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JP5034135B2 - 電池およびその製造方法 - Google Patents

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JP5034135B2
JP5034135B2 JP2000289038A JP2000289038A JP5034135B2 JP 5034135 B2 JP5034135 B2 JP 5034135B2 JP 2000289038 A JP2000289038 A JP 2000289038A JP 2000289038 A JP2000289038 A JP 2000289038A JP 5034135 B2 JP5034135 B2 JP 5034135B2
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幸久 竹内
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徹 原田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極板および負極板がセパレータを介して配置された電極体を有する電池に関し、詳しくは、体格の小型化された電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、さまざまな装置において、常に高性能化が求められている。この高性能化された装置を得るための手段として、装置の体格の小型化や、重量の軽量化がある。このような高性能化は、電池においても例外ではない。
【0003】
高性能化された電池として、電極体を薄型化、高密度化し、これを渦巻状に巻回して形成された巻回型電極体を用いた電池が知られている。また、この巻回型電極体は、その生産性においても有用であることが知られ、広く用いられるようになってきている。
【0004】
巻回型電極体は、シート状の正極板、負極板およびセパレータから構成され、セパレータを介して正極板と負極板とを積層させ、この積層体を巻回させて形成される。
【0005】
巻回型電極体は、通常は、その断面形状が真円もしくはそれに近い円状に形成される。このような円形状に形成された巻回型電極体は、断面が略円形状に形成されたケースに封入され、電池を形成している。この略円形状の電池は、外周面が曲面部を有するため、装置に取り付けるときなどに、その外周面部に無効空間が生じやすくなっていた。
【0006】
このため、近年では、巻回型電極体を径方向に圧縮して扁平化させた扁平形状巻回型電極体が、より高い体積密度を有する電極体として知られている。扁平形状巻回型電極体は、角型形状のケースを用いることができるため、電池の周辺に無効空間が生じにくいという効果も示す。
【0007】
扁平形状巻回型電極体を用いた電池は、通常は、正極板および負極板に電極端子を直接接合することで、電極体から電力を取り出していた。電極端子が扁平形状巻回型電極体に接合された様子を図25および図26に示した。
【0008】
詳しくは、扁平形状巻回型電極体1の軸方向の両端に、正極板2および負極板3の電極活物質21、31の塗布されていない各未塗布部22、32よりなる各突出端部23、33を形成し、この各突出端部23、33の外周面に電極端子5が軸方向に垂直な方向に延在した状態で超音波接合等の手段により接合されていた。
【0009】
電極端子5が各突出端部23、33に接合された従来の扁平形状巻回型電極電池は、扁平形状巻回型電極体1の軸方向の両端部に形成された突出端部23、33に、電極端子5を外接あるいは内接させ扁平形状巻回型電極体1の厚さ方向に積層した未塗布部22、32に電極端子5を接合していた。このため、従来の扁平形状巻回型電極電池においては、電極端子5と扁平形状巻回型電極体1とを接合するために、その接合しろを確保するべく、未塗布部22、32の長さを大きくとる必要があった。したがって、未塗布部22、32を長くすることで、突出端部23、33の長さが長くなり、扁平形状巻回型電極体ひいては電池の体格の大型化を生じていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、正極板および負極板がセパレータを介して配された電極体を有する電池において、体格が小型化された電池およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明者等は扁平形状巻回型などの正極板および負極板がセパレータを介して配された電極体と電極端子との接合構造について検討を重ねた結果、電極端子を電極体の端部に架橋部を介して接合した電池とすることで上記課題を解決できることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の電池は、集電体と、集電体の両面に塗布された電極活物質と、からなり、電極活物質が塗布された電極部と、集電体の幅方向の一方の端部側に形成され集電体の表面が露出した未塗布部と、を有する帯状の正極板および負極板と、帯状のセパレータと、からなり、正極板および負極板が各未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ電極部がセパレータを介した状態で配置され各未塗布部よりなる突出端部を有する電極体と、電極体の突出端部の端部に架橋部を介して接合された電極端子と、を有し、電極端子は、軸部と、軸部と一体に形成されそれぞれが突出端部に接合された複数の突起部と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の電池は、未塗布部よりなる突出端部の端面部に電極端子を接合しているため、突出端部に電極端子が外周面および内周面に接合するための接合しろをもうける必要がなくなり、突出端部の長さを短縮できる。このため、電極端子が接合された状態において、電極体の長さを短縮できる。この結果、この電極体が用いられた電池の体格が小型化される効果を示す。本発明の電池は、体積効率に優れることから、多数の電極体を用いる組電池を形成したときに特に効果を発揮する。
【0014】
また、本発明の電池の製造方法は、集電体と、集電体の両面に塗布された電極活物質と、からなり、電極活物質が塗布された電極部と、集電体の幅方向の一方の端部側に形成され集電体の表面が露出した未塗布部と、を有する帯状の正極板および負極板と、帯状のセパレータと、からなり、正極板および負極板が各未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ電極部がセパレータを介した状態で配置され各未塗布部よりなる突出端部を有する電極体と、軸部と、軸部と一体に形成されそれぞれが突出端部と接合される複数の突起部と、を有する電極端子と、を、各突出端部の端面に電極端子を接合する電極端子接合工程を有する電池の製造方法であって、電極端子接合工程が、電極体の突出端部の端部に電極端子を配置した状態で、突起部を溶融させ、突起部の溶融液を突出端部の積層した未塗布部に供給した後に溶融液を冷却する工程であることを特徴とする。
