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JP5183201B2 - 羊水を分析するための方法および装置 - Google Patents

羊水を分析するための方法および装置 Download PDF

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Description

本出願は、2003年8月21日に出願された米国特許仮出願第60/496,884号の優先権を主張し、その内容を参照によって援用する。
本出願に記載され主張された本発明は、米国連邦政府またはその機関の資金援助を受けた研究に基づくものではなく、米国政府は本特許出願に対する権利を持たない。
本発明は、胎児の健康または胎児の健康状態に発症するリスクを判断するための方法および装置に関する。本発明はまた、母体の健康を監視するための方法および装置に関する。本発明はさらに、1つまたはそれ以上の生物学的マーカーを判断するように、羊水を分析するための方法および装置に関する。
胎児の出生時体重の評価は、出生前管理の重要な部分を占めている。したがって、分娩前に胎児の体重を正確に早期判断することよって、出生前管理の結果を顕著に改善することができる。したがって、特に(1)巨人症(不当重量児(LGA)ともいう)または(2)不当軽量児(SGA)または子宮内発育遅延(IUGR)、という2つの極例のいずれかのリスクを乳児が持つ場合、子宮内での胎児の体重を推定するための迅速かつ簡単な方法が必要とされている。
現在、最も信頼できる乳児の出生時体重の予測装置は超音波であり、最近のレビュー記事によると、出生時体重を300gから400g以内で予測することが可能である(表12、Nahum eMedicine Journal)が、著者らはまた、他の方法と同様にまだ不正確度が大きいと述べており、胎児の体重の予測を達成するための合理的な方策には、臨床および音波による様々な情報源に基づいた複数の予測がまだ使用されていることを示唆している。さらに著者らは、超音波を使用しても巨人症は簡単には予測できない、と述べている。胎児の大きさの超音波診断および触診では、巨人症を予測できる感度は60%に満たず、擬陽性は40%を大きく超える。同様に、1800グラム未満の小さい胎児の超音波による胎児体重の予測では、多くの場合、25%ほどのエラーを伴う。超音波の短所として、胎児の器官の視覚化が最適未満であることによってしばしば制限される方法の複雑さおよび労力の負担が大きいことが挙げられる。また、費用の高い機器と習熟した人員も必要である。後者の要件は、開発途上国で最新の手法を使用することの妨げとなることが多い。
2004年4月29日に公開されたWO2004/036359では、胎児の超音波測定の使用と母親に関する情報を組み合わせて出生時体重が判断される。現在の米国およびカナダのガイドラインでは、すべての妊娠した女性が24〜28週の間に妊娠糖尿病(GDM)の検査を受けることが推奨されている。優先的スクリーニングが実施されるのは、妊娠年齢が高い、妊娠前体重が高い、危険性の高い民族の一員である、または強い糖尿病の家族歴があるなど、複数の危険因子がある場合、あるいは過去にGDMを診断されたことまたは巨人症乳児の分娩があった場合だけである。しかし、いくつかの研究は、これらの基準に基づいた「選択的スクリーニング」ではまだGDMを過小診断することがあると認めている。
GDMの現在のスクリーニングおよび診断の基準は、異常な経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)およびそれに伴う妊娠高血糖症による周産期および成人の罹病率および死亡率の増加を観察することに基づいて予測される。胎盤を通過するブドウ糖の流動の増加は、成長する膵島細胞から子宮内でのインスリンを産生する刺激剤および胎児の高インスリン血症の前提条件となり、それにより胎児の腹囲、巨人症、肥満および新生児の低血糖症の増加およびGDMの診断につながることが論じられている。
米国特許仮出願第60/496,884号 WO2004/036359 A.Graps、「An Introduction to Wavelets」、IEEE Comput.Sci.Eng.2、50−61頁(1995年) E.Aboufadel and S.Schlicker、「Discovering Wavelets」(John Wiley&Sons Inc.、NY、1999年) J.S.Walker、「A Primer on Wavelets and their Scientific Applications」(Chapman&Hall、Boca Raton、1999年)
本発明の広範な態様では、羊膜を破裂させずにインサイチュで羊水を分析する。
本発明の別の広範な態様では、羊水の成分を変えずに、流体を構成するマトリックスの濃度および/または他の成分についての情報を確認するように、羊水を分析する。
本発明のさらに別の広範な態様では、羊水の分析は、母親および子の少なくとも一方が医学的症状を発症するリスクと相関する。
本発明のさらに広範な態様では、予測を妊娠の早期に行う、または予測の正確性をより良くすることのいずれかによって、羊水分析による出生時体重の予測を改善する。
本発明は羊水を分析する方法を提供し、デバイスが羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーを測定するために準備され、かつ器具を羊膜に挿入せずにインサイチュで羊水を測定するように羊膜に対して配置される。デバイスを使用して、羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーの値を得るように処理される測定データを取得する。
本発明は、羊水を含む羊膜を有する妊娠女性において、羊膜内に器具を挿入せずに、インサイチュで羊水を分析するための装置を提供する。装置は、羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーを測定するためのデバイスと、羊膜内に器具を挿入せずにインサイチュで羊水を測定するように、羊膜に関してデバイスを配置するように適合された連結器と、デバイスからの測定データを処理して羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーの値を得るための処理ユニットとを含む。
