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JP5192367B2 - 作業車両および作業車両の制御方法 - Google Patents

作業車両および作業車両の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、作業車両および作業車両の制御方法に関する。
作業車両は、エンジンによって油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプからの油圧を作業機に供給することによって、掘削等の作業を行う。
ここで、従来の作業車両には、オペレーターが、運転室に備えられたパワーアップスイッチを押すことにより、作業機の出力を増大させるパワーアップ制御を実行させるようにしたものがある(特許文献1参照)。このパワーアップ制御では、エンジン回転数を増大させると共に、リリーフ弁に設定されたリリーフ圧を増大させる。リリーフ弁は、設定されたリリーフ圧を超えないように油圧ポンプから作業機に供給される油圧を調整するものである。従って、設定されるリリーフ圧が増大すると、作業機に供給される油圧の上限が増大する。
これにより、オペレーターは、パワーアップスイッチを操作することにより、作業機の出力を任意に増大させることができる。
特開平5−214746号公報
上記のような従来の作業車両では、高出力を必要としない軽負荷の作業時であっても、パワーアップスイッチが押されると、エンジン回転数が増大してしまう。この場合、燃費が低下したり、騒音が増大したりする恐れがある。
また、一般的に高出力を必要とする高負荷の作業であっても、作業環境や作業車両の状態によっては、作業機の出力の増大を必要としない場合がある。例えば、掘削作業においては、土質や掘削姿勢によって作業機の出力増大が不要な場合がある。このような状況において、パワーアップスイッチが押された場合には、上記と同様に、エンジン回転数が増大してしまう結果、エンジン回転数が増大してしまう恐れがある。
本発明の課題は、不必要な燃料消費および騒音を抑えることができる作業車両および作業車両の制御方法を提供することにある。
第1発明に係る作業車両は、エンジンと、油圧ポンプと、作業機と、リリーフ弁と、操作部と、油圧検知部と、制御部とを備える。油圧ポンプは、エンジンによって駆動される。作業機は、油圧ポンプからの油圧によって駆動される。リリーフ弁は、設定されたリリーフ圧を超えないように作業機へ供給される油圧を調整する。操作部は、オペレーターによって操作される。油圧検知部は、作業機に供給される油圧を検知する。制御部は、操作部が操作されると、油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値より大きい場合には第1パワーアップ制御を実行する。第1パワーアップ制御は、エンジンの回転数を増大させると共にリリーフ圧の設定値を上昇させる制御である。また、制御部は、操作部が操作されると、油圧検知部によって検知された油圧が基準値以下である場合には、リリーフ圧の設定値を上昇させる第2パワーアップ制御を実行する。
この作業車両では、オペレーターが操作部を操作すると、油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値より大きい場合には第1パワーアップ制御が実行される。すなわち、エンジン回転数が増大されると共に、リリーフ圧の設定値が上昇する。これにより、作業機の出力を増大させることができる。また、オペレーターが操作部を操作した場合であっても、油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値以下である場合には、第1パワーアップ制御ではなく第2パワーアップ制御が実行される。第2パワーアップ制御では、リリーフ圧の設定値が上昇するが、第1パワーアップ制御のようなエンジン回転数の増大は行われない。このため、燃料消費および騒音を抑えることができる。これにより、不必要な燃料消費および騒音を抑えることができる。
第2発明に係る作業車両は、第1発明の作業車両であって、第1パワーアップ制御では、操作部が操作されてから所定時間経過後にエンジン回転数が増大する。
