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JP5189101B2 - 変異型dnaポリメラーゼ及び関連方法 - Google Patents

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Description

本発明は、DNAポリメラーゼの分野、並びに核酸プライマー伸長及び増幅をはじめとする様々な用途でのそれらの使用に関する。
DNAポリメラーゼはゲノムの複製と維持を担っており、その役割は世代から世代へ遺伝情報を正確に伝達することが中心である。DNAポリメラーゼはDNA合成を担当する酵素として細胞内で機能する。それらは、金属活性化剤、例えばMg2+の存在下で、コピーされるDNA鋳型又はポリヌクレオチド鋳型によって書かれている順序で、デオキシリボヌクレオシド三リン酸を重合する。生体内では、DNAポリメラーゼは、DNA複製、DNA修復、組換え及び遺伝子増幅をはじめとするDNA合成過程の分布に関与する。各DNA合成過程の間に、DNA鋳型が1回又は多くても数回コピーされて同一の複製物を生成する。対照的に試験管内では、DNA複製は、例えばポリメラーゼ連鎖反応の間のように、多数回繰り返すことができる(例えばMullisの米国特許第4,683,202号明細書を参照のこと)。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた最初の研究では、DNAポリメラーゼはDNA複製の各ラウンドの開始点に添加された(前掲の米国特許第4,683,202号を参照のこと)。その後、高温で増殖する細菌から耐熱性DNAポリメラーゼが得られ、そしてそれらの酵素が一回のみ添加すればよいことが決定された(Gelfandの米国特許第4,889,818号明細書及びMullisの米国特許第4,965,188号明細書を参照のこと)。PCR中に用いられる高温で、それらの酵素は不可逆的に不活性化されることはない。結果として、各合成付加工程の開始点で新しい酵素を添加することなく、ポリメラーゼ連鎖反応の反復サイクルを実施することができる。DNAポリメラーゼ、特に耐熱性ポリメラーゼは、組換えDNA研究及び医学的な病気診断における様々な技術にとって重要である。特に診断用途では、標的核酸配列が問題のDNA又はRNAの小部分のみである場合があるので、増幅せずに標的核酸配列の存在を検出することは困難であるかもしれない。バイオテクノロジーや医学におけるDNAポリメラーゼの重要性のため、所望の酵素的性質、例えば向上されたプライマー伸長速度、逆転写効率又は増幅能力を有するDNAポリメラーゼ変異体を作製することは非常に有利であろう。
ポリメラーゼの全体的折り畳みパターンはヒトの右手に似ており、手のひら、指及び親指という3つの異なるサブドメインを含む(Beese他、Science 260:352-355,1993; Patel他、Biochemistry 34:5351-5363,1995を参照のこと)。指と親指のサブドメインの構造は、サイズと細胞機能の点で異なるポリメラーゼ間で大きく異なっているが、一方で触媒性手のひらサブドメインは全部重なり合う。例えば、次のdNTPと相互作用し且つ化学触媒反応中の遷移状態を安定化するモチーフAは、哺乳類polαと原核生物polIファミリーのDNAポリメラーゼ間で約1Åの平均偏差で重なり合う(Wang他、Cell 89:1087-1099, 1997)。モチーフAは、構造上、優先的に疎水性残基を含有するアンチパラレルβ鎖のところで始まり、そしてαヘリックスにまで続く。DNAポリメラーゼの活性部位の一次アミノ酸配列は、完全に保存されている。モチーフAの場合、例えば、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)及びエシェリキア・コリ(Escherichia coli)をはじめとする、何百万年間の進化により分けられた生物体からのポリメラーゼ中に、配列DYSQIELRが保持されている。一緒に考慮すると、それらの知見は、ポリメラーゼが同様の触媒機構により機能することを示唆している。
十分に保存されることに加えて、DNAポリメラーゼの活性部位は、DNAポリメラーゼ活性を有意に減少させることなく或る種のアミノ酸置換を実施できる、比較的変異可能であることも示された(例えばPatel他の米国特許第6,602,695号明細書を参照のこと)。そのような変異型DNAポリメラーゼは、例えば核酸合成反応を含んで成る診断及び研究用途において、様々な選択的利点を提供することができる。よって、例えば、高められた伸長速度、逆転写効率又は増幅能力をはじめとする改善されたポリメラーゼ活性をもたらすために変異を受けられるアミノ酸位置の同定が当業界で必要とされている。本発明は、本明細書中に記載するように、それらの及び他の必要性を満たす。
本発明は、対応する未変更のポリメラーゼに比較して改善された酵素活性を有し、且つ様々な核酸合成用途に有用である、変異型DNAポリメラーゼを提供する。或る態様では、該ポリメラーゼはポリメラーゼドメイン中に下記モチーフの少なくとも1つ:
a) Xa1−Xa2−Xa3−Xa4−R−Xa6−Xa7−Xa8−K−L−Xa11−Xa12−T−Y−Xa15−Xa16(配列番号1);ここでXa1はI又はLであり;Xa2はL又はQであり;Xa3はQ,H又はEであり;Xa4はY,H又はFであり;Xa6はE,Q又はKであり;Xa7はI,L又はYであり;Xa8はQ,T,M,G又はL以外のアミノ酸であり;Xa11はK又はQであり;Xa12はS又はNであり;Xa15はI又はVであり;そしてXa16はE又はDであり;
b) T−G−R−L−S−S−Xb7−Xb8−P−N−L−Q−N(配列番号2);ここでXb7はS又はTであり;そしてXb8はD,E又はN以外のアミノ酸であり;そして
c) Xc1−Xc2−Xc3−Xc4−Xc5−Xc6−Xc7−D−Y−S−Q−I−E−L−R(配列番号3);ここでXc1はG,N又はDであり;Xc2はW又はHであり;Xc3はW,A,L又はVであり;Xc4はI又はL以外のアミノ酸であり;Xc5はV,F又はLであり;Xa6はS,A,V又はG以外のアミノ酸であり;そしてXc7はA又はLである
を有するアミノ酸配列を含んで成り、ここで前記ポリメラーゼは、Xa8がQ,T,M,G又はLから選択されたアミノ酸であり;Xb8がD,E又はNから選択されたアミノ酸でありそして/又はXc6がS,A,V又はGから選択されたアミノ酸である別の同等のポリメラーゼ(即ち参照ポリメラーゼ)に比較して改善された核酸伸長速度及び/又は改善された逆転写効率を有する。
参照ポリメラーゼの或る態様では(例えばZ05又はCS5/CS6)、Xa8がQ,T,M,G又はLであり、Xb8がD,E又はNであり、Xc4がI又はLであり、そしてXc6がS,A,V又はGである(配列番号23及び24)。参照ポリメラーゼの或る態様では、Xb8がD,E又はNである(配列番号25及び26)。
モチーフa) Xa1−Xa2−Xa3−Xa4−R−Xa6−Xa7−Xa8−K−L−Xa11−Xa12−T−Y−Xa15−Xa16(配列番号1)に関して、或る態様では、Xa8がA,C,D,E,F,H,I,K,N,P,R,S,V,W,Yから成る群より選択されたD−又はL−アミノ酸及(配列番号27)及びその類似体である。或る態様では、Xa8がR,K及びNから成る群より選択されたアミノ酸である(配列番号28)。或る態様では、Xa8がアルギニン(R)である(配列番号29)。
モチーフb) T−G−R−L−S−S−Xb7−Xb8−P−N−L−Q−N(配列番号2)に関して、或る態様では、X b8がA,C,F,G,H,I,K,L,M,P,Q、R,S,T、V,W,Yから成る群より選択されたD−又はL−アミノ酸(配列番号30)及びその類似体である。或る態様では、X b8がG,A,S,T,R,K,Q,L,V及びIから成る群より選択されたアミノ酸(配列番号31)である。或る態様では、Xb8がG,T,R,K及びLから成る群より選択されたアミノ酸である(配列番号32)。
モチーフc) Xc1−Xc2−Xc3−Xc4−Xc5−Xc6−Xc7−D−Y−S−Q−I−E−L−R(配列番号3)に関して、或る態様では、Xc4がA,C,D,E,F,G,H,K,M,N,P,Q,R,S,T,V,W,Yから成る群より選択されたD−又はL−アミノ酸(配列番号33)及びその類似体である。或る態様では、Xc4がF及びYから成る群より選択されたアミノ酸(配列番号34)である。或る態様では、Xc4がフェニルアラニン(F)である(配列番号35)。或る態様では、Xc6がC,D,E,F,H,I,K,L,M,N,P,Q,R,T,W及びYから成る群より選択されたアミノ酸である(配列番号36)。或る態様では、Xc6がF及びYから成る群より選択されたアミノ酸である(配列番号37)。或る態様では、Xc6がフェニルアラニン(F)である(配列番号38)。
或る態様では、改良型ポリメラーゼ(例えばZ05又はCS5/CS6)は、位置Xa8にアルギニン(R);位置Xb8にグリシン(G);位置Xc4にフェニルアラニン(F)及び/又は位置Xc6にフェニルアラニン(F)の少なくとも1つを含んで成る(配列番号39〜68)。
或る態様では、本発明のDNAポリメラーゼは、未変更ポリメラーゼの変更型である。その未変更形では、ポリメラーゼはポリメラーゼドメイン中に次のモチーフを有するアミノ酸配列を包含する:
a1−Xa2−Xa3−Xa4−R−Xa6−Xa7−Xa8−K−L−Xa11−Xa12−T−Y−Xa15−Xa16(配列番号69);ここでXa1はI又はLであり;Xa2はL又はQであり;Xa3はQ,H又はEであり;Xa4はY,H又はFであり;Xa6はE,Q又はKであり;Xa7はI,L又はYであり;Xa8はQ,T,M,G又はLであり;Xa11はK又はQであり;Xa12はS又はNであり;Xa15はI又はVであり;そしてXa16はE又はDである;
T−G−R−L−S−S−Xb7−Xb8−P−N−L−Q−N(配列番号70);ここでXb7はS又はTであり;そしてXb8はD,E又はNである;及び
c1−Xc2−Xc3−Xc4−Xc5−Xc6−Xc7−D−Y−S−Q−I−E−L−R(配列番号71);ここでXc1はG,N又はDであり;Xc2はW又はHであり;Xc3はW,A,L又はVであり;Xc4はI又はLであり;Xc5はV,F又はLであり;Xa6はS,A,V又はGであり;そしてXc7はA又はLである。
様々なDNAポリメラーゼが本発明に従った変異を受けることができる。特に適当であるのは、様々な種類の耐熱性菌からの野生型又は天然の耐熱性ポリメラーゼ、並びにアミノ酸置換、挿入もしくは欠失又は他の変異によりそのような野生型又は天然の酵素から誘導される耐熱性ポリメラーゼである。未変更型のポリメラーゼの例としては、例えば、CS5,CS6またはZ05 DNAポリメラーゼ、又はそれに対して少なくとも90%、91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%の配列同一性を有する機能的DNAポリメラーゼが挙げられる。別の未変更型ポリメラーゼとしては、例えば、次の種の耐熱性菌のいずれかに由来するDNAポリメラーゼ(又はそのようなポリメラーゼに対して少なくとも90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%の配列同一性を有する機能的DNAポリメラーゼ)が挙げられる:サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima);サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus);サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus);サーマス・フラブス(Thermus fravus);サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis);サーマス種sps17;サーマス種Z05;サーモトガ・ネオポリタナ(Thermotoga neopolitana);サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus);サーマス・カルドフィルス(Thermus caldophilus);又はバシラス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)。適当なポリメラーゼとして、逆転写酵素(RT)活性及び/又は普通でないヌクレオチド、例えばリボヌクレオチドもしくは別の2′−修飾ヌクレオチドを組み込む能力を有するものも挙げられる。
或る態様では、未変更型ポリメラーゼはキメラポリメラーゼを含んで成る。一態様では、例えば、未変更型のキメラポリメラーゼはCS5 DNAポリメラーゼ(配列番号18)、CS6 DNAポリメラーゼ(配列番号19)、又はCS5 DNAポリメラーゼもしくはCS6 DNAポリメラーゼに対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するポリメラーゼである。特定の変形では、未変更型のキメラポリメラーゼは、配列番号18又は配列番号19に関してG46E,L329A及びE678Gから選択される1又は複数のアミノ酸置換を含んで成る。例えば、未変更型の変異ポリメラーゼは、G46E CS5;G46E L329A CS5;G46E E678G CS5;又はG46E L329A E678G CS5であることができる。典型的態様では、それらの未変更型は、S671F,D640G,Q601R及びI669Fから選択された1又は複数のアミノ酸置換を含んで成る変異型ポリメラーゼを提供するように置換される。例えば、変異型DNAポリメラーゼは、次のもののいずれか1つであることができる:G46E S671F CS5;G46E D640G CS5;G46E Q601R CS5;G46E I669F CS5;G46E D640G S671F CS5;G46E L329A S671F CS5;G46E L329A D640G CS5;G46E L329A Q601R CS 5;G46E L329A I669F CS5;G46E L329A D640G S671F CS5;G46E S671F E678G CS5;G46E D640G E678G CS5;G46E Q601R E678G CS5;G46E I669F E678G CS5;G46E L329A S671F E678G CS5;G46E L329A D640G E678GCS5;G46E L329A Q601R E678G CS5;G46E L329A Q601R D640G I669F S671F E678G CS5;G46E L329A I669F E678G CS5等。
或る態様では、ポリメラーゼが、Xb8がG,T,R,K及びLから成る群より選択されたアミノ酸であるCS5ポリメラーゼ(配列番号15)、CS6ポリメラーゼ(配列番号16)又はZ05ポリメラーゼ(配列番号6)である。例えば、CS5又はCS6ポリメラーゼは、D640G、D640T、D640R、D640K及びD640Lから選択することができる。Z05ポリメラーゼは、D580G、D580T、D580R、D580K及びD580Lから成る群より選択することができる。
変異型ポリメラーゼは、別の非置換修飾を含むことができる。1つのそのような修飾は、酵素を不活性化するが、高められた温度、例えばプライマー伸長に典型的に用いられる温度でのインキュベーションの際に該酵素を活性化するように逆転する、熱可逆的な共有結合修飾である。一態様では、熱可逆的な共有結合修飾を含んで成る変異型ポリメラーゼは、耐熱性DNAポリメラーゼと下式I又はIIのうちの1つを有するジカルボン酸無水物との混合物の、約25℃未満の温度でアルカリ性pHにて実施される反応により製造される:
Figure 0005189101
(上式中、R1とR2は水素であるか又は連結してもよい有機基である);又は
Figure 0005189101
(上式中、R1とR2は連結してもよい有機基であり、そして2つの水素はシスである)。そのような酵素の特定の変形では、未変更型ポリメラーゼがG64E CS5である。
或る態様では、適当なプライマー(例えば、核酸配列
5’-GGGAAGGGCGATCGGTGCGGGCCTCTTCGC-3’(配列番号72)を有するポリヌクレオチド)を使って感作した、鋳型として一本鎖DNA(例えばM13mp18, HIV)を使って伸長速度を測定し、そして本明細書中に記載のように規則的な時間間隔で(例えば5, 10, 15, 20, 30又は60秒毎に)蛍光色素の取り込みを測定することにより二本鎖DNAの形成を検出する。本発明のポリメラーゼの伸長速度は、本明細書中に記載の通り、予め決められた時間単位に渡り、参照ポリメラーゼ(例えば天然又は未変更型ポリメラーゼ)の伸長速度と比較することができる。
種々の別の観点では、本発明は、本明細書に記載の通り変異型DNAポリメラーゼをコードする組換え核酸、該組換え核酸を含んで成るベクター、及び該ベクターにより形質転換された宿主細胞を提供する。或る態様では、該ベクターが発現ベクターである。そのような発現ベクターを含んで成る宿主細胞は、組換え核酸の発現に適当な条件下で該宿主細胞を培養することによって変異型ポリメラーゼを産生させるために本発明の方法において有用である。本発明のポリメラーゼは、反応混合物及び/又はキットに含めることができる。組換え核酸、宿主細胞、ベクター、発現ベクター、反応混合物及びキットの態様は上記及び下記に記載の通りである。
更に別の観点では、プライマー伸長を実施する方法が提供される。該方法は一般に、本発明の変異型DNAポリメラーゼを、プライマーの伸長に適当な条件下で、プライマー、ポリヌクレオチド鋳型、及び遊離ヌクレオチドと接触せしめ、それにより伸長されたプライマーを製造することを含んで成る。ポリヌクレオチド鋳型は、例えばRNA又はDNA鋳型であることができる。遊離ヌクレオチドは、例えばリボヌクレオチド及び/又は標識ヌクレオチドといった特殊のヌクレオチドを包含することができる。更に、プライマー及び/又は鋳型は1又は複数のヌクレオチド類似体を含むことができる。或る変形では、プライマー伸長法は、ポリヌクレオチドの増幅に適当な条件下で、変異型DNAポリメラーゼをプライマー対、ポリヌクレオチド鋳型及び遊離ヌクレオチドと接触せしめることを含んで成る、ポリヌクレオチド増幅方法である。
本発明はまた、そのようなプライマー伸長法において有用であるキットも提供する。一般に、該キットは、本明細書中に記載の変異型DNAポリメラーゼを提供する少なくとも1つの容器を包含する。或る態様では、該キットは更に1又は複数の追加の試薬を提供する1又は複数の追加の容器を含む。例えば特定の変形では、1又は複数の追加の容器は、遊離ヌクレオチド;プライマー伸長に適当な緩衝液;及び/又はプライマー伸長条件下で、予め決められたポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズ可能なプライマーを提供する。
本発明のポリメラーゼを含んで成る反応混合物も更に提供される。該反応混合物は、鋳型核酸(DNA及び/又はRNA)、1又は複数のプライマー又はプローブポリヌクレオチド、遊離ヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、標識ヌクレオチド、特殊ヌクレオチド)、緩衝液、塩類、標識(例えば蛍光色素)も含有することができる。
定義
特に断らない限り、本明細書中で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の技術者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本質的に本明細書に記載のものと同様であるどんな方法及び材料でも本発明の実施又は試験に用いることができるけれども、単に例示的な方法と材料のみが記載される。本発明の目的上、下記の用語が定義される。
用語“a”, “an”及び“the”は前後関係が明らかに別の意味を示さない限り、複数の指示対象を包含する。
「アミノ酸」とは、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質中に組み込むことができる任意の単量体単位を指す。本明細書中に用いる時、「アミノ酸」なる用語は次の20個の天然の又は遺伝的にコードされるα−アミノ酸を包含する:アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)。それらの20種の天然アミノ酸の構造は、例えばStryer他、Biochemistry, 第5版,Freeman and Company (2002)の中に記載されている。追加のアミノ酸、例えばセレノシステインやピロリジンも遺伝的にコードされ得る〔Stadtman (1996) “Selenocystein”, Annu Rev Biochem. 65:83-100及びIbba他 (2002) “Genetic code: introducing pyrrolysine,” Curr Biol. 12(13): R464-R466〕。用語「アミノ酸」は非天然アミノ酸、修飾アミノ酸(例えば修飾された側鎖及び/又は骨格を有するもの)、及びアミノ酸類似体も包含する。例えばZhang他 (2004) “Selective incorporation of 5-hydroxytryptophan into proteins in mammalian cells,” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(24): 8882-8887; Anderson他 (2004) “An expanded genetic code with a functional quadruplet codon” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101(20): 7566-7571; Ikeda他 (2003) “Synthesis of a novel histidine analogue and its efficient incorporation into a protein in vivo,” Protein Eng. Des. Sel. 16(9): 699-706; Chin他 (2003) “An Expanded Eukaryotic Genetic Code,” Science 301(5635): 964-967; James他 (2001) “Kinetic characterization of ribonuclease S mutants containing photoisomerizable phenylazophenylalanine residues,” Protein Eng. Des. Sel. 14(12): 983-991; Kohrer他 (2001) “Import of amber and ochre suppressor tRNAs into mammalian cells: A general approach to site-specific insertion of amino acid analogues into proteins,” Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98(25): 14310-14315; Bacher他 (2001) “Selection and Characterization of Escherichia coli Variants Capable of Growth on an Otherwise Toxic Tryptophan Analogue”, J. Bacteriol. 183(18): 5414-5425; Hamano-Takaku他 (2000) “A Mutant Escherichia coli Tyrosyl-tRNA Synthetase Utilizes the Unnatural Amino Acid Azatyrosine More Efficiently than Tyrosine,” J. Biol. Chem. 275(51):40324-40328及びBudisa他 (2001) “Proteins with {beta}-(thienopyrrolyl)alanines as alternative chromophores and pharmaceutically active amino acids,” Protein Sci. 10(7): 1281-1292を参照のこと。
