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JP5180551B2 - 印刷装置およびその制御方法、並びに、色処理装置およびその方法 - Google Patents

印刷装置およびその制御方法、並びに、色処理装置およびその方法 Download PDF

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Description

本発明は、原稿から読み取った画像を補正するための画像処理に関する。
[褪色補正]
プリンタ、スキャナ、または、それらの機能を一体化しマルチファンクション周辺機器(以下、MFP)の高性能化、低価格化、操作の簡略化に伴い、プリント、スキャン、コピーなどが容易になった。さらに、従来は文書や簡単な図表がスキャン、プリント、コピーの対象だったが、最近は写真もスキャン、プリント、コピーの対象になった。写真の画質に対するユーザの要求は高く、プリント、コピーの色の再現性はユーザにも分かり易いため、画質を決定する重要な要素である。
ところで、銀塩フィルム、写真プリント、印刷物の画像は、光や空気に曝されると、時間とともに褪色する。フィルム、写真プリント、印刷物の耐候性を向上させるために、色材や記録媒体が改良されてはいるが、一度褪色したフィルム、写真プリント、印刷物の画像の色を復元することは難しい。
そこで、画像の特徴量や、補正のための情報を取得して、画像を褪色補正する技術が存在する。例えば、特許文献1の技術は、原稿の画像データの濃度情報を分析して、画像再現条件に関する情報(再現情報)を生成し、画像データに再現情報を付加する。そして、再現条件が付加された画像データを印刷する際は、再現条件に基づき画像データを補正して、原稿画像に近い色を再現する。
また、特許文献2の技術は、原稿画像を読み取り、読み取った画像を解析して画像情報を算出する。算出した画像情報は、読み取った画像を印刷する際に画像出力領域以外に記録される。そして、原稿画像を読み取った際、上記の画像情報を検出すると、その画像情報に基づき読み取った画像を画像処理して印刷する。
これらの技術によれば、褪色した原稿画像から読み取った画像を補正して、原稿画像の本来の色に近い画像を印刷することができる。
[色再現に関する問題]
原稿画像の色と、原稿画像をコピーした画像の色は、デバイスの色再現特性の違いによって変化する。
さらに、人間の視覚のRGB感度と、スキャナのセンサのRGB感度が異なるために色の違いが発生する、メタメリズム(条件等色)のような問題もある。目やセンサのような受容器が認識する物体の色は、入射光、物体の反射スペクトル、受光器のRGB各色の感度によって決まっている。このため、入射光、物体の反射スペクトルが同じでも、受容器の感度が異なれば異なる色と認識される。逆に、入射光、物体の反射スペクトルが異なっても、受容器の感度の分布によっては同じ色と認識される場合がある。
例えば、銀塩写真プリントと、インクジェットプリントの印刷物では、使用する色材や画像表面の構造が異なり、反射スペクトルが異なる。そのため、視覚によれば同一に見える色が、視覚と異なる感度をもつスキャナのセンサでは異なる色と認識される。
この問題を解決するために、特許文献3の技術は、原稿画像の印刷方式を識別し、識別した印刷方式に対応する色修正パラメータを用いて、原稿画像を読み取った画像信号を修正する。特許文献3の技術は、様々な印刷方式に対応した色修正パラメータを予め用意する必要がある。しかし、近年、印刷装置の種類や記録媒体の種類が多様化し、それらすべてについて色修正パラメータを作成することは困難である。
[色補正の問題]
特許文献1、2の技術は、原画像のべた部分や肌色部分のRGB信号値やCMYK信号値、輝度や色成分の平均値など、色バランスが分かる情報によって色補正を行う。しかし、近年のスキャナやプリンタにおいては、特許文献1、2の技術では良好な色補正が行えない。その理由を次に説明する。
まず、RGBデータが同じでも、デバイスによって再現される色は同じ色になるとは限らない。つまり、プリンタの場合、色材や記録媒体などによって色域が決まり、色域を超える色は再現することができない。このため、プリンタにおいては色域マッピングを行って画像データの色域を圧縮する。色域の圧縮は、測色的な一致を目標としたり、階調性を重視したりといった設計意図によって異なる。その結果、たとえオリジナルの画像と同一のRGBデータを復元したとしても、プリンタ、印刷モード、色材、記録媒体などの影響によって、オリジナルの画像の色を再現することができるわけではない。
また、シリアルスキャンタイプのインクジェット記録方式に顕著な問題として、同じインク量でも記録方法によって再現される色が変わる問題がある。
シリアルスキャンタイプのインクジェット記録方式は、記録媒体上をインク吐出部が往復運動しながらインクを吐出する。その間に、インク吐出部の往復運動と直交する方向に記録媒体を送る動作(紙送り)が加わり、最終的に、記録媒体上の全領域にインクを塗布することができる。このような方式の場合、以下の問題がある。
まず、インク吐出部の移動における往路で印刷された色と、復路で印刷された色が、同じインク量でも異なる場合がある。例えば、青色を印刷する場合、シアンCインクとマゼンタMインクを使用するが、図1(a)に示すインク吐出部70がF方向に移動する往路は、記録媒体71の同じ位置に対してC→Mの順にインクが吐出される。逆に、図1(b)に示すインク吐出部70がB方向に移動する復路は、記録媒体71の同じ位置に対してM→Cの順にインクが吐出される。インクジェット記録装置が多く使用する比較的浸透性が高いインクの場合、後に吐出されたインクが先に吐出されたインクの下に潜り込む現象が起こり、その結果、先に吐出したインクの発色が支配的である。つまり、C→Mの順に吐出された場合はシアンよりの青色に見え、M→Cの順序に吐出された場合はマゼンタよりの青色に見える。このため、インク量が同一であっても、往路と復路では再現される色が異なる。
また、インクジェット記録方式の場合、一回のインク吐出の際にインク滴が複数の液滴に分裂する現象が知られている。複数に分裂した液滴は、時間差をもって記録媒体上に着弾するが、インク吐出部70の移動に伴い着弾位置もずれる。着弾位置がずれると、記録媒体上のインクの重なり方が変わり、エリアファクタが変化して、濃度の違いとして色再現に影響する。さらに、往路における着弾位置のずれと、復路における着弾位置のずれは、互いにずれ量や位置が異なる。そのため、たとえ往路と復路で吐出したインクが一種類でも、着弾位置のずれによって濃度や色が変化する場合がある。
