JP5136182B2 - 切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
伸びフランジ性は、切断ままの端面を加工することから、材料特性として伸びフランジ性が良好なことと同時に、シャー等の機械切断による端面の損傷が軽微なことが要求される。
伸びフランジ性向上に必要な材料特性は、非特許文献1で示されるように、均一伸びや穴拡げ性である。このことから、均一伸びと穴拡げ性の両方を具備することが求められる。
一方、シャーや打ち抜き端面には、切断の際に介在物を引きずったと考えられる損傷が多数存在し、これが起点となり、伸びフランジ成形時や穴拡げ試験時に割れが生じることが知られている(非特許文献1)。このことから、切断時の端面の損傷を抑制することも極めて重要になる。
CAMP-ISIJVol.13(2000),p399 CAMP-ISIJ vol.13(2000),p411 CAMP-ISIJ vol.13(2000),p391
本発明は、延性や穴拡げ性と言った材料特性向上と同時に、切断後の端面損傷を抑制に考慮して行われたものであり、その目的は、DP鋼並み優れた延性と、単一組織並みの優れた穴拡げ性を持つと同時に、切断後の端面の損傷が極めて軽微な高強度鋼板並びにその製造方法を提供することにある。
(1) 質量%で、C:0.05%〜0.20%、Si:0.3〜2.00%、Mn:1.3〜2.6%、P:0.001〜0.03%、S:0.0001〜0.01%、Al:0.10%未満、N:0.0005〜0.0100%、O:0.0005〜0.007%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、鋼板組織が主としてフェライトとベイナイトからなり、板厚方向のMn偏析度(=中心部Mnピーク濃度/平均Mn濃度)が1.20以下であり、板厚方向のMn偏析帯の幅が43μm以下であり、引張最大強さが540MPa以上であることを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
(2) さらに、質量%で、B:0.0001〜0.01%未満を含有することを特徴とする(1)に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
(3) さらに、質量%で、Cr:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
(4) さらに、質量%で、Nb、Ti、Vの1種または2種以上を合計で0.001〜0.14%含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
(5) さらに、質量%で、Ca、Ce、Mg、REMの1種または2種以上を合計で0.0001〜0.5%含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
(6) (1)〜(5)のいずれか1項に記載の高強度鋼板の表面に亜鉛系めっきを有することを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
(8) (1)〜(5)のいずれか1項に記載の化学成分を有する鋳造スラブを鋳造するに当たって、板厚方向に圧下を加えつつ鋳造を行って、直接又は一旦冷却した後1050℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、さらに85%以上の圧下率で仕上温度を820℃〜930℃とする熱間圧延を行った後、水冷を開始し、720〜800℃間の平均冷却速度が25℃/秒以上の冷却速度で水冷を行い、620〜720℃で水冷を完了し、400〜630℃の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率40〜70%の冷延を施し、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際して、最高加熱温度760〜870℃で焼鈍した後、630℃〜570℃間を平均冷却速度3℃/秒以上で(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃まで冷却した後、亜鉛めっき浴に浸漬前、あるいは、浸漬後の何れか一方、あるいは、両方で、(亜鉛めっき浴温度+50)℃〜300℃の温度域で30秒以上保持することを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(9) (1)〜(5)のいずれか1項に記載の化学成分を有する鋳造スラブを鋳造するに当たって、板厚方向に圧下を加えつつ鋳造を行って、直接又は一旦冷却した後11001050℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、さらに85%以上の圧下率で仕上温度を820℃〜930℃とする熱間圧延を行った後、水冷を開始し、720〜800℃間の平均冷却速度が25℃/秒以上の冷却速度で水冷を行い、620〜720℃で水冷を完了し、400〜630℃の