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JP5127278B2 - 熱型赤外線固体撮像素子及び赤外線カメラ - Google Patents

熱型赤外線固体撮像素子及び赤外線カメラ Download PDF

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Description

本発明は、入射赤外線による温度変化を2次元配列された半導体センサで検出する熱型赤外線固体撮像素子に関し、特に、半導体センサからの電気信号を信号処理回路にて積分処理した後に出力する熱型赤外線固体撮像素子及びそれを用いた赤外線カメラに関する。
従来より、熱型赤外線固体撮像素子に関して種々の技術が開示されている。
例えば、非特許文献1に示す熱型赤外線固体撮像素子は、トランジスタにより定電流駆動されたダイオードの順方向電圧を積分トランジスタのゲートに入力しているゲート変調積分回路を備える。積分トランジスタのソースには固定電圧Vssが、ドレインには周期的にリセットされる積分容量Cinが接続されている。リセット後に、ある行のダイオードの陽極側に電源電圧を印加する。赤外線によりダイオードの温度が変化すると積分トランジスタMiのゲート電圧が変化し、それにともない、積分容量の放電量が変化し、その電圧をS/H回路を介して外部に読みだす。
また、特許文献1に示す熱型赤外線固体撮像素子は、積分回路において、ゲート変調トランジスタのゲート入力に、切替スイッチを設け、画素の電圧と断熱構造がない基準画素の電圧とを切り替えている。ゲート変調トランジスタのドレインには、バイアス用トランジスタとスイッチと容量とからなるバイアス電流供給回路を設け、さらに結合容量を介して積分容量と、積分トランジスタのドレインの間を交流結合している。バイアス電流供給回路により、積分容量の定常的な放電を抑えることで、電源電圧の上昇なく高利得な積分回路を得る。さらに、切替スイッチが基準画素になるときにバイアス電流を決定し、その電流を流すために必要なゲートバイアスを容量に保持することで、素子温度変動による出力変動を抑圧する。さらに、バイアス電流供給回路において、容量にはスイッチがオフになる直前の積分トランジスタとバイアス用トランジスタが流す雑音電流のゲート入力換算電圧が保持されるので、積分期間中にほぼ一定とみなせる低周波雑音(1/f雑音)は、積分容量に蓄積されず、低雑音化が図れる。
また、特許文献2に示す熱型赤外線固体撮像素子では、積分トランジスタ(増幅トランジスタ)のゲートと画素エリア間を第1の結合容量により交流結合する。積分トランジスタのゲートとドレイン間にサンプリングトランジスタを設けている。積分トランジスタのドレインはリセットトランジスタを介して電源に接続されるとともに、制御スイッチと第2の結合容量を介して、第1のスイッチにより周期的にクランプされる積分容量に接続される。積分容量の後段には、第2のスイッチと容量からなるサンプルホールド回路が接続される。画素エリアの最終行には断熱構造をもたない基準画素行を設けている。1水平期間の前半で、一旦、積分トランジスタのドレインをリセットする。続いて、第2のスイッチをオンにして第1の結合容量のゲート側に積分トランジスタのしきい値電圧を保持する。その後、第2のスイッチを開放して、続く期間で基準画素行を入力する。このとき、第1のスイッチをオンにしておく。これにより、しきい値電圧からの変動分にたいする信号電圧を第2の結合容量に保持する。続いて、第1のスイッチを開放にし、画素行を選択することで、積分容量には基準画素と温度が異なる信号のみを積分容量に蓄積できる。本発明により積分トランジスタのしきい値電圧のばらつきと、第2のスイッチが開放時に第1の結合容量のゲート側に蓄積されるリセット雑音と、素子温度変動による出力変動を抑圧できる。さらに、第2の結合容量の働きにより、積分トランジスタと電流源トランジスタ8の1/f雑音も抑圧される。
特開2005-241501(図1、図2、図7) 特開2002-300475(図15、図16) 「従来のシリコンICプロセスを用いた低コスト320×240非冷却IRFPA」、石川等、Part of the SPIE Conference on infrared Technology and Applications XXV、1999年4月発行、Vol.3698、p.556頁から564頁(図7、図9)
例えば、非特許文献1の熱型赤外線固体撮像素子では以下の課題がある。
1)基準となる赤外線入射状態でも、積分容量Cinの電位は積分時間内にリセット電圧Vrefから放電するので、低電圧駆動化が困難である。特に高感度化を図る為にバイアス電流を増加させて積分回路の利得を増加させたり、低雑音化を図る為、積分時間を長くしたりすると、放電量が大きくなるので、より深刻になる。
2)積分トランジスタのソース電圧Vssが必要である。積分トランジスタの電流はゲート電圧とソース電圧の差に依存するので、ソース電圧Vssの変動により、積分回路の出力電圧が変化する。
3)画素の出力電圧は環境温度変化によっても変化する。この変化は入射赤外線の変化と区別がつかない。
また、特許文献1の図7に示す固体撮像装置の場合、スイッチの画素側の電圧は電源電圧から、ダイオードの順方向電圧と駆動線と信号線間の電圧降下とを減じたものとなる。電圧降下は電源端子に近い左側端では小さく、右側端で大きくなる。この電圧降下は流す電流量と駆動線の配線幅と画素ピッチできまる抵抗に依存するが、1画素あたり0.5Ωの配線抵抗、画素電流が10μA、水平画素数が320とすると、駆動線の左端と右端で260mVの電圧差が生じる。この電圧は通常、積分トランジスタの敷居値電圧に比べ無視できない値になる。積分回路の利得をきめる積分トランジスタの相互コンダクタンスは(ゲート電圧―敷居値電圧)に比例するので、画素エリアの水平方向で積分回路の利得分布が発生し、画面の感度ムラとなって現れる課題があった。この課題は敷居値電圧を充分大きく設定するか、画素電流を減らす、駆動線抵抗を減らす等の工夫で減少可能であるが、ムラを完全に0にはできかった。なお、信号線での電圧効果分布もあるが、これは駆動線に接続される選択スイッチのドレイン側の電源線抵抗を画素エリア内の信号線の抵抗の1/(水平画素数)に設定することで、垂直方向のどの行をとっても信号線での電圧降下と電源線での電圧降下を加えたものを一定にすることができるため問題にはならない。