さらに、紙送り機構やインク吐出部70の駆動機構の機械的な偏りによっても濃度や色が変化する。つまり、機械的な偏りにより、記録媒体上の着弾位置が乱れ、その結果、濃度や色が変化する。とくに、記録媒体の上端部や下端部は、記録媒体を充分に抑えることができないので、着弾位置がずれ易い場所として知られている。
このように、インクジェット記録方式の場合、一画素に同じインク量のインクを吐出しても、インク吐出部70の移動方向、インクの吐出状況、機械的な偏りなどの影響を受けて、記録媒体上で再現される画素の色は一定せず、位置による色の違いが生じる。
これらの問題に対して、インク吐出部のスキャン方向を一定にする、複数のインク吐出部を用意してインクの吐出順を一定にする、記録媒体上をインク吐出部が複数回スキャンする分割印刷方式を採用する、駆動機構を精密にするなど、様々な対策がとられている。しかし、これらの対策は、印刷速度の低下やコストアップに繋がり、画質向上とのバランスをとるのが難しい。
[褪色補正の問題]
褪色は、色材が光、熱、空気中の酸素などによって破壊されて生じる現象である。色材によって、破壊に強い色材と弱い色材がある。そのため、すべての色が均等に褪色するわけではない。例えば、シアンインクは耐褪色性が高く、マゼンタインクが耐褪色性が低いとすると、印刷初期の段階ではバランスがとれていても、褪色が進むと、マゼンタが薄くなり、相対的にシアンが支配的な色になる。
シアンC、マゼンタM、イエローYの色材のみを使用する場合、その色変換処理として、式(1)に示すような簡易な処理を行うことができる。
C = 255 - R
M = 255 - G …(1)
Y = 255 - B
このような場合、CMYそれぞれの褪色量がわかれば、褪色した画像を読み取った信号値から、元の画像の色を再現することは比較的容易である。
しかし、現在は、高画質化のために基本色のCMYに加えて、ブラックKやグレイGy、同系色の薄い色、色相が異なる色(例えばレッドR、グリーンG)の使用が一般化した。インクの種類が増えた分、褪色の進行度合いも複雑化した。
さらに、色変換処理にも、インクの特性を補正するために、式(1)に示すような簡易な方式ではなく、マトリクス演算やルックアップテーブル(LUT)を用いた複雑な処理が採用されている。言い換えれば、RGBデータに対するインク量の組み合わせは極めて複雑である。
従って、従来から行われている、RGBやCMYといった三原色の平均値や、ヒストグラムから解析した画像全体の色成分の平均値に基づく褪色補正を行えば、色によっては補正が不足し、色によっては補正が過剰になってしまう。例えば、マゼンタ色相は褪色が少なく、レッド色相が大きく褪色している原稿の画像をRGBの平均値、または、ヒストグラムに基づき補正する場合、レッド色相に合わせて補正量を決定すればR成分の補正量が大きくなる。しかし、マゼンタ色相は褪色が少ないので、レッド色相に合わせたR成分の補正量を適用すれば、マゼンタ色相では補正が過剰になる。勿論、マゼンタ色相に合わせて補正量を決定すれば、レッド色相における補正が不足する。
このように、原画像のべた部分や肌色部分のRGB信号値やCMYK信号値、輝度や色成分の平均値など、色バランスを示す情報、原稿の種類を示す情報などでは、受容器による色の認識の違い、褪色を高性能に補正することは難しい。
[その他の問題]
コピーやスキャン時に、読み取った原稿の画像を補正した方がよい場合は、原稿画像の褪色のほかにもある。例えば、原稿の色再現範囲が狭い場合や、原稿を印刷した印刷機の不具合などにより色むらが発生している場合などである。
インクジェット記録方式のMFPは、普通紙や写真用記録紙など様々な記録媒体に対応する。印刷画像の画質は、記録媒体によって大きく左右される。つまり、印刷画像の画質を決める要因の一つに記録媒体が再現可能な色域がある。写真用記録紙のように再現可能な色域が広い記録媒体を使用すれば、鮮やかな色を鮮やに再現することができる。他方、普通紙のように再現可能な色域が狭い記録媒体を使用する場合、鮮やかな色を彩度が低い色で再現せざるを得ない。
逆に、色域が狭い画像を再現可能な色域が広い記録媒体に印刷した場合、印刷画像から読み取った画像の色域が狭いことは判別できる。しかし、色域の狭さが原画像の色域の狭さに起因するのか、原画像の印刷時に色域が狭くなったのかを区別することはできない。従って、読み取った色域の狭い画像をそのままに印刷することになる。
図2は画像の色域を概念的に示す図である。例えば、オリジナルの画像は写真用記録紙に印刷された写真として、オリジナルの画像をコピーしたコピー画像は普通紙に記録されているとする。さらに、コピー画像をコピーした孫コピー画像は写真用記録紙に記録されているとする。
写真用記録紙は、その媒体特性として広い色域80を再現可能である。他方、普通紙は、その媒体特性として色域80よりも狭い色域81を再現可能である。オリジナルの画像が、普通紙の色域81より広い色域82をもつとすると、普通紙へのコピー時に色域マッピングが行われ、画像の色域は色域81またはより狭い色域83に圧縮される。つまり、色域マッピングにより彩度を低下させるなどの画像変換が行われる。
普通紙のコピー画像から写真用記録紙に孫コピーする場合、コピー画像の色域は色域83であるから、孫コピーは、色域83と同等の色域84をもつことになる。つまり、色域80を再現可能な写真用記録紙を使用するにもかかわらず、その性能は発揮されずに、孫コピーの画像は彩度が低下した画像になる。
また、オリジナルの画像の印刷時、印刷機によっては前述した機械的な偏りなどにより、色むらが発生する。通常、色むらがある場合は、色むらを補正した画像をコピーした方がユーザにとってメリットがある。
特開2002-278533公報 特開2003-338941公報 特開2002-300416公報
本発明は、劣化した原稿画像から読み取った画像の高画質化を可能にすることを目的とする。
また、原稿画像から読み取った画像の色むらの低減を可能にすることを他の目的とする。
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