【0015】
本発明の電池の製造方法は、電極体の突出端部の端面に電極端子を接合することができるため、電極体の軸方向の長さが短縮された電池を製造することができる。また、本発明の電池の製造方法は、集電体と電極端子という板厚差が大きな部材を高い接合強度で接合することができるため、電極体を電極端子により保持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(電池)
本発明の電池は、電極体と、電極端子と、を有する電池である。
【0017】
電極体は、集電体と、集電体の両面に塗布された電極活物質と、からなり、電極活物質が塗布された電極部と、集電体の幅方向の一方の端部側に形成され集電体の表面が露出した未塗布部と、を有する帯状の正極板および負極板と、帯状のセパレータと、からなり、正極板および負極板が各未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ電極部がセパレータを介した状態で配置され各未塗布部よりなる突出端部を有する部材である。
【0018】
ここで、本発明の電池は、正極板および負極板が電極活物質が塗布されていない各未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ電極部がセパレータを介した状態で配置され各未塗布部よりなる突出端部を有する電極体を有している電池であればよく、電池の種類は特に限定されるものではない。すなわち、電極体は、通常の電池に用いられる電極体を用いることができ、たとえば、積層型電極体や、巻回型電極体をあげることができる。このため、電極体を形成する正極板、負極板およびセパレータにおいても、従来の電池の正極、負極およびセパレータに用いられた部材を用いることができる。
【0019】
電極端子は、電極体の突出端部の端部に架橋部を介して接合された部材である。ここで、電極端子は、電極体の突出端部に接合されることで、電極体の電極部において発生した電力を取り出す部材である。また、電極端子が、突出端部の端部に接合されることで、突出端部の長さを短縮することができる。この結果、電極体の軸方向の長さを短くでき、この電極体を有する電池の体格を小型化することができる。
【0020】
本発明の電池は、電極体の突出端部の端部に電極端子が接合されているため、突出端部に電極端子を接合させるための接合しろを形成する必要がなく、突出端部の長さを大幅に短くすることができる。この結果、本発明の電池は体格を小型化することができる。
【0021】
架橋部は、正極板の隣り合う間および負極板の隣り合う間の間隙内に入り込んで正極板の隣り合う間および負極板の隣り合う間をそれぞれ接合している。すなわち、架橋部が、突出端部の隣り合った正極板および負極板の間に入り込んで形成されることで、それぞれの電極板を接合するとともに、それぞれの電極板と電極端子とを接合する。
【0022】
架橋部は、複数存在していることが好ましい。架橋部が複数存在すると、電極板同士および電極板と電極端子との接合が強固に行われるようになる。すなわち、架橋部が複数存在することで、電極板同士および電極端子と電極板との接合箇所が増加し、接合箇所に過剰な応力が集中することが防止できる。さらに、架橋部が複数存在することで、電極体が大電流を発生させたときに、一つの架橋部に流れる電流を低減させることができ、架橋部が大電流による過熱損傷を生じることが抑えられる。
【0023】
正極板、負極板およびセパレータは帯状の形状を有し、正極板および負極板がセパレータを介して巻回された扁平形状巻回型構成を有していることが好ましい。正極板および負極板がセパレータを介して巻回された扁平形状巻回型構成を有している電極体とは、扁平形状巻回型電極体を示す。扁平形状巻回型電極体は、正極板および負極板がセパレータを介して巻回された円形状の断面を有する巻回型電極体が、軸方向に垂直な方向で圧縮された電極体、もしくは、平板状の巻芯体にレーストラック状に巻回された電極体を示す。扁平形状巻回型電極体は、巻回型電極体の軸方向に垂直な断面が、互いに対向した一対の長辺部と、互いに対向した一対の湾曲部と、からなる断面形状を有する。扁平形状巻回型電極体は、体積効率に優れているため、電池を形成したときに体積効率に優れた高性能な電池が得られる。
【0024】
電極端子に接合された突出端部は、厚さ方向に重ね合わされて厚密化部となっていることが好ましい。ここで、重ね合わされる厚さ方向とは、突出端部を構成する未塗布部が配置された状態における、未塗布部の厚さ方向を示す。また、厚密化部の厚さ方向に重ね合わされた状態は、突出端部を構成する未塗布部が重ね合わされた状態であることを示し、一体化された状態あるいは積層した状態で圧縮された状態であってもよい。すなわち、複数枚の未塗布部と電極端子を接合することができ、電極端子に接合された突出端部が、厚密化部となることで、電極端子と突出端部との接合強度が向上する。
【0025】
突出端部は、複数箇所の厚密化部を有することが好ましい。複数箇所の厚密化部とは、突出端部の厚さ方向に、未塗布部が重ね合わされた厚密化部が複数箇所形成されたことを示す。突出端部が複数箇所の厚密化部を有することで、未塗布部の長さを短くすることができる。すなわち、複数箇所の厚密化部を有することで、厚密化部が形成された位置と電極部との長さを短くすることができ、未塗布部の長さを短縮できる。
【0026】
厚密化部は、突出端部の厚さ方向に対して傾斜した方向に形成されたことが好ましい。厚密化部が傾斜して形成されることで、突出端部の長さを短くすることができる。詳しくは、突出端部の厚密化部は未塗布部が重ね合わされて形成されているため、厚密化部の重ね合わされる突出端部の厚さ方向の位置により、必要となる未塗布部の長さが異なるようになっていた。このため、傾斜して形成することで、厚密化部の径方向の位置を変化させることができ、未塗布部の長さを短くすることができる。
【0027】
厚密化部が長辺部にあることが好ましい。すなわち、扁平形状巻回型電極体においては、突出端部も扁平巻回形状に形成される。このため、突出端部も軸方向に垂直な断面が、互いに対向した一対の長辺部と、互いに対向した一対の湾曲部とからなる扁平形状に形成される。厚密化部が長辺部に形成されることで、扁平形状巻回型電極体において、突出端部の厚密化を容易に行うことができる。
【0028】
対向した一対の長辺部に厚密化部が形成されることが好ましい。一対の長辺部に厚密化部が形成されるとは、それぞれの長辺部に厚密化部が形成されたことを示す。すなわち、対向した長辺部に厚密化部が形成されることで、互いに対向する長辺部が電極端子に接合されることとなり、扁平型状巻回型電極体と電極端子の接合強度が向上する。
【0029】