また、特許文献2では以下の課題がある。
1)水平走査期間の間に無感光画素の読み出し期間と感光画素の読み出し期間を設ける必要がある。両者の信号を積分後に結合容量で減算するために、両期間を等しくする必要がある。水平走査期間はTVフォーマットで決められる場合がほとんどのため、信号の積分時間は水平走査期間の1/2以下になる。よって積分時間に比例する積分回路利得は下がり、また積分時間に反比例する雑音帯域幅は広くなり、雑音が従来に比べ大きくなる。
2)積分トランジスタのしきい値電圧変動のよる信号変動を抑えることが大きな特徴であるが、積分トランジスタのしきい値電圧をサンプリングするときに、積分トランジスタは電流がカットオフ方向になるためサンプリングに長い時間が必要になる。
この方式を適用した報告(IDW/AD'05(第12回ディスプレイ国際ワークショップ/アジアディスプレイ2005 “A Novel Noise Reduction Technique for the Uncooled Infrared Image Sensor with Bulk-micromachined Pixels”)ではサンプリング1回の20μ秒では短く、それを複数回行う必要があり、この報告では、5回以上必要と述べている。通常のセンサでは積分時間を1水平走査期間の約50μ秒に設定し、水平帰線期間の約10μ秒に容量のリセット等を行うことが望ましい。1水平行ごとに画素に通電をおこなうので、これにより画素の雑音帯域幅をもっとも減少させることができ、センサのS/N改善にも有効である。よって、この従来例では、水平帰線期間内にしきい値電圧をサンプリングが行えず、その効果を十分に生かすことができない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、電源電圧を上げることなく、高利得化が容易で、かつ利得や出力電圧に敏感なバイアス電圧が不要で、さらに環境温度の変動に対する出力の変化や画面内の感度ムラが少なく、1/f雑音を含めた雑音の減少効果が大きい熱型赤外線固体撮像素子、及びそれを用いた赤外線カメラを提供することを目的とする。
本発明に係る熱型赤外線固体撮像素子は、少なくとも1つ以上直列接続され、断熱構造と赤外線吸収構造を備えた温度検出素子によって赤外線検知画素が構成され、その画素が2次元状に配列された画素エリアと、画素の陽極を行毎に共通接続した複数の駆動線と、画素の陰極を列毎に共通接続し、列毎の終端に第1の定電流化手段を備えた複数の信号線と、駆動線を順次選択し、選択した駆動線と画素用電源を接続する垂直走査回路と、信号線毎に、第1の定電流化手段の近傍に設けられ、第1の定電流化手段と実質的に同一の電流を流す第2の定電流化手段と、第1の定電流化手段の電位と第2の定電流化手段の電位の差により変調した電流を出力する積分回路と、積分回路の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路と、サンプルホールド回路の出力を列毎に選択する水平走査回路とを備える。
積分回路は、第1の定電流化手段の電位と前記第2の定電流化手段の電位の差により、出力する電流を変調する積分トランジスタと、変調された電流を蓄積するともに、周期的に基準電圧にリセットされる積分容量と、保持容量が接続されたゲートを有し、前記積分トランジスタに直列接続されたバイアス電流供給用トランジスタと、バイアス電流供給用トランジスタと前記積分トランジスタの接続点と、前記バイアス供給用トランジスタのゲート間の接続/遮断を行うゲート接続スイッチと、接続点と積分容量を交流結合する出力結合容量と、積分トランジスタのゲートに接続されバイアス電圧を供給可能なゲートバイアススイッチと、積分トランジスタのゲートに接続され、第1の定電流化手段の電位と第2の電流化手段の電位の入力を切り替える入力切替スイッチと、入力切替スイッチと積分トランジスタのゲートを交流結合する入力結合容量とを備える。積分容量のリセット期間は水平帰線期間内に設けられ、水平走査期間の残りの期間のほぼ全体を積分動作期間とし、ゲートバイアススイッチが非導通になるタイミングはゲート接続スイッチが非導通になるタイミングより前に設定されている。
本発明によれば、バイアス電流供給トランジスタのゲートに接続された保持容量に、ゲート接続スイッチがオンになったときの積分トランジスタに入力される信号に応じて流れる電流を供給するのに必要なバイアス電流供給トランジスタのゲート電圧と、そのときの1/f雑音電流に対応する入力換算ゲート電圧とが保持される。そして、ゲート接続スイッチがオフになった後に積分トランジスタの入力電圧がゲート接続スイッチのオン時から変化すると、この変化分による積分トランジスタの電流変化が、出力結合容量にて交流結合された積分容量に流れ積分動作が行われる。これにより、バイアス電流設定用のバイアス電圧設定が不要になり、積分容量にはバイアス電流は流れず、よって、積分容量のリセット電圧を高くしたり、積分時間を短くしたりすることなく、高利得化、低雑音化を実現できる。
さらに、赤外線に感知せず、環境温度変化に応じた出力をとりだす基準画素(非断熱画素)を配置して、この出力をゲート接続スイッチオン時に積分トランジスタに入力することで、環境温度変化に応じた画素出力に対応してバイアス電流が決定されるので、基準画素と通常画素の差である信号電流のみが積分される。すなわち、環境温度変化に対する出力の変動を低減できる。
また基準画素からの信号入力時にゲートバイアススイッチをオンにしておくことで、ゲートバイアス電圧によって積分トランジスタの動作点が決められるので、2次画素アレイに適用した場合、積分トランジスタの動作点は画素列間で一定となり、感度ムラを抑制できる。
実施の形態1.