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率40〜70%の冷延を施し、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際して、最高加熱温度760〜870℃で焼鈍した後、630℃〜570℃間を平均冷却速度3℃/秒以上で(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃まで冷却した後、460〜540℃の温度で合金化処理を施し、亜鉛めっき浴に浸漬前、浸漬後、あるいは、合金化処理後の何れか、あるいは、全てで(亜鉛めっき浴温度+50)℃〜300℃の温度域で30秒以上保持することを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(10) (7)の方法で高強度鋼板を製造したのち、亜鉛系の電気めっきを施すことを特徴とする(7)に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板の製造方法。
以下に、本発明を詳細に説明する。
また、機械加工としても、シャー切断に限定するものではなく、ポンチを用いた打ち抜きをはじめとする切断(打ち抜き)ままの端面が存在し、その後、加工を受ける加工方法を指す。
本発明者等が鋭意検討を進めた結果、鋼板組織をフェライトと硬質組織よりなる組織とすると共に、硬質組織とフェライトの硬度差を低減させつつ、マンガンの偏析度の低減による端面の亀裂発生を抑制することで、切断後の特性劣化を少なくすることが可能であることを見出した。
このような問題は、組織強化を行う高強度鋼板で問題となり易い。即ち、DP鋼やTRIP鋼などの組織強化を活用した高強度鋼板は、熱間圧延、連続焼鈍設備、溶融亜鉛めっき設備にて、組織制御を行うため、Mnを多量に添加する傾向にある。この傾向は、鋼板強度が高くなれば高くなるほど顕著になることから、540MPa以上の高強度鋼板で問題となりやすい。加えて、540MPa未満の高強度鋼板は、高強度化の手法として、組織強化以外の手法(例えば、固溶強化など)が活用される場合が多く、単相組織となる場合が多い。この結果、Mnを多量に含む場合であっても、組織変化に起因した強度変動が生じ難く、切断や打ち抜きに伴う特性劣化を生じ難い。
鋼板組織をフェライトと硬質組織の複相組織とするのは、優れた延性を得るためである。軟質なフェライトは、延性に富むことから、優れた延性を得るためには必須である。加えて、適度な量の硬質組織を分散させることで、優れた延性を確保しながら、高強度化が可能である。優れた延性を確保するためには、フェライト主相とする必要がある。また、残留オーステナイトを含んでも良い。残留オーステナイトは、変形時にマルテンサイトへと変態することで、加工部を硬化し、変形の集中を妨げる。その結果、特に優れた延性が得られる。
フェライトの結晶粒径については特に限定しないが、強度伸びバランスの観点から公称粒径で7μm以下であることが望ましい。
(C:0.05%〜0.20%)
Cは、ベイナイトやマルテンサイトを用いた組織強化を行う場合、必須の元素である。Cが0.05%未満では、540MPa以上の強度確保が難しいことから、下限値を0.05%とした。一方、Cの含有量を0.20%以下とする理由は、Cが0.20%を超えると、スポット溶接性を確保することが困難となる。このことから、Cの範囲を0.05%〜0.20%とした。
Siは強化元素であるのに加え、セメンタイトに固溶しない事から、粒界での粗大セメンタイトの形成を抑制する。0.3%未満の添加では、固溶強化による強化が期待できない、あるいは、粒界への粗大セメンタイトの形成が抑制できないことから0.3%以上添加する必要がある。一方で、2.00%を越える添加は、残留オーステナイトを過度に増加せしめ、打ち抜きや切断後の穴拡げ性や伸びフランジ性を劣化させる。このことから上限は2.00%とする必要がある。加えて、Siの酸化物は、溶融亜鉛めっきとの濡れ性が悪いことから、不メッキの原因となる。そこで、溶融亜鉛めっき鋼板の製造にあたっては、炉内の酸素ポテンシャルを制御し、鋼板表面へのSi酸化物形成を抑制するなどが必要となる。
Mnは、固溶強化元素であるのと同時に、オーステナイト安定化元素であることから、オーステナイトがパーライトへと変態するのを抑制する。1.3%未満ではパーライト変態の速度が速すぎてしまい、鋼板組織をフェライト及びベイナイトの複合組織とすることが出来ず、540MPa以上のTSが確保出来ない。また、穴拡げ性も劣る。このことから、下限値を1.3%以上とする。一方、Mnを多量に添加すると、P、Sとの共偏析を助長し、加工性の著しい劣化を招くことから、その上限を2.6%とした。
Pは鋼板の板厚中央部に偏析する傾向があり、溶接部を脆化させる。0.03%を超えると溶接部の脆化が顕著になるため、その適正範囲を0.03%以下に限定した。Pの下限値は特に定めないが、0.001%未満とすることは、経済的に不利であることからこの値を下限値とすることが好ましい。
