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JP5199805B2 - ダイクエンチ加工製品とその製造方法及び製造装置 - Google Patents

ダイクエンチ加工製品とその製造方法及び製造装置 Download PDF

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JP5199805B2 JP2008243873A JP2008243873A JP5199805B2 JP 5199805 B2 JP5199805 B2 JP 5199805B2 JP 2008243873 A JP2008243873 A JP 2008243873A JP 2008243873 A JP2008243873 A JP 2008243873A JP 5199805 B2 JP5199805 B2 JP 5199805B2
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本発明は、曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部を形成して成るハット状のダイクエンチ加工製品とその製造方法及び製造装置に関するものである。
例えば自動車部品は、鋼板等の金属板材(ブランク材)をプレス成形することによって得られるが、近年、燃費や安全性の向上という目的のため、自動車部品には軽量化や高強度化が強く求められている。
時に板厚が部分的に減少し、その部分の強度や剛性が低下するという問題がある。
そこで、自動車部品の高強度化には、素材板厚を厚くしたり、補強したい部分に別部品を溶接する方法が従来から採用されている。
又、特許文献1には、長手方向に連続した断面がT字形状である凸部を有する成形品を超塑性金属材料を用いて製造する方法と装置が提案されている。
特開2007−038255号公報
しかしながら、従来のように高強度化のために素材板厚を厚くすると、製品の強度は向上する反面、製品重量が増加するとともに、コストアップを免れないという問題が発生する。又、補強したい部分に別部品を溶接する方法では、製造工程に溶接工程が追加されるために製造工数が増えて製造コストがアップするという問題がある。
更に、特許文献1に記載された方法及び装置によって製造される成形品は、素材が超塑性金属材料であるために高強度化には限界があり、高い強度を期待することができないという問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部が形成された軽量で高強度化なダイクエンチ加工製品とこれを生産性良く且つ低コストで得ることができる製造方法及び製造装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ダイクエンチ加工によってハット形状に成形された金属製のダイクエンチ加工製品の側面部における曲げ部の稜線の近傍に、幅方向の内方に突出して折り曲げた垂直断面S字状の屈曲部を形成したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、ダイクエンチ加工によって曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部が形成されたハット形状のダイクエンチ加工製品を製造する方法として、加熱された金属板の曲げ部を除く平坦部を上下のプレス型で挟み込んでプレス成形することによって曲げ部を形成し、該曲げ部をプレス型に接触させないで高温状態を維持したまま、該曲げ部を上下のプレス型間に形成された空間内で圧縮して曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部を形成することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、固定パンチと該固定パンチの内方に収容配置されて固定パンチに対して上下方向に相対移動可能な可動パンチを有する金型及び固定ダイと該固定ダイの外方に配置されて固定ダイに対して上下方向に相対移動可能な可動ダイを有する金型を備えたプレス型によるダイクエンチ加工によって曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部が形成されたハット形状のダイクエンチ加工製品を製造する装置において、加熱された金属板の曲げ部を除く平坦部を前記プレス型の上型と下型によって挟み込んで前記可動パンチが固定パンチよりも突出した状態でプレス成形して前記金属板を折り曲げたときに該金属板の曲げ部がプレス型に接触しないよう上型と下型の間に空間を形成し、可動パンチを固定パンチに収容する過程で、金属板の曲げ部が前記空間内で圧縮されて前記曲げ部の稜線に折り曲がった断面S字状の屈曲部が形成されることを特徴とする。
本発明に係るダイクエンチ加工製品においては、曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部が形成されているため、成形時に曲げ部の強度と剛性が断面S字状の屈曲部によって高められ、ダイクエンチ加工製品の軽量化と高強度化が図られる。