本発明は、羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーを測定するためのデバイスを準備し、デバイスを羊膜内に器具を挿入せずにインサイチュで羊水を測定するように羊膜に対して配置し、デバイスを使用して測定データを取得し、羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーの値を取得するように測定データを処理し、値に応じて食事の変更および薬剤処置の少なくとも1つを決定することによって、妊娠中の母親およびその胎児の少なくとも一方を治療する方法を提供する。
本発明は、母親の羊水を分析するためのデバイスを準備し、デバイスを使用して羊水から分析データを取得し、リスクのための予測値を取得するように分析データを処理することによって、母親およびその子の少なくとも一方に医学的症状を発症するリスクを予測する方法を提供する。
本発明は母親およびその子の少なくとも一方に医学的症状を発症するリスクを予測するための装置を提供する。装置は羊水を分析するためのデバイスと、リスクのための予測値を取得するようにデバイスからの分析データを処理するための処理ユニットとを含む。
本発明は、分析のために羊水の利用が可能な羊膜を有する動物にも適用することができ、特に、本発明はヒトに適用することができる。「患者」、「母親」、「子」、「胎児」という用語、ならびに対象およびその体の部分に関する同様の用語は、明確な記載がない限り、本明細書ではヒトおよびヒト以外に関して使用されるものとする。
本明細書では、「医学的症状」という用語は母親、胎児または子の健康に関する状態または可能性のある状態を意味する。1つの例は子の出生時の体重、すなわち出生時体重であり、胎児体重には不当軽量児(SGA)または子宮内発達遅延(IUGR)、正常在胎期間児(AGA)または健康児、および不当重量児(LGA)または巨人症などがある。異常体重は、様々な健康上の併発症の原因であると認識されている。「医学的症状」はまた、AGAなどの問題がないことを示すことも含み、妊娠女性へのこの情報は母体の健康状態に有益な再確認となる。別の例には母親の糖尿病があり、これは母体の糖尿病、より詳細には妊娠糖尿病(GDM)としても知られている。他の例には早産がある。
本明細書では、「生物学的マーカー」という用語は、グルコース、乳酸または他の代謝による酸性物質、限定はされないが、インスリン、インスリン様成長因子(IGF)およびその結合タンパク質などの1つまたはそれ以上のタンパク質、および/または1つまたはそれ以上の脂肪酸を含む、1つまたはそれ以上の生化学的指標を含む。生物学的マーカーはまた、インビボまたはインサイチュであるかを問わず、羊水中で同定し計数できる細胞、ならびに粘度など、測定できる羊水の他の物理的特性を含むこともできる。
本発明は、いくつかの実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら見ることによって、より良く理解されるであろう。
第1の実施形態−ヒトにおけるインビボでの羊水のNIRラマン・スペクトル分析および出生時体重との相関
本発明の一実施形態では、乳児の出生時体重を予測する羊水中の8〜12の生化学的マーカーのパネルを同定するラマン・スペクトル分析の使用に焦点を置く。このアプローチの利点は次の通りである。(1)すべての重要な生化学的成分を同時に測定するために、少量の羊水(μL)の単一サンプルのみを必要とすることであり、さらに重要なのは、その化学的特性を羊水の流体マトリクス内に保存することであり、これは少なすぎる(羊水過少症(oligiohydramniois))または多すぎる(羊水過多症(polyhydramniois))場合は胎児の健康リスクであり、それ自体が胎児の健康の重要なバロメータとなる。個々の成分に別個の分析を必要とする他の化学的手法では、容量が不安定な場合に濃度の差異の影響を受けやすいだけでなく、少量での分析がまだ開発されていないこの新しいコンパートメントで成分を測定する手法の欠陥の影響を受けやすいが、これはその限界を克服するものである。しかし、より重要なことは、ラマン・スペクトル分析は妊娠15週の早期に実施すると最終的な出生時体重の100〜400グラム以内まで正確であることである。したがって、これはSGAおよびLGAの早期子宮内診断の初の医療的可能性をもたらすものである。さらに、この方法は通常の羊水穿刺のときに実施することができ、追加的な労力を要する試料の化学的処理をする必要がない。本実施形態の方法は、病院、クリニック、および現場環境において、2つの機械の開発により、簡単に実施することができる:迅速なベッドサイドでの処理のために「新鮮な試料」を採取したときに羊水の液滴を測定する小型携帯式のラマン分光計の使用を必要とする機械および(2)連続する測定値を収集し、胎児の子宮内での成長およびその後の成長を監視する初の手段を提供する、妊娠期間中にわたって非侵襲的に使用される、膣内または腹内の光ファイバ・プローブの開発。本実施形態の方法の実現可能性により、通常の胎児監視のための羊水をより広範に使用することが可能となり、かつ現在の手法よりはるかに優れた正確度で入手可能となる。
本出願では、測定に適した羊水のいくつかの成分を同定した。これらの成分としては、限定はされないが、グルコース、タンパク質のファミリー(限定はされないが、インスリン、および2つのIGF結合タンパク、すなわちIGF BP−1および3)、数種類のアミノ酸、および2種類の代謝性酸(乳酸および尿酸)がある。測定のための他の成分としては、硝酸および、高度に水素化された食品にのみ見られ、胎児の成長に必要な必須脂肪酸の使用を事実上制限することがあるトランス脂肪酸を含む数種類の脂肪酸がある。
羊水NIRラマン分光計
