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JP5179487B2 - ポリマー - Google Patents

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Description

本発明は、新規ポリマー、および、医用デバイス用生体適合性コーティングとしての、その使用に関する。
主に物理的機能を実行する医用デバイスと、治療作用を提供する薬剤または生物製剤との併用については、重要な臨床的利点が認められている。このようにして、併用デバイスは、治療効力を増大させる一方で、局所領域を標的することによって副作用を抑える。薬剤-デバイス併用市場はきわめて多様であり、現在、生命基本器官の管理カテーテル、骨セメント、ステントなどの血管内薬剤溶出デバイス、骨移植代替物、癌治療、および糖尿病管理の諸分野における製品開発を含む。多くの場合、併用デバイス成功の鍵は、薬剤または生物製剤をデバイスと統合する機構、および、その後の薬剤または製剤放出の変調である。これは、薬剤送達技術、特に、広範な活性物質の担持、放出を可能とする、コーティング基礎技術の進歩によって可能となってきている。
薬剤溶出ステント(DES)の場合ほど、この薬剤-デバイス併用の利益が明白な分野は外にない。ステントとは、腔の内部に、該腔の空洞体を維持するために設置される支持デバイスである。冠状動脈狭窄の場合、ステントは、血管造影と組み合わせてバルーンカテーテルを用いて配置され、再度血流を確立し、動脈腔の直径を回復するために、体内において拡張される。ステント使用に伴う合併症の一つは、ステント設置後における、「過剰な」治癒反応によって再び動脈が狭小となること(再狭窄)である。これは、患者のほぼ25-30%に起こり得る。DESは、ステント設置セグメントにおける細胞の過剰増殖を阻止するために、適切な調剤を局所領域放出することによってこの生物反応に対処し、それによって、ステント処置によって得られる臨床的利点を確保する併用デバイスである。この製薬活性物質(または、活性物質の組み合わせ)は、どのようなものであれ、有害な、局所的または全身的毒作用を最小化するように注意深く選択されることが重要である。活性物質(単数または複数)の局所組織に対する送達を調節するために、しばしば、コーティングが使用される。コーティングは、併用デバイスの最適な臨床的性能を確保するのに適切な特性を持つことがきわめて重要である。例えば、いくつかの市販の薬剤溶出ステントにおいて使用されるポリマーコーティングは、炎症を誘発する可能性のあることが報告されており、この炎症は、存在すると、内皮の発達を遅らせる可能性があり、かつ、後期ステント血栓症の増大を招く場合がある。ステント血栓症は、致命的心筋梗塞と関連するので、ステントコーティングは、いずれのものであれ、不適切な炎症反応はこれを抑え、内皮の再生を促進するように生体適合性でなければならない。
さらに、薬剤溶出ステントのコーティングは、非常に注意深く設計しなければならない。なぜなら、コーティングは、その寿命時間において、たくさんの異なる条件に耐えなければならないからである。これらの条件には、DESの実際の製造段階において、保存時に、または、医師による実際の使用時に遭遇する可能性がある。その寿命時間においてDESコーティングが遭遇する様々な条件の例が、下記に模式的に示される。
Figure 0005179487
したがって、ステントコーティングが克服しなければならない課題は、きわめて多様であり、薬剤溶出ステントの寿命の各段階において異なる。評価された、いくつかのステントコーティングは設計上の欠陥を有するが、これらの欠陥は、種々の要因によってもたらされる。例えば、コーティングが、硬すぎたり、脆すぎる場合がある。これは、高い薬剤担持をステントコーティングに取り込んだ場合、特にそうなる。コーティングが脆すぎると、ステントは、体内展開時に拡張されると、ひび割れを生じる可能性がある。場合によっては、コーティング層が、ステントの表面から剥離する可能性がある。室温で柔らかく、屈曲性を持つように設計されるコーティングがある。これは、そのガラス転移温度(Tg)が、室温未満であることを意味する。そのようなコーティングは加工が難しい可能性がある。なぜなら、ステントをバルーンカテーテルに装着する場合、しばしば高温が使用されるからである。このような状態下では、そのポリマーは、流動し、変形する傾向を持つ。さらに別の結果として、それによって、ポリマーが、バルーンカテーテルに接着する可能性がある。これが起こると、バルーンカテーテルに対する接着の方がステントに対する接着よりも大きい場合、ステント拡張時、コーティング層が剥れる可能性がある。あるいは、コーティングの粘着強度が、バルーンカテーテルに対する接着強度よりも低い場合、粘着性の破綻が生じる可能性がある。この場合も、体内におけるステントの展開後に、バルーンカテーテル表面にコーティング材料の残留を招く可能性がある。したがって、インプラント用に適切なコーティングを設計することは単純な作業ではないことが見て取れるが、コーティングはさらに体内において生体適合性でなければならないことを考えると、特にこの感想は真実味を帯びる。上に挙げたのは、ごく少数の、失敗に導く可能性のある方式にすぎないが、しかし、これらの例は、適切なDESコーティングを設計する場合に直面する、各種設計上の課題を際立たせる。
この点で、本出願者は、これらの課題を解決する、新規クラスのポリマーを特定した。
EP-A-0593561は、一つ以上のラジカル重合可能なモノマーから成るポリマーであって、恒久電荷中心を担う側基、および、該ポリマーを表面に安定に結合させることが可能な、別の側基を有するポリマーを記載する。これらの基のあるものは、官能基であり、例えば、コーティング後、ポリマーの架橋結合を可能とするか、または、リガンドなどの他の成分との反応を可能とする。このポリマーは、デバイスの生体適合性コーティングとして有用であると記載されている。
WO-010957では、双性イオンモノマー、架橋結合性モノマー、および、ヒドロキシルアルキルアクリレートおよびより高次のアルキルアクリレートを含むコモノマーを共重合することによって形成されるポリマーによって、ステントがコートされる。
FR-A-2717818は、新規アクリル系の、さらにジシアノエチレン基を有する双性イオンモノマーを含む、エチレン系不飽和モノマー、およびコモノマーから形成されるポリマーを記載する。一例において、このコモノマーは、約48%のスチレン、約48%の2-エチルヘキシルアクリレート、および3%の新規モノマーを含む。ジシアノエチレン基は、ポリマー中の双性イオンに対し所望の双極モメントを付与する(すなわち、この基は、反応して架橋を形成することはないと思われる)。
EP-A-0594205では、架橋結合可能なコーティング用ポリマーは、加水分解可能なシリル側基、およびヒドロキシル基を有し、これらは、コーティング後反応してポリマーを硬化させる。ポリマーはまた、スチレンおよびアルキルアクリレートを含むモノマーから形成されてもよい。この製品は、ラテックスペイントである。
本発明は、下記(i)〜(iv)を含むモノマー混合物を共重合することによって得られるポリマーを提供する:
(i)5〜40重量%の、下記の一般式(I)を持つ親水性モノマー:
Y-B-X (I)
(上式において、
Bは、一つ以上から過フッ化鎖までのフッ素原子を任意に含む、直鎖または分枝鎖アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサ-アルキレン鎖であるか、または、Bは、XがBと恒久的陽性電荷中心との間に炭素-炭素鎖を含む場合、もしくは、YがBに結合する末端炭素原子を含む場合、価結合であり;
Xは、双性イオン基であり、かつ、
Yは、下記の一般式(II)の、エチレン系不飽和の重合可能基
Figure 0005179487
であって、上式において、
R1は、水素、またはC1-C4アルキル基であり;
A1は、-O-、または-NR2-であり、前式において、R2は、水素またはC1-4アルキル基であるか、または、R2はBXであり、ここに、BおよびXは上に定義した通りである);
(ii)5〜40重量%の、スチレン、または置換スチレン;
(iii)10〜89重量%の、モノマー(a)、または、モノマー(a)、(b)などの混合物であって、これらは、重合されると、下式によって計算される理論的Tgを有するポリマーを形成し、
Figure 0005179487
(上式において、
Tg = ケルビンで表したガラス転移温度、
TgaおよびTgb = ケルビンで表した、それぞれ、“a”および“b”のホモポリマーのガラス転移温度、
WaおよびWb = 成分“a”および“b”の重量割合、である)
該Tgは、モノマー(i)を重合することによって形成されるホモポリマーのTgよりも低く、かつ、モノマー(ii)を重用することによって形成されるホモポリマーのTgよりも低いことを特徴とする混合物;
(iv)0.5〜10重量%の、架橋結合可能基を有するモノマーであって、架橋結合後、該ポリマーは以下の性質を有するようになることを特徴とするモノマー:
(a)15〜90℃の範囲のTg(乾燥時);
(b)室温において少なくとも5 MPaの水和弾性係数;
(c)室温で水和状態において、少なくとも50%の伸長破断;
(d)10〜60%範囲の平衡水分含量。
上述のように、モノマー混合物の第1成分は、親水性モノマーである。このモノマーは、いくつかの目的のために役立つ。第1点として、これは生体適合性であり、したがって、得られるポリマーを、最終的に人体または動物の体内に挿入されるデバイスにおいて使用するのに好適なものとする。さらに、このようなポリマーは重合されてホモポリマーを形成すると、得られるホモポリマーは高いTgを持つ。したがって、このようなモノマーの使用は、得られる最終ポリマーのTgの上昇に貢献する。このため、ポリマーは、乾燥架橋結合状態でも高い弾性係数を示す。このようなモノマーは、特に、好ましい双性イオンモノマーは、その分子構造が大型になりやすく、したがって、ポリマーバックボーンの分節運動を制限するので、ポリマー分子は、流動しにくく、かつ、より強靭になる。さらに、親水性モノマーの取り込みは、ポリマーに親水性を付与するので、該ポリマーから形成されるヒドロゲルは、著明な水含量を持つようになる。水の存在はポリマーを可塑化するので、該ポリマーの基質からの薬剤放出を変える。
好ましい双性イオン基は、恒久的陽性電荷および陰性電荷中心を担う。ある双性イオン基は、細胞中のリン脂質の頭部基の構造を模倣する。理論によって拘束されることを望むものではないが、表面にこのような基が存在することは、該表面をより生体適合性にすると考えられる。通常、恒久的陽性電荷中心は、4価の窒素原子によって与えられる。
式(I)において、Bが価結合であるかどうかに関する条件は、Xにおける双性イオン基が、Yにおける、酸素または窒素などのヘテロ原子に直接結合されないということを確保する。
したがって、好ましい双性イオンモノマーは、下記の一般式(V)または(VI)を持つ:
Figure 0005179487
上式において、R1、A、B、およびXは、式(I)に関して定義した通りであり、Kは、-(CH2)OC(O)-、-(CH2)C(O)O-、-(CH2)NR8-、-(CH2)NR8C(O)-、-(CH2)C(O)NR8-、-(CH2)NR8-、-(CH2)NR8C(O)O-、-(CH2)C(O)NR8-、-(CH2)NR2C(O)O-、-(CH2)OC(O)NR8-、-(CH2)NR8C(O)NR8-(式中、基R8は、同じであっても、異なっていてもよい)、-(CH2)O-、-(CH2)SO3-であるか、または、任意にBと組み合わされて価結合であってもよく、pは1〜12であり、R8は、水素、またはC1-C4アルキル基である。
好ましくは、式(V)の化合物において、R1は、(V)がアクリル酸、メタクリル酸、またはエタクリル酸誘導体となるように、水素、メチル、またはエチルであるが、より好ましくは、メチルである。
式(VI)の化合物において、Kは価結合で、Bは基であってもよく、Kは基で、Bは価結合であってもよく、KおよびBの両方が基であってもよく、あるいは、KおよびBが共に価結合であってもよい。
Kが価結合である場合、Bは基であることが好ましい。
Kが基である場合、pは、1〜6であることが好ましく、より好ましくは1、2、または3であり、もっとも好ましくは、pは1である。Kが、基-(CH2)NR8-、-(CH2)NR8C(O)-、-(CH2)C(O)NR8-、-(CH2)NR8C(O)O-、-(CH2)OC(O)NR8-、または-(CH2)NR8C(O)NR8-である場合、R8は、好ましくは、水素、メチル、またはエチルであり、より好ましくは水素である。
式(VI)の化合物において、好ましくは、ビニル基は、基-K-B-Xに対してパラである。
好ましくは、Bは:
式-(CR9 2)a-のアルキレン基であって、前式において、基-(CR9 2)a-は、同じか異なり、各基-(CR9 2)a-において、基R9は同じか異なり、各基R9は、水素、フッ素、または、C1-4アルキルまたはフルオロアルキル、好ましくは水素であり、aは、1〜12、好ましくは1〜6であるか;
オキサアルキレン基、例えば、各アルキル成分において1〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、より好ましくは、
-CH2O(CH2)4-であるか;または、
式-[(CR10 2)bO]c(CR10 2)b-のオリゴ-オキサアルキレン基であって、前式において、基-(CR10 2)-は、同じか異なり、各基-(CR10 2)-において、基R10は、同じか異なり、各基R10は、水素、フッ素、または、C1-4アルキルまたはフルオロアルキル、好ましくは水素であり、bは、1〜6、好ましくは2または3であり、cは、2〜11、好ましくは2〜5であるか;または、
Xが、Bおよび双性イオンの間に炭素-炭素鎖を含む場合、あるいは、Yが、末端炭素原子を含む場合、価結合である。
好ましい基Bとして、任意に一つ以上のフッ素原子を含む、最大12個の炭素原子から成る、アルキレン、オキサアルキレン、およびオリゴ-オキサアルキレン基が挙げられる。ポリマーが、疎水性表面をコートすることが意図されない場合、したがって、物理吸着によって表面に結合することが意図されない場合、Bは、フッ素原子をまったく含まない、アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサアルキレン基であることが好ましい。
式(VI)の化合物において、KおよびBは、最大で、合計12個の炭素原子を含むことが好ましい。
好ましい双性イオン基は、下記に定義される式(VIIB)、(VIIC)、(VIID)、(VIIE)、および(VIIF)の基である:このような基を含むモノマーは、表面に結合することが可能な基を含む、さらに別のモノマーと組み合わせて、式(VIIB)-(VIIF)の基から成るコポリマーを提供してもよく、特に、(VIIC)は格別好ましい。
さらに、恒久的陽性電荷中心と、物理吸着によって表面に結合することが可能なアルキル、フルオロアルキル、またはシロキサン基との両方を含むモノマーとして、式(VIIIA)、(VIIIB)、および(VIIIC)の基が好ましい。
式(VIIB)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R11は、同じか異なり、それぞれ、水素、またはC1-4アルキルであり、dは、2〜4である。
好ましくは、複数の基R11は同じである。さらに、これらの基R11の少なくとも一方がメチルであることが好ましく、これらの基R11が両方ともメチルである方がより好ましい。
dは2または3であることが好ましく、より好ましくは3である。
Xが式(VIIB)の基である場合、好ましくは、Bは、式-(CR9 2)-、または-(CR9 2)2-の基、
例えば、-(CH2)-、または-(CH2CH2)-である。
式(VIIC)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R12は、同じか異なり、それぞれ、水素またはC1-4アルキルであり、eは、1〜4である。
好ましくは、複数の基R12は同じである。さらに、これらの基R12の少なくとも一つがメチルであることが好ましく、これらの基R12が全てメチルである方がより好ましい。
eは2または3であることが好ましく、より好ましくは2である。
Xが式(VIIC)の基である場合、好ましくは、Bは、式-(CR9 2)-、または-(CR9 2)2-の基、
例えば、-(CH2)-、または-(CH2CH2)-である。
式(VIID)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R13は、同じか異なり、それぞれ、水素、またはC1-4アルキルであり、R13は、水素であるか、またはより好ましくは、基-C(O)B1R13bであり、前式において、R13bは、水素またはメチル、好ましくはメチルであり、B1は、価結合、または、直鎖または分枝鎖アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサアルキレン基であり、fは、1〜4であり;
かつ、
Bが価結合以外であれば、Zは1であり、Bが価結合であれば、Zは0であり、Xが、酸素または窒素原子に、およびその他のやり方で直接結合する場合、Zは1である。
好ましくは、複数の基R13は同じである。さらに、これらの基R13の少なくとも一つがメチルであることが好ましく、これらの基R13が全てメチルである方がより好ましい。
fは1または2であることが好ましく、より好ましくは2である。
好ましくは、B1は:
価結合であるか;
式-(CR9a 2)aa-のアルキレン基であって、前式において、基-(CR9a 2)-は、同じか異なり、各基-(CR9a 2)-において、基R9a-は、同じか異なり、各基R9a-は、水素またはC1-4アルキル、好ましくは水素であり、aaは、1〜12、好ましくは1〜6であるか;

Figure 0005179487
オキサアルキレン基、例えば、各アルキル成分の中に1〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、より好ましくは、
-CH2O(CH2)4-であるか;または、
式-[(CR10a 2)baO]ca-のオリゴ-オキサアルキレン基であって、前式において、基-(CR10a 2)-は、同じか異なり、各基-(CR10a 2)-において、基R10a-は、同じか異なり、各基R10a-は、水素またはC1-4アルキル、好ましくは水素であり、baは、1〜6、好ましくは2または3であり、caは、1〜12、好ましくは、1〜6である。
好ましい基B1としては、価結合、および最大12個の炭素原子から成る、アルキレン、オキサアルキレン、およびオリゴ-オキサアルキレン基が挙げられる。
好ましくは、BおよびB1は同じである。
Xが、式(VIID)の基である場合、好ましくは、Bは、式-[(CR10 2CR10 2)cOb]CR10 2CR10 2-の基、例えば、-(CH2CH2O)c(CH2CH2)-である。
式(VIIE)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R14は、同じか異なり、それぞれ、水素、またはC1-4アルキルであり、R14aは、水素であるか、またはより好ましくは、基-C(O)B2R14bであり、R14bは、水素またはメチル、好ましくはメチルであり、B2は、価結合、または、直鎖または分枝鎖アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサアルキレン基であり、gは、1〜4であり;かつ、
Bが価結合以外であれば、Zは1であり、Bが価結合であれば、Zは0であり、Xが、酸素または窒素原子に、およびその他のやり方で直接結合する場合、Zは1である。
好ましくは、複数の基R14は同じである。さらに、これらの基R14の少なくとも一つがメチルであることが好ましく、これらの基R14が全てメチルである方がより好ましい。
gは1または2であることが好ましく、より好ましくは2である。
好ましくは、B2は:
価結合であるか;
式-(CR9b 2)ab-のアルキレン基であって、前式において、基-(CR9b 2)-は、同じか異なり、各基-(CR9b 2)-において、基R9b-は、同じか異なり、各基R9b-は、水素またはC1-4アルキル、好ましくは水素であり、abは、1〜12、好ましくは1〜6であるか;
オキサアルキレン基、例えば、各アルキル成分の中に1〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、より好ましくは、-CH2O(CH2)4-であるか;または、
式-[(CR10b 2)bbO]cb-のオリゴ-オキサアルキレン基であって、前式において、基-(CR10b 2)-は、同じか異なり、各基-(CR10b 2)-において、基R10b-は、同じか異なり、各基R10b-は、水素またはC1-4アルキル、好ましくは水素であり、bbは、1〜6、好ましくは2または3であり、cbは、1〜12、好ましくは、1〜6である。
好ましい基B2としては、価結合、および最大12個の炭素原子から成る、アルキレン、オキサアルキレン、およびオリゴ-オキサアルキレン基が挙げられる。
好ましくは、BおよびB2は同じである。
Xが、式(VIIE)の基である場合、好ましくは、Bは、式-[(CR10 2CR10 2)bO]cCR10 2CR10 2-の基、例えば、-(CH2CH2O)cCH2CH2-である。
式(VIIF)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R15は、同じか異なり、それぞれ、水素、またはC1-4アルキルであり、R15aは、水素であるか、またはより好ましくは、基-C(O)B3R15bであり、前式において、R15bは、水素またはメチル、好ましくはメチルであり、B3は、価結合、または、直鎖または分枝鎖アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサアルキレン基であり、hは、1〜4であり;かつ、
Bが価結合以外であれば、Zは1であり、Bが価結合であれば、Zは0であり、または、Xが、酸素または窒素に、およびその他のやり方で直接結合する場合、Zは1である。
好ましくは、複数の基R15は同じである。さらに、これらの基R15の少なくとも一つがメチルであることが好ましく、これらの基R15が全てメチルである方がより好ましい。
hは1または2であることが好ましく、より好ましくは2である。
好ましくは、B3は:
価結合であるか;
式-(CR9c 2)ac-のアルキレン基であって、前式において、基-(CR9c 2)-は、同じか異なり、各基-(CR9c 2)-において、基R9c-は、同じか異なり、各基R9c-は、水素またはC1-4アルキル、好ましくは水素であり、acは、1〜12、好ましくは1〜6であるか;
オキサアルキレン基、例えば、各アルキル成分の中に1〜6個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、より好ましくは、-CH2O(CH2)4-であるか;または、
式-[(CR10c 2)bcO]cc-のオリゴ-オキサアルキレン基であって、前式において、基-(CR10c 2)-は、同じか異なり、各基-(CR10c 2)-において、基R10c-は、同じか異なり、各基R10c-は、水素またはC1-4アルキル、好ましくは水素であり、bcは、1〜6、好ましくは2または3であり、ccは、1〜12、好ましくは、1〜6である。
好ましい基B3としては、価結合、および最大12個の炭素原子から成る、アルキレン、オキサアルキレン、およびオリゴ-オキサアルキレン基が挙げられる。
好ましくは、BおよびB3は同じである。
Xが、式(IVF)の基である場合、好ましくは、Bは、式-[(CR10 2CR10 2)bO]cCR10 2CR10 2-の基、例えば、-(CH2CH2O)cCH2CH2-である。
さらに別の双性イオン基は、式(VIIIA)、(VIIIB)、および(VIIIC)を持つ。これらの基も、物理吸着によって表面に結合することが可能な、アルキルまたはフルオロアルキル基を含む。したがって、このような基を含むモノマーは、物理吸着によって疎水性表面に結合することが可能な基を含むコモノマーを別に任意に含まなくてよく、本発明のポリマーにおいて使用するのに特に好適である。
式(VIIIA)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R16は、同じか異なり、それぞれ、水素、またはC1-4アルキルであり、R16aは:
(a)基-[C(O)]vw(CR16b 2)vw(SiR16c 2)(OSiR16c 2)wR16cであり、前式において、各基R16bは、同じか異なり、水素、または1〜4個の炭素原子のアルキルであり、各基R11cは、同じか異なり、1〜4個の炭素原子のアルキル、またはアラルキル、例えば、ベンジル、またはフェネチルであり、vwは、0または1であり、wwは、vwおよびwwが共に0でないことを条件に、0〜6であり、かつ、vvは、0〜49である、または;
(b)式-C(O)B4-R16dの基であり、前式において、R16dは、水素またはメチルであり、B4は、価結合、または、任意に一つ以上のフッ素原子、および、6〜24個の、好ましくは6〜18個の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサアルキレン基である、
のいずれかであり;
iは、1〜4であり;および、
Bが価結合以外であれば、Zは1であり、Bが価結合であれば、Zは0であり、Xが、酸素または窒素に、およびその他のやり方で直接結合する場合、Zは1である。