この作業車両では、エンジン回転数が不必要に増大することを抑えることができる。また、エンジン回転数は操作部が操作されてから所定時間経過後に増大するが、リリーフ圧の設定値は、操作部が操作されると直ちに上昇する。このため、エンジン回転数が増大する前に負荷が急激に増大した場合にも、リリーフ弁の作用により、作業を行えなくなることを防ぐことができる。
第3発明に係る作業車両は、第1発明の作業車両であって、制御部は、第1パワーアップ制御の開始後に油圧が基準値以下に低下しても所定時間、第1パワーアップ制御を維持する。
この作業車両では、第1パワーアップ制御の開始後に油圧が基準値以下に低下した場合、直ちに第1パワーアップ制御が終了されるのではなく、所定時間、第1パワーアップ制御が維持される。このため、第1パワーアップ制御によってエンジン回転数が増大された後に、直ちにエンジン回転数が低下されることが抑えられる。これにより、作業車両の動作を安定させることができる。
第4発明に係る作業車両は、第1発明の作業車両であって、制御部は、第2パワーアップ制御の開始後に操作部が操作された時点より後であって所定時間の経過前に油圧が基準値より大きくなった場合には、油圧が基準値より大きくなった時点から第1パワーアップ制御を開始させる。
この作業車両では、操作部が操作された時点では油圧が基準値以下であり、その後に油圧が基準値より大きくなった場合であっても、所定時間の経過前であれば、油圧が基準値より大きくなった時点で第1パワーアップ制御が開始される。このため、事後的に高出力が必要な状況に変化した場合にも、高出力で作業機を駆動させることができる。
第5発明に係る作業車両は、第4発明の作業車両であって、制御部は、第1パワーアップ制御を開始させると、操作部が操作された時点から所定時間が経過した時点で第1パワーアップ制御を終了させる。
この作業車両では、操作部が操作された時点で第1パワーアップ制御が開始された場合と、操作部が操作された時点より後にパワーアップ制御が開始された場合とのいずれの場合であっても、操作部が操作された時点から所定時間が経過した時点で第1パワーアップ制御が終了する。このため、オペレーターにとっては、自らが操作部を操作した時点から一定時間後に第1パワーアップ制御が終了することになる。このため、オペレーターにとっては第1パワーアップ制御の終了のタイミングを容易に予測することができ、操作性を向上させることができる。
第6発明に係る作業車両の制御方法は、エンジンと、油圧ポンプと、作業機と、リリーフ弁と、操作部と、油圧検知部と、制御部とを備える作業車両の制御方法である。油圧ポンプは、エンジンによって駆動される。作業機は、油圧ポンプからの油圧によって駆動される。リリーフ弁は、設定されたリリーフ圧を超えないように作業機へ供給される油圧を調整する。操作部は、オペレーターによって操作される。油圧検知部は、作業機に供給される油圧を検知する。この作業車両の制御方法は、以下のステップを備える。
(1)操作部が操作されると、油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値より大きい場合にエンジンの回転数を増大させると共にリリーフ圧の設定値を上昇させる第1パワーアップ制御を実行するステップ
(2)操作部が操作されると、油圧検知部によって検知された油圧が基準値以下である場合に、リリーフ圧の設定値を上昇させる第2パワーアップ制御を実行するステップ
この作業車両の制御方法では、オペレーターが操作部を操作すると、油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値より大きい場合には第1パワーアップ制御が実行される。すなわち、エンジン回転数が増大されると共に、リリーフ圧の設定値が上昇する。これにより、作業機の出力を増大させることができる。また、オペレーターが操作部を操作した場合であっても、油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値以下である場合には、第1パワーアップ制御ではなく第2パワーアップ制御が実行される。第2パワーアップ制御では、リリーフ圧の設定値が上昇するが、第1パワーアップ制御のようなエンジン回転数の増大は行われない。このため、燃料消費および騒音を抑えることができる。これにより、不必要な燃料消費および騒音を抑えることができる。
