従来から、メタルハライドランプなどの高輝度放電灯を点灯させる放電灯点灯装置として、音響的共鳴現象を避けるために矩形波点灯方式を採用した放電灯点灯装置が提供され、スポットライトやプロジェクタの光源や車両の前照灯などの点灯に用いられている。
この種の放電灯点灯装置は、直流電力を出力する直流電源部と、直流電源部が出力した直流電力の極性を所定の反転時間おきに反転させた矩形波交流電力を放電灯に供給するインバータ部とを備える。
上記のような放電灯点灯装置では、インバータ部の出力の極性の反転(以下、単に「反転」と呼ぶ。)時に、インバータ部から放電灯への出力電流の瞬時的な低下に伴って放電灯の電極の温度低下が発生して反転後の放電灯における放電が不安定となり、これが放電灯のちらつき(フリッカ)や立ち消えや電磁ノイズの原因となっていた。そこで、上記のようなフリッカや立ち消えや電磁ノイズを抑制するために、反転の直前や直後に、一時的にインバータ部の出力電力(以下、単に「出力電力」と呼ぶ。)を上昇させるという技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
図36に、この種の放電灯点灯装置1の一例を示す。この放電灯点灯装置1は、直流電源Eから入力された直流電力の電圧値を変換する直流電源部としてのDC−DCコンバータ部2と、DC−DCコンバータ部2が出力した直流電力を交番して放電灯Laへ出力するインバータ部3と、DC−DCコンバータ部2とインバータ部3とをそれぞれ制御する制御部4とを備える。また、インバータ部3と放電灯Laとの間には、放電灯Laの始動用の高電圧を生成するイグナイタ部5が設けられている。
詳しく説明すると、直流電源Eの低電圧側の出力端はグランドに接続されていて、DC−DCコンバータ部2は、一次巻線P1の一端が直流電源Eの高電圧側の出力端に接続されるとともに一次巻線P1の他端がスイッチング素子Q1を介してグランドに接続されたトランスT1と、一端がグランドに接続された出力コンデンサC1と、アノードが出力コンデンサC1の他端に接続されるとともにカソードがトランスT1の二次巻線S1を介してグランドに接続されたダイオードD1とを備え、出力コンデンサC1の両端を出力端とする、周知のフライバック・コンバータである。制御部4は、DC−DCコンバータ部2のスイッチング素子Q1をオンオフ駆動するPWM信号である制御信号を出力することによってDC−DCコンバータ部2の出力電力を制御する。
また、インバータ部3は、2個ずつのスイッチング素子Q2〜Q5の直列回路が2個、DC−DCコンバータ部2の出力端間に互いに並列に接続されてなり、各直列回路のスイッチング素子Q2〜Q5同士の接続点を出力端とする、フルブリッジ型のインバータ回路である。インバータ部3は、互いに直列に接続されたスイッチング素子Q2〜Q5が交互に且つ互いに対角に位置するスイッチング素子Q2〜Q5が同時にオンオフ駆動されることで、DC−DCコンバータ部2が出力した直流電力を矩形波交流電力に変換して出力する。
イグナイタ部5は、インバータ部3の出力端間に接続されたコンデンサCsと、一次巻線P2及び二次巻線S2のそれぞれ一端がインバータ部3の一方の出力端に接続されたトランスT2とを備える。このトランスT2の一次巻線P2の他端はスパークギャップSG1を介してインバータ部3の他方の出力端に接続され、二次巻線S2の他端は放電灯Laを介してインバータ部3の他方の出力端に接続される。
制御部4は、インバータ部3を制御する反転判断部41と、DC−DCコンバータ部2の出力電力(すなわちインバータ部3から放電灯Laへの出力電力。以下、単に「出力電力」と呼ぶ。)の目標値である電力目標値が格納された電力目標記憶部42と、DC−DCコンバータ部2の出力電圧を検出するとともに検出された出力電圧(以下、「電圧検出値」と呼ぶ。)と電力目標記憶部42に格納された電力目標値とを用いてDC−DCコンバータ部2の出力電流の目標値である電流目標値を演算する電流目標演算部43と、通常は電流目標演算部43から入力された電流目標値をそのまま出力する一方、インバータ部3が出力の極性を反転させる前後の所定期間T1,T3(図39(a)参照)には該電流目標値を上昇させた上で出力する電流目標上昇部44と、DC−DCコンバータ部2の出力電流を検出するとともに検出された出力電流(以下、「電流検出値」と呼ぶ。)を電流目標値上昇部44が出力した電流目標値に近づけるようにDC−DCコンバータ部2を制御する制御信号を生成する制御信号生成部45とを備える。上記のような制御部4は周知技術によって実現可能であるので、詳細な説明は省略する。
具体的には、インバータ部3は、各スイッチング素子Q2〜Q5をそれぞれオンオフ駆動する駆動部(図示せず)を有する。制御部4の反転判断部41はインバータ部3の駆動部に対してパルス状の反転信号を入力するものであって、インバータ部3の駆動部は、反転信号が入力される度にインバータ部3の出力を反転させるように各スイッチング素子Q2〜Q5のオンオフをそれぞれ切り換える。
