以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る製本システム10の模式的な全体構成図である。製本システム10は、第1給紙装置12、第2給紙装置14、第3給紙装置16、用紙加工装置18、中綴じ折り装置20、断裁装置22、および管理装置28を備える。本実施形態では、第1給紙装置12および第2給紙装置14は、同一の構成を有する。このため、第1給紙装置12の構成を説明し第2給紙装置14の構成の説明は省略する。
第1給紙装置12は、給紙台30、分離給送機構32、および用紙束形成機構34を有する。給紙台30には、印刷、電子写真方式、インクジェット方式などによる画像形成方法によって画像が形成された用紙が積載される。したがって、給紙台30は、用紙を収容する用紙収容部として機能する。給紙台30は、用紙が積載された状態でユーザに押されることにより自身が持つキャスタで自走し、第1給紙装置12内にセットされる。分離給送機構32は、給紙台30に積載された用紙のうち最上位の用紙を分離して送り出す。本実施形態に係る分離給送機構32はエア吸引式のものが採用されている。エア吸引式の分離給送機構は公知であるため、その詳細な説明は省略する。なおエア吸引式の分離給送機構に代えて、いわゆるフリクション式の分離給送機構が設けられてもよいことは勿論である。
第1給紙装置12は、給紙台30を昇降させる昇降機構(図示せず)、および給紙台30の昇降を制御する昇降制御部(図示せず)を有する。分離給送機構32の周辺には用紙高さセンサ(図示せず)が設けられており、給紙台30が上昇して給紙台30に積載された用紙のうち最上位の用紙が分離給送機構32による送り出し可能な給紙可能位置まで上昇したことを検知する。昇降制御部は、最上位の用紙が給紙可能位置に達したと検知されたときに給紙台30の上昇を停止させる。こうして昇降制御部は、給紙台30に積載された用紙の最上位の用紙の高さを給紙可能位置に維持し、分離給送機構32による用紙の連続的な送り出しを可能としている。
用紙束形成機構34は、ユーザによって第1給紙装置12から一度に排出される用紙の枚数として2枚以上の枚数が設定された場合、または、前方に搬送される用紙の加工時間に基づいて第1給紙装置12の電子制御部により2以上の枚数が設定された場合、分離給送機構32から一枚ずつ送り出された用紙を停留させ、設定された枚数重ね合わせて排出する。なお、第1給紙装置12の用紙搬送路44と第2給紙装置14の用紙搬送路44は接続されており、第1給紙装置12の用紙搬送路44から排出された用紙は、第2給紙装置14の用紙搬送路44を通過して用紙加工装置18に送り込まれる。
給紙台30の内部には、給紙台30に積載された用紙のサイズを検知する用紙サイズセンサ35が設けられている。用紙サイズセンサ35は光センサによって構成され、給紙台30に複数箇所設けられている。用紙サイズセンサ35は、用紙が積載されることによってどの用紙サイズセンサ35への光が遮断されたかを検知することにより、給紙台30に積載された用紙のサイズを検知する。なお、給紙台30に積載された用紙の側端に当接させる用紙ガイドの位置を検知する用紙サイズセンサが採用されてもよい。このような用紙サイズセンサの構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
第3給紙装置16は、Aトレイ38A、Bトレイ38B、および分離給送機構40を有する。Aトレイ38Aは、Bトレイ38Bよりも上方に設けられている。Aトレイ38AおよびBトレイ38Bは、モータ(図示せず)を作動させることにより各々が昇降可能に設けられている。以下、Aトレイ38AおよびBトレイ38Bを、必要に応じて「トレイ38」と総称する。
Aトレイ38AおよびBトレイ38Bの各々にも、上述したような様々な画像形成方法によって画像が形成された用紙が積載される。したがって、Aトレイ38AおよびBトレイ38Bもまた用紙を収容する用紙収容部として機能する。Aトレイ38AおよびBトレイ38Bには、画像が形成された用紙が複数重なり合った状態の用紙群が、製本作業者の手によってセットされる。Aトレイ38AおよびBトレイ38Bの各々にも用紙サイズセンサ45が設けられる。用紙サイズセンサ45の構成は用紙サイズセンサ35と同様である。
分離給送機構40は、Aトレイ38AおよびBトレイ38Bの各々に対応して設けられる。分離給送機構40は、Aトレイ38AまたはBトレイ38Bに積載された用紙のうち最上位の用紙を分離して送り出す。本実施形態に係る分離給送機構40は、第1給紙装置12および第2給紙装置14と同様にエア吸引式のものが採用されている。
第3給紙装置16に設けられた電子制御部(図示せず)は、Aトレイ38AおよびBトレイ38Bの各々の昇降および分離給送機構40による用紙の送り出しを制御することにより、Aトレイ38AまたはBトレイ38Bに積載された用紙群から用紙を一枚ずつ送り出す。Aトレイ38AまたはBトレイ38Bから送り出された用紙は、第3給紙装置16内の用紙搬送路36に搬送される。用紙搬送路36は、第2給紙装置14の用紙搬送路44に接続されており、用紙搬送路36内で搬送された用紙は用紙搬送路44を通過して用紙加工装置18に送り込まれる。
用紙加工装置18は、第1給紙装置12、第2給紙装置14、または第3給紙装置16から送り込まれた用紙に、周縁部の切り落とす用紙切断処理および折り目付け処理を含む用紙加工処理を施す。用紙加工装置18は、用紙切断機構50および折り目付け機構58を有する。用紙加工装置18に搬送された用紙は、搬送路切換機構(図示せず)によって、メイン搬送路46およびバイパス搬送路48のいずれかに搬送される。用紙切断機構50および折り目付け機構58は、メイン搬送路46周辺に配置されている。