又、本発明に係るダイクエンチ加工製品の製造方法及び製造装置によれば、加熱された金属板の曲げ部を除く平坦部を上下のプレス型で挟み込んでプレス成形することによって曲げ部を形成し、該曲げ部をプレス型に接触させないで高温状態を維持したまま、該曲げ部を上下のプレス型間に形成された空間内で圧縮して曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部を形成するようにしたため、プレス工程の1工程だけで成形品の曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部が形成され、この屈曲部によって曲げ部の強度と剛性が高められる。この結果、軽量で高強度なダイクエンチ加工製品を生産性良く且つ低コストで製造することができる。
尚、加熱された金属板の曲げ部を除く平坦部を上下のプレス型で挟み込んでプレス成形する際、金属板の曲げ部を除く平坦部は、金型によって急冷されるために焼き入れされて硬化される。又、当初は金型に接触しないで高温状態を維持している金属板の曲げ部は、その後に圧縮されて断面S字状に屈曲すると金型に接触して冷却されるため、焼き入れによって硬化する。
又、本発明では、高温時に柔らかい金属板の材料特性を利用して、金属板の補強したい曲げ部を高温状態を維持したままプレス型の空間において該曲げ部を圧縮して稜線に断面S字状の屈曲部を部分的に形成するようにしたため、該屈曲部が容易に形成できる。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明に係るダイクエンチ加工製品の製造方法をその工程順に示す製造装置の断面図、図5は図4のA部拡大詳細図、図6は本発明に係るダイクエンチ加工製品の斜視図、図7は同ダイクエンチ加工製品の横断面図である。
先ず、本発明に係るダイクエンチ加工製品の製造装置の基本構成を図1〜図4に基づいて説明すると、図中、1,2はプレス型を構成する上型と下型であって、上型1は、図の紙面垂直方向に長い固定パンチ11と、該固定パンチ11の中心部に上下動可能に嵌合保持された可動パンチ12とで構成されている。ここで、可動パンチ12は、図の紙面垂直方向に長いブロック状の金型であって、固定パンチ11を貫通するクッションピン13によって上下動可能に保持されている。
又、下型2は、図の紙面垂直方向に長い固定ダイ21と、同じく図の紙面垂直方向に長い可動ダイ22とで構成されており、可動ダイ22は、固体ダイ21に上下動可能に嵌合されており、固定ダイ21を貫通するクッションピン23によって上下動可能に保持されている。
又、固定パンチ11、可動パンチ12、固定ダイ21及び可動ダイ22の加工面の近くには図示しない複数の冷却配管が配設され、これらの冷却配管内に冷却水や冷媒等の冷却媒体を流して上型1と下型2の表面を冷却し、これらの上型1と下型2に接触した金属板W1を急冷することができるため、その強度と剛性が一層高められるとともに、連続加工が可能となる。
ところで、以上のように構成された上型1と下型2は、加圧手段である不図示のプレス機によって駆動されて所要のダイクエンチ加工に供せられる。
次に、以上のように構成された製造装置を用いて図6に示すようなハット状のダイクエンチ加工製品Wを製造する方法を図1〜図5に従って説明する。
ダイクエンチ加工に際しては、所定温度に加熱された金属板(ブランク材)W1が下型2の可動ダイ22上に水平にセットされており、ダイクエンチ加工が開始されると、図1に示すように、下型2の上方に位置している上型1が下降し、下型2の可動ダイ22上にセットされた金属板W1が上型1と下型2によってプレス加工される。ここで、金属板W1には鋼板が使用され、この鋼板は900℃〜950℃に加熱される。
そして、上型1の固定パンチ11と可動パンチ12の位置関係を保持したまま、該上型1が更に下動し、図2に示すように、上型1の固定パンチ11と可動パンチ12が下型2の可動ダイ22と固定ダイ21にそれぞれ当接すると、金属板W1は横断面U字状のハット形状(チャンネル形状)に成形されるとともに、上型1と下型2との間には図2の紙面垂直方向に長い空間Sが上型1の可動パンチ12の両側に形成される。この状態では、加熱された金属板W1の曲げ部Waを除く左右の側面部Wbと左右のフランジ部Wc及び天面部(図では底面部)Wdが上型1と下型2で挟み込まれて冷却され、これらの側面部Wbとフランジ部Wc及び天面部Wd(平坦部)が焼入されて硬化する。
これに対して、金属板W1の左右の曲げ部Waは、上型1と下型2間に形成された前記空間Sに臨んで上型1にも下型2にも接触しないために冷却されず、高温状態を維持する。
次に、図2に示す状態から、上型1を更に下動させると、該上型1の可動パンチ12は下型2の固定ダイ21に当接して不動であるため、固定パンチ11のみが下型2の可動ダイ22を押圧しながら該可動ダイ22と共に下降し、金属板W1の曲げ部Waが空間S内で圧縮される。そして、上型1の固定パンチ11が更に下動して図4に示すように下型2の固定ダイ21に当接すると、図5に詳細に示すように、金属板W1の曲げ部Waは更に圧縮されて屈曲し、該曲げ部Waの稜線に断面S字状の屈曲部aが形成される。このように、金属板W1の曲げ部Waの稜線に断面S字状の屈曲部aが形成されると、この屈曲部aは上型1の固定パンチ11と下型2の可動ダイ22に接触して冷却されるため、この屈曲部aが焼き入れされて硬化する。