また、反転判断部41は例えば電源が投入されてからの経過時間に基いて放電灯Laの点灯状態を判定しており、放電灯Laが消灯していると判定されている期間には反転信号をLレベルに維持する。すなわち、電源が投入されてから、放電灯Laが点灯するまでは、第1スイッチング素子Q2,Q5がオンされ第2スイッチング素子Q3,Q4がオフされた状態に維持される。すると、DC−DCコンバータ部2の出力電圧の上昇に伴ってインバータ部3からの出力電圧の振幅が徐々に増大することで、スパークギャップSG1の両端電圧が徐々に上昇する。やがて、スパークギャップSG1において絶縁破壊(ブレークダウン)が発生すると、トランスT2の一次巻線P2に流れる電流の急激な増加に伴ってトランスT2の二次巻線S2に誘導起電力が発生し、この誘導起電力による電圧とインバータ部3の出力電圧とが重畳された例えば数10kVの高電圧により、放電灯Laではアーク放電が開始される(すなわち、放電灯Laが始動されて点灯する)。その後、放電灯Laの点灯を判定した反転判断部41によって反転信号の出力が開始されることにより、インバータ回路2による矩形波交流電力の出力が開始される。
上記の放電灯点灯装置1の動作を、図37を用いて説明する。まず、電源が投入されて動作が開始される(S1)と、制御部4の各部において、動作に用いられる各種の変数が初期化され(S2)、その後、反転判断部41が反転信号を出力しないことにより、インバータ部3では始動動作が開始される(S3)。すなわち、インバータ部3において対角に位置する2個のスイッチング素子Q2,Q5のみがオンされた状態が維持され、イグナイタ部5によって放電灯Laが始動される。その後、反転判断部41によって放電灯Laの点灯・未点灯が判断され(S4)、放電灯Laが未点灯と判断されればステップS3の始動動作が継続される。一方、ステップS4において、放電灯Laが点灯したと判断されれば、次のステップS5への移行により、インバータ部3が矩形波交流電力を放電灯Laに出力する動作が開始される。ステップS5では、電流目標演算部43は、DC−DCコンバータ部2の出力電圧を検出することで電圧検出値を取得する。電流目標演算部43は、新しいものから3回分までの電圧検出値を記憶するとともに随時更新しており、新たに取得された電圧検出値と合わせて4回分までの電圧検出値を平均することで電圧平均値を得てこれを制御に用いる。このように複数回分の電圧検出値の平均値である電圧平均値を制御に用いることで、ノイズの影響が抑制される。また、電流目標演算部43は、電力目標値を電力目標記憶部42から読み出すとともに、読み出された電力目標値を電圧平均値で除することで電流目標値を得、この電流目標値を電流目標上昇部44に出力する。ここで、制御部4は、ステップS4において放電灯Laの点灯が判断されてからの経過時間(以下、単に「経過時間」と呼ぶ。)を計時する計時部(図示せず)を有しており、電流目標演算部43は、計時部によって計時された経過時間に応じた電力目標値を電力目標記憶部42から読み出す。ここで、電力目標記憶部42には、図38に示すように、経過時間が0秒〜4秒であれば75Wであって経過時間が4秒〜50秒にかけて低下速度を徐々に下げながら徐々に34Wまで低下し経過時間が50秒以上であれば34Wに維持されるという、経過時間毎の電力目標値が例えばデータテーブルの形で記憶されている。すなわち、経過時間が50秒に達した後は、反転の前後の期間T1,T3以外の期間(以下、「定電力期間」と呼ぶ。)T2(図39(a)参照)での出力電力を一定の定常電力(34W)に維持する定常動作が行われ、定常動作が開始されるまでの期間(以下、「出力上昇期間」と呼ぶ。)には、定電力期間T2での出力電力を上記の定常電力よりも上昇させる出力上昇動作が行われる。なお、個々の数値は上記に限られず、定常電力は例えばインバータ部3への接続が想定される放電灯Laの定格電力とし、出力上昇期間の初期における電力目標値は例えば定常電力の2倍程度とし、出力上昇期間は例えば数十秒程度とすればよい。そして、電流目標演算部43は、経過時間に応じて電力目標記憶部42から読み出された電力目標値を、電圧平均値で除することで、電流目標値を得、この電流目標値を電流目標上昇部44に出力する。
また、反転判断部41は、インバータ部3へ反転信号を出力すべきタイミングを判断するとともに、反転信号の出力を開始する直前の所定の反転前期間T3の開始時から、反転信号の出力を終了した後の所定の反転後期間T1の終了時にかけて、DC−DCコンバータ部2の出力電力を一時的に上昇させるための出力上昇信号を電力目標上昇部44に入力する(すなわち、出力上昇信号をオンする)。電流目標上昇部44は、電流目標演算部43から電流目標値を入力されると、出力上昇信号がオンか否かを判定し(S6)、出力上昇信号がオンであれば電流目標演算部43から入力された電流目標値に所定の上昇量を加算(S7)して得られた新たな電流目標値を制御信号生成部45に出力する一方、出力上昇信号がオフであれば電流目標演算部43から入力された電流目標値をそのまま制御信号生成部45に出力する。上記の上昇量は、放電灯Laの定格電流値の0.1倍〜1倍程度とする。例えば、定格電流値が0.4Aであれば上昇量は0.04A〜0.4Aとし、定格電流値が0.8Aであれば上昇量は0.08A〜0.8Aとする。これにより、上記の反転後期間T1と反転前期間T3とには一時的にDC−DCコンバータ部2及びインバータ部3の出力電力を上昇させる同期動作が行われる。反転後期間T1の長さは例えば50μsとされ、反転前期間T3の長さは例えば200μsとされる。