好ましくは、複数の基R16は同じである。さらに、これらの基R16の少なくとも一つがメチルであることが好ましく、これらの基R16が全てメチルである方がより好ましい。
iは1または2であることが好ましく、より好ましくは2である。
R16aが、上記(a)で定義したシロキサン基である場合、各基(CR16b 2)は、同じか異なってもよいが、同じであることが好ましく、好ましくは、各R16bは水素である。好ましくは、wwは2〜4であり、vwが0の場合は3、vwが1の場合は2であることがもっとも好ましい。各基(SiR16c 2)は、同じか異なってもよいが、同じであることが好ましく、好ましくは、各R16cはメチルである。
好ましくは、vvは、4〜29である。
好ましくは、基R16aは、上に定義した基-C(O)B4-R16dである。この場合、好ましくは、B4は:
価結合であるか;
式-(CR9d 2)ad-のアルキレン基であって、前式において、基-(CR9d 2)-は、同じか異なり、各基-(CR9d 2)-において、基R9d-は、同じか異なり、各基R8d-は、水素、フッ素、またはC1-4アルキルまたはフルオロアルキル、好ましくは水素またはフッ素であり、adは、1〜24、好ましくは18までであるか;
オキサアルキレン基、例えば、各アルキル成分の中に1〜6個の炭素原子、および任意に1個以上のフッ素原子を有するアルコキシアルキルであるか;または、
式-[(CR10d 2)bdO]cd-のオリゴ-オキサアルキレン基であって、前式において、基-(CR10d 2)-は、同じか異なり、各基-(CR10d 2)-において、基R10d-は、同じか異なり、各基R10d-は、水素、フッ素、またはC1-4アルキルまたはフルオロアルキル、好ましくは水素またはフッ素であり、bdは、2〜6、好ましくは3または4であり、cdは、1〜12、好ましくは、1〜6である。
B4が、基-[(CR10d 2)bdO]cd-であり、前式において、基R10dが水素であり、全ての基-[(CR10d 2)bdO]-において、bdが2であると、式(VIIIA)のモノマーの残基は、疎水性表面と、強力な二次的価相互反応を形成することができない。このようなモノマー残基も、本発明のポリマーの中に含めてよいが、二次的価相互反応が、ポリマーを表面に結合するに違いない場合、強力な、そのような反応を形成することが可能なモノマー残基を含めることもまた通常必要である。
オリゴ(比較的高次のアルキレン)オキシド成分を含む基VIIIAを有するモノマーは、強力な、二次的価相互反応を実現するために使用が可能なので、オリゴアルキレンオキシド成分を含むモノマーで、個々のアルキレンオキシド単位の内、3個以上の炭素原子を含むモノマーが、少なくとも50、好ましくは70、より好ましくは90 mol%であれば、その使用が可能である。したがって、例えば、エチレンオキシド単位よりも、プロピレンオキシド単位の方がより多く存在する限り、例えば、混合オリゴ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)側鎖を使用することが可能と考えられる。
B4が、基-[(CR10 2)bdO]cd-の場合、かろうじて50、好ましくは70、より好ましくは90 mole%以下の残基-[(CR10d 2)bdO]-において、bdは、好ましくは2である。
基-B4-R16aが、表面と、強力な、二次的価相互作用を形成することが可能な基である場合、基(VIIIA)を含むモノマーは、任意に一つ以上のエーテル酸素原子を含む、アルキルまたはフルオロアルキル基を含む双性イオンモノマーとして使用するのに特に好適である。好ましくは、このような場合、-B4-R16aは、任意に一つ以上のエーテル酸素原子、および、好ましくは6個以上の炭素原子を含むアルキル基、または、任意に一つ以上のエーテル酸素原子、および好ましくは6個以上の炭素原子を含むフルオロアルキル基である。
一実施態様では、BおよびB4は同じであってもよい。
式(VIIIB)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R17は、同じか異なり、それぞれ、水素、またはC1-4アルキルであり、R17aは:
(a)基-[C(O)]tu(CR17b 2)uu(SiR17c 2)(OSiR17c 2)ttR17cであって、前式において、各基R17bは、同じか異なり、水素、または1〜4個の炭素原子のアルキルであり、各基R17cは、同じか異なり、1〜4個の炭素原子のアルキル、またはアラルキル、例えば、ベンジル、またはフェネチルであり、tuは、0または1であり、uuは、tuおよびuuが共に0でない限り、0〜6であり、かつ、ttは、0〜49であるか;または
(b)式-C(O)B5-R17dの基であって、前式において、R17dは、水素またはメチルであり、B5は、価結合、および、任意に一つ以上のフッ素原子、および、6〜24個の、好ましくは6〜18個の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサアルキレン基である、
のいずれかであり;
jは、1〜4であり;および、
Bが価結合以外であれば、Zは1であり、Bが価結合であれば、Zは0であり、Xが、酸素または窒素に、およびその他のやり方で直接結合する場合、Zは1である。
好ましくは、複数の基R17は同じである。さらに、これらの基R17の少なくとも一つがメチルであることが好ましく、これらの基R17が全てメチルである方がより好ましい。
jは1または2であることが好ましく、より好ましくは2である。
R17aが、上記(a)で定義したシロキサン基である場合、各基(CR17b 2)は、同じか異なってもよいが、同じであることが好ましく、好ましくは、各R17bは水素である。好ましくは、uuは2〜4であり、tuが0の場合は3、tuが1の場合は2であることがもっとも好ましい。各基(SiR17c 2)は、同じか異なってもよいが、同じであることが好ましく、好ましくは、各R17cはメチルである。
好ましくは、ttは、4〜29である。
好ましくは、基R17aは、上に定義した基-C(O)B4-R17dである。この場合、好ましくは、B5は:
価結合であるか;
式-(CR9e 2)ae-のアルキレン基であって、前式において、基-(CR9e 2)-は、同じか異なり、各基-(CR9e 2)-において、基R9e-は、同じか異なり、各基R9e-は、水素、フッ素、またはC1-4アルキル、またはフルオロアルキル、好ましくは水素またはフッ素であり、aeは、1〜24、好ましくは6〜18であるか;
オキサアルキレン基、例えば、各アルキル成分の中に1〜6個の炭素原子、および任意に1個以上のフッ素原子を有するアルコキシアルキルであるか;または、
式-[(CR10e 2)beO]ce-のオリゴ-オキサアルキレン基であって、前式において、基-(CR10e 2)-は、同じか異なり、各基-(CR10e 2)-において、基R10e-は、同じか異なり、各基R10e-は、水素、フッ素、またはC1-4アルキル、またはフルオロアルキル、好ましくは水素またはフッ素であり、beは、2〜6、好ましくは3または4であり、ceは、1〜12、好ましくは、1〜6である。
B5が、基-[(CR10e 2)beO]ce-であり、前式において、基R10eが水素であり、全ての基-[(CR10e 2)beO]-において、beが2であると、式(VIIIB)のモノマーの残基は、疎水性表面と、強力な二次的価相互反応を形成することができない。このような強力な二次的価相互作用を形成することが可能なモノマー残基は、表面に対するポリマーの結合を支援すると考えられる。オリゴ(比較的高次のアルキレン)オキシド成分を含む基を有するモノマーは、強力な、二次的価相互反応を実現するために使用が可能なので、オリゴアルキレンオキシド成分を含むモノマーで、個々のアルキレンオキシド単位の内、3個以上の炭素原子を含むモノマーが、少なくとも50、好ましくは70、より好ましくは90 mol%であれば、その使用が可能である。したがって、例えば、エチレンオキシド単位よりも、プロピレンオキシド単位の方がより多く存在する限り、例えば、混合オリゴ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)側鎖を使用することは可能と考えられる。
B5が、基-[(CR10e 2)beO]ce-の場合、かろうじて50、好ましくは70、より好ましくは90 mole%の残基-[(CR10e 2)beO]-において、beは、好ましくは2である。
基-B5-R17aが、表面と、強力な、二次的価相互作用を形成することが可能な基である場合、基(VIIIB)を含むモノマーは、任意に一つ以上のエーテル酸素原子を含む、アルキルまたはフルオロアルキル基を含む双性イオンモノマーとして使用するのに特に好適である。好ましくは、このような場合、-B5-R12aは、任意に一つ以上のエーテル酸素原子、および、好ましくは6個以上の炭素原子を含むアルキル基、または、任意に一つ以上のエーテル酸素原子、および好ましくは6個以上の炭素原子を含むフルオロアルキル基である。
一実施態様では、BおよびB5は同じであってもよい。
式(VIIIC)の基は:
Figure 0005179487
であり、上式において、複数の基R18は、同じか異なり、それぞれ、水素、またはC1-4アルキルであり、R18aは:
(a)基-[C(O)]rs(CR18b 2)ss(SiR18c 2)(OSiR18c 2)rrR18cであって、前式において、各基R18bは、同じか異なり、水素、または1〜4個の炭素原子のアルキルであり、各基R13cは、同じか異なり、1〜4個の炭素原子のアルキル、またはアラルキル、例えば、ベンジル、またはフェネチルであり、rsは、0または1であり、ssは、rsおよびssが共に0でない限り、0〜6であり、かつ、rrは、0〜49であるか;または、
(b)式-C(O)B6-R18dの基であって、前式において、R18aは、水素またはメチルであり、B6は、価結合、または、任意に一つ以上のフッ素原子、および、6〜24個の、より好ましくは6〜18個の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖アルキレン、オキサアルキレン、またはオリゴ-オキサアルキレン基である、
のいずれかであり、kは、1〜4であり;および、
Bが価結合以外であれば、Zは1であり、Bが価結合であれば、Zは0であり、Xが、酸素または窒素に、およびその他のやり方で直接結合する場合、Zは1である。
好ましくは、複数の基R13は同じである。さらに、これらの基R13の少なくとも一つがメチルであることが好ましく、これらの基R13が全てメチルである方がより好ましい。
kは1または2であることが好ましく、より好ましくは2である。
R18aが、上記(a)で定義したシロキサン基である場合、各基(CR18b 2)は、同じか異なってもよいが、同じであることが好ましく、好ましくは、各基R18bは水素である。好ましくは、ssは2〜4であり、rsが0の場合は3、rsが1の場合は2であることがもっとも好ましい。各基(SiR18c 2)は、同じか異なってもよいが、同じであることが好ましく、好ましくは、各基R18cはメチルである。好ましくは、rrは、4〜29である。
好ましくは、基R18aは、上に定義した基-C(O)B6R18dである。この場合、好ましくは、B6は:
価結合であるか;
式-(CR9f 2)af-のアルキレン基であって、前式において、基-(CR9f 2)-は、同じか異なり、各基-(CR9f 2)-において、基R9f-は、同じか異なり、各基R9f-は、水素、フッ素、またはC1-4アルキル、またはフルオロアルキル、好ましくは水素またはフッ素であり、1〜24、好ましくは6〜18であるか;、
オキサアルキレン基、例えば、各アルキル成分の中に1〜6個の炭素原子、および任意に1個以上のフッ素原子を有するアルコキシアルキルであるか;または、
式-[(CR10f 2)bfO]cf-のオリゴ-オキサアルキレン基で、前式において、基-(CR10f 2)-は、同じか異なり、各基-(CR10f 2)-において、基R10f-は、同じか異なり、各基R10f-は、水素、フッ素、またはC1-4アルキル、またはフルオロアルキル、好ましくは水素またはフッ素であり、bfは、2〜6、好ましくは3または4であり、cfは、1〜12、好ましくは、1〜6である。
B6が、基-[(CR10f 2)bfO]cf-であり、前式において、基R10fが水素であり、全ての基-[(CR10c 2)bfO]-において、bfが2であると、式(VIIIC)のモノマーの残基は、疎水性表面と、強力な二次的価相互反応を形成することができない。このようなモノマー残基も、本発明のポリマーの中に含めてよいが、二次的価相互反応が、ポリマーを表面に結合するに違いない場合、強力な、そのような反応を形成することが可能なモノマー残基を含めることもまた通常必要である。オリゴ(比較的高次のアルキレン)オキシド成分を含む基VIIIAを有するモノマーは、強力な、二次的価相互反応を実現するために使用が可能なので、オリゴアルキレンオキシド成分を含むモノマーで、個々のアルキレンオキシド単位の内、3個以上の炭素原子を含むモノマーが、少なくとも50、好ましくは70、より好ましくは90 mol%であれば、その使用が可能である。したがって、例えば、エチレンオキシド単位よりも、プロピレンオキシド単位の方がより多く存在する限り、例えば、混合オリゴ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)側鎖を使用することが可能と考えられる。