例えば更に、アミノ酸は、典型的には置換又は未置換アミノ基、置換又は未置換カルボキシル基、及び1もしくは複数の側鎖もしくは基、又はそれらの基のいずれかの類似体を包含する有機酸である。典型的な側鎖としては、例えば、チオール、セレノ、スルホニル、アルキル、アリール、アシル、ケト、アジド、ヒドロキシル、ヒドラジン、シアノ、ハロ、ヒドラジド、アルケニル、アルキニル、エーテル、ボレート、ボロネート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、ヘテロシクリック、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、又はそれらの基の任意組合せが挙げられる。別の代表的アミノ酸としては、非限定的に、光活性化可能な架橋剤を含んで成るアミノ酸、金属結合性アミノ酸、スピン標識アミノ酸、蛍光アミノ酸、金属含有アミノ酸、新規官能基を有するアミノ酸、共有結合的に又は非共有結合的に別の分子と相互作用するアミノ酸、光ケージド及び/又は光異性化性アミノ酸、放射性アミノ酸、ビオチン又はビオチン類似体を含んで成るアミノ酸、グリコシル化アミノ酸、別の炭水化物修飾アミノ酸、ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含んで成るアミノ酸、重原子置換アミノ酸、化学的に開裂可能な及び/又は光開裂可能なアミノ酸、炭素結合した糖を含むアミノ酸、酸化還元活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、及び1又は複数の毒性成分を含んで成るアミノ酸が挙げられる。
本発明のDNAポリメラーゼの文脈中の用語「変異型」は、対応する機能的DNAポリメラーゼに比較して1又は複数のアミノ酸置換を含んで成る、典型的には組換え体の、ポリペプチドを意味する。
変異型ポリメラーゼの文脈中の用語「未変更型」は、本発明の変異型DNAポリメラーゼを定義する目的で用いられる用語である。用語「未変更型」は、変異型ポリメラーゼを特徴付けるものとして特定された1又は複数のアミノ酸位置を除いて変異型ポリメラーゼのアミノ酸配列を有する機能的DNAポリメラーゼを指して言う。よって、(a)その未変更型及び(b)1又は複数の特定のアミノ酸置換の点での変異型DNAポリメラーゼへの参照は、特定された1又は複数のアミノ酸置換を除いて、別の点では変異体ポリメラーゼが、特定のモチーフ中に未変更型と同一のアミノ酸配列を有することを意味する。ポリメラーゼは、所望の機能性、例えばジデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、リボヌクレオチド類似体、色素標識ヌクレオチドの改善された取り込み、5′−ヌクレアーゼ活性の活性調節、3′−ヌクレアーゼ(又はプルーフリーディング)活性の活性調節等、を提供するような追加の変異を含むことができる。従って、本明細書に記載のように本発明を実施する際、未変更型のDNAポリメラーゼが予め決定される。未変更型のDNAポリメラーゼは、例えば、野生型及び/又は天然に存在するDNAポリメラーゼ、又は既に意図的に変更されているDNAポリメラーゼであることができる。未変更型のポリメラーゼは、好ましくは、耐熱性DNAポリメラーゼ、例えば様々な耐熱性菌からのDNAポリメラーゼ、並びに野生型又は天然の耐熱性ポリメラーゼに対して実質的な配列同一性を有するそれの機能的変異体である。そのような変異体としては、例えば、キメラDNAポリメラーゼ、例えば米国特許第6,228,628号及び米国特許出願公開第2004/0005599号明細書中に記載されたキメラDNAポリメラーゼを含むことができる。或る態様では、未変更型ポリメラーゼは、逆転写酵素(RT)活性を有する。
用語「耐熱性ポリメラーゼ」は、熱に対して安定性であり、耐熱性であり、且つその後のプライマー伸長反応を行うのに十分な活性を保持しており、且つ二本鎖核酸の変性を果たすのに必要な時間の間高温にさらされた時に、不可逆的に変性される(不活性化される)ことはない酵素のことを言う。核酸の変性に必要な加熱条件は当業界で周知であり、例えば米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号及び同第4,965,188号明細書中に例示されている。本明細書中で用いる時、耐熱性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ連鎖反応(“PCR”)のような温度循環反応での使用に適当である。この目的上の不可逆的変性とは、酵素活性の永久的且つ完全な喪失を言う。耐熱性ポリメラーゼの場合、酵素活性とは、鋳型核酸鎖に相補的であるプライマー伸長生成物を形成させる適切な形でのヌクレオチドの結合の触媒のことを言う。耐熱性DNAポリメラーゼとしては、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima);サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus);サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus);サーマス・フラブス(Thermus fravus);サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis);サーマス種sps17;サーマス種Z05;サーマス・カルドフィルス(Thermus caldophilus);バシラス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax);サーモトガ・ネオポリタナ(Thermotoga neopolitana);及びサーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)からのDNAポリメラーゼが挙げられる。
本明細書中で用いる時、「キメラ」タンパク質とは、そのアミノ酸配列が少なくとも2つの異なるタンパク質からのアミノ酸配列の部分配列の融合生成物を表すタンパク質を言う。キメラタンパク質は、典型的にはアミノ酸配列の直接操作により生成されるのではなく、むしろキメラアミノ酸配列をコードする「キメラ」遺伝子から発現される。或る態様では、例えば、本発明の変異型DNAポリメラーゼの未変更型が、サーマス種DNAポリメラーゼ由来のアミノ末端(N末端)領域とTma DNAポリメラーゼ由来のカルボキシ末端(C末端)領域から成るキメラタンパク質である。N末端領域とは、N末端(アミノ酸位置1)から内部アミノ酸までに及ぶ領域を言う。同様に、C末端領域とは、内部アミノ酸からC末端までに及ぶ領域を言う。
変異型DNAポリメラーゼの文脈中、別の配列(例えば領域、断片、ヌクレオチド又はアミノ酸位置など)に対する「対応」は、ヌクレオチド又はアミノ酸位置番号に従って番号付けを変更し、次いで配列同一性の割合を最大にするように配列を整列することに基づく。与えられた「対応領域」内の全ての部位が同一である必要はないので、対応領域内の一致しない位置が「対応位置」とみなされる場合もある。従って、本明細書中で用いる時、特定のDNAポリメラーゼの「アミノ酸位置〔X〕に相当するアミノ酸位置」への照会は、別の認められたDNAポリメラーゼや構造的相同体及びファミリー中の同等の位置の収集物への照会を表す。本発明の典型的な態様では、アミノ酸位置の「対応」は、本明細書中に更に説明する通り、配列番号1、配列番号2及び配列番号3の1又は複数のモチーフを含んで成るポリメラーゼの一領域に関して決定される。
本明細書中で用いる時、「組換え」とは、組換え法により意図的に変更されているアミノ酸配列又はヌクレオチド配列のことを言う。「組換え核酸」なる用語は、エンドヌクレアーゼによる核酸の操作により、天然には通常見つからない形で、試験管内で最初に作製された核酸を意味する。直鎖状の単離された変異型DNAポリメラーゼ核酸、又は通常では連結されないDNA分子を連結せしめることにより試験管内で形成された発現ベクターは、共に本発明の目的上組換え体と見なされる。一旦組換え核酸が作製されそして宿主細胞中に再導入されると、それは非組換え的に、即ち、試験管内操作よりもむしろ宿主細胞の生体内細胞機構を使って複製するだろう;しかしながら、そのような核酸は、一旦組換え生産されるとその後非組換え的に複製するが、本発明の目的上まだ組換え体と見なされることを理解すべきである。「組換えタンパク質」は、組み換え技術を使って、即ち、上述した組換え核酸の発現を通して、製造されたタンパク質である。組換えタンパク質は、典型的には少なくとも1又は複数の特徴により、天然のタンパク質から識別される。
核酸は、それが別の核酸配列と機能的関係に置かれる時、「作用可能に連結される」。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に連結されており;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように配置されるならば、作用可能に連結されている。
用語「宿主細胞」は、単細胞原核生物と真核生物の両方(例えば細菌、酵母及びアクチノマイセス属)を指し、そして細胞培養において増殖させる時にはより高等の植物又は動物からの単細胞を指す。
用語「ベクター」とは、典型的には二本鎖のDNA片を指し、それは外来DNA片中に挿入されていてもよい。又はベクターは、例えばプラスミド由来のものであってもよい。ベクターは、宿主細胞中での該ベクターの自律複製を促進する「レプリコン」ポリヌクレオチド配列を含有する。外来DNAは、宿主細胞中に本来見つからないDNAである異種DNAとして定義され、それは例えば、ベクター分子を複製し、選択可能もしくはスクリーニング可能なマーカーをコードするか、又は導入遺伝子(transgene)をコードする。ベクターは、外来又は異種DNAを適当な宿主細胞に輸送するために用いられる。一旦宿主細胞に入れば、ベクターは宿主の染色体DNAとは独立に又はそれと同時に複製することができ、そしてベクターの複数コピーとその挿入DNAの複数コピーを生成することができる。加えて、ベクターは、挿入DNAからmRNA分子への転写を許容するか、または他の方法で挿入DNAの多重コピーRNAへの複製を引き起こす、必要な要素も含有することができる。幾つかの発現ベクターは更に、発現されたmRNAの半減期を増加させそして/又は該mRNAからのタンパク質分子への翻訳を可能にする、挿入DNAに隣接した配列要素を含む。このようにして挿入DNAによりコードされるmRNAとポリペプチドの多数の分子を迅速に合成することができる。
天然のリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドモノマーへの言及に加えて用語「ヌクレオチド」は、本明細書中では、文脈が明確に他のことを示さない限り、該ヌクレオチドが用いられている(例えば相補的塩基へのハイブリダイゼーション)特定の文脈に関して機能的に同等である、それの誘導体及び類似体を含む関連の構造変異体のことも指すと理解すべきである。
用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、リボース核酸(RNA)もしくはデオキシリボース核酸(DNA)ポリマー又はそれの類似体に相当し得るポリマーのことを言う。この用語はRNAやDNAといったヌクレオチドのポリマーの他に、合成形、修飾された(例えば化学的又は生化学的に修飾された)形、及び混合ポリマー(例えばRNAサブユニットとDNAサブユニットの両方を含むもの)を包含する。典型的な修飾としては、メチル化、類似体による天然ヌクレオチドの1又は複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば無電荷の連結(例えばメチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)、懸垂部分(例えばポリペプチド)、挿入剤(例えばアクリジン、ソラーレン等)、キレート剤、アルキル化剤、及び修飾結合(例えばαアノマー核酸等)が挙げられる。水素結合や他の化学的相互作用を介して指定配列に結合する能力の点でポリヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。典型的には、ヌクレオチドモノマーはホスホジエステル結合を介して連結されるが、核酸の合成形は別の結合(例えばNielsen他、Science 254:1497-1500, 1991中に記載されるようなペプチド核酸)を含むことができる。核酸は、例えば染色体又は染色体セグメント、ベクター(例えば発現ベクター)、発現カセット、裸のDNA又はRNAポリマー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の生成物、オリゴヌクレオチド、プローブ及びプライマーであることができ、又はそれを含有することができる。核酸は例えば、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖であることができ、特定の長さに限定されない。異なって示されない限り、特定の核酸配列は、明示された任意の配列に加えて、場合により相補的配列を含んで成るか又はコードする。
用語「オリゴヌクレオチド」は、少なくとも2つの核酸モノマー単位(例えばヌクレオチド)を含有する核酸のことを言う。オリゴヌクレオチドは、典型的には約6〜約175の核酸モノマー単位を含有し、より典型的には約8〜約50の核酸モノマー単位を含有し、そして更により典型的には約10〜約50の核酸モノマー単位(例えば約15、約20、約25、約30、約35、又はそれ以上の核酸モノマー単位)を含有する。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、該オリゴヌクレオチドの最終的機能又は使用をはじめとする多くの要因に依存するだろう。オリゴヌクレオチドは場合により、任意の適当な方法、例えば非限定的に、現存するか又は天然の配列の単離、DNA複製又は増幅、逆転写、適当な配列のクローニング及び制限消化、或いは、Narang他(Meth. Enzymol. 68:90-99, 1979)のホスホトリエステル法;Brown他(Meth. Enzymol. 68:109-151, 1979)のホスホジエステル法;Beaucage他(Tetrahedron Lett. 22:1859-1862, 1981)のジエチルホスホルアミダイト法;Matteucci他(J. Am. Chem. Soc. 103:3185-3191, 1981)のトリエステル法;自動合成法;又はCaruthers他に1984年7月3日に付与された、”PROCESS FOR PREPARING POLYNUCLEOTIDEDS”という発明の名称の米国特許第4,458,066号の固相支持体法;又は当業者に既知の他の方法、といった方法による直接化学合成により合成される。
用語「プライマー」は、本明細書中で使用する時、プライマー発現が開始される条件下〔例えば、適当な緩衝液中及び適当な温度又は温度の循環(例えばポリメラーゼ連鎖反応におけるような)での必要なヌクレオシド三リン酸(コピーされる鋳型により決定付けられるような)及びポリメラーゼの存在を含んで成る条件下〕に置かれた時、鋳型指令の核酸合成の開始点として作用することができるポリヌクレオチドのことを言う。例えば更に、プライマーは様々な別のオリゴヌクレオチド媒介合成方法において、例えばデノボRNA合成及び試験管内転写関連工程(例えば核酸配列ベースの増幅(NASBA),転写媒介増幅(TMA)等)の開始剤として、使用することもできる。プライマーは典型的には一本鎖オリゴヌクレオチド(例えばオリゴデオキシリボヌクレオチド)である。プライマーの適当な長さはプライマーの意図する用途に依存するが、典型的には6〜40ヌクレオチド、より典型的には15〜35ヌクレオチドの範囲に及ぶ。短鎖プライマー分子は一般に、鋳型と充分安定なハイブリッド複合体を形成するのにより低温を必要とする。プライマーは鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、プライマー伸長が起こるために鋳型とハイブリダイズするのに十分に相補的でなければならない。或る態様では、用語「プライマー対」は、増幅させるべき核酸配列の5′末端の相補体とハイブリダイズする5′センスプライマー(時折「正」プライマーと呼ばれる)と、増幅させるべき核酸配列の3′末端とハイブリダイズする3′アンチセンスプライマー(時折「逆」プライマーと呼ばれる)とを包含するプライマーセットを意味する(標的配列がRNAとして発現されるか又はRNAである場合)。プライマーは、所望であれば、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的又は化学的手法により検出することができる標識を取り込むことにより、標識することができる。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(ELISAアッセイに汎用される)、ビオチン、又はそれに対する抗血清もしくはモノクローナル抗体が入手可能であるハプテン及びタンパク質が挙げられる。
核酸塩基、ヌクレオシド三リン酸、又はヌクレオチドに言及する時の「従来の」又は「天然の」という用語は、記載されたポリヌクレオチド中に本来存在するもの(即ちDNAの場合にはdATP,dGTP,dCTP及びdTTP)のことを言う。加えて、試験管内DNA合成反応、例えば配列決定においては、dGTPの代わりにdITP及び7−デアザ−dGTPが頻繁に用いられ、そしてdATPの代わりに7−デアザ−dATPを用いることができる。まとめて、それらをdNTPsと称することができる。
核酸塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドに言及する時の「特殊の」又は「修飾された」という用語は、特定のポリヌクレオチド中に天然に存在する従来の塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドの修飾体、誘導体又は類似体を包含する。或る特殊ヌクレオチドは、従来のdNTPsに比較してリボース糖の2′位のところで修飾されている。よって、RNAの場合は天然のヌクレオチドはリボヌクレオチド(即ちATP,GTP,CTP,UTP,総称してrNTPs)であるけれども、それらのヌクレオチドは、比較して本明細書中で用いる時のdNTPs中には存在しない、糖の2′位にヒドロキシル基を有するため、リボヌクレオチドはDNAポリメラーゼの基質として特殊ヌクレオチドである。本明細書中で用いる時、特殊ヌクレオチドとしては、非限定的に、核酸配列分析に終結剤(terminator)として用いられる化合物が挙げられる。代表的な終結剤化合物としては、非限定的に、2′,3′−ジデオキシ構造を有し且つジデオキシヌクレオシド三リン酸と称される化合物が挙げられる。ジデオキシヌクレオシド三リン酸ddATP,ddTTP,ddCTP及びddGTPは総称的にddNTPsと呼ばれる。終結剤化合物の追加の例としては、リボヌクレオチドの2′−PO 4類似体(例えば米国出願公報第2005/0037991及び2005/0037398を参照のこと)が挙げられる。別の特殊ヌクレオチドとしては、ホスホロチオエートdNTPs(〔[α]-S〕dNTPs)、5′−[α]−ボラノ−dNTPs、[α]−メチルホスホネートdNTPs、及びリボヌクレオシド三リン酸(rNTPs)が挙げられる。特殊塩基は、32P,33P又は35Sのような放射性同位体;蛍光標識;化学発光標識;生物発光標識;ハプテン標識、例えばビオチン;酵素標識、例えばストレプトアビジン又はアビジンにより標識されてもよい。蛍光標識としては、負に帯電した色素、例えばフルオレセイン族の色素、又は電荷が中性である色素、例えばローダミン族の色素、又は正に帯電した色素、例えばシアニン族の色素を挙げることができる。フルオレセイン族の色素としては、例えば、FAM,HEX,TET,JOE,NAN及びZOEが挙げられる。ローダミン族の色素としては、テキサスレッド、ROX,R110,R6G及びTAMRAが挙げられる。FAM,HEX,TET,JOE,NAN,ZOE,ROX,R110,R6G,テキサスレッド及びTAMRAにより標識された様々なヌクレオチド及び色素はPerkin-Elmer(Boston, MA)、Applied Biosystems(Foster City, CA)又はInvitrogen/Molecular Probes(Eugene, OR)により販売されている。シアニン族の色素としてはCy2,Cy3, Cy5及びCy7が挙げられ、それらはGE Healthcare UK Limited(Amersham Place, Little Chalfont, Buckinghamshire, England)により販売されている。
本明細書中で、「配列同一性の割合」は、比較窓を通して2つの最適に配列された配列を比較することにより決定され、ここで比較窓中の配列の部分は、2つの配列の最適整列のための参照配列(付加又は欠失を含まない)に比較して付加又は欠失(即ちギャップ)を含むことができる。割合は、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を測定して合致した位置の数を与え、その合致した位置の数を比較窓の中の位置の総数により割り、そしてその結果を100倍して配列同一性の割合を求めることにより算出する。
2以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈内の用語「同一」又は「同一性」度は、同一であるか、又は比較窓の上で比較しそして最大の対応となるよう整列した時に、同一である(例えば、特定領域に渡り60%同一性、場合により65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%同一性である)特定の割合のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を有する2以上の配列又は部分配列を指すか、或いは下記の配列比較演算法の1つを使って又はマニュアル整列と視覚検査により測定した時の指定領域のことを指す。配列は、それらが少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%又は少なくとも55%同一であるならば、互いに「実質的に同一」である。それらの定義は、試験配列の相補体についても言う。場合により、同一性は少なくとも長さ約50ヌクレオチド、又はより典型的には長さ100〜500もしくは1000以上のヌクレオチドである領域に渡って存在する。
