以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、実施形態にかかる電力線搬送通信装置の構成を示す図である。図1において、電力線搬送通信装置1Aは、インピーダンスアッパ部10と、コンデンサC1と、ゼロクロス検出部11と、電源部12と、結合部13と、電力線搬送通信部(以下、「PLC部」と略記する。)14と、制御部15Aと、インプットアウトプット部(以下、「I/O部」と略記する。)16と一対の電路17(17a、17b)とを備えて構成される。
一対の電路17は、図略の電力線に接続するための2本の導体線17a、17bを備えて構成される。導体線17a、17bには、例えばプリント基板上に設けられた金属導体やいわゆるリード線やケーブル等の配線が含まれる。前記電力線は、線間100Vの商用電源や線間200Vの商用電源等の商用電源によって電力供給を行うための配線であり、例えば、戸建て住宅や集合住宅の各戸に布設される。一対の電路17は、前記電力線と直接的に接続されてもよく、また、前記電力線に設けられたコンセントに、一対の電路17の一方端に設けられたプラグを介して接続されてもよい。
インピーダンスアッパ部10は、一対の電路17上の所定位置に設けられ、そのインピーダンスが商用電源の商用周波数(例えば50Hzや60Hz)に対して低いとともに電力線搬送通信(以下、「PLC」と略記する。)に利用される周波数に対して高い特性を持つ回路である。商用電源の商用周波数に対して低いインピーダンス特性とは、インピーダンスによる損失(ロス)が少ないという意味である。PLCに利用される周波数に対して高いインピーダンス特性とは、本電力線搬送通信装置1Aを電力線に接続した場合に、電力線を伝送するPLCの通信信号の伝送距離に与える影響が少ないという意味である。PLCに利用される周波数は、例えば、上述したように、低速PLCの周波数帯における周波数や、高速PLCの周波数帯における周波数である。インピーダンスアッパ部10は、例えば、一対の入力端子と一対の出力端子との間に設けられる一対のインダクタL1、L2を備えて構成される。一対のインダクタL1、L2は、商用周波数に対して低いとともにPLCに利用される周波数に対して高いインピーダンス特性を持つ。
ゼロクロス検出部11は、一対の電路17上であってインピーダンスアッパ部10の後段の位置に設けられ、商用電源のゼロクロスタイミングを検出し、この検出したゼロクロスタイミングに同期してパルスを出力する回路である。本明細書では、インピーダンスアッパ部10から見て前記電力線側を前段と呼び、インピーダンスアッパ部10から見て前記電力線側と反対側を後段と呼ぶこととする。商用電源のゼロクロスタイミングは、商用電源の電圧波形が0Vとなる時点である。
ゼロクロス検出部11は、例えば、抵抗素子Rc1と、抵抗素子Rc1に入力側が直列に接続されるフォトカプラPCと、フォトカプラPCの入力側に直列に接続される抵抗素子Rc2と、フォトカプラPCの出力側に直列に接続される抵抗素子Rbとを備えて構成される。抵抗素子Rc1、フォトカプラPCおよび抵抗素子Rc2の直列接続回路は、一対の入力端子間に接続されており、このため、一対の電路17間(電路17aと電路17bとの間)に接続される。抵抗素子Rbには、電源部12が接続されており、抵抗素子Rbを介して電源部12からフォトカプラPCの出力側に電圧が印加されている。抵抗素子Rc1、Rc2は、フォトカプラPCの電流制限抵抗である。2個の抵抗素子Rc1、Rc2に代え、1個の抵抗素子RcでフォトカプラPCの電流制限抵抗を構成してもよいが、抵抗素子の耐圧を下げ、また、一対の電路17に対し平衡するように、本実施形態のように2個の抵抗素子Rc1、Rc2が好ましい。フォトカプラPCは、交流電力が入力可能なAC入力対応のフォトカプラであり、入力側に設けられ、逆並列に接続された2個の発光ダイオードLED1、LED2と、出力側に設けられ、2個の発光ダイオードLED1、LED2の発光光を受光可能な位置に配設されるフォトダイオードPDとを備えて構成される。このような構成のAC入力対応のフォトカプラPCでは、商用電源の正の半周期では、発光ダイオードLED1が発光し、この発光光がフォトダイオードPDで受光され、商用電源の負の半周期では、発光ダイオードLED2が発光し、この発光光がフォトダイオードPDで受光される。したがって、このAC入力対応のフォトカプラPCを備えるゼロクロス検出部11では、商用電源の正の半周期から負の半周期へ切り換わるゼロクロスタイミングと、負の半周期から正の半周期へ切り換わるゼロクロスタイミングとに同期してパルスが出力される。
コンデンサC1は、インピーダンスアッパ部10とゼロクロス検出部11との間における一対の電路17間(電路17aと電路17bとの間)に設けられる。コンデンサC1は、インピーダンスアッパ部10のインダクタL1、L2とローパスフィルタを構成するために、そのインピーダンスが商用電源の商用周波数に対して充分に高いとともに、商用周波数よりも高い周波数に対して充分に低いインピーダンス特性を持つ。