たとえば、コピー機などで画像形成された用紙は周辺部に余白部分が生じる。このため、予め大きめの用紙を使って用紙に画像を形成し、製本処理時にこのような用紙の周縁部を切り落とす場合がある。用紙切断機構50は、第1給紙装置12、第2給紙装置14、または第3給紙装置16からメイン搬送路46に送り込まれた用紙を切断することによりその周縁部を切り落とし、このような余白の部分を用紙から削除して見栄えのよい冊子の作成を実現する。
用紙切断機構50は、サイドガイド52、左右端切断スリッタ54、および前後端切断カッター56を有する。用紙切断機構50は、サイドガイド52に用紙の左右の端部を当接させて用紙の位置を整え、左右端切断スリッタ54で用紙の左右の周縁部を切り落とし、前後端切断カッター56で前後の周縁部を切り落とす。用紙切断機構50の詳細な構成については後述する。
折り目付け機構58は、例えば厚い用紙を簡易に折りたたむことができるよう、用紙搬送方向と垂直な直線状の折り目を用紙に成型する。折り目付け機構58は、メイン搬送路46を挟んで配置された一対の折り目付け部材を有し、上方の折り目付け部材には用紙搬送方向と垂直に延在し下方に突出する突出部が形成されている。モータ(図示せず)が作動してこの上方の折り目付け部材が下降し用紙を押圧することにより、用紙に折り目が成型される。
バイパス搬送路48には、周縁部切り落とし処理や折り目付け処理が行われない用紙が搬送される。たとえば、第1給紙装置12または第2給紙装置14から複数の用紙が重なり合った用紙束が送り出された場合、送り出された用紙束はバイパス搬送路48に搬送される。
中綴じ折り装置20は、用紙加工装置18から送り込まれた用紙に中綴じ折り処理を施す。中綴じ折り装置20に送り込まれた用紙は、メイン搬送路60に沿って搬送される。中綴じ折り装置20は、綴じ機構62、折り機構72、折り無しスタッカ73を有し、メイン搬送路60の周辺には綴じ機構62および折り機構72が配置される。
綴じ機構62は、サイドジョガー66、ステッチャ70、綴じストッパ64、およびバックジョガー68を有する。サイドジョガー66は一対設けられ、各々が綴じ機構62において所定枚数の用紙が重なり合って形成された用紙束の側端部に当接し、用紙搬送方向と垂直な方向である用紙幅方向における用紙束の位置を位置決めする。綴じストッパ64およびバックジョガー68は、綴じ機構62において所定枚数の用紙が重なり合って形成された用紙束の前端部および後端部にそれぞれ当接し、用紙束の用紙搬送方向における位置を位置決めする。ステッチャ70は、綴じストッパ64、サイドジョガー66、およびバックジョガー68によって位置決めされた用紙束に綴じ処理を施す。
折り機構72は綴じ機構62の搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)に設けられている。折り機構72は、綴じ機構62によって綴じ処理が実施された用紙束に、綴じた箇所で用紙束を折りたたむ折り処理を実施する。折り機構72は、一対の折りローラ78、折りナイフ76、折りストッパ74を有する。
綴じ機構62にて綴じ処理が実施されると、綴じストッパ64が下方に退避し、綴じられた用紙束が折り機構72に送り込まれる。折り機構72に送り込まれた用紙束は、前端部が折りストッパ74に当接したところで用紙搬送方向の位置決めがされる。メイン搬送路60の上方には一対の折りローラ78が、軸方向が用紙搬送方向と垂直な方向に向くよう、用紙搬送方向に並設されている。折りナイフ76は、モータ(図示せず)が作動することにより一対の折りローラ78の間とメイン搬送路60の下方とを上昇および下降することが可能となっている。折りストッパ74により用紙束が用紙搬送方向の位置決めがされた状態で折りナイフ76を上昇させることにより、用紙束が一対の折りローラ78の間に巻き込まれる。一対の折りローラ78は、強い力で用紙束を挟持しながら用紙束を上方に搬送するよう回転することにより、用紙束に折り目を付ける。一対の折りローラ78によって折り目が付けられた冊子は、一対の折りローラ78のニップ部から上方に向かう綴じ折り冊子搬送路82を通ってベルト搬送機構80に送り込まれる。ベルト搬送機構80は、作成された冊子を断裁装置22の用紙搬送路92に送り出す。
なお、折りストッパ74は、ソレノイドをオン・オフすることによりメイン搬送路60に進退可能となっている。ユーザによって中綴じ折り処理による製本が選択されず綴じ処理による製本が選択された場合、綴じストッパ64および折りストッパ74はメイン搬送路60から退避した状態となり、綴じ機構62によって綴じ処理が施された用紙は、折りストッパ74の下流に設けられた折り無しスタッカ73に積載される。
断裁装置22は、三方断裁機構84を有する。三方断裁機構84は、中綴じ折り装置20から送り込まれた冊子の小口、または小口、天、地の三方を断裁して最終的な冊子を作成する。三方断裁機構84は、小口断裁刃90、用紙押さえ部88、小口断裁ストッパ86、サイドガイド(図示せず)、および一対の天地断裁刃(図示せず)を有する。
小口断裁ストッパ86は、ソレノイド(図示せず)をオン・オフすることにより、用紙搬送路92に進退可能とされている。冊子の小口を断裁する場合、断裁装置22は、冊子が送り込まれるタイミングで小口断裁ストッパ86を用紙搬送路92に突出させておく。これにより、断裁装置22に送り込まれた冊子は前端部が小口断裁ストッパ86に当接して用紙搬送方向の位置決めがなされる。
一対のサイドガイドは、小口断裁刃90よりも用紙搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)に配置され、各々の間隔の中心に搬送される冊子の中心が概ね重なるよう、断裁装置22の前方および後方に一つずつ配置される。一対のサイドガイドの各々は板状に形成され、用紙搬送方向に延在し且つ用紙搬送路92から上方に突出する。一対のサイドガイドには、一方が用紙幅方向に移動すれば、他方がその逆方向に同じ距離を移動するいわゆる中心振り分け方式が採用されている。サイドガイドによって案内されその間を通過した冊子は、断裁する前に揃えるべき天、地の位置に揃えられる。