妊娠14〜16週の女性68名からの羊水を測定した。すべての患者は、同意確認のためにMcGill大学患者承認書に署名した。遺伝子検査後、すべての羊水試料の残りは冷凍保存した。近赤外ラマン・スペクトルを、Brukerのフーリエ変換近赤外ラマン分光計を使用して得た。羊水試料をそれぞれ冷凍装置から取り出し、20℃まで温めた。次いで、ラマン・システム内に取り付けられた直径2mmのガラス管の中に試料を移した。実験中はラマン・システムを20+/−1℃に維持した。1064nmを放射するNd:YAGレーザー放射の焦点を羊水試料上に合わせた。試料からのラマン散乱のシフトをFT分光計で収集し、冷却したNIR検出器を使用して検出した。スペクトルを1/秒でスキャンし、0〜3750cm−1のシフトから解像度8cm−1が得られた。各試料には合計1800スキャンを平均とした。生インターフェログラムのフーリエ変換後、0〜3750cm−1スペクトル範囲にわたる1919データ点として、データを保存した。
データ処理
羊水のラマン・スペクトルを前処理し、レーザー強度の変動の影響を低減した。特に、各スペクトルを2500cm−1でのSi−OHのラマン放射に正規化した。同様に、測定中のスプリアスノイズを抑えるように、スペクトルを15地点の移動平均ボックスカー平滑化機能で平滑化した。
ハール変換
ハール変換(HT)はウェーブレット分析の最も古い形である。これは所与の信号を基底関数の直行成分上で予測する。0<τ<1の時間ウィンドウに含まれるデータを、ファーザー・ウェーブレットφ(τ)、マザー・ウェーブレットψ(τ)、連続するドーター・ウェーブレットψn,k(τ)に従って分解する。ただし、nおよびkはそれぞれスケーリングおよび平行移動を表す。
Figure 0005183201
同様に、各ドーター・ウェーブレットは、対応する正および負の加重ならびに関連するスケーリングおよび平行移動を持つ、2つのサン・ウェーブレットψnk(τ)の合計に分解することができる。すべてのドーター・ウェーブレットをサン・ウェーブレットの合計、すなわちファーザー・ウェーブレットを圧縮および移動したものに分解できることに留意することは興味深い。例えば、ψ=φ1,0−φ1,1であるとき、0および1だけから構成される基底成分でハール変換を実行することができ、これをスペクトル・フィルタによって実験的に実施することができる。ウェーブレット係数を測定するためには、ウェーブレットを行列で表すことが有用である。例えば、ファーザー、マザー、および第1世代のドーター・ウェーブレットをA2として表すことができる。
Figure 0005183201
ただし、各列はウェーブレットに対応し、各行は時間ウィンドウが4つの等しいセグメントに分割されるときのハール・ウェーブレット値を表す。4つの等しい波数のバイナリのラマン信号をウェーブレット係数に分解することによって、次の行列の数学問題がもたらされる:係数ベクトルは、A2に倍増するときラマン・スペクトル・プロファイルが得られるように算出しなくてはならない。最終的なベクトルのウェーブレット係数は、最低解像度のウェーブレット(ファーザー・ウェーブレット)から始まり、より高いスペクトル解像度へと進むように並べられる。行列A2をさらに先の世代のドーター・ウェーブレットまたはサン・ウェーブレットを含むように拡張し、それにより分析を高周波数レベルに拡大することができる。
ハール変換に関するより詳細な情報は、A.Graps、「An Introduction to Wavelets」、IEEE Comput.Sci.Eng.2、50−61頁(1995年)、E.Aboufadel and S.Schlicker、「Discovering Wavelets」(John Wiley&Sons Inc.、NY、1999年)、およびJ.S.Walker、「A Primer on Wavelets and their Scientific Applications」(Chapman&Hall、Boca Raton、1999年)に見ることができる。
FTNIRラマン計器を使用して、実験的に収集された分布のハール係数を計算することは、データ分析の第1の工程である。サン・ウェーブレットのハール変換計算は、合計および差異を反復的に計算する、Matlab(The MathWorks Inc.、マサチューセッツ州ナティック)によって書かれた個別仕様プログラムを使用して行われた。計算では入力データの長さを2つの長さの累乗とする必要があった。最大1024ハールのサン・ウェーブレットの係数が得られ、低解像度から高スペクトル解像度へと並べられた。
ステップワイズ多重線形回帰
逆最小二乗回帰を使用して、前処理されたラマン・スペクトルから所与の試料の外部パラメータを推定することができる。しかし、HTではスパース表現の信号が得られることから、1024のウェーブレットがすべて必要ではないことはほぼ確実である。ステップワイズ多重線形回帰は、対象の量に最も相関する変数のサブセットを選択する、確立された方法である。遺伝子アルゴリズムの一般的な目的は、式5に従って所与のデータセットを最も良く説明するウェーブレットの組合せを同定することであった。
Y=α0+α11+α22+…+αna (5)
ただし、Yは従属変数(出生時体重)であり、X1、X2…Xnは独立変数(すなわち、ウェーブレット係数)であり、α0、α1…αnは一組のXから逆最小二乗回帰によって求められた係数である。最も良くYを推測するウェーブレットの組合せを、次のスキームに従って求めた。
1.ステップワイズが使用するHT係数の範囲を設定する
2.モデルに含むウェーブレットの数を選択する
3.各モデルの適合度を評価する
4.モデルに含まれるウェーブレットの数を増やして工程2〜4を繰り返す
5.変数の最適な数を選択する
6.独立したデータセットを使用してモデルを評価する
7.ステップワイズ法で使用されるHT係数の範囲を変えながら工程1〜6を繰り返す
1.ステップワイズMLRが使用するHT係数の範囲を設定する:STEPMLRの目標は、出生時体重に相関するウェーブレットの小さいサブセットを決定することであった。同様に、胎児の成長に関連するスペクトル成分の同定を開発する観点から、および将来の計測を簡略化するために、低解像度(大きい波長範囲)の成分が好ましい。したがって、ステップワイズ法によってすべてのハール・サン・ウェーブレットの中から推定を最適化するように選択することに加えて、アルゴリズムもまた512、256、128、64、および32ウェーブレットより低いスペクトル解像度のウェーブレットでのみ実行した。
2.モデルに含むウェーブレットの数を選択する:1つのウェーブレット、すなわち式5での1つのXから開始し、漸増する。ウェーブレットの最大数は、ステップワイズ選択に利用可能なウェーブレット係数の数に従って設定した。すべての場合において、使用するウェーブレットの最大数は10に設定した。