B6が、基-[(CR10 2)bfO]cf-の場合、かろうじて50、好ましくは70、より好ましくは90 mole%以下の残基-[(CR10d 2)bfO]-において、bfは、好ましくは2である。
基-B6-R18aが、表面と、強力な、二次的価相互作用を形成することが可能な基である場合、基(VC)を含むモノマーは、任意に一つ以上のエーテル酸素原子を含む、アルキルまたはフルオロアルキル基を含む双性イオンモノマーとして使用するのに特に好適である。好ましくは、このような場合、-B6-R18aは、任意に一つ以上のエーテル酸素原子、および、好ましくは6個以上の炭素原子を含むアルキル基、または、任意に一つ以上のエーテル酸素原子、および好ましくは6個以上の炭素原子を含むフルオロアルキル基である。
一実施態様では、BおよびB6は同じであってもよい。
好ましい双性イオンモノマーの特定例は、2(メタクリロイルオキシ)エチル-2’(トリメチルアンモニウム)エチルリン酸内部塩、および1[4(4’-ビニルベンゾイルオキシ)ブタン]2”(トリメチルアンモニウム)エチルリン酸内部塩である。
式(V)および(VI)のもののような双性イオンモノマーは、既知の反応、例えば、前駆体として適切な置換アルキル(アルク)アクリレート、または適切な置換スチレンを用いた通例技術によって調製してもよい。 適切な置換アルキル(アルク)アクリレートの例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、および2-ヒドロキシ(メタ)クリレートが挙げられる。
R13aが、-C(O)B1R13dである、式(VIID)の基を含む式(V)または(VI)のモノマーは、グリセロフォスフォリルコリンまたはその類縁体を、一次ヒドロキシル基において、活性化酸誘導体、例えば、無水酸O(C(O)B1R13b)2、またはハロゲン化酸R13bB1COHalによって選択的にアシル化し、次いで、二次ヒドロキシル基を、適切なアシル化剤、例えば、塩化メタクリロイルによってアシル化することによって調製してよい。なお、後の式において、B1およびR13bは、上に定義した通りであり、Halはハロゲンである。各アシル化終了後に、または、第2アシル化終了後のみにおいて、精製を、例えば、適切な支持体におけるカラムクロマトグラフィーによって実行してもよい。適切な活性化酸誘導体としては、無水酸、ハロゲン化酸、反応性エステル、およびイミダゾリドが挙げられる。アシル化は、適切な、無水の、非プロトン性溶媒、例えば、N,N-ジメチルフォルムアミド中で、任意に非求核性塩基、例えばトリエチルアミンの存在下に、実行してよい。
それとは別に、グリセロフォスフォリルコリンまたはその類縁体の一次アルコール基は、標準的条件下において、適切な保護基試薬、例えば、t-ブチルジメチルシリルクロリドと反応させることによってブロックし、次いで、二次的ヒドロキシ基を、メタクリロイルクロリドなどのアシル化剤によって処理してもよい。このt-ブチルジメチルシリル保護基は、希釈した有機酸または鉱酸、例えば、p-トルエンスルフォン酸、塩酸によって、または、テトラ-ブチルアンモニウムフロリドによって処理することによって除去してもよい。次に、ブロックを外された一次ヒドロキシル基は、活性化酸誘導体、例えば、無水酸O(C(O)B1R13b)2、またはハロゲン化酸R13bB1COHalによって処理してもよい。前式において、B1およびR13bは、上に定義した通りであり、Halはハロゲンである。
グリセロフォスフォリルコリン類縁体(R13aが水素である、基(VIID)を含む式(V)または(VI)の化合物)は、ジクロロメタンなどの不活性非プロトン溶媒において、酸化塩化リンをブロモアルコールと反応させ、ブロモアルキルフォスフォロジクロリデートを生じることによって調製してもよい。このようにして生産されるジクロロ誘導体は、塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下に、適切に保護されたグリセロール誘導体、例えば、2,2-ジメチル1,3-ジオキソラン-4-メタノールで処理し、次いで、酸加水分解を行い、ブロモアルキルフォスフォログリセロール誘導体を生じてもよい。次に、これを、R13が上に定義した通りである、アミンNR13 3、例えば、トリメチルアミンによって処理し、グリセロフォスフォリルコリン類縁体を生じてもよい。この調製は、下記のスキームに描かれる。
Figure 0005179487
上式において、R13およびfは、式(VIID)の基に関連して定義した通りである。
R14aが-C(O)B2R14bである、式(VIIE)の基を含む、式(V)または(VI)のモノマーは、グリセロフォスフォリルコリンまたはその類縁体を、標準的条件下に塩化メタクリロイルによって、一次ヒドロキシル基において選択的にアシル化し、次いで、二次ヒドロキシル基において、活性化酸誘導体、例えば、ハロゲン化酸O(C(O)B2R14b)2、またはハロゲン化酸R14bB2COHalを用いて反応させることによって調製してもよい。なお、前式において、B2およびR14bは、上に定義した通りであり、Halはハロゲンである。中間体および最終産物は、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーを用いて精製してもよい。式(VIID)の基を含むモノマー生産に関連して上述したものと同様の保護基戦略を、ここでも任意に採用してよい。
式(VIIF)の基を含む式(V)または(VI)のモノマーは、式(VIID)または(VIIE)の基を含むモノマーと同様の方法で調製してよい。
式(VIIIA)、(VIIIB)、または(VIIIC)の基を含む式(V)または(VI)のモノマーは、それぞれ、式(VIID)、(VIIE)、および(VIIE)の基を含むモノマーに関して記載されるものと直接的な類似法によって調製してよい。
モノマー(i)は、5〜40重量%範囲の量としてモノマー混合物に含まれる。存在する親水性モノマーの量を変えることによって、形成されるポリマーが水分を吸収する程度および速度が変動する。本発明のポリマーは、架橋結合後、10〜60%範囲の水分含量を有する。ポリマーの水分含量および水和速度は、いくつかの理由で重要である。乾燥状態では、ポリマーの示す屈曲性は僅かであるが、水分を吸収すると、ポリマーの実効Tgを下げる可塑化が観察される。第2に、ポリマーの水分含量は、ポリマーからの薬剤の溶出速度を変調する。ポリマーが水分を吸収する速度も重要である。臨床場面では、デバイスが、体内に導入され、設置され、きわめて短期間に展開される場合がある。ステントの場合、これは、60秒以下で起こることが考えられ、したがって、コーティングの可塑化を確保し、脆すぎることによるコーティングのひび割れや、デバイス表面からのコーティング層剥離の危険性を抑えるために、コーティングの速やかな水和は重要である。さらに、コーティングの示す、適度の屈曲性は、その総Tgを変えることによって調節することが可能であり、したがって、これらの特性間の適切なバランスは重要である。
モノマー混合物の、第2モノマー成分は、スチレン、またはスチレン置換体である。スチレンは、それから形成されるモノマーのTgを上昇させる傾向を持つ、もう一つのモノマーの例であり、得られるポリマーが所要の硬度を有することを確保するために含められる。
混合物はさらに、10〜89重量%のモノマー(a)、または、モノマー(a, b, ...)などの混合物であって、これらは、重合されると、下式によって計算される理論的Tgを有するポリマーを形成し、
Figure 0005179487
(上式において、
Tg = ケルビンで表したガラス転移温度、
TgaおよびTgb = ケルビンで表した、それぞれ、“a”および“b”のホモポリマーのガラス転移温度、
WaおよびWb = 成分“a”および“b”の重量割合である)
該Tgは、モノマー(i)を重合することによって形成されるホモポリマーのTgよりも低く、かつ、モノマー(ii)を重用することによって形成されるホモポリマーのTgよりも低いことを特徴とする、混合物を含む。
モノマー(iii)が、モノマーa〜nの混合物を含む場合、Tgは、式:
Figure 0005179487
を用いて計算される。
モノマー(iii)は、得られる最終的ポリマーのTgに影響を及ぼすのみならず、その得られるポリマーの硬度および屈曲性をバランスするのにも役立つ。このモノマー、またはモノマー混合物を、下記では、低Tgモノマーと呼ぶ。
好ましくは、モノマー(iii)(単数または複数)は、任意に一つ以上のヒドロキシル基によって置換される、C1-24アルキル(アルク)アクリレート、および-(アルク)アクリルアミドから成る群から選ばれる、少なくとも一つのモノマーを含む。
より好ましくは、モノマー(a)、またはモノマーa)、b)、...n)は、それぞれ、C4-12アルキル(アルク)アクリレート、または、C4-12-アルキル(アルク)アクリレートである。好ましくは、(アルク)アクリレートは、アクリレートである。
例えば、ヒドロキシブチルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを添加すると、形成されるポリマーの総Tgが低下する。ポリマー鎖に組み込まれると、ブチルアクリレートおよびヒドロキシルブチルアクリレートなどのアクリレート(およびアクリルアミド)は、ポリマーの屈曲性を高める。これらのモノマーの添加は、最終ポリマーのTgを効果的に下げ、その屈曲性をより高める。得られるポリマーの、乾燥状態におけるTgが例えば室温であるとすると、この温度において、印加されるストレスにしたがってポリマーは変形する。種々のモノマーの比率を変えることによって、ポリマーの総Tg、したがって機械的特性を、使用される製造プロセス、および、架橋結合後のポリマーに要求される最終特性に合致するように修飾することが可能である。
さらに、モノマー(iii)(単数または複数)として、C1-24アルキル(アルク)アクリレート、PEGアクリレート、および酢酸ビニルから成る群から選ばれるモノマーが挙げられるが、好ましくは、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、PEG1000メタクリレート、PEG2000メタクリレート、および酢酸ビニルから選ばれる。
インプラント用のコーティングを開発する場合、当業者が克服しなければならない課題は数々ある。さらに具体的に言うと、コーティングは、その寿命時間の間、種々の多様な処理条件に耐えることができなければならない。
最初に考慮すべき点は、必要に応じて、一つの、または複数の面に、完全に均一なフィルムを形成するように、ポリマーをインプラントに対して均一に塗布することが可能でなければならないということである。コーティングは、ひとたび表面に塗布されると、その後の架橋結合工程の後も、一般的輸送および取り扱いに耐えられるほど十分に強靭である必要がある。
コートされるインプラントがステントである場合、処理の次の段階は、コート済みステントを、輸送のためにバルーンカテーテルに装着させることが考えられる。バルーンカテーテルにコート済みステントを装着するために、異なる様々の技術の使用が可能である。しばしば用いられる技術は、二つをぴったりと合わせ、それらを圧着および/または加熱硬化によって合体固定することを含む。ポリマーコーティングは、この技術に関わる高温および圧に耐えることができなければならない。ポリマーコーティングのTgが低すぎると、ポリマーは、圧着の際に、およびステントの隣接支柱間の架橋から流れる場合がある。本発明によるポリマーコーティングは、処理温度にきわめて近いTgを有することによってこれを回避する。さらに、前述したように、コーティングの中に架橋結合を取り込むことによって、これの起こる可能性を低下させる。
医用デバイスの場合、包装の前に滅菌から成る最終段階を経過することが多い。ポリマーコーティングは、滅菌プロセスに耐えることが可能でなければならない。ポリマーコーティングはさらに、保存時に安定である必要がある。保存において遭遇する問題点は、いわゆる「冷却流動」である。これは、保存時、ポリマー分子が流動するにつれて、コーティングが時間と共に変形することである。本発明のポリマーコーティングは、比較的高いTgおよび架橋結合を持つことによってこの問題点を回避する。