用紙押さえ部88は小口断裁ストッパ86より上流側の用紙搬送路92上方に配置され、モータ(図示せず)が作動することにより下降する。小口断裁刃90は、用紙押さえ部88より上流側の用紙搬送路92上方に設けられ、後述する小口断裁モータが作動することにより下降する。小口断裁刃90は、後述する小口断裁刃移動モータによって、ボールネジ機構などを介して用紙搬送方向に移動可能に構成されている。天地断裁刃は、用紙押さえ部88の装置前方および後方の用紙搬送路92上方にそれぞれ一つずつ設けられ、後述する天地断裁モータが作動することにより下降する。これら一対の天地断裁刃もまた、中心振り分け方式により相互に離間または近接する方向に移動可能とされている。一対の天地断裁刃は、後述する天地断裁刃移動モータが作動するによって、ギヤ機構などを介して相互に離間または近接する方向に移動する。
サイドガイドの間を通過することにより天、地の位置が揃えられ、且つ小口断裁ストッパ86により用紙搬送方向の位置決めがされた状態で、用紙押さえ部88が下降して冊子を押さえつける。このように冊子が押さえつけられた状態で、まず小口断裁刃90が小口を断裁し、次に一対の天地断裁刃が、冊子の天と地を断裁する。断裁処理が施された冊子は、綴じ折りスタッカ24上に搬送される。
管理装置28は、管理PC(Personal Computer)94、ディスプレイ96、マウス98、キーボード97によって構成される。管理PC94は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有し、第1給紙装置12、第2給紙装置14、第3給紙装置16、用紙加工装置18、中綴じ折り装置20、および断裁装置22とデータの送受信可能に接続されている。ディスプレイ96、キーボード97、およびマウス98は管理PC94に接続されている。
管理PC94は、ディスプレイ96に設定画面を表示することにより、ユーザによって各種の設定入力が可能な状態とする。キーボード97やマウス98を使ってユーザにより各種の設定入力がなされ、さらにディスプレイ96に表示されたスタートボタンがクリックされると、管理PC94は、設定内容を示す情報を第1給紙装置12、第2給紙装置14、第3給紙装置16、用紙加工装置18、中綴じ折り装置20、および断裁装置22の各々に送信すると共に、製本処理を開始する旨を示すスタート信号を送信する。第1給紙装置12、第2給紙装置14、第3給紙装置16、用紙加工装置18、中綴じ折り装置20、および断裁装置22の各々は、内部機構の動作を制御する電子制御部を有しており、スタート信号を受信すると、受信した設定内容に基づいた製本処理を実施する。
図2(a)は、本実施形態に係る用紙切断機構50の上面図であり、図2(b)は、本実施形態に係る用紙切断機構50の正面である。以下、図2(a)および図2(b)の双方に関連して用紙切断機構50の構成について詳述する。
用紙切断機構50は、第1搬送台112および第2搬送台144を有しており、これらの上面にメイン搬送路46が形成される。第1搬送台112の用紙幅方向中央には、用紙搬送方向に延在する搬送ベルト114が設けられている。搬送ベルト114は、両端が一対の第1搬送ローラ116に噛み合いしており、一方の第1搬送ローラ116が回転することにより搬送ベルト114が駆動される。第1搬送台112上に搬送された用紙は、搬送ベルト114が駆動されることによりさらに下流側へと搬送される。
第1搬送台112上には、用紙搬送方向に延在してメイン搬送路46から上方に突出する板状の右サイドガイド52Rおよび左サイドガイド52L(以下、必要に応じてこれらを「サイドガイド52」と記載する。)が設けられている。右サイドガイド52Rおよび左サイドガイド52Lは、後述する異なる右サイドガイドモータおよび左サイドガイドモータによりそれぞれ駆動されることで用紙幅方向に移動可能とされている。このため、右サイドガイド52Rと左サイドガイド52Lとの間に用紙が搬送されたときに、これらのサイドガイド52の間の距離が第1搬送台112の搬送される用紙の幅となるように、各々のサイドガイド52を移動することができる。このようにサイドガイド52の相互間の距離が用紙の幅となることにより、用紙の用紙幅方向の移動を規制することができ、また第1搬送台112上を用紙が搬送されるときにおける用紙の姿勢の乱れを抑制することができる。したがって、サイドガイド52は、用紙の用紙幅方向の移動を規制する用紙幅方向規制手段として機能し、用紙が搬送されるときの用紙案内手段としても機能する。さらに、サイドガイド52の間に用紙が搬送されサイドガイド52の相互間の距離が用紙の幅となっている状態で、この相互間の距離を変えないようにサイドガイド52を用紙幅方向に移動することにより、用紙を用紙幅方向に移動することも可能となっている。
用紙切断機構50には、発光素子と受光素子を有する透過型の光センサである第1用紙センサ136が配置されている。発光素子と受光素子はメイン搬送路46を挟むように配置される。第1用紙センサ136は、メイン搬送路46上を搬送される用紙の前端部を検知する。
第1用紙センサ136の用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」と記載する。)かつ用紙搬送路の略中央には、用紙の用紙搬送方向の移動を規制するストッパ122が設けられている。ストッパ122は用紙幅方向に延在するストッパ部を有しており、後述するストッパソレノイドをオン・オフすることにより、ストッパ部をメイン搬送路46より上方へ突出させ、およびメイン搬送路46より下方へ退避させることできる。ストッパ122が用紙搬送路へ突出しているときには、搬送される用紙の前端部がこのストッパ122に当接し、用紙の搬送方向への移動が規制される。