長辺部に形成された厚密化部は、長径方向に対して傾斜した方向に形成されたことが好ましい。長辺部に形成された厚密化部が傾斜して形成されることで、扁平形状巻回型電極体の突出端部の長さを短くすることができる。詳しくは、突出端部の厚密化部は未塗布部が重ね合わされて形成されているため、厚密化部の重ね合わされる径方向の位置により、必要となる内周面側と外周面側の未塗布部の長さが異なるようになっていた。このため、長辺部を傾斜して形成することで、厚密化部の径方向の位置を変化させることができ、未塗布部の長さを短くすることができる。
【0030】
電極端子は、軸部と、軸部と一体に形成され突出端部に接合された突起部と、を有する。すなわち、軸部と突起部とを電極端子が有することで、電極体を電極端子により保持することができる。詳しくは、軸部が、電極端子の剛性を発揮し、突起部が突出端部に接合される。
【0031】
突起部は、複数個形成されており、それぞれの突起部が突出端部に接合されている。それぞれが突出端部に接合された複数個の突起部が形成されることで、電極端子が電極体を強固に保持できるようになるとともに電極体が大電流を発生したときに一つの突起部に流れる電流を低減することができ、突起部が大電流により過熱損傷を生じることを抑えることができる。
【0032】
軸部は、複数箇所の厚密化部のそれぞれに対向した状態で突出端部に配置されることが好ましい。軸部が複数箇所の厚密化部のそれぞれに対向した状態とは、突出端部が少なくとも2層の厚密化部を有するときに、この厚密化部に挟まれた位置に配置されていることを示す。軸部が複数箇所の厚密化部のそれぞれに対向した状態で突出端部に配置されることで、電極端子が電極体を強固に保持することができるようになる。
【0033】
軸部は、一対の長辺部のそれぞれに対向した状態で突出端部に配置されることが好ましい。すなわち、電極体が扁平形状巻回型電極体であるときには、一対の長辺部のそれぞれに対向した状態で軸部が配されることで、電極端子が電極体を強固に保持することができるようになる。ここで、軸部の配置される一対の長辺部のそれぞれに対向した状態とは、扁平形状巻回型電極体の突出端部において、突出端部の扁平巻回形状における扁平化された軸心部に配置されることを示す。
【0034】
軸部は、突出端部の外周面に対向した状態で配置されることが好ましい。軸部が外周面に対向した状態で配置されることで、架橋部を厚密化部に接合する加工を容易に行うことができるようになる。
【0035】
軸部は、突出端部の端面に配置されることが好ましい。突出端部の端面に配置されることで、電極端子を平板状に形成することができ、電極端子の加工による加工コストを低減することができる。
【0036】
軸部は、電極体の突出端部の突出した方向に貫通した貫通孔を有することが好ましい。軸部が貫通孔を有することで、電解液を電極板間に注入するときに、電極端子による電解液の注入の阻害が低減し、電池の製造に要するコストを低減できる。
【0037】
電極端子は、それぞれ接合される集電体と同一の材質で形成されることが好ましい。電極端子と集電体とが同一の材質で形成されることで、電池として使用するときに電触が生じることを抑えることができる。
【0038】
本発明の電池は、突出端部の端面に電極端子を接合しているため、各突出端部に電極端子が外周面および内周面に接合するための接合しろをもうける必要がなくなり、突出端部の長さを短縮できる。このため、電極端子が接合された状態の電極体の軸方向の長さを短縮できる。この結果、この電極体が用いられた電池の体格が小型化されている。さらに、突出端部の長さを短くすることができることから、突出端部を形成する電極板の未塗布部の長さを短くすることができ、材料コストや重量を低下させることができる。
【0039】
(電池の製造方法)
本発明の電池の製造方法は、電極体と、電極端子と、を、電極体の突出端部の端面に電極端子を接合する電極端子接合工程を有する電池の製造方法である。
【0040】
電極体は、集電体と、集電体の両面に塗布された電極活物質と、からなり、電極活物質が塗布された電極部と、集電体の幅方向の一方の端部側に形成され集電体の表面が露出した未塗布部と、を有する帯状の正極板および負極板と、帯状のセパレータと、からなり、正極板および負極板が各未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ電極部がセパレータを介した状態で配置され各未塗布部よりなる突出端部を有する電極体である。
【0041】
すなわち、電極体は、正極板および負極板が電極活部室が塗布されていない各未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ電極部がセパレータを介した状態で配置され各未塗布部よりなる突出端部を有する電極体を有している電池であればよく、電池の種類は特に限定されるものではない。すなわち、電極体は、通常の電池に用いられる電極体を用いることができ、たとえば、積層型電極体や、巻回型電極体をあげることができる。このため、電極体を形成する正極板、負極板およびセパレータにおいても、従来の電池の正極、負極およびセパレータに用いられた部材を用いることができる。
【0042】
電極端子は、軸部と、軸部と一体に形成されそれぞれが突出端部と接合される複数の突起部と、からなる部材である。電極端子が軸部と突起部とから形成されることで電極端子を電極体に接合することができる。詳しくは、軸部は、電極端子に剛性を付与し、突起部が電極体の突出端部に接合される。ここで、突起部の突出高さおよび幅は、接合される突出端部により適宜決定することができる。
【0043】
突起部の突出する方向は、電極端子が電極体の端部に配置された状態で突起部が溶融したときに、溶融液が突出端部に供給できる方向であればよく、電極体の突出端部の端面の広がる方向であっても、電極体の軸方向の端部から突出する方向であっても、両者の方向の間の傾斜した方向であってもよい。
【0044】
電極端子が突起部を有することで、電極端子が電極体の各突出端部の端面に接合されることができる。すなわち、突出端部の未塗布部と電極端子とでは板厚の差が大きく、溶接などの通常の接合方法では接合することが困難であったが、電極端子が突起部とを有することで、突起部を突出端部に溶接することが可能となった。
【0045】
突起部は、複数形成される。突起部を複数形成することで、電極端子と扁平型状巻回型電極体との接合箇所が増加し、両者の接合強度が向上するとともに電極端子と電極体との接合面積が増大し、多量の電流が流れることも可能となる。
【0046】
電極端子接合工程は、電極体の突出端部の端部に電極端子を配置した状態で、突起部を溶融させ、突起部の溶融液を突出端部の未塗布部に供給した後に溶融液を固化する工程である。
【0047】
電極端子接合工程により突起部が溶融して溶融液が突出端部の未塗布部に供給されると、溶融液はそれぞれの未塗布部の界面に浸入するとともに、その熱により各未塗布部を溶融させ、お互いの溶融液が混合する。その後、この溶融液が冷却されると、溶融液が凝固し、両者が一体に形成された架橋部を形成し、電極端子と電極体とが接合される。
【0048】