電源部12は、一対の電路17に接続され、一対の電路17によって供給される商用電源から本電力線搬送通信装置1Aで使用する直流電源を生成する回路である。電源部12は、ゼロクロス検出部11、コンデンサC1およびインピーダンスアッパ部10を介して一対の電路17によって前記電力線と接続される。電源部12は、本実施形態では、例えば、その生成した直流電源をゼロクロス検出部11、PLC部14、制御部15AおよびI/O部16へ供給する。電源部12は、例えば、交流を直流に整流する整流回路、整流回路の出力を平滑する平滑コンデンサ、および、平滑コンデンサの出力を所定の電圧レベルに昇圧または降圧するDC−DCコンバータ等を備えて構成される。
結合部13は、一対の電路17に接続され、電路17を伝送するPLCの通信信号を取り出すとともに、電路17にPLCの通信信号を重畳する回路である。結合部13は、例えば、商用電源の商用周波数に対して充分に高インピーダンスを持つ結合コンデンサCrと、1次巻き線が結合コンデンサCrと直列に接続され、PLCの通信信号成分を1次側から2次側へ伝達することができる結合トランスT1とを備えて構成される。結合コンデンサCrと結合トランスT1との直列接続回路は、一対の入力端子間に接続されており、このため、一対の電路17間に接続される。結合トランスT1によってPLCの通信信号成分は、結合部13の入力側と出力側とで電気的に接続される一方、商用電源の周波数成分は、結合部13の入力側と出力側とで電気的に絶縁される。なお、結合部13の入力側と出力側とで電気的な絶縁が必要ではない場合には、結合トランスT1に代え、インダクタが用いられてもよい。
PLC部14は、結合部13に接続され、結合部13で取り出されたPLCの通信信号から受信データを復調するとともに、送信データをPLCの通信信号に変調して結合部13へ出力する回路である。PLC部14は、例えば、結合部13で取り出されたPLCの通信信号から受信データを復調する受信回路と、送信データをPLCの通信信号に変調して結合部13へ出力する送信回路とを備えて構成される。前記受信回路は、例えば、結合トランスT1の2次側に接続され、PLCの周波数帯域を透過するバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタの出力を増幅して制御部15Aへ出力する増幅器とを備えて構成され、前記送信回路は、例えば、制御部15Aに接続され、PLCの周波数帯域を透過するバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタの出力を増幅して結合トランスT1の2次側へ出力する増幅器とを備えて構成される。
このような結合部13およびPLC部14とから、一対の電路に接続されPLCを行う通信部の一例が構成されている。
制御部15Aは、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路を備えて構成され、ゼロクロス検出部11で検出したゼロクロスタイミングに基づいて動作するように、PLCを行うために、PLC部14およびI/O部16等の各部を制御する回路である。制御部15Aは、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングと同期して出力されるパルスが入力され、PLC部14およびI/O部16等の各部通信部を待機状態と動作状態とを繰り返すように間欠動作させる場合に、このゼロクロス検出部11から入力されたパルスに応じたタイミングで動作状態を開始する。
I/O部16は、本電力線搬送通信装置1Aと外部の機器との間でデータを入出力するためのインタフェース回路である。I/O部16に入力されるデータは、制御部15Aを介してPLC部14へ出力され、PLC部14でPLCの通信信号に変調される。また、PLC14で復調されたPLCの通信信号に収容されていたデータは、制御部15Aを介してI/O部16へ出力される。制御部15Aでは、必要に応じて所定の処理をデータに施す。外部の機器は、例えば、火災報知器、防犯センサおよび人感センサ等のセンサや、照明器具およびエアコンディショナ等の家電機器および住戸設備等である。前記データは、センサの検出出力や家電機器および住戸設備のオンオフ情報等であり、また、センサや家電機器および住戸設備の制御信号等である。
図2は、第1実施形態にかかる電力線搬送通信装置の動作を示すタイムチャートである。図2(A)は、商用電源の電圧波形であり、(B)は、ゼロクロス検出部11から出力されるゼロクロスタイミングのパルスであり、(C)は、電力線搬送通信装置の状態であり、そして、(D)は、PLC信号である。
このような構成の電力線搬送通信装置1Aは、ゼロクロス検出部11で検出される商用電源のゼロクロスタイミングに応じて、動作状態と待機状態とを繰り返す間欠動作を行って、動作状態においてPLCを行う。
より具体的には、図2(A)に示す電圧波形の商用電源が前記電力線からインピーダンスアッパ部10および結合部13へそれぞれ入力される。商用電源の電圧波形は、周期Tcである。
インピーダンスアッパ部10のインダクタL1、L2とその後段に設けられたコンデンサC1によってローパスフィルタが構成されており、このローパスフィルタによってインピーダンスアッパ部10に入力された商用電源の電圧波形から商用周波数より高い周波数成分がカット(濾波)され、ゼロクロス検出部11へ入力される。したがって、商用電源の電圧波形に例えばPLCの通信信号やノイズ等が重畳されている場合でも、これら高周波成分がカットされた商用電源の電圧波形がゼロクロス検出部11へ入力される。