3.各モデルの適合度を評価する:集団における各モデルに、試料調製から求められた吸収または散乱の既知の値で設定した較正を使用する逆最小二乗回帰によって、式5の係数α1からαnを算出した。求められたαnパラメータおよび試験セットのハール係数を式5に当てはめることによって、出生時体重の推定を取得し、較正の標準誤差(SEC)を計算した。したがって、より良いモデルには、より小さいSECが関係している。
4.モデルに含まれるウェーブレットの数を増やして工程2〜3を繰り返す:工程2でウェーブレットの最大数を選択する。
5.変数の最適な数を選択する:モデルのSEC対ウェーブレットの数をグラフ化することによって、予測誤差平方和(PRESS)図を作成した。最小PRESS値でのモデルのウェーブレットの数をhで表す。選択されたモデルは、そのモデルのPRESSが95%信頼度でのf検定に基づいてh個のウェーブレットのモデルのPRESSを有意に上回らないように、最小数のウェーブレットを持つものとした。
6.独立したデータセットを使用してモデルを評価する:独立したデータセット、較正セットからの較正係数を使用したバリデーションセットの出生時体重値を推定することによって、「最適な」モデルを評価した。R2および変動係数(C.V.)をモデルの有効性の指数として使用した。
結果
羊水のラマン・スペクトルから出生時体重を推定するために3つの別個の較正を行った。第1に、すべての試料に関連するスペクトルを使用して出生時体重を推定した。図1bに結果を示す。すべての試料について500グラム以内での出生時体重の推定が得られた。試料を3500グラムより少ない群および3500グラムより多い群に分けると、顕著により良い結果が得られた。2つの較正の結果を図1dおよび1fに示す。図から分かるように、約200グラム誤差での推定、および各群に1つだけの異常値が見られた。これは現在のどの方法よりも有意に優れている。
第2および第3の実施形態−光学分光計を含むインサイチュプローブ
第2の実施形態では、妊娠期間中に2〜5回の定期的超音波のときに膣内スペクトル測定を行った。初期の測定には治療的または栄養学的処置の機会がある。しかし、初期の妊娠測定の感度は頚管組織の厚さ(〜4cm)によって減少されることがある。対照的に、妊娠後期に行われる膣内測定では、頚管組織(1mm未満)による干渉はそれが妊娠期間を通じて薄くなるので少ないが、医療的処置の機会は少ない。羊膜の超音波画像を使用してプローブの向きの配置を助け、またはプローブが胎児に干渉せずに羊水を測定することを確認することができることは、容易に理解できるであろう。所望であれば、超音波膣内プローブに光学分光計を組み込むことができる。
特にIUGRおよび巨人症の推定のために、インサイチュ測定で出生時体重の予測に重要なスペクトル領域は、介在する組織、温度、およびAMFのpHによって上述のex vivoでの凍結試料で得られるものとわずかに異なることが予測できる。様々な妊娠時点で開発された特定の回帰モデルを、超音波によって得られた「ゴールド」標準測定値と比較する。
膣内NIR測定値を使用して、ラマン・スペクトルと出生時体重の間に回帰関係を見出すことができる。同様に、NIRまたはIR領域での光学的減衰スペクトルを測定し、そして出生時体重の予測のため、および本発明の他の医療条件に従って相関させることもできる。ラマン散乱測定値は羊水について優れた分析情報をもたらすが、測定がインサイチュで行われ、羊水測定の深さによってラマン測定がより困難になる場合、光学的減衰または吸収測定値がより効率的であると予想される。
図2に示すように、プローブは光源および光学検出器を備えた先端を有する。代替的には適切な光源および検出器をプローブ先端に一体化することが好ましいが、現在の好ましい実施形態では、光ファイバは光を遠隔光源と検出器の間で先端へと中継する。
図3に示すように、光プローブは望ましいスペクトル情報を取得するように、光源および検出器を制御するスペクトル分析装置に動作可能に連結されている。上述のように、このような分析装置はラマン散乱分析装置である。結果的に得られたスペクトル・データは、スペクトル情報をどのようにリスク値に相関させるかを指定する較正データに基づいて医療条件のリスク値を計算する相関器で受け取られる。それに加えて、またはその代わりに、羊水の生化学的マーカーまたは他の成分の濃度の値を判断するように相関を実施することもできる。
第3の実施形態では、図4および5に示すように、適合されたプローブは光源および2つの光学検出器を備えた非侵襲的な先端を有することができる。図示するように、第1の検出器は近くの組織とより深部の組織の間の組織を通る有意に異なるパス長を「認識」し、第2の検出器はより短いパスの差を「認識」する。2つの検出器によって測定された強度データを減算することによって、より深部の組織、すなわち羊水についての情報を得ることができる。プローブは患者の腹部と光学的に接触するように適合される。膣内プローブの場合、図4のデバイスもまた好ましいが、測定する組織または流体の深さは大きくなく、したがって第1の検出器と第2の検出器の間の分離も大きくする必要はない。
より具体的には、膣内測定に適したNIRラマン・システムの場合、Ocean Opticsから市販されているNIRラマン・システムを羊水測定に適合させることができる。システムのレーザーは785nmで低電力(50mW)のレーザーとすることができる。散乱はλ−4に比例し、低光出力を非侵襲的なインサイチュ測定で使用することが可能であるので、第1の実施形態で使用された1064nmと比較してより短い波長を選択することが望ましい。同様に、この近赤外領域は測定で予測される頚管組織を容易に通過することができる。ラマン分光計の検出器は、携帯での使用に堅固なシステムをもたらす高感度の冷却CCD検出器である。従来の測定では、出生時体重の回帰モデリングには比較的低い解像度のラマン・スペクトルで十分であると示唆されている。分光器の入口スリットを調節することによって、インサイチュ測定の解像度および信号強度を最適化する簡便な手段をもたらす。予備的測定から、in vivoでのスペクトル取得には約3分間かかることが予測される。