ステント処理操作における最終段階は、臨床処置の際の追跡であって、これによって、ステントは、要求に応じて配置され、バルーンカテーテルの拡張によって展開される。いずれの操作段階においても、コーティングは、屈曲性に富み、強靭である必要がある。さらに、コート済みステントは、展開地点に滞留し続ける必要があり、したがって、コーティングは、体内において長期の化学的および形態的安定性を保持しなければならない。
上記の細かな考慮点の全てを満足するために、生体適合性ポリマーは、架橋結合後、下記の性質を有する:
(a)15〜90℃、好ましくは15〜70℃、好ましくは20〜50℃の範囲のTg(乾燥時);
(b)5 MPaを超える、好ましくは20 MPaを超える、室温における水和弾性係数;
(c)37℃で水和状態の場合、50%、好ましくは150%、より好ましくは250%を超える引き伸ばし破断;および、
(d)10〜60%範囲の水分含量。
前述したように、ステント用コーティングとして使用するのに適切であるためには、生産される最終ポリマーは、乾燥時、15〜90℃、好ましくは15-70℃、より好ましくは20-50℃の範囲のTgを持たなければならない。さらに、室温において、5 MPa、好ましくは15 MPa、より好ましくは20 MPaを超える水和弾性係数を持ち、かつ、引き伸ばし破断が、50%、好ましくは150%、より好ましくは250%を超えなければならない。弾性係数および引き伸ばし破断の試験法は、下記に記載される。
ポリマーの特性を修飾するために使用される典型的モノマーから成るホモポリマーのガラス転移温度を下記の第1表に示す。
Figure 0005179487
他のTgは、J. Brandrup et al. (eds) Polymer Handbook 4th Ed. (2003) John Wiley & Sonsおよび、それより前の版に開示される。
前述したように、高Tgモノマーの添加は、ポリマーの総Tgを上昇させるが、最終的Tgが、ステントをバルーンカテーテルに圧着させる際に一般的に使用される処理温度よりも、依然として低い場合がある。これは問題であり、極端な条件下では、ポリマー流動のために、ステントの隣接支柱間に架橋の形成を引き起こす可能性がある。この問題点は、本発明では、モノマー混合物の中にモノマー(iv)を含めることによって克服される。
モノマー(iv)は、反応して架橋結合を形成することが可能な官能基を持つ。好ましくは、この架橋結合形成可能な基は、シナミル、エポキシ、-CHOHCH2Hal(Halはハロゲン原子である)、メチロール、反応性シリル、エチレン系不飽和の、架橋結合可能な基、またはアセトアセトキシまたはクロロアルキルスルフォンから選ばれる。
好ましくは、モノマー(IV)は、一般式(III)を有しており、
式IIIにおいて、R3は、水素、またはC1-4アルキルであり;
A2は、-O-、または-NR4であり、前式において、R4は、水素、またはC1-4アルキルであり;
R3aは、結合、またはC1-24アルカンジイル基、またはアルキル-オキサアルキル、またはアルキル-オリゴオキサルキル基であり;および、
Q2は、架橋結合可能な基である。
特に好ましい実施態様では、Qは、架橋結合可能なシリル基である。Qが、架橋結合可能なシリル基である場合、モノマー(IV)は、好ましくは下記の一般式(IV)を有する。
Figure 0005179487
式IVにおいて、R3は、好ましくは、水素およびメチル基から選ばれ、もっとも好ましくは、R3はメチルである。A2は、好ましくは-O-である。R5は、好ましくはC2-6アルキレン、好ましくはC2-4アルキレンである。R6は、C1-6アルキル基から、好ましくはC1-2アルキル基から選ばれる。モノマー(V)の官能基を活性化することによって、ポリマーの隣接分子間に、分子間および分子内架橋が形成され、したがって、印加ストレス下に流動する傾向が抑えられる。これらの官能基はまた、インプラント、例えば、ステントに対するポリマーの接着を、特に接着増進剤が使用される場合、増強するのに有用な場合がある。
本発明の好ましいポリマーは、ポリ((2-メタクリロイルオキシエチル)-2’-(トリメチルアンモニウムエチル)リン酸、内部塩)-コ-スチレン-コ-(メチルメタクリレート)-コ-(n-ブチルアクレート)-コ-(4-ヒドロキシブチルアクリレート)-コ-(3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)ファミリーに所属するものである。このファミリーのポリマーにおいては、モノマー(i)はフォスフォリルコリンモノマーであり、モノマー(ii)はスチレンであり、モノマー(iii)は、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、およびヒドロキシブチルアクリレートを含み、かつ、モノマー(iv)は、トリメトキシシリルプロピルメタクリレートを含む。
本発明のさらに別の局面によれば、組成物は、ポリマーおよびもう一つの成分を含む。組成物は、液体ベヒクルを含むコーティング組成物であってもよい。組成物は、ポリマーと、製薬活性物質との混合物であってもよい。組成物は、ポリマーとプライマーの混合物であってもよい。さらに、別成分は、希釈剤、賦形剤、または担体を含んでもよい。
本発明のポリマーは、インプラント用コーティングとして使用することが可能である。コートされてもよいインプラントまたはデバイスは、プラスチック、金属、セラミックス、および/またはガラスなどの表面を有する。好ましくは、インプラントは、ポリマーまたは金属などの材料から形成される。金属の例としては、コバルト、クロムスチール、マグネシウム、チタン、タンタル、および、それらの合金または積層体、例えば、コバルト-クロム、コバルト-ニッケル-クロムが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
本発明の好ましい実施態様では、インプラントはステントである。好ましくは、ステントは、ステンレススチール、または、共同押し出し成形ステンレススチール-タンタル-ステンレススチールから形成される。ステント基質は、ポリマーの塗布前に、例えば、溶媒を用いて清浄化することが好ましい。ポリマーの接着性を強化するために、ステント基質は、ポリマー塗布前に、好ましくは酸素によってプラズマ処理してもよい。
このようにして、コーティングの際、ポリマーは、インプラントの表面に直接に結合されてもよいし、または、デバイスに対してすでにコートされる下地に対して結合されてもよい。下地は、共有結合を形成することによって、あるいは別のやり方で、ポリマーコーティングと反応してもよい。下地が、ポリマーコーティングと相互作用を持つ場合、下地は、モノマー(iv)の架橋結合可能な基と同じか、または異なる、ポリマーの官能基と反応してもよい。下地を用いる場合、該下地は、好ましくは、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、およびクロロ基を持つ化合物を含む群から選ばれる化合物を含む。通常、化合物の混合物である、このような下地は、例えば、Aldrich Chemicals、およびNusil Technology Corpなどの会社から購入することが可能である。
本発明の好ましい実施態様では、下地は、一般式(1X)の側基を含む:
Figure 0005179487
上式において、Zは、-OR30、またはHalであり、
Z1は、−OR30、Hal、またはアルキルであり、
上式において、R30は、C1-Xアルキルまたはアシルであり、Halは、ハロゲン原子である。
下地は、ケイ酸塩、ジルコン酸塩またはチタン酸塩、およびアルコキシシランなどの化合物の混合物を含んでもよい。特に好ましい下地の例は、Nusilから市販されるSP120である。このシラン下地は、テトラ-n-プロピルケイ酸塩、テトラブチルチタン酸塩、およびテトラ(2-メトキシエトキシ)シランを含む。さらに別の好ましい下地は、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミンである。
下地を用いる場合、一実施態様では、本発明によるポリマーの塗布前に、下地をデバイス表面に塗布し、放置し乾燥させる。しかしながら、別の実施態様では、前に塗布した下地層を乾燥させる前に、ポリマーを塗布してもよいし、あるいは、例えば、洗浄および/またはプラズマ処理後、ポリマーを直接表面に塗布してもよい。
本発明のさらに別の局面によれば、組成物は、ポリマー、および、一般式(X)の側基を有する下地化合物を含む。
本発明は、ポリマーの塗布法に関して制限されない。例えば、ポリマーは、適切な溶媒に溶解した架橋結合可能なポリマーの溶液に浸漬するか、または溶液を噴霧することによって塗布し、次いで、乾燥し、および/または、架橋結合によってポリマーを硬化させてもよい。好ましい実施態様では、ポリマーは、インプラントの表面に溶液を噴霧することによって該表面に塗布する。コーティング組成物のために適切な液体ベヒクルは、ポリマー用溶媒、例えば、エステル類、アルコール類、エーテル類、グリコール類、またはケトン類、特にアルコール類、例えば、C2-6アルカノール、特に、n-またはi-プロパノールおよびエタノール、および、水またはグリコールとの混合物を含む、混合物である。外表面に比較的厚いコーティングをもたらす、WO01/01957に記載の方法を利用してもよい。
インプラントが、最終的に薬剤溶出インプラントとなることを意図される場合、製薬活性物質および架橋結合性ポリマーを、噴霧工程によって混合液から一緒に塗布して単一層を形成させ、次いで、ポリマーを架橋結合させてもよい。それとは別に、例えば、包装および滅菌前、または、埋め込み直前の保存包装容器の開封後に、架橋結合コポリマーから成るコポリマーに、薬剤を、例えば、溶媒に溶かした溶液として担持してもよい。活性物質の担持レベルは、一部は、ポリマーコーティングの厚さ、ポリマーに対する活性物質のアフィニティー、担持条件およびインプラントのサイズによって調節される。15-18 mm長のステントが、直径約3 mm〜3.5 mmに拡張されるためには、ポリマーの標的担持は、100〜1500 μgの範囲、例えば、250〜600 μgの範囲になると考えられる。標的薬剤担持は、薬剤の性質、および、その所望の溶出期間に依存するが、例えば、50〜1000 μgの範囲、好ましくは100〜500 μgであってもよい。ポリマー/製薬活性物質コーティングを有するインプラントは、ポリマー対薬剤重量比を、40:60〜90:10の範囲、好ましくは、45:55〜80:20の範囲に持つことが好ましい。活性物質の混合物を用いる場合、これらは、1:100〜100:1の範囲、例えば、10:90〜90:10の範囲、好ましくは20:80〜80:20の範囲、より好ましくは40:60〜60:40の範囲の重量比として存在してもよい。
適切な製薬活性物質の例としては、抗生物質、抗血管形成化合物、antirinthammabics、例えば、ステロイドまたはNSAID、例えば、cox阻害剤、グルココルチコイドおよびcort costeroidsなど、抗血小板薬剤、抗凝固剤、脂質調節薬、例えばスタチンなど、細胞傷害剤、例えば、抗代謝剤、ビンカアルカロイド、その他の抗腫瘍剤、基質金属プロテイナーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質が挙げられる。具体例としては、ラパマイシンおよびその類縁体、例えば、RAD001、タクロリムス、エベロリムス、Biolimus A9、およびゾタロリムス;チルフォスチン;アンギオペプチン;カルムスチン;フラボピリドール;ゲムシタビンおよび塩、テカン類、例えば、カンプトテシン、トポテカン、およびイリノテカンなど、ロムスチン、メトトレキセート、マイトマイシン、タキサン類、例えば、パクリタキセル、およびドセタキセルなど;アクチノマイシンD、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ストレプトゾトシン、カペシタビン、ビノレルビン、ドキソルビシン、および他のアントラサイクリン、デキサメタゾンおよびその誘導体、特に、疎水性誘導体、およびデキサメタゾンリン酸塩、モメタゾン、トリアムシノロン、クロベスタソル、テトラデシルセレノ酢酸、テトラデシルチオ酢酸、エチルイソプロピルアミロリド、アンチトロンビン、アグラスタット、アスピリン、シロスタゾル、クレキサン、クロピドグレル、ジピリダモール、ペルサンチン、インテグリリン(エプチフィバチド)、アブシキシマブ、トラピジル(ロコルナール)、基質金属プロテイナーゼ阻害剤、例えば、バチマスタット、および、マリマスタット;増殖因子、例えば、VEGF;遺伝子治療剤;スタチン類、例えば、アボスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、およびサンドスタチン、カルベジロール、エストラジオール、およびメトキシエストラジオール、L-アルギニン、酸化窒素ドナー、プロブコール、キナプリラト、チオクタシド、テルミサルタン、ゾレドロネート、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに、抗体などの介在因子、および、天然の治癒過程を刺激するペプチド配列、例えば、増殖因子も使用することが可能である。