制御信号生成部45は、DC−DCコンバータ部2の出力電流を検出することで電流検出値を取得し、また、新しいものから3回分までの電流検出値を記憶するとともに随時更新しており、新たに取得された電流検出値と合わせて4回分までの電流検出値を平均することで電流平均値を得てこれを制御に用いる。すなわち、電流平均値を電流目標値とするような制御信号を生成してDC−DCコンバータ部2に入力する(S8)。具体的には例えば制御信号生成部45は電流平均値と電流目標値との差に応じた電圧値の出力を生成する誤差アンプを有し、この誤差アンプの出力の電圧値に応じたオンデューティのPWM信号である制御信号を生成する。上記のように複数回分の電流検出値の平均値である電流平均値を制御に用いることで、ノイズの影響が抑制される。
ステップS9〜ステップ13はそれぞれ反転判断部41の動作である。ステップS9では、反転判断部41は、反転信号を出力すべきタイミング、すなわち所定の反転時間毎のタイミングであるか否かを判断し、反転信号を出力すべきタイミングであればステップS10において反転信号をインバータ部3へ出力する。インバータ部3の出力の周波数は数100Hz〜数kHzとされる。つまり、反転時間は数百μs〜数msである。また、ステップS11では、反転後期間T1でも反転前期間T3でも反転信号の出力中でもない定電力期間T2中であるか否かを判断し、定電力期間T2中であれば出力上昇信号をオフし(S12)、定電力期間T2中でなければ出力上昇信号をオンする(S13)。
上記のようなステップS5〜ステップS13の動作は、電源がオフされるまで継続される。さらに、異常検出及び保護動作や、周囲温度に応じたDC−DCコンバータ部2の出力電力の変更といった、周知技術を適宜組み合わせてもよい。また、反転後期間T1や反転前期間T3では、上記のように電流目標値に上昇量を加算する代わりに、電流目標値に1より大きい所定の係数(以下、「上昇率」と呼ぶ。)を乗じることによって、出力電力を上昇させてもよい。
上記のような放電灯点灯装置1によれば、反転前期間T3に出力電力を上昇させることにより放電灯Laにおいて反転時の温度低下が抑制され、反転後期間T1に出力電力を上昇させることにより放電灯Laの電極において上記の温度低下後の温度の復帰が促進されることにより、放電灯Laにおける放電が安定し、フリッカや立ち消えや電磁ノイズが抑制される。反転後期間T1と反転前期間T3との長さを互いに同じとする場合、反転後期間T1や反転前期間T3の長さはそれぞれ反転時間の数%〜20.8%程度なら上記の効果が得られると、本発明者は考えている。
さらに、図39(b)に示すように反転後期間T1の開始時から定電力期間T2の開始時にかけて電力目標値を徐々に低下させるとともに定電力期間T2の終了時から反転前期間T3の終了時にかけて電力目標値を徐々に上昇させることで出力電力の急激な変化を抑えて回路部品や放電灯Laへの電気的なストレスを抑制することも考えられている。また、図39(c)に示すように反転前期間T3のみに出力電力を上昇させても効果はあるが、図39(a)や図39(b)のように反転後期間T1と反転前期間T3との両方で出力電力を上昇させることが望ましい。
また、始動後の所定時間にわたって出力電力を定常電力よりも大きくするという出力上昇動作により、出力上昇動作を行わない場合に比べ、放電灯Laの温度が速やかに上昇するから、放電灯Laの光出力をより短時間で安定させることができる。
特表10−501919号公報
特開2002−110392号公報
上記のように、インバータ部3の出力の反転の直前や直後に一時的にインバータ部3の出力電力(すなわち放電灯Laへの供給電力)を大きくする技術を、放電灯Laの始動時の所定の出力上昇期間中に定常点灯時よりも大きい電力を放電灯Laに供給する技術に対し、単純に組み合わせると、出力上昇期間中であってインバータ部3の出力の反転の直前や直後に、直流電源部2やインバータ部3を構成する回路部品や放電灯Laに過大な電気的ストレスがかかってしまう可能性があった。
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、回路部品や放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる放電灯点灯装置、該放電灯装置を備えた前照灯装置、及び該前照灯装置を備えた車両を提供することにある。
請求項1の発明は、直流電力を出力する直流電源部と、直流電源部が出力した直流電力の極性を所定の反転時間おきに反転させた矩形波交流電力を放電灯に供給するインバータ部と、直流電源部の出力電力を制御する制御部とを備え、制御部は、インバータ部の出力の反転の直前と直後との少なくとも一方には、直流電源部の出力電力を一時的に上昇させる同期動作を行うものであり、制御部は、放電灯の始動時、同期動作中以外の期間での出力電力を所定の定常電力に維持するように直流電源部を制御する定常期間を開始する前の所定の出力上昇期間には、同期動作中以外の期間での出力電力を定常電力よりも大きくするように直流電源部を制御するものであって、制御部は、出力上昇期間の少なくとも一部においては、定常期間中に比べ、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇の幅と、同期動作の継続時間との少なくとも一方を小さくすることを特徴とする。