本発明にかかる印刷装置は、画像を印刷する際に用いる印刷制御パラメータを取得し、前記画像から特定の画素を選出し、前記選出した画素の位置情報と色情報を生成し、前記位置情報と色情報を前記画像に付加し、前記位置情報と色情報が付加された画像を、前記印刷制御パラメータを用いて印刷し、前記選出された画素の色情報は前記印刷制御パラメータと前記画素の値を用いて生成されることを特徴とする。
本発明にかかる色処理は上記の印刷装置が印刷した画像を原稿画像として読み取り、前記原稿画像に付加された位置情報と色情報を抽出し、前記読み取った画像の、前記位置情報に対応する画素の色情報を取得し、前記抽出した色情報と、前記取得した色情報に基づき、前記読み取った画像の色を補正することを特徴とする。
本発明によれば、劣化した原稿画像から読み取った画像の高画質化可能にる。
また、原稿画像から読み取った画像の色むらの低減可能にる。
さらに、原稿の種類や読取装置の特性によらず、忠実な読取画像を得ることができる。
以下、本発明にかかる実施例の色処理を図面を参照して詳細に説明する。
また、表色系として均等色空間CIEL*a*b* (1976)を採用する。さらに、簡略化のためL*、a*、b*をそれぞれL、a、bと表現する。なお、表色系はCIEL*a*b*に限らず、CIEL*u*v*など公知の表色系を採用してもよい。
また、オリジナルのディジタル画像を「元画像」または「元画像データ」と呼び、画像を紙やフィルムなどの記録媒体に印刷した印刷物の画像を「プリント画像」と呼ぶ。さらに、プリント画像を読取装置によって読み取った画像を「スキャン画像」または「スキャン画像データ」と呼び、スキャン画像を記録媒体に印刷した印刷物の画像を「コピー画像」と呼ぶ。
[MFP]
図3、図4は実施例のMFP10の概観を示す図である。
MFP10は、ホストコンピュータ(以下、PC)から受信したデータを印刷するプリンタとしての機能、原稿から読み取ったスキャン画像をPCに供給するスキャナとしての機能を有す。さらに、MFP10単体の機能として、原稿から読み取ったスキャン画像を印刷するコピー機能、メモリカードなどの記憶媒体から画像データを読み出して印刷する機能、ディジタルカメラから受信した画像データを印刷する機能を備える。
MFP10はフラットベットスキャナなどの読取装置34、インクジェット方式や電子写真方式などの印刷装置33、表示パネル39や各種キースイッチなどを備える操作パネル35から構成される。また、MFP10の背面などにはPCと通信するための図示しないUSBポートがある。さらに、各種メモリカードからデータを読み出すためのカードスロット42、ディジタルカメラとデータ通信を行うためのカメラポート43、オートドキュメントフィーダ(ADF)31などを有する。
図5はMFPの機能構成例を示すブロック図である。
CPU11は、RAM17をワークメモリとして、ROM16に格納された制御プログラムおよび操作パネル35に対応する操作部15を介して入力されるユーザ操作に従い、システムバス25を介して後述する構成を制御する。また、CPU11は、ROM16に格納された画像処理プログラムを実行して、画像処理部12を実現する。
不揮発性メモリ18は、バッテリバックアップされたSRAMなどで、MFP10に固有のデータなどを記憶する。
操作部15は、メモリカードに記憶された画像を選択し、印刷開始するためのフォトダイレクトプリントスタートキー、オーダシートの印刷を指示するキー、オーダシートの読み込みを指示するキーを有する。さらに、モノクロコピーやカラーコピーにおけるコピースタートキー、コピー解像度や画質などの印刷モードを指定するモードキー、コピー動作などを停止するためのストップキー、コピー数を入力するテンキーや登録キーなどを有する。CPU11は、これらキーの状態(押されているか否か)を検出し、検出状態に応じて各構成を制御する。
表示パネル39に対応する表示部19は、LCDおよびLCDドライブを有し、CPU11の制御に従い各種表示を行う。また、カードI/F22に装着されたメモリカードに記録された画像のサムネイルを表示する。
読取装置34に対応するCCD (charge coupled device)を有す読取部14は、CPU11の制御に従い、原稿画像を読み取り、RGBの輝度データを出力する。なお、CCDの代わりに密着型イメージセンサ(contact image sensor)を用いてもよい。また、ADF31を備えれば、複数の原稿の画像を連続して読み取ることができる。
カードスロット42に対応するカードインタフェイス(I/F) 22は、CPU11の制御に従い、メモリカードなどに記録されたディジタルスチルカメラ(以下、DSC)が撮影した画像を読み込む。なお、カードI/F22を介して読み込まれる画像データの色空間は、必要があれば、画像処理部12によって、DSCの色空間(例えばYCbCr)から標準的なRGB色空間(例えばsRGB)に変換される。また、画像データのヘッダ情報に基づき、読み込まれた画像データは、有効な画素数への解像度変換など、後述するアプリケーションに必要な様々な処理が施される。
カメラポート43に対応するカメラI/F23は、DSCに直接接続して、DSCから画像を読み込むインタフェイスである。
PC I/F24は、PCとMFP10のデータ通信を行う、USBなどの汎用インタフェイスである。PCは、PC I/F24を介してMFP10にプリントやスキャンなどの命令を発行し、データの送受信を行う。
画像処理部12は、CPU11の制御に従い、RAM17に格納された画像データに後述する画像解析、変換特性の算出、輝度-濃度変換、スケーリング、ガンマ変換、誤差拡散などの画像処理を施す。そして、画像処理後の画像データ(印刷データ)をRAM17の所定領域に格納する。CPU11は、RAM17の所定領域に格納された印刷データが所定量に達すると、印刷装置33に対応する記録部13に、画像データが表す画像を記録する動作を行わせる。
印刷装置33に対応する記録部13は、インクジェットヘッド、汎用ICなどによって構成され、CPU11の制御に従い、RAM17の所定領域に格納された印刷データを読み出してプリント出力する。
駆動部21は、読取部14と記録部13の各動作における、給排紙ローラを駆動するためのステッピングモータ、ステッピングモータの駆動力を伝達するギヤ、ステッピングモータを制御するドライバなどを備える。