第1用紙センサ136によって搬送される用紙の前端部が検知されると、ストッパ122がメイン搬送路46より上方に突出して、搬送される用紙の用紙搬送方向への移動を規制する。この状態で一対のサイドガイド52が、相互間の距離が搬送される用紙の幅となるまで近接するよう移動して用紙の左右端部が位置決めされる。こうして用紙の姿勢が整えられると、第1搬送台112がメイン搬送路46下方に退避して再び用紙の搬送が開始される。
第1搬送台112の下流側には、一対のスリッタユニット125が設けられている。一対のスリッタユニット125は、用紙搬送方向を前方として右側に配置される右スリッタユニット125R、および左側に配置される左スリッタユニット125Lによって構成される。右スリッタユニット125Rおよび左スリッタユニット125Lは、上述の中心振り分け方式によって用紙幅方向に相互に離間または近接するよう移動可能に構成されている。右スリッタユニット125Rは、右スリッタ54R、第1右スリッタローラ126R、および第2右スリッタローラ128Rを有しており、これらは共に用紙幅方向に移動することができるように相互に固定されている。左スリッタユニット125Lは、左スリッタ54L、第1左スリッタローラ126L、および第2左スリッタローラ128Lを有しており、これらもまた共に用紙幅方向に移動することができるように相互に固定されている。
第1右スリッタローラ126Rおよび第1左スリッタローラ126Lは、それぞれ右スリッタ54Rおよび左スリッタ54Lの用紙搬送方向上流側(以下、単に「上流側」と記載する。)に配置され、用紙搬送路を挟んで対向する一対のローラから成る。第2右スリッタローラ128Rおよび第2左スリッタローラ128Lは、それぞれ右スリッタ54Rおよび左スリッタ54Lの下流側に配置され、用紙搬送路を挟んで対向する一対のローラから成る。これらの一対のローラの一方は図示しないギヤを介して、第1搬送ローラ116を駆動する用紙搬送モータに連結されて駆動可能とされており、他方はこれに従動する従動ローラとされている。
右スリッタ54Rおよび左スリッタ54L(以下、必要に応じてこれらを「左右端切断スリッタ54」と記載する。)は、それぞれスリッタ上刃140およびスリッタ下刃142を有する。右スリッタ54Rおよび左スリッタ54Lは、それぞれのスリッタ上刃140とスリッタ下刃142の間に、用紙の左マージンおよび右マージンを切断する左右端切断ライン162が形成され、通過する用紙を左右端切断ライン162で切断する。したがって、右スリッタ54Rは右マージン切断手段として機能し、左スリッタ54Lは左マージン切断手段として機能する。
スリッタユニット125の下流側には前後端切断カッター56が設けられている。前後端切断カッター56は、用紙の前マージンおよび後マージンを切断する、前後マージン切断手段として機能する。前後端切断カッター56は、用紙幅方向に延在するカッター下刃134と、後述するカッターモータにより上下可動とされカッター下刃134と共に用紙の切断を行う、用紙幅方向に延在するカッター上刃132とを有している。このカッター下刃134とカッター上刃132との間に、前マージンおよび後マージンを切断する直線状の前後端切断ライン160が形成される。
前後端切断カッター56の上流側には、用紙前端部を検知する第2用紙センサ138が設けられている。第2用紙センサ138には、第1用紙センサ136と同様に透過型の光センサが採用されている。第2用紙センサ138は、前後端切断カッター56近傍に搬送された用紙の前端部を検出する。第2用紙センサ138によって検知された用紙前端部の通過タイミングを利用して、切断すべき切断位置と前後端切断ライン160とが重なる位置で用紙の搬送が停止される。前後端切断カッター56は、この状態で下降して用紙の前マージンおよび後マージンを切断する。前後端切断カッター56により前マージンおよび後マージンが切断された用紙は、前後端切断カッター56の下流側に設けられた第2搬送台144上を第2搬送ローラ146によってさらに下流側へと搬送される。
用紙切断機構50は下部フレーム(図示せず)によって支持されている。用紙切断機構50のフレーム(図示せず)は、装置移動モータ(図示せず)を作動することによりこの下部フレームに対して用紙幅方向に相対的に移動可能とされている。用紙切断機構50は、第1給紙装置12、第2給紙装置14、または第3給紙装置16から搬送される用紙の用紙幅方向の位置に応じて用紙幅方向に移動させることが可能となっている。
図3は、本実施形態に係る製本システム10の機能ブロック図である。なお、図3では、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMなどのハードウェア、およびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックが描かれている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって様々な形で実現することができる。
管理PC94は、初期用紙サイズ取得部200、仕上がりサイズ取得部202、綴じ用紙サイズ取得部204、切断位置設定部206、および断裁位置設定部208を有する。初期用紙サイズ取得部200は、第1給紙装置12の用紙サイズセンサ35、第2給紙装置14の用紙サイズセンサ35、または第3給紙装置16の用紙サイズセンサ45によって検知された用紙のサイズを初期用紙サイズとして取得する。
一方、給紙台30やトレイ38には、印刷など画像を記録する工程を経た用紙が積載されるため、画像が記録され排出されるときに用紙端部がきれいに揃えられない場合がある。このため、用紙サイズセンサによっては、積載された用紙を正確に検知することが困難な場合が生じ得る。このような場合を考慮して、表示された設定画面においてキーボード97やマウス98を用いて入力操作を行うことにより、給紙台30またはトレイ38に積載された用紙のサイズをユーザ自身の手によって管理PC94に入力することが可能となっている。初期用紙サイズ取得部200は、このようにユーザによって入力された、給紙台30またはトレイ38に積載された用紙のサイズを初期用紙サイズとして取得する。