本発明によるコート被覆インプラントを形成する際、後続処理工程、例えば、ステントの場合であれば、輸送のための、バルーンカテーテルとの組み合わせなどの工程前に、コーティングを整え(架橋結合し)なければならない。架橋結合は、任意の従来法によって、例えば、熱および/または水分の付与、UV被爆、ガンマ滅菌、電子ビーム被爆、またはオートクレーブ処理などによって実現してよい。この工程によって、モノマー(iv)の架橋結合可能基の架橋結合が誘発され、後続処理工程におけるポリマー流動が阻止され、また、ポリマーコーティングからの薬剤溶出が遅延されてもよい。滅菌工程の最中に、ポリマーをさらに架橋結合してもよい、すなわち、ポリマーの全架橋結合の一部となる第2工程を実行してもよい。
ここで、下記の図面および実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
図1は、実施例6に記載される、ポリマーの接着度試験の模式図である。 図2は、実施例6に記載される、接着度試験の結果を示す。 図3は、実施例6に記載される、接着度試験の結果を示す。 図4は、本発明の範囲内に納まる、一群のポリマーにおける水分含量対弾性係数を示す。 図5は、好ましい一群のポリマーにおける、水分含量対最大ストレスを示す。 図6は、好ましい一群のポリマーにおける、水分含量対破断歪を示す。 図7は、好ましい一群のポリマーにおける、水分含量対モノマー(i)含量を示す。 図8は、好ましい一群のポリマーにおける、モノマー(i)含量の関数として表したフィブリノーゲン結合低下を示す。 図9は、本発明の範囲内に納まるポリマーサンプルについて、室温および37℃における水和状態で見られた伸長破断を示す。 図10は、引っ張り試験サンプルの形状を示す。 図11は、実施例9の結果を示す。 図12は、実施例10の結果を示す。 図13は、実施例10の結果を示す。
〔実施例1:ポリマーの合成〕
ポリマーは、反応を通じて行われるモノマー供給条件を用い、フリーラジカル共重合によって製造する。反応時、開始のためにアゾ化合物が使用され、反応混合物は、イソプロパノール溶液として還流下に加熱される。
ポリマーは、沈殿および透析濾過によって精製される。透析濾過ユニットは、10 kDaの分子量カットオフを持つ、0.1 m2の再生セルロース膜を備えたMillipore ProFluxユニットである。
==重合および沈殿==
機械式スターラー、温度計、コンデンサー、および原料流入口を備えた、適切な複数枝管付きフラスコに、100 gのイソプロパノールを充填した。加熱油浴を用いて、温度を上げて還流させた(83℃)。適切なストッパー付きフラスコにおいて、100 gのイソプロパノールに溶解した、10 g(10重量%)の、PCモノマー(2-メタクリロイルオキシエチル-2’-(トリメチルアンモニウム)エチルリン酸塩)溶液を調製した。次に、15 g (15重量%)のスチレン、15 g (15重量%)のメチルメタクリレート、40g (40重量%)のブチルメタクリレート、15 g (15重量%)のヒドロキシブチルアクリレート、および5 g (5重量%)のトリメトキシシリルプロピルメタクリレートを加えた。このモノマー混合物において、前記PCモノマーは、親水性モノマー(i)であり、スチレンは、モノマー(ii)であり、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、およびヒドロキシブチルアクリレートは、モノマーiii)の混合物であって、17℃の理論的Tgを有しており、シリルモノマーは、架橋結合可能基を有するモノマーiv)である。
3 gのイソプロピルアセテートに溶解した、0.1 gのAIBN開始剤の溶液を調製した。この開始液を、3 gのイソプロピルアセテートを濯ぎ液として用い、前記モノマー液に加えた。この溶液を十分に混ぜ合わせ、250 mlのメスシリンダーに移し、フラスコを濯ぐためにさらに5 gのイソプロパノールを用いた。
反応容器溶媒が還流している間、ペリスタルチックポンプを用いて、2時間に亘って反応フラスコ中に全体モノマー液を汲み上げた。
この反応混合物を、さらに75分還流状態に維持し、次いで、3 gのイソプロピルアセテートに溶解した0.05 gのAIBNから作製した開始剤スパイクを加えた。
この反応混合物を、さらに75分還流状態に維持し、次いで、3 gのイソプロピルアセテートに溶解した0.05 gのAIBNから作製した第2スパイクを加えた。
この反応物を、さらに150分還流状態に維持し、次いで、放置冷却した。
機械式スターラーおよび原料流入口を装着した、2リットルの培養容器に、500 mlのジ-イソプロピルエーテルを充填した。適切なペリスタルチックポンプを用いて、ポリマー液を、この沈殿容器の中に、十分に攪拌しながら、ただし、過剰な水滴の飛散が起こらないよう激しい攪拌は避けながら、汲み上げた。沈殿が進行するにつれて、さらに1000 mlのジ-イソプロピルエーテルを、別々の四つの分液として加えた。ポリマー液を全て加えた後、スターラーの電源を切り、ポリマーの、軟らかい凝集塊を放置沈着させた。吸引プローブを用いて、上清溶媒を傾斜除去した。250 mlのジ-イソプロピル洗浄液を加え、10分間攪拌した。スターラーの電源を切り、上清溶媒を傾斜除去した。この洗浄を、さらに250 mlのジ-イソプロピルエーテルを用いて繰り返し、再び、できるだけ大量の上清を傾斜除去した。
150 gのエタノールを加え、スターラーを手でで解放した後、透明な溶液が得られるまで、混合物を攪拌した。外部の加温水浴で穏やかに加温することによって溶解を助けた。このポリマー溶液を、適切な、自重量測定済み瓶に移し、サンプルを採取して、非揮発性含量(110℃、30分)を求め、変換率を定量した。
==透析濾過==
Pelliconミニカセットおよび膜を組み合わせ、ProFlux全体ユニットを、約300 mlのエタノールで噴射洗浄した。ポンプを起動し、膜が十分に濡れており、相当量の透過物が得られることが確保されるよう条件を調整した。ユニットをシステムに浸した。得られたポリマー液を、さらに150 gのエタノールで希釈し、ProFlux貯留槽に、この溶液を充填した。ポンプを起動し、透過物が、毎15-20分当たり約100 mlの割合で得られることが確保されるよう条件を調整した。この透析濾過を、200 mlの透過物が収集されるまで続けた。さらに1200 mlのエタノールをProFlux貯留槽に加え、1200 mlのエタノール透過物が収集されるまでこの透析濾過を続けた。
この透析濾過を、さらに150 mlの透過物が収集されるまで続け、次いで、このポリマー液を、自重量測定済み瓶に排出した。最終ポリマー液サンプルを採取し、非揮発性含量を求め、残留モノマーおよび溶媒組成物分析を行った。
〔実施例2〕
実施例1の全体過程にそのまま従ったが、ただし、下記の処方を用いた。
イソプロパノール 48 g
イソプロピルアセテート 12 g
PCモノマー 7.5 g
イソプロパノール 48 g
メチルメタクリレート 7.5 g
ブチルアクリレート 17.5 g
スチレン 7.5 g
ヒドロキシプロピルメタクリレート 7.5 g
トリメトキシプロピルシリルメタクリレート 2.5 g
アゾビスメチルプロピオニトリル(AIBN) 0.06 g
イソプロピルアセテート 5.0 g
イソプロピルアセテート洗浄液 5.0 g
AIBN 0.02 g
イソプロピルアセテート 5.0 g
重合は、実施例1に記載されるように行い、得られたポリマー液は、ジ-イソプロピルエーテル(全部で2リットル)において沈殿させた。次に、この粘ちょう沈殿物をエタノールに溶解し、固体含量が20%となるように調整した。この溶液は、透析濾過によってそれ以上精製することなく用いた。この実施例では、モノマーiii)の混合物は、-7℃の理論的Tgを有していた。
〔実施例3〕
実施例2の過程を、下記のモノマー組成物について行った。
Figure 0005179487
ポリマーは全てDIPE中で沈殿させ、それ以上精製することなく用いた。実施例3.1のモノマーは、45℃のTg測定値を有する。
〔参照実施例3.7〕
WO 9830615に詳述される方法によって、フォスフォリルコリンモノマー(29重量部)、ラウリルメタクリレート(51部)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(15部)、およびトリメトキシシリルプロピルメタクリレート(5部)からポリマーを形成する。次に、これに対して比較試験を行った。モノマー混合物iii)のTg計算値は、-44℃であるが、このポリマーはスチレンを含まない。
〔実施例4〕
機械式スターラー、温度計、コンデンサー、および原料流入口を備えた、適切な複数枝管付きフラスコに、100 gの1-ブタノールを充填した。加熱油浴を用いて、温度を上げ(118℃)て還流させた。
適切なストッパー付きフラスコに11 gのPCモノマーを入れ、100 gのブタノールに溶解した。
20 gのスチレンモノマーを加え、次いで、20 gのメチルメタクリレート、29 gのブチルアクリレート、14 gのヒドロキシブチルアクリレート、および6 gのトリメトキシプロピルシリルメタクリレートを加えた。モノマーiii)の理論的Tgは、-19℃である。
さらに、ブタノールに溶解したLuperox 331M80 (Atofina Chemicals Inc.)の5%溶液2.0 gを加え、溶液を十分に混ぜ合わせた。
2時間に亘って、還流ブタノールに、このモノマー液を駆動注入し、さらに75分還流状態に維持した。次いで、Luperoxの5%溶液1 gから成る、開始剤スパイクを加え、反応混合物をさらに2時間還流状態に維持した。
この後、ポリマー液を冷却し、300 gのエタノールで希釈した。
次に、この希釈液に対し、さらに1500 mlのエタノールを用い、10 kDaの分子量カットオフを持つ、0.1 m2の再生セルロース膜による透析濾過を行った。溶液は、最終的に、約400 mlに濃縮し、傾斜除去し、100℃で溶媒を蒸発させることによって、非揮発含量を重量測定によって定量した。次に、計算量のエタノールを加えることによって、溶液濃度を20%に調整した。
〔実施例5:架橋結合の効果〕
実施例1〜4の記載の通りに生産されたポリマーを、ステンレススチール製ステントに塗布した。本発明のポリマーは、適切な溶媒に溶解した該ポリマーおよび薬剤の溶液を噴霧することによってステントに塗布した。使用した装置は、スプレイガン、溶液をガンに輸送するための、正確な投与ポンプ、および、噴霧塗布中、ステントの周囲を同時に回転、横断する駆動システムから成る。
先ず、ポリマー/薬剤コーティングを受容するようステントを準備した。この準備として、洗浄、表面活性化、または、接着増進剤の塗布が考えられる。次に、ステントを適切なホルダーに装着し、このステント/ホルダーを駆動システムに登載し、噴霧の中を通過させることによってステントを噴霧塗布する。ポリマー/薬剤コーティングの厚みは、噴霧中を通過するステントの横断速度を調整するか、または、噴霧におけるステントの複数回通過を実行することによって調節することが可能である。
これらの実験の結果は、実施例3.1に詳述するポリマーを用い、バルーン拡張後のステントのSEMによって観察された。結果から、コーティングが架橋結合されない場合、隣接する支柱におけるポリマーコーティングは、互いに接着する傾向が示された。これは、ステント拡張後、ステントの欠陥を招く。一方、コーティングが架橋結合されていると、圧着時のポリマー流動は抑えられ、ステントは、拡張後も、欠陥に対して比較的無縁である。
〔実施例6:ステンレススチールに対する接着性〕
試験によって、シラン下地の存在は、例示の型のポリマー、具体的に言うと、実施例3.1の、ステンレススチール表面に対する接着性を向上させることが示された。この試験は、2種類の実験を含む。その第1のものは、ステンレススチールシートに対するコーティングの接着性の評価を含む。第2試験は、実施例3.1において例示される型のポリマーでコートされるステンレススチールシートのストリップを、生理的食塩水またはエタノールに入れることを含む。次に、コーティングの膨潤の時間的変化を評価した。各実験において、2種類のシラン下地を用いた。第1は、Nusil Corporation(米国)から市販されるSP120であり、用いた第2シランは、ビス[3-(トリメトキシシリル)-プロピル]アミンを主成分とする。サンプル調製、使用した試験法、および結果の詳細をこれから述べる。
==サンプル調製==
ステンレススチール(316L)のサンプルを、小さな正方形区画に切断した。次に、これらのステンレススチールサンプルの表面を、溶媒洗浄、O2プラズマ処理のいずれか、または、溶媒洗浄およびO2プラズマ処理の両方の組み合わせによって処理した。いくつかのサンプルは、接着増進剤を加えてコートした。次に、実施例3.1のポリマーを、処理済の各ステンレススチールサンプルの表面に加え、放置乾燥させた。乾燥後、ポリマーを架橋結合させた。この実験について、各工程のさらに詳細を下記に述べる。