ゼロクロス検出部11では、図2(A)に示す商用電源の電圧波形からゼロクロスタイミングが検出され、図2(B)に示すように、この検出したゼロクロスタイミングに応じてパルスが制御部15Aへ出力される。
また、前記電力線の商用電源は、インピーダンスアッパ部10、コンデンサC1およびゼロクロス検出部11を介して電源部12へ供給される。電源部12では、商用電源から所定の電圧レベルの直流電源を生成し、この生成した直流電源は、例えば、ゼロクロス検出部11、PLC部14、制御部15AおよびI/O部16へ供給される。
そして、制御部15Aでは、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングに応じたパルスが入力されると、図2(C)に示すように、PLCで通信を行うために、この入力されたパルスに応じた開始タイミングで予め設定された所定時間T1だけ、PLC部14およびI/O部16を動作状態とする。この動作状態の間に、例えば、I/O部16からデータが制御部15Aへ入力されると、制御部15Aは、必要に応じて処理して、このデータをPLC部14へ出力する。このデータは、PLC部14でPLCの通信信号に変調され、この変調されたPLCの通信信号は、結合部13に出力され、結合部13で電路17を重畳されることで、前記電力線へ送信される。また、この動作状態の間に、例えば、電路17からPLCの通信信号が結合部13で取り出されると、この取り出されたPLCの通信信号がPLC部14へ出力され、PLC部14でデータに復調される。この復調されたデータは、制御部15Aに出力され、制御部15Aで必要に応じて処理され、I/O部16へ出力される。そして、動作状態における所定時間T1が経過すると、制御部15Aは、PLC部14およびI/O部16を待機状態とする。待機状態は、本実施形態では、次に、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングに応じたパルスが入力されるまでの時間T2、継続される。電源部12から電力供給を受けることによって動作する回路のうち、動作状態では、PLCを行う上で必要な各部が電源部12から電力供給を受けることによって動作し、電力を消費し、待機状態では、PLCを行わないので基本的に、前記各部のうち、待機状態から動作状態に復帰するために必要な回路のみが動作し、他の回路は、電源部12から電力供給を受けることなくその動作を停止し、電力が消費されない。このため、間欠動作によって省電力化を図ることができる。例えば、本実施形態では、動作状態では、ゼロクロス検出部11、PLC部14、制御部15AおよびI/O部16の各部が電源部12から電力供給を受けることによって動作し、電力を消費し、待機状態では、ゼロクロス検出部11および制御部15Aの各部が電源部12から電力供給を受けることによって動作している。
そして、制御部15Aは、次に、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングに応じたパルスが入力されると、同様に、このパルスに応じてPLC部14およびI/O部16を動作状態とし、そして、所定時間T1が経過すると、PLC部14およびI/O部16を待機状態とする。
このように動作することによって、電力線搬送通信装置1Aは、ゼロクロス検出部11で検出される商用電源のゼロクロスタイミングに応じて、動作状態と待機状態とを繰り返す間欠動作を行って、動作状態においてPLCを行う。このため、電力線搬送通信装置1Aは、省電力化を図りつつ、他の電力線搬送通信装置1Aと互いに同期を取ってPLCを行うことができる。また、従来技術のような比較的高精度な時計や時刻管理装置が不要であり、電力線搬送通信装置1Aの簡素化が可能となる。
また、本実施形態の電力線搬送通信装置1Aでは、ゼロクロスタイミングに応じたパルスに基づいて例えば日時等の時刻を計る時計部を構成することなく、また後述のようにゼロクロスをカウント(計数)することはあってもゼロクロスのカウント値と時刻とを対応付けるものではなく、ゼロクロスタイミングに応じたパルスに基づいて動作状態の開始タイミングを決めている。このため、間欠動作を行うに当たって、制御部15Aの制御処理を簡単にすることができる。
そして、本実施形態の電力線搬送通信装置1Aでは、前記ローパスフィルタによって商用周波数より高い周波数成分がカットされる。このため、前記電力線の商用電源に例えば家電機器等が発生するノイズが重畳されている場合でも、このノイズをカットすることができ、ノイズの少ない商用電源をゼロクロス検出部11へ入力することが可能となる。したがって、ゼロクロス検出部11は、より正確に商用電源のゼロクロスタイミングを検出することができる。このため、電力線搬送通信装置1A間において、互いの同期をより正確に安定的にとることが可能となる。また、前記ローパスフィルタは、インピーダンスアッパ部10のインダクタL1、L2と兼用されているので、部品点数をその分低減することができ、実装面積をその分低減することができる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