この発明によれば、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇の幅を、出力上昇期間の全体において定常期間と共通にする場合に比べ、回路部品や放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御部は、直流電源部の出力電圧と出力電流とをそれぞれ検出し、検出された出力電圧によって所定の電力目標値を除して電流目標値を得るとともに、同期動作中でない期間においては検出された出力電流を電流目標値に一致させるように直流電源部を制御し、同期動作中には検出された出力電流を電流目標値と所定の上昇量との和に一致させるように直流電源部を制御するものであって、出力上昇期間の少なくとも一部には、定常期間中よりも、前記上昇量を小さくすることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、制御部は、直流電源部の出力電圧と出力電流とをそれぞれ検出し、検出された出力電圧によって所定の電力目標値を除して電流目標値を得るとともに、同期動作中でない期間においては検出された出力電流を電流目標値に一致させるように直流電源部を制御し、同期動作中には検出された出力電流を電流目標値と1以上の所定の上昇率との積に一致させるように直流電源部を制御するものであって、出力上昇期間の少なくとも一部には、定常期間中よりも、前記上昇率を小さくすることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、制御部は、出力上昇期間の少なくとも一部には、定常期間中よりも、同期動作の継続時間を短くすることを特徴とする。
この発明によれば、同期動作によって回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、制御部は、出力上昇期間の少なくとも一部には、同期動作を行わず直流電源部の出力電力を一定とすることを特徴とすることを特徴とする。
この発明によれば、同期動作によって回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、制御部は、出力上昇期間中に、同期動作中以外の期間での直流電源部の出力電力を徐々に定常電力まで低下させるとともに、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を、それぞれ徐々に上昇させることを特徴とする。
この発明によれば、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を、出力上昇期間の最初から定常期間と同程度に大きくする場合に比べ、同期動作によって回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項7の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、制御部は、直流電源部の出力電圧を検出するとともに、検出された出力電圧が低いほど、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を小さくすることを特徴とする。
この発明によれば、同期動作によって回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項8の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、制御部は、直流電源部の出力電流を検出するとともに、検出された出力電流が大きいほど、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を小さくすることを特徴とする。
この発明によれば、同期動作によって回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項9の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、制御部は、放電灯の始動時の所定時間にわたり、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を徐々に増加させることを特徴とする。
この発明によれば、同期動作によって回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかの発明において、放電灯の温度を推定して推定された温度に応じた出力を生成する温度推定部を備え、制御部は、出力上昇期間の開始時に温度推定部によって推定された温度が高いほど、出力上昇期間を短くすることを特徴とする。
この発明によれば、出力上昇期間の開始時に既に放電灯の温度が高く出力上昇期間が短くてもいいような場合には出力上昇期間が短くされるから、出力上昇期間において回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の放電灯点灯装置と、放電灯点灯装置によって点灯される放電灯とを備えることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項11記載の前照灯装置を備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、出力上昇期間の少なくとも一部においては、定常期間中に比べ、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇の幅と、同期動作の継続時間との少なくとも一方を小さくするので、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇の幅を、出力上昇期間の全体において定常期間と共通にする場合に比べ、回路部品や放電灯にかかる電気的ストレスが抑えられる。