(熱型赤外線固体撮像素子の全体構成)
図1は本発明の実施形態1による熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図である。赤外線検出画素101は断熱構造を備えたダイオードからなる。赤外線検出画素101は2次元マトリクス状に配置されて画素エリアを構成する。赤外線検出画素101(ダイオード)の陰極側は垂直信号線102により列毎に共通接続され、垂直信号線102の端にトランジスタ103が接続されている。トランジスタ103のゲートは共通接続され、飽和領域で動作するためのバイアス電圧VGCが与えられている。これにより、トランジスタ103は赤外線検出画素101に一定の電流を供給する定電流源として動作する。また、赤外線検出画素101の陽極側は、水平駆動線104により行毎に共通接続される。水平駆動線104の端は、垂直シフトレジスタ105で駆動される垂直選択トランジスタ106を介して電源線107に接続される。
トランジスタ103に隣接して同一形状のトランジスタ110が配置される。トランジスタ110のドレインはダミー駆動線109により共通接続されている。トランジスタ110のゲートも共通接続され、トランジスタ103と同じバイアス電圧が与えられている。ダミー駆動線109は水平駆動線104と同一形状であり、これにより、ダミー駆動線109内での電圧降下分布は水平駆動線104内のそれと同じになる。
画素エリアの端には入射赤外線には反応せず、素子温度に反応する基準画素(または「非断熱画素」ともいう。)111が設けられている。基準画素111は電流源112により定電流駆動されている。電流源112のドレインに現れる、素子温度に反応した電圧は、バッファアンプ113とノイズ低減用の低域通過フィルタ114を介してダミー駆動線109に与えられる。電流源110、103のドレイン側の電圧は差動積分回路108に入力され、差動積分回路108において、電流源110、103のドレイン側の信号の差信号のみが積分される。この差信号は、入射赤外線に応じた信号から、水平駆動線104内の電圧降下分布と素子温度による変化分が除去された信号となる。積分された信号はサンプルホールド回路115によりホールドされる。次の水平行の画素出力を同様に積分している間に、サンプルホールド回路115で保持された前の行の信号は、バッファアンプ116と、水平走査回路118により順に選択される水平選択トランジスタ117を介して出力アンプ119に入力される。
なお、基準画素111の信号が入力されるダミー駆動線109の電位と、検出画素101の出力とを差動積分回路108により積分する構成については、本出願人が先に出願した特開2003-222555号公報のものと同じである。この特開2003-222555号公報では、MOSトランジスタ4個を用いた差動積分回路が開示されていた。本発明では、2個のMOSトランジスタを含み、かつ1/f雑音の低減効果を有する差動積分回路の構成を提供する。
(差動積分回路)
図2に差動積分回路108の回路構成を示す。本実施の形態における差動積分回路108は、主として、バイアス電流供給用トランジスタ206、バイアス電流供給用トランジスタ206のゲートに接続したゲート接続スイッチ209、バイアス電流供給用トランジスタ206のゲートに接続した保持容量208、積分トランジスタ203、入力結合容量202、ゲートバイアススイッチ204、入力切替スイッチ201、積分トランジスタ203のドレインと接地間に直列接続された出力結合容量210と積分容量211、及び積分容量リセットスイッチ212から成る。
積分トランジスタ203はNチャンネルトランジスタから成り、ソース接地される。積分トランジスタ203のドレインと電源207の間には、Pチャンネルトランジスタから成るバイアス電流供給用トランジスタ206が直列接続されている。ここで「直列接続」とは、接続された2つのトランジスタ間でソース−ドレイン電流が連続して流れ得る接続状態をいう。図2の例では、バイアス電流供給用トランジスタ206のソースが電源207に接続され、ドレインが積分トランジスタ203のドレインと接続されている。積分トランジスタ203のゲートには入力結合容量202を介して入力切替スイッチ201が接続されている。入力切替スイッチ201により、定電流源103のドレイン電圧(すなわち、赤外線検出画素101の出力電圧)と、定電流源110のドレイン電圧(すなわち、基準画素111の出力電圧)の間が切替えられるようになっている。さらに、積分トランジスタ203のゲートにはゲートバイアススイッチ204を介してバイアス電源VBが接続されている。
一方、バイアス電流供給用トランジスタ206のゲートには、保持容量208が接続されると共に、そのゲートをバイアス電流供給用トランジスタのドレイン(すなわち、バイアス電流供給用トランジスタ206と積分トランジスタ203の接続点)と接続するためのゲート接続スイッチ209が接続されている。
本実施の形態では、赤外線検出画素101と基準画素111はいずれも、単一もしくは直列接続された、温度センサとして機能する複数のダイオードを有している。また、基準画素111は、断熱構造及び/又は赤外線吸収構造を有しないことを除いて赤外線検出画素101と実質的に同じ構造を有する。
(熱型赤外線固体撮像素子の画素(温度センサ)の構造)
次に、本発明の各実施形態の熱型赤外線固体撮像素子における画素(温度センサ)の構造について説明する。図3(a)及び(b)はそれぞれ、本実施の形態に係る熱型赤外線固体撮像素子における赤外線検出画素101の構造例を模式的に示す断面図及び斜視図である。
赤外線検出画素101において、温度センサとして動作するPN接合ダイオード303が2本の長い支持脚305によってシリコン基板301に設けられた中空部304の上に支持されており、ダイオード303の電極配線306が支持脚305内に埋め込まれている。ダイオード303は、感度を高めるために複数個が直列に接続されていることが好ましい。中空部304は、ダイオード303とシリコン基板301との間の熱抵抗を高めて断熱構造を形成している。この例では、ダイオード303がSOI基板のSOI層上に形成されており、SOI層下の埋め込み酸化膜が中空構造を支持する構造体の一部になっている。また、ダイオード部に熱的に接触している赤外線吸収構造307が、図の上方から入射する赤外線を効率良く吸収できるように、支持脚305の上方に張り出した構造となっている。SOI基板のSOI層に、温度センサとして動作するダイオードを形成すれば、温度センサを単結晶シリコンで形成できると同時に、SOI層下の埋め込み酸化膜302を支持体として利用して容易に断熱構造を形成することができる。尚、図3(b)では下部の構造を判りやすくするため、図の前方の部分での赤外線吸収構造307を除いている。