以上の工程を経て図6及び図7に示すようなハット状(チャンネル状)のダイクエンチ加工製品Wが製造されるが、その底部の左右の曲げ部Waの稜線に断面S字状の屈曲部aが長手方向に沿って連続的に形成され、その部分の強度と剛性が屈曲部aによって高められる。
ところで、ダイクエンチ加工によってハット形状に成形された成形品の曲げ部は板厚が減少し、その部分の強度や剛性が低下するが、本発明に係るダイクエンチ加工製品Wにおいては、曲げ部Waの稜線に断面S字状の屈曲部aが形成されているため、成形時に板厚が減少する曲げ部Waの強度と剛性が断面S字状の屈曲部aによって高められ、ダイクエンチ加工製品Wの軽量化と高強度化が図られる。尚、ダイクエンチ加工製品Wの曲げ部Waの稜線に屈曲部aを形成すると、屈曲部aがない成形品の約1.5倍の強度が得られた。
又、本発明に係るダイクエンチ加工製品Wの製造方法及び製造装置によれば、加熱された金属板W1の曲げ部Waを除く側面部Wbとフランジ部Wc及び天面部Wd(平坦部)を上型1と下型2で挟み込んでプレス成形することによって曲げ部Waを形成し、該曲げ部Waを上型1と下型2に接触させないで高温状態を維持したまま、該曲げ部Waを上型1と下型2の間に形成された空間S内で圧縮して曲げ部Waの稜線に断面S字状の屈曲部aを形成するようにしたため、プレス工程の1工程だけでダイクエンチ加工製品Wの曲げ部Waの稜線に断面S字状の屈曲部aが形成され、この屈曲部aによって曲げ部Waの強度と剛性が高められる。この結果、図6及び図7に示すような軽量で高強度なダイクエンチ加工製品Wを生産性良く且つ低コストで製造することができる。
そして、本発明では、高温時に柔らかい金属板W1の材料特性を利用して、金属板W1の補強したい曲げ部Waを高温状態を維持したまま上型1と下型2間の空間Sにおいて該曲げ部Waを圧縮して稜線に断面S字状の屈曲部aを部分的に形成するようにしたため、該屈曲部aが容易に形成される。
本発明に係るダイクエンチ加工製品の製造方法を製造装置の断面図である。 本発明に係るダイクエンチ加工製品の製造方法を製造装置の断面図である。 本発明に係るダイクエンチ加工製品の製造方法を製造装置の断面図である。 本発明に係るダイクエンチ加工製品の製造方法を製造装置の断面図である。 図4のA部拡大詳細図である。 本発明に係るダイクエンチ加工製品の斜視図である。 本発明に係るダイクエンチ加工製品の横断面図である。
符号の説明
1 上型
2 下型
11 固定パンチ
12 可動パンチ
13 クッションピン
21 固定ダイ
22 可動ダイ
23 クッションピン
a 屈曲部
S 空間
W ダイクエンチ加工製品
W1 金属板
Wa 金属板の曲げ部
Wb 金属板の側面部
Wc 金属板のフランジ部
Wd 金属板の天面部

Claims (3)

  1. ダイクエンチ加工によってハット形状に成形された金属製品であって、
    側面部における曲げ部の稜線の近傍に、幅方向の内方に突出して折り曲げた垂直断面S字状の屈曲部を形成して成ることを特徴とするダイクエンチ加工製品。
  2. ダイクエンチ加工によって曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部が形成されたハット形状のダイクエンチ加工製品を製造する方法であって、
    加熱された金属板の曲げ部を除く平坦部を上下のプレス型で挟み込んでプレス成形することによって曲げ部を形成し、該曲げ部をプレス型に接触させないで高温状態を維持したまま、該曲げ部を上下のプレス型間に形成された空間内で圧縮して曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部を形成することを特徴とするダイクエンチ加工製品の製造方法。
  3. 固定パンチと該固定パンチの内方に収容配置されて固定パンチに対して上下方向に相対移動可能な可動パンチを有する金型及び固定ダイと該固定ダイの外方に配置されて固定ダイに対して上下方向に相対移動可能な可動ダイを有する金型を備えたプレス型によるダイクエンチ加工によって曲げ部の稜線に断面S字状の屈曲部が形成されたハット形状のダイクエンチ加工製品を製造する装置であって、
    加熱された金属板の曲げ部を除く平坦部を前記プレス型の上型と下型によって挟み込んで前記可動パンチが固定パンチよりも突出した状態でプレス成形して前記金属板を折り曲げたときに該金属板の曲げ部がプレス型に接触しないよう上型と下型の間に空間を形成し
    可動パンチを固定パンチに収容する過程で、金属板の曲げ部が前記空間内で圧縮されて前記曲げ部の稜線に折り曲がった断面S字状の屈曲部が形成されることを特徴とするダイクエンチ加工製品の製造装置。
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