レーザー励起およびラマン散乱はどちらも、個別仕様の光ファイバのバンドルによって患者に伝送される。バンドルは組織の同じ位置に焦点を合わせる別個の照明および収集ファイバからなる。この共焦点配置を使用して、組織の正確な位置を3次元の定量的測定のために単離することができる。照明ファイバの遠位端では、小型の短波長透過の光ファイバが配置され、照明ファイバからの望まない散乱を除去する。第2の長波長透過フィルタが収集ファイバの前部に配置され、分光器に伝送されたラマン・シフト信号を単離する。ファイバ・バンドルの直径は2mm未満である。共焦点光プローブは超音波スキャン・ヘッドでわずか2mm×5mmである。
ファイバ・バンドルは膣内超音波スキャン・ヘッド(Medison A−600)を備えた低コストの超音波画像システムに取り付けられており、in vivoでのサンプリング位置を決定することができるようになっている。光ファイバは、膣内プローブの機械的インデントを使用して、既知のサンプリング位置を維持するようにテフロン(登録商標)の止め輪でクリップ止めされている。患者の体内では、衛生的環境をもたらすために超音波/光プローブにコンドームをかぶせる。スペクトル取得の位置は組織ファントムを使用して決定する。スペクトル測定の位置に配置することに加えて、膣内超音波画像は、スペクトルの比較に有用である子宮および膜の形状についての情報をもたらす。システムを既知の組成試料で作製および較正することに加えて、回帰で使用されるスペクトル領域間の比較が行われるように、羊水の大部分に存在する浄化された成分のスペクトルを使用して成分の基準スペクトルを設けることができる。
上述の膣プローブの実施形態は女性での使用を対象としているが、他の哺乳類での使用に適合させることも可能であることが理解されよう。
非光学的分析器を同様に使用して、医療条件リスクと相関させることのできる羊水の成分についてインサイチュでの情報を収集することができることもまた、理解されよう。例えば、MRSでは化学的組成についての詳細な分析情報を得ることができる。超音波によってインサイチュで測定することのできる羊水の粘度などの物理的パラメータもまた、単独でまたは他の光学的または非光学的分析器と組み合わせて使用して、リスクを測定し、あるいは1つまたはそれ以上の生物学的マーカーを測定することができる。予測される出生時体重の関数として変化する羊水成分は粘度に影響すると考えられており、したがって粘度と出生時体重の間に相関関係があることが予期される。
光学分光計の場合、適切な波長領域は約200nmから400μmである。羊水の乾燥試料はこの範囲にわたって分析することができ、一方、ex vivoの全試料またはインサイチュの羊水は介在する組織または羊水自体によって過度に吸収されない波長を使用して分析する。例えば、水は2μmから50μmの範囲を大きく吸収し、羊水内の水の存在によってこの範囲はインサイチュでの測定に基本的に使用できないようになっている。
第4および第5の実施形態−反復式非侵襲的羊水分析を使用した妊娠糖尿病(GDM)の監視
本研究の目的は次の4つである。1)遺伝子検査のための通常の羊水穿刺を受ける、年齢によるリスクが高い高齢女性の集団におけるGDMの罹患率を述べる。2)これらの女性において通常の羊水穿刺の時点(範囲12〜22週)で予め存在していた羊水(AF)のグルコース、インスリンまたはインスリン様成長因子結合タンパク(IGF BP)1型が上昇すると24〜28週でGDMと診断されることを示す。3)これらの羊水指数と後のGDM診断に関連性が存在することを、重回帰を使用して確定する。4)確率マップを使用して、GDMのリスク増加を予測するグルコース、インスリン、およびIGF BP1型の特定の羊水濃度を実証する。
デザイン、募集、および同意:1998〜2002年に、カナダ、モントリオール州のSt Mary’s Hospital Centerで通常の羊水穿刺を受ける妊娠中の女性に、この前向き研究への参加を募った。同意署名によって、研究者はMontreal Children’s Hospitalから遺伝子検査後に羊水を入手し、医療カルテを閲覧することが可能となった。組み入れ基準(単胎妊娠)および除外基準(多胎妊娠、遺伝子異常)を適用し、1008人の参加者を得た。医療カルテの検討によって、GDM状態、妊娠年齢、妊娠前体重および身長、民族、経産回数、喫煙(n =888〜928)、25週(n=70)および35週(n=149)時に超音波によって予測される胎児の体重、乳児の出生時体重、性別、および在胎期間(n=928)についての情報を入手した。在胎期間は、LMPおよび一定の病院プロトコールを使用し、医師の推定に基づいた。各データ・サブセットの完全性は医療カルテおよび質問票での情報の入手可能性に依存した。倫理承認は、Institutional Review Boards of McGill, Montreal Children’s HospitalおよびSt Mary’s Hospital Centreから得た。
生化学的分析:−80℃で保存された羊水の試料を、グルコース、インスリン、およびIGF BP1型について分析した。インスリン(n=718)は、モノクローナル抗インスリン複合体、常磁性粒子で覆われた抗体、および化学発光基質を反応容器に添加するワン・ステップ免疫酵素分析であるBeckman Access超音波分析システムを使用して分析した。インスリンは0.03〜300ul pmol/L以内で測定した。グルコース(n=662)はマイクロプレート・リーダーで使用するためにAbbott Laboratories(イリノイ州、North Chicago)分析キット(No.6082)に適合させ、IGF BP1型(n=876)はDiagnostics Systems Laboratories Inc(DSLキット10−7800、テキサス州Webster)を使用してELISAによって適合させた後、分析した。