赤外線が赤外線検出画素101に入射すると、赤外線吸収構造307で吸収され、上記の断熱構造により画素101の温度が変化し、温度センサとして動作するダイオード303の順方向電圧特性が変化する。このダイオード303の順方向電圧特性の変化量を所定の検出回路で読み取ることにより、入射した赤外線量に応じた出力信号を取出すことができる。熱型赤外線固体撮像素子では、画素101が2次元マトリクス状に多数配列されており、それらを順にアクセスしていく構造となっている。このような素子では画素間の特性の均一性が重要であるが、ダイオードの順方向電圧やその温度依存性は固体間のバラツキが非常に小さく、熱型赤外線撮像素子にとって温度センサにダイオードを用いることは特性の均一性を図る上で特に有効である。
本実施の形態において、素子温度を検出する基準画素111は、断熱構造及び/又は赤外線吸収構造をなくす以外、赤外線検出画素101と実質的に同一の構造を有している。赤外線吸収に対する感度が必要なレベルにまで低下できるのであれば、断熱構造と赤外線吸収構造のいずれか一方は残していても良い。このような基準画素111によって基準信号を出力することにより、素子温度に応じた赤外線検出画素101の応答を正確に模擬することができ、精度の高い温度ドリフト補正が可能となる。
(低域通過フィルタ)
低域通過フィルタ114は、基準画素111、電流源112、バッファアンプ113で発生する雑音をカットし温度ドリフト成分のみを抽出するためのものである。低域通過フィルタ114の回路構成例を図4に示す。図4(a)に示す構成は受動素子を用いたもので、抵抗401と容量402を含む。抵抗401はリアクタンスでもよい。バッファアンプ113側の出力に挿入するフィルタとしては直流電圧降下がないリアクタンスの方が望ましい。抵抗401はバッファアンプ113の出力抵抗で代用してもよい。図4(b)の構成は、能動素子である演算増幅器403を用いた積分回路であり、この回路構成も低域通過フィルタとして一般的であるので詳細な説明は省略する。
(サンプルホールホールド回路とバッファアンプ)
図5にサンプルホールホールド(S/H)回路115とバッファアンプ116の回路構成例を示す。S/H回路は、S/Hスイッチ501、S/H容量502、及びS/H容量502のリセットスイッチ503から成る。バッファアンプ116はロードトランジスタ506とドライバトランジスタ505からなるソースフォロワアンプとなっている。
(熱型赤外線固体撮像素子の動作)
本実施の形態における熱型赤外線固体撮像素子の動作について図1、図2、図6A及び図6Bを参照しながら説明する。
図6Aは、本実施の形態の熱型赤外線固体撮像素子の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図6Bは積分容量リセットスイッチ212がオンになっている期間における各スイッチ201、209、204の状態を拡大して示した図である。なお、図6Aにおいて、図6Bに示すゲートバイアススイッチ204とゲート接続スイッチ209の状態は省略している。図6Aに示すように、S/Hスイッチ214がオフとなってデータのサンプリングが終了すると、積分容量リセットスイッチ212がオンとなって積分容量211のリセット期間に移行する。積分容量211のリセット期間には、バイアス電流供給用トランジスタ206のゲート接続スイッチ209も導通状態となっており、バイアス電流供給用トランジスタ206のゲートはドレインに接続されている。
従って、積分トランジスタ203に流れるソース−ドレイン電流と同じだけの電流がバイアス電流供給用トランジスタ206を流れるように、バイアス電流供給用トランジスタ206のゲート電圧が自動的に決定される。このとき、ゲートバイアススイッチ204もオンになっており積分トランジスタ203のゲートにはバイアス電圧VBが入力されている。よって、バイアス電流供給用トランジスタ206と積分トランジスタ203を流れる電流はゲートバイアス電圧VBにより決まる電流となっている。
積分トランジスタ203のゲートには、入力結合容量202を経由して入力切替スイッチ201により基準画素111の出力電圧が入力されている。これにより、入力結合容量202には基準画素111とバイアス電圧VBの差に応じた電荷が蓄積される。
つぎに、積分容量211の積分動作期間に移行する。まず、ゲートバイアススイッチ204をオフにする。この状態では積分トランジスタ203のゲート電圧はバイアスVBのままである。つぎに、ゲート接続スイッチ209をオフにする。保持容量208の働きによりバイアス電流供給用トランジスタ206の電流は保持される。続いて、入力切替スイッチ201を赤外線検出画素101側に切り替える。入力結合容量202の働きにより、積分トランジスタ203のゲート電圧は、バイアス電圧VBから、赤外線検出画素101と基準画素103の出力差だけ変化する。つづいて積分容量リセットスイッチ212がオフになると、前述の変化分に、積分トランジスタ203の相互コンダクタンスを乗じた電流変化が出力結合容量210を介して積分容量211に流れ、これにより積分動作が実行される。なお、積分容量のリセット期間は水平帰線期間内に設けられ、水平走査期間の残りの期間のほぼ全体を積分動作期間とする。
図6A(d)は、この積分回路における積分容量211の波形を示している。環境温度に対応した赤外線の入射状態(赤外線検出の基準となる赤外線入射状態 では積分容量211の電圧は積分時間内でほとんど変化せず、図6A(d)の"601"に示すような変化になる。これに対し、環境温度と異なる温度物体からの赤外線が赤外線検出画素101に入力すると、積分容量211の電位は"602"又は"603"のように変化する。所定の積分時間が終了する前にS/Hリセットスイッチ503がオンになり、S/H容量502をリセットする。積分時間が終了するときに、S/Hスイッチ501がオンになり、積分容量211の電位はS/H容量502に伝達される。よって、図6A(b)に示すように、積分時間Tiは、積分容量リセットスイッチ212が非導通になってからサンプルホールドスイッチ214が非導通になるまでの時間になる。