センサ部20は、記録紙の幅を検出するセンサ、記録媒体の有無を検出するセンサ、原稿の幅を検出するセンサ、原稿の有無を検出するセンサなどを備える。CPU11は、センサ部20のセンサから得られる情報に基づき、原稿および記録媒体の状態を検知することができる。
CPU11は、コピーが指示されると、読取部14で読み取った画像(以下、読取画像)を、画像処理部12に画像処理させて、記録部13に印刷させる。
[オリジナルのプリント画像の作成]
図6はオリジナルのプリント画像を作成する処理を説明するフローチャートである。オリジナルのプリント画像を作成する処理は、ユーザが印刷を指示した元画像から、元画像の色再現に必要な情報(以下、位置色情報と呼ぶ)を生成して、位置色情報を付加した元画像を記録媒体にプリントするものである。
ここでは、元画像がRGB各色8ビットで表されるディジタル画像データとし、記録部13がCMYKインクを備えるインクジェットプリンタとして説明する。また、位置色情報を不可視の情報として元画像に多重化(付加)する例を説明する。
CPU101は、元画像を入力し(S101)、ユーザが操作部15を介して設定し、不揮発性メモリ18に記憶された印刷モード設定情報102に基づき、処理に必要な各種パラメータを設定する(S103)。設定するパラメータには、元画像を印刷するための印刷データを作成する印刷パラメータ、および、位置色情報を抽出するための抽出パラメータなどが含まれる。印刷パラメータは、通常、記録媒体の種類、印刷モードごとに異なる。また、抽出パラメータは、通常、元画像の種類によって異なる。
次に、CPU101は、画像処理部12を制御して、元画像データと印刷パラメータに基づき、印刷データを生成する(S104)。また、元画像データと抽出パラメータを使用して位置色情報を抽出する(S105)。そして、位置色情報を電子透かしとして埋め込むなどの処理により、印刷データに位置色情報を付加する(S106)。
次に、CPU101は、位置色情報を付加した印刷データを記録部13に供給して、プリント画像を印刷させる(S107)。これにより、位置色情報が付加された、オリジナルのプリント画像を作成することができる。
●印刷データの作成
図7は画像処理部12による印刷データの作成処理(S104)を説明する図である。
画像処理部12は、三次元(3D)LUTを用いる色変換処理201によって、RGB各色8ビットのデータを記録部13のインク色に応じたCMYK各色8ビットのデータに変換する。色変換処理201に用いる3DLUTは離散的なデータを保持し、画像処理部12は、必要に応じて補間処理を行い、出力データを計算する。
次に、画像処理部12は、一次元(1D)LUTを用いる出力ガンマ補正202によって、CMYK各色8ビットのデータにガンマ補正を施す。単位面積当たりの印刷ドット数と出力特性(反射濃度など)の関係は、通常、線形関係にはならない。そこで、出力ガンマ補正202によって、CMYK各色8ビットのデータが表す濃度レベルと、その出力特性(反射濃度など)の線形関係を保証する。
次に、画像処理部12は、量子化203によって、CMYK各色8ビットのデータ(C'M'Y'K')を記録部13に応じて量子化する。例えば、記録部13が二値記録装置の場合、C'M'Y'K'データを各色二値のデータ(C"M"Y"K")に二値化する。
●位置色情報の生成
図8はCPU11による位置色情報の生成処理(S105)を説明する図である。
CPU11は、元画像データを解析して、位置色情報を生成するために必要な数Nの画素を選出する(S301)。そして、選出したN個の画素の位置データとRGB値のデータセット(xn, yn, Rn, Gn, Bn)(ただし、1≦n≦N)を取得する(S302)。
次に、CPU11は、印刷モード設定情報102に対応する、ROM16に格納された色変換テーブルを参照して、(xn, yn, Rn, Gn, Bn)のRGB値を色値に変換した(xn, yn, Ln, an, bn)を得る(S303)。なお、色変換テーブルは、RGBからLabへ変換するための位置色情報生成用のテーブルである。そして、得られたデータセット(xn, yn, Ln, an, bn)を位置色情報としてRAM17の所定領域に格納する(S304)。
●印刷パラメータと位置色情報生成用の色変換テーブルの関係
色変換処理201が使用する3DLUTと出力ガンマ補正202が使用する1DLUTである印刷パラメータは、元画像のRGB値をインク量に変換する変換テーブルである。従って、インクの種類、記録媒体の種類、印刷方法などによって区別される印刷モードに応じて異なる印刷パラメータが設定される。印刷パラメータは、規定されたインク量を、規定された印刷モードで記録媒体に付与した場合、目標の色を再現するように設計されている。言い換えれば、印刷パラメータは、特定のRGB値を、特定のLab値(目標値)を再現するインク量に変換するための指針である。一方、ステップS303においてRGB値から位置色情報生成用の色変換テーブルによって変換されるLab値は、上記の目標値(Lab値)と同じ色値である。
図9は位置色情報を抽出するための画素選出を説明する図で、空、山、草原を背景にして、人物と花が写っている元画像(例えばDSCで撮影されたRGB画像データ)である。
この元画像の空の画像領域から画素(選出点1)を選出し、その位置情報とRGB値(x1, y1, R1, G1, B1)を取得する。同様に、花の画像領域から選出点2と3を、草原の画像領域から選出点4を、人物の顔画像領域から選出点5を選出し、各選出点の位置情報とRGB値を取得する。つまり、選出点2〜5に対応する(x2, y2, R2, G2, B2)(x3, y3, R3, G3, B3)(x4, y4, R4, G4, B4)(x5, y5, R5, G5, B5)を取得する。
上記の選出点(五点)は、例えばレッド、グリーン、ブルー、イエローの各色相の代表点、および、記憶色の肌色に対応する。好ましくは、選出点は、一次色CMY、二次色RGBの各色相の明るい領域の色、最大彩度点、暗い領域の色から色空間上でバランスよく選出することが好ましい。具体的には、例えばR色相の場合、選出点は、(R, G, B)=(255, 128, 128)、(255, 0, 0)、(128, 0, 0)またはその付近や近傍の値をもつことが好ましい。さらに、選出点には、白色点(255, 255, 255)と、黒色点(0, 0, 0)またはその付近や近傍の値が含まれることが好ましい。とくに、肌色などの重要な記憶色を選出すると、画質を決定する際に重要な記憶色をより正確に再現することができる。さらに、付加することができるデータ量や、画像種類に応じて選出点を選出してよい。画像種類とは、例えば、判定処理などで人物画像であると判定された場合は肌色を優先して選出するなどの方法である。