2以上のポリペプチド配列の文脈内での用語「類似性」又は「類似性度」は、比較窓上で最大対応になるように比較しそして整列した時、保存的アミノ酸置換により定義されるように同一か又は類似のいずれかであるアミノ酸残基の特定比率(例えば特定領域に渡り60%類似性、場合により65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%類似性)を有する、2以上の配列又は部分配列を指すか、或いは、下記の配列比較演算法の1つを使って又はマニュアル整列と視覚検査により測定した時の指定領域を指す。配列は、それらが互いに少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%類似であるならば、互いに「実質的に類似」である。場合により、この類似性は、少なくとも長さ約50アミノ酸、より典型的には少なくとも長さ約100〜500もしくは1000以上のアミノ酸である領域に渡って存在する。
配列比較用には、典型的には、1つの配列がそれと試験配列を比較するための参照配列として働く。配列比較演算法を使った時、試験及び参照配列はコンピューターに入力され、必要ならば部分配列候補が指定され、そして配列演算プログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターが通常用いられ、あるいは代替パラメーターを指定することができる。次いで該プログラムパラメーターに基づいて、配列比較演算法が参照配列に対する試験配列の同一性又は類似性%を算出する。
本明細書中で用いる「比較窓」という用語は、20〜600、普通は約50〜約200、より普通には約100〜約150から成る群より選択された連続する位置の数のうちのいずれか1つのセグメントへの参照を包含し、その比較窓中で2つの配列を最適に整列した後で同数の連続位置の参照配列と比較することができる。比較用の配列の最適整列は、例えば、Smith & Waterman(Adv. Appl. Math. 2:482, 1970)の局所相同性演算法により、Needleman & Wunsch(J. Mol. Biol. 48:443, 1970)の相同性整列演算法により、Pearson & Lipman(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444, 1988)の相同性研究法により、それらの演算法のコンピューター化実施(例えばWisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis中のGAP, BESTFIT, FASTA及びTFASTA)により、又はマニュアル整列と視覚検査(例えばAusubel他、Current Protocols in Molecular Biology (1995増補)を参照のこと)により実施できる。
有用な演算法の一例はPILEUPである。PILEUPは、関連と配列同一性度を示すのにプログレッシブ対整列を使って、関連配列の一群から多数の配列整列を構築する。それはまた、整列を構築するのに使ったクラスター関係を示す階層又はデンドログラム(枝分かれ図)をプロットする。PILEUPは、Feng & Doolittle(J. Mol. Evol. 35:351-360, 1987)のプログレッシブ整列法の簡易化法を用いる。使用する方法は、Higgins & Sharp(CABIOS 5:151-153, 1989)により記載された方法と同様である。該プログラムは、各々が5,000ヌクレオチド又はアミノ酸の最大長さである300配列までを整列することができる。多重整列手順は、2つの最も類似の配列の対整列により始まり、2つの整列された配列のクラスターを生成する。このクラスターを次いで次の最大関連配列又は整列配列のクラスターに整列させる。配列の2つのクラスターが、2つの各配列の対整列の単純な伸長により整列される。最終的な整列は、一連のプログレッシブ対整列により達成される。該プログラムは、特定の配列及びそれらのアミノ酸またはヌクレオチド座標を指定することにより、そして該プログラムパラメーターを指定することにより実施される。PILEUPを使って、参照配列を別の試験配列と比較して、次のパラメーターを使って配列同一性%を決定する:
デフォルトギャップ加重(3.00)、デフォルトギャップ長加重(0.10)、及び加重エンドギャップ。PILEUPは、GCG配列分析ソフトウエアパッケージ(例えばバージョン7.0(Devereaux他、Nucl. Acids Res. 12:387-95, 1984)又はそれ以降)から得ることができる。
配列同一性度及び配列類似性を決定するのに適当である演算法の別の例は、それぞれAltschul他(Nuc. Acids Res. 25:3389-402, 1977)及びAltschul他(J. Mol. Biol. 215: 403-10, 1990)に記載されたBLAST及びBLAST 2.0演算法である。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して入手可能である。この演算法は、クエリー配列中の長さWの短い単語を同定することにより高スコア配列対(HSP)を同定し、それはデータベース配列中の同じ長さの単語と整列した時に、或る正の値を有する閾値Tスコアと一致するか又は満足する。Tは近隣の単語スコア閾値と呼ばれる(Altschul他、前掲)。それらの最初の近隣単語は、それらを含有するより長いHSPsを見つけるためのサーチを開始するための種(seed)として働く。該単語ヒットは、整列スコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向で拡張される。蓄積スコアは、ヌクレオチド配列の場合、パラメーターM(一致する残基対についての報酬スコア;常に>0)及びN(不一致残基についてのペナルティスコア;常に<0)を使って計算される。アミノ酸配列の場合、得点行列を使って累積スコアを計算する。各方向での単語ヒットの拡張は、次の時に止められる:累積した整列スコアが、それの最大達成値から量Xだけ下がる;1又は複数の負のスコアの残基整列の累積のために、累積スコアがゼロか又はそれ以下になる;又はいずれかの配列の末端に到達する。BLAST演算法パラメーターW、T及びXは、整列の感度と速度を決定づける。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、デフォルトとして11の単語長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=4及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BSASTPプログラムはデフォルトとして3の単語長、10の期待値(E)、及びBLOSUM62得点表(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915, 1989を参照)、50の整列(B)、10の期待値、M=5、N=4及び両鎖の比較を使用する。
BLAST演算法は、2つの配列間の類似性の統計分析も実施する(例えばKarlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9:5873-87, 1993)。BLAST演算法により提供される類似性の1尺度は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こるであろう確率の指標を提供する、最小和確率(P(N))である。例えば、試験核酸と参照核酸との比較において最小和確率が約0.2未満、典型的には約0.01未満、更に典型的には約0.001未満である時、その核酸は参照配列に類似していると考えられる。
用語「核酸伸長速度」は、生体触媒(例えば酵素、例えばポリメラーゼ、リガーゼ等)が、1又は複数のヌクレオチドを核酸に結合する(例えば共有結合的に)ことにより核酸(例えばプライマー又は別のオリゴヌクレオチド)を鋳型依存又は鋳型独立方式で伸長する速度を言う。例えば、本明細書中の或る種の変異型DNAポリメラーゼは、それらが与えられた反応条件セットの下で未変更型よりも高い反応速度でプライマーを伸長できるように、それらのDNAポリメラーゼの未変更型に比較して改善された核酸伸長速度を有する。
用語「逆転写効率」は、与えられた転写反応においてcDNAとして逆転写されるRNA分子の割合を言う。或る態様では、本発明の変異型DNAポリメラーゼは、それらのDNAポリメラーゼの未変更型に比較して改善された逆転写効率を有する。即ち、それらの変異型DNAポリメラーゼは、特定の反応条件セットの下で未変更型よりも高い割合のRNA鋳型を逆転写する。
図1は、様々な種の耐熱性菌からの代表的な耐熱性DNAポリメラーゼのポリメラーゼドメインからの一領域のアミノ酸配列整列を表す:サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Tth)(配列番号4)、サーマス・カルドフィルス(Thermus caldophilus)(Tca)(配列番号5)、サーマス種Z05(Z05)(配列番号6)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)(配列番号7)、サーマス・フラブス(Thermus flavus)(Tfl)(配列番号8)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)(Tfi)(配列番号9)、サーマス種sps17(Sps17)(配列番号10)、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)(Tma)(配列番号11)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)(Tne)(配列番号12)、サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)(Taf)(配列番号13)及びバシラス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)(Bca)(配列番号14)。アミノ酸配列整列は、各々のキメラ耐熱性ポリメラーゼ、即ち、CS5(配列番号15)及びCS6(配列番号16)のポリメラーゼドメインからの一領域も包含する。加えて、それらの代表的配列間の共通アミノ酸残基を示す配列(Cons)(配列番号17)も含まれる。更に、図示されるポリペプチド領域は、アミノ酸モチーフXXXXRXXXKLXXTYXX(配列番号1)、TGRLSSXXPNLQN(配列番号2)及びXXXXXXXDYSQIELR(配列番号3)を含んで成り、それの可変性部分は更に下記に定義される。それらのモチーフは各ポリメラーゼ配列について太字体で強調表示される。本発明に従った突然変異を受けやすいアミノ酸位置は星印(*)で示される。整列内のギャップはドット(・)で示される。
図2Aは、キメラ耐熱性DNAポリメラーゼCS5のアミノ酸配列(配列番号18)を表す。 図2Bは、キメラ耐熱性DNAポリメラーゼCS5をコードする核酸配列(配列番号20)を表す。
図3Aは、キメラ耐熱性DNAポリメラーゼCS6のアミノ酸配列(配列番号19)を表す。 図3Bは、キメラ耐熱性DNAポリメラーゼCS6をコードする核酸配列(配列番号21)を表す。
図4は、G46E L329A E678G(GLE)CS5 DNAポリメラーゼの様々な変異体の標準化伸長速度を示す棒グラフである。y軸は相対伸長速度を表し、一方でx軸は特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、I=I669F、S=S671F、及びE=E678G)を有するDNAポリメラーゼを表す。変異型ポリメラーゼについて得られた伸長速度値は、GLE CS5 DNAポリメラーゼについて得られた値(これは1.00に設定される)に比較して標準化される。
図5は、G46E L329A E678G(GLE)CS5 DNAポリメラーゼの様々な変異体の標準化伸長速度を示す棒グラフである。y軸は相対伸長速度を表し、一方でx軸は特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、I=I669F、S=S671F及びE=E678G)を有するDNAポリメラーゼを表す。変異型ポリメラーゼについて得られた伸長速度値は、GLE CS5 DNAポリメラーゼについて得られた値(これは1.00に設定される)に比較して標準化される。
図6は、Z05 DNAポリメラーゼ、ΔZ05 DNA(図6中のdZ05)ポリメラーゼ(例えば、Abramson他に1995年10月3日に付与された“MUTATED THERMOSTABLE NUCLEIC ACID POLYMERASE ENZYME FROM THERMUS SPECIES Z05”という発明の名称の米国特許第5,455,170号明細書、及びAbramson他に1997年10月7日に付与された“DNA ENCODING THERMOSTABLE NUCLEIC ACID POLYMERASE ENZYME FROM THERMUS SPECIES Z05”という発明の名称の米国特許第5,674,738号明細書を参照のこと)及びG46E L329A (GL)CS5 DNAポリメラーゼの様々な変異体の標準化伸長速度を示す棒グラフである。y軸は相対伸長速度を表し、一方でx軸は特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、I=I669F、S=S671F及びE=E678G)を有するDNAポリメラーゼを表す。変異型ポリメラーゼについて得られた伸長速度値は、GLE CS5 DNAポリメラーゼについて得られた値(これは1.00に設定される)に比較して標準化される。
図7は、Z05 DNAポリメラーゼ、ΔZ05(図7中のdZ05)DNAポリメラーゼ、及びG46E L329A (GL)CS5 DNAポリメラーゼの様々な変異体の標準化伸長速度を示す棒グラフである。y軸は相対伸長速度を表し、一方でx軸は特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、I=I669F、S=S671F及びE=E678G)を有するDNAポリメラーゼを表す。変異型ポリメラーゼについて得られた伸長速度値は、GLE CS5 DNAポリメラーゼについて得られた値(これは1.00に設定される)に比較して標準化される。
図8は、変動する塩(KOAc)濃度の下での異なるDNAポリメラーゼの伸長速度を示すプロットである。y軸は伸長速度を表し(任意単位)、一方でx軸はKOAc濃度(mM)を表す。プロットに付随する説明文は、該プロット中の各トレースに相当するDNAポリメラーゼを示す。特に、デルタZ05はΔZ05 DNAポリメラーゼを指し、そしてZ05はZ05 DNAポリメラーゼを指し、一方で指摘された別の酵素は、特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、S=S671F及びE=E678G)を有する変異型CS5 DNAポリメラーゼを指す。
図9は、変動する塩(KOAc)濃度の下での異なるDNAポリメラーゼの伸長速度を示すプロットである。y軸は伸長速度を表し(任意単位)、一方でx軸はKOAc濃度(mM)を表す。プロットに付随する説明文は、該プロット中の各トレースに相当するDNAポリメラーゼを示す。特に、指摘した別の酵素は、特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、S=S671F及びE=E678G)を有する変異型CS5 DNAポリメラーゼを指す。
図10は、RT−PCRにおいて様々な変異型CS5 DNAポリメラーゼについて得られた閾値サイクル(Ct)を示す棒グラフである。y軸はCt値を表し、一方でx軸は特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G及びS=S671F)を有するDNAポリメラーゼを表す。
図11は、様々なRTインキュベーション時間を有するMg2+活性化RT−PCRにおける様々な変異型CS5 DNAポリメターゼについて得られた閾値サイクル(Ct)を示す棒グラフである。y軸はCt値を表し、x軸は特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G及びS=S671F)を有するDNAポリメラーゼを表す。
図12は、様々なRTインキュベーション時間を有するMn2+活性化RT−PCRにおける様々な変異型CS5 DNAポリメラーゼについて得られたCt値を示す棒グラフである。y軸はCt値を表し、x軸は特定の点変異(G=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G及びS=S671F)を有するDNAポリメラーゼを表す。
図13A及びBは、リボヌクレオチドを含む様々な条件の下で全長アプリコン(単位複製配列)を作製する本明細書中に記載の幾つかの酵素の能力を描写するアガロースゲルの写真である。写真上に表示されるように、試験した酵素はGQDSE,CS6−GQDSE,GLQDSE,GDSE,GLDSE,GLDE,GE(G46E CS5R),及びGLとGLE(GL CS5/GLE)の4:1混合物であった。ここでG=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、S=S671F及びE=E678G。全ての酵素がCS6−GQDSEと命名したものを別にしてCS5酵素であった。 図13A及びBは、リボヌクレオチドを含む様々な条件の下で全長アプリコン(単位複製配列)を作製する本明細書中に記載の幾つかの酵素の能力を描写するアガロースゲルの写真である。写真上に表示されるように、試験した酵素はGQDSE,CS6−GQDSE,GLQDSE,GDSE,GLDSE,GLDE,GE(G46E CS5R),及びGLとGLE(GL CS5/GLE)の4:1混合物であった。ここでG=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、S=S671F及びE=E678G。全ての酵素がCS6−GQDSEと命名したものを別にしてCS5酵素であった。
図14Aは、試験した様々なrATP条件(y軸)に対する、図13AとBに関して記載した酵素についてのデルタCts(y軸)のプロットである。 図14Bは、試験した様々なrNTP条件(y軸)に対する図13AとBに関して記載した酵素についての%rNTP取り込み(y軸)のプロットである。
図15AとBは、ビオチニル化リボヌクレオチドを含む様々な条件の下で全長アンプリコンを形成する本明細書に記載の或る酵素の能力を描写するアガロースゲルの写真である。写真上に記したように、試験したCS5酵素はGQDSE,GDSE,GE(G46E CS5R)、及びGLとGLEの4:1混合物(GL/GLEブレンド(4:1))であった。ここでG=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、S=S671F及びE=E678G。 図15AとBは、ビオチニル化リボヌクレオチドを含む様々な条件の下で全長アンプリコンを形成する本明細書に記載の或る酵素の能力を描写するアガロースゲルの写真である。写真上に記したように、試験したCS5酵素はGQDSE,GDSE,GE(G46E CS5R)、及びGLとGLEの4:1混合物(GL/GLEブレンド(4:1))であった。ここでG=G46E、L=L329A、Q=Q601R、D=D640G、S=S671F及びE=E678G。
図16Aは、試験した様々なrCTP条件について図15AとBに関して記載した酵素(x軸)についてのデルタCts(y軸)のプロットである。 図16Bは、試験した様々なビオチン標識rCTP(説明文)についてのそれらの酵素(x軸)に対するデルタCts(y軸)のプロットである。
図17は、G46E L329A E678G(GLE)CS5 DNAポリメラーゼを使った加ピロリン酸分解活性化重合(PAP)における閾値サイクル(Ct)に対する酵素濃度の影響を示す棒グラフである。y軸はCt値を表し、x軸は酵素濃度(nM)を表す。プロットに付随する説明文は、グラフ中の各トレースに相当する鋳型核酸のコピー数を示す(鋳型核酸の無コピー(no temp)、鋳型核酸の1e4コピー(1 E4/rxn)、鋳型核酸の1e5コピー(1 E5/rxn)、及び鋳型核酸の1e6コピー(1 E6/rxn))。
図18は、G46E L329A D640G S671F E678G(GLDSE)CS5 DNAポリメラーゼを使った加ピロリン酸分解活性化重合(PAP)における閾値サイクル(Ct)に対する酵素濃度の影響を示す棒グラフである。y軸はCt値を表し、x軸は酵素濃度(nM)を表す。プロットに付随する説明文は、グラフ中の各トレースに相当する鋳型核酸のコピー数を示す(鋳型核酸の0コピー(no temp)、鋳型核酸の1e4コピー(1 E4/rxn)、鋳型核酸の1e5コピー(1 E5/rxn)、及び鋳型核酸の1e6コピー(1 E6/rxn))。
図19は、サーマス種Z05 DNAポリメラーゼの様々な変異体の標準化伸長速度を示す棒グラフである。y軸は相対伸長速度を表し、そしてx軸はサーマス種Z05 DNAポリメラーゼ(Z05)及び特定の点変異(Q=T541R、D=D580G、及びS=A610F)を有する様々なZ05 DNAポリメラーゼを表す。x軸はまた、ES112(E683R Z05 DNAポリメラーゼ;Smith他により2001年3月30日に出願された“High temperature reverse transcription using mutant DNA polymerases”という発明の名称の米国特許出願第20020012970号明細書を参照のこと)及びES112−D(D580G E683R Z05 DNAポリメラーゼ)も表す。変異型ポリメラーゼについて得られた伸長速度は、Z05 DNAポリメラーゼについて得られた伸長速度値(1.00に設定される)に関して標準化される。
図20は、PAP関連HIV DNA鋳型滴定を含む分析からのPCR生成物の検出を示す、ゲルの写真である。
図21は、ブロックされた又はブロックされていないプライマーを含む増幅において使用した様々な変異体K−Rasプラスミド鋳型コピー数について観察された閾値サイクル(CT)値を示すグラフである。
図22は、K−Rasプラスミド鋳型を含む増幅において使用した様々な酵素及び酵素濃度について観察された閾値サイクル(CT)を示すグラフである。
