本発明の製造方法に用いられる感光材料は、支持体上に設けられた銀塩乳剤層に露光と現像処理を施すことにより導電性金属膜を得るハロゲン化銀感光材料であって、銀塩乳剤層が紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含有する。また、本発明の導電膜の製造方法は、支持体上に導電性物質とカラギーナン等の天然高分子多糖類等の水溶性バインダーとからなる導電性金属部を形成させることを特徴とするものである。また、支持体上に保護層を設けることも特徴である。
膜形成時のセット性向上のためにカラギーナン等の天然高分子多糖類を用いることや、保護層を用いることは写真感材ではよく知られている(例えば特開平6−67330号公報、特開平6−75318号公報、特開平6−95297号公報参照)。いずれも写真に関することであり、導電性膜に関することではない。
以下、本発明の導電膜の製造方法について説明する。なお、本発明の導電膜は、透光性電磁波シールド膜やプリント基板としても使用できる。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
〈導電膜製造用感光材料〉
[支持体]
本発明の製造方法に用いられる感光材料の支持体としては、プラスチックフイルム、プラスチック板、及びガラス板等を用いることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
本発明におけるプラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フイルムとして用いることも可能である。
また、アルミ等の金属箔支持体を用いることもできる。
[銀塩含有層]
本発明の製造方法に用いられる感光材料は、支持体上に、光センサとして銀塩を含む乳剤層(銀塩含有層)を有する。銀塩含有層は、銀塩のほか、バインダ、溶媒等を含有することができる。また、疑義がない場合には、銀塩を含む乳剤層(あるいは銀塩含有層)を単に「乳剤層」と呼ぶこともある。
また好ましくは、乳剤層は実質的に最上層に配置されている。ここで、「乳剤層が実質的に最上層である」とは、乳剤層が実際に最上層に配置されている場合のみならず、乳剤層の上に設けられた層の総膜厚が0.5μm以下であることを意味する。乳剤層の上に設けられた層の総膜厚は、好ましくは0.2μm以下である。
乳剤層には、銀塩のほか、必要に応じて、染料、バインダ、溶媒等を含有することができる。以下、乳剤層に含まれる各成分について説明する。
<染料>
感光材料には、少なくとも乳剤層に染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で乳剤層に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本発明に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
このほか、本発明に使用することができる染料としては、現像又は定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料としては、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料及びアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料及び同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物及び特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料及びアゾ染料が挙げられる。中でも本発明においては、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料及びベンジリデン染料が有用である。本発明に用い得る水溶性染料の具体例としては、英国特許584,609号公報、同1,177,429号公報、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許2,274,782号公報、同2,533,472号公報、同2,956,879号公報書、同3,148,187号公報、同3,177,078号公報、同3,247,127号公報、同3,540,887号公報、同3,575,704号公報、同3,653,905号公報、同3,718,427号公報に記載されたものが挙げられる。
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止等の効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
<銀塩>
本発明で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本発明においては、光センサとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるハロゲン化銀について説明する。
本発明においては、光センサとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においても用いることができる。
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgBrやAgClを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
なお、ここで、「AgBr(臭化銀)を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
なお、ハロゲン化銀乳剤における沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モル当たり1.5mol%であることが好ましい。沃化銀含有率を1.5mol%とすることにより、カブリを防止し、圧力性を改善することができる。より好ましい沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モル当たり1mol%以下である。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状等)、八面体状、14面体状等、様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また、粒子内部あるいは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