==下地液調製:SP120==
9.5 mlのエタノールを、0.5 mlのSP120シラン下地液(Nusil Corporation、米国)と混ぜ合わせた。このSP120希釈液5 mlを、45 mlのエタノールに加えた。
==下地液調製:ビス[3-(トリメトキシシリル)-プロピル]アミン==
9 mlのエタノールを、0.5 mlのHPLC級水と混ぜ合わせた。この溶液に、0.5 mlのビス[3-(トリメトキシシリル)-プロピル]アミンを加えた。この希釈液5 mlを、45 mlのエタノールに加えた。
==表面の溶媒洗浄==
ステンレススチールストリップの表面を洗浄するために使用される、表面の溶媒洗浄プロセスは、5工程洗浄プロセスであった。
先ず、洗浄すべきスチール片を、新鮮な超純水(Romil)のビーカー中に沈めた。次に、このビーカーを2分間超音波処理した。次に、水および試験片をふるいに注ぎ、液体を排出した。次に、エタノール(純粋、Romil)を用いて、このプロセスを繰り返した。この手順を、ジクロロメタン(Romil)を用いてさらに2回繰り返し、その後、再びエタノール(Romil)を用いて最後に1回繰り返した。最後に、この試験片を清潔なビーカーに入れ、60-70℃のオーブンに、完全に乾燥するまで入れた。
==O2プラズマ処理==
処理される試験片を、プラズマエッチング装置の棚の上に置き、次いで、O2プラズマを用いて300秒間プラズマ処理した。ガスの流速は、1分当たり2-3リットルに設定し、プラズマチェンバーは、200ワットに設定した。
ピンセットを用いて、試験片をチェンバーから取り出し、30秒以内に次段階のために使用した。
==下地の塗布==
ピペットを用い、50 μlの下地液を、試験片の一側に塗布した(塗布時、これがプラズマ処理側であることを確認した)。ピンセットを用いて試験片を操作し、下地によって完全に被覆されることを確認した。次に、周囲温において約5分間下地を放置乾燥させてから、ポリマーを加えた。
==ポリマーコーティング==
ピペットを用い、100 μlのポリマー液(エタノールに溶解した、実施例3.1のポリマー液、またはWO9830615に例示されるポリマー液200 mg/ml)を、ゆっくり各試験片に塗布した。ピペットを操作して、試験片の中央に、約15 mm x 15 mmのポリマーの正方形がコートされるようにした。
次に、水分の存在下に、70℃において4時間ポリマーを架橋結合させた。架橋結合中、オーブンの中に、サンプルと共に400 mlの水を含むビーカーを置くことによって、水分の存在を維持した。
==接着試験==
先ず、試験前に、室温で最低30分生理的食塩水(0.9重量% NaCl)中においてサンプルを水和させた。水和後、ステンレススチール表面に対するフィルムの接着度を試験した。これは、スチール表面からコーティングを剥がすのに必要な力を測定することによって実行した。3 mmの改変チップを備えた力測定計を用いて、ポリマーの、ステンレススチール試験片に対する接着度を測定した。試験片を顕微鏡のステージに載せた。力測定計の棒状幹部の先端を、約30°の角度でポリマーフィルムの辺縁に接触させた。力測定計を、圧迫モードと最大ピークモードに設定し、ゼロに設定した。フィルム層が表面から剥離するまで、計器を前方に押し出した(図1)。ディスプレイに記録される力のピークを、ステンレススチールからフィルムを剥離するのに要する力とした。
二つの異なる水和時間(30分および5時間)について試験を繰り返したが、この二つの時間の間に、得られた接着度試験結果において有意差は観察されなかった。表Cは、試験した種々の処理を示し、図2および3は、それぞれ、SP120シランおよびビス[3-(トリメトキシシリル)-プロピル]アミン下地について得られた結果を示す。
〔表C:実施例3.1のポリマーによるコーティングの前に、ステンレススチール試験片に加えた種々の処理〕
Figure 0005179487
データ(図2および3)から、ステンレススチールを記述のように単に洗浄しただけのサンプルは、一般に、その表面をさらにシラン下地で処理したサンプルよりも低い接着度数値を示すことが見て取れる。これは、下地の存在が、ステンレススチールの表面に対する、ポリマーコーティングの接着度を増すことを明白に示す。水和状態では、ポリマーコーティングは、取り扱いに対しきわめて強靭、頑強であり、コーティングのひび割れまたは剥離を生じることなく、スチールシートを180°まで曲げることが可能である。同様の振る舞いはさらに、参照実施例3.7でも観察された。すなわち、これらも、水和後、180°まで簡単に曲げることができ、その際、コーティングの破断の兆候は見られなかった。
==強制膨潤試験==
実施例3.1に例示されるポリマーの、ステンレススチールに対する接着度を評価するために使用される第2の試験は、コーティングの強制膨潤を含む。架橋結合前、このポリマーはエタノールに容易に溶解する。したがって、これは、ステンレススチールから、コーティングを「強制膨潤する」のに好適な溶媒となると考えられ、かつ、仮にコーティングが、エタノール中で膨潤しても剥離されなかった場合、ステンレススチール表面に対しコーティングが強力な接着性結合していることが結論されると考えられた。
実施例3.1のポリマーによるコーティング前に、ステンレススチール試験片に対して加えられる種々の処理を、表Nに示す。実施例3.1に例示されるポリマーでコートされる、ステンレスチールストリップの試験サンプルは、前述のように調製した(前節参照)。
上述したように、乾燥後、コーティングは、水分の存在下70℃で4時間架橋結合される。次に、サンプルを、エタノールに浸たし、時間と共に変わるコーティングの外観を評価した。データ(表Oを参照)は、コーティングは、表面があらかじめシラン下地で処理された場合、元のポリマーフィルムの形状のままステンレススチール表面に接着した状態を維持することを明白に示す。シラン下地が無いと、コーティングは、表面から膨らみがちになり、場合によっては、ステンレススチール表面から剥離する傾向を示す。しかしながら、一般には、実施例3.1に例示されるコーティングは、元の状態を維持し、どのようなステンレススチール前処理が使用されようとも、該ステンレススチール表面に結合し続ける。これは、例示のポリマーは、特に、実施例3.1のポリマーは、記述のように架橋結合された場合、シランカップリング剤が無くとも、ステンレススチールに強力に結合するように最適設計されるという事実を支持する。
〔表N:実施例3.1のポリマーによるコーティングの前にステンレススチール試験片に加えた種々の処理〕
Figure 0005179487
〔表O:ステンレススチールに対する実施例3.1のコーティングポリマーを種々の時間エタノールに浸した場合の膨潤結果〕
Figure 0005179487
==水性膨潤試験==
実施例3.1および実施例3.7で例示したポリマーの、ステンレスチールに対する接着度を評価するために用いたさらに別の試験は、等張液におけるコーティングの膨潤を含む。
実施例3.1および参照実施例3.7のポリマー(下記参照)によるコーティングの前に、ステンレススチール試験片に施した種々の処理を、表Pに示す。実施例3.1および参照実施例3.7に例示されるポリマーによってコートされる、ステンレススチールストリップの試験サンプルは、前述のように調製した(前節参照)。
上述したように、乾燥後、コーティングは、水分の存在下に70℃で4時間架橋結合される。次に、サンプルを、等張液に浸たし、種々の時点においてコーティングの外観を評価した。各時間間隔において、ステンレススチールの表面からコーティングをこじり取るために鋭利な刃を用いた。各時点において、接着度の主観的評価を行った。結果を、表QおよびUに示す。
〔表P:ポリマーによるコーティングの前にステンレススチール試験片に加えた種々の処理〕
Figure 0005179487
〔表Q:実施例3.1のポリマーの、等張液24時間インキュベーション後における、ステンレススチール試験片に対する接着度の目視による評価〕
Figure 0005179487
〔表U:実施例3.7のポリマーの、等張液24時間インキュベーション後における、ステンレススチール試験片に対する接着度の目視による評価〕
Figure 0005179487
データ(表QおよびUを参照)は、コーティングは、等張液に浸しても、表面をあらかじめシラン下地で処理してある場合には、ステンレススチール表面に付着した状態を維持することを明白に示す。3.1に例示されるポリマーの場合、結合がきわめて強靭であるため、鋭利な刃でもステンレススチールからポリマーフィルムを剥がすことは難しい。さらに、このポリマーシステムでは、例えば、下地を使用しなくとも、ポリマーによるコーティングおよび架橋結合の前に表面を溶媒で洗浄するだけで、良好な接着が得られることが観察された。しかしながら、ポリマーによるコーティングの前に、洗浄および/またはプラズマ処理しただけのサンプルと比べると、下地は、ステンレススチール表面に対する、このポリマーの接着度をはっきりと改善した。
〔実施例7:ポリマーの水分含量の効果〕
下記に詳述する方法にしたがって、ポリマーフィルムの水分含量を測定した。
試験法の第1工程は、ポリマーフィルムを鋳型形成することである。PCポリマーフィルムは、犠牲となるゼラチン層の上に成形した。なぜなら、乾燥後では、固体表面からフィルムを剥がすことは不可能だからである。
フィルムは、150 mm直径のガラス製ペトリ皿中で鋳型形成した。100 mlの沸騰水中に10 gのゼラチン粉末を溶解することによってゼラチン液を調製した。溶解後、このゼラチン液をペトリ皿に注入した。皿の表面を覆うのに十分な液を加えた。さらに、ゼラチンが皿の壁をコートするように、皿を傾けた。次に、ゼラチンを放置して固化、乾燥させた。
ポリマー液を、エタノール中で200 mg/mlの濃度として調製した。150 mm直径のペトリ皿に対し、25 mlの溶液を用いた。これによって、約0.35 mm厚のフィルムが得られた。ポリマー液をゼラチンの上に注ぎ、室温で放置して乾燥させた。乾燥後、フィルムを、水分の存在下に70℃で4時間架橋結合させた。
架橋結合後、フィルムを放置してゆっくりと室温に戻し、水和に備えた。この工程は、重要であることが判明した。なぜなら、フィルムがまだ熱いのに濡れていると、ポリマーフィルムはひび割れるからである。フィルムは、生理的食塩水(0.9重量% NaCl)を用いて水和した。約1時間後、ゼラチンは、ポリマーフィルムを集合層から簡単に剥がすことが可能となるほど十分に軟化した。次いで、フィルムは、試験するまで水和状態に維持した。
水分含量は、重量計測によって測定した。これは、得られたフィルムの、室温における完全水和サンプルを取り、フィルムが乾燥したとき、およびフィルムが水和しているときの間の重量差を測定することによって行った。ここでも、実施例8で用いたものと同じ方法を用いて、調製し、弾性係数および最大ストレスを試験した。
ある任意の温度におけるポリマーフィルムの機械的特性に対する水分含量の作用を調べた。水分含量と弾性係数、および水分含量と最大ストレスの間には強い相関のあることが見て取れる(図4および5を参照)。グラフは、ヤング率(図4)および最大ストレス(図5)が共に水分含量に反比例することを示す。破断歪を示すグラフ(図6)は、水分含量と破断歪との間には相関の無いことを示す。さらに、スチレンの取り込みは、弾性係数を改善した。
これらのデータは、水分含量が、ポリマーの機械的特性に対し、したがって、ステントにおけるポリマーの性能に対して顕著な作用を及ぼすことを示す。したがって、ポリマーに取り込まれる、親水性高Tgモノマー(i)の量を変えることによって、水和状態におけるコーティングの弾性係数、したがってその強度をいくらか調節することが可能である。一群のポリマーにおける水分含量およびPCモノマー含量の間の関係を図7に示す。
さらに別の高Tgモノマー(i)、具体的には、この場合、PCモノマーを加えると、ポリマーフィルムの生体適合性もさらに増大する。添加されるPCモノマーの量を増すことによって、ポリマーコーティングの生体適合性を調節することが可能である。コーティングの生体適合性を評価する一方法は、コントロールサンプルと比べて、それがどれだけの量のフィブリノーゲンを取り込むかを測定することである。本実施例3.1に例示されるポリマーの場合と同じモノマーで、ただし、PCモノマーの割合を漸増させて、ある範囲のポリマーを生産した。モノマー反応混合物に対し、PCモノマーを10〜20%加え、PCモノマーの増大に合わせて、各場合において処方中の他のモノマーを僅かに調整した。これらのポリマーについて、PETシートと比較した場合の、その平衡水分含量、およびフィブリノーゲン吸収低下(測定は、WO9301221の記載の通りに行った)を調べた。結果は、下記の、それぞれ図7および8に示す。