本発明では、不必要な燃料消費および騒音を抑えることができる。
<外観構成>
本発明の一実施形態に係る油圧ショベルを図1に示す。この油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4とを備えている。
走行体2は、一対の走行装置11,12を有する。各走行装置11,12は、履帯13,14と走行モータ(図示せず)とを有し、履帯13,14が走行モータによって駆動されることによって、油圧ショベル1を走行させる。
旋回体3は、走行体2上に載置されている。旋回体3は、図示しない旋回モータによって走行体2上において旋回する。また、旋回体3の前部左側位置には運転室15が設けられている。
作業機4は、旋回体3の前部中央位置に取り付けられており、ブーム21、アーム22、バケット23を有する。ブーム21の基端部は、旋回体3に回転可能に連結されている。また、ブーム21の先端部はアーム22の基端部に回転可能に連結されている。アーム22の先端部は、バケット23に回転可能に連結されている。また、ブーム21、アーム22およびバケット23のそれぞれに対応するように油圧シリンダ(ブームシリンダ24、アームシリンダ25およびバケットシリンダ26)が配置されている。これらの油圧シリンダ24〜26が駆動されることによって作業機4が駆動され、これにより、掘削等の作業が行われる。
<油圧システムの構成>
次に、油圧ショベル1が備える油圧システムの構成を図2に示す。この油圧システムは、油圧ポンプ31がエンジン32によって駆動され、油圧ポンプ31から吐出された作動油が操作弁33を介して、ブームシリンダ24、アームシリンダ25、バケットシリンダ26、走行モータ、旋回モータなどの油圧アクチュエータに供給および排出されるように構成されている。油圧アクチュエータへの油圧の供給および排出が制御されることにより、作業機4の動作、旋回体3の旋回、および走行体2の走行動作が制御される。
エンジン32は、ディーゼルエンジンであり、燃料噴射装置34からの燃料の噴射量が調整されることにより、エンジン32の出力が制御される。燃料噴射量の調整は、燃料噴射装置34がエンジンコントローラ35によって制御されることで行われる。なお、エンジン32の実回転数は、回転数センサ36にて検出され、その検出信号は、エンジンコントローラ35およびポンプコントローラ37にそれぞれ入力される。
油圧ポンプ31は、エンジン32によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ31から吐出された作動油は、後述する操作弁33を介して油圧アクチュエータに供給される。また、油圧ポンプ31から吐出された作動油は、自己圧減圧弁38によって一定の圧力に減圧されて、各種のバルブのパイロット用に供給される。
油圧ポンプ31は、斜板41の傾転角が制御されることにより吐出容量を制御可能な可変容量型の油圧ポンプである。斜板41には、図示しないサーボピストンが連結されており、サーボピストンが駆動されることによって斜板41の傾転角が制御される。これにより、油圧ポンプ31の吐出容量が制御される。サーボピストンを駆動するための油圧は、サーボバルブ42によって制御される。サーボバルブ42は、サーボバルブ42に供給されるパイロット圧に応じて、サーボピストンへ供給する油圧を制御する。このパイロット圧は、PCバルブ44およびLSバルブ43を介してサーボバルブ42に供給される。これにより、図3に示すような、ポンプ吸収トルク特性が得られる(ラインPL1,PL2参照)。
LSバルブ43は、油圧ポンプ31の吐出圧と油圧アクチュエータの負荷圧との差圧が一定になるようにサーボバルブ42へのパイロット圧を制御する。
PCバルブ44は、油圧ポンプ31の吸収トルク(以下、「ポンプ吸収トルク」と呼ぶ)が一定となるようにサーボバルブ42へのパイロット圧を制御する。また、ポンプ吸収トルクは、PC−EPCバルブ47からPCバルブ44に供給されるパイロット圧によって制御される。PC−EPCバルブ47は、電磁制御弁であり、ポンプコントローラ37からの信号によって電気的に制御される。