Sは、溶接性ならびに鋳造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼす。このことから、その上限値を0.01%以下とした。Sの下限値は、0.0001%未満とすることは経済的に不利であることからこの値を下限値とすることが好ましい。また、SはMnと結びついて粗大なMnSを形成することから、穴拡げ性を低下させる。このことから、穴拡げ性向上のためには、出来るだけ少なくする必要がある。
Alは、フェライト形成を促進し、延性を向上させるので添加しても良い。また、脱酸材としても活用可能である。しかしながら、過剰な添加はAl系の粗大介在物の個数を増大させ、穴拡げ性の劣化や表面傷の原因になる。このことから、Al添加の上限を0.1%未満とした。下限は、特に限定しないが、0.0005%以下とするのは困難であるのでこれが実質的な下限である。
N(窒素)は、粗大な窒化物を形成し、曲げ性や穴拡げ性を劣化させることから、添加量を抑える必要がある。これは、Nが0.01%を超えると、この傾向が顕著となることから、N含有量の範囲を0.01%以下とした。加えて、溶接時のブローホール発生の原因になることから少ない方が良い。下限は、特に定めることなく本発明の効果は発揮されるが、N含有量を0.0005%未満とすることは、製造コストの大幅な増加を招くことから、これが実質的な下限である。
O(酸素)は、酸化物を形成し、曲げ性や穴拡げ性を劣化させることから、添加量を抑える必要がある。特に、酸化物は介在物として存在する場合が多く、打抜き端面、あるいは、切断面に存在すると、端面に切り欠き状の傷や粗大なディンプルを形成することから、穴拡げ時や強加工時に、応力集中を招き、亀裂形成の起点となり大幅な穴拡げ性あるいは曲げ性の劣化をもたらす。これは、Oが0.007%を超えると、この傾向が顕著となることから、O含有量の上限を0.007%以下とした。0.0005%と未満とすることは、過度のコスト高を招き経済的に好ましくないことから、これを下限とした。ただし、Oを0.0005%未満としたとしても、本発明の効果である540MPa以上のTSと優れた延性を確保可能である。
Bは、0.0001質量%以上の添加で粒界の強化や鋼材の強度化に有効であるが、その添加量が0.010質量%を超えると、その効果が飽和するばかりでなく、熱延時の製造製を低下させることから、その上限を0.010%とした。
Crは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.01%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.01%とした。1%超含有すると大幅なコスト高を招くことから上限を1%とした。
Niは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.01%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.01%とした。1%超含有すると大幅なコスト高を招くことから上限を1%とした。
Cuは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.01%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.01%とした。逆に、1%超含有すると製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため、上限値を1%とした。
Moは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.01%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.01%とした。1%超含有すると大幅なコスト高を招くことから上限は1%であるが、0.3%以下がより好ましい。
Nbは、強化元素である。析出物強化、フェライト結晶粒の成長抑制による細粒強化および再結晶の抑制を通じた転位強化にて、鋼板の強度上昇に寄与する。添加量が0.001%未満ではこれらの効果が得られないため、下限値を0.001%とした。0.14%超含有すると、炭窒化物の析出が多くなり成形性が劣化するため、上限値を0.14%とした。
Tiは、強化元素である。析出物強化、フェライト結晶粒の成長抑制による細粒強化および再結晶の抑制を通じた転位強化にて、鋼板の強度上昇に寄与する。添加量が0.001%未満ではこれらの効果が得られないため、下限値を0.001%とした。0.14%超含有すると、炭窒化物の析出が多くなり成形性が劣化するため、上限値を0.14%とした。
Vは、強化元素である。析出物強化、フェライト結晶粒の成長抑制による細粒強化および再結晶の抑制を通じた転位強化にて、鋼板の強度上昇に寄与する。添加量が0.001%未満ではこれらの効果が得られないため、下限値を0.001%とした。0.14%超含有すると、炭窒化物の析出が多くなり成形性が劣化するため、上限値を0.14%とした。