また、ユーザは、表示された設定画面においてキーボード97やマウス98を用いて入力操作を行うことにより、作成される冊子の最終的なサイズである仕上がりサイズを管理PC94に入力することが可能となっている。仕上がりサイズ取得部202は、ユーザによって入力された仕上がりサイズを取得する。
上述したように、中綴じ折り装置20では、綴じストッパ64、バックジョガー68、およびサイドジョガー66によって用紙の端部を揃えた状態でステッチャ70による綴じ処理が行われる。このため、綴じ機構62に送り込まれる用紙は同じサイズとなっている必要がある。さらに、第1給紙装置12、第2給紙装置14、または第3給紙装置16から送り出される用紙のサイズが同じであっても、例えば綴じ機構62によって用紙束の左端に複数箇所綴じ処理を施して折り無しスタッカ73に排出するような場合は、予め用紙の周縁の不要な余白部分を切り落として綴じ機構62に送り込む必要がある。綴じ用紙サイズ取得部204は、このように綴じ機構62に送り込まれるべき用紙のサイズである綴じ用紙サイズを、例えば取得された仕上がりサイズを利用して算出し取得する。
切断位置設定部206は、取得された初期用紙サイズおよび取得された綴じ用紙サイズを利用して、用紙切断機構50による用紙の切断位置を設定する。具体的には、切断位置設定部206は、用紙の幅方向中央から、取得された綴じ用紙サイズの用紙幅方向の長さの半分の長さ離れた左右の位置を、左右端の切断位置に設定する。また、切断位置設定部206は、搬送される用紙の前端部から(初期用紙サイズの用紙搬送方向の長さ−綴じ用紙サイズの用紙搬送方向の長さ)/2の値だけ後方に移動した位置を、前マージンを切り落とすために切断すべき前端部の切断位置に設定する。さらに切断位置設定部206は、前端部の切断位置から綴じ用紙サイズの用紙搬送方向の長さだけ後方に移動した位置を、後マージンを切り落とすために切断すべき後端部の切断位置に設定する。
このように、本実施形態に係る製本システム10では、用紙サイズセンサによって検知され、またはユーザによって入力された用紙のサイズを利用して用紙切断機構50による切断位置を設定することが可能となっている。これにより、例えば用紙加工装置18に切断位置を入力することなく切断位置を簡易に設定することができ、製本作業者の工数を低減させることが可能となる。
管理PC94は、冊子を構成する複数の用紙の各々について、用紙の切断の要否を示す用紙切断フラグ、および用紙を切断する場合は設定した切断位置を示す切断位置情報含む、処理特定情報を生成する。管理PC94は、ディスプレイ96に表示された、製本処理の開始を指示するためのスタートボタンがユーザによってクリックされたときに、処理特定情報を用紙加工装置18に送信する。
断裁位置設定部208は、取得された仕上がりサイズとなるよう、小口の断裁位置、および天、地の断裁位置を設定する。なお、ユーザは、表示された設定画面において小口の断裁のみ行うことを指定することができる。ユーザによって小口の断裁のみ行うことが指定された場合、断裁位置設定部208は、小口の断裁位置のみ設定する。断裁位置設定部208は、三方を断裁する場合には小口の断裁位置を示す小口断裁情報と、天、地の断裁位置を示す天地断裁情報を含む断裁位置情報とを生成する。また、小口のみ断裁する場合には小口断裁情報を含み天地断裁情報を含まない断裁位置情報を生成する。管理PC94は、ユーザによってスタートボタンがクリックされたときに、生成した断裁位置情報を断裁装置22に送信する。
用紙加工装置18は、用紙切断制御部220、搬送路切換ソレノイド238、用紙搬送モータ240、右サイドガイドモータ242、左サイドガイドモータ244、スリッタモータ246、ストッパソレノイド248、およびカッターモータ250を有する。用紙切断制御部220は、これらソレノイドやモータに接続され、ソレノイドに供給する電流やモータに駆動信号を供給することによりこれらの作動を制御する。
搬送路切換ソレノイド238は、用紙加工装置18に搬送された用紙をメイン搬送路46に搬送するかバイパス搬送路48に搬送するかを切り換える。搬送路切換ソレノイド238がオンにされているときは用紙はメイン搬送路46に搬送され、オフにされているときは用紙はバイパス搬送路48に搬送される。
用紙搬送モータ240は、第1搬送ローラ116や第1スリッタローラ126、第2スリッタローラ128、および第2搬送ローラ146などを駆動する。右サイドガイドモータ242は、ギヤ機構などを介して右サイドガイド52Rに接続され、右サイドガイド52Rを用紙幅方向に移動させる。左サイドガイドモータ244は、ギヤ機構などを介して左サイドガイド52Lに接続され、左サイドガイド52Lを用紙幅方向に移動させる。
スリッタモータ246は、ギヤ機構などを介して左右端切断スリッタ54に接続されており、一対の左右端切断スリッタ54を用紙幅方向に相互に近接または離間する方向に移動させる。ストッパソレノイド248は、オンにされることによりメイン搬送路46から上方に突出して用紙の前端部に当接し、オフにされることにより下方に退避して用紙を搬送可能な状態とする。カッターモータ250は、ギヤ機構などを介して前後端切断カッター56に接続されており、前後端切断カッター56を下降させて用紙の前マージンおよび後マージンを切り落とす。
用紙切断制御部220は、切断実行制御部222、前後端切断制御部224、および左右端切断制御部226を有する。切断実行制御部222は、搬送路切換ソレノイド238のオン、オフを制御することにより、第1給紙装置12、第2給紙装置14、または第3給紙装置16から送り込まれた用紙の搬送経路をメイン搬送路46およびバイパス搬送路48のいずれかに切り換える。