本件発明に係る熱型赤外線固体撮像素子において、積分トランジスタ203のゲートと入力切替スイッチ201を交流結合している入力結合容量202は、積分トランジスタ203の動作点をVBに維持したまま、積分される信号を、入射赤外線に応じて変化する信号から、基準画素111の出力で表される、素子温度に応じて変化する成分を除いた信号と等しくする働きを有する。これにより図1で示したような構成で水平駆動線104、ダミー駆動線109での電圧降下分布により画素エリアの左右で差動積分回路の入力電圧が変化しても、常に、積分トランジスタ203の動作点を一定にすることが可能となり、前述の電圧分布による感度ムラをなくすことができる。
本発明に係る熱型赤外線固体撮像素子において、積分トランジスタ203と積分容量211を交流結合する結合容量210は、バイアス電流決定動作と積分動作を両立させる働きを有している。以下、これを説明する。
バイアス電流決定動作時、即ち、リセット期間中には、リセット用電源213と積分トランジスタ203の間に結合容量210が介在しているため、電源213から積分トランジスタ203へは電流が流れない。このため、積分トランジスタ203とバイアス電流供給用トランジスタ206を流れる電流は等しくなり、バイアス電圧VBに基づいてバイアス電流を決定することができる。
一方、積分動作時には、結合容量210と積分容量211が直列容量となるため、バイアス電流供給用トランジスタ206からの積分トランジスタ203への電流の変化分が、これらの容量210、211に流れて積分動作が実現される。尚、積分動作は、正確には結合容量210と積分容量211の直列容量により行われ、容量値に応じて積分値が分割される。従って分割による利得低下を防ぐには、結合容量をできるだけ大きくする方がよいが差動積分回路全体の利得が所望の値になればよく、この意味では設計上、容量値への制限はない。
このように本実施の形態における熱型赤外線固体撮像素子によれば、環境温度に対応した赤外線入射状態では積分動作期間における積分容量211の電圧降下量はほぼゼロとなる。従って、駆動電圧の低下が可能となる。また、赤外線検出画素101と基準画素111の出力差を電流に変換し、積分動作を行うため、素子温度の変動成分をキャンセルして環境温度変化による出力変動を抑制することができる。さらに、出力電圧の変動要因となるバイアス電圧設定も不要となる。
また、本実施の形態における熱型赤外線固体撮像素子では、積分電流に寄与するトランジスタはバイアス電流供給用トランジスタ206と積分トランジスタ203の2つで済む。このため差動電圧電流変換アンプを用いて積分を行う場合に比べて、雑音に寄与するトランジスタ数が大巾に減少する。例えば、特開2003-222555号公報に開示の例では、4つのトランジスタ(2つの負荷トランジスタと2つのドライバトランジスタ)が雑音発生に寄与するため、1つの積分トランジスタを用いる単純な積分回路に比べて√4倍の雑音が発生することになる。これに対して、本実施の形態における熱型赤外線固体撮像素子では、雑音発生に寄与するトランジスタ数は2個のみであるため、単純にいって雑音発生量が√4倍から√2倍に減少する。
さらには、本実施の形態における熱型赤外線固体撮像素子では、1/f雑音電流をキャンセルする動作となるため、一層雑音が低減される。即ち、バイアス電流供給用トランジスタと積分トランジスタのソース−ドレイン間を流れる電流には1/f雑音電流が含まれているが、この1/f雑音電流もバイアス電流に含まれてリセット期間中に保持されることになる。1/f雑音は一般に1kH以下で顕著になる一方、積分動作の周波数は一般に10kHz以上であるため、積分期間中は1/f雑音が一定とみなせる。積分期間中はバイアス電流からの変化分が積分電流となるため、1/f雑音電流はキャンセルされて積分電流に含まれなくなる。
また、バイアス電流決定時は常に電流が流れているため特許文献2のようにゲートバイアス設定の時間を短くすることが可能であり、特許文献2で示されたようなサンプリングを多数回行う必要もなく、積分時間を1水平走査期間全体にとることができ、雑音帯域幅の減少も可能になる。
なお、ゲートバイアス接続スイッチオフ時に入力結合容量にリセット雑音が重畳されるが、この雑音による電流変化もバイアス電流に反映されるので、リセット雑音も抑圧できる。
尚、積分容量リセットスイッチ212、バイアス電流供給用トランジスタ206のゲート接続スイッチ209、積分トランジスタ203のゲートバイアススイッチ204、及び入力切替スイッチ201の切替タイミングは全く同一である必要はなく、むしろ以下のタイミングとすることが望ましい。
各スイッチをオンにするタイミングについては、図6Bに示すように、積分容量リセットスイッチ212(時刻S1)、入力切替スイッチ201(時刻S2)、ゲート接続スイッチ209及びゲートバイアススイッチ204(時刻S3)の順であることが好ましい。特に、入力切替スイッチ201による基準画素111側への切替は、積分容量リセットスイッチ212をオンした後から行うことが好ましい。積分容量リセットスイッチ212をオンするよりも早く基準画素111に切替えてしまうと、その期間中は積分容量211に流れる積分電流が入射赤外線を正しく反映しなくなるためである。
ゲート接続スイッチ209をオンにするタイミングは、入力切替スイッチ201の切替よりも前であっても良いが、上記と同じ理由で積分容量リセットスイッチ212をオンにするタイミングよりは後にすることが重要である。なお、ゲートバイアススイッチ204をオンするタイミングはゲート接続スイッチ209がオンするタイミングから前後してもよいが、入力切替スイッチ201が基準画素101側入力に切り替わってから行うことが望ましい。