本発明に用いられる乳剤層用塗布液であるハロゲン化銀乳剤は、P.Glafkides著 Chimieet Physique Photographique(Paul Montel社刊、1967年)、G.F.Dufin著 Photographic Emulsion Chemistry(The Forcal Press刊、1966年)、V.L.Zelikmanほか著 Making and Coating Photographic Emulsion(The Forcal Press刊、1964年)等に記載された方法を用いて調製することができる。
すなわち、上記ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、酸性法、中性法等のいずれでもよく、また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる方法としては、片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせ等のいずれを用いてもよい。
また、銀粒子の形成方法としては、粒子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。さらに、同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
また、アンモニア、チオエーテル、四置換チオ尿素等のいわゆるハロゲン化銀溶剤を使用して粒子形成させることも好ましい。これらの方法としてより好ましくは四置換チオ尿素化合物であり、特開昭53−82408号、同55−77737号各公報に記載されている。好ましいチオ尿素化合物はテトラメチルチオ尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジンチオンが挙げられる。ハロゲン化銀溶剤の添加量は用いる化合物の種類及び目的とする粒子サイズ、ハロゲン組成により異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり10-5〜10-2モルが好ましい。
上記コントロールド・ダブルジェット法及びハロゲン化銀溶剤を使用した粒子形成方法では、結晶型が規則的で粒子サイズ分布の狭いハロゲン化銀乳剤を作るのが容易であり、本発明に好ましく用いることができる。
また、粒子サイズを均一にするためには、英国特許第1,535,016号公報、特公昭48−36890号公報、同52−16364号公報に記載されているように、硝酸銀やハロゲン化アルカリの添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、英国特許第4,242,445号公報、特開昭55−158124号公報に記載されているように水溶液の濃度を変化させる方法を用いて、臨界飽和度を越えない範囲において早く銀を成長させることが好ましい。本発明における乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物等を含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等や、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類メチルアミン、エチレンジアミン等、ヘテロ環化合物イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾール等、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。
また、高感度化のためにはK4〔FeCN〕6〕やK4〔RuCN〕6〕、K3〔CrCN〕6〕のような六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3Rh2Br9等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
上記イリジウム化合物としては、K2IrCl6、K3IrCl6等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。
上記ルテニウム化合物としては、ヘキサクロロルテニウム、ペンタクロロニトロシルルテニウム、K4〔RuCN)6〕等が挙げられる。
上記鉄化合物としては、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、チオシアン酸第一鉄が挙げられる。
上記ルテニウム、オスミニウムは特開昭63−2042号公報、特開平1−285941号公報、同2−20852号公報、同2−20855号公報等に記載された水溶性錯塩の形で添加され、特に好ましいものとして、以下の式で示される六配位錯体が挙げられる。
〔ML6〕-n
ここで、MはRu、及びOsを表し、nは0、1、2、3及び4を表す。
この場合、対イオンは重要性を持たず、例えば、アンモニウム若しくはアルカリ金属イオンが用いられる。また、好ましい配位子としてはハロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔RuCl6〕-3、〔RuCl4H2O)2〕-1、〔RuCl5NO)〕-2、〔RuBr5NS)〕-2、〔RuCO)3Cl3〕-2、〔RuCO)Cl5〕-2、〔RuCO)Br5〕-2、〔OsCl6〕-3、〔OsCl5NO)〕-2、〔OsNO)CN)5〕-2、〔OsNS)Br5〕-2、〔OsCN)6〕-4、〔OsO)2CN)5〕-4。
これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1モル当り10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