前後端切断制御部224は、用紙搬送モータ240およびカッターモータ250の作動を制御することにより、用紙の前後端の切断を制御する。具体的には、前後端切断制御部224は、第2用紙センサ138によって用紙の前端部が検知されたときから、用紙の前端部が前後端切断ライン160に達するために供給すべき駆動信号を用紙搬送モータ240に供給する。前後端切断制御部224は、ここからさらに、管理装置28から受信した切断位置情報が示す用紙前端部から、前マージンを切り落とすための切断位置までの距離だけ用紙を移動させるために供給すべき駆動信号を用紙搬送モータ240に供給して、前端部の切断位置を前後端切断ライン160に合わせる。前端部の切断位置が前後端切断ライン160に合ったときに、前後端切断制御部224は用紙搬送モータ240の作動を停止させて用紙の搬送を停止させる。前後端切断制御部224は、この状態でカッターモータ250を作動させて前端部の切断位置で用紙を切断し、前マージンを切り落とす。
次に前後端切断制御部224は、管理PC94から受信した切断位置情報が示す、後端部の切断位置までの距離、すなわち綴じ用紙サイズの用紙搬送方向長さだけ用紙を移動させるために供給すべき駆動信号を用紙搬送モータ240に供給して、後端部の切断位置を前後端切断ライン160に合わせる。後端部の切断位置が前後端切断ライン160に合ったときに、前後端切断制御部224は用紙搬送モータ240の作動を停止させて用紙の搬送を停止させる。前後端切断制御部224は、この状態でカッターモータ250を作動させて後端部の切断位置で用紙を切断し、後マージンを切り落とす。
左右端切断制御部226は、一対の左右端切断スリッタ54の各々によって形成される一対の左右端切断ライン162間の距離が、管理PC94から受信した切断位置情報が示す綴じ用紙サイズの用紙幅方向の長さとなるよう、一対の左右端切断スリッタ54を相互に離間または近接させる。
断裁装置22は、断裁制御部260、サイドガイドモータ272、ストッパソレノイド274、小口断裁刃移動モータ276、小口断裁モータ278、天地断裁刃移動モータ280、および天地断裁モータ282を有する。断裁制御部260は、これらソレノイドやモータに接続され、ソレノイドに供給する電流やモータに駆動信号を供給することによりこれらの作動を制御する。
サイドガイドモータ272は、断裁装置22内の一対のサイドガイドにギヤ機構などを介して接続されており、一対のサイドガイドを相互に離間または近接する方向に移動させる。ストッパソレノイド274は、オンにされたときに小口断裁ストッパ86を用紙搬送路92上に突出させ、オフにされたときに用紙搬送路92より下方に退避させる。
小口断裁刃移動モータ276は、ボールネジ機構などを介して小口断裁刃90に接続されており、小口断裁刃90を用紙搬送方向と平行な方向に移動させる。小口断裁モータ278は、ギヤ機構などを介して小口断裁刃90に接続されており、小口断裁刃90を下降させて冊子の小口を裁断する。
天地断裁刃移動モータ280は、ギヤ機構などを介して一対の天地断裁刃に接続されており、一対の天地断裁刃を相互に離間または近接させる方向に移動させる。天地断裁モータ282は、ギヤ機構などを介して一対の天地断裁刃に接続されており、一対の天地断裁刃を下降させて冊子の天、地を裁断する。
断裁制御部260は、小口断裁制御部262および天地断裁制御部264を有する。小口断裁制御部262は、ストッパソレノイド274、小口断裁刃移動モータ276、および小口断裁モータ278の作動を制御する。小口断裁制御部262は、管理PC94から受信した断裁位置情報が示す小口断裁位置に小口断裁刃90を移動させた状態で小口断裁刃90を下降させ、冊子の小口を断裁する。天地断裁制御部264は、サイドガイドモータ272、天地断裁刃移動モータ280、および天地断裁モータ282の作動を制御する。天地断裁制御部264は、管理PC94から受信した断裁位置情報が示す天地断裁位置に天地断裁刃を移動させた状態で天地断裁刃を下降させ、冊子の天、地を断裁する。
図4は、本実施形態に係る製本システム10における切断位置および断裁位置の設定手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ユーザによって切断位置や断裁位置に関連する入力が表示されている設定画面になされたときに開始する。
製本処理に先だって、ユーザは、中綴じ折り処理によって製本するか綴じ処理によって製本するかを、キーボード97やマウス98を用いて選択することができる。管理PC94は、ユーザによって入力されたこのような選択結果を取得する選択結果取得部(図示せず)を有する。また、ユーザは、作成する冊子を構成する用紙のうち、何枚目に重ね合わせる用紙が給紙台30およびトレイ38のいずれに積載されているかを、キーボード97やマウス98を利用いて管理PC94に入力することができる。このときユーザは、指定したトレイなどに収容された用紙のサイズも入力することができる。
ユーザによって、指定された給紙台30またはトレイ38に積載された用紙サイズが入力されたとき、入力された用紙サイズを示す情報はその用紙が積載される給紙台30またはトレイ38を特定する情報に対応付けられてRAMに格納される。初期用紙サイズ取得部200は、ユーザによって入力された用紙サイズを示す情報がRAMに格納されているかを参照し、冊子作成のための給紙元として指定された給紙台30またはトレイ38に積載された用紙サイズがユーザによって入力されているか否かを判定する(S10)。
指定された給紙台30またはトレイ38に積載された用紙サイズがユーザによって入力されている場合(S10のY)、初期用紙サイズ取得部200は、ユーザによって入力された用紙サイズを初期用紙サイズとして取得する(S12)。指定された給紙台30またはトレイ38に積載された用紙サイズがユーザによって入力されていない場合(S10のN)、初期用紙サイズ取得部200は、用紙サイズセンサ35または用紙サイズセンサ45によって検知された用紙サイズを初期用紙サイズとして取得する(S14)。