統計分析:すべてのデータ分析は、統計的有意性をP<0.05として、SAS(Version 8.02,SAS Inc.,ノースカロライナ州Cary)を使用して実施した。すべての非正常分布データは平方根を使用して変換した:妊娠体重、BMI、民族、経産回数、羊水穿刺週、喫煙、乳児出生時体重、35週胎児体重、および羊水グルコース、インスリン、およびIGF−BP1型。GDMおよび非GDMの母親の生化学的比較には、母体妊娠時BMI、民族、経産回数および羊水穿刺実施週を共変数として含めた。従属変数としてのGDMおよび出生時体重、およびモデルに含まれるこれまでに確立された予測因子の重回帰も、フォワードおよびバックワード回帰を使用して検証した。IGF BP1型、インスリン、およびグルコース間の共線形性により、それぞれを別個の回帰モデルに組み入れた。GDMおよび非GDMの母親のデータを、Cambridge UniversityのIan McNabbeyによってBayesnetと呼ばれるMatlab V6.1(Mathworks,Inc)で書かれたプログラムを使用したガウス分布の混合を使用して、別個にモデル化した。インスリンおよびグルコースについての羊水の生物マーカーによるGDM発症の経験的確率を、測定されたデータから決定されたガウス分布のBayesian加重を使用して、計算した。次いで、図6および図7にそれぞれ示すように、AF中のグルコースに関連したIGF−BP1型およびインスリンの変動に関して、GDM発症の確率の等高線図を決定した。
集団特性:GDMおよび非GDM亜集団の間の比較によれば、GDMの母親のほうが身長が低く、妊娠体重およびBMIが高く、過体重または肥満は非GDMの母親でわずか26%であるのに対し、GDMの母親で54%であった。健康で非GDMの母親では平均出生時体重は3396±19gであったのに対し、GDMの母親では3515±52gであった。ただし、4000gを超えたのは、GDMの子の16%および非GDMの子の12%のみであり、性別および在胎期間を修正する出生時体重の百分位数を使用すると、GDMの母親に産まれた乳児23%が90%を越え(LGA)、非GDM集団ではLGAがわずか10%であった。どちらの分類でも、GDMの母親の3〜4%がIUGRまたはSGAの乳児を出産した結果が得られた。胎児の体重は25週までは差はないが、35週までにGDMの母親では134グラム多かった。さらに35週に、在胎期間(β−係数(β)=215g)およびGDM(β=54g;p=0.0450)(ただしBMI、喫煙および乳児性別を除く)を胎児の体重の独立予測因子として入力した。この差は満期までに119グラムまで減少し、その時点でGDM(β−係数=165g)を、喫煙(β=−111g)、乳児性別(β=124g)および在胎期間(β=135g)、および妊娠時身長および体重(それぞれβ=750g、β=7.50g)とともに乳児の体重の独立予測因子として入力した。高齢の母親(37.8±0.1歳、26〜45歳)の本研究集団(n=928)では、GDMの発症は12%であった。
生化学的測定:BMI、民族、経産回数、および羊水穿刺週の組み入れにかかわらず、GDMの母親では非GDMの母親より羊水グルコースの濃度は高く、羊水IGF BP1型は低かった。興味深いことに、羊水インスリンはこれらの共変数を組み入れると差はなかった。ただし、羊水の3つの生化学物質はすべてGDMの独立予測因子として入力したが、羊水IGF−BP−1だけは出生時体重の負の予測因子として入力した。GDMのリスクを視覚化するための確率マップを使用して、羊水グルコースまたはインスリンのいずれかが高く、他の羊水中での濃度が低い場合、GDMのリスクは90%を超えることを示すことができた。さらに、高いグルコースの存在時に羊水IGF BP−1が低いことも、90%を超えるGDMのリスクと関連している。
本研究では、羊水のグルコース、インスリン、およびIGF BP−1の濃度が、その後GDMと診断される女性ではすでに高く、これらの羊水成分がGDMの早期予測因子として作用できる可能性があることが明らかにされた。この結論は次の点により革命的である。1)AFグルコースが高く、かつIGF BP−1が低いことは、様々なBMIカテゴリーの女性における後のGDM診断および様々な出生時体重の子と関連があることが実証された。2)確率図を使用して、妊娠15週までに各AFグルコース、インスリンおよびIGF BP−1濃度に関して、後のGDM診断のリスクを予測することができた。10週目までに現在のスクリーニングおよび診断プロトコールより前に、遺伝子検査のための通常の羊水穿刺のときに入手した羊水試料を使用した本GDMリスク・プロフィール評価は、妊娠早期に測定される高濃度の羊水インスリンおよびグルコースが存在することに基づき、GDMの母親では成長中の胎児がかなり早期にグルコースの多い環境に曝されていることを実証した。現在のプロトコールではより高い母体BMIを選別し、胎児に関する腹囲、巨人症、肥満を減らすことによってGDMの子における高い出生時体重を最小限にすることを効果的に試みるが、GDMの母親の第3三半期までに存在すると報告されている早期の子宮内での糖化およびタンパク質のグリコシル化に関連した胎児病を減らすことには役立っていない。羊水のグルコースが妊娠のかなり早期に上昇すると、角化されていない胎児の皮膚全体に羊水のグルコースが20〜24週までずっと拡散し、そして、胎児へのダメージは従来予測されているより大きくなる可能性があり、早期に上昇した羊水のグルコースに成長中の胎児の膵臓が曝露することになり、生涯の後期にβ細胞が疲弊するリスクが増加する素因となり、生涯の後期にBMIが高くなり糖尿病およびGDMを発症するリスクが高くなって成人病のリスクが増加する。
本集団ではGDMの罹患率は12%であった。この発生率は、先住民を含む多民族集団についてのCDAの報告(すなわち、8〜18%)より高く、ADAによる報告(7%)よりも高い。これは、遺伝子検査のための通常の羊水穿刺を受けた母親の平均年齢が、CDAおよびADAによる危険因子として示されたもの(すなわち、26歳以上35歳以下)より高いことを考えると驚くことはないが、この高齢女性の高リスク集団における発生率の初の報告を提供するものである。注目すべきはアジア人の比率が非GDM集団(18%)に比べてGDM集団(37%)で高いことであるが、この観察は他の報告でもアジア人のGDMの罹患率が高いことを裏付けている。興味深いことに、GDMは、BMIが25未満の女性でもBMIが25を超える女性と同じ頻度で生じている。従来のスクリーニング法は高い妊娠時体重を危険因子として強調していることから、本データでは、同じくらい多くの正常および低体重の個人も影響を受けやすい場合にGDMが過小診断されている理由に関して、いくつかの見識を挙げている。興味深いことに、GDMであることと出生時体重が165グラム多いことが関連付けられた場合、ほとんどの女性は巨人症でない子を出産した。従来のPedersenの仮説では胎児の高血糖症と不当重量児とを、出生時体重の増加と関連付けていたが、GDMの母親がSGAおよびAGAを同様に出産したこともまた、観察された。その他には、我々の多民族集団は非喫煙であり、IGURの発生率が通常の集団より低いが、AGAおよび巨人症の発生率は全体的にカナダおよび米国集団と同様であった。