その他、本発明では、Pd(II)イオン及び/又はPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加する等の方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/及びPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
本発明では一般のハロゲン化銀写真感光材料と同様に化学増感を施しても、施さなくてもよい。化学増感の方法としては、例えば特開平2000−275770号の段落番号0078以降に引用されている、写真感光材料の感度増感作用のあるカルコゲナイト化合物あるいは貴金属化合物からなる化学増感剤をハロゲン化銀乳剤に添加することによって行われる。本発明の感光材料に用いる銀塩としては、このような化学増感を行わない乳剤、すなわち未化学増感乳剤を好ましく用いることができる。本発明において好ましい未化学増感乳剤の調製方法としては、カルコゲナイトあるいは貴金属化合物からなる化学増感剤の添加量を、これらが添加されたことによる感度上昇が0.1以内になる量以下の量にとどめることが好ましい。カルコゲナイトあるいは貴金属化合物の添加量の具体的な量に制限はないが、本発明における未化学増感乳剤の好ましい調製方法として、これら化学増感化合物の総添加量をハロゲン化銀1モルあたり5×10-7モル以下にすることが好ましい。
本発明では、さらに光センサとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感の方法としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感等カルコゲン増感、金増感等の貴金属増感、還元増感等を用いることができる。これらは、単独又は組み合わせて用いられる。上記化学増感の方法を組み合わせて使用する場合には、例えば、硫黄増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法とテルル増感法と金増感法等の組み合わせが好ましい。
上記硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記硫黄増感剤としては公知の化合物を使用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いることができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさ等の種々の条件の下で変化し、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルが好ましく、より好ましくは10-5〜10-3モルである。
上記セレン増感に用いられるセレン増感剤としては、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわち、上記セレン増感は、通常、不安定型及び/又は非不安定型セレン化合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌することにより行われる。上記不安定型セレン化合物としては特公昭44−15748号公報、同43−13489号公報、特開平4−109240号公報、同4−324855号公報等に記載の化合物を用いることができる。特に特開平4−324855号公報中の一般式(VIII)及び(IX)で示される化合物を用いることが好ましい。
上記テルル増感剤に用いられるテルル増感剤は、ハロゲン化銀粒子表面又は内部に、増感核になると推定されるテルル化銀を生成せしめる化合物である。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度については特開平5−313284号公報に記載の方法で試験することができる。具体的には、米国特許US第1,623,499号公報、同第3,320,069号公報、同第3,772,031号公報、英国特許第235,211号公報、同第1,121,496号公報、同第1,295,462号公報、同第1,396,696号公報、カナダ特許第800,958号公報、特開平4−204640号公報、同4−271341号公報、同4−333043号公報、同5−303157号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)635頁(1980)、同1102頁(1979)、同645頁(1979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.1巻,2191頁(1980)、S.パタイ(S.Patai)編、ザ・ケミストリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellunium Compounds)、1巻(1986)、同2巻(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に、特開平5−313284号公報中の一般式(II)、(III)、(IV)で示される化合物が好ましい。
本発明で用いることのできるセレン増感剤及びテルル増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件としては特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとしては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度としては40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。
また、上記貴金属増感剤としては、金、白金、パラジウム、イリジウム等が挙げられ、特に金増感が好ましい。金増感に用いられる金増感剤としては、具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、チオグルコース金(I)、チオマンノース金(I)等が挙げられ、ハロゲン化銀1モル当たり10-7〜10-2モル程度を用いることができる。本発明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形成又は物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩等を共存させてもよい。
