JP5114148B2 - 転動疲労寿命の安定性に優れた軸受用鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
C:0.95〜1.10%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.50%以下(0%を含まない)、
P:0.020%未満(0%を含まない)、
S:0.020%未満(0%を含まない)、
P+S:0.020%以下(0%を含まない)、
Cr:1.30〜1.60%を含み、
残部:鉄および不可避不純物からなり、
下記条件で測定して求められる硬さばらつき率が、20%以下であるところに特徴を有する。
(i)測定箇所:
棒状または線状鋼材であって、球状化焼鈍および焼入れ焼戻ししたものについて、
・圧延方向に垂直な任意の切断面におけるD/4位置(Dは圧延材の直径、以下同じ)[90°ごとに4箇所(以下、各箇所をa〜dと称する)]、および
・圧延方向に平行な切断面(但し、この切断面は、上記a、b、cまたはdのD/4位置と中心軸を通る)における上記D/4位置
[90°ごとに4箇所(以下、各箇所をa’〜d’と称する)]
の合計8箇所
(ii)測定方法:
a〜d、a’〜d’の各箇所において、上記D/4位置を中心とする10mm線(上記Dに平行な線)上の300gHv硬さを、0.1mm間隔で100点測定する。
(iii)硬さばらつき率の算出方法:
a〜d、a’〜d’の各箇所において、上記100点の300gHv硬さ(ビッカース硬さ)のうち、平均硬さに対して±30Hv以上の差異が認められる硬さの点数を、ばらつき割合とする。そして、a〜dおよびa’〜d’(合計8箇所)の上記ばらつき割合の平均値を、硬さばらつき率とする。
・軸受用鋼材の転動疲労寿命のばらつきは、後述する実施例の方法で測定する軸受用鋼材の硬さばらつきと相関性が高いこと;
・寿命ばらつきを低減させて転動疲労寿命の安定性を高めるには、この硬さばらつきを小さくするのがよいこと;
・そして、この硬さばらつきの原因が、鋳片凝固時の偏析に伴う縞状組織[焼入れ組織中に見られるものであって、ピクリン酸とアルコールの混合溶液で腐食後に、光学顕微鏡にて例えば倍率100倍で観察したときに、炭化物、MnS等の粗密に伴うコントラストの薄い組織とコントラストの濃い組織が縞状に存在する組織]の存在にあり、この縞状組織において、コントラストの薄い組織の部分は炭化物が少なく相対的に軟らかく、コントラストの濃い組織の部分は炭化物が多く相対的に硬いといった、硬さのばらつきが生じること;
を突き止め、硬さばらつきを小さくして転動疲労寿命の安定化を図るには、上記縞状組織の影響を低減するのがよい、との着想のもとでその具体的方法を見出した。
・溶鋼から鋼への凝固時の平衡分配係数の低い元素を低減すること、かつ
・軸受用鋼材の製造工程において、熱間圧延を比較的低温で行い、更には鋳片から圧延材への鍛圧比(「鋳片の鋳造方向に垂直な断面積/圧延材の圧延方向に垂直な断面積」をいう。以下同じ)を高めること、
が大変有効であることが分かった。以下、本発明で規定した成分組成および製造条件について詳述する。
〈P:0.020%未満(0%を含まない)〉
〈S:0.020%未満(0%を含まない)〉
まず本発明では、鋼材の成分組成において、凝固時の平衡分配係数(CS/CL)が0.1よりも低い元素:P、Sの合計含有量を0.020%以下とすれば縞状組織が著しく低減することを見出した。
Ni、Cu、Moは、いずれも母相の焼入性向上元素として作用し、硬さを高めて転動疲労特性の向上に寄与する元素である。これらの効果は、Niで0.03%以上、Cuで0.03%以上、Moで0.01%以上含有させることによって有効に発揮される。
以下、測定箇所を模式的に示した図2を用いて説明する。尚、図2では、ビッカース硬さを測定する10mm線を、D/4位置から離して分かりやすく示しているが、実際の測定において、10mm線は、図2(b)に示す通り鋼材角からそれぞれ150μmの位置にあり、圧延方向に垂直な切断面および平行な切断面のD/4位置を測定している。
(i)測定箇所:
得られた鋼材に、球状化焼鈍および焼入れ焼戻しを施したものについて、
・圧延方向に垂直な任意の切断面におけるD/4位置(Dは圧延材の直径、以下同じ)[90°ごとに4箇所(以下、図2(a)に通り、各箇所をa〜dと称する)]、