なお、油圧ポンプ31の吐出圧(以下、「ポンプ圧」と呼ぶ)は、油圧センサ51によって検出され、その検出信号は、ポンプコントローラ37に入力される。
操作弁33は、油圧アクチュエータに対応して設けられる油圧パイロット操作式の方向制御弁の集合体である。操作弁33は、後述する操作装置60の操作に応じて制御され、各油圧アクチュエータに供給される油圧を制御する。
また、操作弁33には、リリーフ弁45が付設されている。リリーフ弁45は、油圧アクチュエータに供給される油圧が、所定のリリーフ圧を超えないように調整する。油圧アクチュエータに供給される油圧が高い状態を続けると、機器や配管に高い負荷がかかって問題がある。そのため、油圧が所定のリリーフ圧を超えると、リリーフ弁45は図示しないタンクに油を戻してやることにより、高い負荷がかかることを防止している。リリーフ圧は、リリーフ圧切替弁46によって設定される。リリーフ圧切替弁46は、リリーフ弁45へのパイロット圧を制御することにより、リリーフ圧を、低圧の第1リリーフ圧と高圧の第2リリーフ圧とに選択的に切り替えることができる。リリーフ圧切替弁46は、電磁制御弁であり、ポンプコントローラ37からの信号によって電気的に制御される。
操作装置60は、運転室15内に設けられており、各種の動作を指令するためにオペレーターによって操作される。操作装置60は、燃料ダイヤル61、走行レバー62、作業機レバー63、機械モニタ64、パワーアップスイッチ65などを有する。
燃料ダイヤル61は、エンジン32の回転数を変更するためにオペレーターによって操作される部材である。燃料ダイヤル61が操作されると、燃料ダイヤル61の操作量に応じたスロットル信号がポンプコントローラ37を介してエンジンコントローラ35に入力される。
走行レバー62は、油圧ショベル1の走行を操作するためにオペレーターによって操作される部材である。走行レバー62が操作されると、その操作内容に対応したパイロット圧が操作弁33に供給される。これにより、走行モータへの供給油圧が制御され、油圧ショベル1の走行動作が制御される。なお、走行レバー62の操作内容に対応したパイロット圧は、油圧センサ52によって検出され、その検出信号がポンプコントローラ37に入力される。
作業機レバー63は、作業機4を操作するためにオペレーターによって操作される部材である。作業機レバー63が操作されると、その操作内容に対応したパイロット圧が操作弁33に供給される。これにより、ブームシリンダ24、アームシリンダ25、バケットシリンダ26、旋回モータへの供給油圧が制御され、作業機4の動作および旋回体3の旋回動作が制御される。なお、作業機レバー63の操作内容に対応したパイロット圧は、油圧センサ53によって検出され、その検出信号がポンプコントローラ37に入力される。
機械モニタ64は、ポンプコントローラ37から各種の信号を受け取り、燃料量や水温などの各種の情報を表示する。また、機械モニタ64は、油圧ショベル1の各種の設定を入力するための操作ボタンを有しており、例えば、機械モニタ64によって作業モードを選択することができる。作業モードには、例えば、高出力を優先させるモードおよび燃費を優先させるモードなどがある。後述する制御部30は、選択された作業モードおよび運転状況に応じて、最適なエンジントルクおよびポンプ吸収トルクを選択する。なお、機械モニタ64が操作されると、その操作信号がポンプコントローラ37に入力される。
パワーアップスイッチ65は、作業機レバー63に付設されており、作業機4の出力を増大させるためにオペレーターによって操作される部材である。パワーアップスイッチ65が操作されると、パワーアップスイッチ65からの検出信号がポンプコントローラ37に入力される。
制御部30は、エンジンコントローラ35と、ポンプコントローラ37とを有する。
エンジンコントローラ35には、複数のエンジン出力トルク特性に対応した目標噴射特性がマップ化されて記憶されている。エンジン出力トルク特性は、エンジンの出力トルクとエンジン回転数との関係を示すものであり、その一例を図3に示す(ラインEL1参照)。エンジンコントローラ35は、燃料ダイヤル61からのスロットル信号および設定された作業モードに応じて、エンジン出力トルク特性を選択し、選択したエンジン出力トルク特性に基づいて燃料噴射装置34を制御する。