一方、各スイッチをオフにするタイミングについては、図6Bに示すように、ゲートバイアススイッチ204(時刻S4)、ゲート接続スイッチ209(時刻S5)、入力切替スイッチ201(時刻S6)、積分容量リセットスイッチ212(時刻S7)の順であることが好ましい。特に、積分容量リセットスイッチ212をオフにするタイミングは、入力切替スイッチ201を赤外線検出画素側に切替えるよりも後にすることが好ましい。積分容量リセットスイッチ212をオフにすると積分容量211への信号蓄積が始まるため、その前に赤外線検出画素101が入力する状態になっていることが重要である。また、ゲート接続スイッチ209が他の2つのスイッチよりも早くオフになることも重要である。これにより、基準画素によるバイアス電流を積分容量リセット期間中に正確にサンプリングできる。さらにゲートバイアススイッチ204がオフするタイミングはゲート接続スイッチ209がオフするタイミングより前にすることが重要である。これにより、入力結合容量のリセット雑音もバイアス電流に含めてサンプリングが可能になる。
尚、本実施の形態では、積分トランジスタ203はNチャンネルトランジスタからなり、バイアス電流供給用トランジスタ206がPチャンネルトランジスタからなる場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、積分トランジスタ203がPチャンネルトランジスタからなり、バイアス電流供給用トランジスタ206がNチャンネルトランジスタからなっても良い。この場合、電源側に積分トランジスタを接地側にバイアス電流供給トランジスタを接続すればよい。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施形態2による熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図である。本実施形態は、実施の形態1で示した差動積分回路を、本願出願人による先に出願した特開2005-214639号公報に開示した赤外線固体撮像素子に適用したものである。なお、本実施形態では基準画素111を画素行内の端に設けている。
サンプルホールド回路701は、出力アンプ119から出力される基準画素111の出力をサンプリングし、バイアス発生回路702はその値を基準電圧Vrefと比較し、基準画素の出力が基準電圧Vrefより大きい方向に変化した場合は減少方向の電圧を、逆に基準画素の出力が基準電圧より小さくなる方向に変化した場合は増加方向の電圧を発生させる。発生した電圧は低域通過フィルタ114を経由してダミー駆動線109に与えられる。差動積分回路108は図2に示したものと同じ構成を有する。
このようにすることで、実施の形態1の効果に加え、素子温度や素子間ばらつきにより基準画素出力が変化しても、その出力は常に基準電圧Vrefに一定になるように帰還がかかる。すなわち、より出力が安定した赤外線固体撮像素子を得ることができる。
なお、基準画素111の位置は端でなくてもよく、撮像に必要な有効画素エリア外にあればよい。たとえば、図8に示すように、垂直方向においての端の行に基準画素101を配置し、この出力を用いてもよい。
実施の形態3.
図9は、本発明の実施形態3による熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図である。本実施形態では、実施の形態1で示した差動積分回路を、本願出願人による先に出願した特開2005-236717号公報に開示した赤外線固体撮像素子に適用したものである。本実施形態では、基準画素は用いず画素エリア全体を赤外線検出画素101で構成している。
図10(a)、(b)に、本実施形態の赤外線固体撮像素子を用いた赤外線カメラの構成例を説明する。
図10(a)に示す赤外線カメラは、赤外線固体撮像素子1004と、被写体から発せられた赤外線を赤外線固体撮像素子1004上に結像するレンズ1003と、赤外線固体撮像素子1004の出力端子1001から出力された画像信号を増幅するプリアンプ1005と、プリアンプ1005のアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するA/Dコンバータ1006と、A/Dコンバータ1006から出力されたデジタル画像信号について各種処理を行うためのデジタルシグナルプロセッサ(DSP)1007と、処理された信号をアナログ信号に変換する機能とアンプ機能を兼ね備えたD/A変換兼アンプ回路1008とを備えている。赤外線カメラは撮像した画像をモニタ1009に出力することができる。
A/Dコンバータ1006には、平均化回路として機能するデジタルシグナルプロセッサ(以下「DSP」)1010が接続されており、デジタル化された後の画像信号の平均値(出力平均)がDSP1010で算出される。算出された出力平均は、DSP1010に接続されたD/Aコンバータ1011でアナログ信号に戻された後、赤外線固体撮像素子1004の端子1002を経由してサンプルホールド回路701に入力され、所定のタイミングに合わせて保持される。ここで保持された出力平均は、バイアス発生回路702において基準電圧Vrefと比較され、両者の差に応じたバイアス電圧が生成される。
本実施の形態では、平均化回路であるDSP1010で生成した出力平均は、素子全体の温度変動による温度ドリフト成分を反映している。従って、この出力平均と基準電圧Vrefの差に応じてバイアス電圧を生成することにより、素子温度変動による温度ドリフト成分を画像出力から除去すると同時に画素エリア内の平均出力が常に基準電圧Vrefに一致するように帰還がかかる。すなわち、実施の形態2の効果に加えて、より出力が安定した赤外線固体撮像素子を得ることができる。
図10(a)の構成では、平均出力が入射赤外線の影響も受ける。図10(b)に、その影響を除去した赤外線カメラの構成を示す。図10(b)の構成では、撮像素子1004の入射側にシャッタ1012を配置している。さらに、平均化回路となるDSP1010とA/Dコンバータ1006の間に、シャッタ1012の閉に同期してオン状態となるスイッチ1013と、フレームメモリ1014とを設けている。図10(b)に示す例では、画素エリアに入射する赤外線が遮断されているときのA/Dコンバータ1006の出力をフレームメモリ1014に保持し、その出力をDSP1010にて平均化する。このように、画素エリアに入射する赤外線が遮断しているときの画像出力に基づいて出力平均が算出されるため、図10(a)の構成において課題となる入射赤外線の影響が解消される。
実施の形態4.