第1実施形態では、図2に示すように商用電源のゼロクロスごとに間欠動作を行っているが、第2実施形態は、動作状態を商用電源のゼロクロスに応じたタイミングで開始するが、その開始タイミングに対応するゼロクロスを設定することができる電力線搬送通信装置の実施形態である。このため、第2実施形態の電力線搬送通信装置は、その制御部15Bの機能が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの制御部15Aの機能と異なる点を除き、その構成が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの構成と同様であるので、その説明を省略する。
制御部15Bは、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路を備えて構成され、ゼロクロス検出部11で検出したゼロクロスタイミングに基づいて動作するように、PLCを行うために、PLC部14およびI/O部16等の各部を制御する回路である。制御部15Bは、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングと同期して出力されるパルスが入力され、PLC部14およびI/O部16等の各部通信部を待機状態と動作状態とを繰り返すように間欠動作させる場合に、このゼロクロス検出部11から入力されたパルスに応じたタイミングで動作状態を開始する。そして、注目すべきは、制御部15Bは、動作状態の開始のタイミングを指定する開始情報を収容した通信信号を結合部13およびPLC部14によって受信した際に、前記開始情報に基づいた所定数のゼロクロスを計数した後のゼロクロスタイミングに応じたタイミングで前記動作状態を開始するように構成されている。
図3は、第2実施形態にかかる電力線搬送通信装置の動作を示すタイムチャートである。図3(A)は、商用電源の電圧波形であり、(B)は、ゼロクロス検出部11から出力されるゼロクロスタイミングのパルスであり、(C)は、電力線搬送通信装置の状態であり、そして、(D)は、PLC信号である。
このような構成の電力線搬送通信装置は、ゼロクロス検出部11で検出される商用電源のゼロクロスタイミングに応じて、動作状態と待機状態とを繰り返す間欠動作を行って、動作状態においてPLCを行う。
そして、例えば、図3に示すように、動作状態AT11の間にPLCの通信信号SC11を受信することによって、動作状態の開始のタイミングを指定する開始情報が取得される。この開始情報は、本実施形態では、待機状態の継続時間を指定するためのデータであり、待機状態中に計数すべきゼロクロスの回数(待機回数)である。
制御部15Bは、この待機回数を取得すると、図3(B)および(C)に示すように、ゼロクロス検出部11から制御部15Bへゼロクロスタイミングに応じて入力されるパルスを計数(カウント)し、動作状態の開始後のカウント値がこの取得された待機回数と一致すると、図3(C)に示すように、PLCで通信を行うために、その次に、ゼロクロス検出部11から制御部15Cへゼロクロスタイミングに応じて入力されたパルスに応じた開始タイミングで予め設定された所定時間T1だけ、PLC部14およびI/O部16を動作状態とする。図3に示す例では、待機回数が3回に設定されており、制御部15Bは、動作状態の開始後に、ゼロクロス検出部11からのパルス(n=3、n=2、n=1)を3回計数すると、その次のゼロクロス検出部11からのパルス(n=0)で動作状態AT12を開始する。そして、動作状態における所定時間T1が経過すると、制御部15Bは、PLC部14およびI/O部16を待機状態とする。待機状態は、本実施形態では、次に待機回数を収容した通信信号を受信するまで、現在の待機回数で継続される。
なお、上述では、カウント値は、動作状態の開始後の値であるが、動作状態の終了後の値であってもよい。また、待機回数を収容した通信信号にこの待機回数で待機状態の継続時間を続ける回数(待機回数継続回数)をさらに収容し、この待機回数継続回数で現在の待機回数での待機状態の継続時間を行うように、電力線搬送通信装置が構成されてもよい。あるいは、予め電力線搬送通信装置にデフォルトに復帰する待機回数継続回数を予め設定するように、電力線搬送通信装置が構成されてもよい。
このように動作することによって、第2実施形態にかかる電力線搬送通信装置では、通信信号によって待機状態の継続時間を調整することができ、動作状態の開始タイミングを調整することができる。そして、動作状態の開始タイミングを遅らせるように待機状態の継続時間を長くするように調整することによって、さらに省電力化を図ることが可能となる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第3の実施形態)
第1実施形態では、図2に示すように商用電源のゼロクロスごとに間欠動作を行っているが、第3実施形態は、動作状態を商用電源のゼロクロスに応じたタイミングで開始するが、その動作状態の継続時間を設定することができる電力線搬送通信装置の実施形態である。このため、第3実施形態の電力線搬送通信装置は、その制御部15Cの機能が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの制御部15Aの機能と異なる点を除き、その構成が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの構成と同様であるので、その説明を省略する。
