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JP5030276B2 - 熱交換器用アルミニウム合金配管材及びその製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金配管材及びその製造方法 Download PDF

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JP5030276B2 JP2007101752A JP2007101752A JP5030276B2 JP 5030276 B2 JP5030276 B2 JP 5030276B2 JP 2007101752 A JP2007101752 A JP 2007101752A JP 2007101752 A JP2007101752 A JP 2007101752A JP 5030276 B2 JP5030276 B2 JP 5030276B2
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Description

本発明は、自動車、自動車および各種産業用の熱交換器に用いられるアルミニウム合金のうちで、特に耐食性に優れた自動車の熱交換器用アルミニウム合金配管材及びその製造方法に関するものである。
従来は、この種の熱交換器の配管などの材料として、JIS1000系合金、JIS3000系合金、JIS6000系合金などが良く使われている。配管材の耐食性を向上させるために、Znを含有させ、また厚み方向に周期的なTi含有量の濃度差を示す組織を有し腐食形態を層状とする方法(特許文献1)、Znを含有させ腐食形態を面状にし、さらにTiを含有させ腐食形態を層状にし、かつTiの層状腐食の効果を促進させるためにZr、Sn、Inを含有させる方法(特許文献2)、Tiを添加させ、さらにSi系化合物、Fe系化合物およびMn系化合物の分布形態によって耐食性を向上させる方法(特許文献3)等が提案されている。
特開昭60−204856号公報 特開2002−146461号公報 特開2002−180171号公報
以上の特許文献1〜特許文献3に開示された熱交換器の配管材は、熱交換器用アルミニウム合金配管材として総合的に最適化を図ることができたものではなく、そのため、必ずしも十分な耐食性が得られたものであるとはいえない。
特に重量軽減のために薄肉化した場合に、過酷な腐食環境下にさらされる熱交換器の構造部材として十分な耐久性を示すことができるものとして最適化されたものではない。
本発明は、以上の事情を背景としてなされたもので、耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金配管材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前述のような課題を解決すべく本発明者らが熱交換器用アルミニウム合金配管材の耐食性と、組織、合金成分組成および製造方法との関係について詳細に実験・検討を重ねた結果、厚み方向のTiおよびVの高濃度層を有する組織とし、かつ、マトリックス中のMn系析出物の分布および自然電位を最適化することによって、厚み方向への腐食の進行を著しく抑制できることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされるに至ったのである。
すなわち、本発明の熱交換器用アルミニウム合金配管材は、厚み方向にTiおよびVの周期的な高濃度層を有し、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在し、さらに5%NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCE以下であることを特徴とする。
係る本発明の熱交換器用アルミニウム合金配管材は、JIS1000系合金、JIS3000系合金、JIS6000系合金などを用いて熱交換器用アルミニウム合金配管材を構成する場合に充足するべき要件として、厚み方向にTiおよびVの周期的な高濃度層を有し、かつマトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在し、さらに5%NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCE以下であることが必須であるものとされる。
また本発明の熱交換器用アルミニウム合金配管材はSi:0.01−0.5mass%、Mn:0.5−1.5mass%、Ti:0.05−0.25mass%、V:0.05−0.25mass%を含有し、Zn:0.05−0.6mass%、Sn:0.01−0.2mass%、In:0.005−0.2mass%の内1種以上を含有し、さらに不可避不純物としてFe:0.2mass%以下、Cu:0.mass%以下に規制され、残りがAlおよび不可避不純物からなる様にするのが好ましい。
さらに本発明の熱交換器用アルミニウム合金配管材の製造方法は、Si:0.01−0.5mass%、Mn:0.5−1.5mass%、Ti:0.05−0.25mass%、V:0.05−0.25mass%を含有し、Zn:0.05−0.6mass%、Sn:0.01−0.2mass%、In:0.005−0.2mass%の内1種以上含有し、さらに不可避不純物としてFe:0.2mass%以下、Cu:0.4mass%以下に規制され、残りがAlおよび不可避不純物からなる鋳塊を500℃以下に加熱して押出し加工する工程と、押出し加工して得られた素材に抽伸加工を行う工程と、抽伸途中または抽伸終了後、250−400℃の析出処理を行う工程とよりなり、得られるアルミニウム合金配管材が、厚み方向にTiおよびVの周期的な高濃度層を有し、マトリックス中に円相当径が0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在し、さらに5%NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEであることを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金配管材は、腐食環境下でも極めて良好な耐食性を示すことができ、従って熱交換器の構造部材として、薄肉化しても十分な耐久性を示すことができ、過酷な腐食環境下にさらされる熱交換器の構造部材として最適である。