上記の実施形態においては、画素がPN接合ダイオードで構成される場合について説明したが、画素の構成はこれに限られず、画素の電気的特性が画素温度によって変化するものであれば良い。例えば、ショットキー接合ダイオードでも良く、ポリシリコン、アモルファスシリコンや酸化バナジウム等の抵抗ボロメータでもよい。尚、ボロメータとは、温度によって電気抵抗が変化する材料をいう。
図11は、本発明の実施の形態4の熱型赤外線固体撮像素子の構成を模式的に示す回路図である。本実施の形態では、赤外線検出画素1101と基準画素1103の温度センサとして、PN接合ダイオードに代えて抵抗ボロメータ1102及び1104を用いている。基準画素1104において、赤外線検出画素1101から赤外線吸収構造及び/または断熱構造を除いている点も実施の形態1と同様である。
なお、本実施の形態で画素内にダイオードが接続されているが、これは、図11のように画素間を接続した場合、選択された画素行以外に電流が流れ込まないようにするためのスイッチとして働く。一般的なダイオードの順方向電圧の温度変化率は十分の一%/Kのオーダであるのに対し、抵抗ボロメータは数%/Kの変化率があり、実施の形態1で得られる効果に加えて、より高感度化が図れる。ただし、PN接合ダイオードのように画素間の均一性は良くなく、多画素センサにはPN接合ダイオードの方が適している。
さらに、上記の実施の形態では、図2で示した差動積分回路を、画素が2次元に配置された赤外線固体撮像素子に適用した場合について示したが、画素が1次元に配置された赤外線固体撮像素子にも適用が可能なことは言うまでもない。また、図10に示した赤外線カメラの構成は実施の形態1、2、4で示した赤外線固体撮像素子に対しても適用できることは言うまでもない。
本発明の実施の形態1における熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図 実施の形態1の熱型赤外線固体撮像素子の積分回路の構成を示す図 本発明に係る熱型赤外線固体撮像素子の赤外線検出画素の断面図及び斜視図 低域通過フィルタの構成例を示す回路図 実施の形態1の熱型赤外線固体撮像素子のS/H回路とバッファアンプの回路構成を示す図 実施の形態1の熱型赤外線固体撮像素子の動作タイミングを示すタイミングチャート 実施の形態1の熱型赤外線固体撮像素子の動作タイミングを示すタイミングチャート(一部拡大図) 本発明の実施の形態2における熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図 実施の形態2における熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図 実施の形態3における熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図 実施の形態3の熱型赤外線固体撮像素子を用いた赤外線カメラの構成を示すブロック図 実施の形態4における熱型赤外線固体撮像素子の回路構成を示す図
符号の説明
101 赤外線検出画素、 108 差動積分回路、 111 基準画素(非断熱画素)、 203 積分トランジスタ、 211 積分容量、212 積分容量リセットスイッチ、 201 入力切替スイッチ、 201 入力結合容量、 204 ゲートバイアススイッチ、 206 バイアス電流供給用トランジスタ、 209 ゲート接続スイッチ、 208 保持容量、 210 出力結合容量、 501 S/Hスイッチ、 502 S/H容量、 503 S/H容量リセットスイッチ

Claims (9)

  1. 少なくとも1つ以上直列接続され、断熱構造と赤外線吸収構造を備えた温度検出素子によって赤外線検知画素が構成され、前記画素が2次元状に配列された画素エリアと、
    前記画素の陽極を行毎に共通接続した複数の駆動線と、
    前記画素の陰極を列毎に共通接続し、列毎の終端に第1の定電流化手段を備えた複数の信号線と、
    前記駆動線を順次選択し、選択した駆動線と画素用電源を接続する垂直走査回路と、
    前記信号線毎に、前記第1の定電流化手段の近傍に設けられ、前記第1の定電流化手段と実質的に同一の電流を流す第2の定電流化手段と、
    前記第1の定電流化手段の電位と前記第2の定電流化手段の電位の差により変調した電流を出力する積分回路と、
    前記積分回路の出力をサンプルホールドするサンプルホールド回路と、
    前記サンプルホールド回路の出力を列毎に選択する水平走査回路と
    を備えた熱型赤外線固体撮像素子であって、
    前記積分回路は、
    前記第1の定電流化手段の電位と前記第2の定電流化手段の電位の差により、出力する電流を変調する積分トランジスタと、
    前記変調された電流を蓄積するともに、周期的に基準電圧にリセットされる積分容量と、
    保持容量が接続されたゲートを有し、前記積分トランジスタに直列接続されたバイアス電流供給用トランジスタと、
    前記バイアス電流供給用トランジスタと前記積分トランジスタの接続点と、前記バイアス供給用トランジスタのゲート間の接続/遮断を行うゲート接続スイッチと、
    前記接続点と前記積分容量を交流結合する出力結合容量と、
    前記積分トランジスタのゲートに接続されバイアス電圧を供給可能なゲートバイアススイッチと、
    前記積分トランジスタのゲートに接続され、前記第1の定電流化手段の電位と前記第2の定電流化手段の電位の入力を切り替える入力切替スイッチと、
    前記入力切替スイッチと前記積分トランジスタのゲートを交流結合する入力結合容量とを備え、
    前記積分容量のリセット期間は水平帰線期間内に設けられ、水平走査期間の残りの期間のほぼ全体を積分動作期間とし、前記ゲートバイアススイッチが非導通になるタイミングは前記ゲート接続スイッチが非導通になるタイミングより前に設定されている