GDMは現在24〜28週に診断されている。上述したように、GDMの亜集団では妊娠15週までにAFグルコースはすでに上昇していることが本研究で明らかになった。いくつかの研究では、母体の空腹時および2時間後の血漿グルコース値は出生時体重と正の関連があり、グルコースが促進された拡散によって胎盤関門を自由に通過することがこれまで示唆されている一方、別の研究では、AFインスリンのほうがAFグルコースよりも、傷害された母体のグルコース不耐性の予測因子として優れていることが報告されている。1つの研究では、AFグルコースが妊娠23週以前の胎児の高インスリン血症とは関連が見られないことが実際に示された。使用した症例数が多く、従来の交絡因子が制御されている、我々の羊水研究は、羊水のグルコースおよびインスリンがGDMと関連していることを一連の重回帰において示した。妊娠の早期に測定された羊水のインスリンは、おそらく妊娠早期における主要な成長因子ではないが、この期間を通して蓄積され、そして妊娠後期に作用することから、いずれによっても出生時体重はほとんど予測されなかった。グルコースに関しては、おそらく、過去に治療を受けているGDMの母親は、出産した乳児の出生時体重が様々であったことから、GDMは予測されたが出生時体重はほとんど予測できなかった。しかし重要なことには、確率マップを作成することにより、GDMを予測するAFグルコースとインスリンの複雑さは明白であった。確率等高線図によれば、関係は明らかに線形ではなく、羊水のグルコースまたはインスリンのいずれかが高く、他方の濃度が低い場合、GDMのリスクは90%を超えることが実証された。さらに、各リスク・プロフィールは非線形であった。したがって、最も重要なことは、グルコースとインスリン値の間に存在する分離である。2つの間に大きい差異があると将来GDMを発症する可能性が高いことが予測され、胎児の高インスリン血症および羊水のグルコースの上昇は両方とも後のGDM発症を予測することを実証した。
GDMの別の興味深い予測因子は、高いグルコースの存在時に羊水のIGF BP−1が低いと、90%を超えるGDMのリスクと関連していることであった。従来はIGF BP−1は出生時体重と反比例して関連していたが、我々はより多くの症例数を使用して、IGF BP−1が低いほうが、35週までに胎児の体重が54g増加し、満期の出生時体重は164g増加することと関連することを示した。従来の研究では、これは成長ホルモンのより高いレベルおよび/または血中IGF−1レベルの増加、または増加した食物摂取による二次的なインスリンの増加のいずれかによるものであり、その両方が胎盤のIGF BP−1の産生を阻害するといわれてきた。活発なIGF−1の増加は、妊娠後期に胎児の成長をより刺激し、すでに実証されたように非GDMに対してGDMの子において35週までに胎児の体重が増加することの原因である可能性がある。
結論として、高いAFグルコース、インスリンおよび低いIGF BP−1はGDMを予測し、ここでGDMは最終的に、胎児の出生時体重を予測をすることが示された。我々の結果は、GDMの母親の成長中の胎児がすでに「糖尿病誘発性のリスク・プロフィール」に曝されていることを現在のGDM診断より前に確実に実証することから、子宮内での胎児のダメージを最小限に抑えるために、より早期のスクリーニングおよび処置を保証する。さらに、GDMの母親のほぼ50%でBMIが25未満であり、乳児の多くは不当重量児として産まれなかったことが観察されたことから、スクリーニング基準としてBMIを強調し過ぎることはGDMの過小診断の原因となる可能性がある。
第5の実施形態では、本発明を使用して、GDMの医学的症状の後、妊娠期間中に羊水の測定を繰り返し、健康ならびに食事および/または治療的処置の影響を監視する。方法は図8に示されている。インサイチュ測定と羊水穿刺中に得られたデータを組み合わせることは任意であるが、羊水のインサイチュ分析を解釈し、またはそれを信頼することに慣れていない医師は、この確認によって確信を得られることは十分理解されよう。同様に、本発明は、図では10週で示すように、女性の妊娠12週より前に、およびしたがって羊水穿刺を安全に実施することができる十分前に実施することができるインサイチュ測定を可能とするが、医師は、本発明に従って妊娠の後期に母体の健康の監視を開始することも選択できる。本発明の実施形態はGDMの例で示されているが、出生時体重と同様に、胎児の健康を監視することにも同じく適用されることが十分に理解されよう。母親の食事を変えることは最終的な出生時体重、およびGDMリスクの症状に影響を与えることができると認識されている。GDMを発症するリスクを早期に検出し、その結果、早期に食事を変えることがGDMの発症という実際の結果を減らすことにおいて効率的であると考えられる。運動および薬剤処置を医療的ガイドラインに従って適用することもできる。
1kg〜5.3kgにわたる幅広い範囲の出生時体重に関して、羊水のNIRラマン測定を使用して出生時体重の推定のために選択された、一般的なスペクトルおよび波長領域を示す図である。 1kg〜5.3kgにわたる幅広い範囲の出生時体重との間の症例集団に関して、推定出生時体重と実際出生時体重の相関具合を示す図である。 1kg〜3.5kgにわたる狭範囲の出生時体重に関して、羊水のNIRラマン測定を使用して出生時体重の推定のために選択された、一般的なスペクトルおよび波長領域を示す図である。 1kg〜3.5kgにわたる狭範囲の出生時体重の症例集団に関して、推定出生時体重と実際出生時体重との間の相関具合を示す図である。 3.5kg〜5.3kgにわたる広範囲の出生時体重に関して、羊水のNIRラマン測定を使用して出生時体重の推定のために選択された、一般的なスペクトルおよび波長領域を示す図である。 3.5kg〜5.3kgにわたる広範囲の出生時体重の症例集団に関して、推定出生時体重と実際出生時体重との間の相関具合を示す図である。 NIRまたはIR領域で動作する膣内光学的ラマン分光計を示す図である。 図2の実施形態による装置のブロック図である。 光吸収分光計を使用する腹部プローブを概略的に示す図である。 図4の実施形態による装置のブロック図である。 羊水中のグルコース値(X軸)およびインスリン(Y軸)の関数としての、妊娠糖尿病(GDM)を発症する確率の等高線図である。 羊水中のグルコース値(X軸)および子宮内成長因子結合タンパク1型すなわちIGF−BP1(Y軸)の関数としての、妊娠糖尿病(GDM)を発症する確率の等高線図である。 第5の実施形態による、GDMの治療方法を示すフローチャートである。