以下に本発明で限定する事項について説明する。
本発明のアルミニウム合金配管材において、厚み方向にTiおよびVの周期的な高濃度層を有する。
Ti、Vは、高濃度層と低濃度層に分かれ、これらの層が厚み方向に交互に層状に分布する。低濃度層は高濃度層に比べて優先的に腐食するために腐食形態が層状となり、その結果、肉厚方向への腐食の進行が妨げられて、材料の耐孔食性が向上する。VはTiに比べ濃度層の間隔が緻密になり、Tiの1つの低濃度層にVの高濃度層、低濃度層が何層もでき、優れた耐孔食性を発揮できる。ここでいう高濃度層とは、Ti:0.07mass%以上、V:0.07mass%以上の組成を有する領域である。
高濃度層の間隔はTi:10−60μm、V:2−10μmとするのが好ましい。
本発明のアルミニウム合金配管材において、マトリックス中の円相当径(粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)が0.2μm以下のMn系析出物は5×10個/mm以上存在する。
Mn系析出物はカソードサイトとして作用し、マトリックスを溶解させる。Mn系析出物が粗大に分布しているとマトリックスの溶解が不均一に進行し、深い孔食が形成されやすい。一方、Mn系析出物を微細に分散させれば均一に腐食を進行させることができる。 このような効果を得るためには円相当径0.2μm以下のMn系析出物が2×10個/mm以上存在する必要がある。
本発明のアルミニウム合金配管材において、5%NaCl水溶液中における自然電位は−740mVvsSCE以下とされる。
自然電位は、例えば、特級NaCl試薬と蒸留水で溶液を作製後1日放置した液を溶液として使用し、エレクトロメータを用いてアルミニウム合金と飽和カロメル電極(SCE)の間の電位差として測定できる。このようにして測定された自然電位はアルミニウム合金中のマトリックスと化合物の混成電位となる。化合物の分布が同じ場合、マトリックスの電位が卑なほど自然電位は卑になる。
マトリックスの電位がTi、Vの高濃度層やMn系析出物に比べ十分に卑であれば、マトリックスがアノード、Ti、Vの高濃度層やMn系析出物がカソードとして作用するガルバニック腐食をアルミニウム合金上のいたるところで発生させ腐食形態を面状とすることができる。このような効果を得るためには5%NaCl水溶液中における自然電位は−740mVvsSCE以下とする必要がある。一方マトリックスの電位がTi、Vの高濃度層やMn系析出物に比べ卑になりすぎるとマトリックスの溶解が過剰に進行してしまう。このような悪影響を避けるためには5%NaCl水溶液中における自然電位は−900mVvsSCE以上とする必要がある。
本発明のアルミニウム合金配管材において、Mnは0.5−1.5mass%含有される。
MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出又は析出して強度の向上に寄与し、また、Siと共存することによりAl−Mn−Si系の金属間化合物を生成して強度を向上させる元素である。本発明の場合、Mn系析出物を微細に分布させることにより腐食形態を面状にすることができる。これらの効果を確実に得るためには、0.5mass%以上のMnを添加する必要がある。なお、Mn量が1.5mass%を超えれば、押出し性の低下が懸念され、したがって、Mn量の上限は1.5mass%とした。
本発明のアルミニウム合金配管材において、Siは0.01−0.8mass%含有される。
SiはMnと共存することによりAl−Mn−Si系の金属間化合物を生成し、Mn系析出物を微細に分布させることにより腐食形態を面状にすることができる。この効果を確実に得るためには0.01mass%以上のSiを添加する必要がある。Si量が0.8mass%を超えれば、耐食性の低下が懸念され、したがって、Si量の上限は0.8mass%とした。より好ましいSi量の上限は0.5mass%である。
本発明のアルミニウム合金配管材において、Znは0.05−0.8mass%、Snは0.01−0.2mass%、Inは0.05−0.2mass%の内一種以上含有される。
これらの元素はアルミニウム合金の電位を卑にする作用があり、マトリックスがアノード、Ti、Vの高濃度層やMn系析出物がカソードとして作用するガルバニック腐食を有効に作用させることができる。この効果を確実に得るためには、それぞれZnを0.05mass%以上、Snを0.01mass%以上、Inを0.05mass%以上とする必要がある。
一方、それぞれZnが0.8mass%を超え、若しくはSnが0.2mass%を超え、或いはInが0.2mass%を超えると合金の腐食が著しく増大するため、それぞれZnは0.8mass%、Snは0.2mass%、Inは0.2mass%を上限とした。より好ましいZn量の上限は0.6mass%である。
本発明のアルミニウム合金配管材において、Tiは0.05−0.25mass%、Vは0.05−0.25mass%含有される。
アルミニウム合金中に添加されたTiおよびVは、高濃度層と低濃度層に分かれ、これらの層が厚み方向に交互に層状に分布する。低濃度層は高濃度層に比べて優先的に腐食するために腐食形態が層状となり、その結果、肉厚方向への腐食の進行が妨げられて、材料の耐食性が向上する。
このような耐孔食性向上の効果を十分に得るためにはそれぞれTiを0.05mass%以上、Vを0.05mass%以上とする必要がある。一方、それぞれTiが0.25mass%を超え、若しくはVが0.25mass%を超えると鋳造時に粗大な化合物が生成されて材料の押出し性を阻害し、健全な押出し材が得難くなるため、それぞれTiは0.25mass%、Vは0.25mass%を上限とした。
本発明のアルミニウム合金配管材において、Crは0.05−0.25mass%、Zrは0.05−0.25mass% Hfは0.05−0.25mass%の内一種以上含有されてもよい。