また、ここで、突起部の溶融液の未塗布部への供給は、未塗布部の界面による毛細管現象や、突出端部の上方に突起部を配置して重力を用いて移動させることで行うことができる。
【0049】
突起部は、TIG溶接機により溶融されることが好ましい。TIG溶接機を用いることで、電極端子および集電体の表面に形成された酸化被膜を除去しながら突出端部と電極端子の接合を行うことができる。
【0050】
詳しくは、通常のリチウム二次電池の正極集電体および正極端子に用いられるアルミニウムは、表面に電気絶縁性の酸化被膜を有する。TIG溶接機を用いると、このアルミニウム表面の酸化被膜を除去しながら突起部を溶融させることができる。ここで、通常のレーザー溶接等の手段では、酸化被膜を除去することができず、そのままの状態で接合させると電極端子と電極体との間に電気絶縁性の酸化被膜が残留し、電気伝導性が阻害される。さらに、大電流が流れるときに過熱損傷を生じやすくなる。
【0051】
正極板、負極板およびセパレータは帯状の形状を有し、正極板および負極板がセパレータを介して巻回された扁平形状巻回型構成を有していることが好ましい。正極板および負極板がセパレータを介して巻回された扁平形状巻回型構成を有している電極体とは、扁平形状巻回型電極体を示す。扁平形状巻回型電極体は、正極板および負極板がセパレータを介して巻回された円形状の断面を有する巻回型電極体が、軸方向に垂直な方向で圧縮された電極体を示す。扁平形状巻回型電極体は、巻回型電極体の軸方向に垂直な断面が、互いに対向した一対の長辺部と、互いに対向した一対の湾曲部と、からなる断面形状を有する。扁平形状巻回型電極体は、体積効率に優れているため、電池を形成したときに体積効率に優れた高性能な電池が得られる。
【0052】
電極端子に接合された突出端部は、厚さ方向に重ね合わされて厚密化部となっていることが好ましい。ここで、重ね合わされる厚さ方向とは、突出端部を構成する未塗布部が配された状態で、未塗布部の厚さ方向である。また、厚密化部の厚さ方向に重ね合わされた状態は、突出端部を構成する未塗布部が重ね合わされた状態であることを示し、一体化された状態あるいは積層した状態で圧縮された状態であってもよい。すなわち、複数枚の未塗布部と電極端子を接合することができ、電極端子に接合された突出端部が、厚密化部となることで、電極端子と突出端部との接合強度が向上する。
【0053】
突出端部は、複数箇所の厚密化部を有することが好ましい。複数箇所の厚密化部とは、突出端部の厚さ方向に、未塗布部が重ね合わされた厚密化部が複数層形成されたことを示す。突出端部が複数箇所の厚密化部を有することで、未塗布部の長さを短くすることができる。すなわち、複数箇所の厚密化部を有することで、厚密化部が形成された位置と電極部との長さを短くすることができ、未塗布部の長さを短縮できる。
【0054】
厚密化部は、突出端部の厚さ方向に対して傾斜した方向に形成されたことが好ましい。厚密化部が傾斜して形成されることで、突出端部の長さを短くすることができる。詳しくは、突出端部の厚密化部は未塗布部が重ね合わされて形成されているため、厚密化部の重ね合わされる突出端部の厚さ方向の位置により、必要となる未塗布部の長さが異なるようになっていた。このため、傾斜して形成することで、厚密化部の径方向の位置を変化させることができ、未塗布部の長さを短くすることができる。
【0055】
厚密化部が長辺部にあることが好ましい。すなわち、扁平形状巻回型電極体においては、突出端部も扁平巻回形状に形成される。このため、突出端部も軸方向に垂直な断面が、互いに対向した一対の長辺部と、互いに対向した一対の湾曲部とからなる扁平形状に形成される。厚密化部が長辺部に形成されることで、扁平形状巻回型電極体において、突出端部の厚密化を容易に行うことができる。
【0056】
対向した一対の長辺部に厚密化部が形成されることが好ましい。一対の長辺部に厚密化部が形成されるとは、それぞれの長辺部に厚密化部が形成されたことを示す。すなわち、対向した長辺部に厚密化部が形成されることで、互いに対向する長辺部が電極端子に接合されることとなり、扁平型状巻回型電極体と電極端子の接合強度が向上する。
【0057】
長辺部に形成された厚密化部は、長径方向に対して傾斜した方向に形成されたことが好ましい。長辺部に形成された厚密化部が傾斜して形成されることで、扁平形状巻回型電極体の突出端部の長さを短くすることができる。詳しくは、突出端部の厚密化部は未塗布部が重ね合わされて形成されているため、厚密化部の重ね合わされる径方向の位置により、必要となる内周面側と外周面側の未塗布部の長さが異なるようになっていた。このため、長辺部を傾斜して形成することで、厚密化部の径方向の位置を変化させることができ、未塗布部の長さを短くすることができる。
【0058】
軸部は、複数箇所の厚密化部のそれぞれに対向した状態で突出端部に配置されることが好ましい。軸部が複数箇所の厚密化部のそれぞれに対向した状態とは、突出端部が少なくとも2層の厚密化部を有するときに、この厚密化部に挟まれた位置に配置されていることを示す。軸部が複数箇所の厚密化部のそれぞれに対向した状態で突出端部に配置されることで、電極端子が電極体を強固に保持することができるようになる。
【0059】
軸部は、一対の長辺部のそれぞれに対向した状態で突出端部に配置されることが好ましい。すなわち、電極体が扁平形状巻回型電極体であるときには、一対の長辺部のそれぞれに対向した状態で軸部が配されることで、電極端子が電極体を強固に保持することができるようになる。ここで、軸部の配置される一対の長辺部のそれぞれに対向した状態とは、扁平形状巻回型電極体の突出端部において、突出端部の扁平巻回形状における扁平化された軸心部に配置されることを示す。
【0060】
軸部は、突出端部の外周面に対向した状態で配置されることが好ましい。軸部が外周面に対向した状態で配置されることで、架橋部を厚密化部に接合する加工を容易に行うことができるようになる。
【0061】
軸部は、突出端部の端面に配置されることが好ましい。突出端部の端面に配置されることで、電極端子を平板状に形成することができ、電極端子の加工による加工コストを低減することができる。
【0062】
軸部は、電極体の突出端部の突出した方向に貫通した貫通孔を有することが好ましい。軸部が貫通孔を有することで、電解液を電極板間に注入するときに、電極端子による電解液の注入の阻害が低減し、電池の製造に要するコストを低減できる。
【0063】
電極端子は、それぞれ接合される集電体と同一の材質で形成されることが好ましい。電極端子と集電体とが同一の材質で形成されることで、電池として使用するときに電触が生じることを抑えることができる。すなわち、電極端子と集電体とが異種材料であると、電位差により電触が生じるためである。
【0064】