驚くべきことに、モノマー(i)の量、すなわちPCモノマーの含量が比較的低く、相当量の疎水性モノマー(特にスチレン)が取り込まれているにも拘わらず、良好な生体適合性が観察されること、および、得られる低下は、参照実施例3.7において観察される低下と同じ桁であることが見出された。
〔実施例8:屈曲性〕
ステントは体内で拡張されるので、体内環境において屈曲性を持つようにステントを設計する必要がある。したがって、サンプルは、室温と37℃(すなわち、体温)の両方において試験した。サンプルは、下記の方法原理にしたがって試験した。
試験法の第1工程は、ポリマーフィルムを鋳型形成することである。PCポリマーフィルムは、犠牲となるゼラチン層の上に鋳型成形した。なぜなら、乾燥後では、固体表面からフィルムを剥がすことは不可能だからである。
フィルムは、150 mm直径のガラス製ペトリ皿中で鋳型形成した。100 mlの沸騰水中に10 gのゼラチン粉末を溶解することによってゼラチン液を調製した。溶解後、このゼラチン液をペトリ皿に注入した。皿の表面を覆うのに十分な液を加えた。さらに、ゼラチンが皿の壁をコートするように、皿を傾けた。次に、ゼラチンを放置して固化、乾燥させた。
ポリマー液を、エタノール中で200 mg/mlの濃度として調製した。150 mm直径のペトリ皿に対し、25 mlの溶液を用いた。これによって、約0.35 mm厚のフィルムが得られた。ポリマー液をゼラチンの上に注ぎ、室温で放置して乾燥させた。乾燥後、フィルムを、水分の存在下に70℃で4時間架橋結合させた。
架橋結合後、フィルムを放置してゆっくりと室温に戻し、水和に備えた。この工程は、重要であることが判明した。なぜなら、フィルムがまだ熱いのに濡れていると、ポリマーフィルムはひび割れるからである。フィルムは、生理的食塩水(0.9重量% NaCl)を用いて水和した。約1時間後、ゼラチンは、ポリマーフィルムを集合層から簡単に剥がすことが可能となるほど十分に軟化した。次いで、フィルムは、試験するまで水和状態に維持した。
次に、引っ張り試験片を、特注のダンベルカッターで作製した。試験片の形状(mmで表す)を下記の図10に示す。水和状態のフィルムに対しカッターをしっかりと押しつけてポリマーフィルムから試験片を切り、最終的に、ダンベル形状のフィルム片を取り出した。試験片を目視で調べ、表面に欠陥が無いことを確認した。目に見える欠陥を持つサンプルは試験しなかった。
引っ張り試験は、Instron 4411(またはそれと等価の装置)を用いて行った。全試験を通じて下記のパラメータを用いた。
平坦面空気圧グリップ
グリップ間隔−20 mm
ロードセル−50 N
クロスヘッド速度−100 mm/分
弾性係数は温度に対して敏感なので、試験中温度を調節することが重要である。これは、引っ張り試験中、フィルムを水和するのに用いる生理的食塩水を所望の温度に維持することによって実現することが可能である。
図9は、例えば、室温および37℃において実施例3.1のポリマーサンプルの伸長破断について得られた結果を示す。伸長破断は、温度が上昇するにつれて増大することが見て取れる。これは、温度が高くなるほど、乾燥状態のポリマーのTgに近づき、水和状態の、したがって可塑化されるポリマーのTgを実効的に上回るためである。このため、ポリマーフィルムまたはコーティングの分子屈曲性が顕著に増大する。分子屈曲性におけるこの増加によって、ポリマー分子は、任意の印加ストレスにおいて、ストレスに対し、より大きな程度にまで伸長することが可能となり、したがって、破断歪が増加する。
比較のため、参照実施例3.7のポリマーの弾性係数および水分含量を同様にして測定した。ポリマーの膜を、本実施例について上述したものと同様に鋳型形成し、架橋結合させ、さらに、弾性係数を、本実施例について上述したものと同様に試験した。
室温における弾性係数(水和状態)は、1.25 MPaであったが、37℃における弾性係数(水和状態)は、0.27 MPaであった。平衡水分含量は50%であり、伸長破断は、200%を超えていた。新規ポリマーの、水和状態における、室温の弾性係数は、これよりもはるかに高いことが見て取れる。
〔実施例9:コートされたステントからの薬剤溶出〕
実施例3.1および3.5に記載されるポリマーを、製薬学的活性物質、この例では、抗増殖剤ゾタロリムスと、薬剤対ポリマー比が40:60となるように、組み合わせた。このポリマー薬剤併合品を、酸素プラズマおよびシラン処理(SP120による実施例6と同様に)したステンレススチールステントに対し、スプレイコーティング法(実施例6と同様に)によって塗布した。この塗布済みステントを70℃で4時間硬化させ、次いで、エチレンオキシド滅菌を行った。
このコート済みステントを、37℃で1% Solutol(商標)に入れた。0と72時間の間の指定の間隔において、溶出媒体の分液を採取した。この溶出媒体分液における製薬活性物質の濃度を、標準的HPLC法を用いて分析した。測定された製薬活性物質の濃度を、時間点に対してプロットした。図11は、製薬活性物質対ポリマー比40:60において、実施例3.1および3.5によってコートされた、冠状動脈ステントから、37℃で1% Solutolに溶出するゾタロリムスの累積合計溶出を示す。
〔実施例10:コートされたステントからの薬剤の二重溶出〕
実施例3.1のポリマーを、複数の製薬活性物質、この場合は、ゾタロリムスおよびデキサメタゾン(50:50重量比)と、合計薬剤対ポリマーの重量比が、65:35、60:40、55:45、50:50、および40:60となるように組み合わせた。これらのポリマー-薬剤併合品を、酸素プラズマおよびシラン処理した(実施例6の技術、およびSP120シラン下地を用いた)ステンレススチールステントに対し、スプレイコーティング法によって塗布した。この塗布済みステントを70℃で4時間硬化させ、次いで、エチレンオキシド滅菌を行った。
このコート済みステントを、37℃で1% Solutol(商標)に入れた。ゼロと72時間の間の指定の間隔において、溶出媒体の分液を採取した。この溶出媒体分液における製薬活性物質(ゾタロリムスおよびデキサメタゾン)の濃度を、標準的HPLC法を用いて分析した。測定された製薬活性物質の濃度を、図12に示すように、時間点に対してプロットした。図は、コート済みステントが、37℃で1% Solutol(商標)に置かれることを示す。ゼロと72時間の間の指定の間隔において、溶出媒体の分液を採取した。この溶出媒体分液における製薬活性物質(ゾタロリムスおよびデキサメタゾン)の濃度を、標準的HPLC法を用いて分析した。測定された製薬活性物質の濃度を、図12に示すように、時間点に対してプロットした。図12は、混合薬剤対ポリマー比が65:35、60:40、55:45、50:50、および40:60において、実施例3.1によってコートされた、冠状動脈ステントから、37℃で1% Solutolに溶出するゾタロリムスの累積合計溶出を示す。図13は、混合薬剤対ポリマー比が65:35、60:40、55:45、50:50、および40:60において、実施例3.1によってコートされた、冠状動脈ステントから、37℃で1% Solutolに溶出するデキサメタゾンの累積合計溶出を示す。

Claims (15)

  1. 下記(i)〜(iv)を含むモノマー混合物を共重合することによって得られるポリマー。
    (i)5〜40重量%の、2-メタクリロイルオキシエチル-2’-トリメチルアンモニウムエチルリン酸内部塩;
    (ii)5〜40重量%の、スチレン;
    (iii)10〜89重量%の、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、およびヒドロキシブチルアクリレートの混合物;
    (iv)0.5〜10重量%の、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート。
  2. 前記モノマー混合物に対しフリーラジカル共重合を行うことを特徴とする、請求項1において定義されるポリマーを形成する方法。
  3. 請求項1に定義されるポリマー、および製薬活性物質を含む組成物。
  4. 前記製薬活性物質が、ラパマイシンおよびその類縁体、例えば、RAD001、タクロリムス、エベロリムス、Biolimus A9、およびゾタロリムス;チルフォスチン;アンギオペプチン;カルムスチン;フラボピリドール;ゲムシタビン;テカン類;ロムスチン;メトトレキセート;マイトマイシン;パクリタキセル、および、誘導体;アクチノマイシンD;ビンクリスチン;ビンブラスチン;ストレプトゾトシン;カペシタビン;ビノレルビン;ドキソルビシン、および他のアントラサイクリン類;デキサメタゾンおよびその誘導体;テトラデシルセレノ酢酸;テトラデシルチオ酢酸;エチルイソプロピルアミロリド;アンチトロンビン;アグラスタット;アスピリン;シロスタゾル;クレキサン;クロピドグレル;ジピリダモール;ペルサンチン;インテグリリン(エプチフィバチド);アブシキシマブ;トラピジル(ロコルナール);バチマスタット;マリマスタット;VEGF;遺伝子治療剤;スタチン類、例えば、アボスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、サンドスタチン、およびシンバスタチン;カルベジロール;エストラジオール、メトキシエストラジオール、L-アルギニン;酸化窒素ドナー;プロブコール;キナプリラト;チオクタシド;テルミサルタン;ゾレドロネート、およびそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
  5. その表面を、請求項1に定義されるポリマーを架橋結合することによって得られるポリマーコーティングによってコートされる、インプラント。
  6. 前記ポリマーコーティングが、製薬活性物質をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のインプラント。
  7. 前記製薬活性物質が、ラパマイシンおよびその類縁体、例えば、RAD001、タクロリムス、エベロリムス、Biolimus A9、およびゾタロリムス;チルフォスチン;アンギオペプチン;カルムスチン;フラボピリドール;ゲムシタビン;テカン類;ロムスチン;メトトレキセート;マイトマイシン;パクリタキセル、および、誘導体;アクチノマイシンD;ビンクリスチン;ビンブラスチン;ストレプトゾトシン;カペシタビン;ビノレルビン;ドキソルビシン、および他のアントラサイクリン類;デキサメタゾンおよびその誘導体;テトラデシルセレノ酢酸;テトラデシルチオ酢酸;エチルイソプロピルアミロリド;アンチトロンビン;アグラスタット;アスピリン;シロスタゾル;クレキサン;クロピドグレル;ジピリダモール;ペルサンチン;インテグリリン(エプチフィバチド);アブシキシマブ;トラピジル(ロコルナール);バチマスタット;マリマスタット;VEGF;遺伝子治療剤;スタチン類、例えば、アボスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、サンドスタチン、およびシンバスタチン;カルベジロール;エストラジオール、メトキシエストラジオール、L-アルギニン;酸化窒素ドナー;プロブコール;キナプリラト;チオクタシド;テルミサルタン;ゾレドロネート、およびそれらの混合物から選ばれることを特徴とする、請求項6に記載のインプラント。
  8. 前記コーティングにおける製薬活性物質対ポリマーの比が、1:99〜60:40の範囲であることを特徴とする、請求項6または7に記載のインプラント。
  9. 前記比が、30:70〜50:50の範囲であることを特徴とする、請求項8に記載のインプラント。
  10. 前記比が、40:60であることを特徴とする、請求項8に記載のインプラント。
  11. 前記ポリマーコーティングが、5〜50μmの範囲の厚みを有することを特徴とする、請求項5〜10のいずれか1項に記載のインプラント。
  12. 前記インプラントの表面および前記ポリマーコーティングの間に、さらに下地の層を含むことを特徴とする、請求項5〜11のいずれか1項に記載のインプラント。
  13. インプラントをコーティングする方法であって:
    該インプラントの表面に、請求項1に記載のポリマーを塗布して、ポリマーコーティングを形成する工程;および、
    該ポリマーコーティングを架橋結合する工程、
    を含む方法。
  14. 前記ポリマーを塗布する前に、前記インプラントの表面が下地によってコートされることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 前記下地が、式(1)の側基を少なくとも1つ含むシランを含有することを特徴とする、請求項14に記載の方法
    Figure 0005179487
    (上式において、Zは、-OR30、またはHalであり、
    Z1は、−OR30、Hal、またはアルキルであり、
    上式において、R30は、C1-Xアルキルまたはアシルであり、Halは、ハロゲン原子であり、Xは2〜6である)。
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