Claims (21)

  1. 羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーを測定するためのデバイスを準備する工程であって、デバイスがラマン近赤外分光計である、工程、
    羊膜に器具を挿入せずにインサイチュで羊水を測定するように、羊膜に対して該デバイスを配置する工程であって、配置する工程が、腹壁を通して羊水を分析するように分光計の向きを定める工程を含む、工程、
    測定データを取得するように、該デバイスを使用する工程、及び
    羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーの値を得るように、該測定データを処理する工程
    とを含む、1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーの羊水濃度を測定する方法。
  2. デバイスが胎児に干渉せずに羊水を測定することを指示または確認するように、配置する工程中に羊膜の超音波画像を取得する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーがグルコースを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 1つまたはそれ以上の選択された生物学的マーカーがインスリンおよびIGF−BP1の少なくとも一方を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. a)母親の羊水を分析するためのデバイスを準備する工程であって、デバイスがラマン近赤外分光計である、工程、
    b)羊水から分析データを取得するようにデバイスを使用し、該羊水がその成分を分離または濃縮する処理をせずに分析される工程であって、該デバイスを使用する工程が、腹壁を通して羊水を分析するように分光計の向きを定める工程を含む、工程、
    c)逆最小二乗回帰によって、係数が算出された式(5)に、分析データを代入する事によって、出生時体重の推定値を取得する工程
    とを含む、子宮内の子の出生時体重を計算する方法。
  6. 予測値が、子が高い出生時体重または低い出生時体重の一方で産まれることを示す、請求項5に記載の方法。
  7. 分析データが体重に直接相関するスペクトル・データであり、それによって、予想値を取得するために特定の生化学的マーカーの値を使用しない、請求項5または6に記載の方法。
  8. d)分析データを保存する工程、
    e)体重に関するその後のデータを取得する工程、及び
    f)工程cでその後使用するために、保存された分析データおよび体重データを使用して相関データを改善する工程
    とをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. デバイスを使用する工程が、羊膜に器具を挿入せずにインサイチュで羊水を測定するように羊膜に対して該デバイスを配置する工程を含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 母親がヒトであり、工程aからcが妊娠12週くらいに最初に行われる、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 妊娠期間中に工程aからcを少なくとも3回繰り返す、請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 羊水を分析するためのラマン近赤外分光計であるデバイス、
    羊膜内に器具を挿入せずにインサイチュで羊水を測定するように、羊膜に関してデバイスを配置するように適合された光学連結器、及び
    母親とその子の少なくとも一方に医学的症状を発症するリスクの予測値を得るように該デバイスからの分析データを処理するための処理ユニット
    とを含む、妊娠中の母親とその子の少なくとも一方に医学的症状を発症するリスクを予測するための装置。
  13. 分析データが羊水のスペクトルを含む、請求項12に記載の装置。
  14. スペクトルが症状に直接相関し、それによって、予想値を取得するために特定の生化学的マーカーの値を使用しない、請求項13に記載の装置。
  15. 連結器が、腹壁を通して羊水を分析するように分光器を配置するように適合された、請求項13または14に記載の装置。
  16. 連結器が、頚管を通して羊水を分析するように分光器を配置するように適合された、請求項13または14に記載の装置。
  17. 連結器が、羊膜の付近の位置で女性に接触して動作するように適合された、請求項1214のいずれか1項に記載の装置。
  18. 光学連結器が膣内プローブに組み込まれる、請求項1217のいずれか1項に記載の装置。
  19. 膣内プローブは超音波デバイスとしても機能する、請求項18に記載の装置。
  20. 光学連結器が光源および2つの光学検出器を備えている、請求項1219のいずれか1項に記載の装置。
  21. 羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生化学的マーカーを測定するためのラマン近赤外分光計であるデバイス、
    羊膜内に器具を挿入せずにインサイチュで羊水を測定するように、該羊膜に関して該デバイスを配置するように適合された連結器、及び
    羊水中の1つまたはそれ以上の選択された生化学的マーカーの値を得るように、該デバイスからの測定データを処理するための処理ユニット
    とを含む、羊膜内に器具を挿入せずに、羊水を含む羊膜を有する妊娠患者においてインサイチュで羊水を分析するためのシステム。
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