図23は、HCV RNAに対するPAP逆転写反応についてのデータを示す棒グラフであり、ここでHCV cDNAに特異的な定量的PCRアッセイを使ってcDNA反応の生成物を測定した。y軸はCt値を表し、x軸は反応に使用した酵素の単位を表す。指摘したように、この反応で使用した酵素はZ05 DNAポリメラーゼ(Z05)又はG46E L329A Q601R D640G S671F E678G(GLQDSE)とG46E L329A Q601R D640G S671F(GLQDS)CS5 DNAポリメラーゼのブレンドであった。
図24は、双方向PAPを実施した時に生成したBRAF腫瘍遺伝子増幅物のPCR増殖曲線を示す。x軸は標準化した蓄積蛍光を示し、そしてy軸はPAP PCR増幅のサイクルを示す。
本発明は、ポリメラーゼドメイン中の1又は複数のアミノ酸が機能性DNAポリメラーゼに比較して変異されている新規変異型DNAポリメラーゼを提供する。本発明の変異型DNAポリメラーゼは、未変更型のポリメラーゼに比較してヌクレオチド取り込みの速度が改善されている活性酵素であり、そして或る態様では、逆転写酵素活性及び/又は増幅能力において付随の増加を有する活性酵素である。該変更型DNAポリメラーゼは、親酵素より優れた又は同等の性能のためにより低い濃度で使用することができる。或る態様では、本明細書に記載の変異型DNAポリメラーゼは、親酵素に比較して改善された熱安定性を有する。従って、変異型DNAポリメラーゼは、プライマー伸長やポリヌクレオチド鋳型の逆転写又は増幅といった様々な用途、例えば、組換えDNA研究及び病気の医学診断における用途において有用である。
本発明に従った変異を受けやすい未変更型DNAポリメラーゼは、次のアミノ酸モチーフを含んで成る機能的ポリメラーゼ領域を有するものである:
(a) Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Arg−Xaa−Xaa−Xaa−Lys−Leu−Xaa−Xaa−Thr−Tyr−Xaa−Asp
(本明細書では一文字記号でXa1−Xa2−Xa3−Xa4−R−Xa6−Xa7−Xa8−K−L−Xa11−Xa12−T−Y−Xa15−Xa16(配列番号1)とも称する);
ここでXa1はIle(I)又はLeu(L)であり;
a2はGln(Q)又はLeu(L)であり;
a3はGln(Q),His(H)又はGlu(E)であり;
a4はTyr(Y),His(H)又はPhe(F)であり;
a6はGlu(E),Gln(Q)又はLys(K)であり;
a7はIle(I),Leu(L)又はTyr(Y)であり;
a8はGln(Q),Thr(T),Met(M),Gly(G)又はLeu(L)であり;
a11はLys(K)又はGln(Q)であり;
a12はSer(S)又はAsn(N)であり;
a15はIle(I)又はVal(V)であり;そして
a16はGlu(E)又はAsp(D)である;
(b) Thr−Gly−Arg−Leu−Ser−Ser−Xaa−Xaa−Pro−Asn−Leu−Gln−Asn
(本明細書では一文字記号でT−G−R−L−S−S−Xb7−Xb8−P−N−L−Q−N(配列番号2)とも称する);
ここでXb7はSer(S)又はThr(T)であり;そして
b8はAsp(D),Glu(E)又はAsn(N)である;及び
(c) Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Xaa−Asp−Tyr−Ser−Gln−Ile−Glu−Leu−Arg
(本明細書では一文字記号でXc1−Xc2−Xc3−Xc4−Xc5−Xc6−Xc7−D−Y−S−Q−I−E−L−R(配列番号3)とも称する);
ここでXc1はGly(G),Asn(N)又はAsp(D)であり;
c2はTrp(W)又はHis(H)であり;
c3はTrp(W),Ala(A),Leu(L)又はVal(V)であり;
c4はIle(I)又はLeu(L)であり;
c5はVal(V),Phe(F)又はLeu(L)であり;
c6はSer(S),Ala(A),Val(V)又はGly(G)であり;そして
c7はAla(A)又はLeu(L)である。
これらのモチーフは、多くのファミリーA型DNA依存性DNAポリメラーゼ、特に耐熱性菌からの耐熱性DNAポリメラーゼの活性部位中の約100アミノ酸領域の中に存在する。例えば、図1は、次の数種の耐熱性菌からのDNAポリメラーゼのポリメラーゼドメインからの一領域のアミノ酸配列整列を示す:サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、サーマス・フラブス(Thermus fravus)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、サーマス種sps17、サーマス種Z05、サーモトガ・ネオポリタナ(Thermotoga neopolitana)、サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)、バシラス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)及びサーマス・カルドフィルス(Thermus caldophilus)。図1に示されるアミノ酸配列整列は、代表的なキメラ耐熱性DNAポリメラーゼのポリメラーゼドメインからの一領域も包含する。図示されるように、配列番号1,2及び3の各モチーフが、それらのポリメラーゼの各々に存在し、この事実は活性部位のそれらの領域に保存された機能があることを示唆する。
従って、或る態様では、DNAポリメラーゼの未変更型は野生型の又は天然に存在するDNAポリメラーゼ、例えば、上記に列挙した耐熱性菌の種のいずれかからのポリメラーゼである。一態様では、未変更ポリメラーゼがサーマス(Thermus)属の種からのものである。本発明の別の態様では、未変更ポリメラーゼがサーマス属以外の耐熱性菌種に由来する。多数の耐熱性DNAポリメラーゼについての全長核酸配列及びアミノ酸配列が入手可能である。サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Tth)、サーマス種Z05、サーマス種sps17、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)(Tma)及びサーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)(Taf)ポリメラーゼの各配列はPCT国際特許公報WO 92/06200において発表されている。サーマス・フラブス(Thermus flavus)からのDNAポリメラーゼの配列は、Akhmetzjanov及びVakhitov(Nucleic Acids Research 20:5839, 1992)において発表されている。サーマス・カルドフィルス(Thermus caldophilus)由来の耐熱性DNAポリメラーゼの配列はEMBL/GenBank受入番号U62584 に見つかる。サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)由来の耐熱性DNAポリメラーゼの配列は、例えば米国特許第4,889,818号中に提供された方法、並びに第1表に与えられた配列情報を使って、ATCC寄託番号No.42380から回収することができる。サーモトガ・ナポリタナ(Thermotoga neapolitana)DNAポリメラーゼの配列は、GeneSeq特許データベース受入番号R98144及びPCT WO 97/09451からものである。バシラス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)からの耐熱性DNAポリメラーゼの配列は、例えばUemori他(J. Biochem(Tokyo) 113(3):401-410, 1993;更にSwiss-Protデータベース受入番号Q04957並びにGeneBank受入番号D12982及びBAA02361も参照のこと)に記載されている。本明細書に記載のように変更することができる未変更型DNAポリメラーゼの例は、例えば、Gelfand他に2001年5月8日に付与された“Mutant chimeric DNA polymerase”という発明の名称の米国特許第6,228,628号明細書;Gelfand他に2002年2月12日に付与された“Thermostable DNA polymerases incorporating nucleoside triphosphates labeled with fluorescein family dyes”という発明の名称の米国特許第6,346,379号明細書;Ankenbauer他に2006年4月18日に付与された “Thermostable enzyme promoting the fidelity of thermostable DNA polymerases-for improvement of nucleic acid synthesis and amplification in vitro”という発明の名称の米国特許第7,030,220号明細書 ;Sobek他に2005年4月19日に付与された“Mutant B-type DNA polymerases exhibiting improved performance in PCR”という発明の名称の米国特許第6,881,559号明細書;Markau他に2004年9月21日に付与された“Modified DNA polymerase from carboxydothermus hydrogenoformans and its use for coupled reverse transcription and polymerase chain reaction”という発明の名称の米国特許第6,794,177号明細書;Ankenbauer他に2002年10月22日に付与された“Thermostable DNA polymerase from carboxydothermus hydrogenoformans”という発明の名称の米国特許第6,468,775号明細書;Schoenbrunner他により2003年3月26日に出願された“Thermostable or thermoactive DNA polymerase molecules with attenuated 3’-5’exonuclease activity”という発明の名称の米国特許出願第20040005599号明細書;Smith他により2001年3月30日に出願された“High temperature reverse transcription using mutant DNA polymerases”という発明の名称の米国特許出願第20020012970号明細書;Ankenbauer他により2005年9月29日に出願された“Thermostable enzyme promoting the fidelity of thermostable DNA polymerases-for improvement of nucleic acid synthesis and amplification in vitro”という発明の名称の米国特許出願第20060078928号明細書;及びSobek他により2002年12月11日に出願された“Reversibly modified thermostable enzymes for DNA synthesis and amplification in vitro”という発明の名称の米国特許出願第20040115639号明細書中にも記載されている。
同じく本明細書に記載の変異に適しているのは、前もって変更されたポリメラーゼが配列番号1,2及び3のアミノ酸モチーフを保持していることを前提として、前もって変更されている(例えばアミノ酸置換、付加又は削除により)機能的DNAポリメラーゼである。よって、適当な未変更ポリメラーゼは、野生型又は天然のポリメラーゼの機能的変異体も包含する。そのような変更体は、典型的には野生型又は天然のポリメラーゼに対して実質的な配列同一性又は類似性、典型的には少なくとも80%の配列同一性、より典型的には少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するだろう。或る態様では、未変更型DNAポリメラーゼは、逆転写酵素(RT)活性及び/又はリボヌクレオチドもしくは別の2′−修飾ヌクレオチドを取り込む能力を有する。
適当なポリメラーゼとしては、例えば、2以上の酵素からのポリペプチド領域を含んで成る或るキメラDNAポリメラーゼも挙げることができる。そのようなキメラDNAポリメラーゼの例は、例えば米国特許第6,228,628号明細書に記載されている。特に適当であるのは、CS5(配列番号18)及びCS6(配列番号19)ポリメラーゼ並びに配列番号18又は配列番号19に対する実質的な配列同一性(典型的には少なくとも80%の配列同一性、より典型的には少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するそれの変異体を包含する、キメラCSファミリーDNAポリメラーゼである。CS5及びCS6 DNAポリメラーゼは、サーマス種Z05及びサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)(Tma)DNAポリメラーゼに由来するキメラ酵素である。それらはサーマス酵素のN末端5′−ヌクレアーゼドメインと、Tma酵素のC末端の3′−5′エキソヌクレアーゼ及びポリメラーゼドメインとを含んで成る。それらの酵素は効率的な逆転写酵素活性を有し、ヌクレオチド類似体含有プライマーを伸長することができ、そしてα−ホスホロチオエートdNTPs,dUTP,dITP並びにフルオロセイン−及びシアニン−色素ファミリーで標識されたdNTPsを取り込むことができる。CS5及びCS6ポリメラーゼは効率的なMg2+活性化PCR酵素でもある。CS5及びCS6ポリメラーゼをコードする核酸配列は図2B及び3Bにそれぞれ提供される。CS5及びCS6キメラポリメラーゼは、例えば米国特許出願第2004/0005599号明細書に更に記載されている。
或る態様では、未変更型のDNAポリメラーゼは、例えば、幾つかの選択的利点を付与するために、典型的には組換え手段により、前もって変更されているポリメラーゼである。そのような変更としては、例えば、CS5 DNAポリメラーゼ中のアミノ酸置換G46E、L329A及び/又はE678G、CS6 DNAポリメラーゼ、又は別のポリメラーゼ中の対応する(1又は複数の)変異が挙げられる。従って、特定の変形では、未変更型のDNAポリメラーゼは次のものの1つである(各々、指定した置換を除いて配列番号18又は配列番号19のアミノ酸配列を有する):G46E;G46E L329A;G46E E678G;又はG46E L329A E678G。E678G置換は、例えば、リボヌクレオチドや他の2′−修飾ヌクレオチドの取り込みを考慮するが、この変異は感作された鋳型を伸長する能力の損傷をもたらすようである。或る態様では、変異型ポリメラーゼのより迅速な伸長速度をもたらす本発明に従った変異は、E678G変異のこの特定の特徴を改善する。
本発明の変異型DNAポリメラーゼは、未変更型ポリメラーゼに比較して活性部位中に1又は複数のアミノ酸置換を含んで成る。或る態様では、該アミノ酸置換は次のアミノ酸位置の少なくとも1つである:
配列番号1中に記載のモチーフの位置Xa8
配列番号2中に記載のモチーフの位置Xb8
配列番号3中に記載のモチーフの位置Xc4;及び
配列番号3中に記載のモチーフの位置Xc6
それらの位置の1又は複数におけるアミノ酸置換は、改善されたヌクレオチド取り込み活性を付与し、未変更型ポリメラーゼに比較して改善された(より速い)核酸伸長速度を有する変異型DNAポリメラーゼを与える。加えて、1又は複数のそれらの位置におけるアミノ酸置換は、未変更型ポリメラーゼに比較して増加した3′−5′エキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を付与する。いずれの特定理論に限定することなく、本発明者らは、本発明の変異型ポリメラーゼの改善された核酸伸長速度が鋳型への堅固な結合、即ち、鋳型からの頻繁な解離が少なく、それがより高い「処理能力(processivity)」の酵素をもたらす結果であると信じる。それらの特徴は、例えば未変更型ポリメラーゼを含む反応に比較してプライマー伸長反応においてより低い濃度の変異型DNAポリメラーゼを使えるようにする。よって、十分に高い酵素濃度では、未変更のポリメラーゼ(即ち本発明の主題である特定の変異を欠いている)の伸長速度は変異型酵素のそれとほぼ等しいだろう。変異型ポリメラーゼは、高イオン強度では未変更型のよりもずっと良く作用するようである。しかしながら、十分に高い酵素濃度では、低イオン強度での未変更型ポリメラーゼの性能は変異型ポリメラーゼのそれに匹敵するだろう。
未変更型DNAポリメラーゼはユニークであるので、Xa8,Xb8,Xc4及びXc6の各々に対応するアミノ酸位置は、典型的には各変異型ポリメラーゼで異なる。アミノ酸及び核酸配列整列プログラムは容易に利用可能であり(例えば前掲に言及したものを参照のこと)、そして本明細書中に同定された特定モチーフを考えると、本発明に従った変更のための正確なアミノ酸(及び対応するコドン)の同定を助ける働きをする。Xa8,Xb8,Xc4及びXc6の各々に対応するアミノ酸位置は、代表的なキメラ耐熱性DNAポリメラーゼ及び典型的な耐熱性菌種からの耐熱性DNAポリメラーゼについて下の第1表に示される。
Figure 0005189101
或る態様では、アミノ酸置換は一アミノ酸置換である。変異型ポリメラーゼは、例えば位置Xa8,Xb8,Xc4及びXc6のアミノ酸置換のいずれか1つを含んで成ることができる。あるいは、変異型ポリメラーゼは、それらの位置の2,3又は4箇所全部に置換の様々な組み合わせのいずれか1つを含んで成ることができる。例えば、一態様では、本発明の変異型DNAポリメラーゼは位置Xb8とXc6の各々の所にアミノ酸置換を含んで成る。典型的には、位置Xa8,Xb8,Xc4又はXc6のアミノ酸が、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に記載のような各モチーフに相当しないアミノ酸により置換されている。よって、典型的には、位置Xa8のアミノ酸は、置換される場合、Q,T,M,G又はLではなく;位置Xb8のアミノ酸は、置換される場合、D,E又はNでなく;位置Xc4のアミノ酸は、置換される場合、I又はLでなく;そして/又は位置Xc6のアミノ酸は、置換される場合、S,A,V又はGでない。或る態様では、アミノ酸置換は位置Xa8でのアルギニン(R)、位置Xb8でのグリシン(G)、位置Xc4でのフェニルアラニン(F)、及び/又は位置Xc6でのフェニルアラニン(F)を含む。同定された1又は複数の部位における別の適当なアミノ酸置換は、部位特異的変異誘発の既知方法及び本明細書中に記載のアッセイにおけるプライマー伸長性能の測定又は当業者に既知の他の方法を使って決定することができる。
前に記載したように、或る態様では、本発明の変異型DNAポリメラーゼは、CS5 DNAポリメラーゼ(配列番号18)、CS6 DNAポリメラーゼ(配列番号19)又はそれらのポリメラーゼの変異体(例えばG46E;G46E L329A;G46E E678G;G46E L329A E678G等)から誘導される。上記に言及したように、CS5 DNAポリメラーゼ又はCS6 DNAポリメラーゼ中、位置Xa8は601位のグルタミン(Q)に相当し;位置Xb8は640位のアスパラギン酸(D)に相当し;位置Xc4は669位のイソロイシン(I)に相当し;そして位置Xc6は671位のセリン(S)に相当する。よって、本発明の或る態様では、変異型ポリメラーゼは、CS5 DNAポリメラーゼ又はCS6 DNAポリメラーゼに比較して、S671,D640,Q601及び/又はI669の所に少なくとも1つのアミノ酸置換を含んで成る。代表的なCS5 DNAポリメラーゼ変異体及びCS6 DNAポリメラーゼ変異体としては、アミノ酸置換:S671F,D640G,Q601R及び/又はI669Fを含んで成るものが挙げられる。或る態様では、変異型CS5ポリメラーゼ又は変異型CS6ポリメラーゼは、例えば、D640とS671の両方にアミノ酸置換(例えばD640GとS671F)を含んで成る。他に、代表的なCS5 DNAポリメラーゼ変異体及びCS6 DNAポリメラーゼ変異体としては、下記のものが挙げられる(各々指定した置換を除いて配列番号18又は配列番号19のアミノ酸配列を有する):
Figure 0005189101
本明細書に記載のような配列番号1,2及び/又は3のモチーフの変異に加えて、本発明の変異型DNAポリメラーゼは、別の非置換的変異も含むことができる。そのような変異としては、例えば、プライマー伸長を含んで成る用途において追加の利点を付与する、当業界で既知の共有結合修飾を挙げることができる。例えば、或る態様では、変異型DNAポリメラーゼは、熱可逆性の共有結合修飾を更に含んで成る。それらの態様では、修飾基がタンパク質に共有結合で取り付けられ、酵素活性の完全な、またはほぼ完全な損失を引き起こす。その修飾基は、高温でのインキュベーションにより修飾が撤回されるように選択される。そのような熱可逆性修飾を含んで成るDNAポリメラーゼは、特にホットスタート用途、例えば、様々なホットスタートPCR技術に適当である。本発明の変異型DNAポリメラーゼに従った使用に適する熱可逆性修飾試薬は、例えばBirch他への米国特許第5,773,258号明細書中に記載されている。代表的な修飾としては、例えば、リジン残基のε−アミノ基の化学的修飾によるリジン残基の可逆的ブロックが挙げられる(Birch他、前掲)。或る変形では、熱可逆性共有結合修飾として、Birch他(前掲)中に記載のようなジカルボン酸無水物の、リジン残基のε−アミノ基への共有結合が挙げられる。
例えば、熱可逆性共有結合修飾を含んで成る特に適当な変異型ポリメラーゼは、アルカリ性pHで約25℃未満の温度で実施される、耐熱性酵素と下記の式Iに示されるような一般式を有するジカルボン酸無水物との混合物の反応により製造される:
Figure 0005189101
(式中、R1及びR2は水素であるか、又は連結されてもよい有機基である);又はBirch他、前掲に本質的に記載されるような、下記式II:
Figure 0005189101
(式中、R1及びR2は連結されてもよい有機基であり、そして2つの水素はシスである)を有する。熱可逆性共有結合修飾を含んで成る特定の態様では、未変更型ポリメラーゼはG64E CS5 DNAポリメラーゼである。
本発明の変異型DNAポリメラーゼは、対応する未変更型ポリメラーゼ(例えば野生型ポリメラーゼ又は本発明の変異型ポリメラーゼが誘導される対応する変種)をコードするDNA配列を、例えば部位特異的変異誘発と一般に呼ばれる技術を使って変更することにより作製することができる。未変更型ポリメラーゼをコードする核酸分子を、当業者に周知の様々なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術により変異せしめることができる。(例えば、PCR Strategies (M.A. Innis, D.H. Gelfand & J.J. Sninsky編, 1995, Academic Press, San Diego, CA)の第14章;PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (M.A. Innis, D.H. Gelfand, J.J. Sninsky & T.J. White編, Academic Press, NY, 1990)参照)。