制御部15Cは、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路を備えて構成され、ゼロクロス検出部11で検出したゼロクロスタイミングに基づいて動作するように、PLCを行うために、PLC部14およびI/O部16等の各部を制御する回路である。制御部15Cは、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングと同期して出力されるパルスが入力され、PLC部14およびI/O部16等の各部通信部を待機状態と動作状態とを繰り返すように間欠動作させる場合に、このゼロクロス検出部11から入力されたパルスに応じたタイミングで動作状態を開始する。そして、注目すべきは、制御部15Cは、動作状態の継続時間を指定する時間情報を収容した通信信号を結合部13およびPLC部14によって受信した際に、動作状態を時間情報に基づいた時間長にするように構成されている。
図4は、第3実施形態にかかる電力線搬送通信装置の動作を示すタイムチャートである。図4(A)は、商用電源の電圧波形であり、(B)は、ゼロクロス検出部11から出力されるゼロクロスタイミングのパルスであり、(C)は、電力線搬送通信装置の状態であり、そして、(D)は、PLC信号である。
このような構成の電力線搬送通信装置は、ゼロクロス検出部11で検出される商用電源のゼロクロスタイミングに応じて、動作状態と待機状態とを繰り返す間欠動作を行って、動作状態においてPLCを行う。また、図4に示す例では、待機回数を収容した通信信号が受信されており、第2実施形態で説明したように、この待機回数で待機状態の継続時間が設定されている。
そして、例えば、図4に示すように、動作状態AT21の間にPLCの通信信号SC21を受信することによって、動作状態の継続時間を指定する時間情報が取得される。この時間情報は、本実施形態では、動作状態の継続時間を指定するためのデータであり、動作状態の継続時間Tonである。
制御部15Cは、この動作状態の継続時間Tonを取得すると、図4(B)および(C)に示すように、ゼロクロス検出部11から制御部15Bへゼロクロスタイミングに応じて入力されるパルスを計数(カウント)し、動作状態の開始後のカウント値がこの取得された待機回数と一致すると、図4(C)に示すように、PLCで通信を行うために、その次に、ゼロクロス検出部11から制御部15Cへゼロクロスタイミングに応じて入力されたパルスに応じた開始タイミングで、この指定された動作状態の継続時間Tonだけ、PLC部14およびI/O部16を動作状態とする。そして、動作状態におけるこの継続時間Tonが経過すると、制御部15Cは、PLC部14およびI/O部16を待機状態とする。この動作状態の継続時間Tonは、本実施形態では、次に動作状態の継続時間Tonを収容した通信信号を受信するまで、現在の継続時間Tonで動作状態が継続される。
なお、動作状態の継続時間Tonを収容した通信信号にこの継続時間Tonで動作状態の継続時間を続ける回数(動作時間継続回数)をさらに収容し、この動作時間継続回数で現在の動作状態の継続時間Tonで動作状態を継続するように、電力線搬送通信装置が構成されてもよい。あるいは、予め電力線搬送通信装置にデフォルトに復帰する動作時間継続回数を予め設定するように、電力線搬送通信装置が構成されてもよい。
このように動作することによって、第3実施形態にかかる電力線搬送通信装置では、通信信号によって動作状態の継続時間を調整することができる。このため、伝送するデータのサイズに応じて動作状態の継続時間を調整することが可能となる。したがって、通常は、動作状態の継続時間を比較的短く設定して省電力化を図りつつ、必要に応じて動作状態の継続時間を通常の場合よりも長くすることによって、通常の場合では伝送することができないサイズのデータも伝送することが可能となる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第4の実施形態)
第1実施形態では、図2に示すように商用電源のゼロクロスごとに間欠動作を行っているが、第4実施形態は、動作状態を商用電源のゼロクロスに応じたタイミングで開始するが、人感センサの検出出力に応じて待機状態の継続時間が変更される電力線搬送通信装置の実施形態である。このため、第4実施形態の電力線搬送通信装置は、その制御部15Dの機能が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの制御部15Aの機能と異なる点を除き、その構成が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの構成と同様であるので、その説明を省略する。
本実施形態では、電力線搬送通信装置のI/O部16に、人の存否を検出するための人感センサが接続されている。人感センサは、例えば、人の赤外線を検知することによって人の存否を検出するセンサや、画像を解析することによって人の存否を検出するセンサ等がある。