入力された用紙サイズが取得されると、綴じ用紙サイズ取得部204は、取得した初期用紙サイズが複数種類あるか否かを判定する(S16)。取得された初期用紙サイズが複数種類ある場合(S16のY)、仕上がりサイズ取得部202は、仕上がりサイズの入力を禁止し(S18)、綴じ用紙サイズ取得部204は、複数種類の初期用紙サイズの中で最小の初期用紙サイズを綴じ用紙サイズとして取得する(S20)。なお、最小の初期用紙サイズの用紙は切断しないため、切断位置設定部206は、その用紙に対応する用紙切断フラグをオフに設定する。また、管理PC94は、キーボード97やマウス98を用いてユーザによって仕上がりサイズを入力する入力操作がなされた場合においても、入力されたサイズをRAMに格納せず仕上がりサイズを取得しないことにより、仕上がりサイズの入力を禁止する。また、仕上がりサイズの入力は許容し、スタートボタンのクリックを禁止して、入力された仕上がりサイズによる製本処理の開始を禁止してもよい。
例えば、第1給紙装置12と第2給紙装置14が、冊子を構成する用紙を搬送する給紙装置として指定された場合であって、第1給紙装置12に収容された用紙のサイズがA3であり、第2給紙装置14に収容された用紙のサイズがA3ノビであるとユーザによって入力されたものとする。この場合、綴じ用紙サイズ取得部204は、取得した初期用紙サイズが複数種類あると判定し、最小の初期用紙サイズであるA3を綴じ用紙サイズとして取得する。このように最小の初期用紙サイズを綴じ用紙サイズとすることにより、ユーザによる切断後サイズの入力を省略することができ、ユーザの設定工数を低減させることができる。
なお、側端部が揃えられていない用紙が給紙台30またはトレイ38に積載された場合、用紙サイズセンサによって、積載された用紙のサイズとは異なるサイズが検知される場合がある。このような場合、ユーザは、給紙台30またはトレイ38に収容される用紙のサイズを入力し、すべての初期用紙サイズを単一にすることにより、仕上がりサイズの入力が可能な状態とすることができる。
また、すべての仕上がりサイズの入力を禁止するのではなく、選択結果取得部によって取得された選択結果を参照して綴じ処理による製本が選択されている場合に、最小の初期用紙サイズよりも大きいサイズの入力を禁止しても良い。また、中綴じ折り処理による製本が選択されている場合に、最小の初期用紙サイズを折りたたんだサイズよりも大きいサイズの入力を禁止してもよい。
一方、取得された初期用紙サイズが単一である場合(S16のN)、ユーザは、表示された設定画面において、キーボード97やマウス98を用いて管理PC94に仕上がりサイズを入力することができる。ユーザによって入力された仕上がりサイズを示す情報はRAMに格納される。綴じ用紙サイズ取得部204は、ユーザによって入力された仕上がりサイズを示す情報がRAMに格納されているかを判定することにより、ユーザによって仕上がりサイズの入力がなされているか否かを判定する(S22)。
ユーザによって仕上がりサイズの入力がなされている場合(S22のY)、綴じ用紙サイズ取得部204は、仕上がりサイズに基づいて綴じ用紙サイズを取得する(S24)。ユーザは、表示された設定画面において、中綴じ折り処理による製本か、綴じ処理による製本かを選択することができる。綴じ処理によって冊子が製本される場合、綴じ処理が実施された後に冊子が断裁されないため、綴じ用紙サイズ取得部204は、ユーザによって入力された仕上がりサイズをそのまま綴じ用紙サイズとして取得する。
切断位置設定部206は、中綴じ折り処理による製本がユーザによって選択されている場合、ユーザによって入力された仕上がりサイズの冊子を折りたたまれる前の状態に広げて所定の断裁しろを小口、天、地の各々に対応するそれぞれの周縁部に加えたサイズを、綴じ用紙サイズとして取得する。例えば、ユーザによって入力された仕上がりサイズがA4であり、小口、天、地の各々に設けるべき断裁しろが10mmであった場合、切断位置設定部206は、仕上がりサイズであるA4の冊子を広げたA3のサイズの用紙から、さらに周縁部に10mm加えたサイズを、綴じ用紙サイズとして取得する。綴じ用紙サイズが取得されると、切断位置設定部206は、冊子を構成する各々の用紙のうち用紙切断フラグがオンに設定されている用紙について切断位置を設定する(S28)。
なお、ユーザによって仕上がりサイズの入力がなされていない場合(S22のN)、切断位置設定部206は、作成する冊子を構成するすべての用紙について処理特定情報に含まれる用紙切断フラグをオフに設定する(S26)。これにより、ユーザは、仕上がりサイズを入力しないことで給紙手段から送り込まれる用紙の切断を簡易に回避することができる。
S26またはS28の処理を終えると、断裁位置設定部208は、中綴じ折り処理による製本が選択されているか否かを判定する(S30)。なお、中綴じ折り処理による製本が選択されている場合と綴じ処理による製本が選択されている場合とで、図4に示す切断位置などの設定工程が別々に設けられてもよい。中綴じ折り処理が選択されている場合(S30のY)、断裁位置設定部208は、断裁装置22による断裁位置も設定する(S32)。
このとき、複数種類の初期用紙サイズが取得されていた場合、すなわち、複数種類の用紙サイズの用紙が給紙装置から送り込まれて冊子を作成する場合、断裁位置設定部208は、最小の初期用紙サイズの用紙を折りたたんで所定の断裁しろを小口、天、地の各々から差し引いたサイズが仕上がりサイズとなるよう、冊子の小口、天、地の三方の断裁位置を設定する。例えば、最小の初期用紙サイズがA3であり、小口、天、地に設けられるべき断裁しろが10mmに設定されていた場合、断裁位置設定部208は、A3の用紙を折りたたんで作成されるA4の冊子の小口、天、地から10mm差し引いたサイズが仕上がりサイズとなるよう、冊子の小口、天、地の三方の断裁位置を設定する。このように断裁位置を設定することで、断裁しろを確実に確保することが可能となる。中綴じ折り処理による製本が選択されていない場合(S30のN)、断裁位置設定部208は、S32の処理をスキップする。