非限定的な例により、未変更型ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチド中に部位特異的変異を導入するために、Clontech社からのTransformer Site-Directed Mutagenesisキットを用いる2プライマー法を使うことができる。この方法での標的プラスミドの変性の後、2つのプライマーを同時に該プラスミドにアニールせしめる;これらのプラスミドのうちの一方は所望の部位特異的変異を含み、他方は制限部位の削除をもたらすプラスミド中の別の箇所に変異を含む。次いで第二鎖合成を実施してそれら2つの変異をしっかりと連結せしめ、そして生じたプラスミドを用いてE.コリのmutS株を形質転換させる。形質転換された菌からプラスミドDNAを単離し、関連する制限酵素で制限消化し(それにより未変異のプラスミドを線状化する)、次いでE.コリ中に形質転換する。この方法は、サブクローニング又は一本鎖ファジミドの作製を必要とせずに、発現プラスミド中に直接変異を作製できる。2つの変異のタイトな結合及びその後の未変異プラスミドの線状化は、高い変異効率をもたらし、最少のスクリーニングを要する。最初の制限部位プライマーの合成の後、この方法は変異部位当たりただ1つの新規プライマー型の使用を必要とする。各位置の変異体を個別に調製するよりも、与えられた部位に所望の変異の全てを同時に導入するために1組の「指定した縮重」オリゴヌクレオチドプライマーを合成することができる。変異誘発された領域を通してプラスミドDNAを配列決定することにより変異体クローンを同定し且つ選別することにより、形質転換体をスクリーニングすることができる。次いで各変異型DNAを制限消化し、電気泳動、例えばMutation Detection Enhancementゲル(Mallinckrodt Baker, Inc., Phillipsburg, NJ)上での電気泳動により分析して、配列中に他の変更が起こらなかったことを確かめる(変異誘発されない対照へのバンドシフト比較により)。あるいは、完全なDNA領域を配列決定して標的領域の外側で追加の変異現象が起こらなかったことを確かめる。
確認したpET(又は他の)過剰発現ベクター中の変異型二本鎖は、変異タンパク質の高効率生産と標準プロトコルによる精製用に、E.コリ、例えばE.コリBL12(DE3) pLysS株を形質転換せしめるのに使用できる。FAB-MSマッピングの方法は、例えば、変異体発現の精度を迅速に調べるのに使用できる。この技術は、タンパク質全体を通してセグメントを配列決定し、そして配列割り当てにおける必要な信頼度を提供する。この型のマッピング実験では、タンパク質をプロテアーゼで消化する(このセグメントが特に着目のものであり且つ残りの地図は変異誘発されないタンパク質の地図と同一であるだろうから、プロテアーゼの選択は変更しようとする特定領域に依存するだろう)。開裂断片のセットを例えば微孔質HPLC(同じく変更しようとする特定領域に依存して、逆相又はイオン交換)により分画し、各画分中に数種のペプチドを提供し、そして該ペプチドの分子量を標準法、例えばFAB−MSにより決定する。各断片の測定質量を、次いで推定配列の消化から予想されるペプチドの分子量と比較し、そして該配列の正確さを迅速に確認する。このタンパク質修飾への変異誘発アプローチが指示され、MSデータが推定値と一致するならば、変更されたペプチドの配列決定は必要でないだろう。変更された残基を確かめる必要があるなら、CAD−タンデムMS/MSを使用して問題の混合物中のペプチドを配列決定するか、あるいは変更の位置に応じて減算エドマン消化又はカルボキシペプチダーゼY消化用に標的ペプチドを精製することができる。
1以上のアミノ酸が置換されている変異型DNAポリメラーゼは、様々な方法で作製することができる。ポリペプチド鎖中に接近して一緒に存在するアミノ酸の場合(配列番号3中に示されるモチーフのアミノ酸Xc4とXc6アミノ酸に関するような)、所望のアミノ酸置換の全てをコードする単一オリゴヌクレオチドを使って同時にそれらを変異させることができる。しかしながら、そのアミノ酸が互いに或る距離を置いて位置している(例えば10アミノ酸以上離れている)場合、所望の変化の全てをコードする単一オリゴヌクレオチドを作製することは困難である。代わりに、2つの代用法の1つを使用できる。第一の方法では、置換しようとする各アミノ酸について別々のオリゴヌクレオチドを作製する。次いで該オリゴヌクレオチドを一本鎖鋳型DNAに同時にアニーリングし、そして該鋳型から合成されるDNAの第二鎖が、所望のアミノ酸置換の全てをコードするであろう。別の方法は、所望の変異体を生成する2ラウンド以上の変異誘発を包含する。第一ラウンドは単一変異について記載された通りである:未変更ポリメラーゼをコードするDNAを鋳型に使用し、第一の所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニーリングし、次いでヘテロ二本鎖DNAを作製する。変異誘発の第二ラウンドは、変異誘発の第一ラウンドで生成した変異型DNAを鋳型として使用する。こうして、この鋳型はすでに1又は複数の変異を含む。追加の所望のアミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドを次いでこの鋳型にアリーリングすると、生じたDNA鎖は、新たに変異誘発の第一ラウンドと第二ラウンドの両方からの変異をコードするようになる。この生じたDNA鎖は変異誘発の第三ラウンド等々において鋳型として利用できる。或いは、Seyfang & Jin(Anal. Biochem. 324:285-291, 2004)の多部位変異誘発法を使用してもよい。
従って、本発明の変異型DNAポリメラーゼのいずれかをコードする組換え核酸も提供される。変異型DNAポリメラーゼをコードする本発明の核酸を使って、様々なベクターを作製することができる。宿主細胞と適合できる種に由来するレプリコンと調節配列を含有する任意のベクターは、本発明の実施に使用できる。一般に、発現ベクターは、変異型DNAポリメラーゼに作用可能に連結された転写及び翻訳調節核酸領域を包含する。「調節配列」という用語は、特定の宿主生物における作用可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指して言う。原核生物に適当である調節配列としては、例えば、プロモーター、任意のオペレーター配列、及びリボソーム結合部位が挙げられる。加えて、ベクターは、転写されたmRNAの半減期を増加させるPositive Rertoregulatory Element (PRE)を含んでもよい(Gelfand他、米国特許第4,666,848号明細書を参照のこと)。転写及び翻訳調節核酸領域は、一般にポリメラーゼを発現させるのに使われる宿主細胞に適当なものであろう。様々な宿主細胞のための様々な型の適当な発現ベクター及び適当な調節配列が当業界において知られている。一般に、転写及び翻訳調節配列としては、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終結配列、翻訳開始及び終結配列、並びにエンハンサー又は活性化配列が挙げられる。典型的な態様では、調節配列はプロモーターと転写開始及び終結配列とを含む。ベクターは典型的には、外来DNAの挿入のための数個の制限部位を含むポリリンカー領域を含んで成る。或る態様では、精製を促進するため、及び所望により、tag/flag配列の後の除去を促進するために「融合フラッグ」、例えば“His-Tag”が用いられる。しかしながら、それらは一般に、“heat-step”を使用できる中温性宿主から熱活性及び/又は熱安定性タンパク質を精製する時には不要である。反復配列、調節配列、表現型選択遺伝子及び着目の変異型ポリメラーゼをコードする適当なベクターの作製は、標準的な組換えDNA法を使って行われる。当業界で周知のようにして〔例えばSambrook他、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, NY, 第二版, 1989)〕、単離されたプラスミド、ウイルスベクター及びDNA断片を開裂せしめ、加工し、特定の順序で一緒に連結して所望のベクターを作製する。
或る態様では、発現ベクターは形質転換された宿主細胞の選択を可能にするような選択可能なマーカー遺伝子を含有する。選択遺伝子は当該技術分野で周知であり、使用する宿主細胞により異なり得る。適当な選択遺伝子としては、例えば、それらのベクターにより形質転換された細胞を抗生物質の存在下で増殖できるようにする、アンピシリン及び/又はテトラサイクリン耐性をコードする遺伝子を挙げることができる。
本発明の一観点では、変異型DNAポリメラーゼをコードする核酸は、単独で又はベクターと共に細胞中に導入される。「〜に導入される」またはそれの文法的同等語は、核酸がその後の核酸の組み込み、増幅及び/又は発現に適当な形で細胞の中に入ることを意味する。導入の方法は標的指向される細胞型により大きく左右される。代表的な方法としては、CaPO4沈澱、リポゾーム融合、LIPOFECTIN(登録商標)、エレクトロポレーション、ウイルス感染などが挙げられる。
原核生物は、典型的には本発明の最初のクローニング段階のための宿主として用いられる。それらは、大量のDNAの迅速生産のため、部位特異的変異誘発に用いられる一本鎖DNA鋳型の生産のため、多数の変異体を同時にスクリーニングするため、及び作製された変異体のDNA配列決定のために特に有用である。適当な原核生物宿主細胞としては、E.コリ K12株94(ATCC No. 31,446)、E.コリ W3110株(ATCC No. 27,325)、E.コリK12株DG116(ATCC No. 53,606)、E.コリX1776(ATCC No. 31,537)及びE.コリBが挙げられる;しかしながら、他の多数のE.コリ株、例えばHB101, JM101, NM522, NM538, NM539、並びに他の多数の原核生物の種及び属、例えばバシラス・サチリス(Bacillus subtilis)、別の腸内細菌属、例えばサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)又はセラチア・マルセサンス(Serratia marcesans)、及び様々なシュードモナス(Pseudomonas)種はどれも宿主として使用することができる。原核宿主細胞又は堅い細胞壁を有する他の宿主細胞は、Sambrook他(前掲)の項目1.82に記載されているような塩化カルシウム法を使って形質転換される。或いは、それらの細胞の形質転換にエレクトロポレーションを使用することができる。原核生物形質転換技術は、例えばDower, Genetic Engineering, Principles and Methods 12:275-296 (Plenum Publishing Corp., 1990); Hanahan他、Meth. Enzymol., 204:63, 1991中に記載されている。E.コリの形質転換に典型的に用いられるプラスミドとしては、pBR322,pUC18, pUC19, pUCI18, pUC119及びBluescript M13が挙げられ、それらは全てSambrook他(前掲)の項目1.12−1.20中に記載されている。しかしながら、他の多くの適当なベクターも同様に利用可能である。
本発明の変異型DNAポリメラーゼは、典型的には該変異型DNAポリメラーゼをコードする核酸を含有する発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を、該変異型DNAポリメラーゼの発現を誘導するか又は引き起こすのに適当な条件下で培養することにより生産される。形質転換された宿主細胞をタンパク質発現に適当な条件下で培養する方法は、当業界で周知である(例えばSambrook他、前掲を参照のこと)。λpLプロモーター含有プラスミドベクターからの変異型ポリメラーゼの生産に適当な宿主細胞としては、E.コリ株DG116(ATCC No. 53606)(米国特許第5,079,352号明細書及びLawyer, F.C.他、PCR Methods and Applications 2:275-87, 1993を参照のこと)が挙げられる。発現後、変異型ポリメラーゼを収穫し、単離することができる。耐熱性DNAポリメラーゼの精製方法は例えばLawyer他(前掲)中に記載されている。
一端精製されれば、感作された鋳型を伸長する変異型DNAポリメラーゼの能力を、ヌクレオチド取り込みを測定するための様々な既知アッセイのいずれにおいても試験することができる。例えば、感作された鋳型分子(例えばM13 DNA等)、適当な緩衝液、dNTPs(例えばdATP,dCTP,dGTP及びdTTP)の完全セット及び金属イオンの存在下で、DNAポリメラーゼはプライマーを伸長し、一本鎖DNA(ssDNA)を二本鎖DNA(dsDNA)に変換する。この変換は、例えば、dsDNA結合性色素、例えばSYBR Green Iを添加することにより、検出しそして定量することができる。動力学的熱循環器(Watson他、Anal. Biochem. 329:58-67, 2004を参照のこと、そしてまた例えばApplied Biosystems, Stratagene及びBioRadから入手可能である)を使って、反応プレートのデジタル画像を撮り(例えば10〜30秒間隔で)、それにより反応の進行を追跡することができる。検出された蛍光の量は、容易に伸長速度に変換できる。そのようなルーチン分析を使って、未変更型ポリメラーゼに比較した変異型ポリメラーゼの伸長速度を決定することができる。
本発明の変異型DNAポリメラーゼは、そのような酵素が必要又は所望である任意の目的に使用できる。従って、本発明の別の観点では、該変異体ポリメラーゼを使ったプライマー伸長方法が提供される。プライマー伸長に適当な条件は当業界で既知である(例えば、Sambrook他、前掲を参照のこと。Ausubel他、Short Protocols in Molecular Biology (第4版,John Wiley & Sons 1999)も参照のこと)。一般に、プライマーを標的核酸にアニーリングし、即ちハイブリダイズせしめて、プライマー−鋳型複合体を形成させる。該プライマー−鋳型複合体を適当な環境下で変異型DNAポリメラーゼ及び遊離ヌクレオチドと接触せしめ、該プライマーの3′末端に1又は複数のヌクレオチドを付加し、それにより標的核酸に相補的な伸長プライマーを生成させる。該プライマーは、例えば1又は複数のヌクレトチド類似体を含むことができる。加えて、遊離ヌクレオチドは通常ヌクレオチド、特殊ヌクレオチド(例えばリボヌクレオチドもしくは標識ヌクレオチド)、又はそれらの混合物であることができる。或る変形では、プライマー伸長反応が標的核酸の増幅を含んで成る。DNAポリメラーゼとプライマー対を使った核酸増幅に適した条件は当業界で既知である(例えばPCR増幅法)。(例えばSambrook他、前掲;Ausubel、前掲;PCR Applications: Protocols for Functional Genomics (Innis他編、Academic Press 1999)を参照のこと)。別の相互排他的でない態様では、プライマー伸長反応はRNA鋳型の逆転写(例えばRT−PCR)を含んで成る。改善された伸長速度を提供する本発明の変異型ポリメラーゼの使用は、例えば、そのようなプライマー伸長反応を比較的短いインキュベーション時間、減少した酵素濃度及び/又は増加した生成物収率で実施する能力を可能にする。
更に別の態様では、変異型ポリメラーゼはDNA配列決定、DNA標識、又はプライマー伸長生成物の標識との関連でプライマー伸長のために使用される。例えば、サンガーのジデオキシヌクレオチド法(Sanger他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463, 1977)によるDNA配列決定は、特殊な連鎖停止ヌクレオチドを取り込むことができるポリメラーゼのために本発明により改善される。基本的サンガー他の方法における利点は、新規ベクター(Yanisch-Perron他、Gene 33:103-119, 1985)及び塩基類似体(Mills他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:2232-2235, 1979;及びBarr他、Biotechniques 4:428-432, 1986)を提供した。一般に、DNA配列決定は、連鎖停止塩基類似体の存在下での鋳型依存性プライマー伸長を必要とし、その後サイズにより分離される部分断片の分布をもたらす。機能的ジデオキシ配列決定法は、(i)任意に標識された、オリゴヌクレオチドプライマーを鋳型にアニーリングし;(ii) 各反応が未標識dNTPsの混合物と限定量の1つの連鎖停止剤、例えば任意に標識されたddNTPを含有する、4つの個別の反応においてDNAポリメラーゼによりプライマーを伸長し;そして(iii)反応生成物の4セットを高分解能変性ポリアクリルアミド/尿素ゲル上で分離するという段階、を含んで成る。反応生成物は、使用する標識に依存して、オートラジオグラフィーにより又は蛍光検出によりゲル中で検出することができ、そしてイメージを検査してヌクレオチド配列を推測することができる。それらの方法は、E.コリ Pol Iのクレノウ断片又は改変型T7 DNAポリメラーゼのようなDNAポリメラーゼを使用する。
耐熱性ポリメラーゼ、例えばTaq DNAポリメラーゼの入手可能性は、耐熱性DNAポリメラーゼを使った配列決定の改良法(Innis他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:9436, 1988)及び「サイクル配列決定」(Murray, Nuc. Acids Res. 18:8889, 1989)と呼ばれるそれの変形をもたらした。従って、本発明の変異型耐熱性ポリメラーゼは、そのような方法と組み合わせて使用することができる。基本的なジデオキシ配列決定法に代わるものとして、サイクル配列決定法は、連鎖停止剤の存在下での鋳型配列に相補的な標的配列の直鎖状で非対象の増幅である。単一サイクルが全ての可能な長さの伸長生成物のファミリーを生成する。DNA鋳型からの伸長反応生成物の変性後、プライマーアニーリングとプライマー伸長の複数サイクルがddNTPsのような停止剤の存在下で起こる。サイクル配列決定は、通常の連鎖停止配列決定よりも少ない鋳型DNAを必要とする。耐熱性DNAポリメラーゼは、サイクル配列決定法において幾つかの利点を有する;それらは、核酸標的へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションに必要とされる緊縮なアニーリング温度を許容し、その上、各サイクルで起こる高温変性、例えば90〜95℃の多重サイクルに耐える。この理由のため、AMPLITAQ(登録商標)DNAポリメラーゼ及びその誘導体並びに派生物、例えばAmpliTaq CS DNAポリメラーゼ及びAmpliTaq FS DNAポリメラーゼは、Perkin-Elmer (Norwalk, CT)及びApplied Biosystems (Foster City, CA)のような会社により市販されているTaqサイクル配列決定キット中に含められている。
連鎖停止配列決定法の変形としては、色素プライマー配列決定及び色素停止剤配列決定法が挙げられる。色素プライマー配列決定法では、ddNTP停止剤が未標識であり、そして標識されたプライマーを使って伸長生成物を検出する(Smith他、Nature 32:674-679, 1986)。色素−停止剤DNA配列決定法では、dNTPsと蛍光標識ddNTPsをDNAプライマーの末端に組み込むのにDNAポリメラーゼが使われる(Lee他、Nuc. Acids Res. 20:2471, 1992)。この方法は、色素標識プライマーを合成しなくてよいという利点を提供する。更に、色素−停止剤反応は、4反応全てを同一試験管内で実施できるという点でより便利である。
色素プライマー法と色素停止剤法は両方とも、Applied Biosystems (Foster City, CA)により製造された自動化配列決定装置を使って自動化することができる(米国特許第5,171,534号)。該装置を使った時、完成した配列決定反応混合物は、装置の上に搭載した変性ポリアクリルアミドゲル又はキャピラリー上で分画される。ゲルを通してサイズに従って電気泳動されると、該装置の底にあるレーザーが蛍光生成物を検出する。
色素−停止剤配列決定法で負に帯電した蛍光色素と両イオン性蛍光色素に使用される停止剤を標識するのに、2つの型の蛍光色素が一般に用いられる。負に帯電した蛍光色素としては、フルオレセイン及びBODIPYファミリーのものが挙げられる。BODIPY色素(4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン)は、国際特許公報WO 97/00967中に記載されている。両イオン性蛍光色素としては、ローダミンファミリーのものが挙げられる。市販のサイクル配列決定キットは、ローダミン誘導体で標識された停止剤を使用する。しかしながら、ローダミン標識された停止剤は高価であり、ゲル上に負荷する前に、生成物を取り込まれなかった色素−ddNTPsから分離しなければならない。何故ならそれらは配列決定する生成物と同時移動するからである。ローダミン色素ファミリー停止剤は、高GC領域においてヘアピン構造を安定化するようである。これは異常に移動する生成物を引き起こす。これは、二次構造を緩めるが停止剤の取り込みの効率にも影響を及ぼす、dITPの使用を必要とする。
対照的に、フルオレセイン標識停止剤は、大きな正味負電荷を有し且つ配列決定する生成物よりも速く移動するので、ゲル負荷前の分離段階を削除する。加えて、フルオロセイン標識配列決定生成物は、ローダミンで標識された配列決定生成物よりも良好な電気泳動移動を有する。野生型Taq DNAポリメラーゼはフルオレセインファミリー色素で標識された停止剤を効率的に取り込まないけれども、これは、米国特許出願公開第2002/0142333号中に記載されているように今や変異型酵素の使用により効率的に達成することができる。従って、米国特許出願第2002/0142333号に記載のような変更は、改善されたプライマー伸長速度を有するフルオロセインファミリー色素を取り込んだ耐熱性ポリメラーゼを作製するために、本発明に関連して使用することができる。例えば、或る態様では、本発明に従った未変更型DNAポリメラーゼは、米国出願第2002/0142333号公報に記載されており且つ配列番号1,2及び3に記載のモチーフを有する変異型耐熱性ポリメラーゼである。