また、本発明においては、還元増感を用いることができる。還元増感剤としては第一スズ塩、アミン類、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物等を用いることができる。上記ハロゲン化銀乳剤は、欧州公開特許(EP)293917号公法に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。本発明に用いられる感光材料の作製に用いられるハロゲン化銀乳剤は、1種だけでもよいし、2種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの、感度の異なるもの)の併用であってもよい。中でも高コントラストを得るためには、特開平6−324426号公報に記載されているように、支持体に近いほど高感度な乳剤を塗布することが好ましい。
<バインダ>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、且つ、乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダを用いることができる。本発明において上記バインダとしては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
また、ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、その他(アミノ基、カルボキシル基を修飾したゼラチンフタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することができる。
乳剤層中に含有されるバインダの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。乳剤層中のバインダの含有量は、Ag/バインダ体積比率が1/2以上であることが好ましく、1/1以上であることがより好ましい。
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトン等、ケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダ等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
<帯電防止剤>
本発明の製造方法に用いられる感光材料は帯電防止剤を含有することが好ましく、乳剤層と反対側の支持体面上にコーティングするのが望ましい。
帯電防止層としては、表面抵抗率が25℃、25%RHの雰囲気下で1012(オーム/sq)以下の導電性物質含有層を好ましく用いることができる。本発明に好ましい帯電防止剤として、下記の導電性物質を好ましく用いることができる。
特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質。具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、及び同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物。USP5575957号公報、特開平10−142738号公報段落番号0045〜0043及び特開平11−223901号公法段落番号0013〜0019に記載の針状の金属酸化物等を用いることができる。
本発明で用いられる導電性金属酸化物粒子は、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、MgO、BaO及びMoO3並びにこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物にさらに異種原子を含む金属酸化物の粒子を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al2O3、TiO2、In2O3、及びMgOが好ましく、さらに、SnO2、ZnO、In2O3及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In2O3に対してSn、及びSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素等の異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物又は複合酸化物に充分な導電性を付与することができにくくなり、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため適さない。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物又は複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物微粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO2粒子が好ましい。
本発明に用いる導電性金属酸化物の形状については特に制限はなく、粒状、針状等が挙げられる。また、その大きさは、球換算径で表した平均粒径が0.5〜25μmである。
また、導電性を得るためには、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩等)、蒸着金属層、米国特許第2861056号公報及び同第3206312号公報に記載のようなイオン性ポリマー又は米国特許第3428451号公報に記載のような不溶性無機塩を使用することもできる。
このような導電性金属酸化物粒子を含有する帯電防止層はバック面の下塗り層、乳剤層の下塗り層等として設けることが好ましい。その添加量は両面合計で0.01〜1.0g/m2であることが好ましい。
また、感光材料の体積抵抗率は25℃25%RHの雰囲気下で1.0×107〜1.0〜1012(オーム・cm)であることが好ましい。
本発明において、前記導電性物質のほかに、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を併用することによって、さらに良好な帯電防止性を得ることができる。
<その他の添加剤>