Cr、Zr、Hfは、Ti、Vと同様、高濃度層と低濃度層に分かれ、これらの層が厚み方向に交互に層状に分布する。低濃度層は高濃度層に比べて優先的に腐食するために腐食形態が層状となり、その結果、肉厚方向への腐食の進行が妨げられて、材料の耐食性が向上する。
Cr、Zr、Hfの好ましい含有量は、それぞれ0.05−0.25mass%、0.05−0.25mass%、0.05−0.25mass%の範囲であり、それぞれ下限未満ではその効果が小さく、それぞれ上限を超えると鋳造時に粗大な化合物が生成されて材料の押出し性を阻害し、健全な押出し材が得難くなる。
本発明のアルミニウム合金配管材において、不可避不純物としてのFeは0.2mass%以下に制限される。
Feは鋳造時にFe系化合物として晶出し、合金の耐食性を低下させる。このような悪影響を避けるためには、不可避不純物としてのFeを0.2mass%以下に規制するのが好ましい。
本発明のアルミニウム合金配管材において、Cuは0.4mass%以下に制限される。 Cuはマトリックスの電位を貴にし、マトリックスがアノード、Ti、Vの高濃度層やMn系析出物がカソードとして作用するガルバニック腐食の作用を弱める。このような悪影響を避けるためには、Cuを0.4mass%以下に規制するのが好ましい。より好ましくは、Cuを0.2mass%以下に規制するものとする。
本発明のアルミニウム合金配管材は鋳塊を500℃以下に加熱し、押出し、得られた素材に抽伸加工(加工度65%以上)を行い、抽伸途中または抽伸終了後、250−400℃の析出処理を行うことにより製造される。
鋳塊の加熱を500℃以下とし、鋳造後に高温に保持しないことによって、粗大なMn系化合物の析出を抑制できる。
鋳塊を500℃以下に加熱し、押出し加工することによって得られた素材をダイス穴に通して引抜き加工度65%以上の抽伸加工を行うことによってTiおよびVの高濃度層と低濃度層の間隔が狭くなり、腐食形態を層状にすることができる。
また抽伸途中または抽伸終了後に析出処理を250−400℃で行うことにより微細なMn系析出物の分布を得ることができる。析出処理は350℃以下で行うのがより好ましく、析出処理は2h以上行うことが好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
下記表1、2に示す成分組成のAl合金を常法により溶解・鋳造して、直径100mmのビレットを鋳造し、押出し用ビレットとした。これを450−550℃に加熱して押出し、外径25mm、内径20mmの管を作製し、抽伸加工を行い外径15mm、内径14mmの管とした。
但し、表2の合金No.10はMnが上限を超えているために押出しを行うことができなかった。さらに100−500℃、3hの最終焼鈍を行い、種々の試験を行った。
円相当径0.2μm以下のMn系析出物の数を測定する際には、電解研磨法により、透過型電子顕微鏡(TEM)用の薄膜サンプルを作製した。TEMは薄膜サンプルの厚さ40−60nmの範囲で観察を行い、加速電圧200eV、5万倍の条件で明視野像を20枚撮影し、撮影した総面積を500μmとした。
なお、分析により、Mn系析出物のみが存在することを確認してからTEM明視野像の撮影を行った。撮影したTEM明視野像を二値化できる画像編集ソフトで、Al合金マトリックスとMn系析出物を二値化し、Mn系析出物の測定面積から円相当径を計算し、その数を数えた。
電位測定では、前処理として、60℃の5%NaOH溶液に30s浸漬、30%HNO3溶液に60s浸漬を行い表面を洗浄した。その後、エレクトロメータを用いて5%NaCl溶液中において電位を測定した。
耐食性試験は、犠牲陽極材の表面中央部のみを露出させ、他の面を全てシールし、SWAAT 1000hを実施した。試験終了後、各クラッド材はリン酸・クロム酸混合溶液で腐食生成物を除去した後、最大孔食深さを光学顕微鏡を用いて焦点深度法により求めた。
以上の結果を表3及び表4に示す。
表3に示す様に本発明配管材は、優れた耐孔食性を示す。
合金No.1は請求項2の範囲を満たし、かつ鋳塊を480℃に加熱し、300℃の析出処理を行っているので、鋳塊を500℃以下に加熱し、250−400℃の析出処理を行うとする本発明請求項3の条件を充足して製造されている。また、0.2μm以下のMn系析出物密度が11×10個/mmであり、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在することを条件とする本発明の請求項1の条件を充足すると共に5%NaCl水溶液中における自然電位がが−754mVvsSCEであり、NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEに規制されるとする本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが235μm程度であり耐孔食性に優れる。
合金No.2は請求項2の範囲を満たし、かつ鋳塊を480℃に加熱し、300℃の析出処理を行い本発明請求項3の条件を充足して製造されている。また、0.2μm以下のMn系析出物密度が8×10個/mmでありかつ5%NaCl水溶液中における自然電位がが−831mVvsSCEであり本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが172μm程度であり耐孔食性に優れる。
合金No.3は請求項2の範囲を満たし、かつ鋳塊を480℃に加熱し、300℃の析出処理を行い本発明請求項3の条件を充足して製造されている。また、0.2μm以下のMn系析出物密度が8×10個/mmでありかつ5%NaCl水溶液中における自然電位がが−762mVvsSCEであり本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが171μm程度であり耐孔食性に優れる。