請求項4の発明によれば、制御部は、出力上昇期間の少なくとも一部には、定常期間中よりも、同期動作の継続時間を短くし、請求項5の発明によれば、制御部は、出力上昇期間の少なくとも一部には、同期動作を行わず直流電源部の出力電力を一定とし、請求項6の発明によれば、制御部は、出力上昇期間中に、同期動作中以外の期間での直流電源部の出力電力を徐々に定常電力まで低下させるとともに、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を、それぞれ徐々に上昇させ、請求項7の発明によれば、制御部は、直流電源部の出力電圧を検出するとともに、検出された出力電圧が低いほど、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を小さくし、請求項8の発明によれば、制御部は、直流電源部の出力電流を検出するとともに、検出された出力電流が大きいほど、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を小さくし、請求項9の発明によれば、制御部は、放電灯の始動時の所定時間にわたり、同期動作における直流電源部の出力電力の上昇幅を徐々に増加させるので、それぞれ、同期動作によって回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
請求項10の発明によれば、出力上昇期間の開始時に既に放電灯の温度が高く出力上昇期間が短くてもいいような場合には出力上昇期間が短くされるから、出力上昇期間において回路部品や放電灯にかかる電気的なストレスが抑えられる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本実施形態の基本構成は図36〜図39で説明した従来例と共通であるので、共通する部分についての図示並びに説明は省略する。
上記従来例では上昇量(すなわち、同期動作における出力電力の上昇幅)は常に一定値とされていたのに対し、本実施形態では上昇量が可変とされている点が上記従来例と異なる。
上昇量の変更としては、例えば、図2や図3のように経過時間0秒から4秒までは上昇量を最小値(図2では0.2A、図3では0A)に維持するとともに、経過時間4秒から50秒にかけて上昇量を前記最小値から最大値(例えば0.4A)まで直線状に徐々に増大させてもよい。すなわち、電力上昇期間中には、定常期間中よりも上昇量が大きくされる。例えば、図2の例では、経過時間が4秒であるときには図1(a)に示すように上昇量が0.2Aとなり、経過時間が50秒以上であるときには図1(b)に示すように上昇量が0.4Aとなる。このように上昇量を変化させれば、定常期間におけるフリッカや立ち消えや電磁ノイズの抑制の効果を確保しつつ、電力上昇期間において放電灯Laや回路部品にかかる電気的なストレスを抑えることができる。
または、電流目標上昇部44がDC−DCコンバータ部2の出力電力を検出するとともに、図4や図5に示すように、前記出力電力が電力上昇期間の開始時での電力目標値(最大電力)であるときには上昇量を最小値(図4では0.2A、図5では0A)とし、前記出力電力が定常期間での電力目標値(定格)であるときには上昇量を最大値(例えば0.4A)として、前記出力電力が定格と最大電力との間の所定の範囲であるときには前記出力電力が大きくなるほど上昇量を小さくしてもよい。
または、図6や図7に示すように、電圧検出値が電力上昇期間の開始時(始動時)における電圧検出値の予想値(例えば20V)であるときには上昇量を最小値(図6では0.2A、図7では0A)とし、電圧検出値が定常期間における電圧検出値の予想値(すなわち放電灯Laの定格電圧であり、例えば85V)であるときには上昇量を最大値(例えば0.4A)としてもよい。図6の例では電圧検出値が所定範囲内であるときには電圧検出値に対して上昇量を直線的に徐々に増加させている。図7の例では電圧検出値が30V未満であれば上昇量を最小値とし、電圧検出値が30V以上であれば上昇量を最大値としている。すなわち、放電灯Laの負特性により、電圧検出値が低いほど出力電力が高いと推定されるので、電圧検出値が低いときには反転後期間T1や反転前期間T3で出力電力を高くしすぎないように上昇量を小さくしているのである。
または、図8や図9に示すように、電流検出値が電力上昇期間の開始時(始動時)における電流検出値の予想値(例えば2.6A)であるときには上昇量を最小値(図8では0.2A、図9では0A)とし、電流検出値が定常期間における電流検出値の予想値(すなわち放電灯Laの定格電流であり、例えば0.4A)であるときには上昇量を最大値(例えば0.4A)としてもよい。また、図8の例や図9の例では電流検出値が所定範囲内(図9の例においては2.2A〜2.6A)であるときには電流検出値に対して上昇量を直線的に徐々に減少させている。
さらに、図3の例では経過時間0秒から4秒にかけての期間に、図5の例では出力電力が60W以上の期間に、図7の例では電圧検出値が30V未満の期間に、図9の例では電流検出値が2.6A以上の期間に、それぞれ、上昇量を0としており、つまり上記の各期間には実質的に反転後期間T1や反転前期間T3は設けられずDC−DCコンバータ部2の出力電流は一定に維持される。これらの構成によれば、上昇量を0としない場合に比べ、放電灯Laにかかる電気的なストレスが低減される。
(実施形態2)
本実施形態の基本構成は図36〜図39で説明した従来例と共通であるので、共通する部分についての図示並びに説明は省略する。