感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば下記公報等に記載されたものを好ましく用いることができる。
(1)造核促進剤
上記造核促進剤としては、特開平6−82943号公報に記載の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の化合物や、特開平2−103536号公報第9頁右上欄13行目から同第16頁左上欄10行目の一般式(II−m)〜(II−p)及び化合物例II−1〜II−22、並びに、特開平1−179939号公報に記載の化合物が挙げられる。
(2)分光増感色素
上記分光増感色素としては、特開平2−12236号公報第8頁左下欄13行目から同右下欄4行目、同2−103536号公報第16頁右下欄3行目から同第17頁左下欄20行目、さらに特開平1−112235号、同2−124560号、同3−7928号、及び同5−11389号各公報に記載の分光増感色素が挙げられる。
(3)界面活性剤
上記界面活性剤としては、特開平2−12236号公報第9頁右上欄7行目から同右下欄7行目及び特開平2−18542号公報第2頁左下欄13行目から同第4頁右下欄18行目に記載の界面活性剤が挙げられる。
(4)カブリ防止剤
上記カブリ防止剤としては、特開平2−103536号公報第17頁右下欄19行目から同第18頁右上欄4行目及び同右下欄1行目から5行目、さらに特開平1−237538号公報に記載のチオスルフィン酸化合物が挙げられる。
(5)ポリマーラテックス
上記ポリマーラテックスとしては、特開平2−103536号公報第18頁左下欄12行目から同20行目に記載のものが挙げられる。
(6)酸基を有する化合物
上記酸基を有する化合物としては、特開平2−103536号公報第18頁右下欄6行目から同第19頁左上欄1行目に記載の化合物が挙げられる。
(7)硬膜剤
上記硬膜剤としては、特開平2−103536号公報第18頁右上欄5行目から同第17行目に記載の化合物が挙げられる。
(8)黒ポツ防止剤
上記黒ポツ防止剤とは、未露光部に点状の現像銀が発生することを抑制する化合物であり、例えば、米国特許US第4956257号公報及び特開平1−118832号公報に記載の化合物が挙げられる。
(9)レドックス化合物
レドックス化合物としては、特開平2−301743号公報の一般式(I)で表される化合物(特に化合物例1〜50)、同3−174143号公報第3頁〜第20頁に記載の一般式(R−1)、(R−2)、(R−3)、化合物例1〜75、さらに特開平5−257239号、同4−278939号各公報に記載の化合物が挙げられる。
(10)モノメチン化合物
上記モノメチン化合物としては、特開平2−287532号公報の一般式II)の化合物特に化合物例II−1ないしII−26)が挙げられる。
(11)ジヒドロキシベンゼン類
特開平3−39948号公報第11頁左上欄から第12頁左下欄の記載、及び欧州特許公開EP452772A号公報に記載の化合物が挙げられる。
[その他の層構成]
乳剤層の上に保護層を設けても良い。本発明において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する乳剤層上に形成される。その厚みは0.2μm以下が好ましい。上記保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
〈導電膜の製造方法〉
上記の感光材料を用いて、導電膜を製造する方法について説明する。
本発明の導電膜の製造方法では、先ず、支持体上に少なくとも1層の銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を塗布、乾燥する。そして、作製した感光材料を露光し、現像処理を施す。その後、現像処理により形成された金属銀部を平滑化処理(例えば、カレンダー処理)する。なお、金属銀部を形成する際には、金属銀部と光透過性部又は金属銀部と絶縁性部を形成してもよく、全面露光することでフイルムの全面に金属銀部を形成することもできる。なお、本発明によって得られる導電膜は、パターン露光によって金属が支持体上に形成されたものであるが、パターン露光は走査露光方式であっても面露光方式であってもよい。また、金属銀部は露光部に形成される場合と、未露光部に形成される場合とがある。
パターンの例としては、電磁波シールド膜の製造用にはメッシュ状のパターンであり、プリント基板の製造には、配線パターンであり、パターンの形状の更なる詳細は目的に応じて適宜調整することができる。
本発明の導電膜の製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2)物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に透光性電磁波シールド膜等の透光性導電膜、あるいはプリント配線を有する導電膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像であり、高比表面のフィラメントである点で後続するメッキ又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜等の透光性導電膜、あるいはプリント配線を有する導電膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面は小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜等の透光性導電膜、あるいはプリント配線を有する導電膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理を行う態様も可能である)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、及び拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Prosess,第4版」等に解説されている。
[塗布・乾燥]
本発明に用いられる塗布には塗布精度を良くするためにプリメタリングタイプのスライドビードコーターやダイコーターが好ましく用いられる。乾燥風の風速は乾燥速度の点から10m/s以上の風速が好ましい。