合金No.4は請求項2の範囲を満たし、かつ鋳塊を480℃に加熱し、300℃の析出処理を行い本発明請求項3の条件を充足して製造されている。また、0.2μm以下のMn系析出物密度が8×10個/mmでありかつ5%NaCl水溶液中における自然電位がが−777mVvsSCEであり本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが222μm程度であり耐孔食性に優れる。
合金No.5は請求項2の範囲を満たし、かつ鋳塊を480℃に加熱し、300℃の析出処理を行い本発明請求項3の条件を充足して製造されている。また、0.2μm以下のMn系析出物密度が8×10個/mmでありかつ5%NaCl水溶液中における自然電位がが−745mVvsSCEであり本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが206μm程度であり耐孔食性に優れる。
合金No.6はSiを0.8mass%含有し、Siが0.01−0.5mass%に規制されるとする本発明の請求項2の条件は充足しない。しかし、0.2μm以下のMn系析出物密度が13×10個/mmであり、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在することを条件とする本発明の請求項1の条件を充足すると共に5%NaCl水溶液中における自然電位がが−757mVvsSCEであり、NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEに規制されるとする本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが356μm程度にとどまり耐孔食性に優れる。
合金No.8はCuを0.4mass%含有し、不可避不純物としてCuが0.4mass%以下に規制されるとする本発明の請求項2の条件を充足し、かつ鋳塊を480℃に加熱し、300℃の析出処理を行い本発明請求項3の条件を充足して製造されている。また、0.2μm以下のMn系析出物密度が8×10個/mmでありかつ5%NaCl水溶液中における自然電位が−741mVvsSCEであり本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが331μm程度であり耐孔食性に優れる。
合金No.14はZnを0.8mass%含有し、Znが0.05−0.6mass%に規制されるとする本発明の請求項2の条件は充足しない。しかし、0.2μm以下のMn系析出物密度が8×10個/mmであり、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在することを条件とする本発明の請求項1の条件を充足すると共に5%NaCl水溶液中における自然電位がが−766mVvsSCEであり、NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEに規制されるとする本発明の請求項1の条件を充足している。その結果、孔食深さが268μm程度にとどまり耐孔食性に優れる。
表4に示すように、比較材は、孔食深さが372〜539μmに達し、172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ孔食が深い。
析出処理温度が100℃であり、250−400℃の析出処理とする本発明請求項3の条件を充足せず不適切な合金No.4−1は表1に示すように成分組成は本発明請求項2の範囲を満たしているものの、0.2μm以下のMn系析出物密度が2×10個/mmであり、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在することを条件とする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが427μmに達し、孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ性能が劣る。
析出処理温度が500℃であり、250−400℃の析出処理とする本発明請求項3の条件を充足せず不適切な合金No.4−2は本発明請求項2の範囲を満たしているものの、0.2μm以下のMn系析出物密度が1×10個/mmであり、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在することを条件とする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが452μmに達し、本発明配管材に比べ性能が劣る。
鋳塊の加熱温度が550℃であり、鋳塊を500℃以下に加熱するとする本発明請求項3の条件を充足せず不適切な合金No.4−3は同じく本発明請求項2の範囲を満たしているものの、0.2μm以下のMn系析出物密度が1×10個/mmであり、本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが374μmに達し、本発明配管材に比べ性能が劣る。
Feを0.4mass%含有し、不可避不純物としてFeが0.2mass%以下に規制されるとする本発明請求項2の範囲を充足しない比較材No.7は、0.2μm以下のMn系析出物密度が1×10個/mmであり、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在することを条件とする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが539μmにも達し、孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ性能が劣る。
Mnを0.2mass%含有し、Mnが:0.5−1.5mass%に規制されるとする本発明請求項2の範囲を充足しない比較材No.9は、0.2μm以下のMn系析出物密度が0.3×10個/mmと極端に低く、マトリックス中に0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在することを条件とする本発明の請求項1の条件を全く充足せず、孔食深さが428μmにまで達し、孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ性能が劣る。