図5は、本実施形態に係る用紙加工装置18における用紙の切断工程を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ユーザによってスタートボタンがクリックされて製本処理が開始され、用紙加工装置18に用紙が送り込まれるたびに開始する。
用紙加工装置18に用紙が送り込まれるとき、切断実行制御部222は、管理PC94から受信した処理特定情報を参照し、送り込まれる用紙に対応する用紙切断フラグがオンか否かを判定する(S40)。用紙切断フラグがオンの場合(S40のY)、切断実行制御部222は、搬送路切換ソレノイド238をオンにして用紙をメイン搬送路46に搬送する(S42)。用紙切断フラグがオフの場合(S40のN)、切断実行制御部222は、搬送路切換ソレノイド238をオフにして用紙をバイパス搬送路48に搬送する(S44)。
メイン搬送路46に搬送されると、前後端切断制御部224および左右端切断制御部226は、受信した処理特定情報を参照し、送り込まれる用紙に対応する切断位置で用紙を切断する(S46)。設定された切断位置で用紙が切断されると、本フローチャートにおける処理を一旦終了する。
図6は、本実施形態に係る断裁装置22における冊子の断裁工程を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ユーザによってスタートボタンがクリックされて製本処理が開始され、断裁装置22に冊子が送り込まれるたびに開始する。
断裁装置22に中綴じ折り処理が施された冊子が送り込まれると、小口断裁制御部262は、管理PC94から受信した断裁位置情報が示す小口断裁位置で冊子の小口を断裁する(S50)。
設定された小口断裁位置で小口が断裁されると、天地断裁制御部264は、管理PC94から受信した断裁位置情報に天地断裁位置を示す情報が含まれているか否かを判定することにより、小口だけでなく天、地も断裁する三方断裁を実施するか否かを判定する(S52)。三方断裁を実施する場合(S52のY)、天地断裁制御部264は、管理PC94から受信した断裁位置情報が示す天地断裁位置で冊子の天、地を断裁する(S54)。小口のみの断裁の場合(S52のN)、天地断裁制御部264は、S54の天地断裁工程をスキップする。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を上述の実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
ある変形例では、表示された設定画面において、冊子を構成する用紙が収容されていると指定されたトレイに収容される用紙のサイズがユーザによって入力されなかった場合、切断位置設定部206は、冊子を構成するすべての用紙について、処理特定情報に含まれる用紙切断フラグをオフに設定して用紙の切断を回避する。これにより、ユーザは用紙のサイズを入力しないことで用紙の切断の回避を簡易に指定することができる。
ある別の変形例では、断裁装置22は小口のみ断裁可能に構成される。このような断裁装置22を有する製本システム10において、中綴じ折り処理による製本がユーザによって選択されている場合、綴じ用紙サイズ取得部204は、ユーザによって入力された仕上がりサイズの冊子を折りたたまれる前の状態に広げて所定の断裁しろを小口側となる周縁部に加えたサイズを、綴じ用紙サイズとして取得する。例えば、ユーザによって入力された仕上がりサイズがA4であり、小口に設けるべき断裁しろが10mmであった場合、切断位置設定部206は、仕上がりサイズであるA4の冊子を広げたA3のサイズの用紙から、さらに小口に対応する前後端の周縁部に10mm加えたサイズを、綴じ用紙サイズとして取得する。このように綴じ用紙サイズを取得することにより、小口のみ断裁可能に構成される断裁装置においても、小口の断裁しろを適切に確保することが可能となる。
また、このような断裁装置22を有する製本システム10において、中綴じ折り処理による製本がユーザによって選択され且つ複数種類の初期用紙サイズが取得されている場合、最小の初期用紙サイズの用紙を折りたたんで所定の断裁しろを小口から差し引いたサイズが仕上がりサイズとなるよう、断裁位置設定部208は、冊子の小口の断裁位置を設定する。例えば、最小の初期用紙サイズがA3であり、小口に設けられるべき断裁しろが10mmに設定されていた場合、断裁位置設定部208は、A3の用紙を折りたたんで作成されるA4の冊子の小口から10mm差し引いたサイズが仕上がりサイズとなるよう、冊子の小口の断裁位置を設定する。これによっても、小口の断裁しろを適切に確保することが可能となる。
10 製本システム、 12 第1給紙装置、 14 第2給紙装置、 16 第3給紙装置、 18 用紙加工装置、 20 中綴じ折り装置、 22 断裁装置、 24 綴じ折りスタッカ、 28 管理装置、 30 給紙台、 35 用紙サイズセンサ、 38 トレイ、 45 用紙サイズセンサ、 46 メイン搬送路、 48 バイパス搬送路、 50 用紙切断機構、 52 サイドガイド、 54 左右端切断スリッタ、 56 前後端切断カッター、 84 三方断裁機構、 90 小口断裁刃、 94 管理PC、 200 初期用紙サイズ取得部、 202 仕上がりサイズ取得部、 204 綴じ用紙サイズ取得部、 206 切断位置設定部、 208 断裁位置設定部、 220 用紙切断制御部、 222 切断実行制御部、 260 断裁制御部。