[露光]
本発明の製造方法では、支持体上に設けられた銀塩含有層の露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。照射光のパターン化の形態としては、電磁波シールド膜の製造用にはメッシュ状のパターンであり、プリント基板の製造には、配線パターンである。
上記光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザを用いた装置に比べて、簡便で、且つ、コンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。発光体としては、例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色あるいは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また、本発明の製造方法では、露光を種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本発明における露光は、ガスレーザ、発光ダイオード、半導体レーザ、半導体レーザ又は半導体レーザを励起光源に用いた固体レーザと非線形光学結晶とを組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2レーザ等も用いることができる。
銀塩含有層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティ露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることができる。
[現像処理]
本発明の製造方法では、銀塩含有層を露光した後、さらに現像処理が施される。上記現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもできる。市販品としては、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトールや、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、Dsd−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。リス現像液としては、KODAK社処方のD85等を用いることができる。
本発明の製造方法では、上記の露光及び現像処理を行うことにより露光部に金属銀部が形成されると共に、未露光部に後述する光透過性部が形成される。
本発明の製造方法における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明の製造方法において、定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像処理で用いられる現像液には、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。上記画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等の含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合は、特にポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得やすいため好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀部は銀及び、非導電性の高分子からなり、Ag/非導電性高分子の体積比が2/1以上であることを好ましく、3/1以上であることがさらに好ましい。
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
[酸化処理]
本発明の製造方法では、現像処理後の金属銀部は、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
上記酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理等、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後に行うことができる。
本発明では、さらに露光及び現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により金属銀部の黒色が経時変化することを抑制できる。
なお、本発明の製造方法においては、線幅、開口率、Ag含有量を特定したメッシュ状の金属銀部を、露光・現像処理によって直接支持体上に形成するため、十分な表面抵抗率を有することから、さらに金属銀部に物理現象及び/又はメッキ処理を施してあらためて導電性を付与する必要がない。このため、簡易な工程で透光性電磁波シールド膜を製造することができる。
上述の通り、本発明の透光性電磁波シールドは、プラズマディスプレイパネル用透光性電磁波シールド膜として好適に用いることができる。このため、本発明の透光性電磁波シールド膜を含んでなるプラズマディスプレイパネル用透光性電磁波シールド膜を用いて形成されたプラズマディスプレイパネルは、高電磁波シールド能、高コントラスト及び高明度であり、且つ、低コストで作製することができる。
[還元処理]
現像処理後に還元水溶液に浸漬することで、好ましい導電性の高いフイルムを得ることができる。
還元水溶液としては、亜硫酸ナトリム水溶液、ハイドロキノン水溶液、パラフェニレンジアミン水溶液、シュウ酸水溶液等を用いることができ、水溶液PHは10以上とすることがさらに好ましい。
[平滑化処理]
本発明の製造方法では、現像処理済みの金属銀部(全面金属銀部、金属メッシュ状パターン部又は金属配線パターン部)に平滑化処理を施す。これによって金属銀部の導電性が顕著に増大する。さらに、金属銀部と光透過性部の面積を好適に設計することで、高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に有し、且つ、メッシュ部が黒色の透光性電磁波シールド膜及び高い導電性と高い絶縁性とを同時に有する、ピンホールのないプリント基板が得られる。