    ことを特徴とする熱型赤外線固体撮像素子。
  2. 前記積分容量のリセット期間は、前記入力切替スイッチが前記第2の定電流化手段の電位側に接続され、前記ゲート接続スイッチと前記ゲートバイアススイッチが導通し、
    前記積分容量の積分動作期間は、前記入力切替スイッチが前記第1の定電流化手段の電位側に接続され、前記ゲート接続スイッチと前記ゲートバイアススイッチが開放される、ことを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線固体撮像素子。
  3. 前記第2の定電流化手段の入力端を前記駆動線と平行に共通接続し、前記駆動線と略同一の抵抗を有するバイアス線と、
    前記画素エリア外に配置され、断熱構造及び/または赤外線吸収構造を有しないことを除いて前記画素と実質同一構造をもつ基準画素と、
    前記基準画素に接続され、前記第1の定電流化手段と実質的に同一の電流を流す第3の定電流化手段と、
    前記基準画素の出力と前記バイアス線の間に接続される、バッファアンプと低域通過フィルタとをさらに備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線固体撮像素子。
  4. 前記第2の定電流化手段の入力端を前記駆動線と平行に共通接続し、前記駆動線と略同一の抵抗を有するバイアス線と、
    前記画素エリア内に配置され、断熱構造及び/または赤外線吸収構造を有しないことを除いて前記画素と実質同一構造をもつ基準画素と、
    前記基準画素に対応する素子の出力をサンプルホールドする第2のサンプルホールド回路と、
    前記第2のサンプルホールド回路の出力と基準電圧の差に応じたバイアス電圧を生成し、該バイアス電圧を前記バイアス線に入力するバイアス発生回路とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線固体撮像素子。
  5. 前記第2の定電流化手段の入力端を前記駆動線と平行に共通接続し、前記駆動線と略同一の抵抗を有するバイアス線と、
    前記画素エリアの一部あるいは全体に対応する素子出力の平均値と基準電圧の差に応じたバイアス電圧を生成し、該バイアス電圧を前記バイアス線に入力するバイアス発生回路とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の熱型赤外線固体撮像素子。
  6. 前記温度検出素子はPN接合ダイオードまたは抵抗ボロメータであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の熱型赤外線固体撮像素子。
  7. 断熱構造と赤外線吸収構造を備えた赤外線検知画素が構成され、前記画素が1次元また2次元状に配列された画素エリアと、
    断熱構造と赤外線吸収構造の少なくとも一方を有しないことを除いて前記画素と実質同一構造をもつ基準画素と、
    前記赤外線検知画素と前記基準画素の出力の差により積分トランジスタの電流を変調し、該変調された電流を周期的に基準電圧にリセットされる積分容量に蓄積する積分回路と、前記積分回路の出力をサンプルホールドする回路と、
    前記サンプルホールド回路の出力を列毎に選択する水平走査回路とを備えた赤外線固体撮像素子であって、
    前記積分回路は、
    前記第1の定電流化手段の電位と前記第2の定電流化手段の電位の差により、出力する電流を変調する積分トランジスタと、
    前記変調された電流を蓄積するともに、周期的に基準電圧にリセットされる積分容量と、
    保持容量が接続されたゲートを有し、前記積分トランジスタに直列接続されたバイアス電流供給用トランジスタと、
    前記バイアス電流供給用トランジスタと前記積分トランジスタの接続点と、前記バイアス供給用トランジスタのゲート間の接続/遮断を行うゲート接続スイッチと、
    前記接続点と前記積分容量を交流結合する出力結合容量と、
    前記積分トランジスタのゲートに接続されバイアス電圧を供給可能なゲートバイアススイッチと、
    前記積分トランジスタのゲートに接続され、前記第1の定電流化手段の電位と前記第2の定電流化手段の電位の入力を切り替える入力切替スイッチと、
    前記入力切替スイッチと前記積分トランジスタのゲートを交流結合する入力結合容量とを備え、
    前記積分容量のリセット期間は水平帰線期間内に設けられ、水平走査期間の残りの期間のほぼ全体を積分動作期間とし、前記ゲートバイアススイッチが非導通になるタイミングは前記ゲート接続スイッチが非導通になるタイミングより前に設定されている
    ことを特徴とする熱型赤外線固体撮像素子。
  8. 前記積分容量のリセット期間は、前記入力切替スイッチが前記第2の定電流化手段の電位側に接続され、前記ゲート接続スイッチと前記ゲートバイアススイッチが導通し、
    前記積分容量の積分動作期間は、前記入力切替スイッチが前記第1の定電流化手段の電位側に接続され、前記ゲート接続スイッチと前記ゲートバイアススイッチが開放される、ことを特徴とする請求項7記載の熱型赤外線固体撮像素子。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の熱型赤外線固体撮像素子と、
    前記熱型赤外線固体撮像素子に赤外線像を結像させる光学系と、
    前記熱型赤外線固体撮像素子から出力された画像信号を増幅し、出力する増幅回路と
    を備えたことを特徴とする赤外線カメラ。
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