また、元画像に同一RGB値の画素が複数存在する場合、どの画素を位置色情報として選出するかはとくに制限しない。上述した機械的な偏りの小さい画像の中央部から多く抽出してもよいし、読取時の偏りを考慮して、同一または略同一RGB値をもつ画素が連続する領域から選出してもよい。このような、選出方法も予め設定されている。
[オリジナルのプリント画像の読取処理]
図10はオリジナルのプリント画像を読み取る処理を説明するフローチャートである。
まず、CPU11は、画像補正を行う画像補正モードが選択されているか否かを判定し(S401)、未選択の場合は通常の画像読取処理を行う(S402)。
画像補正モードが選択されている場合、CPU11は、読取部14を制御して、原稿画像をスキャンし(S403)、スキャン画像を取得する(S404)。そして、スキャン画像から、付加されているN画素分の位置色情報(xn, yn, Ln, an, bn)を抽出する(S405)。
次に、CPU11は、位置色情報の画素位置(xn, yn)に対応する画素のRGB値(Rn', Gn', Bn')をスキャン画像から抽出する(S406)。そして、読取部14のスキャナプロファイルを使用して(Rn', Gn', Bn')を(Ln', an', bn')に変換する(S407)。
以上の処理により、下記の対応関係が得られる。
───┬───────┬──────
位置 │読み取った色値│元画像の色値
───┼───────┼──────
x1, y1│ L1', a1', b1'│ L1, a1, b1
───┼───────┼──────
x2, y2│ L2', a2', b2'│ L2, a2, b2
───┼───────┼──────
: :
───┼───────┼──────
xn, yn│ Ln', an', bn'│ Ln, an, bn
───┴───────┴──────
オリジナルのプリント画像が褪色している場合、オリジナルのプリント画像に付加された位置色情報で示される色と、読取部14によって読み取った褪色後のプリント画像の同一位置の画素の色は異なる。
次に、CPU11は、上記の対応関係に基づき、読み取った色値を元画像の色値に戻す補正係数fを計算する(S408)。そして、補正係数fによりスキャン画像を補正して(S409)、補正後の画像(以下、補正画像)をRAM17の所定領域に格納する(S410)。
なお、補正画像の出力先は記録部13でもよいし、PCを介してモニタに表示してもよい。記録部13に出力すれば、褪色したプリント画像から色補正されたコピー画像を得ることができる。なお、記録部13に出力する場合は図7に示した処理が実行されることは言うまでもない。
●色補正係数fの計算
図11は読取画像(褪色しているとする)から取得した(Ln', an', bn')の色域50を示す図、図12は位置色情報の(Ln, an, bn)の色域51を示す図である。
褪色した画像の色域50は、元画像の色域51に比較して、所謂色かぶりと呼ばれる現象を示したり、彩度の低下を示したり、黒色点が明るい方向にずれていたりする。
CPU11は、色域50を色域51に近付ける(修正する)補正係数fを計算する。補正係数fには、次の補正処理が含まれる。図13は色域の回転処理を示す図で、破線で示す色かぶりした色域52を実線で示す色域53へ回転する処理である。図14は彩度や黒色点の補正処理を示す図で、破線で示す彩度が低下したり黒色点が明るい方向にずれた色域54を色域55へ修正する処理である。さらに、記憶色のデータを使用するピンポイントの変換処理などがある。なお、補正係数fは、変換式、変換テーブル、マトリクス演算の係数などとして提供される。
●情報の付加
印刷物への情報の埋め込み、印刷物に埋め込まれた情報の抽出には、既存の手法を利用することができる。例えば、特開2001-148778公報が開示する手法は次のようなものである。画像を複数の画像領域に領域分割して、各画像領域を誤差拡散法により量子化する。そして、量子化条件を付加する情報に基づき画像領域単位に制御する。画像に付加された情報を抽出する場合は、画像を複数の画像領域に領域分割し、各画像領域を直交変換する。そして、直交変換係数に基づき画像領域を複数のクラスに分類して、分類した各クラスの特徴量に基づき付加された情報を抽出する。
位置色情報の付加方法は、オリジナルのプリント画像に不可視に多重化(埋め込む)方法に限らず、プリント画像の記録媒体の裏面や縁などの領域(画像領域外)に、バーコード、二次元コード、文字、数字、記号などの可視情報を付加する方法でもよい。あるいは、ICチップや磁気記録などを利用して位置色情報を付加してもよいが、その場合、位置色情報の取得は、ICチップのデータや磁気記録を読み取るリーダを利用することになる。
位置色情報を抽出する際の「画素」の単位は限定しない。元画像における画素の単位と、位置色情報の抽出における画素の単位は同一でもよいし、位置色情報の抽出における画素を元画像における画素よりも大きく設定してもよい。位置色情報の解像度が低い場合は、元画像の数画素を一画素単位にし、それら数画素の中心位置と、それら画素のRGB値の平均値から変換したLab値を位置色情報にすればよい。
位置色情報の抽出に使用する選出点の数は限定しない。しかし、選出点が多い方がより高精度の補正が可能になる。なお、選出点が最低三点あれば、3×3のマトリクス演算によって補正係数fを決めることができる。
位置色情報の種類として、Labで説明してきたが、これに限らない。Luvなど別の座標系で表される数値でも良い。さらに、RGBのようなデバイス依存の信号値でも、その色変換プロファイルが既知であれば、位置色情報として使用することができる。色変換プロファイルは、デバイス固有に提供されるものであっても良いし、sRGBのような規定されたプロファイルであっても良い。
このように、オリジナルのプリント画像に付加された位置色情報に基づき、例えば褪色した画像を褪色前の元画像に近い色に補正することができる。勿論、画像を読み取る装置の特性も補正して、より元画像に近い色の画像を得ることができる。
以下、本発明にかかる実施例2の色処理を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