制御部15Dは、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路を備えて構成され、ゼロクロス検出部11で検出したゼロクロスタイミングに基づいて動作するように、PLCを行うために、PLC部14およびI/O部16等の各部を制御する回路である。制御部15Dは、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングと同期して出力されるパルスが入力され、PLC部14およびI/O部16等の各部通信部を待機状態と動作状態とを繰り返すように間欠動作させる場合に、このゼロクロス検出部11から入力されたパルスに応じたタイミングで動作状態を開始する。そして、注目すべきは、制御部15Dは、I/O部16から制御部15Dへ入力される人感センサの検出出力に応じて、待機状態の継続時間を変更するように構成されている。例えば、制御部15Dは、人感センサの検出出力から人感センサが人を検知していない場合には、PLC部14およびI/O部16等の各部を比較的長い継続時間で待機状態とし、人感センサの検出出力から人感センサが人を検知している場合には、PLC部14およびI/O部16等の各部を比較的短い継続時間で待機状態としている。
図5は、第4実施形態にかかる電力線搬送通信装置の動作を示すタイムチャートである。図5(A)は、商用電源の電圧波形であり、(B)は、ゼロクロス検出部11から出力されるゼロクロスタイミングのパルスであり、(C)は、人感センサの検出出力であり、(D)は、電力線搬送通信装置の状態であり、そして、(E)は、PLC信号である。
このような構成の電力線搬送通信装置は、ゼロクロス検出部11で検出される商用電源のゼロクロスタイミングに応じて、動作状態と待機状態とを繰り返す間欠動作を行って、動作状態においてPLCを行う。
より具体的には、本実施形態では、制御部15Dは、図5(C)に示すように、I/O部16を介して入力される人感センサの検知出力が人を検知していない場合(未検知)には、図5(D)および(E)に示すように、3個のゼロクロスおきに動作状態を開始するように、PLC部14およびI/O部16を制御している。すなわち、制御部15Dは、図5(B)および(D)に示すように、ゼロクロス検出部11から制御部15Dへゼロクロスタイミングに応じて入力されるパルスを計数(カウント)し、動作状態の開始後のカウント値が2となると、図5(D)に示すように、PLCで通信を行うために、その次に、ゼロクロス検出部11から制御部15Dへゼロクロスタイミングに応じて入力されたパルスに応じた開始タイミングで予め設定された所定時間T1だけ、PLC部14およびI/O部16を動作状態AT31とする。そして、動作状態における所定時間T1が経過すると、制御部15Dは、PLC部14およびI/O部16を待機状態とする。
そして、図5(C)に示すように、人の検知を示す人感センサの検知出力がI/O部16を介して入力されると(検知)、制御部15Dは、図5(D)および(E)に示すように、ゼロクロスのたびに所定時間T1で動作状態AT32、AT33、AT34、AT35を開始するように、PLC部14およびI/O部16を制御する。
そして、図5(C)に示すように、人を検知していないことを示す人感センサの検知出力がI/O部16を介して入力されると(未検知)、制御部15Dは、図5(D)および(E)に示すように、3個のゼロクロスおきに所定時間T1で動作状態を開始するように、PLC部14およびI/O部16を制御する。
このように動作することによって、第4実施形態にかかる電力線搬送通信装置では、人感センサの出力に応じて待機状態の継続時間を変更することができる。したがって、複数の電力線搬送通信装置によって通信システムが構成されている際に、人感センサによって人が検知されない場合には、待機状態の継続時間を長くするとともに、人感センサによって人が検知された場合には、待機状態の継続時間を短くすることによって、省電力化を図りつつ、各電力線搬送通信装置間の通信の応答性を高めることが可能となる。また、電力線搬送通信装置に他の機器(例えば照明器具やエアコン等)が接続され、電力線搬送通信装置で受信された通信信号に収容されている情報に基づいて前記他の機器が制御される場合に、この前記他の機器における制御の応答性も高めることが可能となる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第5の実施形態)
第1実施形態では、図2に示すように商用電源のゼロクロスごとに間欠動作を行っているが、第5実施形態は、動作状態を商用電源のゼロクロスに応じたタイミングで開始するが、伝送エラーの場合には動作状態の開始タイミングを本来の開始タイミングから前または後にずらす電力線搬送通信装置の実施形態である。このため、第5実施形態の電力線搬送通信装置は、その制御部15Eの機能が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの制御部15Aの機能と異なる点を除き、その構成が第1実施形態の電力線搬送通信装置1Aの構成と同様であるので、その説明を省略する。
制御部15Eは、例えば、マイクロプロセッサ及びその周辺回路を備えて構成され、ゼロクロス検出部11で検出したゼロクロスタイミングに基づいて動作するように、PLCを行うために、PLC部14およびI/O部16等の各部を制御する回路である。制御部15Dは、ゼロクロス検出部11からゼロクロスタイミングと同期して出力されるパルスが入力され、PLC部14およびI/O部16等の各部通信部を待機状態と動作状態とを繰り返すように間欠動作させる場合に、このゼロクロス検出部11から入力されたパルスに応じたタイミングで動作状態を開始する。そして、注目すべきは、制御部15Eは、電力線搬送通信の伝送エラーを検出した場合に、ゼロクロス検出部11で検出したゼロクロスタイミングに応じたタイミングを前または後にずらしたタイミングで動作状態を開始するように構成されている。