上記従来例では電流目標上昇部44が反転後期間T1や反転前期間T3において電流目標演算部43から入力された電流目標値に上昇量を加算することで電流目標値を上昇させていたのに対し、本実施形態では電流目標上昇部44が反転後期間T1や反転前期間T3において電流目標演算部43から入力された電流目標値に1以上の上昇率を乗じることで電流目標値を上昇させている点が上記従来例と異なる。
ここで、例えば、上昇率を常に2とした場合、図10(a)に示すように定電力期間T2での電流目標値が2.6Aであれば反転後期間T1や反転前期間T3での電流目標値は5.2Aとされ、図10(b)に示すように定電力期間T2での電流目標値が0.4Aであれば反転後期間T1や反転前期間T3での電流目標値は0.8Aとされる。このように上昇率を一定としたのでは、出力上昇期間中の反転後期間T1や反転後期間T3には直流電源部2やインバータ部3を構成する回路部品や放電灯Laに過大な電気的ストレスがかかってしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、実施形態1において上昇量を可変としたのと同様に、上昇率を可変としている。
上昇率の変更としては、例えば、図11や図13のように経過時間0秒から4秒までは上昇率を最小値(図11では1.1、図13では1)に維持するとともに、経過時間4秒から50秒にかけて上昇率を前記最小値から最大値(例えば2)まで直線状に徐々に増大させてもよい。すなわち、電力上昇期間中には、定常期間中よりも上昇率が大きくされる。例えば、図11の例では、経過時間が4秒であるときには図12(a)に示すように上昇率が1,1となり、経過時間が50秒以上であるときには図12(b)に示すように上昇率が2となる。このように上昇率を変化させれば、定常期間におけるフリッカや立ち消えや電磁ノイズの抑制の効果を確保しつつ、電力上昇期間において放電灯Laや回路部品にかかる電気的なストレスを抑えることができる。
または、電流目標上昇部44がDC−DCコンバータ部2の出力電力を検出するとともに、図14や図15に示すように、前記出力電力が電力上昇期間の開始時での電力目標値(最大電力)であるときには上昇率を最小値(図14では1.1、図15では1)とし、前記出力電力が定常期間での電力目標値(定格)であるときには上昇率を最大値(例えば2)としてもよい。図14の例では前記出力電力が所定範囲内であるときには前記出力電力に対して上昇率を直線的に徐々に減少させている。図15の例では前記出力電力が60W未満であれば上昇率を最大値とし、前記出力電力が60W以上であれば上昇率を最小値としている。
または、図16や図17に示すように、電圧検出値が電力上昇期間の開始時(始動時)における電圧検出値の予想値(例えば20V)であるときには上昇率を最小値(図16では1.1、図17では1)とし、電圧検出値が定常期間における電圧検出値の予想値(すなわち放電灯Laの定格電圧であり、例えば85V)であるときには上昇率を最大値(例えば2)としてもよい。図16の例では電圧検出値が所定範囲内であるときには電圧検出値に対して上昇率を直線的に徐々に増加させている。図17の例では電圧検出値が30V未満であれば上昇率を最小値とし、電圧検出値が30V以上であれば上昇率を最大値としている。すなわち、放電灯Laの負特性により、電圧検出値が低いほど出力電力が高いと推定されるので、電圧検出値が低いときには反転後期間T1や反転前期間T3で出力電力を高くしすぎないように上昇率を小さくしているのである。
または、図18や図19に示すように、電流検出値が電力上昇期間の開始時(始動時)における電流検出値の予想値(例えば2.6A)であるときには上昇率を最小値(図18では1.1、図19では1)とし、電流検出値が定常期間における電流検出値の予想値(すなわち放電灯Laの定格電流であり、例えば0.4A)であるときには上昇率を最大値(例えば2)としてもよい。図18の例では電流検出値が所定範囲内であるときには電流検出値に対して上昇率を直線的に徐々に減少させている。図19の例では電流検出値が所定値以上であれば上昇率を最小値とし、電流検出値が前記所定値未満であれば上昇率を最大値としている。
さらに、図13の例では経過時間0秒から4秒にかけての期間に、図15の例では出力電力が60W以上の期間に、図17の例では電圧検出値が30V未満の期間に、図19の例では電流検出値が前記所定値以上の期間に、それぞれ、上昇率を1としており、つまり上記の各期間には実質的に反転後期間T1や反転前期間T3は設けられずDC−DCコンバータ部2の出力電流は一定に維持される。これらの構成によれば、上昇率を1としない場合に比べ、放電灯Laにかかる電気的なストレスが低減される。
(実施形態3)
本実施形態の基本構成は図36〜図39に示した従来例と共通であるので、共通する部分についての図示並びに説明は省略する。
上記従来例では反転前期間T3の長さが一定とされていたのに対し、本実施形態では反転前期間T3の長さ(すなわち同期動作の継続時間。以下、「上昇時間」と呼ぶ。)が可変とされている点が上記従来例と異なる。
上昇時間の変更としては、例えば、図20や図22のように経過時間0秒から4秒までは上昇時間を最小値(図20では50μs、図22では0μs)に維持するとともに、経過時間4秒から50秒にかけて上昇時間を前記最小値から最大値(例えば200μs)まで直線状に徐々に長くしてもよい。すなわち、電力上昇期間中には、定常期間中よりも上昇時間が長くされる。例えば、図20の例では、経過時間が4秒であるときには図21(a)に示すように上昇時間が50μsとなり、経過時間が50秒以上であるときには図21(b)に示すように上昇時間が200μsとなる。このように上昇時間を変化させれば、定常期間におけるフリッカや立ち消えや電磁ノイズの抑制の効果を確保しつつ、電力上昇期間において放電灯Laや回路部品にかかる電気的なストレスを抑えることができる。