Ca、Ce、Mg、REMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0001〜0.5%添加できる。Ca、Ce、Mg、REMは脱酸に用いる元素であり、1種または2種以上を合計で0.0001%以上含有することで、脱酸後の酸化物サイズを低下可能であり、穴拡げ性向上に寄与する。
Mn偏析度を低減するためには、鋳造時にスラブを圧下しつつ鋳造する必要がある。Mn偏析度は、溶鋼が凝固する過程で、Mnが溶鋼へと排出されることで起こるので、凝固したスラブを圧下したとしてもMn偏析は改善しない。従って、スラブの圧下は、溶鋼が完全に凝固する前に行う必要がある。完全凝固前に圧下を行うことで、中心部に排出されたMnをスラブの板厚方向全体に拡散させることができ、Mn偏析度を低減できる。具体的には例えば、厚みが240mmのスラブを鋳造するに当たっては、5mm以上の圧下を加えることが好ましい。即ち、入り側の厚みを245mmとするなら、出側厚みを240mmにすればよい。
同様の理由から、熱間圧延や冷間圧延での圧下率も大きくすることが望ましい。
これら効果は、圧下率が70%以上で顕著になることから、圧下率は出来るだけ高いことが望ましい。上限は特に定めないが、生産性や設備制約の観点から90%超とすることは困難であるので、90%が実質的な上限である。
一方、仕上げ温度の上限は特に定めなくとも本発明の効果は発揮されるが、仕上げ圧延温度を過度に高温と使用とした場合、その温度を確保するため、スラブ加熱温度を過度に高温にせねばならない。このことから、仕上げ圧延温度の上限温度は、930℃以下とすることが望ましい。
ただし、MnSは、低温であればオーステナイト中でも析出可能であることから、MnSを微細化する目的であれば、仕上げ圧延前で出来るだけ沢山圧下することが望ましい。
仕上げ圧延後の冷却条件は、特に限定することなく本発明の効果は発揮される。ただし、熱延板組織の均一化による製品板特性の向上の観点からは、仕上げ圧延から巻き取りまでの平均冷却速度を10℃/秒以上とすることが望ましく、より好ましくは25℃/秒以上である。一方、過度に冷却速度を上げることは、効果が飽和するばかりでなく、大幅な設備投資の増加を招くことから、冷却速度は、900℃/秒以下とすることが望ましい。冷却方法に関しては、特に限定されるものではなく、空冷、ガス冷却、水冷、ミスト、あるいは、その何れかを併用した方法であっても構わない。
次に、得られたスラブを1230℃に加熱してから、表2及び表3に示す圧下率で圧下しつつ熱延し、更に表2及び表3に示す条件で仕上げ熱間圧延を行った。そして、表2及び表3に示す条件で冷延、焼鈍、冷却および熱処理を行った。このようにして、鋼板を製造した。熱間圧延及び冷延を施した鋼板を表2及び表3ではCRと表記した。
穴拡げ率(λ)は、直径10mmの円形穴を、クリアランスが12.5%となる条件にて打ち抜き、かえりがダイ側となるようにし、60°円錐ポンチにて成形し、評価した。各条件とも、5回の穴拡げ試験を実施し、その平均値を穴拡げ率とした。TS×λが、40000(MPa×%)以上となるものを、強度-穴拡げ性バランスが良好な高強度鋼板とした。
結果を表6及び表7に示す。
また、亀裂が生じる条件にて、打ち抜きを行った試験片を加工すると特性が劣化することから、切断後の特性劣化を評価する項目として、打ち抜き端部の損傷も併せて評価した。切断後の端面損傷は、切断する方位によって異なる。このことから、全断面での損傷評価を同時に行うべく、10mmφのポンチにて、打ち抜き加工を行い端面の損傷を調査した。打ち抜き後の亀裂や二次せん断面の合計長さは、全周360°に対して、個別の亀裂の合計長さを、何°として表記した。中心偏析が大きく、板厚方向の硬度差が大きい鋼板にて、亀裂形成が顕著となると共に、詳細な理由は不明なものの、圧延方向に平行な面に沿って亀裂が入り易かった。
切断でも同様の傾向が得られるものの、切断する方向に依存して、亀裂の出易さが変化することから、本発明では、打ち抜き試験により、端面損傷を評価した。打ち抜き端面に形成された亀裂の合計を元に、下記の評点付けを行った。
△:120超〜270°以下。
×:270°超。
○:0.8以上〜0.9未満。
×:0.8未満。
鋼番号L-1〜3は、Mn含有量が3.28%と高く、焼鈍時にオーステナイト体積率が一旦減ると、冷却過程で、十分な量のフェライトを出すことが出来ない。このことから、著しく強度-延性バランスも劣る。
Claims (10)
- 質量%で、
C :0.05%〜0.20%、
Si:0.3〜2.00%、
Mn:1.3〜2.6%、
P :0.001〜0.03%、
S :0.0001〜0.01%、
Al:0.10%未満、
N :0.0005〜0.0100%、
O:0.0005〜0.007%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、鋼板組織が主としてフェライトとベイナイトからなり、板厚方向のMn偏析度(=中心部Mnピーク濃度/平均Mn濃度)が1.20以下であり、板厚方向のMn偏析帯の幅が43μm以下であり、引張最大強さが540MPa以上であることを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。 - さらに、質量%で、