ポンプコントローラ37は、PC−EPCバルブ47を制御することによって、ポンプ吸収トルクを制御する。ポンプコントローラ37には、作業モードや運転状況に基づいて設定される複数のポンプ吸収トルク特性がマップ化されて記憶されている。ポンプ吸収トルク特性は、ポンプ吸収トルクと、エンジン回転数との関係を示すものである。ポンプ吸収トルク特性の一例を図3に示す(ラインPL1、PL2参照)。ポンプコントローラ37は、設定された作業モードなどに応じてポンプ吸収トルク特性を選択する。そして、選択されたポンプ吸収トルク特性と実際のエンジン回転数とに基づいて、ポンプ吸収トルクがエンジン出力トルクとマッチング点(例えば、図3のマッチング点M1)でマッチングするように、PC−EPCバルブ47を制御する。
ここで、制御部30は、パワーアップスイッチ65が操作されると、パワーアップ制御を実行する。パワーアップ制御は、パワーアップスイッチ65が操作されていない通常時よりも作業機4の出力を増大させるための制御である。パワーアップ制御には、第1パワーアップ制御と第2パワーアップ制御とがあり、制御部30は、油圧センサ51によって検出されたポンプ圧に応じて、いずれの制御を実行するかを判断する。なお、パワーアップスイッチ65が操作された場合であっても、作業機レバー63が中立状態である場合には、パワーアップ制御は行われない。また、作業機レバー63が旋回単独状態である場合にも、パワーアップ制御は行われない。ここで、旋回単独状態とは、旋回体3の旋回のみが指示され作業機4の駆動が指示されていない状態をいう。
以下、制御部30によって実行されるパワーアップ制御について図4の制御フローに基づいて説明する。
ステップS1では、パワーアップスイッチ65がオンされたか否かが判断される。パワーアップスイッチ65がオンされていると、すなわち、パワーアップスイッチ65が操作されていると、ステップS2に進む。
ステップS2では、タイマーTのカウントがスタートする。そして、ステップS3に進む。
ステップS3では、リリーフ弁45のリリーフ圧が増大される。すなわち、リリーフ圧が高圧の第2リリーフ圧に設定される。
ステップS4では、ポンプ圧pが所定の基準値P1より大きいか否かが判断される。ポンプ圧pが基準値P1より大きい場合には、ステップS5に進む。
ステップS5では、エンジン回転数が増大される。すなわち、図3に示すように、マッチング点が通常運転時のマッチング点M1よりもエンジン回転数が高いマッチング点M2に変更される。これにより、エンジン32の回転数を増大させると共にリリーフ圧を増大させる第1パワーアップ制御が実行される。なお、図5に示すように、リリーフ圧の増大は、パワーアップスイッチ65が操作された時間t1に直ちに実行される。しかし、パワーアップスイッチ65の操作と上記のステップS4の判定の実行との間には時間差があるため、パワーアップスイッチ65が操作された時間t1より僅かに遅れた時間t1’において、上記のステップS4の判定が行われ、エンジン回転数が増大される。
また、ステップS4において、ポンプ圧pが基準値P1以下である場合には、エンジン回転数の増大が行われずに、ステップS6に進む。従って、通常運転時のマッチング点M1が設定された状態が維持される。これにより、リリーフ圧は増大するが、エンジン回転数の増大が抑えられる第2パワーアップ制御が実行される。
次に、ステップS6において、タイマーTが所定の維持時間T1以上であるか否かが判断される。ここでT1は例えば8秒とする。タイマーTが維持時間T1以上である場合はステップS7に進む。タイマーTが維持時間T1未満である場合はステップS4に戻り、ポンプ圧pが基準値P1より大きいか否かの判定が再び行われる。なお、第1パワーアップ制御の開始後にポンプ圧pが基準値P1以下に低下しても、タイマーTが維持時間T1に達するまではエンジン回転数が増大された状態が維持され、第1パワーアップ制御が維持される。