実施例2においては、印刷制御情報を加味して位置色情報を抽出する例を説明する。
前述したように、インクジェットプリンタの場合、インクの重ね順や印刷ヘッドの走査方向などにより色や濃度が変化する。そこで、オリジナルのプリント画像に付加する位置色情報に、位置情報と色値だけではなく、当該位置においてどのような印刷制御を行うかを示す印刷制御情報を加味して色値を調整すると、より正確な補正を行うことができる。
図6に示すステップS103において、印刷モード設定情報102に基づき各種パラメータが設定される。ここで設定されるパラメータには、元画像を印刷するための印刷データを作成するための印刷パラメータ、位置色情報を生成するための位置色情報生成用の変換パラメータ、印刷制御パラメータが含まれる。印刷制御パラメータは、印刷モードによって決まり、記録媒体の紙送量、インク吐出部の往復制御、マルチスキャンの回数などに関する情報である。
印刷制御によって、同一のRGB値に対して複数のLab値が存在する可能性がある。例えば、青色(R, G, B)=(0, 0, 255)に対して、C→M順に印刷されるシアンがかった青色(L, a, b)1と、M→C順に印刷されるマゼンタがかった青色(L, a, b)2が存在する。青色(R, G, B)=(0, 0, 255)に対する(L, a, b)1、(L, a, b)2は位置色情報生成用の色変換パラメータに記載されている。CPU11は、図8に示すステップS301で選出点を決め、その画素位置(x, y)が決定すると、印刷制御パラメータを参照して、その画素位置における印刷制御を解析する。そして、CPU11は、ステップS303で、当該画素のRGB値から複数決定され得るLab値のどれがより正確な色値かを判別して、位置色情報(x, y, L, a, b)を決定する。
なお、印刷制御によって再現される色がどう変化するかは、記録部13が使用するインクの種類や特性、記録媒体の種類や特性、インク吐出部の特性、紙送りなどの機械的特性によって決まる。ただし、すべてのRGB値について上記の判別を行う必要はない。つまり、再現される色が印刷制御の影響を受け難い場合は上記の判別を行う必要はなく、印刷制御の影響が大きい再現色について上記の判別を行えばよい。
このように、実施例1と同様の効果が得られる上、印刷制御の影響を考慮した位置色情報によって、より適切な補正を行うことができ、より元画像に近い色の画像を得ることができる。
[変形例]
実施例1、2では、位置色情報の抽出の際、抽出パラメータに従い選出した画素のRGB値を、印刷パラメータに応じたRGB→Lab変換テーブルを参照してLab値に変換する方法を説明した。しかし、分光測色計や測色器を用いて、オリジナルのプリント画像を直接測色したり、読取特性が既知のスキャナによってオリジナルのプリント画像から読み取ったRGB値をLab値に変換してもよい。つまり、オリジナルのプリント画像が褪色など劣化する以前に、当該作業を行い、位置色情報を生成しておけばよい。
以下、本発明にかかる実施例3の色処理を説明する。なお、実施例3において、実施例1、2と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
実施例1、2では、複数の選出点の色値から変換係数fを計算する例を説明したが、実施例3では、一点の選出点の色値から画像を補正する方法を説明する。ただし、オリジナルのプリント画像を読み取り、付加された位置色情報(x, y, L, a, b)を取得し、読取画像から位置(x, y)の色値(L', a', b')を取得する点は実施例1と同様である。
図15、図16は実施例3の補正原理を説明する図である。
図15に示すように、位置色情報が(x, y, L, a, b)が示すLab座標を点Pとし、読取画像における位置(x, y)の色値(L', a', b')が示すLab座標を点P'とする。点Pはオリジナルのプリント画像を印刷した時点の色を示し、点P'はオリジナルのプリント画像を読み取って得られる現状の色を示すから、プリント画像が褪色など劣化している場合はP≠P'である。
図15に示す点LPとLP'は、点PとP'を明度軸に写像した点で、点LPとP、LP'とP'は同一明度をもつ。従って、点LP'を点LPに補正する計算式は式(2)で示される。つまり、読取画像を明度方向に補正する係数をLP/LP'と設定することができる。
LP = LP'×LP/LP' …(2)
また、図16は点PとP'をほぼ含むab平面を示す。図16に示す点PとP'がほぼ同一色相と見做し、原点と点P、P'の距離をそれぞれCP、CP'とすれば、点P'を点Pに補正する計算式は式(3)で示される。つまり、読取画像を彩度方向に補正する係数をCP/CP'と設定することができる。
P = P'×CP/CP' …(3)
つまり、ある選出点の位置色情報(x, y, L, a, b)と、読取画像の位置(x, y)の色値(L', a', b')の関係から補正係数を計算する。
fL = L/L'
fC = √(a2 + b2)/√(a'2 + b'2) …(4)
そして、補正係数fL、fCを読取画像の各画素の色値に掛ければ、補正画像を得ることができる。
以下、本発明にかかる実施例4の色処理を説明する。なお、実施例4において、実施例1〜3と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
実施例4では、位置色情報と読み取り画像の情報に加えて、オリジナルのプリント画像の印刷に使用したインクや記録媒体の種類から褪色レベルを予測して、読取画像を補正する方法を説明する。
図17は濃度の経時変化情報の一例を示す図で、時間経過に応じたシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色の濃度残存率を示している。濃度残存率は、インクと記録媒体の組み合わせごとに、実験的に取得する。また、予め、時間経過と画像補正量の関係を示す経時補正量情報を実験的に取得しておく。ただし、オリジナルのプリント画像を読み取り、付加された位置色情報(x, y, L, a, b)を取得し、読取画像から位置(x, y)の色値(L', a', b')を取得する点は実施例1と同様である。なお、好ましくは、選出点はシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画素を含むが、それらの中の一色(以下、特定の選出点と呼ぶ)の情報があればよい。