平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は好ましくは1960N/cm(200kgf/cm)。以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュ状パターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
以上に述べたように本発明の製造方法によって、高い導電性を有する導電膜を簡便で低コストで製造することができる。
[めっき処理]
本発明においては、上記平滑化処理を行えばよいが、金属銀部に対してめっき処理を行ってもよい。めっき処理により、さらに表面抵抗を低減でき、導電性を高めることができる。平滑化処理は、めっき処理の前段又は後段のいずれで行ってもよいが、めっき処理の前段で行うことで、めっき処理が効率化され均一なめっき層が形成される。めっき処理としては、電解めっきでも無電解めっきでもよい。まためっき層の構成材料は十分な導電性を有する金属が好ましく、銅が好ましい。
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本発明と下記公報に開示の技術を組合わせて使用することができる。特開2004−221564号、特開2004−221565号、特開2006−012935号、特開2006−010795号、特開2006−228469号、特開2006−228473号、特開2006−228478号、特開2006−228480号、特開2006−228836号、特開2006−267627号、特開2006−269795号、特開2006−267635号、特開2006−286410号、特開2006−283133号、特開2006−283137号。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1〜14及び比較例1〜8]
(乳剤Aの調製)
・1液:
水 750ml
ゼラチン(フタル化処理ゼラチン) 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005%KCl 20%水溶液)及びヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001%NaCl 20%水溶液)は、それぞれの錯体粉末をそれぞれKCl20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
・4液
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=6.4、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2×103kg/m3、粘度=60mPa・sとなった。
(乳剤Bの調製)
乳剤Aの調製にて、1液のゼラチン量を8gとした他は、同じ条件で調製した乳剤を乳剤Bとした。
(塗布試料の作製)
上記乳剤A、Bに増感色素(sd−1)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAg、化合物(Cpd−3)8.0×10-4モル/モルAgを加え、よく混合した。
次いで1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩を90mg/m2、ゼラチンに対して15wt%の粒径10μmのコロイダルシリカ、水性ラテックス(aqL−6)を50mg/m2、ポリエチルアクリレートラテックスを100mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトキシエチルメタクリレートのラテックス共重合体(重量比88:5:7)を100mg/m2、コアシェル型ラテックスコア:スチレン/ブタジエン共重合体重量比37/63)、シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート(重量比84/16、コア/シェル比=50/50)を100mg/m2、ゼラチンに対し4wt%の化合物(Cpd−7)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
乳剤Aを用いて、上記のように調製した乳剤層塗布液をポリエチレンテレフタレート(PET)上にAg10.5g/m2、ゼラチン0.94g/m2になるように塗布し、その後、乾燥させたものを塗布試料Aとした。
また、乳剤Bを用いて、上記のように調製した乳剤層塗布液をポリエチレンテレフタレート(PET)上にAg10.5g/m2、ゼラチン0.33g/m2になるように塗布し、その後、乾燥させたものを塗布試料Bとした。
PETにはあらかじめ表面親水化処理したものを用いた。
得られた塗布試料Aは、乳剤層のAg/バインダ体積比率(銀/GEL比(vol))が1/0.7であり、本発明の導電膜形成用感光材料に好ましく用いられるAg/バインダ比率1/1以上に該当している(実施例1、2、比較例1及び2参照)。
塗布試料Bは、乳剤層のAg/バインダ体積比率(銀/GEL比(vol))が4/1であり、本発明の導電膜形成用感光材料にさらに好ましく用いられるAg/バインダ比率2/1以上に該当している(実施例3、4及び比較例3参照)。さらに、ゼラチン量を変えたサンプルを作成し、実施例5〜11を作成した。
(露光・現像処理)
次いで、乾燥させた塗布膜にライン/スペース=5μm/195μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスクライン/スペース=195μm/5μm(ピッチ200μm)の、スペースが格子状であるフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光し、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士写真フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、線幅及び開口率の異なるサンプルa及びbを得た。
塗布試料Aについて作成したものをA−a(比較例1及び実施例1参照)、A−b(比較例2及び実施例2参照)、塗布試料Bについて作成したものをB−a(比較例3、実施例3及び4参照)、B−b(実施例5)とした。また、全面露光のサンプルも作成した(比較例8、参考例1及び2参照)。