ステップS7では、通常制御に戻る。すなわち、第1パワーアップ制御が実行されている場合には、リリーフ弁45のリリーフ圧が低圧の第1リリーフ圧に戻されると共にマッチング点が、通常制御時のマッチング点M1に戻される。また、第2パワーアップ制御が実行されている場合には、リリーフ弁45のリリーフ圧が低圧の第1リリーフ圧に戻される。
なお、第2パワーアップ制御が実行されている状態において、ステップS6からステップS4に戻り、ポンプ圧pが基準値P1より大きい場合には、ステップS5に進み第1パワーアップ制御が実行される。すなわち、図6に示すように、パワーアップスイッチ65が操作された時点t1より後であってタイマーTが維持時間T1に達する前の時点t2において、ポンプ圧pが基準値P1より大きくなった場合には、時点t2から第1パワーアップ制御が開始される。また、この場合も、図4に示すように、ステップS6において、タイマーTが所定の維持時間T1以上になると、ステップS7に進み、第1パワーアップ制御が終了される。すなわち、図6において、第1パワーアップ制御が、パワーアップスイッチ65が操作された時点t1から遅れて開始された場合であっても、パワーアップスイッチ65が操作された時点t1から維持時間T1が経過した時点t3で第1パワーアップ制御が終了される。
<特徴>
この油圧ショベル1では、オペレーターがパワーアップスイッチ65を操作すると、ポンプ圧が所定の基準値より大きい場合には第1パワーアップ制御が実行される。これにより、エンジン回転数が増大して、作業機4の出力を増大させることができる。また、オペレーターがパワーアップスイッチ65を操作した場合であっても、ポンプ圧が基準値以下である場合には、第1パワーアップ制御ではなく第2パワーアップ制御が実行される。第2パワーアップ制御では、リリーフ圧が増大されるが、第1パワーアップ制御のようなエンジン回転数の増大は行われない。このため、燃料消費および騒音を抑えることができる。なお、油圧がリリーフ圧を超えると作業機4を駆動できなくなってしまうが、第2パワーアップ制御が実行されることにより、リリーフ圧が第2リリーフ圧に昇圧され、負荷の急激な増大に備えた状態となる。このように、油圧ショベル1では、パワーアップスイッチ65が操作された場合でも、高出力が不要な場合にはエンジン回転数の増大が抑えられる。これにより、不必要な燃料消費および騒音を抑えることができる。
また、第1パワーアップ制御の開始後にポンプ圧が基準値以下に低下しても、タイマーが所定の維持時間に達するまでは第1パワーアップ制御が維持される。このため、エンジン回転数が短時間で変化することが抑えられ、油圧ショベル1の動作を安定させることができる。
また、パワーアップスイッチ65が操作された時点ではポンプ圧が基準値P1以下であっても、その後、維持時間の経過前にポンプ圧が基準値より大きくなった場合には、第1パワーアップ制御が実行される。このため、作業状況の変化などにより事後的に高出力が必要となった場合にも、高出力で作業機4を駆動することができる。
また、上記のように遅れて第1パワーアップ制御が実行された場合でも、パワーアップスイッチ65が操作された時点から維持時間が経過した時点で第1パワーアップ制御が終了される。このため、オペレーターにとっては、自らが操作部を操作した時点から一定時間後に第1パワーアップ制御が終了することになる。このため、オペレーターにとっては第1パワーアップ制御の終了のタイミングを容易に予測することができ、操作性を向上させることができる。
<他の実施形態>
(a)
上記の実施形態では、作業車両として油圧ショベルが例示されているが、他の種類の作業車両にも本発明の適用が可能である。
(b)
上記の実施形態では、パワーアップスイッチ65が操作された時点から所定の維持時間が経過するまでは第1パワーアップ制御が維持されているが、維持時間が経過する前であってもポンプ圧が所定の基準値以下となった場合に第1パワーアップ制御が終了されてもよい。この場合、図7に示すように、第1パワーアップ制御を終了する場合の基準値P2は、第1パワーアップ制御が開始される場合の基準値P1より小さい値に設定されることが望ましい。
また、図7では、第1パワーアップ制御が終了すると通常制御が行われているが、維持時間T1が経過する前であれば、ポンプ圧pが基準値P2以下となった場合に第1パワーアップ制御から第2パワーアップ制御に切り替えられてもよい。