B:0.0001%以上0.01%未満
を含有することを特徴とする請求項1に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。 - さらに、質量%で、
Cr:0.01〜1.0%、
Ni:0.01〜1.0%、
Cu:0.01〜1.0%、
Mo:0.01〜1.0%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。 - さらに、質量%で、Nb、Ti、Vの1種または2種以上を合計で0.001〜0.14%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
- さらに、質量%で、Ca、Ce、Mg、REMの1種または2種以上を合計で0.0001〜0.5%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高強度鋼板の表面に亜鉛系めっきを有することを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学成分を有する鋳造スラブを鋳造するに当たって、板厚方向に圧下を加えつつ鋳造を行って、直接又は一旦冷却した後1050℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、さらに85%以上の圧下率で仕上温度を820℃〜930℃とする熱間圧延を行った後、水冷を開始し、720〜800℃間の平均冷却速度が25℃/秒以上の冷却速度で水冷を行い、620〜720℃で水冷を完了し、400〜630℃の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率40〜70%の冷延を施し、連続焼鈍ラインを通板するに際して、最高加熱温度760〜870℃で焼鈍した後、630℃〜570℃間を平均冷却速度3℃/秒以上で冷却し、450℃〜300℃の温度域で30秒以上保持することを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学成分を有する鋳造スラブを鋳造するに当たって、板厚方向に圧下を加えつつ鋳造を行って、直接又は一旦冷却した後1050℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、さらに85%以上の圧下率で仕上温度を820℃〜930℃とする熱間圧延を行った後、水冷を開始し、720〜800℃間の平均冷却速度が25℃/秒以上の冷却速度で水冷を行い、620〜720℃で水冷を完了し、400〜630℃の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率40〜70%の冷延を施し、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際して、最高加熱温度760〜870℃で焼鈍した後、630℃〜570℃間を平均冷却速度3℃/秒以上で(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃まで冷却した後、亜鉛めっき浴に浸漬前、あるいは、浸漬後の何れか一方、あるいは、両方で、(亜鉛めっき浴温度+50)℃〜300℃の温度域で30秒以上保持することを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学成分を有する鋳造スラブを鋳造するに当たって、板厚方向に圧下を加えつつ鋳造を行って、直接又は一旦冷却した後1050℃以上に加熱し、圧下率70%以上とする熱延を施した後、さらに85%以上の圧下率で仕上温度を820℃〜930℃とする熱間圧延を行った後、水冷を開始し、720〜800℃間の平均冷却速度が25℃/秒以上の冷却速度で水冷を行い、620〜720℃で水冷を完了し、400〜630℃の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率40〜70%の冷延を施し、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際して、最高加熱温度760〜870℃で焼鈍した後、630℃〜570℃間を平均冷却速度3℃/秒以上で(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃まで冷却した後、460〜540℃の温度で合金化処理を施し、亜鉛めっき浴に浸漬前、浸漬後、あるいは、合金化処理後の何れか、あるいは、全てで(亜鉛めっき浴温度+50)℃〜300℃の温度域で30秒以上保持することを特徴とする切断後の特性劣化の少ない高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 請求項7の方法で高強度鋼板を製造したのち、亜鉛系の電気めっきを施すことを特徴とする請求項7に記載の切断後の特性劣化の少ない高強度鋼板の製造方法。
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