特定の選出点の位置色情報(x, y, L, a, b)と、読取画像の位置(x, y)の画素の色値(L', a', b')の間の濃度変化量に基づき、図17に示す経時変化情報からプリント画像の印刷時期からの経過時間を予測することができる。この経過時間に基づき、経時補正量情報から読取画像の補正量を決定する。
経時変化情報と経補正量情報は、色処理装置のROM16や不揮発性メモリ18に格納してもよいし、例えばプリンタドライバが保持する情報としてPCに供給してもよい。また、経時変化情報と経補正量情報の形態は、変換テーブルでもよいし、マトリクス演算の係数でもよいし、明度や彩度の変換係数でもよい。
[変形例]
上記の実施例では、褪色などにより、元画像の本来の色と、プリント画像から読み取った画像の色が著しく異なるような場合の読取画像の補正を説明した。しかし、位置色情報を利用して、メタメリズムの影響なしに忠実なコピーを行うことができる。つまり、コピーしようとするプリント画像に位置色情報が付加されていれば、望ましい色に補正することができる。
図10に示すステップS404で取得されるスキャン画像を、読取部14に対応するスキャナプロファイルによって変換すると、位置に対応したデータ(xn, yn, Ln', an', bn')を得ることができる。スキャナプロファイルの作成に想定された原稿画像の種類と、読み取った原稿画像の種類が異なると、(Ln', an', bn')は、原稿画像を見た場合の色とは異なる色になり、好ましくない。言い換えれば、位置色情報(xn, yn, Ln, an, bn)が示す(Ln, an, bn)が得られることが好ましい。そこで、実施例1と同様の方法で(Ln', an', bn')を(Ln, an, bn)に変換する補正係数fを計算する。そして、補正係数fを用いて、読取画像を変換すれば、望ましい色の画像を得ることができる。
以下、本発明にかかる実施例5の色処理を説明する。なお、実施例5において、実施例1〜4と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
実施例5では、位置色情報を使用して、コピーを繰り返した場合の画像劣化を低減する処理について説明する。
図18は写真用記録紙のような再現可能な色域60が広い記録媒体に印刷されたプリント画像を、普通紙のような再現可能な色域61が狭い記録媒体にコピーし、さらに、そのコピーから写真用記録紙にコピーする場合の色域の変化を模式的に示す図である。
プリント画像の色域62は、色域60に収まるが色域61より広いとすると、プリント画像を普通紙にコピーする場合、色域マッピングが行われ、画像の色域は色域61またはより狭い色域63に圧縮される。つまり、色域マッピングにより、プリント画像に比べてコピー画像は、コントラストや彩度が低下した、劣化した画像と認識される。
実施例5においては、コピー時に、プリント画像を再現するための位置色情報をコピー画像に付加する。なお、位置色情報は、プリント原稿に付加された情報を使用してもよいし、コピー時に読取画像から抽出してもよい。
そして、コピー画像からコピーする孫コピーの際に、コピー画像に付加された位置色情報を使用して、読取画像を補正する。その結果、孫コピー画像は再び広い色域64をもち、高彩度、高コントラストの、プリント画像に近い画像を得ることができる。なお、色域64は、プリント画像の色域60にほぼ近い広さをもつ。
普通紙を介した孫コピーを行えば、たとえ広い色域が再現可能な写真用記録紙を用いても、画像の色域は狭くなったままである。しかし、本実施例によれば、位置色情報を用いて読取補正することにより、孫コピーにおいても記録媒体に合った、高画質の画像を得ることができる。
以下、本発明にかかる実施例6の色処理を説明する。なお、実施例6において、実施例1〜5と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
上記の実施例においては、オリジナルのプリント画像の色を再現する方法を説明した。実施例6では、位置色情報を用いてオリジナルのプリント画像の印刷時や、プリント画像のスキャン時に発生した色むらを低減する方法を説明する。なお、実施例6では、複数箇所の同一色を示す位置色情報を使用する。
図19は画像を領域AとBに領域分割し、それら領域に選出点を設定した元画像と、元画像をプリントしたプリント画像の読取画像を示す図である。
まず、元画像を二領域A、Bに領域分割し、それら領域から同一のRGB値をもつ画素a、bを選出する。そして、画素aの位置色情報(xa, ya, Ra, Ga, Ba)、画素bの位置色情報(xb, yb, Rb, Gb, Bb)を抽出する。なお、画素aとbは同一のRGB値をもつから(Ra, Ga, Ba)=(Rb, Gb, Bb)になる。
本来、画素aとbは同一の画素値をもつから、元画像を印刷したプリント画像と、プリント画像を読み取った読取画像において、画素aとbは同一色になる筈である。しかし、元画像を印刷したプリンタの機械的な誤差、インクの重ね順などによって色むらが発生したり、読取装置によって色むらが発生する。その結果、しばしば、読取画像における画素aとbのRGB値は(Ra', Ga', Ba')≠(Rb', Gb', Bb')になる。
そこで、式(5)によって、補正係数faとfbを計算する。
(Ra, Ga, Ba) = fa(Ra', Ga', Ba')
(Rb, Gb, Bb) = fb(Rb', Gb', Bb') …(5)
ここで、(Ra, Ga, Ba) = (Rb, Gb, Bb)
そして、読取画像の領域Aに補正係数faを適用し、同領域Bに補正係数fbを適用して、読取画像を補正した補正画像を得る。これにより、領域ごとに補正係数fを算出して、領域ごとに読取画像を補正することで、プリント時や読取時に発生した色むらを補正することができる。
上記では、二領域に領域分割する例を示したが、分割数はとくに限定されず任意である。分割数を増やせば、各領域に対応する色むらの補正係数をより精度よく設定することができるので、色むらをより効果的に低減することができる。
[他の実施例]
なお、本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置、制御装置など)に適用してもよい。