本発明の扁平型状巻回型電極電池の製造方法は、突出端部の端部に電極端子を接合することができる。このため、各突出端部に電極端子が外周面および内周面に接合するための接合しろをもうける必要がなくなり、突出端部の長さを短縮できる。この結果、この電極体が用いられた電池の体格が小型化されている。さらに、突出端部の長さを短くすることができることから、突出端部を形成する電極板の未塗布部の長さを短くすることができ、材料コストや重量を低下させることができる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0066】
本発明の実施例として、扁平形状巻回型電極体を有する電池を作成した。
【0067】
(実施例1)
実施例1は、図1に示された、正極板2、負極板3およびセパレータ4を有する扁平形状巻回型電極体1と、扁平形状巻回型電極体1の巻回軸の両端面のそれぞれに接合された正極端子55および負極端子56よりなる電極端子5と、を有する電池である。
【0068】
扁平形状巻回型電極体1は、帯状の正極板2および負極板3と両極板2、3間に介在するセパレ−タ4とが巻回された状態で扁平形状に成形された電極体である。
【0069】
正極板2は、帯状のアルミニウムシートからなる正極集電体の両面に正極活物質層21が形成されるとともに、正極集電体の幅方向の一方の端部側に正極活物質層21が形成されていない未塗布部22を有する。この未塗布部22は、端部側から一定の幅で形成されていた。また、正極活物質はリチウムマンガン酸化物が用いられた。
【0070】
負極板3は、帯状の銅のシートからなる負極集電体の両面に負極活物質層31が形成されるとともに、負極集電体の幅方向の一方の端部側に負極活物質層31が形成されていない未塗布部32を有する。この未塗布部32は、端部側から一定の幅で形成されていた。また、負極活物質には、カーボンが用いられた。
【0071】
セパレ−タ4は、帯状に形成された微多孔性のポリエチレンまたはポリプロピレンにより形成されている。すなわち、両極板2、3の電極活物質層21、31が形成された領域よりも帯の幅が長く、かつ長さも両極板2、3よりも長く形成されている。
【0072】
扁平形状巻回型電極体1は、正極板2および負極板3の未塗布部22、32が互いに軸方向の反対方向にセパレータ4から突出し、巻回されてリング状に形成された突出端部23、33を形成している。各突出端部23、33の長辺部は、積層した未塗布部22、32が圧縮されて厚密化部24、34を形成している。また、突出端部23、33は、巻回軸の軸心部に、一対の厚密化部に挟まれた長径方向に扁平形状の中空部を有している。ここで、扁平形状巻回型電極体1を構成する正極板2、負極板3およびセパレータ4が積層した状態を図2に示した。
【0073】
電極端子5は、金属板を所定形状に形成した後に曲成して形成された部材であり、扁平形状巻回型電極体1の突出端部23、33の積層した端面に接合された部材である。電極端子5は、突出端部23、33の軸心部の中空部に長径方向に延材した状態で保持されるとともに突出端部23、33の長径方向に対して垂直な方向の両端側の側端部53が突出端部23、33の端部方向に折り曲げられた軸部51と、軸部51の長辺部との対向部である側端部53から突出し、積層した突出端部23、33に一体に接合された互いに対向する合計8個の架橋部52と、を有する。
【0074】
ここで、電極端子5は、それぞれが接合される集電体と同種の材質で形成された。詳しくは、正極端子55側の電極端子5はアルミニウムよりなり、負極端子56側の電極端子5は銅により形成された。
【0075】
(電極体と電極端子の接合)
実施例1の電池において、扁平形状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、電極端子5を扁平形状巻回型電極体1の端面部に配置した状態で、電極端子5を溶融させ溶融液を突出端部に供給し、その後、溶融液を冷却固化することで行われた。このときの様子を図3〜6に示した。
【0076】
また、扁平形状巻回型電極体1に接合された電極端子5は、長径方向に延在する軸部51と軸部51の両側面部に突出して形成された8個の突起部54とを有する部材が用いられた。
【0077】
実施例1の扁平形状巻回型電極体1の作成方法は巻回型電極体を形成した後に扁平型状に圧縮して製造された。
【0078】
詳しくは、まず、円筒もしくはオーバル形状の巻芯を用い、この巻芯の外周面側に正極板2、負極板3およびセパレータ4を巻回する。その後、巻芯を取り外すことで、巻回型電極体が製造された。その後、この巻回型電極体を外周面から径方向内方に圧縮することで巻回型電極体の扁平化を行った。
【0079】
その後、扁平型状巻回型電極体1の軸方向の両端部に形成された突出端部23、33の互いに対向する長辺部を径方向に圧縮し、対向した厚密化部24、34を形成するとともに、軸心部に中空部を形成した。
【0080】
その後、突出端部23、33の端面に電極端子5を接合した。以下、正極端子55を有する電極端子5の接合を説明する。
【0081】
軸心部の中空部に正極端子55の軸部51が挿入された状態で、正極端子55が突出端部23の端面に保持された。このとき、突起部54は突出端部23の最内周面の端部と当接した状態にあった。その後、正極端子55および突出端部23を径方向外方から一対の押圧部材6、6で径方向内方に押圧することで、正極端子55の軸部51が突出端部23の中空部に固定された(図5)。
【0082】
正極端子55が固定された状態で、正極端子55の突起部54をTIG溶接機により加熱し、溶融させた。突起部54の溶融液は、当接した突出端部23に毛細管現象等により供給され、積層した複数の未塗布部22の界面に供給される(図6)。
【0083】
その後、溶融液を冷却し、凝固させることで、突起部54と未塗布部22とが一体になった架橋部52が形成され、正極端子55が扁平形状巻回型電極体1の端面に電気的に接合された。なお、負極端子56を有する電極端子5においても、上述と同様な方法により突起部54を積層した未塗布部32に電気的に接合した。
【0084】
実施例1の電池は、この扁平形状巻回型電極体1を電解液とともにケースに封入して形成された。
【0085】
実施例1の電池は、扁平形状巻回型電極体の突出端部の端面上において電極端子を電気的に接合するため、突出端部の側面で電極端子を接合した従来の場合に比べて、突出端部の突出長さを短くすることができるため、扁平形状巻回型電極体の体格が小型化されている。さらに、扁平形状巻回型電極体の体格の小型化は、電池の体格を小型化できることを示す。
【0086】
(実施例2)
実施例2の電池は、図7に示されたように、突出端部23、33の厚密化部24、34が傾斜して形成されるとともに電極端子5の側端部53が傾斜して形成されている以外は実施例1と同様な構成の電池である。なお、一対の厚密化部24、34は、長径に対して線対称な状態で形成された。
【0087】
実施例2の電極端子5は、側端部53が厚密化部24、34の傾斜した形状に対応する傾斜した形状に形成された以外は実施例1の電極端子5と同様な電極端子である。
【0088】
実施例2の扁平形状巻回型電極体1の端面と電極端子5の接合は、実施例1と同様の手段により行われた。ここで、図8に正極端子55を突出端部23に固定した状態の図を示した。
