗が10%上昇した点を破断点とした。
また、表面粗さの評価は、物理表面粗度計にて金属張積層体の任意の場所で長手(MD)方向、幅(TD)方向それぞれ50mm長のRzを3回測定し、その平均値をとった。
(実施例1)
結果を表1に示した。なお、表1のすべての例は、図1(a)で示される金属張積層体についてのものであり、金属層(銅層)の厚さを8μmとした。
発明例1〜5は、めっき浴組成1のめっき浴で銅めっきを電流密度5〜7A/dmで行い、銅めっき後に熱処理を実施しなかった金属張積層体の例(発明例1)、銅めっき後に温度150℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(発明例2)、銅めっき後に温度200℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(発明例3〜5)をそれぞれ示す。
発明例6〜10は、めっき浴組成1のめっき浴で銅めっきを電流密度3〜5A/dmで行い、銅めっき後に熱処理を実施しなかった金属張積層体の例(発明例6)、銅めっき後に温度150℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(発明例7)、銅めっき後に温度200℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(発明例8〜10)をそれぞれ示す。
発明例11〜15は、めっき浴組成1のめっき浴で銅めっきを電流密度1〜3A/dmで行い、銅めっき後に熱処理を実施しなかった金属張積層体の例(発明例11)、銅めっき後に温度150℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(発明例12)、銅めっき後に温度200℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(発明例13〜15)をそれぞれ示す。
比較例1〜3は、めっき浴組成2のめっき浴で銅めっきを電流密度2〜7A/dmで行い、銅めっき後に熱処理を実施しなかった金属張積層体の例(比較例1)、銅めっき後に温度150℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(比較例2)、銅めっき後に温度200℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(比較例3)をそれぞれ示す。
比較例4〜6は、めっき浴組成3のめっき浴で銅めっきを電流密度2〜5A/dmで行い、銅めっき後に熱処理を実施しなかった金属張積層体の例(比較例4)、銅めっき後に温度150℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(比較例5)、銅めっき後に温度200℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(比較例6)をそれぞれ示す。
比較例7〜9は、めっき浴組成4のめっき浴で銅めっきを電流密度2〜3A/dmで行い、銅めっき後に熱処理を実施しなかった金属張積層体の例(比較例7)、銅めっき後に温度150℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(比較例8)、銅めっき後に温度200℃で1時間の熱処理を実施した金属張積層体の例(比較例9)をそれぞれ示す。
比較例10は、めっき浴組成4のめっき浴で銅めっきを電流密度7〜11A/dmで行った金属張積層体である。比較例11は、めっき浴組成4のめっき浴で銅めっきを電流密度0.3A/dmで行った金属張積層体である。
Figure 0005255496
表1から分かるように、発明例1〜15において屈曲回数は5000以上であり、また表面粗さも2.5μm以下であった。すなわち発明例1〜15において、良好な屈曲性を示し、かつ適度に平滑な表面の金属張積層体を製造することができた。
また比較例1〜6において、屈曲回数はいずれも5000回に到達せず、回路基板用の金属張積層体として適用するのは難しいことが分かった。比較例7〜9において、表面粗さは2.5μm以上と粗く、回路基板用の金属張積層体として適用するのは難しいことが分かった。
また比較例10において、電解めっき中に金属張積層体が発熱により変形してしまい形状が凸凹、あるいは一部穴が開いてしまったことから評価不可能であり、金属張積層体として明らかに不良になることが分かった。比較例11において、金属張積層体の下地層と銅層が剥離し、密着不良により金属張積層体として明らかに不良になることが分かった。
(実施例2)
金属張積層体の製造を行うにあたり、基材フィルムを液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の各フィルムとし、それぞれについて前記製造法に基づいて下地めっき層を形成し、前述のめっき浴組成1のめっき浴で銅めっきを電流密度5〜7A/dmで行い、金属張積層体を製造し、評価を行った。表2に結果を示す。
ここで、発明例16は基材フィルムに液晶ポリマーを適用した金属張積層体である。発明例17は基材フィルムにポリエチレンテレフタラート(PET)を適用した金属張積層体である。発明例18は基材フィルムにポリエチレンナフタレート(PEN)を適用した金属張積層体である。発明例19は基材フィルムにポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を適用した金属張積層体である。
Figure 0005255496
表2から分かるように、発明例16〜19において屈曲回数は5000以上であり、また表面粗さも2.5μm以下であった。すなわち発明例16〜19において、良好な屈曲性を示し、かつ適度に平滑な表面の金属張積層体を製造することができた。

Claims (8)

  1. ポリエステルフィルム、熱可塑性液晶ポリマーフィルム、またはポリエーテルエーテル
    ケトンポリマーフィルムから選ばれる、基材としての熱可塑性フィルムの表面の少なくと
    も一部に下地金属層が形成され、その上に銅層が形成された可撓性を有する金属張積層体
    であって、
    前記銅層の平均結晶粒径が前記基材側から厚さ方向に向けて大きくなり、前記銅層の平
    均結晶粒径の範囲が2μm以上5μm以下であり、
    前記銅層の平均カーボン濃度が3ppm以上15ppm以下の範囲であることを特徴と
    する金属張積層体。
  2. 前記下地金属層は、Ni−P合金からなる層であることを特徴とする請求項1に記載の
    金属張積層体。
  3. 前記熱可塑性フィルムの前記表面は、表面粗さRzが1.0〜1.5であることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の金属張積層体。
  4. 前記銅層が少なくとも2層からなり、前記銅層の平均結晶粒径が前記基材側から順次大
    きくなっていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属張
    積層体。
  5. 前記下地金属層および前記銅層が、前記熱可塑性フィルムの両面に設けられていること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属張積層体。
  6. 電子部品用途として用いられる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金属張
    積層体。
  7. ポリエステルフィルム、熱可塑性液晶ポリマーフィルム、またはポリエーテルエーテル
    ケトンポリマーフィルムから選ばれる熱可塑性フィルムの表面の少なくとも一部に下地金
    属層を形成し、その上に銅層を形成する、可撓性を有する金属張積層体の製造方法であっ
    て、
    前記熱可塑性フィルムをアルカリ溶液に浸して、前記熱可塑性フィルムの前記表面に表
    面粗さRzが1.0〜1.5の凹凸を形成し、
    前記熱可塑性フィルムの前記表面に下地金属層を形成し、
    前記下地金属層上に前記銅層を電解めっきで形成するにあたり、前記銅層中の平均カー
    ボン濃度が15ppm以下になるようにめっき浴を組成し、前記銅層を形成する際の電流
    密度を0.5〜10A/dm とし、前記電流密度を前記基材側から表面方向に向けて大
    きくすることで、銅層の平均結晶粒径が基材側から厚さ方向に大きくなるようにして、前
    記銅層の平均結晶粒径の範囲を2μm以上5μm以下とし、かつ前記銅層の平均カーボン
    濃度が3ppm以上15ppm以下の範囲とすることを特徴とする金属張積層体の製造方
    法。
  8. 前記銅層の形成後、さらに不活性雰囲気下で150℃〜200℃の加熱処理を行うこと
    を特徴とする請求項7に記載の金属張積層体の製造方法
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