本発明の変異型DNAポリメラーゼを使用できる別の代表的な核酸配列決定方式としては、リボヌクレオチドの2′-PO4類似体を包含する停止剤化合物を含むもの(例えば、米国出願公開第2005/0037991及び2005/0037398号公報、並びにBodepudi他により2004年6月29日に出願された“SYNTHESIS AND COMPOSITIONS OF NUCLEIC ACIDS COMPRISING 2’-TERMINATOR NUCLEOSIDES”という発明の名称の国際出願第WO 2005/026184号公報及びGelfand他により2004年6月29日に出願された“2’-TEMINATOR RELATED PYROPHOSPHOROLYSIS ACTIVATED POLYMERIZATION”という発明の名称の国際出願第WO 2005/005667号公報を参照のこと。本明細書中に記載の変異型DNAポリメラーゼは一般に、例えば循環する伸長反応に必要な時間を短縮することによりそして/又は十分な性能のために使われる酵素の量もしくは濃度を減らすことにより、それらの配列決定法を改善する。
本発明の別の面では、本明細書に記載のプライマー伸長法に用いられるキットが提供される。典型的には、該キットは、使用の簡易性のために区分され且つ本発明に係る変異型DNAポリメラーゼを提供する少なくとも1つの容器を含有する。追加の試薬を提供する1又は複数の追加の容器も含めることができる。そのような追加の容器は、上述した方法に従ったプライマー伸長法に使用される当業者により認識される任意の試薬又は他の要素、例えば核酸増幅手順(例えばPCR,RT−PCR)、DNA配列決定手順又はDNA標識手順に使用される試薬を含むことができる。例えば、或る態様では、該キットは、プライマー伸長条件下で、予め決められたポリヌクレオチド鋳型にハイブリダイズ可能な5′センスプライマー、又は5′センスプライマーと対応する3′アンチセンスプライマーを含んで成るプライマー対を提供する容器を更に含んで成る。別の、非相互排他的な変形では、該キットは遊離ヌクレオチド(通常の及び/又は特殊の)を提供する1又は複数の容器を含んで成る。特定の態様では、該キットはα−ホスホロチオエートdNTPs,dUTP,dITP及び/又は標識dNTPs、例えばフルオレセイン−もしくはシアニン−色素ファミリーdNTPsを含む。更に別の非相互排他的な態様では、該キットは、プライマー伸長反応に適当な緩衝液を提供する1又は複数の容器を含んで成る。
ここに記載の実施例及び態様は例示目的のみであり、本発明の請求の範囲を限定するものではない。また、ここに記載の実施例及び態様に照らした様々な改良又は変更は、当業者に示唆され且つ本明細書及び添付の請求の範囲の精神及び範囲内に含まれると理解すべきである。
実施例1:改善された酵素活性を有する変異型DNAポリメラーゼの同定及び特徴付け
例えば遊離ヌクレオチドの存在下で感作された鋳型DNAを伸長する改善された能力を提供するCSファミリーポリメラーゼ中の変異を同定した。簡単に言えば、このスクリーニング工程中の段階は、ライブラリー作製、変異型酵素の発現及び部分的精製、所望の性質についての該酵素のスクリーニング、DNA配列決定、クローン精製、及び選択された変異体候補の更なる特徴付け、並びに選択された変異体からの変異の組み合わせの作製、精製及び特徴付けを含んだ。それらの各段階は下記に更に記載する。
この工程により同定された変異としては、個別又は様々な組み合わせでのS671F,D640G,Q601R及びI669Fが挙げられる。それらの変異は、G46E CS5,G46E L329A CS5,G46E E678G CS5及びG46E L329A E678G CS5をはじめとする数種類のCSファミリーポリメラーゼ中に置かれた。それらの変異型ポリメラーゼの幾つかを第2表に示す。作製された別の代表的変異型ポリメラーゼとしてはCS6 G46E Q601R D640G S671F E678G DNAポリメラーゼ及び幾つかのサーマス種Z05 DNAポリメラーゼ変異体が挙げられる。生じた変異型DNAポリメラーゼは、一連の動的熱循環(Kinetic Thermal Cycling (KTC))実験においてそれらの性能を分析することにより特徴付けた。
Figure 0005189101
同定された変異S671F,D640G,Q601R及びI669Fは、例えば、感作された鋳型を伸長する能力の改善をもたらした。リボヌクレオチド及び別の2′−修飾ヌクレオチドの取り込みに備えるが感作された鋳型を伸長する能力が損傷したE678G変異の特定の関係では、S671F,D640G,Q601R及びI669F変異が、損傷されたプライマー伸長能力のこの性質を緩和した。同定された変異、特に単独のS671F及びS671F+D640G変異は、G46E CS5及びG46E L329A CS5 DNAポリメラーゼ中に置くと、改善された逆転写効率を示した。本発明の変異型DNAポリメラーゼの追加の特徴を更に下記に記載する。
クローンライブラリー作製:CS5 E678G DNAポリメラーゼのポリメラーゼドメインをコードする核酸を、この核酸配列を含むプラスミドのBglIIとHindIII制限部位の間でエラープローン(変異誘発)PCRにかけた。PCRは、変異速度の対応範囲を有するライブラリーを作製するために、1.8〜3.5 mMのMg2+濃度範囲を使って実施した。緩衝液条件は次の通りであった:50 mM Bicine pH 8.2, 115 mM KOAc, 8% w/v グリセロール, 0.2 mMの各dNTPs及び0.2×SYBR Green I。GeneAmp(登録商標)AccuRT Hot Start PCR酵素を0.15U/μlで使用した。5×105コピーの線状化CS5 E678GプラスミドDNA/50μlの反応容量で出発して、60℃で15秒間のアニーリング温度、72℃で45秒間の伸長温度及び95℃で15秒間の変性温度を使って30サイクルの増幅を実施した。
得られたアンプリコンをQiaquickスピンカラム(Qiagen, Inc., Valencia, CA, USA)上で精製し、そしてBglII及びHindIIIで切断し、次いで再精製した。BgIIIとHindIII部位の間のポリメラーゼドメイン中に大きな欠失を有しているG46E L329A CS5変異体のベクタープラスミドを、前記2酵素で切断しそして仔牛腸ホスファターゼ(CIP)で処理することにより調製した。切断ベクターと変異挿入断片を異なる比で混合し、15℃で一晩T4リガーゼにより処理した。得られた連結物を精製し、エレクトロポレーションによりE.コリ宿主株中に形質転換せしめた。
各形質転換でのユニーク形質転換体の数を測定するために、発現された培養物のアリコートをアンピシリン選択培地上に塗布した。各変異誘発において最大のユニーク形質転換体を有する形質転換体を、凍結保存物としてグリセロールの存在下−70〜−80℃で保存した。
次いで各ライブラリーを大型のアンピシリン選択寒天板培地上で画線培養した。個々のコロニーを、自動コロニーピッカー(QPix2, Genetix Ltd)を使って、アンピシリンと10%w/v グリセロールを含有する2×Luriaブロスの入った384ウエルプレートに移した。それらのプレートを30℃で一晩インキュベートして培養物を増殖させ、次いで−70〜−80℃で保存した。2×Luriaブロスに添加したグリセロールは、培養物の増殖を可能にするのに十分な位低く、且つ凍結保護を提供するのに十分な位まだ高かった。数回の突然変異誘発(Mg2+)レベルでの数千個のコロニーを後の使用のためにこの方法で調製した。
抽出物ライブラリー調製Part 1−発酵:上記のクローンライブラリーから、スクリーニング目的に適当な部分精製された抽出物の対応するライブラリーを調製した。この方法の第一段階は、各クローンの小規模の発現培養物を作製することであった。それらの培養物を96ウエル方式で増殖させた;従って、それらは各384ウエルライブラリープレートについて4枚の発現培養プレートであった。1μlをクローンライブラリープレートの各ウエルから、150μlの培地A(下記第3表を参照のこと)を含有する96ウエルの種プレートのウエルへと移した。この種プレートを、iEMSプレートインキュベーター/シェーカー(ThemoElectron)中で、1150 rpmで30℃にて一晩振盪培養した。それらの種培養物を用いて同培地に接種し、今度は、大型の94ウエルプレート(Nunc #267334)中の300μlの培地A中に10μlを接種した。それらのプレートを37℃で一晩インキュベートした。発現プラスミドは、37℃で発現を許容するが30℃では許容しない転写調節要素を含有した。一晩インキュベション後、培養物は、典型的には全細胞タンパク質の1〜10%でクローンタンパク質を発現した。それらの培養物から細胞を遠心分離により収得した。それらの細胞を凍結(−20℃)保存するか又は後述のようにすぐに処理した。
Figure 0005189101
抽出物ライブラリー調製2−抽出:発酵段階からの細胞ペレットを30μlの溶解緩衝液(下記第4表参照)中に再懸濁し、そして384ウエルの熱循環プレートに移す。リゾチームを含む緩衝液は細胞溶解を助けるためであり、そして2つのヌクレアーゼは抽出物からRNAとDNAの両方を除去するためであることに注意されたい。該プレートを3ラウンドの凍結−解凍(−70℃凍結、37℃解凍、各ラウンドで少なくとも15分間)にかけて細胞を溶解させた。硫酸アンモニウム(0.75M溶液の5μl)を添加し、そして余分に添加したヌクレアーゼを含む汚染タンパク質を沈澱させ不活性化するために、該プレートを75℃で15分間インキュベートした。プレートを3000×gで15分間遠心し、その上清を新しい384ウエル熱循環プレートに移した。それらの抽出物プレートを後のスクリーニングでの後の使用のために−20℃で凍結保存した。各ウエルは0.5〜3μMの変異型ライブラリーポリメラーゼ酵素を含有した。
Figure 0005189101
改善された伸長速度についての抽出物ライブラリーのスクリーニング:次の配列を有するオリゴヌクレオチド:
5’-GGGAAGGGCGATCGGTGCGGGCCTCTTCGC-3’(配列番号72)
により感作されたM13mp18一本鎖DNA(M13;GenBank受入番号 X02513)を伸長アッセイスクリーニングにおける鋳型分子として使用した。0.5〜1.0μlの抽出物を、384ウエルのPCRプレート中で0.5〜1nMの感作M13鋳型を含有する10〜20μlの反応マスター混合物に添加した。感作された鋳型の伸長は、CCDカメラを使って改良型動的熱循環器中で10〜30秒毎にモニタリングした(Watson,前掲参照)。典型的な反応マスター混合物は下記に記載する。マスター混合物は、金属イオン、通常は1〜4 mMのマグネシウム、4つのdNTPs又はdNTP類似体の混合物、pH及びイオン強度を調節するための緩衝成分、典型的には25 mM Tricine pH 8.3/35 mM KOAc、及びプライマー鎖伸長の蛍光検出に備える0.6×SYBR Green I (Molecular Probes)を常に含有した。バックグラウンド蛍光から伸長に由来する蛍光を識別するために、例えばEDTAのような金属キレート化剤を添加するか、又は反応マスター混合物からヌクレオチドを取り除くことにより、プライマー鎖伸長を防止した、並行ウエルを実験に含めた。
リボヌクレオチドの存在下で改善された核酸伸長速度を有する変異型酵素を見つけるために、リボヌクレオチドの存在下と不在下で伸長反応を実施し、そして生じた伸長速度を上述した方法を使って比較した。高レベルのリボヌクレオチド(例えば、rATPとdATPの50:50混合物)を添加すると、親の酵素G46E L329A E678G CS5の伸長速度を減少させた。リボヌクレオチドによる阻害レベルの減少を示す変異型抽出物を、このスクリーニングで同定した。数千の抽出物のスケールで一次スクリーニングを実施した。それらのうちのトップ数%を再スクリーニング用に選択した。そのトップ抽出物に相当する培養物ウエルを、新鮮な増殖培地にサンプリングしそして再増殖させて、トップ生成物の全部と、更に比較に使用するための多数の親培養物とを含有する新たな培養プレートを作製した。それらの培養プレートを次いで同じスクリーニング工程に供給し、変異体候補に関する更なるデータを得た。この二次スクリーニングラウンドの後、比較的少数の抽出物がまだ親クローンに比較して改善された伸長速度を一貫して示すことがわかった。
それらのクローンを更なる試験のために選択した。それらをまず選択寒天プレート上に画線してクローン純度を確実なものにし、次いでポリメラーゼ遺伝子の変異領域のDNA配列を配列決定して、いずれか1つのクローン中に存在していた1又は複数の変異を決定した。この実験と並行して、部分的精製後、一次抽出物を調製するのに用いたのと同様な方法で、振盪培養においてゲルベースの濃度測定により測定するのに十分な濃度に変異型酵素を生産せしめた。それらの定量した抽出物を、該スクリーニングで使用した条件であるが等しいタンパク質濃度で親酵素と比較した。この最終スクリーニングは、観察された差が単にタンパク質濃度の効果でないことを確証した。
この最終ラウンドのスクリーニング後、4つのクローンがまだリボヌクレオチドの存在下で改善された伸長速度を有するように見えた。それら4つのクローンの配列は、親株に関する次のアミノ酸変化をコードすることが決定された:
クローン1:S553T D640G D664G E830A
クローン2:S671F
クローン3:F557L I669F
クローン4:Q601R Y739C V749A
クローン2の場合、S671F変異は該クローンの唯一のアミノ酸変異であったので、該変異が観察される表現型の原因であるに違いないことは明白であった。その他の3つのクローンの場合、どの変異又は変異の組み合わせが観察される表現型の原因であるかを告げることは最初は不可能であった。従って、制限断片スワップを使って、変異体プラスミドからのDNAを親のプラスミドと結合することにより、個々の変異を互いに分離した。これは、ベクター−ユニーク制限部位が分離しようとする変異間に存在する場合には容易に行われる。クローン1の場合、そのような部位は4つの変異の全ての間に存在し、従って各変異を個別に含有するプラスミド、及び元の4変異のうちのいずれか2つもしくは3つを担持する別のプラスミドを調製することが可能であった。クローン4の場合、Y739CとV749Aの間にはそのような部位は1つもなかったが、Q601RとY739Cの間には1部位あった。従って、Q601R変異だけを担持するポリメラーゼをコードするプラスミドDNA、及びY739C/V749A組み合せを担持する別のプラスミドを調製することが可能であった。
それらの新規プラスミドを用いてE.コリ宿主を形質転換せしめ、そしてポリメラーゼタンパク質を発現させ、均質にまで精製し、そして定量した。それらの得られた新規変異酵素を、元のスクリーニングの条件下で親の酵素及び元の変異酵素と比較した。このデータから、変異D640Gだけが変異体クローン1の改善された表現型の原因であり、変異I669Fが変異体クローン3の改善の原因であり、そして変異Q601Rが変異体クローン4の改善の原因であることが明らかであった。
それらの機能的な変異を次いで互いに組合せ、そして再び制限断片スワップを使って異なるCS型バックボーン(例えば上記の第2表を参照のこと)中に移動し、所望の発現プラスミドを構築し、次いで該プラスミドをE.コリ宿主中に形質転換し、そして最後に上述した通りに変異型ポリメラーゼを発現させ、均質に精製し、そして定量した。それらの新規組合せ変異体を、リボヌクレオチドの存在下での感作されたM13 DNAを伸長する能力について試験した。興味深いのは、変異D640G,S671F及びQ601Rを組み合わせると、単変異のみを担持するクローンに比較して、伸長速度の増加を引き起こした。D640G S671F及びQ601R S671Fを含む、試験した二重組み合わせ変異体も、単変異のみを担持する株に比較して改善された伸長速度を示した。更に、組み合わせ変異体は、dNTPsだけが存在した時、親型のものに比較して、感作したM13 DNAに対する改善した伸長速度を示し、そして更に、親型に比較した改善の程度は、低い酵素濃度又は比較的高い塩濃度で伸長速度実験を行った時に最大であると観察された。それらの観察結果は、組み合わせ変異を、リボ取り込み変異E678Gを含まない遺伝子バックボーン中に移動した時にも反復された。驚くべきことに、E678G背景中であっても、個別の変異酵素及び組み合わせ変異酵素は、それらの対応するE678“親”よりもずっと“速”かった。本発明の変異型ポリメターゼのそれらの及び他の特徴を、下記に提供する実施例において更に例証する。
実施例II:様々な塩濃度の下でのG46E L329A E678G CS5 DNAポリメラーゼの変異体の特徴
G46E L329A E678G CS5 DNAポリメラーゼの様々な変異体の核酸伸長速度を、90%リボアデノシン三リン酸(リボATP又はrATP)の存在下で測定した。反応混合物は25 mM Tricine pH 8.3, 20 mM(図4)又は60 mM(図5)KOAc, 3 mM MgCl2, 2.5%v/v 保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20),1%DMSO, 1×SYBR Green I, 0.5 nM感作済M13及び5 nM酵素を含有した。これに、0.1 mM dGTP, 0.1 mM dTTP, 0.1 mM dCTP, 0.01 mM dATP及び0.09 mMリボATPの最終濃度にヌクレオチドを添加した。ヌクレオチドを含まない並行反応も設定した。全ての反応を384ウエルの熱循環器プレート中で20μl容量において4通りに実施した。64℃に設定した動的熱循環器中で蛍光により感作済M13鋳型の伸長をモニタリングし、10秒毎に読みを取った。複製の同一反応を平均化し、そしてヌクレオチド無しの並行反応を差し引いた。伸長速度は得られたデータの線形回帰分析により評価した。
上記に示したように、図4と図5は、それらの分析から得られた結果を示す。例えば、図4と5は、反応混合物中にリボヌクレオチドが存在しそしてDNA鋳型上に取り込まれた時、本明細書に記載の様々な変異体から改善された核酸伸長速度が生じることを示す。更に示すように、例えば或る変異体が単変異酵素中に組み合わされると、更に伸長速度の改善が観察される。
実施例III:変動する塩濃度の下でのG46E L329A CS5 DNAポリメラーゼの変異体の性質
G46E L329A CS5 DNAポリメラーゼ、並びにサーマス種Z05 DNAポリメラーゼ及びその切断型、ΔZ05DNAポリメラーゼ(例えばAbramson他に1995年10月3日に付与された、“MUTATED THERMOSTABLE NUCLEIC ACID POLYMERASE ENZYME FROM THERMUS SPECIES Z05”という発明の名称の米国特許題5,455,170号明細書、Abramson他に1997年10月7日に付与された“DNA ENCODING THERMOSTABLE NUCLEIC ACID POLYMERASE ENZYME FROM THERMUS SPECIES Z05”という発明の名称の米国特許題5,674,738号明細書を参照のこと)の様々な変異体の核酸伸長速度を測定した。反応混合物は、25 mM Tricine pH 8.3, 0 mM(図6)又は60 mM(図7)KOAc, 3 mM MgCl2, 2.5%v/v 保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20),1%DMSO, 1×SYBR Green I, 0.5 nM感作済M13及び5 nM酵素を含有した。これに、0.1 mM dGTP, 0.1 mM dTTP, 0.1 mM dCTP及び0.1 mM dATPの最終濃度にヌクレオチドを添加した。ヌクレオチドを含まない並行反応も設定した。全ての反応を384ウエルの熱循環器プレート中20μl容量で4通りに実施した。64℃に設定した動的熱循環器中で蛍光により感作済M13鋳型の伸長をモニタリングし、10秒毎に読み取った。複製の同一反応を平均化し、そしてヌクレオチド無しの並行反応を差し引いた。伸長速度は得られたデータの線形回帰分析により評価した。
図6と図7に示したデータは、他の性質の中でも特に、例えば本明細書中に記載の或る変異体が、リボヌクレオチドが反応混合物中に存在しない時であっても、又はリボヌクレオチド取り込み変異E678Gを含まない遺伝子背景中であっても、改善された核酸伸長速度をもたらすことを示す。更に示すように、この速度改善は、変異を単変異酵素中に組合せた時に更に大きい。
実施例IV:様々な変異型CS5 DNAポリメラーゼの伸長速度に対する塩濃度の効果
G46E L329A CS5 DNAポリメラーゼ、並びにサーマス種Z05 DNAポリメラーゼ及びその切断型、ΔZ05DNAポリメラーゼの様々な変異体の核酸伸長速度を測定した。反応混合物は、25 mM Tricine pH 8.3, 0−100 mM KOAc, 3 mM MgCl2, 2.5%v/v 保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20),1%DMSO, 1×SYBR Green I, 0.5 nM感作済M13、及び25 nM(図8)又は5 nM(図9)酵素を含有した。これに、0.1 mM dGTP, 0.1 mM dTTP, 0.1 mM dCTP及び0.1 mM dATPの最終濃度にヌクレオチドを添加した。ヌクレオチドを含まない並行反応も設定した。全ての反応を384ウエルの熱循環器プレート中20μl容量で4通りに実施した。64℃に設定した動的熱循環器中で蛍光により感作済M13鋳型の伸長をモニタリングし、10秒毎に読み取った。複製の同一反応を平均化し、そしてヌクレオチド無しの並行反応を差し引いた。伸長速度は得られたデータの線形回帰分析により評価した。
図8と図9に示したデータは、他の性質の中でも特に、例えば本明細書中に記載の或る変異体により付与される増加された核酸伸長速度が、広範囲の塩濃度及び酵素濃度に渡って維持されること、そして該変異体が完全なプルーフリーディング活性を含む遺伝的背景において伸長速度の増加を付与することを証明する。
実施例V:RT−PCRにおける様々な変異型CS5 DNAポリメラーゼの使用
Mg 2+ ベースのRT:変異Q601R,D640G及びS671Fを、個別に及び組み合わせて、Mg2+の存在下でのPCR及びRT−PCR効率に対するそれらの効果について評価した。反応混合物は全て次の成分を含んだ:50 mM Tricine pH 8.0, 2.5 mM Mg(OAc)2, 6%v/v 保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.2%Tween 20),0.2×SYBR Green I, 0.02単位/μL UNG, 各0.2 mM dATP, dCTP及びdGTP, 0.3 mM dUTP, 0.03 mM dTTP並びに200 nMの各プライマー(ここで該プライマーは3′末端に2′−アミノ−Cを含んで成る)。
酵素は、その予め決められた濃度及び最適KOAcで使用した。それらは第5表に与えられる。
Figure 0005189101
各酵素は、106コピー/50μl反応液のDNA鋳型(pAW109プラスミドDNA)及び106コピー/50μl反応液のRNA鋳型(pAW109転写産物)を用いて試験した。反応は動的熱循環器(ABI 5700熱循環器)中で行った。熱循環パラメーターは次の通りであった:50℃で2分間;65℃で45分間;93℃で1分間;次いで93℃で15秒間を40サイクル;及び65℃で30秒間。蛍光データを分析してCt値(基底線を超える蛍光の発生)を求めた(図10)。より詳しくは、図10に示したデータ(図11も参照)は、他の性質の中でも特に、本明細書に記載の単独の又は組み合わせのいずれかの変異が、対応する親の酵素又は非変異型酵素に比較して変異型酵素のMg2+−活性化逆転写活性の効率を改善することを示す。例えば、GLDS酵素は、例えば、図11に示すように、逆転写酵素に備える時間を5分に減少した時、良好に働いた(付加的に下記に言及する)。