【0089】
実施例2の電池は、厚密化部24、34が傾斜して形成されているため、突出端部22、23の長さを短くしても、電極端子5の軸部51の先端部付近では、内周面側の未塗布部の端部がより突起部54と接触し、軸部51の基端部付近では、外周面側の未塗布部の端部がより突起部54と接触するようになる。したがって、突出端部22、23の長さを短くすることができる。
【0090】
(実施例3)
実施例3は、図9に示されたように、電極端子5の軸部51が、扁平形状巻回型電極体1の外周面の長辺部に対向した2本の軸部511、511と軸部511、511の突出端部23、33と対向した側端部53が扁平形状巻回型電極体1の長径方向に対して傾斜して形成されている以外は実施例2と同様な構成の電池である。
【0091】
実施例3の電極端子5は、略コ字状に形成され互いに対向し突出端部23、33を挟む一対の軸部511、511と、軸部511、511から突出した突起部が溶融して複数の未塗布部22、32の間に入り込んで凝固した架橋部52と、を有する。
【0092】
実施例3の扁平形状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、実施例1と同様の手段により行われた。すなわち、電極端子5を突出端部23、33の所定の位置に保持し、突起部54を溶融した後に冷却することで行われた。このとき、扁平形状巻回型電極体1の軸心の中空部には、厚密化部24を径方向外方に押圧する押圧部材(図示せず)が配された。また、実施例3の電極体1と電極端子5との接合は、突出端部23、33の外周面に冷却板を配した状態で行われた。ここで、図10に正極端子55を有する電極端子5を突出端部23に固定した状態の図を示した。
【0093】
実施例3の扁平形状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、電極端子5の軸部511と押圧部材(図示せず)との間で突出端部23、33を挟んだ状態で行われる。また、実施例3の電池の製造においては、電極端子5と扁平形状巻回型電極体1との接合時に突出端部23、33を冷却する冷却板を用いているため、接合時の溶融液の熱の電極活物質への伝導が抑えられ、電極活物質の熱による損傷を抑えることができる。
【0094】
(実施例4)
実施例4は、図11に示されたように、軸部51が平板状に形成された電極端子5を有する電池である。なお、実施例4は、電極端子5の形状が異なる以外は実施例1と同様な構成の電池である。
【0095】
詳しくは、実施例4の電極端子5は、軸部51が突出端部23、33の端面に軸心部の長径方向に沿って配置され、厚密化部24、34を横断した状態で厚密化部24、34と一体に形成された架橋部52を有する。
【0096】
実施例4の扁平型状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、軸部51および突起部54が平面上に形成された電極端子5を扁平型状巻回型電極体1の端面に配置した状態で、突起部54を溶融し、架橋部52を形成することで行われた。具体的な溶融手段等は、実施例1と同様にして行われた。ここで、図12に電極端子5を突出端部23に配置した状態の図を示した。
【0097】
実施例4の電池は、電極端子5の軸部51を平板状に形成しているため、電極端子5の形成にコストがかからなくなり、電池に要するコストを低減させることができる。
【0098】
(実施例5)
実施例5は、図13に示されたように、互いに対向した一対の長辺部に形成された厚密化部24、34がそれぞれ2層に形成され、軸部51の側端部53が略傾斜して形成された以外は、実施例4と同様な構成の電池である。
【0099】
実施例5の扁平形状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、実施例4と同様の手段により行われた。ここで、図14に電極端子5を突出端部23に配置した状態の図を示した。
【0100】
実施例5の電池は、櫛歯状の型を用いて突出端部23、33の厚密化部24、34を4層に形成した状態で電極端子5を電気的に接合してある。このような構成の扁平形状巻回型電極体1は、突出端部23、33の長さをより短くできる。すなわち、厚密化部24、34を4層に形成し、かつ、電極端子5の軸部51の先端部では幅狭に、基端部側では幅広になるように軸部51を略傾斜状に形成したことで、電極端子5の軸部51の先端部付近では、内周面側の未塗布部22、32の端部がより電極端子5の突起部54と接触し、軸部51の基端部付近では、外周面側の未塗布部22、32の端部がより電極端子5の突起部54と接触するため、未塗布部22、32の変形を大きくして均一な形状の厚密化部24、34を形成する場合に比べてその変形分を確保するべく未塗布部22、32の長さ、すなわち、突出端部23、33の長さを短くすることができる。
【0101】
(実施例6)
実施例6は、図15に示されたように、突出端部23、33が扁平形状巻回型電極体1の厚さ方向に対して、厚密化部24が5層に形成された以外は実施例5と同様な構成の電池である。
【0102】
実施例6の扁平形状巻回型電極体1は、扁平型状巻回型電極体1の扁平された厚さ方向に対して、厚密化部24、34が5層に形成されている。また、最内周面側の未塗布部22、32が重ね合わされた状態で厚密化されたため、軸心部の中空部は形成されなかった。
【0103】
実施例6の電極端子5は、軸部51および架橋部52が突出端部23、33の端面に形成され、かつ軸部51の側端部53および架橋部52が長径方向に対して傾斜した状態で形成された。
【0104】
実施例6の電池の扁平形状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、実施例5と同様の手段により行われた。ここで、図16に正極端子55を突出端部23に配置した状態の図を示した。
【0105】
実施例6の電池は、突出端部23、33が複数層の厚密化部24、34を有することで突出端部の長さを短くすることができる。また、架橋部52が傾斜して形成されることでも、突出端部23、33の長さを短縮することができる。
【0106】
(実施例7)
実施例7は、図17に示されたように、一方の長辺部に厚密化部24、34が形成された扁平型状巻回型電極体1と、厚密化部24が形成された長辺部の外周面に軸部51が配置され径方向に架橋部52が形成された電極端子5と、を有する以外は、実施例1と同様な構成の電池である。
【0107】
扁平形状巻回型電極体1は、突出端部23、33の長辺部の一方のみを径方向に圧縮して厚密化部24、34が形成された。
【0108】
電極端子5は、突出端部23、33の厚密化部24、34が形成された一方の長辺部の外周面に沿って配される軸部51と、軸部51から突出端部23、33の突出した方向に沿って突出した突起よりなるとともに突出端部23、33と接合されて架橋部52を形成する突起部54と、を有する。
【0109】