または、反転判断部41がDC−DCコンバータ部2の出力電力を検出するとともに、図23や図24に示すように、前記出力電力が電力上昇期間の開始時での電力目標値(最大電力)であるときには上昇時間を最小値(図23では50μs、図24では0μs)とし、前記出力電力が定常期間での電力目標値(定格)であるときには上昇時間を最大値(例えば200μs)としてもよい。図23の例では前記出力電力が所定範囲内であるときには前記出力電力に対して上昇時間を直線的に徐々に短くしている。図24の例では前記出力電力が60W未満であれば上昇時間を最大値とし、前記出力電力が60W以上であれば上昇時間を最小値としている。
または、図25や図26に示すように、電圧検出値が電力上昇期間の開始時(始動時)における電圧検出値の予想値(例えば20V)であるときには上昇時間を最小値(図25では50μs、図26では0μs)とし、電圧検出値が定常期間における電圧検出値の予想値(すなわち放電灯Laの定格電圧であり、例えば85V)であるときには上昇時間を最大値(例えば200μs)としてもよい。図25の例や図26の例では電圧検出値が所定範囲内であるときには電圧検出値に対して上昇時間を直線的に徐々に増加させている。すなわち、放電灯Laの負特性により、電圧検出値が低いほど出力電力が高いと推定されるので、電圧検出値が低いときには反転前期間T3での電気的ストレスを抑えるように上昇時間を短くしているのである。
または、図27や図28に示すように、電流検出値が電力上昇期間の開始時(始動時)における電流検出値の予想値(例えば2.6A)であるときには上昇時間を最小値(図27では50μs、図28では0μs)とし、電流検出値が定常期間における電流検出値の予想値(すなわち放電灯Laの定格電流であり、例えば0.4A)であるときには上昇時間を最大値(例えば200μs)としてもよい。図27の例では電流検出値が所定範囲内であるときには電流検出値に対して上昇時間を直線的に徐々に短くしている。図28の例では電流検出値が2.2A以上であれば上昇時間を最小値とし、電流検出値が前記所定値未満であれば上昇時間を最大値としている。
さらに、図22の例では経過時間0秒から4秒にかけての期間に、図24の例では出力電力が60W以上の期間に、図26の例では電圧検出値が所定値未満の期間に、図28の例では電流検出値が2.2A以上の期間に、それぞれ、上昇時間を0μsとしており、つまり上記の各期間には実質的に反転前期間T3は設けられずDC−DCコンバータ部2の出力電流は反転後期間T1以外では一定に維持される。これらの構成によれば、上昇時間を0μsとしない場合に比べ、放電灯Laにかかる電気的なストレスが低減される。
なお、上記の例では反転前期間T3の長さを可変としたが、反転後期間T1の長さを可変としても効果は同様である。
また、本実施形態に述べた上昇時間の変更は、実施形態1に述べた上昇量の変更や、実施形態2に述べた上昇率の変更と、組み合わせて採用してもよい。
ここで、例えば放電灯Laが消灯されてから再点灯されるまでの時間が短い場合など、電源の投入時に放電灯Laの温度がある程度高い場合、放電灯Laの温度が低い場合に比べて電力上昇期間は短くてもよく、また、回路部品や放電灯Laへの無駄な電気的ストレスを低減するためには電力上昇期間を短くすることが望ましい。そこで、実施形態1〜3において、図29に示すように放電灯Laの温度を推定する温度推定部6を設けるとともに、経過時間の計時を開始する際に必ずしも0秒から開始させず、温度推定部6によって推定された温度が高いほど長い経過時間が既に経過しているものとして経過時間の計時を開始させてもよい。図29の温度推定部6は、一端がグランドに接続された抵抗RDとコンデンサCTとの並列回路と、この並列回路にスイッチSWを介して一端が接続され他端が5Vの定電圧源に接続された抵抗RCとを備える。スイッチSWは、放電灯Laの点灯中にはオンされ放電灯Laの消灯中にはオフされるように、制御部4の例えば反転判断部41によってオンオフ制御される。つまり、温度推定部6のコンデンサCTは、放電灯Laの点灯中には抵抗RCを介して充電され、放電灯Laの消灯中には抵抗RDを介して放電されるのであり、放電灯Laの点灯直後すなわちスイッチSWがオンされた直後にはコンデンサCTの充電電圧が温度推定部6の出力電圧として制御部4に入力される。放電灯Laが消灯後に再点灯されたときには、消灯されていた期間が短いほど、また、消灯前に点灯されていた時間が長いほど、温度推定部6の出力電圧が高くなるのであり、すなわち、温度推定部6の出力電圧が高いほど放電灯Laの温度が高いと推定することができる。制御部4には例えば図30のような温度推定部6の出力電圧と経過時間の初期値との関係が記憶されており、放電灯Laの点灯時には温度推定部6の出力電圧が高い(つまり放電灯Laの推定温度が高い)ほど経過時間の初期値を大きくする。例えば、図30の場合において、放電灯Laの点灯時に温度推定部6の出力電圧が1Vであれば、経過時間を30秒から開始させるのであり、この結果、電力上昇期間は30秒短くなる。なお、温度推定部6には放電灯Laに近接配置される周知の温度センサを用いてもよく、この場合、温度センサによって検出された温度(放電灯La付近の温度)に基いて、放電灯Laの実際の温度が推定されることになる。