このような動作状態の開始タイミングを本来のタイミングからずらす動作は、電力線搬送通信装置がPLCの通信信号を送信する場合に行ってもよい。このような場合では、伝送エラーは、例えば、通信先の電力線搬送通信装置から通信信号の受信完了を示す通信信号、いわゆるACK信号を受信したか否かで判断することができる。制御部15Eは、ACK信号を受信できなかった場合に伝送エラーと判断する。あるいは、このような動作状態の開始タイミングを本来のタイミングからずらす動作は、電力線搬送通信装置がPLCの通信信号を受信する場合に行ってもよい。このような場合では、伝送エラーは、例えば、受信した通信信号を復調した結果、通信信号の終わりを示すデータがあるか否かによって判断することができる。制御部15Eは、通信信号の終わりを示すデータがなかった場合に伝送エラーと判断する。
図6は、第5実施形態にかかる電力線搬送通信装置の動作を示すタイムチャートである。図5(A)は、商用電源の電圧波形であり、(B)は、第1電力線搬送通信装置(第1PLC通信装置)におけるゼロクロス検出部11から出力されるゼロクロスタイミングのパルスであり、(C)は、第2電力線搬送通信装置(第2PLC通信装置)におけるゼロクロス検出部11から出力されるゼロクロスタイミングのパルスであり、(D)は、第1電力線搬送通信装置の状態であり、(E)は、第2電力線搬送通信装置の状態であり、そして、(F)は、PLC信号である。
このような構成の第1および第2電力線搬送通信装置は、ゼロクロス検出部11で検出される商用電源のゼロクロスタイミングに応じて、動作状態と待機状態とを繰り返す間欠動作を行って、動作状態においてPLCを行う。以下、第1電力線搬送通信装置の各部の符号にさらに“−1”を付加するとともに、第2電力線搬送通信装置の各部の符号にさらに“−2”を付加する。これによって第1電力線搬送通信装置の各部と第2電力線搬送通信装置の各部とを区別することとする。
そして、図6(B)に示すように、第1電力線搬送通信装置では、そのゼロクロス検出部11−1によって商用電源のゼロクロスタイミングが検出され、この検出したゼロクロスタイミングに応じてパルスが制御部15E−1へ出力される。このパルスが入力されると、制御部15E−1は、図6(D)に示すように、PLCで通信を行うために、この入力されたパルスに応じた開始タイミングで予め設定された所定時間T1だけ、PLC部14−1およびI/O部16−1を動作状態AT411とする。第1電力線搬送通信装置は、この動作状態AT411の間に、PLCの通信信号を送信する。
このような動作を第1電力線搬送通信装置が行っている際に、第2電力線搬送通信装置では、図6(C)に示すように、そのゼロクロス検出部11−2によって商用電源のゼロクロスタイミングが検出され、この検出したゼロクロスタイミングに応じてパルスが制御部15E−2へ出力される。このパルスが入力されると、制御部15E−2は、図6(E)に示すように、PLCで通信を行うために、この入力されたパルスに応じた開始タイミングで予め設定された所定時間T1だけ、PLC部14−2およびI/O部16−2を動作状態AT412とする。
ここで、例えば商用電源にノイズがのっているためや商用電源の商用周波数にゆらぎが生じているため等の原因によって、第2電力線搬送通信装置のゼロクロス検出部11−2は、第1電力線搬送通信装置がゼロクロスタイミングを検出するよりも早くゼロクロスを検出している。よって、第2電力線搬送通信装置では、動作状態AT412が第1電力線搬送通信装置の動作状態AT411の開始タイミングよりも早いタイミングで開始される。このため、第2電力線搬送通信装置では、第1電力線搬送通信装置によって第2電力線搬送通信装置宛の通信信号が完全に受信されず、伝送エラーが生じてしまう。
この伝送エラーを検出すると、図6(E)に示すように、第2電力線搬送通信装置では、次に動作状態AT422とする際に、その制御部15E−2は、ゼロクロス検出部11−2からパルスが入力されると、この入力されたパルスに応じた本来の開始タイミングよりも予め設定された時間だけ後に開始タイミングをずらして動作状態AT422を開始する。このずらす時間は、仕様等により適宜に設定される。これによって第1電力線搬送通信装置の動作状態AT421と第1電力線搬送通信装置の動作状態AT422とが略一致し、第2電力線搬送通信装置では、第1電力線搬送通信装置によって第2電力線搬送通信装置宛の通信信号が完全に受信され、ACK信号が第2電力線搬送通信装置から第1電力線搬送通信装置宛に返送される。
なお、上述では、動作状態の開始タイミングを後にずらしたが、動作状態の開始タイミングを前にずらすように、電力線搬送通信装置が構成されてもよい。また、上述では、受信側の電力線搬送通信装置が動作状態の開始タイミングをずらしたが、送信側の電力線搬送通信装置が動作状態の開始タイミングをずらすように、電力線搬送通信装置が構成されてもよい。
このように動作することによって、第5実施形態にかかる電力線搬送通信装置では、伝送エラーを低減することができる。
なお、上述の第1ないし第5実施形態における電力線搬送通信装置は、図1に示すように、ゼロクロス検出部11がインピーダンスアッパ部10の後段に設けられたが、これに限定されるものではなく、例えば、ゼロクロス検出部が結合部に設けられてもよい。