RT時間を削減したMg 2+ −ベースのRT:変異Q601R,D640G及びS671Fを個別に又は組み合わせて、45分又は5分のRT時間を使って、Mg2+の存在下でのRT−PCR効率に対するそれらの効果について評価した。反応混合物は全て次の成分を含んだ:50 mM Tricine pH 8.0, 2.5 mM Mg(OAc)2, 6%v/v 保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.2%Tween 20),1%DMSO, 0.2×SYBR Green I, 0.02単位/μL UNG, 各0.2 mM dATP, dCTP及びdGTP, 0.3 mM dUTP, 0.03 mM dTTP並びに200 nMの各プライマー(ここで該プライマーは3′末端に2′−アミノ−Cを含んで成る)。
酵素は、その予め決められた濃度及び最適KOAcで使用した。それらは第6表及び第7表に与えられる。
Figure 0005189101
Figure 0005189101
各酵素は、106コピー/50μl反応液のRNA鋳型(pAW109プラスミド転写産物)を用いて試験した。反応は動的熱循環器(ABI 5700熱循環器)中で行った。熱循環パラメーターは次の通りであった:50℃で2分間;65℃で5分又は45分間;93℃で1分間;次いで93℃で15秒間を40サイクル;及び65℃で30秒間。蛍光データを分析してCt値(ベースラインを超える蛍光の発生)を求めた(図11)。
RT時間を削減したMn 2+ −ベースのRT:変異Q601R,D640G及びS671Fを個別に又は組み合わせて、45分又は5分のRT時間を使って、Mn2+の存在下でのRT−PCR効率に対するそれらの効果について評価した。反応混合物は全て次の成分を含んだ:50 mM Tricine pH 8.0, 1 mM Mn(OAc)2, 6%v/v 保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.2%Tween 20),1%DMSO, 0.2×SYBR Green I, 0.02単位/μL UNG, 各0.2 mM dATP, dCTP及びdGTP, 0.3 mM dUTP, 0.03 mM dTTP並びに200 nMの各プライマー(ここで該プライマーは3′末端に2′−アミノ−Cを含んで成る)。
酵素は、その予め決められた濃度/最適KOAcで使用した。それらは下の第8表及び第9表に与えられる。
Figure 0005189101
Figure 0005189101
各酵素は、105コピー/50μl反応液のRNA鋳型(pAW109転写物)を用いて試験した。反応は動的熱循環器(ABI 5700)中で行った。熱循環パラメーターは次の通りであった:50℃で2分間;65℃で5分又は45分間;93℃で1分間;次いで93℃で15秒間を40サイクル;及び65℃で30秒間。蛍光データを分析してCt値(ベースラインを超える蛍光の発生)を求めた(図12)。より詳しくは、図12に示したデータは、他の性質の中でも特に、Mn2+−活性化逆転写効率の改善が、本明細書に記載の単独の又は組み合わせのいずれかの変異に由来すること、及びこの改善が、逆転写に用意される時間を減少させると増大すること示す。
実施例VI:低レベルリボヌクレオシド三リン酸取り込みを使った断片化
時には、例えばハイブリダイゼーションアッセイにおいて生成物を分析する場合、PCR生成物を断片化することが有用である。断片化は、リボヌクレオチドがPCR生成物に取り込まれているならば、アルカリでの処理及び加熱により容易に達成することができる。そのような用途には、最適な長さの断片を得るのに比較的低レベルのリボ置換で十分であろう。長さ1kbのリボ置換PCR生成物を生成する様々な変異型DNAポリメラーゼの能力を、次の実施例で証明した。
反応混合物は100 mM Tricine pH 8.3, 75 mM KOAc, 5% v/vグリセロール, 2.5 mM Mg(OAc)2, 50 nM酵素, 0.1%v/v DMSO及び2.5%v/v 酵素保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20)から成った。dNTPとrNTPの様々な混合物を試験した。どの場合も、rATPとdATPの合計は200μMであり、dCTPとrCTPの合計及びdGTPとrGTPの合計も同じであった。dTTPとrTTPの合計は40μMであり、dUTPとrUTPの合計は360μMであった。この分析では、4種全てのrNTPsを一緒に総量の10%にまで添加し(図13AとBの“rNTPシリーズ”を参照のこと(%rNTPはゲル中の関連レーンの上側に示される))または、rATPのみを総量の50%まで添加した(図13AとBの“rATPシリーズ”を参照のこと(%rATPはゲル中の関連レーンの上側に示される)。試験した酵素は、GQDSE,CS6−GQDSE,GLQDSE,GDSE,GLDSE,GLDE,GE、及びGLとGLEの4:1混合物であった(G=G46E,L=L329A,Q=Q601R,D=D640G,S=S671F及びE=E678G)。
この反応混合物はM13鋳型からの1kb生成物を作製するために用いるプライマーを含んだ。該プライマーは各々200 nMで使用し、ここで該プライマーは3′末端に2′−アミノ−Cを含んで成る。
反応はABI 9700熱循環器中で行った。熱循環パラメーターは次の通りであった:50℃で15秒間;92℃で1分間;次いで92℃で15秒間を30サイクル;その後62℃で4分間。2%egel-48(Invitrogen)上に各レーン当たり5μLの各反応液を負荷する、アガロースゲル電気泳動により、試験した様々な条件下で全長アンプリコンを作製する能力について調べた(図13A及び13B)。より詳しくは、それらの図は、例えば、本明細書中に記載のある種の変異型酵素が、対応する並行の又は非変異型のG46E CS5R酵素よりも、高レベルで反応混合物中に存在するリボヌクレオチドで全長(1kb)アンプリコンを生成することができることを示す。例えば、GL CS5とGLEの混合物の酵素は、本実施例でアッセイしたリボヌクレオチドの最高レベルでアンプリコンを生成した。しかしGL CS5ポリメラーゼはリボヌクレオチドを取り込むことができず、それらのアンプリコンは該アンプリコン中に取り込まれた比較的低レベルのリボヌクレオチドを含んだ。
それらのアンプリコンを次の通りに断片化した:2μlのアンプリコンを0.3N NaOHと20 mM EDTA中に27.5倍希釈し、次いで98℃で10分間加熱した。2.5μlの6N HClを加えることにより、断片化したアンプリコンを中和した。達成した断片化の程度を決定するために、アンプリコンの内部断片のコピー数を、UNG無しの定量的PCRを使って、断片化前と後で比較した。断片化のために観察されるサイクル遅延は、断片化の程度(及びヌクレオチド取り込み)の指標である。増加されたリボヌクレオチド取り込みは、増加されたCt遅延を引き起こす。この増幅用の反応混合物は100 mM Tricine pH 8.3, 50 mM kOAc, 5% v/vグリセロール, 2.5 mM Mg(OAc)2, 20 nM GQDS, 0.5%DMSO, 0.1×SYBR Green I, 2.5%v/v 酵素保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20), 200μMの各dCTP、dGTP及びdATP,360μM dUTP並びに40μM dTTPから成った。この反応混合物を用いて、断片化されたアンプリコンと断片化されていないアンプリコンから340 bp生成物を作製し、次いでそれらの鋳型を断片化に使用した希釈液から更に10,000倍希釈した。プライマー配列は各々200 nMで使用し、ここで該プライマーは3′末端に2′−アミノ−Cを含んで成る。
反応は384ウエルプレート中、動的熱循環器中で反応当たり20μlにおいて実施した。熱循環パラメーターは次の通りであった:50℃で15秒間;92℃で1分間;次いで92℃で15秒間を46サイクル;その後で62℃で1分間の伸長段階。閾値Ctを測定し、対応する断片化Ctと未断片化Ctを比較し、試験した各酵素/rNTP条件についてデルタCtを作製した。この例では、取り込まれたNTPの量(dNTPsの存在下でNTPsを取り込む改善された能力を反映する)が大きければ大きいほど、デルタCtが大きくなるか又はアルカリ誘導される断片化の後のCt遅延が大きくなるであろう。それらは図14Aと14Bに示される。該データは、例えば、本発明の変異型酵素が、リボヌクレオチド置換の程度が増加されているPCR生成物を作製するという点でATP又はNTPの取り込みで優れていることを示す。例示した酵素の全てを親の混合“物GL/GLE”と又は“C5R”と比較した。増加した断片化は、増加したリボヌクレオチド取り込み、及びデオキシヌクレオチドの存在下で限定濃度のリボヌクレオチドを取り込む能力の改善に由来する。
ハイブリダイゼーションアッセイは、検出しようとする分子へのビオチンの結合を頻繁に必要とする。従って、それはPCR生成物中へのビオチンの取り込みに有用である。ビオチンがリボヌクレオチドに結合されれば、各断片(別のプライマーに通常相補的であり、従って無益である、3′最遠位断片を除く)は単一のビオチン成分を担持し、それが各断片による等しいシグナル生成をもたらすだろう。
ビオチンに連結したリボヌクレオチドをPCR生成物中に取り込む様々な酵素の能力を、後述するように測定した。反応混合物は、100 mM Tricine pH 8.3, 75 mM KOAc, 5% v/vグリセロール, 2.5 mM Mg(OAc)2, 50 nM 酵素, 0.1%DMSO, 2.5%v/v 酵素保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20), 200μMの各dCTP+類似体、dGTP及びdATP,360μM dUTP並びに40μM dTTPから成った。合計の40%までのrCTP又は合計の50%までのビオチン−LC−rCTPを試験した。試験した酵素(CS5ポリメラーゼ)はGE,GQDSE,GDSE及びGLとGLEの4:1混合物であった(G=G46E,L=L329A,Q=Q601R,D=D640G,S=S671F及びE=E678G)。
反応混合物を用いて、各々200 nMの2′−アミノ−Cを含んで成るプライマー配列を使って、M13鋳型から1kb生成物を作製した。M13 DNAは50μl反応溶液当たり5×105コピーに添加した。反応はABI 9700熱循環器中で行った。熱循環パラメーターは次の通りであった:50℃で15秒間;92℃で1分間;次いで92℃で15秒間を30サイクル;その後62℃で4分間の伸長段階。試験した様々な条件下で全長アンプリコンを作製する能力を、2%egel-48(Invitrogen)上に各レーン当たり5μLの各反応液を負荷する、アガロースゲル電気泳動により調べた(図15A及び15B)。より詳しくは、図15AとBは、例えば、変異型GQDSE及びGDSEが両方とも、対応する親の又は非変異型のG46E CS5R酵素が可能であるよりも、より高レベルのrCTP及びビオチン化rCTPにおいてアンプリコンを生成することができることを示す。更にGL/GLE混合物はアンプリコンを生成できるが、このアンプリコンは、GL酵素がそれらの化合物を取り込むことができないため、低レベルのrCTP又はビオチン化rCTP取り込みのいずれかを有するだろう。
これらのアンプリコンを次いで次の通りに断片化した:2μlのアンプリコンを0.3N NaOHと20 mM EDTA中に27.5倍希釈し、次いで98℃で10分間加熱した。2.5μlの6N HClを加えることにより、断片化したアンプリコンを中和した。達成した断片化の程度を決定するために、アンプリコンの内部断片のコピー数を、UNG無しの定量的PCRを使って断片化前と後で比較した。断片化のために観察されるサイクル遅延は、断片化の程度(及びヌクレオチド取り込み)の指標である。よって、増加されたリボヌクレオチド取り込みは増加されたCt遅延を引き起こす。この増幅用の反応混合物は100 mM Tricine pH 8.3, 50 mM KOAc, 5% v/vグリセロール, 2.5 mM Mg(OAc)2, 20 nM GQDS, 0.5%DMSO, 0.1×SYBR Green I, 2.5%v/v 酵素保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20), 200μMの各dCTP、dGTP及びdATP,360μM dUTP並びに40μM dTTPから成った。この反応混合物を用いて、断片化されたアンプリコンと断片化されていないアンプリコンから340 bp生成物を作製し、次いでそれらの鋳型を断片化に使用した希釈液から更に10,000倍希釈した。プライマー配列は各々200 nMで使用し、ここで該プライマーは3′末端に2′−アミノ−Cを含んで成る。
反応は384ウエルプレート中、動的熱循環器中で反応当たり20μlにおいて実施した。熱循環パラメーターは次の通りであった:50℃で15秒間;92℃で1分間;次いで92℃で15秒間を46サイクル;その後で62℃で1分間の伸長段階。閾値Ctを測定し、対応する断片化又は未断片化Ctsを比較し、試験した各酵素/rNTP条件についてデルタCtを作製した。それらを図16Aと16Bに示す。より詳しくは、図16Aと16Bは、例えば、変異型酵素は対応する親酵素よりも高いレベルのリボヌクレオチド取り込みを有するアプリコンを生成することができるため、rCTP又はビオチン化rCTPのいずれかを使った時に変異型酵素により断片化の程度の増加が達成されることを示す。
実施例VII:加ピロリン酸分解活性化重合
加ピロリン酸分解活性化重合(“PAP”)を行うG46E L329A E678G CS5 DNAポリメラーゼとG46E L329A D640G S671F E678G CS5 DNAポリメーゼの能力を比較した。反応緩衝液は100 mM Tricine pH 8.0, 2.5〜50 mM G46E L329A E678G CS5 DNAポリメラーゼ又は2.5〜50 mM G46E L329A D640G S671F E678G CS5 DNAポリメラーゼ, 50 nM KOAc, 10% v/vグリセロール, 0.04U/μl UNG, 4 mM Mg(OAc)2, 1%DMSO, 0.2×SYBR Green I, 2.5%v/v 酵素保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20), 0.2 mMの各dATP, dCTP, dGTP,0.4 mM dUTP並びに100μM ピロリン酸から成った。M13鋳型と酵素は相互滴定した。使用したM13濃度は、20μl反応容量当たり0,104,105及び106コピーであった。使用した酵素濃度は2.5 nM, 5 nM, 10 nM, 15 nM, 20 nM, 25 nM, 35 nM及び50 nMであった。反応は384ウエルの熱循環器中で、次の循環パラメーターを使って三通りで実施した:50℃で2分間;90℃で1間;次いで90℃で15秒間を46サイクル;その後で62℃で60秒間の伸長温度。
プライマーの一方は3′末端に2′−アミノ−Cを含み、他方のプライマーは3′末端に2′−PO4−A(即ち2′−停止ヌクレオチド)を含んだ。それらのプライマーは、各々0.1μMで反応混合物に添加すると、M13鋳型から348 bp生成物をもたらすだろう。しかしながら、第二プライマーの3′末端のところの2′−PO4−A残基が停止剤として効率的に働く。プライマーとして働くためには、末端残基の加ピロリン酸分解的除去によりそれが活性されなければならない。
蛍光データを分析してエルボー値(C(t))値(ベースラインを超える蛍光の発生)を求めた。G46E L329A E678G CS5 DNAポリメラーゼについてのC(t)値を図17に示す。G46E L329A D640G S671F E678G CS5 DNAポリメーゼについてのC(t)値を図18に示す。更に、図17と18は、例えば、変異型酵素が、対応する非変異型又は親酵素よりも、低い酵素濃度でより効率的なPAP−PCRをもたらすことを示す。ゲル分析により、この実施例の鋳型なしの反応でのアンプリコンは、周囲のM13に起因する特異的生成物であった。
実施例VIII:サーマス種Z05 DNAポリメラーゼの伸長速度に対する特定変異の効果
実施例Iに記載したスクリーニングにより単離された数個の変異を、サーマス種Z05 DNAポリメラーゼ(例えば、Abramson他に1995年10月3日に付与された“MUTATED THERMOSTABLE NUCLEIC ACID POLYMERASE ENZYME FROM THERMUS SPECIES Z05”という発明の名称の米国特許第5,455,170号明細書、及びAbramson他に1997年10月7日に付与された“DNA ENCODING THERMOSTABLE NUCLEIC ACID POLYMERASE ENZYME FROM THERMUS SPECIES Z05”という発明の名称の米国特許第5,674,738号明細書を参照のこと)中に移入した。第一に、該変異に相当するアミノ酸位置を、図1に示される整列を使って決定した。それらを次のように命名した:“Q”=T541R;“D”=D580G;及び“S”=A610F。それらの変異を、重複伸長PCRとして知られる方法(例えばHiguchi,R., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innis, Gelfand, Sninsky & White編、Academic Press, 1990, 及びSilver他、“Site-specific Mutagenesis Using the Polymerase Chain Reaction”, PCR Strategies中、Innis, Gelfand & Sninsky編, Academic Press, 1995を参照)を使うことにより、Z05 DNAポリメラーゼをコードするプラスミド中に導入した。この方法では、1つは変異誘発しようとする部位の上流そしてもう1つはその下流で、2つのアンプリコンを作製し、ここで各反応のプライマーの1つの中に変異が導入される。次いでそれらの増幅生成物を結合し、そして外側の非変異誘発プライマーを使って再増幅せしめた。生じたアンプリコンは導入された変異を含み、ベクターユニーク制限部位を包含するようにデザインされ、次いでそれを用いてベクタープラスミドDNA中に該アンプリコンをクローニングした。生じたクローンからの所望の変異の選択を促進するために、必要ならば診断用制限部位を変異誘発プライマー中に導入してもよい。それは変異型と野生型クローンの混合物を含んでもよい。この手順は、低信頼性PCRにより引き起こされる望ましくない変異を導入する可能性があるので、生じたクローンを配列決定して、望ましい変異だけが作製されたことを確かめることが必要である。一端変異が確認されたら、上述したような制限断片スワップにより、それらを互いに又は予め単離されたE683R変異(ES112)(Smithらにより2001年3月30日に出願された“High temperature reverse transcription using mutant DNA polymerases”という発明の名称の米国特許出願第20020012970号明細書を参照のこと)と組み合わせた。
こうして作製された発現プラスミドを使って、実施例Iに記載したように、様々な変異体の精製タンパク質を生産させた。次いで様々な変異体の核酸伸長速度を測定した。反応混合物は、25 mM Tricine pH 8.3, 100 mM KOAc, 3 mM MgCl2, 2.5%v/v 酵素保存緩衝液(50% v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20), 1%DMSO, 1×SYBR Green I, 0.5 nM感作M13、及び5 nM酵素を含有した。これに、0.1 mM dGTP, 0.1 mM dTTP, 0.1 mM dCTP、及び0.1 mM dATPの最終濃度にヌクレオチドを添加した。ヌクレオチドを含まない並行反応も設定した。全ての反応は384ウエル熱循環器プレート中で20μlの容量において4通りに実施した。感作されたM13鋳型の伸長を、64℃に設定した動的熱循環器中で蛍光によりモニタリングし、10秒毎に読み取った。同一反応を平均化し、そしてヌクレオチド不含有の並行反応を差し引いた。得られたデータの線形回帰分析により伸長速度(図19参照)を推定した。このデータは、或る場合に本明細書に記載の変異が、非キメラサーマスDNAポリメラーゼに関連しても有益な効果をもたらすことを示す。
実施例IX:HIV DNA鋳型滴定
ゲノムDNAの存在下又は不在下でPAP関連HIV DNA鋳型滴定を実施した。図20は、この分析に使用した変動する反応条件下でのPCR生成物の検出を示すゲルの写真である。このデータは、例えば、それらのプライマーを使用しない反応に比較して、本明細書に記載のブロックされたプライマーを使って達成できる、改善された増幅特異性及び感度を示す。
より詳しくは、反応は次の温度一覧表に関し、ABI 5700配列検出系を使って実施した。
50℃で2分
93℃で1分
93℃で15秒→52℃で4分×4サイクル
90℃で15秒→55℃で4分×56サイクル
次の反応条件が全反応に共通であった:
Figure 0005189101
“GLQDSE CS5 DNAポリメラーゼ”は、G46E L329A Q601R D640G S671F E678G CS5 DNAポリメラーゼを指すことに注意。更に、“Tth保存緩衝液”は、0.2%Tween 20,20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 100 mM KCl, 1 mM DTT及び50% v/vグリセロールを含むことに注意。加えて、各反応容量はジエチルピロカルボン酸(DEPC)処理した水で50μLに調整した。
変動する反応成分は、ブロックされないプライマー(例えば、図20中の“ブロックされないプライマー”と指定した反応を参照のこと)及び2′−リン酸−U(即ち2′位にリン酸基を含む2′−停止剤ヌクレオチド、図20中の“ブロックしたプライマー”と指定した反応を参照のこと)を包含した。反応は、更に該混合物に添加された25 ngのヒトゲノムDNAを含有する(図20中の“25 ng ゲノムDNA”と記載した反応を参照のこと)か又は欠いている(図20中の“クリーン標的”と記載した反応を参照のこと)のいずれかであった。図20中に更に示すように、反応は、1μlのHIV検体希釈液(10 mM Tris, 0.1 mM EDTA, 20μg/mLポリA及び0.09%NaN3)又は“Neg”反応では1μlのHIV検体希釈液中に希釈された、標的核酸を含有する105,104,103、102又は101コピーの線状化プラスミドDNAも包含した。指摘したプライマー対はプラスミドDNAから170塩基対の生成物を増幅せしめた。