(c)
上記の実施形態では、操作部としてパワーアップスイッチ65が例示されているが、パワーアップスイッチ65以外の操作部材が用いられてもよい。
(d)
作業車両が備える油圧システムの構成は、上記のものに限られず、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更可能である。
本発明は、不必要な燃料消費および騒音を抑えることができる効果を有し、作業車両および作業車両の制御方法として有用である。
油圧ショベルの外観図。 油圧システムの構成を示す概略図。 エンジン出力トルク特性およびポンプ吸収トルク特性を示す図。 油圧ショベルの制御方法を示すフローチャート。 第1パワーアップ制御での制御内容を示すタイミングチャート。 第1パワーアップ制御の開始時点及び終了時点の一例を示すタイミングチャート。 他の実施形態における第1パワーアップ制御の終了条件を示す図。
符号の説明
1 油圧ショベル(作業車両)
4 作業機
30 制御部
31 油圧ポンプ
32 エンジン
45 リリーフ弁
51 油圧センサ(油圧検知部)
65 パワーアップスイッチ(操作部)

Claims (6)

  1. エンジンと、
    前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプからの油圧によって駆動される作業機と、
    設定されたリリーフ圧を超えないように前記作業機へ供給される油圧を調整するリリーフ弁と、
    オペレーターによって操作される操作部と、
    前記作業機に供給される油圧を検知する油圧検知部と、
    前記操作部が操作されると、前記油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値より大きい場合には前記エンジンの回転数を増大させると共に前記リリーフ圧の設定値を上昇させる第1パワーアップ制御を実行し、前記油圧検知部によって検知された油圧が前記基準値以下である場合には前記リリーフ圧の設定値を上昇させる第2パワーアップ制御を実行する制御部と、
    を備える作業車両。
  2. 前記第1パワーアップ制御では、前記操作部が操作されてから所定時間経過後に前記エンジン回転数が増大する、
    請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記制御部は、前記第1パワーアップ制御の開始後に前記油圧が前記基準値以下に低下しても所定時間、前記第1パワーアップ制御を維持する、
    請求項1に記載の作業車両。
  4. 前記制御部は、前記第2パワーアップ制御の開始後に前記操作部が操作された時点より後であって所定時間の経過前に前記油圧が前記基準値より大きくなった場合には、前記油圧が前記基準値より大きくなった時点から前記第1パワーアップ制御を開始させる、
    請求項1に記載の作業車両。
  5. 前記制御部は、前記第1パワーアップ制御を開始させると、前記操作部が操作された時点から前記所定時間が経過した時点で前記第1パワーアップ制御を終了させる、
    請求項4に記載の作業車両。
  6. エンジンと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプからの油圧によって駆動される作業機と、設定されたリリーフ圧を超えないように前記作業機へ供給される油圧を調整するリリーフ弁と、オペレーターによって操作される操作部と、前記作業機に供給される油圧を検知する油圧検知部と、を備える作業車両の制御方法であって、
    前記操作部が操作されると、前記油圧検知部によって検知された油圧が所定の基準値より大きい場合に前記エンジンの回転数を増大させると共に前記リリーフ圧の設定値を上昇させる第1パワーアップ制御を実行するステップと、
    前記操作部が操作されると、前記油圧検知部によって検知された油圧が前記基準値以下である場合に、前記リリーフ圧の設定値を上昇させる第2パワーアップ制御を実行するステップと、
    を備える作業車両の制御方法。
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