[現像液の組成]
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
(カレンダー処理)
上記のように現像処理したサンプルをカレンダー処理した。カレンダーロールは金属ロール(鉄芯+ハードクロムメッキ、ロール直径250mm)からなり、線圧力1960N/cm(200kg/cm)(面圧に換算すると700kgf/cm2)から7840N/cm(800kg/cm)(面圧に換算すると1850kgf/cm2をかけてローラー間にサンプルを通し、処理前後の表面抵抗率(Ω/sq)を測定した。
サンプルA−aのカレンダー処理前をA−a−1(比較例1)、処理後をA−a−2(実施例1)、サンプルA−bのカレンダー処理前をA−b−1(比較例2)、処理後をA−b−2(実施例2)とした。
サンプルBのカレンダー処理前をB−a−1(比較例3)、処理後をB−a−2(実施例3)とした。
得られたサンプルB−a−2(実施例3)は、金属銀部のAg/非導電性高分子の体積比が3.1/1、また、密度8.5g/cm3、厚みが1.2μmであり、本発明の導電膜に好ましく用いられる金属銀部のAg/非導電性高分子の体積比が3/1以上、厚みが0.5μ〜5μであることに該当している。
(黒化処理)
次に、メッシュ状の銀画像が形成された透明フイルムに対して、下記組成の黒化メッキ液浴中で、カーボンを陽極電極として電気メッキを行った。
黒化メッキ処理におけるメッキ処理液は以下のとおりである。[黒化液組成]
硫酸ニッケル6水塩 120g
チオシアン酸アンモニウム 17g
硫酸亜鉛7水塩 28g
硫酸ナトリウム 16g
純水を加えて 1L
pH5.0硫酸と水酸化ナトリウムで(pH調整)
[メッキ条件]
浴温:約30℃
時間:20秒
陰極電流密度:0.1〜0.2A/dm2
陰極(35mm×12cm)全体に対し、電流0.03A
サンプルB−a−2(実施例3)の上記黒化処理サンプルをB−a−3(実施例4)とした。
(比較例4〜7)
従来知られている中で最も導電性が高く、且つ、光透過性の高い技術と比較すべく、前述の従来技術欄の「フォトグラフィー法を利用したエッチング加工銅メッシュ」の代表として、特開平10−41682号公報に記載の金属メッシュを作製し、比較例4のサンプルとした。
このサンプル(比較例4)は、特開平10−41682号公報の実施例と同様の実験を行って作製した。
なお、本発明のサンプルとメッシュ形状線幅、ピッチを一致させるために、上記と同じピッチ200μmのフォトマスクを利用した。
また、前述の従来技術欄の「銀塩を利用した導電性銀形成法」である、物理現像核に銀を沈着させる銀塩拡散転写法の代表として特公昭42−23746号公報記載の金属メッシュの作製を行い、比較例5のサンプルとした。該サンプル(比較例5)は、特公昭42−23746号公報の実施例3に記載の方法と同様の方法で、親水化処理した透明なTAC(トリアセチルセルロース)支持体上に物理現像核層と感光層とを塗布し、ピッチ200μmのメッシュ状フォトマスクを介して露光を与え、DTR法による現像を行って作製した。
また、前述の従来技術欄の「銀ペーストを印刷したメッシュ」の代表として特開2000−13088号公報記載の金属メッシュの作製を行い、開口率の異なる比較例6及び7のサンプルを作製した。
[評価]
このようにして得られた、導電性金属部と光透過性部とを有する本発明のサンプル及び比較例のサンプルの導電性金属部の線幅を測定して開口率を求め、さらに表面抵抗率(オーム/sq)を測定した。なお、各測定には、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡及び低抵抗率計を用いた。
また、メッシュの金属部の色を目視評価し、黒色のものを「○」、褐色ないしグレーのものを「×」とした。さらに、製造方法における工程数について、5以下の工程を有するものを「○」とし、5を超える工程を要するものを「×」と評価した。
また、膜強度の評価は以下のように行った。
メッシュ金属部が形成されている面側を0.1mmφのサファイヤ針を用いて1cm/秒の速さで引っかく。サファイヤ針の荷重を0〜100gに変化させ、傷がベースに到する時の荷重を以って膜強度の尺度にした。
◎: 引っかき傷が生じ始める荷重が80g以上
○: 引っかき傷が生じ始める荷重が50g以上80g未満
×: 引っかき傷が生じ始める荷重が20g以上50g未満
評価結果を、各サンプルのデータと共に表1に示す。
表1からわかるように、比較例4のエッチング銅メッシュは、メッシュの色が褐色であり、工程数も多工程であった。また、比較例5の銀塩を利用したメッシュは、表面抵抗率が大きく電磁波シールド能が不十分であった。さらに、比較例6の銀ペーストを印刷したメッシュは、線幅が太いため開口率が低かった。この場合、比較例7に示すように、ピッチを広げて開口率を高めることは可能であるが、表面抵抗率が大きくなるという新たな問題が生じた。
これに対し、実施例1及び2は、上記比較例に見られる問題点がなく、線幅が細く、もとの線幅からの広がりもほとんどなく、開口率が大きく、さらに、表面抵抗率が低く電磁波シールド能が高い。
さらに好ましい形態である実施例4は、メッシュの金属部が黒色であることから、ディスプレイの画像への悪影響コントラスト低下が避けられる。また、製造時の工程数が短工程であった。
しかも、実施例1〜4は、膜強度が大きく、取扱いの際にもメッシュ部の欠け、剥がれが起きにくく、品質上、信頼性の高いことがわかった。
ゼラチン量を変えた実施例5〜8については、線幅が実施例1〜4よりも僅かに太い。しかし、ピッチを広げて開口率を高めても表面抵抗率が低いことから、実施例1〜4よりも開口率を大きくとることができた。また、膜強度が大きく、信頼性が高い。
全面露光の比較例8は、表面抵抗率が低く良好であったが、膜強度が小さく、信頼性の点で問題がある。一方、全面露光の参考例1及び2は、比較例8よりも表面抵抗率が低く、しかも、膜強度が大きく、信頼性の点でも十分であった。
なお、実施例9〜11については、表面抵抗率が2.5(オーム/sq)よりも高く、導電性の点では不十分であったが、膜強度が大きく、信頼性の点で十分であった。