実施例7の扁平型状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、実施例1と同様の手段により行われた。ここで、図18に正極端子55を突出端部23に配置した状態の図を示した。
【0110】
実施例7の電池は、電極端子5と接合される厚密化部24、34を扁平形状巻回型電極体1の一対の長辺部の一方に形成している。このため、長辺部の他方は厚密化されておらず、電池を組み立てたときに、この他方の長辺部側の電極板間への電解液の注入に余計な手間がかからなくなり、電池に要するコストを低減することができる。
【0111】
(実施例8)
実施例8は、図19に示されたように、突出端部23、33が扁平形状巻回型電極体1の厚さ方向に対して圧縮され一層の厚密化部24が形成され、かつ厚密化部24と4カ所で一体に接合された架橋部52が形成された電極端子5を有する以外は実施例1と同様な構成の電池である。
【0112】
実施例8の扁平形状巻回型電極体1は、突出端部23、33が扁平形状巻回型電極体1の厚さ方向に重ね合わされ、一体の厚密化部24、34が形成されている。すなわち、突出端部23、33が、扁平巻回形状において、一対の長辺部が互いに最内周面の未塗布部22、32が当接した状態に形成されている。また、突出端部23、33の最内周面側の未塗布部22、32が重ね合わされた状態で厚密化されたため、軸心部の中空部は形成されなかった。
【0113】
実施例8の電極端子5は、突出端部23、33の長辺部の外周面に沿って配された軸部51と、突出端部23、33の未塗布部22、32が厚密化された厚密化部24、34を厚さ方向に横断した状態に突出した4個の突起54がそれぞれ溶融し突出端部23、33の未塗布部24、34と一体に形成された4カ所の架橋部52と、を有する部材である。
【0114】
実施例8の扁平形状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、実施例1と同様の手段により行われた。ここで、図20に電極端子5を突出端部23に配置した状態の図を示した。
【0115】
実施例8の電池は、扁平形状巻回型電極体1の厚さ方向に突出端部23、33が1層に厚密化された厚密化部24を有し、電極端子5と接合されているため、電極端子5との接合を強固に行うことができる。
【0116】
(実施例9)
実施例9は、図21に示されたように、軸部51に貫通孔515を形成した電極端子5を用いた以外は実施例1と同様な構成の電池である。
【0117】
実施例9の扁平形状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、実施例1と同様の手段により行われた。ここで、図22に正極端子55を突出端部23に配置した状態の図を示した。
【0118】
実施例9の電池は、電極端子5の軸部51に貫通孔515が形成されているため、電池を組み立てるときに、電解液の注入に余計な手間がかからなくなり、電池の製造に要するコストを低減することができる。すなわち、電極端子5が接合された扁平形状巻回型電極体1をケース内に電解液とともに封入するときに、電解液が貫通孔515を通って積層した電極板2、3間に注入される。また、電極端子5の軸部51に貫通孔515を形成することで、電極端子5の重量を軽量化することができる。
【0119】
(実施例10)
実施例10は、図23に示されたように、連続的に架橋部521が形成された電極端子5を有する以外は実施例8と同様な構成の電池である。
【0120】
実施例10の扁平形状巻回型電極体1には、突出端部23、33の未塗布部22、32が扁平形状巻回型電極体1の厚さ方向に重ね合わされ、一層の厚密化部24、34が形成されている。また、突出端部23、33を構成する未塗布部22、32においては、巻回型電極体の最内周面側の未塗布部22、32が当接した状態で厚密化されている。このため、突出端部23、33の軸心部に中空部は形成されなかった。
【0121】
実施例10の電極端子5は、突出端部23、33の長辺部の外周面に沿って配された軸部51と、軸部51から厚密化された厚密化部24、34の端面を覆う状態で形成された長径方向の帯状の突起541が溶融し突出端部23、33と一体に形成された架橋部521と、を有する。
【0122】
実施例10の扁平型状巻回型電極体1と電極端子5の接合は、実施例8と同様の手段により行われた。ここで、図23に正極端子55を突出端部23に配置した状態の図を示した。
【0123】
実施例10の電池は、電極端子5と突出端部23、33とが接合された架橋部521を連続的に形成しているため、電極端子5と突出端部23、33との接合面積が広くなっている。この結果、電極端子5と突出端部23、33との接合強度が高くなっている。
【0124】
【発明の効果】
本発明の電池は、電極体の突出端部の端面に電極端子を接合しているため、各突出端部に電極端子が外周面および内周面に接合されるための接合しろをもうける必要がなくなり、突出端部の長さを短縮できる。このため、電極体の軸方向の長さを短縮できる。この結果、この電極体および電極端子が用いられた電池は、その体格を小型化できる効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図2】 実施例1の電池の電極体を構成する正極板、負極板およびセパレータが積層した状態を示した図である。
【図3】 実施例1の電池の電極体に電極端子を挿入する様子を示した図である。
【図4】 実施例1の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図5】 実施例1の電池の電極体に電極端子を固定する様子を示した図である。
【図6】 突起部が溶融し架橋部を形成する様子を示した図である。
【図7】 実施例2の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図8】 実施例2の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図9】 実施例3の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図10】 実施例3の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図11】 実施例4の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図12】 実施例4の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図13】 実施例5の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図14】 実施例5の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図15】 実施例6の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図16】 