実施例X:野生型K−rasプラスミド鋳型の背景中の変異型K−rasプラスミド鋳型の増幅
野生型K−rasプラスミドの背景中の様々なコピー数の変異型K−rasプラスミド鋳型、並びに比較用のブロックされた又はブロックされないプライマーを使用する増幅を実施した。図21は、それらの反応に使用した様々な変異型K−rasプラスミド鋳型コピー数(x軸)について観察された閾値サイクル(CT)値(y軸)を示すグラフである。図21は更に、例えば、本明細書に記載のブロックされたプライマーを使って達成することができる改善された識別を示す。
反応は次の温度一覧表に関し、ABI 5700配列検出系を使って実施した。
50℃で2分
93℃で1分
92℃で15秒→65℃で2分×60サイクル
次の反応条件が全反応に共通であった:
Figure 0005189101
“GDSE CS5 DNAポリメラーゼ”は、G46E D640G S671F E678G CS5 DNAポリメラーゼを指すことに注意。加えて、各反応容量はDEPC処理水で50μLに調整した。
変動する反応成分は、ブロックされないプライマー(例えば、図21中の“ブロックされないプライマー”と指定した反応を参照のこと)及び2′−リン酸−C又は2′−リン酸−A(即ち2′位にリン酸基を含む2′−停止剤ヌクレオチド)を包含する。加えて、106,105,104,103,102,101又は0コピー(NTC反応)(図21中のそれぞれ10e6c, 10e5c, 10e4c, 10e3c, 10e2c, 10e1c及びNTC)の線状化された変異型K−rasプラスミドDNAを反応液に添加した。変異型プラスミドDNAの関連する部分配列は、ブロックしたプライマーとブロックされないプライマーセットの両方に完全に一致した。更に、変異型K−rasプラスミドDNAを1μlのHIV検体希釈剤(上記参照)又は“NTC”反応では1μlのHIV検体希釈剤中に希釈した。更に、106コピーの線状化野生型K−rasプラスミドDNAが全ての反応液に存在した。野生型K−rasプラスミドDNAは、それがプライマー5及び7中の最後の3′塩基(dC)とC:C不正対合を形成すること以外は、変異型プラスミドDNAに配列が同一であった。ブロックされたプライマー対とブロックされないプライマー対は、共に変異型線状化プラスミド鋳型上に92塩基対のアンプリコンを形成した。
実施例XI:変動する濃度での様々な酵素によるK−rasプラスミド鋳型の増幅
変動する濃度での様々な酵素によるK−rasプラスミド鋳型を含む増幅を実施した。図22は、それらの反応に使用した様々な酵素及び酵素濃度(x軸)について観察された閾値サイクル(CT)値(y軸)を示すグラフである。それらのデータは、例えば、本明細書中に記載のある種の酵素を使って達成することができる改善されたPAP増幅効率を示す。
反応は次の温度一覧に関し、ABI 5700配列検出系を使って実施した。
50℃で2分
93℃で1分
92℃で15秒→60℃で2分×60サイクル
次の反応条件が全反応に共通であった:
Figure 0005189101
反応成分は2′−リン酸−U又は2′−リン酸−A(即ち、2′位にリン酸基を含有する2′−停止剤ヌクレオチド)でブロックされたプライマーを含んだ。該プライマー対は、線状化K−rasプラスミド鋳型上に92塩基対のアンプリコンを構築した。加えて、各反応容量は、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水により50μlに調整した。
ポリメラーゼ濃度及びKOAc濃度は、次のように各個々のポリメラーゼに対して最適化された。
Figure 0005189101
“GLQDSE”はG46E L329A Q601R D640G S671F E678G CS5 DNAポリメラーゼを指し、“GLDSE”はG46E L329A D640G S671F E678G CS5 DNAポリメラーゼを指し、そして“GLE”はG46E L329A E678G CS5 DNAポリメラーゼを指すことに注意。
実施例XII:未ブロックの及びブロックされたRTプライマーを比較するC型肝炎ウイルス(HCV)RNAのcDNAへの逆転写(RT)
ブロックされないHCV RTプライマーの伸長を、HCV RNA鋳型における逆転写反応においてブロックされたプライマーの伸長と比較した。それらのRT比較は様々なポリメラーゼを使って実施した。要約すると、図23は、それらの反応に使った様々な酵素(x軸)について観察された閾値サイクル(Ct)値(y軸)を示すグラフであり、ここで5′−ヌクレアーゼプローブを使用するリアルタイムPCRを使って、cDNAを測定した。
次の反応条件が全RT反応に共通であった:
Figure 0005189101
変動する反応成分は、3′−OH未ブロックプライマー(図23中の“3′OHプライマー(未ブロック)”と指定された反応を参照)と2′−リン酸−A又は2′−モノリン酸−3′−ヒドロキシルアデノシンヌクレオチド(即ち2′位にリン酸基を含んで成る2′停止剤ヌクレオチド、図23中の“2′PO4(ブロックされた)”を参照のこと)を含んだ。更に、次のポリメラーゼ条件をcDNA反応において比較した(図23参照):
Z05 DNAポリメラーゼ(13 nM)
GLQDS CS5 DNAポリメラーゼ(25 nM)と組み合わされたGLQDSE CS5 DNAポリメラーゼ(100 nM)
GLQDS CS5 DNAポリメラーゼ(50 nM)と組み合わされたGLQDSE CS5 DNAポリメラーゼ(50 nM)
ここで“GLQDSE CS5 DNAポリメラーゼ”とは、G46E L329A Q601R D640G S671F E678G CS5 DNAポリメラーゼのことを指して言い、そして“GLQDS CS5 DNAポリメラーゼ”とはG46E L329A Q601R D640G S671F CS5 DNAポリメラーゼのことを指して言う。加えて、各反応液はジエチルピロカルボン酸(DEPC)処理水で20μlに調整した。
RT反応液をABI 9600熱循環器中で60℃にて60分間インキュベートした。RTインキュベーション後、RT反応液をDEPC処理水で100倍希釈した。RT反応のHCV cDNA生成物を特異的に測定するように企画された5′ヌクレアーゼプローブベースのリアルタイムHCV PCR反応により、cDNAの存在を確認しそして定量した。それらの反応は、次の温度一覧に関し、ABI Prism 7700配列検出器を使って実施した:
50℃ 2分
95℃ 15秒→60℃ 1分×50サイクル。
実施例XIII:BRAF変異の検出のための双方向PAP
図24は、双方向PAPを実施した時に生成したBRAF腫瘍遺伝子増幅のPCR増殖曲線を示す。x軸は標準化された蓄積蛍光を示し、そしてy軸はPAP PCR増幅のサイクルを示す。より詳しくは、それらのデータは、BRAF腫瘍遺伝子(Brose他(2002) Cancer Res. 62:6997-7000を参照のこと)中のV599Eコドン変化の原因であるT→A変異の変異特異的増幅を、該変異の正確な位置の所でそれらの3′末端ヌクレオチドと重複する、2′位が停止剤でブロックされたプライマーを使って実施した時に得られた。野生型配列に特異的なプライマーを野生型標的又は変異型標的と反応させた時、野生型標的のみが検出された。逆に、変異型配列に特異的なプライマーを野生型標的又は変異型標的と反応させた時、変異型標的のみが検出された。
次の反応条件が全RT反応に共通であった:
Figure 0005189101
ここで“GLQDSE”は、G46E L329A Q601R D640G S671F E678G CS5 DNAポリメラーゼを指す。
変動する反応成分は、2′−リン酸−A、2′−モノリン酸−3′−ヒドロキシルアデノシンヌクレオチド、2′−リン酸−U又は2′−モノリン酸−3′−ヒドロキシルウリジンヌクレオチド(即ち、2′位にリン酸基を含んで成る2′−停止剤ヌクレオチド、図24中で“F5W/R5W”と表示したもの)によりブロックされた野生型BRAFプライマーを含んだ。
加えて、各反応液はDEPC処理水で50μLに調整した。野生型反応液(図24中“WT”と表示)はBRAF野生型配列の線状化DNAプラスミドを含み、そして変異型反応液(図24中“MT”と表示)はBRAF変異型配列の線状化DNAプラスミドを含んだ。負の反応液(図24中“NEG”と表示)は、DNAを含まないHIV検体希釈剤(10 mM Tris, 0.1 mM EDTA, 20μg/mLのポリA及び0.09%NaN3)を含んだ。PCR中での該プライマーの組み合わせは50 bpアンプリコンを生成した。更に、該反応は次の温度一覧表に関して、ABI 7700配列検出器を使って実施した:
50℃で1分
93℃で1分
90℃で15秒
60℃で150秒→×60サイクル。
実施例XIV:蛍光PAP放出生成物の検出
この机上の実施例は、ブロックされたプライマーが活性化されそして伸長されると検出可能なシグナルの生成をもたらすという、PAP活性化を伴うリアルタイムモニタリングプロトコルを例証する。
3′停止で二重標識されたオリゴヌクレオチドプライマーの作製
下記のプライマーQXは、3′末端から13番目のヌクレオチド(A)に結合された消光性色素分子Black Hole Quencher(登録商標)(BHQ)(Biosearch Technologies, Inc.)を含むDNAオリゴヌクレオチドである。
QXのオリゴヌクレオチドプライマーを溶液状態で、ハイブリッド二重鎖を形成するような相補的オリゴヌクレオチドR1(下記参照)と混合する。この二重鎖を、特にフルオレセイン標識デオキシリボアデニン四リン酸(即ち、フルオレセイン標識2′−停止剤ヌクレオチド)及びそのような標的四リン酸を取り込むことができるDNAポリメラーゼを含む、下記に提供される第10表中の試薬と更に混合する。2004年6月28日に出願の“SYNTHESIS AND COMPOSITIONS OF 2’-TERMINATOR NUCLEOTIDES”という発明の名称の米国特許出願第10/879,494号明細書、及び2004年6月28日に出願の“2’-TERMINATOR NUCLEOTIDE-RELATED METHODS AND SYSTEMS”という発明の名称の米国特許出願第10/879,493号明細書を参照のこと。60℃の温度で例えば1時間の該混合物のインキュベーションは、配列QXの3′末端を、鋳型指令の方法で1ヌクレオチドだけ伸長させることができ、これはフルオレセイン標識デオキシリボアデニン2′−リン酸ヌクレオチドによりそれらの3′末端が伸長されているQXオリゴヌクレオチドの少なくとも1部分をもたらし、それは下記ではプライマーQXFAMと表わされる。
Figure 0005189101
新たに伸長されたプライマーQXFAMは、当業者に既知の任意の数の精製方法を使って上記混合物から精製される。混合物からプライマーQXFAMを精製することができるそのような方法の一例は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)である。HPLC精製パラメーターは、プライマーQXFAMの調製物が、伸長されないプライマーQXとフルオレセイン標識アデニン四リン酸を実質的に含有しないように選択される。二元HPLC(逆相とアニオン交換HPLC)はそのような分子を精製する方法として知られている。
一旦精製されれば、BHQ消光分子とフルオレセイン分子を同一オリゴヌクレオチド上に含有するプライマーQXFAMのような分子は、通常、BHQ2「消光(quencher)」分子によるエネルギー吸収のため、抑制されたフルオレセインシグナルを示す。
場合により、プライマーQXFAMは、例えば米国特許公報No. 2007/0219361中に記載されるように化学的に合成される。
本実施例で言及される配列は次の通りである:
プライマーQX: 5’-GCAAGCACCCTATCAQGGCAGTACCACA-3’(配列番号73)
(ここでQはBHQ分子の存在を表す)
R1: 3’-PCGTTCGTGGGATAGTCCGTCATGGTGTT-5’(配列番号74)
(ここでPは3′リン酸を表す)
プライマーQXFAM: 5’-GCAAGCACCCTATCAQGGCAGTACCACAF-3’(配列番号75)
(ここでQはBHQ分子の存在を表し、そしてFはフルオレセイン標識2′リン酸アデニンを表す)
プライマーHC2: 5’-GCAGAAAGCGTCTAGCCATGGCTTA-3’(配列番号76)。
PCRにおける該プライマーの使用
上述したプライマーQXFAMを第11表中の試薬と組み合わせる。
Figure 0005189101
加えて、各反応液をDEPC処理水で50μlに調整した。幾つかの反応はPCR増幅のための基質として働く標的配列を含み、他のものは標的を含まない。例えば、標的はHCVゲノムの5′UTR領域に等しいDNA配列であることができる。PCRでのそれらのプライマーの組み合わせは、約244 bpアンプリコンを生成すると期待される。
反応は次の温度一覧表に関し、ABI Prism 7700配列検出器を使って実施することができる:
50℃で1分
93℃で1分
90℃で15秒
60℃で150秒→×60サイクル
そのようなPCRを進行させるには、フルオレセイン停止プライマーQXFAMのPAP活性化が必要であり、そしてフルオレセイン標識デオキシアデニン四リン酸分子の放出をもたらすであろう。そのような放出は、約520 nm波長での蛍光シグナルの増加を引き起こすと期待される。約520 nm波長でのシグナルのモニタリングを使って、標的を含まない反応においては全く蛍光の増加を観察することなく、標的核酸を含有するそれらの反応においては蛍光の増加を観察できるだろう。
実施例XV:Z05 DNAポリメラーゼの伸長速度に対するD580K,D580L,D580R及びD580T変異の効果
Z05 DNAポリメラーゼの核酸伸長速度に対するD580位での様々な置換の効果を調べた。まず、重複PCR技術を使って、Z05 DNAポリメラーゼ中に変異を作製し、そして前に記載した通りに変異型酵素を精製しそして定量した。感作したM13(一本鎖DNA)鋳型に対する伸長速度を、金属補因子としてMg2+とMn2+の両方を使って、上記実施例IIとその他のどこかに記載のようにしてSYBR Green I蛍光の増加をモニタリングすることにより測定した。この実施例では、反応混合物は50 mM Tricine pH 8.3, 40 mM KOAc, 1 mM Mn(OAc)2又は2.5 mM Mg(OAc)2, 1.25%v/v 保存緩衝液(50%v/v グリセロール, 100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.5%Tween 20), 1%DMSO, 0.6×SYBR Green I, 1.0 nM感作M13及び/又は5 nM酵素を含有した。これに、0.2 mM dGTP, 0.2 mM dTTP, 0.2 mM dCTP及び0.2 mM dATPの最終濃度になるようにヌクレオチドを添加した。ヌクレオチドを全く含まない並行実験も設定した。全ての反応は384ウエルの熱循環器プレート中で20μlの容量で4通りに行った。感作したM13鋳型の伸長を、64℃に設定した動的熱循環器中で蛍光をモニタリングし、それを15秒毎に読み取った。複製の同一反応を平均化し、ヌクレオチド無しの並行反応を差し引いた。伸長速度は、得られたデータの線形回帰分析により推定した。結果を下の第12表に示す。
Figure 0005189101
データは、Z05 DNAポリメラーゼの580位の5種類のアミノ酸置換全てが、試験した条件下でより迅速な伸長速度をもたらした。
実施例XVI:RT−PCRにおける様々な変異型Z05 DNAポリメラーゼの使用
Mn 2+ ベースのRT:変異D580G,D580K及びD580Rを、Mn2+の存在下でのRT−PCR効率に対する効果について評価した。反応液は全て次の成分を含んだ:55 mM Tricine pH 8.3, 4%v/v グリセロール, 5%v/v DMSO, 110 mM KOAc, 2.7 mM Mn(OAc)2, 3.6%v/v保存緩衝液(50%v/v グリセロール,100 mM KCl, 20 mM Tris pH 8.0, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 0.2%Tween 20),0.04単位/μlのUNG, 0.45 mMの各dATP, dCTP, dUTP, dGTP; 750 nMの各プライマー(ここで各プライマーは、3′末端にt−ブチルベンジルdAを含んで成る)、及びシクロヘキシル−FAM、ブラックホール消光剤(BHQ-2)、3′−リン酸、で標識された150 nMのTaqManプローブ。一緒になってそれらの2つのプライマーはHCV−1B転写物上に241 bpアンプリコンを生成する。105コピーのRNA転写物HCV−1Bを各100μl反応液に添加した。
転写物を含まない並行反応も設定した。各酵素を27 nMの最終濃度に添加した。反応はRoche LC480動的熱循環器中で行った。熱循環条件は、50℃で5分(“UNG”段階);66℃で2,5又は30分(“RT”段階);95℃で15秒に次いで58℃で50秒を2サイクル;及び91℃で15秒に次いで58℃で50秒を50サイクル。
第13表は、TaqManプローブの開裂によるFAMシグナル増加から得られたCt値を示す。
Figure 0005189101
この結果は、D580位におけるそれらの3つの変異が、同等のRT効率を維持しながら、ずっと短いRT時間にするという効果があることを示す。
Mg 2+ ベースのRT:変異D580GとD580Kを、Mg2+の存在下でRT−PCRを果たす能力についてES112(Z05 E683R)と比較した。親酵素のZ05 DNAポリメラーゼは、ES112に比較して大幅に遅延したCt値でMg2+ベースのRT−PCRを実施することが知られているので、この実験では再試験しなかった。使用した条件は、KOAcが50 mMに変更され、Mn(OAc)2が2 mM Mg(OAc)2に置換され、そして酵素濃度が10 nMに減少されたことを除いて、すぐ上に記載したものと同一であった。熱循環条件は、30分RT時間のみを試験したことを除いて同一であった。
第14表は、TaqManプローブの開裂によるFAMシグナル増加から得られたCt値を示す:
Figure 0005189101
この結果は、D580G変異体がES112とほぼ同じ効率でMg2+ベースのRT−PCRを果たすこと、そしてD580変異体が、それらの条件下でずっと高いRT効率の指標である、有意に早いCt値をもたらすことを示す。
本明細書中に記載の実施例及び実施態様は例示目的のものであり、それの様々な変更又は軽微な変化は、当業者に示唆されるだろうし、且つ本願の精神及び範囲並びに添付の請求の範囲内に含めることができることは理解されよう。

Claims (12)

  1. ポリメラーゼドメイン中に少なくとも次のモチーフ:
    T−G−R−L−S−S−Xb7−Xb8−P−N−L−Q−N(配列番号32)
    (ここでXb7はS又はTから選択されたアミノ酸であり
    b8はG,T,R,K又はLから選択されたアミノ酸であり;そして
    当該DNAポリメラーゼが次のもの:
    (a) CS5 DNAポリメラーゼ(配列番号18);
    (b) CS6 DNAポリメラーゼ(配列番号19);
    (c) サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)DNAポリメラーゼ;
    (d) サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼ;
    (e) サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)DNAポリメラーゼ;
    (f) サーマス・フラブス(Thermus flavus)DNAポリメラーゼ;
    (g) サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)DNAポリメラーゼ;
    (h) サーマス種sps17 DNAポリメラーゼ;
    (i) サーマス種Z05 DNAポリメラーゼ;
    (j) サーモトガ・ネオポリタナ(Thermotoga neopolitana)DNAポリメラーゼ;
    (k) サーモトガ・アフリカヌス(Thermotoga africanus)DNAポリメラーゼ;及び
    (l) サーマス・カルドフィルス(Thermus caldophilus)DNAポリメラーゼ
    から成る群より選択されたポリメラーゼに対して少なくとも95%の配列同一性を有する
    を含んで成るDNAポリメラーゼであって、
    b8がD,E又はNから選択されたアミノ酸である別の同等のDNAポリメラーゼに比較して、改善された核酸伸長速度及び/又は改善された逆転写効率を有する、DNAポリメラーゼ。
  2. b8がG又はKから選択されたアミノ酸である、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  3. 前記DNAポリメラーゼがCS5 DNAポリメラーゼ(配列番号18)又はCS6 DNAポリメラーゼ(配列番号19)であり、そして640位のアミノ酸がG,T,R,K及びLから成る群より選択される、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  4. 前記DNAポリメラーゼがサーマス種Z05 DNAポリメラーゼであり、そして580位のアミノ酸がG,T,R,K及びLから成る群より選択される、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  5. 前記ポリメラーゼがキメラポリメラーゼであって、配列番号18のCS5 DNAポリメラーゼ又は配列番号19のCS6 DNAポリメラーゼに対して少なくとも95%の配列同一性を有するキメラポリメラーゼを含んで成る、請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  6. 請求項1に記載のDNAポリメラーゼをコードする組換え核酸。
  7. 請求項6に記載の組換え核酸を含んで成る発現ベクター。
  8. 請求項7に記載の発現ベクターを含んで成る宿主細胞。
  9. DNAポリメラーゼを生産する方法であって、該DNAポリメラーゼをコードする核酸の発現に適当な条件下で請求項8に記載の宿主細胞を培養することを含んで成る方法。
  10. プライマー伸長を実施する方法であって、プライマーの伸長に適当な条件下で、請求項1に記載のDNAポリメラーゼをプライマー、ポリヌクレオチド鋳型、及び遊離ヌクレオチドと接触させ、それにより伸長したプライマーを生成することを含んで成る方法。
  11. 伸長したプライマーを作製するためのキットであって、請求項1に記載のDNAポリメラーゼを提供する少なくとも1つの容器を含んで成るキット。
  12. 請求項1に記載のDNAポリメラーゼ、少なくとも1つのプライマー、ポリヌクレオチド鋳型及び遊離ヌクレオチドを含んで成る反応混合物。
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