および、
・圧延方向に平行な切断面(但し、この切断面は、上記a、b、cまたはdのD/4位置と中心軸を通る)における上記D/4位置
[90°ごとに4箇所(以下、各箇所をa’〜d’と称する。尚、図2(b)は上記図1の一部拡大図であり、a’の位置を例示している)]
の合計8箇所
(ii)測定方法:
a〜d、a’〜d’の各箇所において、前記図2(b)に示す通り、上記D/4位置を中心とする10mm線(圧延材の直径に平行な線)上の300gHv硬さを、0.1mm間隔で100点測定[図2(b)では、aおよびa’の測定箇所について示している]。
(iii)硬さばらつき率の算出方法:
a〜d、a’〜d’の各箇所において、上記100点の300gHv硬さのうち、平均硬さに対して±30Hv以上の差異が認められる硬さの点数を、ばらつき割合とする。そして、a〜dおよびa’〜d’(合計8箇所)の上記ばらつき割合の平均値を、硬さばらつき率とする。
上記圧延材に球状化焼鈍を施した後、D/4位置を中心として圧延方向に、試験片材料を切り出し、粗加工を施し、その後、840℃で30分間加熱後に油焼入れを行ない、160℃で120分間焼き戻しを行なってから、仕上げ研磨を施して図5に示す試験片を得た。
転動疲労試験機にて、繰り返し速度:46485cpm、面圧:5.88GPa、中止回数:3億回の条件で試験を実施した。この試験を、各鋼材につき15個の試料を用いて行い、そのうちのMax寿命(3億回で中止した場合には、Max寿命を3億回とした)とMin寿命を用い、寿命比として(Min寿命/Max寿命)を算出した。そして、この寿命比が0.20以上のものを転動疲労寿命が安定していると評価し、0.20未満のものを転動疲労寿命が安定していないと評価した。
Claims (4)
- C:0.98〜1.10%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.50%以下(0%を含まない)、
P:0.020%未満(0%を含まない)、
S:0.020%未満(0%を含まない)、
P+S:0.020%以下(0%を含まない)、
Cr:1.30〜1.60%を含み、
残部:鉄および不可避不純物からなり、
下記条件で測定して求められる硬さばらつき率が、20%以下であることを特徴とする転動疲労寿命の安定性に優れた軸受用鋼材。
〈硬さばらつき率の測定条件〉
(i)測定箇所:
棒状または線状鋼材であって、球状化焼鈍および焼入れ焼戻ししたものについて、
・圧延方向に垂直な任意の切断面におけるD/4位置(Dは圧延材の直径、以下同じ)[90°ごとに4箇所(以下、各箇所をa〜dと称する)]、および
・圧延方向に平行な切断面(但し、この切断面は、上記a、b、cまたはdのD/4位置と圧延材の軸心を通る)における上記D/4位置
[90°ごとに4箇所(以下、各箇所をa’〜d’と称する)]
の合計8箇所
(ii)測定方法:
a〜d、a’〜d’の各箇所において、上記D/4位置を中心とする10mm線(上記Dに平行な線)上の300gHv硬さを、0.1mm間隔で100点測定する。
(iii)硬さばらつき率の算出方法:
a〜d、a’〜d’の各箇所において、上記100点の300gHv硬さのうち、平均硬さに対して±30Hv以上の差異が認められる硬さの点数を、ばらつき割合とする。そして、a〜dおよびa’〜d’(合計8箇所)の上記ばらつき割合の平均値を、硬さばらつき率とする。 - 更に他の元素として、Ni:0.25%未満(0%を含まない)、Cu:0.25%未満(0%を含まない)、およびMo:0.08%未満(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1に記載の軸受用鋼材。
- 請求項1または2に記載の軸受用鋼材を製造する方法であって、
請求項1または2に記載の成分組成を満たす鋼材を用い、熱間圧延を行うにあたり、
熱間圧延の圧延温度範囲を800〜950℃とし、かつ、
熱間圧延時の鍛造比を60以上500以下とする
ことを特徴とする転動疲労寿命の安定性に優れた軸受用鋼材の製造方法。 - 前記熱間圧延の圧延温度範囲を800〜850℃とする請求項3に記載の軸受用鋼材の製造方法。
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