図7は、実施形態における電力線搬送通信装置の他の構成を示す図である。図7において、電力線搬送通信装置1Bは、インピーダンスアッパ部10と、電源部12と、結合部21と、PLC部14と、制御部15と、I/O部16と一対の電路17(17a、17b)とを備えて構成され、結合部21がゼロクロス検出部211を含んでいる。
図1に示す電力線搬送通信装置1Aでは、ゼロクロス検出部11がインピーダンスアッパ部10の後段に設けられたが、この図7に示す電力線搬送通信装置1Bでは、ゼロクロス検出部211が結合部21に含まれている。
このため、本電力線搬送通信装置1Bにおけるインピーダンスアッパ部10、電源部12、PLC部14、制御部15およびI/O部16は、電源部12がインピーダンスアッパ部10を介して一対の電路17によって前記電力線と接続される点を除き、図1に示す電力線搬送通信装置1Aにおけるインピーダンスアッパ部10、電源部12、PLC部14、制御部15およびI/O部16と同様であるので、その説明を省略する。
結合部21は、一対の電路17に接続され、電路17を伝送するPLCの通信信号を取り出すとともに、電路17にPLCの通信信号を重畳する回路であって、ゼロクロス検出部211を含んでいる。結合部21は、例えば、商用電源の商用周波数に対して充分に高インピーダンスを持つ結合コンデンサCrと、1次巻き線が結合コンデンサCrと直列に接続され、PLCの通信信号成分を1次側から2次側へ伝達することができる結合トランスT1と、入力側が1次巻き線に直列に接続されるゼロクロス検出部211とを備えて構成される。結合コンデンサCrと結合トランスT1とゼロクロス検出部211との直列接続回路は、一対の入力端子間に接続されており、このため、一対の電路17間に接続される。結合トランスT1の2次側には、PLC部14が接続される。
ゼロクロス検出部211は、商用電源のゼロクロスタイミングを検出し、この検出したゼロクロスタイミングに同期してパルスを出力する回路である。ゼロクロス検出部211は、このゼロクロスタイミングに同期したパルスを制御部15へ出力する。ゼロクロス検出部211は、例えば、AC入力対応のフォトカプラPCと、フォトカプラPCの一対の入力端子間(アノード端子とカソード端子との間)に設けられたコンデンサCcと、フォトカプラPCの出力側に直列に接続される抵抗素子Rbとを備えて構成される。コンデンサCcは、フォトカプラPCの互いに逆並列に接続されている2個の発光ダイオードLED1、LED2に並列に接続され、PLCの通信信号の周波数帯に対して充分に低いインピーダンス特性を持ち、そして、商用周波数に対して充分に高いインピーダンス特性を持っている。抵抗素子Rbには、電源部12が接続されており、抵抗素子Rbを介して電源部12からフォトカプラPCの出力側に電圧が印加されている。
このような構成の電力線搬送通信装置1Bでは、ゼロクロス検出部211は、結合部21に含まれるため、電源部分と通信部分とを分離することが可能である。このため、ゼロクロス検出部11を搭載することが難しい電源ユニットを電源部12として採用することが可能となる。
また、図7に示す例では、ゼロクロス検出部211は、結合コンデンサCrと結合トランスT1の1次側との直列回路に接続されている。商用周波数に対して、結合コンデンサCrのインピーダンスは、高い一方、結合トランスT1の1次巻き線のインピーダンスは、充分に低い。このため、ゼロクロス検出部211には、結合コンデンサCrのインピーダンスによって制約される電流が流れることになり、ゼロクロス検出部211は、結合コンデンサCrを流れる商用電源の電流波形によってゼロクロスを検出している。したがって、ゼロクロス検出部211の駆動電流値を抵抗素子ではなく、コンデンサCrによって決定することができるため、前記抵抗素子による消費電力分だけ消費電力を削減することができる。なお、商用電源が100Vで60Hzの場合であって、フォトカプラPCの入力側に10mAの電流を流すためには、結合コンデンサCrは、約0.27μFでよく、そのインピーダンスは、例えば100kHzで約5.9Ωであり、また例えば2MHzで約0.3Ωである。よって、低速PLCの場合でも高速PLCの場合でも結合コンデンサCrは、PLCの通信信号を通過させる点で充分な値である。
また、ゼロクロス検出部211におけるフォトカプラPCの一対の入力端子間には、コンデンサCcが設けられている。このため、商用電源が0V近傍となってフォトカプラPCが遮断領域で動作することになった場合でも、PLCの通信信号は、コンデンサCcを経由して電路17(前記電力線)に重畳することが可能となる。このため、動作状態の時間が商用電源のゼロクロスを含んだ長さに設定されたとしても、PLCを行うことが可能となる。したがって、動作状態の時間設定に制約がなくなり、比較的大きなサイズのデータを収容したPLCの通信信号を伝送することが可能となる。
なお、動作状態の時間設定に制約があってもよい場合には、このコンデンサCcを省略可能である。また、フォトダイオードPCの遮断領域は、例えば、発光ダイオードLED1、LED2がシリコンで形成されている場合には、約±0.7の範囲となる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。