また、実施形態1〜3のそれぞれにおいて、制御部4を図31に示す構成としてもよい。図31の制御部4は、電力変換部2のトランスT1の一次巻線P1に流れる電流(以下、「一次側電流」と呼ぶ。)を検出する一次側電流検出部46と、電力変換部2のトランスT1の二次巻線S1に流れる電流(以下、「二次側電流」と呼ぶ。)を検出する二次側電流検出部47と、制御信号生成部45が出力した制御信号(PWM信号)をD/A変換して制御信号のオンデューティに応じた電圧値(つまり、電力変換部2に対して指示される出力電流が高いほど高い電圧値)の出力を生成するD/A変換回路48と、非反転入力端子がグランドに接続されるとともに反転入力端子に二次側電流検出部47が接続された第1コンパレータCP1と、非反転入力端子に一次側電流検出部46が接続されるとともに反転入力端子にD/A変換回路48が接続された第2コンパレータCP2と、セット端子が第1コンパレータCP1の出力端子に接続されリセット端子が第2コンパレータCP2の出力端子に接続されQ端子が電力変換部2のスイッチング素子Q1に接続されたフリップフロップ回路を含む駆動回路49とを備える。すなわち、二次側電流検出部47によって検出される二次側電流の電流値が0となったときにスイッチング素子Q1がオンされ、一次側電流検出部46によって検出される一次側電流の電流値が制御信号生成部45によって指示される電流値を上回ったときにスイッチング素子Q1がオフされる。つまり、二次側電流が0となったときにスイッチング素子Q1がオンされるように構成されていることでトランスT1の利用率の向上が図られるとともに、一次側電流に基いたフィードバック制御によりDC−DCコンバータ部2の出力電力が制御される。また、駆動回路49は、スイッチング素子Q1がオフされている時間(以下、「オフ時間」と呼ぶ。)を計時しており、オフ時間が所定の最大オフ時間に達すると、セット端子がHレベルとなっていなくても(つまり、二次側電流が0となっていなくても)スイッチング素子Q1をオンさせる。さらに、駆動回路49は、例えば放電灯Laの温度が低い状態のように、インバータ部2の出力電圧が低く二次側電流の波形の傾きが小さい場合におけるスイッチング素子Q1のスイッチング周波数低下に伴うピーク電流の上昇を防止するため、上記の最大オフ時間を状態に応じて調整する機能を有している。また、制御信号生成部35は、制御信号の上位8ビット分のPWM信号と下位8ビット分のPWM信号とを別々の端子から出力するものであって、D/A変換回路48が上記2個のPWM信号をそれぞれA/D変換した後に加算することで、D/A変換回路48からは16ビット分の分解能のアナログ信号が出力される。
さらに、実施形態1〜3のそれぞれにおいて、DC−DCコンバータ部2を、図32に示すような周知のバックコンバータ(降圧チョッパ回路)に変更してもよい。図32の例では、DC−DCコンバータ部2に電力を供給する直流電源Eとして、交流電源ACから供給された交流電力を直流電力に変換するAC−DCコンバータが用いられている。このAC−DCコンバータは、フィルタ回路と整流平滑回路とブーストコンバータとが組み合わされた周知の回路であるので、詳細な説明は省略する。
または、インバータ部3のスイッチング素子をDC−DCコンバータ部2のスイッチング素子に兼用する回路構成としてもよい。このような回路構成は周知技術で実現可能であるので、図示並びに詳細な説明は省略する。
また、実施形態1〜3では、電流目標値を上昇させることによって反転後期間T1や反転前期間T3での出力電力を増加させたが、電力目標値を上昇させる構成としてもよいし、例えば電力目標値を電流検出値で除して得られた電圧目標値に電圧検出値を近づけるように制御する構成とする場合には電圧目標値を上昇させる構成としてもよい。
また、図2の例のように、DC−DCコンバータ部2の出力電力が、入力される制御信号(PWM信号)のオンデューティだけでなく周波数によっても変化する場合、制御部4がDC−DCコンバータ部2に入力する制御信号の周波数によってDC−DCコンバータ部2を制御するようにしてもよい。さらに、定電力期間T2での制御信号の周波数を経過時間によらず一定とする一方、図4に示したような出力電力の制御を制御信号のオンデューティの変化によって行い、実施形態2のような上昇率の変化を制御信号の周波数の変化によって行うといったように、制御信号のオンデューティによる制御と周波数による制御とを使い分けてもよい。例えば、定電力期間T2での制御信号の周波数を経過時間によらず280kHzとする一方、図33に示すように経過時間に応じて制御信号の周波数を300kHz〜500kHzの間で変化させることにより反転後期間T1や反転前期間T3での出力電力を変化させる。つまり、図34(a)に示すように経過時間が4秒の時点では反転前期間T3の開始時点から反転後期間T1の終了時点にかけての制御信号の周波数f2が300kHzとされ、図34(b)に示すように経過時間が50秒の時点では上記期間での制御信号の周波数f2が500kHzとされ、定電力期間T2での制御信号の周波数f1は経過時間によらず280kHzとされる。
上述した各種の放電灯点灯装置1は、車載用の前照灯として用いられる放電灯Laとともに前照灯装置を構成し、図35に示すように自動車CRに搭載して用いることができる。この場合、直流電源Eとしては自動車CRに搭載されたバッテリーが用いられる。