Mnを2.0mass%含有し、Mnが0.5−1.5mass%に規制されるとする本発明請求項2の範囲を充足しない比較材No.10は、5%NaCl水溶液中における自然電位がが−738mVvsSCEであり、NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEに規制されるとする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが406μmに達し、孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ性能が劣る。
Vを含有しない合金No.11はVを0.05−0.25mass%を含有するとする本発明請求項2の範囲を充足せず、厚み方向にVの周期的な高濃度層を備えるとする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが487μmに達し、孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べやはり性能が劣る。
Tiを含有しない合金No.12はInを0.005−0.2mass%を含有するとする本発明請求項2の範囲を充足せず、厚み方向にTiの周期的な高濃度層を備えるとする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが487μmに達して孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べやはり性能が劣る。
Znを0.01mass%含有し、Znが0.05−0.6mass%に規制されるとする本発明請求項2の範囲を充足しない比較材No.13は、5%NaCl水溶液中における自然電位がが−732mVvsSCEであり、NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEに規制されるとする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが411μmに達し、孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ性能が劣る。
Snを0.3mass%含有し、Snが0.01−0.2mass%に規制されるとする本発明請求項2の範囲を充足しない比較材No.15は、5%NaCl水溶液中における自然電位がが−1331mVvsSCEであり、NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEに規制されるとする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが372μmであり、やはり孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ性能が劣る。
Inを0.3mass%含有し、Inが0.005−0.2mass%に規制されるとする本発明請求項2の範囲を充足しない比較材No.16は、5%NaCl水溶液中における自然電位がが−1031mVvsSCEであり、NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEに規制されるとする本発明の請求項1の条件を充足せず、孔食深さが492μmに達し、やはり孔食深さが172〜356μmにとどまる本発明配管材に比べ性能が劣る。
Figure 0005030276
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Figure 0005030276
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Claims (2)

  1. Si:0.01−0.5mass%、Mn:0.5−1.5mass%、Ti:0.05−0.25mass%、V:0.05−0.25mass%を含有し、Zn:0.05−0.6mass%、Sn:0.01−0.2mass%、In:0.005−0.2mass%の内1種以上含有し、さらに不可避不純物としてFe:0.2mass%以下、Cu:0.4mass%以下に規制され、残りがAlおよび不可避不純物からなる熱交換器用アルミニウム合金配管材が、厚み方向にTiおよびVの周期的な高濃度層を有し、マトリックス中に円相当径が0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在し、さらに5%NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEであることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金配管材。
  2. Si:0.01−0.5mass%、Mn:0.5−1.5mass%、Ti:0.05−0.25mass%、V:0.05−0.25mass%を含有し、Zn:0.05−0.6mass%、Sn:0.01−0.2mass%、In:0.005−0.2mass%の内1種以上含有し、さらに不可避不純物としてFe:0.2mass%以下、Cu:0.4mass%以下に規制され、残りがAlおよび不可避不純物からなる鋳塊を500℃以下に加熱して押出し加工する工程と、押出し加工して得られた素材に抽伸加工を行う工程と、抽伸途中または抽伸終了後、250−400℃の析出処理を行う工程とよりなり、得られるアルミニウム合金配管材が、厚み方向にTiおよびVの周期的な高濃度層を有し、マトリックス中に円相当径が0.2μm以下のMn系析出物が5×10個/mm以上存在し、さらに5%NaCl水溶液中における自然電位が−740〜−900mVvsSCEであることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金配管材の製造方法。
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