また、本発明の目的は、上記実施例の機能を実現するコンピュータプログラムを記録した記憶媒体をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が前記コンピュータプログラムを実行することでも達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施例の機能を実現することになり、そのコンピュータプログラムと、そのコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は本発明を構成する。
また、前記コンピュータプログラムの実行により上記機能が実現されるだけではない。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、コンピュータ上で稼働するオペレーティングシステム(OS)および/または第一の、第二の、第三の、…プログラムなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
また、前記コンピュータプログラムがコンピュータに接続された機能拡張カードやユニットなどのデバイスのメモリに書き込まれていてもよい。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、第一の、第二の、第三の、…デバイスのCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
本発明を前記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応または関連するコンピュータプログラムが格納される。
インク吐出部の移動における往路と復路で印刷された色が異なることを説明する図、 画像の色域を概念的に示す図、 実施例のMFP1の概観を示す図、 実施例のMFP1の概観を示す図、 MFPの機能構成例を示すブロック図、 オリジナルのプリント画像を作成する処理を説明するフローチャート、 画像処理部による印刷データの作成処理を説明する図、 CPUによる位置色情報の抽出処理を説明する図、 位置色情報を抽出するための画素選出を説明する図、 オリジナルのプリント画像を読み取る処理を説明するフローチャート、 読取画像から取得した(Ln', an', bn')の色域を示す図、 位置色情報の(Ln, an, bn)の色域を示す図、 色域の回転処理を示す図、 彩度や黒色点の補正処理を示す図、 実施例3の補正原理を説明する図、 実施例3の補正原理を説明する図、 濃度の経時変化情報の一例を示す図、 色域の変化を模式的に示す図、 画像を領域分割し、領域に選出点を設定した元画像と、元画像をプリントしたプリント画像の読取画像を示す図である。

Claims (9)

  1. 画像を印刷する際に用いる印刷制御パラメータを取得する取得手段と、
    前記画像から特定の画素を選出する選出手段と、
    前記選出された画素の位置情報と色情報を生成する生成手段と、
    前記位置情報と色情報を前記画像に付加する付加手段と、
    前記位置情報と色情報が付加された画像を、前記印刷制御パラメータを用いて印刷する印刷手段とを有し、
    前記選出された画素の色情報は前記印刷制御パラメータと前記画素の値を用いて生成されることを特徴とする印刷装置。
  2. 前記選出手段は、一次色および二次色の色相における明るい領域の色、最大彩度点、暗い領域の色に対応する画素を前記特定の画素として選出することを特徴とする請求項1に記載された印刷装置。
  3. 前記選出手段は、さらに、白色点と黒色点の近傍の色に対応する画素を前記特定の画素として選出することを特徴とする請求項2に記載された印刷装置。
  4. 前記選出手段は、さらに、記憶色に対応する画素を前記特定の画素として選出することを特徴とする請求項2または請求項3に記載された印刷装置。
  5. 請求項1から請求項4の何れか一項に記載された印刷装置が印刷した画像を原稿画像として読み取る読取手段と、
    前記原稿画像に付加された位置情報と色情報を抽出する抽出手段と、
    前記読取手段が読み取った画像の、前記位置情報に対応する画素の色情報を取得する取得手段と、
    前記抽出手段が抽出した色情報と、前記取得手段が取得した色情報に基づき、前記読取手段が読み取った画像の色を補正する補正手段とを有することを特徴とする色処理装置。
  6. さらに、色の経時変化情報を参照して、前記抽出手段が抽出した位置情報と色情報、および、前記取得手段が取得した前記位置情報に対応する画素の色情報に基づき前記原稿画像の経過時間を予測する予測手段と、
    補正量情報を参照して、前記予測された経過時間から前記読取手段が読み取った画像の色の補正量を決定する決定手段とを有することを特徴とする請求項5に記載された色処理装置。
  7. 取得手段、選出手段、生成手段、付加手段、印刷手段を有する印刷装置の制御方法であって、
    前記取得手段が、画像を印刷する際に用いる印刷制御パラメータを取得し、
    前記選出手段が、前記画像から特定の画素を選出し、
    前記生成手段が、前記選出した画素の位置情報と色情報を生成し、
    前記付加手段が、前記位置情報と色情報を前記画像に付加し、
    前記印刷手段が、前記位置情報と色情報が付加された画像を、前記印刷制御パラメータを用いて印刷し、
    前記選出された画素の色情報は前記印刷制御パラメータと前記画素の値を用いて生成されることを特徴とする制御方法。
  8. 読取手段、抽出手段、取得手段、補正手段を有する色処理装置の色処理方法であって、
    前記読取手段が、請求項1から請求項4の何れか一項に記載された印刷装置が印刷した画像を原稿画像として読み取り、
    前記抽出手段が前記原稿画像に付加された位置情報と色情報を抽出し、
    前記取得手段が前記読み取った画像の、前記位置情報に対応する画素の色情報を取得し、
    前記抽出手段が抽出した色情報と、前記取得手段が取得した色情報に基づき、前記補正手段が前記読み取った画像の色を補正することを特徴とする色処理方法。
  9. コンピュータを請求項5または請求項6に記載された色処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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