実施例6の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図17】 実施例7の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図18】 実施例7の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図19】 実施例8の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図20】 実施例8の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図21】 実施例9の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図22】 実施例9の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図23】 実施例10の電池の電極体と電極端子を示した図である。
【図24】 実施例10の電池の電極体に電極端子の軸部を挿入した状態を示した図である。
【図25】 従来の扁平形状巻回型電極体に電極端子を接合した正面図である。
【図26】 従来の扁平形状巻回型電極体に電極端子を接合した側面図である。
【符号の説明】
1…扁平形状巻回型電極体 2…正極板 3…負極板
4…セパレータ 5…電極端子
21、31…活物質層 22、32…未塗布部
23、33…突出端部 24、34…厚密化部
51…軸部 52…架橋部 53…側端部
54…突起部 55…正極端子 56…負極端子

Claims (29)

  1. 集電体と、該集電体の両面に塗布された電極活物質と、からなり、該電極活物質が塗布された電極部と、該集電体の幅方向の一方の端部側に形成され該集電体の表面が露出した未塗布部と、を有する帯状の正極板および負極板と、
    帯状のセパレータと、
    からなり、該正極板および該負極板が各該未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ該電極部が該セパレータを介した状態で配置され各該未塗布部よりなる突出端部を有する電極体と、
    該電極体の該突出端部の端部に架橋部を介して接合された電極端子と、
    を有し、
    該電極端子は、軸部と、該軸部と一体に形成されそれぞれが該突出端部に接合された複数の突起部と、を有することを特徴とする電池。
  2. 前記架橋部は、前記正極板の隣り合う間および前記負極板の隣り合う間の間隙内に入り込んで該正極板の隣り合う間および該負極板の隣り合う間をそれぞれ接合している請求項1記載の電池。
  3. 前記架橋部は、複数存在している請求項1、2記載の電池。
  4. 前記正極板、前記負極板および前記セパレータは帯状の形状を有し、該正極板および該負極板が該セパレータを介して巻回された扁平形状巻回型構成を有している請求項1〜3記載の電池。
  5. 前記電極端子に接合された前記突出端部は、厚さ方向に重ね合わされて厚密化部となっている請求項1記載の電池。
  6. 前記突出端部は、複数箇所の前記厚密化部を有する請求項5記載の電池。
  7. 前記厚密化部は、前記突出端部の厚さ方向に対して傾斜した方向に形成された請求項5記載の電池。
  8. 前記厚密化部が長辺部にある請求項5記載の電池。
  9. 対向した一対の前記長辺部に厚密化部が形成される請求項8記載の電池。
  10. 前記長辺部に形成された前記厚密化部は、長径方向に対して傾斜した方向に形成された請求項8、9記載の電池。
  11. 前記軸部は、複数箇所の前記厚密化部のそれぞれに対向した状態で配置される請求項5記載の電池。
  12. 前記軸部は、一対の前記長辺部のそれぞれに対向した状態で前記突出端部に配置される請求項8記載の電池。
  13. 前記軸部は、前記突出端部の外周面に対向した状態で配置される請求項1記載の電池。
  14. 前記軸部は、前記突出端部の端面に配置される請求項1記載の電池。
  15. 前記軸部は、前記電極体の前記突出端部の突出した方向に貫通した貫通孔を有する請求項1記載の電池。
  16. 集電体と、該集電体の両面に塗布された電極活物質と、からなり、該電極活物質が塗布された電極部と、該集電体の幅方向の一方の端部側に形成され該集電体の表面が露出した未塗布部と、を有する帯状の正極板および負極板と、帯状のセパレータと、からなり、該正極板および該負極板が各該未塗布部が互いに反対方向に突出しかつ該電極部が該セパレータを介した状態で配置され各該未塗布部よりなる突出端部を有する電極体と、
    軸部と、該軸部と一体に形成されそれぞれが該突出端部と接合される複数の突起部と、を有する電極端子と、
    を、各該突出端部の端面に該電極端子を接合する電極端子接合工程を有する電池の製造方法であって、
    該電極端子接合工程が、
    該電極体の該突出端部の端部に該電極端子を配置した状態で、該突起部を溶融させ、該突起部の溶融液を該突出端部の積層した該未塗布部に供給した後に該溶融液を固化する工程であることを特徴とする電池の製造方法。
  17. 前記突起部は、TIG溶接機により溶融される請求項16記載の電池の製造方法。
  18. 前記電極体は、前記正極板、前記負極板および前記セパレータは帯状の形状を有し、該正極板および該負極板が該セパレータを介して巻回された扁平形状巻回型構成を有している請求項16記載の電池の製造方法。
  19. 前記電極端子に接合された前記突出端部は、少なくとも一部が厚さ方向に重ね合わされて厚密化部となっている請求項16記載の電池の製造方法。
  20. 前記突出端部は、複数箇所の前記厚密化部を有する請求項19記載の電池の製造方法。
  21. 前記厚密化部は、前記突出端部の厚さ方向に対して傾斜した方向に形成された請求項19記載の電池の製造方法。
  22. 前記厚密化部が長辺部にある請求項19記載の電池の製造方法。
  23. 対向した一対の前記長辺部に厚密化部が形成される請求項22記載の電池の製造方法。
  24. 前記長辺部に形成された前記厚密化部は、長径方向に対して傾斜した方向に形成された請求項22記載の電池の製造方法。
  25. 前記軸部は、複数箇所の前記厚密化部のそれぞれに対向した状態で配置される請求項20記載の電池の製造方法。
  26. 前記軸部は、一対の前記長辺部のそれぞれに対向した状態で前記突出端部に配置される請求項22記載の電池の製造方法。
  27. 前記軸部は、前記突出端部の外周面に対向した状態で配置される請求項16記載の電池の製造方法。
  28. 前記軸部は、前記突出端部の端面に配置される請求項16記載の電池の製造方法。
  29. 前記軸部は、前記電極体の前記突出端部の突出した方向に貫通した貫通孔を有する請求項16記載の電池の製造方法。
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